JP3721197B2 - 締め付け手段付き偏向ユニット - Google Patents
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Description
実際、ガラス製の表示管のネック部は、締め付け手段の助けにより偏向ユニットを表示管に固定する際に破損することがある。偏向ユニットを固定してから48時間までにネック部が破損することがある。特に後者の様相は非常に有害である。なぜならば表示管と偏向ユニットの組み合わせは最初に行われ、破損はその後に多く生じるからである。さらに、この問題は、表示管の窓がより大型化かつ平坦化する(特に、縦横比が9:16の形式の場合)とともに、より頻繁に生じるようになり、より大きく、より複雑かつそれによってより重い偏向ユニットが要求される。
本発明の目的は、ガラス破損の危険を低減させるための解決策を提示するものである。
この解決策は、周縁部に隙間を有する、開いた環状の締め付け手段であり、隙間の両側で前記締め付け手段の曲げ出した部分を互いに対向して位置する対称的な突起として外方へ突出させ、突起の端部は互いを支持し、前記締め付け手段の直径を調整できる調整手段を前記突起の端部と前記隙間との間に配置したことを特徴とする。
本発明は、従来の環状の締め付け手段において、締め付け手段(調整手段)のボルトを締結する際、非対称な締付け力が支持体およびこの支持体によってガラスに加わる、という認識に基づくものである。このことは、ガラスの破損をもたらす最大応力が、締め付け手段の曲げコーナーの下で生じることを意味する。突起の自由端を互いに支持し合うことにより、締め付け力は、かなり、より対称的な範囲に加わる。その結果、曲げコーナーは、ボルトを締結した際に支持体の方へは押しつけられないが、支持体から離れる方向へ動く。この効果は、締め付け手段の材料が、締め付け時の支持体の突条の表面の領域をそれ自体で調節する材料の場合、より促進される。従来の締め付け手段として製造されているステンレス鋼は、この目的には適さず、少なくとも従来のような厚さではなく、しかし、より軟らかい材料、または降伏応力がより小さい材料、例えば真鍮、アルミニウムおよびベリリウム銅がこの目的に適している。締め付け手段の材料が、締め付け時に降伏点に近づくことは重要である。
本発明のこれらおよび他の様相は、以下に述べる実施例を参照することによって明確になり、かつ説明される。
図1は、ネック部21を有するディスプレイ管20に、偏向ユニット1が締め付け手段11によってそのネック部に固定されていることを示す。
図2および図3は、偏向ユニット1をより詳細に示すものである。偏向ユニット1は中空の合成材料の支持体2を具え、支持体は、その内側に電子ビームを水平偏向させる偏向コイル(図示せず)と、外側に電子ビームを垂直偏向させる2つのコイルユニット3、4を具える偏向コイルを有する。これに関連して、コイルユニット3、4は軟磁性体のヨークリング5に環状に巻き付けられている。巻き付けを行うために、ヨークリング5は締め付け用ばね6、7によって共に保持される一対の部材を具える。支持体2は狭い部分から広い部分へ広がる形状を有する。この支持体2の狭い側の端部において、支持体2は複数個の突条8、9、10、…を有し、これらは締め付け手段11の補助によりディスプレイ管のネック部を締め付けることができる。締め付け手段11は金属または合成材料から作られる。
図2および3に示す実施例において、フランジ14を突起とヨークルング5との間の位置で、支持体2上に形成する。フランジ14は、これに固定した連結部材15へ延在する、偏向コイルを誘起する円周状の溝を有する。図2および3に示す締め付け手段11を、図5にさらに詳細に示す。締め付け手段11は周縁部に隙間を有する開いた環状形状を有し、隙間の両側において締め付け手段の曲げ出した部分は図5に示すように対称的に互いに対向して位置する突起17、18として延在する。突起17、18の端部17a、18aは内側に曲げる。これら突起の端部は更には内側に直線的にまたは内側に斜めに曲げ出す。突起17、18の一つの開口部の壁に設けたねじ山、もしくはナット(図示せず)と係合するねじ山を有するボルト16を締め付けると、突起の端部17a、18aは互いを支持するようになるまで互いの方向へ移動する。