JP3719688B2 - 研磨性を有する微粉末沈澱ケイ酸の製造方法 - Google Patents

研磨性を有する微粉末沈澱ケイ酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沈澱ケイ酸の製造方法、特に研磨性を有する白色微粉末沈澱ケイ酸の製造方法に関する。本発明の製造方法により得られる沈澱ケイ酸は、歯磨き用基剤や研磨剤等に適した適度な研磨力(研磨値)を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
湿式法シリカ(ケイ酸)には大きく分類すると沈澱法シリカとゲル法シリカとがあり、いずれもケイ酸アルカリと鉱酸を原料として製造される。沈澱法ケイ酸は、通称ホワイトカーボンと呼ばれ、ゴム用充填剤をはじめ農薬、塗料、樹脂、インク、歯磨き、情報紙等に広く使用されている。
また、それらの製造方法に関しても種々の方法が提案されている。
これらの沈澱ケイ酸はいずれも分散性良好な微細粒子から成り、一般的に、嵩比重が低く、粒子は柔らかく研磨性も有していない。
【0003】
一方、ゲル法により得られるケイ酸は、粒子が強固に凝集し一般的に硬く、乾燥剤、分離剤、塗料の艶消し剤等として使用されているが、粒子の凝集は強固でも粉砕すると沈澱ケイ酸と同様に研磨性を有していないものとなる。
一般的なケイ酸の研磨性能は、後述する研磨値の測定法によれば、アルミニウム板の摩耗減量値が2mgに満たない。大部分は1mg以下であり、研磨性は概ね有さない。尚、粒子硬度と研磨力は無関係である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
沈澱ケイ酸は極めて純粋で化学的に安定且つ無毒であり、高い白色度を示し価格的にも安価であることから、その研磨性を改良し歯磨き用基剤として使用する試みが種々なされている。
例えば、特公昭54−4919号に、沈澱ケイ酸の研磨力の調整方法について開示されている。この方法は、反応時に塩化ナトリウム等の電解質物質を添加し、その添加量、反応温度、攪拌速度、あるいは反応終了時のpHを調整することで研磨力を変化させるものである。
【0005】
しかしながら、上記方法においては、比較的多量の塩化ナトリウム等を使用することから、コスト上の問題や作業の煩雑さ等を生じ、装置の腐食の問題もある。装置の腐食の問題がなく、より安価に、より簡便に研磨力を自由に調整できる沈澱ケイ酸の製造方法が求められていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、塩化ナトリウム等の電解質物質を添加することなく、アルミニウム板の摩耗減量値が2mg以上の優れた研磨性を有する沈澱ケイ酸を製造できる沈殿ケイ酸の新規な製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、塩化ナトリウム等の電解質物質を添加することなく、アルミニウム板の摩耗減量値が2mg以上の優れた研磨性を有する沈澱ケイ酸を製造できる方法であって、研磨性を簡単かつ自由にコントロールできる、沈殿ケイ酸の新規な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸または鉱酸水溶液とを反応容器に並行して実質上連続的に添加することにより沈殿ケイ酸を製造する方法であって、
反応溶液のpHを9〜11の範囲に維持し、
反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率を40〜80g/リットル・時間の範囲となるようにケイ酸アルカリ水溶液の添加速度を調整し、
反応終了時の反応溶液のSiO2 濃度を90〜130g/リットルの範囲とすることを特徴とする沈澱ケイ酸の製造方法に関する。
【0008】
以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸または鉱酸水溶液とを反応容器に並行して実質上連続的に添加することにより沈殿ケイ酸を製造する方法である。
上記原料を並行して実質上連続的に反応容器に添加する方法は公知の方法である。ケイ酸アルカリ水溶液の種類や濃度、および鉱酸の種類や鉱酸水溶液の濃度は、公知の方法と同様にして行うことができる。
ケイ酸アルカリ水溶液としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液、ケイ酸カリウム水溶液、ケイ酸リチウム水溶液等を挙げることができるが、一般的にはケイ酸ナトリウム水溶液が好ましく使用される。鉱酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を挙げることができるが、一般的には硫酸が好ましく使用される。
【0009】
さらに、ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、水溶液の粘度により作業性が変化することを考慮して、例えば、Na2 O濃度は3〜7%、SiO2 濃度は10〜25%の範囲とすることが適当である。
