JPH073182A - 塗料艶消し剤用シリカ及びその製造方法 - Google Patents

塗料艶消し剤用シリカ及びその製造方法

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JPH073182A
JPH073182A JP14628293A JP14628293A JPH073182A JP H073182 A JPH073182 A JP H073182A JP 14628293 A JP14628293 A JP 14628293A JP 14628293 A JP14628293 A JP 14628293A JP H073182 A JPH073182 A JP H073182A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性,漆黒性に優れた塗料艶消し剤用のシ
リカとその製造方法を提供する。 【構成】 アルカリ金属ケイ酸塩と硫酸との同時滴下中
和反応によって、BET比表面積500m2 /g以上の
シリカを含むシリカスラリーを調製し、次いで水熱合成
処理後、得られた沈澱法シリカを加熱空気または過熱蒸
気を用いたジエツトミル中で同時乾燥粉砕することで、
細孔直径20〜3000Åの全細孔容積が1.5cc/
g以上、細孔直径100〜300Åの細孔容積が全細孔
容積の50%以上であり、且つ細孔直径300Å以上の
細孔容積が全細孔容積の20%以上である沈澱法による
塗料艶消し剤用のシリカを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料用充填剤として有
用なシリカに関するものであり、詳細には透明性,漆黒
性に優れた塗料艶消し剤用シリカに関するものである。
さらに本発明は沈澱法による該シリカの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】シリカはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と
鉱酸の中和反応によつて製造することができ、その製造
方法は湿式法と呼ばれている。湿式法は中性またはアル
カリ性下で反応させ比較的濾過し易い沈澱ケイ酸を得る
沈澱法と、酸性下で反応させゲル状のケイ酸を得るゲル
法とに分類される。
【0003】沈澱法シリカは、例えば、特公昭39−1
207号等に開示されているように、中和反応によって
構造性を有するように一次粒子を成長させて得られた沈
澱ケイ酸を、乾燥および引き続いて粉砕し製品とされ
る。即ち静置乾燥あるいは噴霧乾燥の後に、目的に応じ
て適当な粉砕機、例えばビンなどの間での衝撃剪断・摩
擦作用を利用して粉砕するビンミル、或は高圧のジエツ
ト気流に粒子をまきこんで相互衝突により粉砕するジエ
ツト粉砕機等(最新超微粉砕プロセス技術:ソフト技研
出版部編、新技術情報センター発行、1985年、8〜
10頁)を用いて粉砕される。これらの方法によって知
られる一般的な沈澱法シリカは、BET比表面積が通常
100〜400m2 /gの範囲であり、主として汎用の
ゴム補強充填剤、農薬の吸着担体、塗料の艶消し剤、或
は種々の媒体の粘度調整剤等として使用されている。
【0004】一般的な沈澱法シリカは、塗料分野におい
て艶消し剤として高い艶消し効果を発揮するが、塗膜の
透明性を重視し例えばサンドミル等の高シェアー下で分
散させるような使用分野においては、粒子が砕け易い性
質の為かその効果が失われてしまうという傾向がある。
そのため合成皮革、プラスチック等のコーティングの分
野において艶消しに有用な添加剤としては利用されてい
なかつた。
【0005】ゲル法シリカは、例えばUSP2,46
6,842号等に開示されているように、酸性反応によ
って得られたゲルを水洗、乾燥後、粉砕して得られる。
これらゲル法シリカは、一般的に沈澱法シリカに比ベて
高構造性を有しており、高シェアー下において粒子が剪
断を受けてもその構造性を保つので、合成皮革、プラス
チツク等のコーティングの分野の用途には有効に使用さ
れている。
【0006】しかしながら、一般に透明塗料や黒色塗料
において、これらの沈澱法シリカやゲル法シリカを艶消
し剤用シリカとして使用すると、塗膜が白っぽくなると
いう欠点を有していた。この塗膜が白っぽくなる現象は
BET比表面積の比較的小さい沈澱法シリカにおいてし
ばしば見られるが、ゲル法シリカにおいても、構造性を
維持する凝集力が強すぎ分散が悪くなるためか、少なか
