JP2814269B2 - 偏向ヨーク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、テレビジョン受像機等のブラウン管に設置
する偏向ヨークに関するものである。

（従来の技術） 従来の偏向ヨークについて、第５図および第６図によ
り説明する。

第５図は、従来の偏向ヨークの分解斜視図である。第
５図において、偏向ヨーク本体は、プラスチックを成形
した半月状の絶縁枠１に銅線２を巻回した２個の水平偏
向コイル３を向い合わせた外側に、コア４の内側に銅線
２を巻回した２個の垂直偏向コイル５を直交するように
配置したものである。ヨークカバー６は、上記の水平偏
向コイル３の絶縁枠１の外周に嵌合する浅い有底円筒状
のカバー本体の中央に、上記の偏向ヨークが装着される
ブラウン管（図示せず）のネック部が挿通する貫通孔が
形成されており、その内周に複数の摺割りを入れて形成
された固定用舌片6aが設けられている。さらに、上記の
固定用舌片6aの外周に、ビス７で有効内径を調節する金
属製の固定用バンド８が取り付けられている。

このように構成された偏用ヨークを、ブラウン管に取
り付ける方法について説明する。

まず、偏向ヨーク本体をブラウン管のネック部に挿通
した後、ヨークカバー６を絶縁枠１の後端部に押し付け
るように接触させ、固定用舌片6aの外周に取り付けられ
た固定用バンド８のビス７を締め付けて固定する。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記の構成では、絶縁枠１に銅線２を
巻回するとき、巻回時の銅線２の張力により、第６図に
示すように、絶縁枠１の先端部が変形し、これが偏向ヨ
ーク本体をブラウン管に挿通できない「ネック径小不
良」の原因となるという問題があった。

本発明は上記の問題を解決するもので、巻回時の銅線
の張力の強弱にかかわらず、ネック径小不良の発生しな
い偏向ヨークを提供するものである。

（課題を解決するための手段） 上記の課題を解決するため、本発明は絶縁枠とヨーク
カバーの接触面に、絶縁枠には内周部に段部を、ヨーク
カバーには底面部に円環状突起をそれぞれ形成し、この
段部に円環状突起を嵌合させるものである。

（作 用） 上記の構成により、ヨークカバーの円環状突起が、銅
線の巻回時に変形した絶縁枠の段部に嵌合、この変形を
矯正するので、常に一定のネック径となる。

（実施例） 本発明の一実施例を第１図ないし第４図により説明す
る。

第１図は、ブラウン管のネック部９に装着した状態を
示す本発明による偏向ヨークの要部断面図である。本発
明による偏向ヨークが、第５図に示した従来例と異なる
点は、絶縁枠１の後端面の内縁に段部1aを設けた点と、
ヨークカバー６の底面に、上記の段部1aに嵌合する円環
状突起6bを形成した点である。その他は従来例と変らな
いので、同じ構成部品には同一符号を付してその説明を
省略する。

第２図は、上記のヨークカバー６を裏側から見た斜視
図で、底面の内径寄りに、上記の円環状突起6bが形成さ
れている。

第３図（ａ）および（ｂ）は、銅線２を絶縁枠１に巻
回した状態を示す斜視断面図および側面断面図である。
巻回時の銅線の張力より、矢印の方向に絶縁枠１の後端
が中心軸方向へ変形する。

次にヨークカバー６を挿入する手順について説明す
る。

第４図は、偏向ヨーク組立用治具（以下治具と称す）
の斜視図で、基台10にブラウン管のネック部９より僅か
に太い矯正軸11を固定してある。上記の矯正軸11の先端
部は、テーパを有する案内部11aが設けられている。

まず、偏向ヨーク本体にヨークカバー６を装着する
と、ヨークカバー６の円環状突起6bは、絶縁枠６の後端
面に載った状態となる。次に、このように組み合わせた
状態で、治具の矯正軸11に挿通し、基台10まで押し下げ
ると、第３図のような内径側の倒れが矯正され、段部1a
に円環状突起6bが嵌合する。

この状態で偏向ヨーク本体を持って治具から外すと、
巻回した銅線２の張力で、絶縁枠１の段部1aは、ヨーク
カバー６の円環状突起部6bを強固に保持するので、容易
に取り扱えるようになる。

次に、偏向ヨークをブラウン管のネック部９に嵌合す
れば、絶縁枠１の内径は正常寸法に矯正されているの
で、「ヨーク内径小不良」が発生しない。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、ヨークカバー
に設けた円環状突起が絶縁枠に設けた段部に嵌合し、絶
縁枠の変形が矯正されるため、常に所定のネック径を有
する偏向ヨークが得られる。

また、このネック部は偏向ヨークの主要性能であるコ
ンバージェンス特性に最も寄与する部分であり、この部
分の形状の安定は、安定したコンバージェンス特性を得
ることになる。すなわち、偏向ヨークの特性を安定する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による偏向ヨークの断面図、第２図はそ
のヨークカバーを裏側から見た斜視図、第３図（ａ）お
よび（ｂ）はコイル巻回後の絶縁枠の変形を示す斜視断
面図および側面断面図、第４図は本発明の偏向ヨークの
組立てに使用する治具の斜視図、第５図は従来の偏向ヨ
ークの分解斜視図、第６図は従来の絶縁枠の変形を示す
斜視断面図である。 １……絶縁枠、1a……段部、２……銅線、３……水平偏
向コイル、４……コア、５……垂直偏向コイル、６……
ヨークカバー、6a……固定用舌片、6b……円環状突起、
７……ビス、８……固定用バンド、９……ブラウン管の
ネック部、10……基台、11……矯正軸、11a……案内
部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁枠に導線を巻回した水平偏向コイル
   と、その外側に配置したコアの内側に導線を巻回した垂
   直偏向コイルと、上記の絶縁枠の後端部を覆い、ブラウ
   ン管のネック部が挿通する貫通孔の内縁に軸方向の複数
   本の摺割りを入れて形成した固定用舌片を有するヨーク
   カバーと、上記の固定用舌片に嵌合し、ビスで締め付け
   る固定用バンドとからなる偏向ヨークにおいて、上記の
   絶縁枠の後端部に段部を設け、一方、ヨークカバーの底
   面に上記の段部に嵌合する円環状突起を形成したことを
   特徴する偏向ヨーク。