ボルトをさらに締め付けると、締め付け手段11よって生じる、コイル支持体の突条8、9、10に加わる締め付け力は、円周方向に可能な限り対称に働く。このことは、半径方向の締め付け力が可能な限り均一であることを意味し、ネック部21が破損する危険性が減少する。実際、これによって、生じる締め付け力とガラスの最大引張力との比が5〜10倍に高められることが示される。締め付け手段の材料を適切に選択することは、さらにこれに寄与することとなる。本発明はまた、締め付け手段11が突条8、9、10、…(表示管のネック部21およびコイル支持体2の円筒形の端部が共に完全な円形ではないということではない)の表面の領域に亘って十分に自身が調整されると言う認識に基づくため、低降伏応力を有する材料が望ましい。例えば、Cu-Zn合金(真鍮)およびアルミニウムが適切である。加えて、前述した突起の端部の支持体にはまた相対的に「軟らかい」材料を使用する可能性を備えている。こうした材料は他の場合にはあまり使用できない。
図4は別の締め付け手段の構成を示すもので、突起の端部は曲げ出し、動作位置で互いに支持されているが、図5のように環状形状の内側には曲げ出していない。図4に示す構成においては、それ故、湾曲した端部を互いに強く支持することはより難しい。このような場合、図6に示す実施例は有利である。なぜならば支持面がより大きく、すなわち図6において、端部は先ず内側に垂直に曲げられ、続いて(図5に示すようにリング方向へ曲げられる代わりに)リングから離れる方向に曲げ出す。
本発明の範囲では、締め付け手段として適した柔らかい材料は、厚さが0.5〜1.5mmの銅−]亜鉛合金の薄板であり、亜鉛を重量で35〜38%含み、わずかに鉄(最大0.2%)、ニッケル(最大0.3%)および/または鉛(最大0.3%)を添加することが可能である。別の材料としては、亜鉛を重量で28.5〜31.5%含み、わずかに鉄(最大0.1%)、ニッケル(最大0.3%)および/または鉛(最大0.05%)添加することが可能な銅−亜鉛合金がある。
図7は、異なる「支持体の肩部」を有する環状の締め付け手段22を示す。締め付け手段が締め付けていない(「開いている」)状態において、図7に示すように、互いに対称的に対向する突起23、24は互いにほぼ平行にまたはある程度広がって延在する。各端部29、30は内部へ直角に曲げ出しても、折れ曲げてもいないが、内方に傾斜させ、部分25、26で終端する。部分25、26は外方に曲げ出し、または折れ曲がり、互いにほぼ平行に延在する。締め付け手段22の締め付け状態において、部分25、26は互いに支持し合う。締め付けのための手段が突起の開口部27、28を通して設けられる。この場合、図7に示すように端部29、30は締め付け手段22の方向へ内側に斜めに折り曲げられる。その代わりに、端部29、30を締め付け手段22から離れる方向へ内側に折り曲げてもよい。
図8は環状の締め付け手段32の斜視図を、図9は断面図を示すものであり、締め付け手段32において突起33、34は曲げ加工ではなく絞り加工により形成する。図8に示すように互いに対称的に対向する突起33、34は窪みを有するバスタブ形状をなし、これらの窪みの底部35、36は互い離間している。
締め付け手段が開いた状態において、突起33、34は互いの方向に(集中するように)延在し、その端部37、38は互いにほぼ平行に延在する。端部37、38は(予め)溶接するのが望ましい。底部35、36は締め付け手段が貫通して設けられる開口部39、41を有する。
言わば、互いに向かい合う底部を有するバスタブ形状部は、締め付け手段22を使用する場合において、縁部40a、40b、40c、40dを折り曲げて形成される。
締め付け/引張りの働き具合を考える限りは、締め付け手段の厚さおよび突起の端部が互いを支持する方式は、最も重要なパラメータであることが実際に示される。これらのパラメータを、締め付け作業の間に材料の降伏点に近づくような方法で調整することは重要である。図8に示す実施例は、特に、強度を維持する限り厚さおよび幅を小さくした薄板材料からなる締め付け手段の形成の可能性を示すものである。適切な薄い材料としては、(ステンレス)鋼、特に厚さ0.6mmもしくはそれ以下のオーステナイトステンレス鋼を用いる。特に図8に示す構成を用いる場合、強度に余裕があり、厚さ0.4〜0.5mmのものが使用できる。