また鉱酸水溶液の濃度は、ケイ酸アルカリとの中和反応時に局部反応が起こらないように、例えば、強攪拌を行うなどの考慮がなされていれば特に制限はなく、濃硫酸も使用できる。一般には、30〜70%の範囲の濃度とすることが適当である。
【0010】
本発明の方法においては、反応容器に並行して実質上連続的に前記原料を添加するが、反応液のpHを所定範囲に調整するという観点から、原料添加前に少量のアルカリ水溶液を反応容器に予め充填しておくことが適当である。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物や一方の原料であるケイ酸アルカリ水溶液を用いることもできる。
【0011】
但し、上記原料滴下開始時に、予め反応容器に充填しておく溶液はSiO2 を含むことが好ましく、反応容器に予め充填しておく溶液は、ケイ酸アルカリ水溶液であることが好ましい。その際のケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、5〜15g/リットルの範囲であることが適当である。SiO2 濃度が5g/リットルより低いと粒子成長に影響を与えるのか研磨値が低くなり易く、15g/リットルより高い場合は研磨値のコントロールが困難となる傾向がある。再現性良く研磨値の優れた沈殿ケイ酸を得るには、SiO2 濃度を上記範囲とし、より好ましくは9〜11g/リットルの範囲とすることが適当である。
【0012】
本発明の製造方法においては、反応溶液のpHを9〜11の範囲に維持しながらケイ酸の沈殿反応を行う。pHを9〜11の範囲に維持することで、安定してケイ酸の沈殿反応を行うことができる。反応溶液のpHが9未満では、安定した溶液pHにコントロールすることが困難であり、特に、酸性側領域になると急激なゲル化現象を引き起こすこととなり安定した研磨性を有する沈澱ケイ酸を得ることができない。一方、反応溶液のpHが11を越えると析出した沈澱ケイ酸の溶解が起こり安定した物性を得ることが困難となる。
【0013】
ケイ酸アルカリ水溶液の添加速度は、反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率が40〜80g/リットル・時間の範囲となるように調整する。反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率とは、反応終了時の反応溶液のSiO2 濃度から反応開始時の反応溶液のSiO2 濃度を差し引いた値を反応時間で割った値である。
通常の沈澱ケイ酸の製造方法においては、ケイ酸アルカリ水溶液の添加速度は、SiO2 濃度の平均上昇率が40g/リットル・時間に満たない条件で行われる。しかし、研磨性に優れた沈澱ケイ酸を製造するという観点から、上記平均上昇率は40g/リットル・時間以上とする。前記平均上昇率が40g/リットル・時間未満では、研磨値2mg以上の沈澱ケイ酸が得られない。また、前記平均上昇率が80g/リットル・時間を越えると反応操作が困難になるとともに、ケイ酸アルカリと鉱酸の反応が急激過ぎて、反応温度の一定保持が困難となり、物性も不安定となる傾向がある。
【0014】
さらに、本発明の製造方法においては、反応溶液のSiO2 濃度が90〜130g/リットルの範囲となったところで、原料の添加を終了して反応を終結させる。上記SiO2 濃度が90g/リットル未満では、沈澱ケイ酸の研磨値は依然として低く、又研磨値のコントロールも困難である。一方、SiO2 濃度が130g/リットルを越える高い条件とすることは、原料として一般的に使用される3号ケイ曹のSiO2 濃度が140〜160g/リットルの範囲であることから、鉱酸または鉱酸水溶液を並行して添加する本発明の方法では、現実的に困難である。反応終了時のSiO2 濃度は、好ましくは100〜120g/リットルの範囲である。
【0015】
本発明の製造方法における反応温度は60〜90℃の範囲とすることが適当である。
上記反応は、ケイ酸アルカリ水溶液の添加を停止し、鉱酸または鉱酸水溶液をさらに添加し続けて、反応溶液のpHが2〜4になるように酸性化することで終結させることができる。
【0016】
反応終了後、反応液を濾過し、水洗して沈澱ケイ酸ケーク得る。濾過・水洗はフィルタープレスやベルトフィルター等の使用により工業的に大量に処理できる。該沈澱ケイ酸ケークを乾燥機で水分が6%以下になるように乾燥を行う。乾燥機は静置乾燥機、噴霧乾燥機、流動乾燥機のいずれでも良い。該乾燥粉をジェットミル粉砕機で粉砕し更に分級を行うことで研磨性沈澱ケイ酸を得ることができる。
【0017】
本発明の製造方法においては、反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率および反応終了時の反応溶液のSiO2 濃度を調整することで、得られる沈澱ケイ酸の研磨性をコントロールすることができる。反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率が低いと研磨値は低く、高いと研磨値も高くなる。また、反応終了時の反応溶液のSiO2 濃度が低いと研磨値は低く、高いと研磨値も高くなる。
【0018】
