JP2017020041A - エアロゲル及び該エアロゲルからなる艶消し剤 - Google Patents

エアロゲル及び該エアロゲルからなる艶消し剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 艶消し剤に対して、より高い艶消し効果、具体的には、塗膜の低い光沢度と塗膜表面の良好な平滑性の両特性が同時に得られる艶消し剤が求められている。【解決手段】 一般式(I)RnSiX4−n(但し、Rは炭化水素基であり、Xはアルコキシ基またはハロゲンであり、nは1〜3の整数である)で示される構造、または一般式(II)R3SiNHSiR3(但し、Rは上記と同じである)で示される構造の処理剤により疎水化されたエアロゲルであって、BET法による比表面積が400〜1000m2/g、BJH法による細孔容積および細孔半径のピークが各々3〜8mL/g、10〜40nmであり、且つコールターカウンター法により測定されたD10とD90の比(D10/D90)が0.3〜0.5であることを特徴とするエアロゲル。【選択図】 なし

Description

本発明は、艶消し剤として用いた際に良好な艶消し性を発現するエアロゲルと、そのエアロゲルからなる艶消し剤および該艶消し剤を含む艶消し塗料に関する。
エアロゲルは、非常に小さいかさ密度、高い気孔率、および10〜100nm程度の細孔を有する。これらの特性から、エアロゲルは断熱材料、艶消し剤、触媒、化粧品など広範囲の用途において使用される。
一方、金属酸化物、特にシリカは、「艶消し」の感じを得るために、塗料に配合されてきた。一般的な艶消し効果は添加粒子が塗膜表面に凹凸を形成することで、光を乱反射することにより得られる。この凹凸が可視光の波長よりも短いと散乱効果がなくなるため、凹凸は可視光の波長よりも大きいことが必要である。しかし、添加粒子の粒子径を大きくし過ぎると塗膜表面がザラザラと荒れることで平滑性が悪化し、なめらかなマット感を得ることが得難い傾向がある。
また、艶消し剤として用いられるシリカは、コストの点から親水性シリカが多く使用されている。親水性シリカは、シリカ粒子表面に存在するシラノール基を有しているため、凝集しやすく塗料へ添加した際の分散性を悪化させる傾向があり、塗面にダマを形成し、塗料中に沈殿分離するなどの問題が生じる場合がある。
これらの問題を解決する手段としてシリカ粒子表面のシラノール基をアルキル基を有するシラン化合物などで修飾し、疎水性を付与したシリカなどが提供されている(特許文献1、2参照)。
特許第4225466号公報 特許第4225467号公報
上記特許文献1、2等に開示された技術は確かに優れたものである。しかしながら艶消し剤用途として、塗膜表面の低い光沢度と良好な平滑性の両特性を併せ持つ、より高い艶消し効果を求める艶消し剤の要望が継続してある。
そこで本発明者らは、より低い光沢度と良好な平滑性をえるために、艶消しに寄与しない粒の減少と塗膜表面の平滑性を悪化させる粗粒の減少について着目し、種々の粒径や粒度分布を有するエアロゲルを検討した。
その結果、特定の疎水性エアロゲルにおいて、粒度分布D10/D90が0.3〜0.5のものは、0.3未満のものと比較して、同じD50でも光沢度が低く、塗膜表面の平滑性も良好であることを見出した。
すなわち本発明は、一般式(I)
SiX4−n
(但し、Rは炭化水素基であり、Xはアルコキシ基またはハロゲンであり、nは1〜3の整数である)
で示される構造、または一般式(II)
SiNHSiR
(但し、Rは上記と同じである)
で示される構造の表面処理剤により疎水化されたエアロゲルであって、
BET法による比表面積が400〜1000m/g、BJH法による細孔容積および細
孔半径のピークが各々3〜8mL/g、10〜40nmであり、且つ
コールターカウンター法により測定されたD10とD90の比(D10/D90)が0.