結論として、本発明は、それ故テレビの表示管中の電子ビームを偏向させる偏向ユニットに関するものであり、本偏向ユニットは2つの偏向コイルを支持する合成材料の中空支持体を具える。支持体には一方の端部において、偏向ユニットを表示管のネック部に固定する締め付け手段に囲まれた突起を設ける。締め付け手段は互いに対向する位置に突起を有し、これらの間の距離が、ボルトによる締結によって調整可能な締め付け手段の半径を決定する。突起の端部は、リングの締め付け力が、ボルトを締結した際に偏向コイル支持体の突条の表面領域に亘ってできるだけ対称となるように分布するように構成される。特定の実施例において、この構成は作動状態において、ボルトを締結した際に、ボルトよりも表示管のネック部に向う半径方向内側での突起間距離がボルトよりも表示管のネック部から半径方向外方に離れている側の突起間距離よりも小さくなるようにすることによって実現される。
【図面の簡単な説明】
図1は、締め付け手段の助けによって偏向ユニットが固定されているディスプレイ管の側部の立面図である。
図2は、偏向ユニットの側部の立面図である。
図3は、偏向ユニットの背面図である。
図4は、ディスプレイ管をコイル型の支持体で締め付ける締め付け手段の断面を示す立面図である。
図5は、類似の断面形状であるが別の締め付け手段を示す図であり、本図では締め付けていない状態を示す。
図6は、別の形態の締め付け手段を示す立面図である。
図7は、本発明に係る締め付け手段を斜めから見た立面図である。
図8は、本発明に係る締め付け手段を斜めから見た立面図である。
図9は、図7に示す締め付け手段の断面図である。
Claims (8)
- 陰極線管中の電子ビームを偏向させる偏向ユニットであって、偏向コイルを支持するための、合成部材からなる中空の支持体を具え、前記支持体の一端に複数個の突条を設け、これら突条の周囲に、陰極線管に偏向ユニットを固定するように環状の締め付け手段を配置した偏向ユニットにおいて、締め付け手段がその周縁部において隙間を有する開いた環状の形状を有し、隙間の両側において、締め付け手段の曲げ出した端部の部分が互いに対称的に対向するように位置する突起として外方へ突出させ、前記突起の端部は互いに支持し合うようにし、また締め付け手段の直径を調整可能にする調整手段を前記突起の端部と前記隙間との間に配置し、前記突起を対称的に設け、前記突起の端部は、使用状態で互いに支持し合うよう曲げ出した部分を有するものとしたことを特徴とする偏向ユニット。
- 請求項1記載の偏向ユニットにおいて、締め付けしていない状態で前記突起を互いにほぼ平行、あるいはある程度広がって突出させ、前記突起の端部が斜め内側に曲げ出した第一の部分と、この第一の部分から折り曲げた第二の部分とを有し、前記第二の部分が互いにほぼ平行に延在することを特徴とする偏向ユニット。
- 請求項2記載の偏向ユニットにおいて、前記突起の端部は、先ず内側に曲げ出した第一の部分と、前記環状形状部分から離れる方向に第一の部分から折り曲げた第二の部分とを有するものとした偏向ユニット。
- 請求項1記載の偏向ユニットにおいて、前記突起を互いにほぼ平行、あるいはある程度広がって突出させ、突起の端部を斜め内側に曲げ出し、次に互いにほぼ平行に延在するように環状形状部分の内側に向けて曲げ返して締め付け状態では互いに支持し合うようにした部分で終端させた偏向ユニット。
- 請求項1記載の偏向ユニットにおいて、締め付けしていない状態で前記突起は互いの方向に集中し、また互いにほぼ平行に延在する端部を有することを特徴とする偏向ユニット。
- 請求項3記載の偏向ユニットにおいて、前記突起が窪みを有するバスタブ形状に絞り加工され、かつ前記バスタブ形状の突起の窪み開口部が互いに向かい合っていることを特徴とする偏向ユニット。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏向ユニットにおいて、前記突起の端部を予め溶接することを特徴とする偏向ユニット。
- 請求項1記載の偏向ユニットにおいて、締め付け手段の材料は、締め付け状態にしたとき降伏点に近づくものとしたことを特徴とする偏向ユニット。
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