らずこの現象が見られ、この点について物性面の改善が
期待されている。
【0007】更には、ゲル法は、アルカリ金属ケイ酸塩
水溶液と鉱酸とをpHl〜2という強酸性域で反応させ
る必要があり、また洗浄工程においては硬い塊状のヒド
ロゲル中から副生するボウ硝等の塩類を完全に除去する
目的で36〜48時間という長時間をかけて洗浄する必
要がある。従って製造設備的には強酸性雰囲気に対する
耐食材料が要求され、また長時間の洗浄を必要とするの
で、洗浄工程での設備投資が増大するといった問題点を
有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、高構造性を有し
高シェアー下で分散させるような使用分野において透明
性に優れかつ艶消し効果の如き機能を有するシリカは沈
澱法では得られていなかつた理由として次の理由が考え
られる。
【0009】一般的に沈澱法は、シリカの重合速度が速
い高温のアルカリ下で一次粒子を成長させ、これを凝集
させ沈澱法シリカを得ている。かかる沈澱法シリカの場
合、一次粒子が十分に成長した後に一次粒子の凝集が起
こるので、シロキサンによる粒子の結合が少なく、その
結合は比較的弱いものとなっている。かかる沈澱法シリ
カでは高シェアーのかかる分散においては容易に構造は
破壊されてしまい、透明性は有するものの艶消しに有効
な添加剤としては有効なものとならないことが予想され
る。
【0010】そこで本発明者等は、沈澱法の設備の特徴
をいかしながら、透明性に優れかつ艶消し効果を有する
理想的なシリカを製造すべく、鋭意研究を重ね体系的な
検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、細孔直径
20〜3000Åの全細孔容積が1.5cc/g以上、
細孔直径100〜300Åの細孔容積が全細孔容積の5
0%以上であり、且つ細孔直径300Å以上の細孔容積
が全細孔容積の20%以上であることを特徴とする塗料
艶消し剤用シリカを提供するものである。
【0012】本発明者等は、塗料艶消し剤としてのシリ
カの物性と、塗膜の透明性、艶消し効果の関係を詳細に
調ベた結果、塗膜の性能は単に粒子の分散性のみに影響
されているのではなく、その細孔分布に大きく影響され
ていることが判明した。即ち本発明のシリカは、細孔直
径20〜3000Åの全細孔容積が1.5cc/g以
上、より好ましくは1.6cc/g以上、細孔直径10
0〜300Åの細孔容積が全細孔容積の50%以上であ
り、且つ細孔直径300Å以上の細孔容積が全細孔容積
の20%以上、より好ましくは20〜40%であるのが
良い。
【0013】湿式法シリカの細孔分布とBET比表面積
には相関関係があり、上記細孔分布を有する本発明のシ
リカは、BET比表面積値250〜400m2 /gを示
す。本発明において、上記細孔直径20〜3000Åの
全細孔容積が1.5cc/g未満である場合、これはシ
リカの構造性が低く、凝集密度が高くなるためか艶消性
能が悪くなる。
【0014】又、細孔直径100〜300Åの細孔容積
が全細孔容積の50%未満である場合は、シリカの二次
凝集粒子の構造が不均一であることが予想されるが、こ
の不均一性によるためか高構造性を維持する凝集力が弱
く、特に、高シェアー下でシリカを分散させるような使
用分野において艶消性能を維持することが困難となる。
【0015】更に、300Å以上の細孔容積の全細孔容
積に対する比率が上記範囲より小さい20%未満である
と、沈澱法シリカの二次凝集粒子の均一な系が予想され
るが、粒子同士の凝集力が強いためか塗膜の透明性,漆
黒性が悪くなる。又、上記範囲より大きい場合は、高シ
ェアー下で分散させるような使用分野において、透明性
等は良好であっても艶消性能が低くなる。
【0016】本発明のシリカを製造する方法において
は、高シェアー下で分散させるような使用分野において
も、その高構造性を維持するためにアルカリ金属ケイ酸
塩と硫酸との中和反応において、BET比表面積500
2 /g以上、より好ましくは600〜1000m2
gのシリカスラリーを調製しておき、このシリカスラリ
ーを水熱処理することによって前記した物性を有するシ
リカを合成するのが良い。
【0017】BET比表面積が低い場合は、細孔直径1
00〜300Åの範囲の細孔容積の全細孔容積に対する
比率が大きくならず、高シェアーの分散に耐える構造性
を維持することが困難となる。
【0018】又、本発明のシリカの乾燥粉砕は、通常の
