JP3720532B2 - パワーショベルのアーム作動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーショベルのアームの動作を制御するアーム作動回路に関し、特に、アームの動作を増速するための増速回路を有するアーム作動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
掘削作業を行なうパワーショベルは、台車と、台車の上部に旋回可能に搭載された旋回体とを備えている。旋回体にはブームが起伏可能に取り付けられ、ブームの先端にはアームが回動自在に取り付けられ、アームの先端にはバケットが傾動自在に取り付けられている。そして、ブームはブームシリンダによって起伏動作され、アームはアームシリンダによって回動され、バケットは傾動シリンダによって傾動される。さらに、旋回体と台車はそれぞれ、油圧モータを介して、旋回動作または走行駆動される。
【0003】
このようなパワーショベルは、一般に、その作業効率を上げるため、アームやブームの動作速度を増大させるための増速回路を備えている。特にアームはスピーディーな動作を要求される場合が多く、とりわけ狭い路地等では、バケットに土砂を取り込んだ後、アームシリンダのロッドを素早く伸ばしてアームを手元側に急速に引き寄せる作業、すなわち、バケットを迅速に手元側に抱え込む作業が必要となる場合がある。そのため、パワーショベルでは、特に、アームシリンダのロッドの伸長動作を増速させる回路が必要となる。
【0004】
アームシリンダのロッドの伸長動作を増速させるための回路としては、従来から、図2〜図4に示すようなものがある。
図2に示された回路は、油圧ポンプPの吐出側に接続された吐出管路103と、吐出管路103の途中に介挿され油圧ポンプPからアームシリンダ100への圧油の流れを制御する方向制御弁102とを有している。方向制御弁102には、吐出管路103から分岐する供給管路104と、アームシリンダ100のヘッド(ボトム)側チャンバに接続されたヘッド側管路105と、アームシリンダ100のロッド側チャンバに接続されたロッド側管路106と、タンクTに接続された戻し管路107と、戻し管路107に常時閉の開閉弁109を介して接続された接続管路108とが接続されており、方向制御弁102の弁切換えによってこれら管路103〜108を通じた圧油の流れが制御されるようになっている。
【0005】
すなわち、方向制御弁102が中立位置ロにある場合には、油圧ポンプPからの圧油が吐出管路103を通じて例えばタンクT側に通じる循環路(センタバイパス管路)に導かれるとともに、他の管路104〜108がブロックされる。また、方向制御弁102が切換位置イに切換えられると、供給管路104とヘッド側管路105とが接続されるとともにロッド側管路106と接続管路108とが接続される。したがって、油圧ポンプPからの圧油がアームシリンダ100のヘッド側チャンバに供給されてアームシリンダ100のロッドが伸長するとともに、アームシリンダ100のロッド側チャンバからの戻り油がロッド側管路106を通じて接続管路108側に流れ出る。さらに、方向制御弁102が切換位置ハに切換えられると、供給管路104とロッド側管路106とが接続されるとともにヘッド側管路105と戻し管路107とが接続される。したがって、油圧ポンプPからの圧油がアームシリンダ100のロッド側チャンバに供給されてアームシリンダ100のロッドが収縮するとともに、アームシリンダ100のヘッド側チャンバからの戻り油がヘッド側管路105と戻し管路107とを通じてタンクTに戻される。
【0006】
アームシリンダ100のロッドの伸長動作を増速するために、方向制御弁102には、アームシリンダ100のロッド側からの戻り油をヘッド側に送る再送機能が付加されている。すなわち、方向制御弁102が切換位置イに切り換えられると、供給管路104とヘッド側管路105とを接続する方向制御弁102の弁通路aと、ヘッド側管路106と接続管路108とを接続する方向制御弁102の弁通路bとが、逆止弁110を介して連通するようになっている。この場合、逆止弁110は弁通路a側に向けて開くようになっており、また、開閉弁109は閉じられているため、アームシリンダ100のロッド側チャンバからの戻り油は、タンクTに戻されることなく、弁通路aでポンプPからの圧油と合流して、アームシリンダ100のへッド側チャンバへと送られることとなる。したがって、アームシリンダ100のロッドの伸長動作が増速される。なお、アームシリンダ100のヘッド側チャンバに所定量の圧油が供給されてヘッド側管路105内の圧が所定の値に達すると、パイロット圧管路112を介して開閉弁109が開かれ、アームシリンダ100のロッド側チャンバからの戻り油がタンクT側に戻される。すなわち、図2に示す回路では、ロッド側からの戻り油をヘッド側に送り込むことで、アームシリンダ100のロッドの伸長動作を増速するようにしている。