さらに、乾燥後の粉砕の程度によっても研磨性をコントロールすることができる。未粉砕品は粒子径が大きく研磨値が大きいが、粉砕が進と研磨値が小さくなる。
例えば、後述の実施例1と実施例2とを比較すると、粉砕品である実施例1の研磨減量は5.1mgであるのに対し、未粉砕品である実施例2の研磨減量は6.8mgである。
【0019】
本発明の研磨性沈澱ケイ酸は、例えば、歯磨き基剤に使用される。その場合、、不純物が少なく、分散濃度が高く、低粘度で、白色度が高いことが望まれる。そこで、使用する原料や水洗に用いる水等は、着色等に悪影響を与える鉄分やその他カルシウム等の不純物の少ないものを用いることが好ましい。
さらに、白色度の高い製品を得るために、反応槽や粉砕機などは耐磨耗性の優れた装置を使用することが望ましい。特に粉砕機はセラミック加工等耐磨耗性に優れた材質の機種を使用することが望ましい。
【0020】
市販される一般的な沈澱ケイ酸の研磨力は、本発明者の測定方法によると、アルミニウム摩耗量は2mg未満であり、これでは研磨性沈澱ケイ酸としての効果がなく目的とする研磨力を持たない。それに対して、本発明の製造方法により得られる沈澱ケイ酸の研磨力は、アルミニウム摩耗量が2mg以上である。
沈澱ケイ酸に要求される研磨力は、用途により異なる。例えば、歯磨き用基剤に使用される場合、アルミニウム摩耗量が2〜7mg、好ましくは3〜5mgの範囲である。
【0021】
また、沈澱ケイ酸の好ましい粒子径も、用途により異なる。例えば、歯磨き用基剤とする場合、例えば、5〜20μmの範囲であることが適当である。
さらに歯磨き用基剤とする場合の沈澱ケイ酸は、上記範囲の粒子径を有し、適度な高い研磨力を持ち、分散濃度が高く、透明性が良く、経時安定性が良く、不純物が少ない等が好適であることは周知のことである。
本発明の製造方法によれば、所望の研磨力と粒子径を有するだけではなく、嵩比重は高く、吸油量の低い沈澱ケイ酸を得ることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、塩化ナトリウム等の電解質物質を添加することなく、アルミニウム板の摩耗減量値が2mg以上の優れた研磨性を有する沈澱ケイ酸を製造できる沈殿ケイ酸の製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、塩化ナトリウム等の電解質物質を添加することなく、アルミニウム板の摩耗減量値が2mg以上の優れた研磨性を有する沈澱ケイ酸を製造できる方法であって、研磨性を簡単かつ自由にコントロールできる、沈殿ケイ酸の製造方法を提供することができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてさらに説明する。
尚、実施例及び比較例における製品のBET比表面積、嵩比重、粒子径、pH、電気伝導度、吸油量、白色特性、屈折率、研磨値の測定は次の方法で行った。
【0024】
(1)BET比表面積
窒素吸着法によるカンタソーブを用いて測定した。
(2)嵩比重
JIS K−5101(顔料試験法)の18に規定するカサ試験法に順次測定した。
(3)粒子径
コールター・マルチサイザーII(70μmアパーチャー)を用いて測定して、50%平均粒子径を示す。
(4)pH
pH7.0の調整水50mlに試料2gを加え、5分間混合後ガラス電極pHメーターで測定した。
【0025】
(5)電気伝導度
蒸留水100mlに試料4gを加え、2〜3分間煮沸して、放冷後濾過(No.5A濾紙)する。濾過液を電気伝導度計を用いて測定した。
(6)吸油量
JIS K−5101(顔料試験法)による吸油量測定法に順次測定した。
(7)白色度
Kett(C−100−3)白色度計を用いて測定した。
(8)屈折率
グリセリン法により、日立U−1000を用いて測定した。
(9)研磨値
60%グリセリン溶液にシリカ試料を25%濃度に調整し、アルミニウム板を歯ブラシの付いた研磨試験機を用いて、2万回研磨後アルミニウム板1枚当たりの摩耗減量(mg)を研磨値とした。
アルミニウム板8枚で研磨試験を行いその平均値を示した。
【0026】
実施例1
200リットル反応槽に80℃に熱した温水23.3リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)1.7リットルを加えて攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで反応液を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を1130ml/minと48%硫酸120ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように100分間で同時滴下を行った。
同時滴下の途中に反応液の粘度が急上昇するゲル化現象が同時滴下を開始して8分目に起こった。同時滴下終了後更に48%硫酸を注加して反応液の酸性化を行った。酸性化終了時の溶液pHは3.0とした。この時のSiO2 濃度は116g/リットルであった。反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は63g/リットル・時間であった。