静置乾燥、続いてビンミルのような粉砕方法では、塗料
艶消し剤として適切な1〜3μm程度の粒子径に調製す
ることや、細孔直径300Å以上の細孔容積の全細孔容
積に対する比率を前記範囲とすることが難しいので、加
熱空気又は過熱蒸気を用いたジエツト粉砕機中で同時に
乾燥粉砕するのが望ましい。
【0019】尚、本発明のシリカを製造する際の他の条
件としては、特に限定されず種々の方法が採用可能であ
る。本発明の製造方法において、アルカリ金属ケイ酸塩
水溶液と硫酸との中和反応を実施し、500m2 /g以
上、例えば600〜1000m2 /gのBET比表面積
を有するシリカスラリーを調製する方法としては、弱酸
性域で中和反応を実施する方法、又は反応温度を5〜4
0℃付近に維持し弱アルカリ性域で中和反応を実施する
方法等が適切に用いられる。次いで得られたシリカスラ
リー液を水熱処理する条件としては、pH8〜10、温
度70〜100℃で必要に応じ1〜10時間程度実施す
れば良い。水熱処理後のシリカスラリー液は常法に従っ
て酸性化後、濾過洗浄し、300℃以上好ましくは35
0〜600℃の加熱空気又は過熱蒸気を用いたジエツト
粉砕機中で同時に乾燥粉砕し、必要に応じて分級すれば
良い。
【0020】本発明のシリカが、塗料艶消し剤用のシリ
カとして優れている理由は定かではないが、シリカ製造
の初期段階において、500m2 /g以上、即ちシリカ
の一次粒子としては非常に小さいものが合成され、次い
で水熱処理によりBET比表面積250〜400m2
g程度にまで粒子成長することによって、一次粒子同士
の結合が強くなり、細孔直径300Å以上の細孔容積が
適度に保持され、高シェアー下での構造性を維持する凝
集力と分散性が適度に調和された状態にあるものと推察
される。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。尚、実施例及び比較例において各種試験は、
下記の方法によって行った。
【0022】(1)BET比表面積(窒素法) カンタソープ(米国Quantachrome社製)を
用いて1点法により測定した。
【0023】(2)細孔分布及び細孔容積(窒素法) ASAP−2400(島津製作所製)を用いて測定し
た。
【0024】(3)二次凝集粒子の粒度分布並びに平均
粒径(体積平均径) コールターカウンターTA−II(Coulterele
ctoronicsInC.製)を用いて30μmアパ
ーチャーチューブにより測定した。
【0025】(4)光沢度 スガのグロスメーターを用いて∠60°の反射率を測定
した。数値の低い方が艶が消えている。
【0026】(5)漆黒性 色差計を用いてその漆黒性を測定した。数値が低い方が
漆黒性が良い。
【0027】(6)透過率 色差計を用いてその透過度を測定した。数値は高い方が
透明性が良い。
【0028】(7)分散度 グラインドゲージを使用し測定した。
【0029】(8)塗膜外観 目視による。
【0030】実施例1 珪酸ナトリウムと硫酸との同時滴下中和反応において、
反応温度を30℃に維持し全中和反応を行った後、水熱
処理をpH9,温度80℃,2時間で実施し、酸性化後
濾過−洗浄した後、シリカのケークを得た。次いで該ケ
ークをスラリー化し、過熱蒸気の温度を550℃、粉砕
圧力3.0(kg/cm2 G)の条件において流体エネ
ルギーミル(フルードエナジー社製)を使用し同時乾燥
粉砕を行った。この時流体エネルギーミルの出口温度が
l70℃になるように該スラリーを定量ポンプを用いて
フィードした。得られた沈澱法シリカをl00℃の乾燥
気流中で風力分級機を用いて分級し、表lのシリカが得
られた。尚、水熱処理前のシリカ反応液を一部取り出
し、シリカのBET比表面積を測定したところ744m
2 /gであった。
【0031】次いで塗膜形成としてアミノアルキツド樹
脂(日本ペイント社製)を用い、樹脂100重量部に対
して、キシレンl0重量部、沈澱法シリカ4重量部を配
合し、ペイントシェーカーを用いて30分分散した。こ
の時の分散度を測定した。さらに分散液を、No.20
バーコーターによりブリキ板(l00×200mm)に
塗布した後、l20℃で20分乾燥し塗膜を形成した。
この塗膜の光沢度,漆黒性を測定した結果を分散度と共
に表lに示した。この評価において、分散度は30μm
以下、光沢度は75%以下及び漆黒性は1.9以下の塗
料物性を有することが望ましい。
【0032】また、塗膜形成剤としてアクリルクリアー
樹脂(関西ぺイント社製)を用いて、樹脂100重量部