【0007】
また、図3の回路は、2つのポンプP1 ,P2 からの圧油を合流させてこれをアームシリンダ100のへッド側チャンバへ送り込むことで、アームシリンダ100のロッドの伸長動作を増速するようにしている。すなわち、図3に示された回路は主回路Aと増速回路Bとから成る。主回路Aは、第1の油圧ポンプP1 に接続された吐出管路103の途中に介挿され油圧ポンプP1 からアームシリンダ100への圧油の流れを制御する方向制御弁120と、図2と同一の状態で接続された管路104〜107とから成る。この主回路Aでは、方向制御弁120が切換位置イに切換えられると、供給管路104とヘッド側管路105とが接続されるとともにロッド側管路106と戻し管路107とが接続され、油圧ポンプP1 からの圧油がアームシリンダ100のヘッド側チャンバに供給される。この場合、アームシリンダ100のロッド側チャンバからの戻り油はロッド側管路106と戻し管路107とを介してタンクT側に戻される。また、方向制御弁120が切換位置ハに切換えられると、供給管路104とロッド側管路106とが接続されるとともにヘッド側管路105と戻し管路107とが接続され、油圧ポンプP1 からの圧油がアームシリンダ100のロッド側チャンバに供給される。この場合、アームシリンダ100のヘッド側チャンバからの戻り油はヘッド側管路105と戻し管路107とを通じてタンクTに戻される。
【0008】
また、増速回路Bは、第2の油圧ポンプP2 に接続された吐出管路123の途中に介挿され油圧ポンプP2 からアームシリンダ100への圧油の流れを制御する方向制御弁121と、吐出管路123から分岐して方向制御弁121に接続する供給管路124と、主回路A側のヘッド側管路105と方向制御弁121とを接続する第1の圧油導入管路125と、主回路A側のロッド側管路106と方向制御弁121とを接続する第2の圧油導入管路126と、タンクTと方向制御弁121とを接続する戻し管路127とから成り、方向制御弁121の弁切換えによってこれら管路124〜127を通じた圧油の流れが制御されるようになっている。具体的には、方向制御弁121が切換位置イに切換えられると、供給管路124と第2の圧油導入管路126とが接続されるとともに第1の圧油導入管路125と戻し管路127とが接続され、油圧ポンプP2 からの圧油が第2の圧油導入管路126を介してロッド側管路106に導入される。また、方向制御弁120が切換位置ハに切換えられると、供給管路124と第1の圧油導入管路125とが接続されるとともに第2の圧油導入管路126がブロックされ、油圧ポンプP2 からの圧油が第1の圧油導入管路125を介してヘッド側管路105に導入される。
【0009】
このような図3の回路構成では、アームシリンダ100のロッドを伸長するためにアームの操作手段が対応する1速側に操作されると、主回路A側の方向制御弁120が切換位置イに切換わって、油圧ポンプP1 からの圧油がアームシリンダ100のヘッド側チャンバに供給される。この場合、増速回路B側の方向制御弁121は中立位置に保持され、油圧ポンプP2 側からの圧油の合流はない。そして、アームシリンダ100のロッドの伸長動作を増速するためにアームの操作手段が2速側に操作されると、増速回路B側の方向制御弁121が切換位置ハに切換わって、油圧ポンプP2 からの圧油が第1の圧油導入管路125を介してヘッド側管路105に導入される。したがって、アームシリンダ100のヘッド側チャンバには両ポンプP1 ,P2 からの圧油が導入され、アームシリンダ100のロッドの伸長動作が増速される。なお、アームシリンダ100のロッド側チャンバからの戻り油はロッド側管路106と戻し管路107とを介してのみタンクT側に戻される。また、方向制御弁120が切換位置ハに切り換えられるとともに方向制御弁121が切換位置イに切り換えられた場合には、アームシリンダ100のロッドの収縮動作が増速される。
【0010】
また、図4の回路は、図3の主回路Aを図2の回路に置き換えることによって、アームシリンダ100のロッドの伸長動作を増速するようにしている。10t以上のクラスのパワーショベルでは、主に図4の回路によってアームシリンダ100のロッドの伸長動作が増速される。これは、近年、アームの掘削力アップのためにアームシリンダ100のボア径が次第に大きくなり、図2または図3の増速手段だけでは十分なアームスピードが得られないためである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示された回路構成では、主回路A側の方向制御弁102に再送機能(逆止弁110を介してロッド側からの戻り油をヘッド側に送り込む機能)が設けられている。したがって、アームシリンダ100のロッドを伸長するためにアームの操作手段を対応する1速側に操作した時点で、増速機能が働いてしまう。