3〜0.5(ただし、D10は体積基準の累積粒度分布曲線の粒径の小さい方から10%
頻度の値の粒径を表し、D90は同90%頻度の値の粒径を表す)
であることを特徴とするエアロゲルであり、また他の発明は当該エアロゲルからなることを特徴とする艶消し剤である。
本発明のエアロゲルは、シャープな粒度分布を有すため、艶消しに寄与しない無駄な粒子が少なく、よって効率的に艶消し効果を得ることができる。
その上、塗膜表面の平滑性を悪化させる粗粒子が少ない為に、表面の凹凸が緩和され、滑らかな塗膜面を得ることができる。
実施例1の塗膜表面のレーザー顕微鏡像 比較例7の塗膜表面のレーザー顕微鏡像
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明のエアロゲルは疎水性である。ここで「疎水性である」とは水に対して分散しないことをいう。より具体的には、本発明のエアロゲル1gをイオン交換水100gと共に容器に入れ十数秒間振とう又は攪拌した後、静置するとエアロゲル相と水相とに完全に分離することをいう。
このような疎水性を得るためには、後述する製造方法の欄で詳述するように、表面OH基をシリル化剤などの疎水性有機基によりキャッピングすることで容易に達成できる。こうしたシリル化剤としては、一般式(I)
SiX4−n
(但し、Rは炭化水素基であり、Xはアルコキシ基またはハロゲンであり、nは1〜3の整数である)
で示される構造、または一般式(II)
SiNHSiR
(但し、Rは上記と同じである)
で示される構造の処理剤が使用される。
本発明において、「エアロゲル」とは高い空隙率を有し分散媒体として気体を伴う固体材料を意味し、特に空隙率60%以上の固体材料を意味する。なお、空隙率とは、見掛けの体積中に含まれている気体の量を体積百分率で表した値である。
本発明におけるエアロゲルの粒度分布に関しては、エアロゲル試料0.005gをアルコール(例えばソルミックスA−7)50gに加えたものを入れた容器を、超音波洗浄機中にいれ、90Wで3分間分散したものをコールターカウンター法により測定した値を示す。なお、上記分散時間3分間は、分散時間を1、3、5分間と変化させて、それぞれのD50の値が0.1μm以上、D10/D90の値が0.01以上変化しないことを確認した結果もとめたものである。換言すれば、超音波洗浄機(分散機として使用している)でエアロゲルを分散させた際に±2分間で測定されるD50の変化が0.1μm未満である分散状態での粒子径である。
本発明において、「D10」はコールターカウンター法により測定された粒度分布において、粒径の小さい方から数えて体積基準の累積粒度分布曲線の10%値の粒径を表し、「D90」は同90%値の粒径を表し、「D50」は同50%値で、いわゆる、メジアン径である。
D10/D90が大きくなるほど、該エアロゲルはシャープな粒度分布を有することを意味する。本発明のエアロゲルはD10/D90が0.3以上である。その為、艶消しに寄与しない小さな粒や塗面の均一性を阻害する大きな粒の混入を防ぎ、無駄のない効率的な艶消し効果を得ることができる。D10/D90の上限は、入手の容易さ等の点から、0.5以下である。
また、D50を好ましくは2〜5μm、より好ましくは2〜4μmと微細にすることで塗膜表面の平滑性を高めつつ、艶が消えている状態(つまり、なめらかなマット感)を効果的に付与することができる。
一般的に粒径を大きくすれば、塗膜表面の凹凸が大きくなり、艶消し効果は向上するが、同時に塗膜表面の平滑性は悪化する。一方、粒径を可視光の波長よりも小さくしてしまうと、平滑性は向上するが、塗膜表面で入射光が乱反射されず艶消し性能が悪化する。
つまり、塗膜表面の平滑性を表す表面粗さと艶消し効果を表す光沢度の数値データは、艶消し剤の粒径に依存し、一般的な艶消し状態に加えて、塗膜表面になめらかなマット感も求められる場合には、上記粒径が効果的である。
本発明におけるエアロゲルのBET法による比表面積は、400m/g以上であり、好ましくは500m/g以上である。また、BET法による比表面積は1000m/g以下であり、好ましくは800m/g以下である。比表面積が大きいほど、エアロゲルを構成する一次粒子径が小さいことを示し、より少ない量でエアロゲルの骨格構造を形成することが可能であるため、艶消し性能を向上させる上で好ましい。
本発明におけるエアロゲルのBJH法による細孔容積は、3〜8mL/g、好ましくは4〜8mL/g、更に好ましくは5〜8mL/gである。また、細孔容積が小さい場合には、単位質量当たりの粒子数が少なくなるため、細孔容積は大きい方が望ましい。
本発明におけるエアロゲルの細孔半径のピークは、10〜40nm、より好ましくは20〜30nmの範囲にある。効率的な艶消し効果を得るには、エアロゲルのかさ密度を小さくし、塗膜中の単位質量あたりの粒子数を多くすることが望ましい為、細孔半径は大きい方が好ましい。また、良好な透明性を得られやすい点で、細孔半径は小さい方が好ましい。