に対して、専用シンナー450重量部、試料を4重量部
を配合し、ぺイントシェーカーを用いて30分分散し
た。この時の分散度を測定した。さらに分散液をl00
μmアプリケーターによりガラス板(50×100×3
mm)に塗布した後、20℃で30分乾燥し塗膜を形成
した。この塗膜の透過率を測定した結果を分散度ととも
に表2に示した。
【0033】実施例2 実施例lにおいて反応温度を20℃に維持した以外は、
同様にして沈澱法シリカを得た。尚水熱法制処理前のシ
リカ反応液を一部取り出し、BET比表面積を測定した
ところ675m2 /gであった。得られたシリカの特性
及び塗料充填後の物性を測定した結果は第1表に示し
た。
【0034】実施例3 実施例1において反応温度を40℃に維持した以外は、
同様にして沈澱法シリカを得た。尚水熱処理前のシリカ
反応液を一部取り出し、BET比表面積を測定したとこ
ろ611m2 /gであった。得られたシリカの特性及び
塗料充填後の物性を測定した結果は第1表に示した。
【0035】実施例4 ケイ酸ナトリウムと硫酸との同時滴下中和反応におい
て、反応温度を30℃に維持し全中和反応を行った後、
水熱処理をpH9,温度80℃,5時間で実施し、酸性
化後濾過洗浄した後、シリカのケークを得た。それ以外
は実施例1と同様の操作で製造を行った。得られたシリ
カの特性及び塗料充填後の物性を測定した結果は表1に
示した。
【0036】実施例5 実施例1において乾燥方法としてスプレードライヤーを
用い、粉砕方法としてミクロンジエツト(細川ミクロン
社製)を用いた以外は同様にして沈澱法シリカを得た。
得られたシリカの特性及び塗料充填後の物性を測定した
結果は第1表に示した。
【0037】比較例1 ケイ酸ナトリウムと硫酸を混合ノズルを用いてpHl.
5で反応を行い、硬い塊状のヒドロゲルを得て、90℃
のアルカリ水溶液にて48時間洗浄を行い、過熱蒸気の
温度550℃、粉砕圧力3.0(kg/m2 G)の条件
において流体エネルギーミル(前出)を使用し同時乾燥
粉砕を行った。この時流体エネルギーミルの出口温度は
l70℃になるように該スラリーを定量ポンプを用いて
フィードした。得られたシリカゲルをl00℃の乾燥気
流中で風力分級機を用いて分級し、表1のシリカゲルが
得られた。次いで、実施例1と同様に塗料評価を行っ
た。その結果を表1,2に示した。
【0038】比較例2 市販品ニップシールHD(日本シリカ工業製品)を用い
て、塗料充填時の諸物性を測定した。結果は第1表に示
した。
【0039】比較例3 実施例1において20時問水熱処理を行った以外は同様
にして沈澱法シリカを得た。得られたシリカの特性及び
塗料充填後の物性を測定した。結果は表lに示した。
【0040】比較例4 実施例lにおいてシリカのケークを得た後静置乾燥を行
い、ミクロンジエツト(前出)を用いて粉砕して沈澱ケ
イ酸を得た。得られたシリカの特性及び塗料充填後の物
性を測定した。結果は表1に示した。
【0041】比較例5 実施例1において1時間水熱処理を行った以外は同様に
して沈澱法シリカを得た。得られたシリカの特性及び塗
料充填後の物性を測定した結果は。表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明により得られた新規な沈澱法シリ
カは、特殊な細孔分布を有するものであり、特に塗料艶
消し剤用のシリカとして、透明性,漆黒性に優れてい
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔直径20〜3000Åの全細孔容積
    が1.5cc/g以上、細孔直径100〜300Åの細
    孔容積が全細孔容積の50%以上であり、且つ細孔直径
    300Å以上の細孔容積が全細孔容積の20%以上であ
    ることを特徴とする塗料艶消し剤用シリカ。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属ケイ酸塩と硫酸との同時滴
    下中和反応によって、BET比表面積が500m2 /g
    以上であるシリカのスラリーを調製し、引き続き水熱処
    理を実施し、得られた沈澱法シリカを加熱空気または過
    熱蒸気を用いたジエツト粉砕機の中で乾燥粉砕を同時に
    行うことを特徴とする請求項1の物性を有するシリカの
    製造方法。
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