【0012】
パワーショベルでは、積み上げた土砂をバケットの先端によって均等に掃き揃えるならし作業(水平引き操作)が行なわれる。こうした作業は、アーム操作の1速側でアームとブームとを同時に動作させる微妙な複合操作によって実現される。したがって、アーム操作の1速側に再送機能があると、このような微妙な操作の際(比較的浅い位置までのレバー操作)に増速機能が働いてしまい、操作のフィーリング性が悪化して、水平引き操作等の微妙な操作を良好に行なうことができなくなる。再送機能は、シリンダのロッド側の油をヘッド側に圧力差を利用して回すことにより速度アップを図るものであり、ロッド側とヘッド側とに少しでも圧力変化が生じると、同じレバー位置であっても速度が変わる特性を持っている。そのため、図4の回路構成では、微妙な操作を行なっている際に、オペレータの意志に基づかない速度変化を起こす虞がある。
【0013】
無論、こうした問題は、図3の回路構成のように1速側で増速機能が働かないようにすれば解消されるが、図3の回路構成では、前述したように、十分なアームスピードが得られないという問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、アームを十分に増速でき、しかも、増速が不要な微妙なアーム操作を良好に実現できるパワーショベルのアーム作動回路を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、パワーショベルのアームの動作を制御するためのアーム作動回路において、アームを動作させる油圧作動のアクチュエータを第1の油圧ポンプとタンクとに接続する主回路と、第2の油圧ポンプと主回路とを接続する増速回路と、増速回路に設けられ、主回路を通じて増速回路に流れ込むアクチュエータからの戻り油を再びアクチュエータに導入する再送手段と、主回路および増速回路を通じたアクチュエータへの圧油の流れを制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、第1の油圧ポンプからの圧油のみを主回路を通じてアクチュエータに導入する第1の制御形態と、第1および第2の油圧ポンプからの圧油を増速回路および主管路を通じてアクチュエータに導入するとともに、前記再送手段によってアクチュエータからの戻り油を再びアクチュエータに送り込む第2の制御形態とを有していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
図1には、パワーショベルのアクチュエータ作動回路のうち、主にアームシリンダ10を動作させるためのアーム作動回路が示されている。図示のように、アーム作動回路は、主回路Aと増速回路Bとから成る。
【0017】
主回路Aは、第1の油圧ポンプP1 の吐出側に接続された吐出管路13の途中に介挿され油圧ポンプP1 からアームシリンダ10への圧油の流れを制御する方向制御弁12と、吐出管路13から分岐して方向制御弁12に接続する供給管路14と、アームシリンダ10のヘッド側チャンバと方向制御弁12とを接続するヘッド側管路15と、アームシリンダ10のロッド側チャンバと方向制御弁12とを接続するロッド側管路16と、方向制御弁12とタンクTとを接続する戻し管路17と、一端が常時閉の開閉弁19を介して戻し管路17に接続され他端が方向制御弁12に接続された接続管路18とから成り、方向制御弁12の弁切換えによってこれら管路13〜18を通じた圧油の流れが制御されるようになっている。
【0018】
また、方向制御弁12は3つの切換位置イ,ロ,ハを有しており、方向制御弁12が中立位置ロにある場合には、油圧ポンプP1 からの圧油が吐出管路13を通じてタンクT側に導かれるとともに、他の管路14〜18がブロックされるようになっている。また、方向制御弁12が切換位置イに切換えられると、供給管路14とヘッド側管路15とが接続されるとともにロッド側管路16と接続管路18とが接続されるようになっている。さらに、方向制御弁12が切換位置ハに切換えられると、供給管路14とロッド側管路16とが接続されるとともにヘッド側管路15と戻し管路17とが接続されるようになっている。
【0019】
なお、吐出管路13には、方向制御弁12の他、台車の左右一方側の走行駆動を担う油圧モータへの圧油の流れを制御する方向制御弁40と、旋回体の旋回動作を担う油圧モータへの圧油の流れを制御する方向制御弁41と、ブームの一方を起伏させるブームシリンダへの圧油の流れを制御する方向制御弁42とが介挿されている。この場合、方向制御弁12,40,41,42は、供給管路14を介して、互いにパラレルに接続されている。
【0020】