【0027】
得られたケイ酸沈澱物をフィルタープレスで濾別し、温水で充分洗浄を行ない湿潤ケーケを得た。該湿潤ケーキを水に分散させスラリー液として、ディスク式噴霧乾燥機を用いて水分が約6%になるように乾燥を行って沈澱ケイ酸の乾燥粉を得た。
得られた乾燥粉を、超音速ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて粉砕を行ない、次いでスペディック250型風力分級機(セイシン企業社製)を用いて分級を行って微粉末の研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0028】
実施例2
実施例1で得た沈澱ケイ酸の乾燥粉を、粉砕分級を行わずに製品とした。この製品の測定結果を表1に示した。
【0029】
実施例3
200リットル反応槽に80℃に熱した温水30.2リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)2.2リットルを加えて攪拌する、この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで反応液を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を1070ml/minと48%硫酸110ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように100分間で同時滴下を行った。
尚、同時滴下開始して11分目にゲル化現象が起こった。
反応終了時のSiO2 濃度は108g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は59g/リットル・時間であった。
反応終了後、実施例1と同様な方法で研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0030】
実施例4
200リットル反応槽に80℃に熱した温水34.3リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)2.5リットルを加えて攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで反応液を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を1020ml/minと48%硫酸110ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように100分間で同時滴下を行った。
尚、同時滴下開始して13分目にゲル化現象が起こった。
反応終了時のSiO2 濃度は104g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は56g/リットル・時間であった。
反応終了後、実施例1と同様な方法で研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0031】
実施例5
200リットル反応槽に80℃に熱した温水23.3リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)1.7リットルを加えて攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで反応液を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を1130ml/minと48%硫酸120ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように80分間で同時滴下を行った。
尚、同時滴下開始して8分目にゲル化現象が起こった。
反応終了時のSiO2 濃度は111g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は76g/リットル・時間であった。
反応終了後、実施例1と同様な方法で研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0032】
実施例6
200リットル反応槽に80℃に熱した温水33リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)2.4リットルを加えて攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで反応液を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を630ml/minと98%硫酸24ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように120分間で同時滴下を行った。
尚、同時滴下開始して19分目にゲル化現象が起こった。
反応終了時のSiO2 濃度は104g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は46g/リットル・時間であった。