一方、増速回路Bは、第2の油圧ポンプP2 の吐出側に接続された吐出管路23の途中に介挿され油圧ポンプP2 からアームシリンダ10への圧油の流れを制御する方向制御弁21と、吐出管路23から分岐して方向制御弁21に接続する供給管路24と、主回路A側のヘッド側管路15と方向制御弁21とを接続する第1の圧油導入管路25と、主回路A側のロッド側管路16と方向制御弁21とを接続する第2の圧油導入管路26と、タンクTと方向制御弁21とを接続する戻し管路27とから成り、方向制御弁21の弁切換えによってこれら管路24〜27を通じた圧油の流れが制御されるようになっている。
【0021】
また、方向制御弁21は3つの切換位置イ,ロ,ハを有しており、方向制御弁21が中立位置ロにある場合には、油圧ポンプP2 からの圧油が吐出管路23を通じてタンクT側に導かれるとともに、他の管路24〜27がブロックされるようになっている。また、方向制御弁21が切換位置イに切換えられると、供給管路24と第1の圧油導入管路25とが接続されるとともに第2の圧油導入管路26と戻し管路27とが接続されるようになっている。さらに、方向制御弁21が切換位置ハに切換えられると、供給管路24と第2の圧油導入管路26とが接続されるとともに第1の圧油導入管路25と戻し管路27とが接続されるようになっている。
【0022】
なお、吐出管路23には、方向制御弁21の他、台車の左右他方側の走行駆動を担う油圧モータへの圧油の流れを制御する方向制御弁43と、バケットを傾動させる傾動シリンダへの圧油の流れを制御する方向制御弁44と、ブームの他方を起伏させるブームシリンダへの圧油の流れを制御する方向制御弁45とが介挿されている。また、方向制御弁21は、吐出管路23に対して、他の方向制御弁43,44,45とタンデムに接続されている。
【0023】
また、アームシリンダロッドの伸長動作の増速を促進するために、方向制御弁21には、アームシリンダ10のロッド側からの戻り油をヘッド側に送る再送機能が付加されている。すなわち、方向制御弁21が切換位置イに切り換えられると、供給管路24と第1の圧油導入管路25とを接続する方向制御弁21の弁通路aと、第2の圧油導入管路26と戻し管路27とを接続する方向制御弁21の弁通路bとが、逆止弁50を介して連通するようになっている。この場合、逆止弁50は弁通路a側に向けて開くようになっている。また、アームシリンダ10のヘッド側チャンバに所定量の圧油が供給されてヘッド側管路15内および第1の圧油導入管路25内の圧が所定の値に達すると、パイロット圧管路52を介して開閉弁19が開かれるようになっている。
【0024】
次に、上記構成のアーム作動回路の動作について説明する。
アームシリンダ10のロッドを伸長するためにアームの操作手段が対応する1速側に操作されると、主回路A側の方向制御弁12が切換位置イに切換わる。また、この1速側では、増速回路B側の方向制御弁21は中立位置ロに保持され、油圧ポンプP2 側からの圧油の合流はない。
【0025】
方向制御弁12,21の弁位置がこのように設定されると、油圧ポンプP1 からの圧油のみがアームシリンダ10のヘッド側チャンバに供給され、アームシリンダ10のロッドが伸長するとともに、アームシリンダ10のロッド側チャンバからの戻り油がロッド側管路16を通じて接続管路18側に流れ出る。そして、アームシリンダ10のヘッド側チャンバに所定量の圧油が供給されてヘッド側管路15内および第1の圧油導入管路25内の圧が所定の値に達すると、パイロット圧管路52を介してパイロット圧が開閉弁19に作用し、開閉弁19が開かれる。したがって、アームシリンダ10のロッド側チャンバからの戻り油がタンクT側に戻される。
【0026】
次に、アームシリンダ10のロッドの伸長動作を増速するためにアームの操作手段が2速側に操作されると、増速回路B側の方向制御弁21が切換位置イに切換わって、油圧ポンプP2 からの圧油が第1の圧油導入管路25を介してヘッド側管路15に導入される。したがって、アームシリンダ10のヘッド側チャンバには両ポンプP1 ,P2 からの圧油が導入され、アームシリンダ10のロッドの伸長動作が増速される。また、この時、開閉弁19が閉じていれば、アームシリンダ10のロッド側チャンバからの戻り油はロッド側管路16と第2の圧油導入管路26とを介して戻し管路27に流れるが、弁通路bに絞り55が設けられているため、絞り55の上流側で戻り油の圧が逆止弁50のクラッキング圧を越えた場合には、戻り油の一部がタンクTに戻されることなく弁通路aに流れるとともにポンプP2 からの圧油と合流して再びアームシリンダ10のへッド側チャンバへと送られることとなる。したがって、アームシリンダ10のロッドの伸長動作の増速がさらに促進される。なお、アームシリンダ10のヘッド側チャンバに所定量の圧油が供給されてヘッド側管路15内および第1の圧油導入管路25内の圧が所定の値に達すると、パイロット圧管路52を介して開閉弁19が開かれ、アームシリンダ10のロッド側チャンバからの戻り油は接続管路18からもタンクT側に戻されるようになる。
【0027】
なお、アームシリンダ10のロッドを収縮するためにアームの操作手段が対応する1速側に操作されると、方向制御弁12が切換位置ハに切換わって、油圧ポンプP1 からの圧油がアームシリンダ10のロッド側チャンバに供給される。したがって、アームシリンダ10のロッドが収縮するとともに、アームシリンダ10のヘッド側チャンバからの戻り油がヘッド側管路15と戻し管路17とを通じてタンクTに戻される。無論、この1速側では、増速回路B側の方向制御弁21は中立位置ロに保持され、油圧ポンプP2 側からの圧油の合流はない。また、アームシリンダ10のロッドの収縮動作を増速するためにアームの操作手段が2速側に操作されると、増速回路B側の方向制御弁21が切換位置ハに切換わって、油圧ポンプP2 からの圧油が第2の圧油導入管路26を介してロッド側管路16に導入される。したがって、アームシリンダ10のロッド側チャンバには両ポンプP1 ,P2 からの圧油が導入され、アームシリンダ10のロッドの収縮動作が増速される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のアーム作動回路は、通常のアーム動作のための主回路Aとアーム増速のための増速回路Bとに分けられ、しかも、再送機能(逆止弁50を介してロッド側からの戻り油をヘッド側に送り込む機能)が主回路A側の方向制御弁12ではなく増速回路B側の方向制御弁21のみに設けられている。したがって、アームシリンダ10のロッドを伸長するためにアームの操作手段を対応する1速側に操作した時点では増速機能が働かず、2速側に操作してはじめて増速機能が働くとともにその増速機能が促進される。
【0029】
このようにアーム伸長操作の1速側で増速機能が働かないように構成することにより、アーム操作の1速側で行なわれる水平引き操作等の微妙な操作を良好なフィーリング性をもって確実に行なうことができるようになる。すなわち、増速回路Bが微操作に影響を与えることなく単に増速の役目のみを果たすため、全体の操作フィーリングが向上する。また、2速側に操作した時点では、両ポンプP1 ,P2 の圧油の合流のみならず、逆止弁50を通じた戻り油の合流も達成され、十分な増速効果を得ることができる。
【0030】
なお、本実施形態では主回路A側に開閉弁19が設けられているが、この開閉弁19は増速回路B側に設けられていても良く、また、開閉弁19の形態はセミオープン型のものであっても良い。無論、開閉弁19はなくても良い。
【0031】
また、本実施形態では、増速回路B側の方向制御弁21に絞り55が設けられているが、この絞り55を設けることなく弁通路bの流路をブロックするようにしても良い。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパワーショベルのアーム作動回路によれば、アームを十分に増速でき、しかも、増速が不要な微妙なアーム操作を良好に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパワーショベルのアーム作動回路の構成図である。
【図2】従来のアーム作動回路の第1の例を示す構成図である。
【図3】従来のアーム作動回路の第2の例を示す構成図である。
【図4】従来のアーム作動回路の第3の例を示す構成図である。
【符号の説明】
10…アームシリンダ(アクチュエータ)
12,21…方向制御弁(制御手段)
50…逆止弁
P1 ,P2 …油圧ポンプ
A…主回路
B…増速回路
T…タンク
Claims (1)
- パワーショベルのアームの動作を制御するためのアーム作動回路において、
アームを動作させる油圧作動のアクチュエータを第1の油圧ポンプとタンクとに接続する主回路と、
第2の油圧ポンプと主回路とを接続する増速回路と、
増速回路に設けられ、主回路を通じて増速回路に流れ込むアクチュエータからの戻り油を再びアクチュエータに導入する再送手段と、
主回路および増速回路を通じたアクチュエータへの圧油の流れを制御する制御手段と、
を具備し、
前記制御手段は、第1の油圧ポンプからの圧油のみを主回路を通じてアクチュエータに導入する第1の制御形態と、第1および第2の油圧ポンプからの圧油を増速回路および主管路を通じてアクチュエータに導入するとともに、前記再送手段によってアクチュエータからの戻り油を再びアクチュエータに送り込む第2の制御形態とを有していることを特徴とするパワーショベルのアーム作動回路。
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