反応終了後、実施例1と同様な方法で研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0033】
比較例1
200リットル反応槽に80℃に熱した温水70リットルと、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)5.0リットルを加えて攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)680ml/minと48%硫酸70ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように100分間で同時注加した。同時注加開始から40分目に反応液の粘度が急上昇するゲル化現象が起こった。さらに48%硫酸を同一流量で約20分間注加して反応液の酸性化を行ない終了時の溶液pHを約3.0とした。この時のSiO2 濃度は73g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は38g/リットル・時間であった。得られた沈澱物を濾別し、温水で充分洗浄を行ない湿潤ケーキを得た。該湿潤ケーキを水に分散させ、ディスク式噴霧乾燥機を用いて乾燥を行ない沈澱ケイ酸を得た。さらに、粉砕・分級を行ない、微粉末沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0034】
比較例2
200リットル反応槽に80℃に熱した温水86リットルを入れて、硫酸ナトリウム2500gを加えて攪拌しながら、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)580mlを加える、この時のSiO2 濃度は1g/リットルである。反応液の温度を80℃に保ちながら3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を286ml/minと48%硫酸32ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように200分間で同時滴下した。
【0035】
同時滴下開始後20分目に反応液が白濁して粘度が若干上昇するゲル化現象が起こった。同時滴下終了後更に48%硫酸を注加して反応液の酸性化を行った。酸性化終了時の溶液pHは約3.0とした。この時のSiO2 濃度は58g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は17g/リットル・時間であった。得られたケイ酸沈澱物をフィルタープレスで濾別し、温水で充分洗浄を行ない湿潤ケーキを得た。該湿潤ケーキを水に分散させスラリー液として、ディスク式噴霧乾燥機を用いて水分が約7%になるように乾燥を行って乾燥粉を得た。得られた乾燥粉を、粉砕及び分級を行って微粉末の研磨性沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0036】
比較例3
200リットル反応槽に80℃に熱した温水38.2リットルと3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O4%、SiO2 14%)2.7リットルを加え攪拌する。この時のSiO2 濃度は10g/リットルである。次いで3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同じ濃度)を500ml/minと48%硫酸41ml/minの流量で反応液のpHが9〜11を保つように210分間で同時注加した。同時注加開始から28分目に反応液の粘度が急上昇するゲル化現象が起こった。さらに48%硫酸を同一流量で約20分間注加して反応液の酸性化を行ない終了時の溶液pHは約3.0とした。この時のSiO2 濃度は105g/リットルであり、反応溶液のSiO2 濃度の上昇率は17g/リットル・時間であった。得られた沈澱物を濾別し、温水で充分洗浄を行ない湿潤ケーキを得た。該湿潤ケーキを水に分散させ、ディスク式噴霧乾燥機を用いて乾燥を行ない沈澱ケイ酸を得た。さらに、粉砕・分級を行ない、微粉末沈澱ケイ酸を得た。
この製品の測定結果を表1に示した。
【0037】
比較例4
市販の沈澱ケイ酸である、ニップシールLP(日本シリカ工業(株)社商品)を用いて評価し、表1に結果を示した。
【0038】
【表1】
Figure 0003719688

Claims (1)

  1. ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸または鉱酸水溶液とを反応容器に並行して連続的に添加することにより沈殿ケイ酸を製造する方法であって、反応溶液のpHを9〜11の範囲に維持し、反応溶液のSiO2 濃度の平均上昇率を59〜80g/リットル・時間の範囲となるようにケイ酸アルカリ水溶液の添加速度を調整し、反応終了時の反応溶液のSiO2 濃度を90〜130g/リットルの範囲とすることを特徴とする沈澱ケイ酸の製造方法。
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