なお本発明において、「BET法による比表面積」とは、測定対象のサンプルを1kPa以下の真空下において150℃の温度で2時間以上乾燥させ、その後、液体窒素温度における窒素の吸着側のみの吸着等温線を測定し、該吸着等温線をBET法により解析して求めた値を意味する。その際の解析に用いる圧力範囲は、相対圧0.1〜0.25の範囲である。
「BJH法による細孔容積」とは、上記と同様に取得した吸着側の吸着等温線をBJH法(Barrett,E.P.;Joyner,L.G.;Halenda,P.P.,J.Am.Chem.Soc.73,373(1951))により解析して得られる細孔半径1nm以上100nm以下の細孔に由来する細孔容積を意味する。
「BJH法による細孔半径のピーク」とは、上記と同様に取得した吸着側の吸着等温線をBJH法によって解析して得られる、細孔半径の対数による累積細孔容積の微分を縦軸にとり細孔半径を横軸にとってプロットした細孔分布曲線(体積分布曲線)が最大のピークをとる細孔半径の値を意味する。
上述の物性を有する本発明の疎水性エアロゲルの製法は、特に限定されないが、本発明者等の検討によれば、以下の方法により製造できる。
すなわち、本発明の艶消し剤としてのエアロゲルは、金属酸化物ゾルの作製、該ゾルをゲル化、熟成、洗浄、溶媒置換、疎水化処理、乾燥という工程を順番に行う常圧乾燥法により製造することができる。
以下では、金属酸化物がシリカ(SiO)である場合を例に挙げて、より詳しく説明する。
上記各工程のうち、シリカ(金属酸化物)ゾルの作製工程は、公知の方法を適宜選択して実施すればよい。該シリカゾル作製の原料としては、金属アルコキシド、ケイ酸アルカリ金属塩等を使用することができる。本発明の艶消し剤に使用するエアロゲルの原料として使用可能な金属アルコキシドを具体的に例示すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。また、ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げられ、化学式は、以下の式1で示される。
m(MO)・n(SiO) (式1)
(式中のm、nは正の整数を表し、Mはアルカリ金属原子を示す。)
上記のシリカゾル作製の原料のなかでも、安価な点でケイ酸アルカリ金属塩を好適に用いることができ、更には入手が容易であるケイ酸ナトリウムが好適である。
本発明の艶消し剤に使用するエアロゲルのシリカゾル作製原料として、ケイ酸アルカリ金属塩を用いる場合には、塩酸、硫酸等の鉱酸により中和する方法か、あるいは対イオンがHとされている陽イオン交換樹脂(以下、「酸型陽イオン交換樹脂」)を用いる方法により、シリカゾルを作製することができる。
前述の酸により中和することによりシリカゾルを作製する方法としては、酸の溶液に対して、撹拌しながらケイ酸アルカリ金属塩の溶液を添加する方法や、配管内で衝突混合させる方法が挙げられる。用いる酸の量は、ケイ酸アルカリ金属塩のアルカリ分に対するモル比としては、1.05〜1.2とすることが好ましい。酸の量をこの範囲にした場合には、作製したシリカゾルのpHは、1〜3程度になる。
また、上記の酸型陽イオン交換樹脂を用いてシリカゾルを作製する方法は、公知の方法により行うことができ、酸型陽イオン交換樹脂を充填した充填層に適切な濃度のケイ酸アルカリ金属塩の溶液を通過させるか、あるいは、ケイ酸アルカリ金属塩の溶液に、酸型陽イオン交換樹脂を添加、混合し、アルカリ金属を除去した後に濾別するなどして酸型陽イオン交換樹脂を分離することにより行うことができる。その際に、用いる酸型陽イオン交換樹脂の量は、溶液に含まれるアルカリ金属を交換可能な量以上を用いる必要がある。
上記の酸型陽イオン交換樹脂としては、市販のものを使用することができる。例えば、スチレン系、アクリル系、メタクリル系等で、イオン交換性基としてはスルフォン酸基やカルボニル基が置換されたものを用いることができる。このうち、スルフォン酸基を有する、いわゆる強酸型の陽イオン交換樹脂を好適に用いることができる。
なお上記の酸型陽イオン交換樹脂は、アルカリ金属の交換に使用した後に、硫酸や塩酸を通過させることで、再生処理を行うことができる。再生に用いる酸の量は、通常は、イオン交換樹脂の交換容量に対して2〜10倍の量が用いられる。
上記の方法により作製したシリカゾルの濃度としては、シリカ分の濃度として、50〜150g/L程度とすることが好ましい。50g/L以上とすることによりゲル化の時間を適度に短くして効率的に製造できると共に、シリカゾル中のシリカ分が多いために、エアロゲルの骨格構造の形成が十分となり易く、乾燥時に収縮を起こし難いため細孔容積が大きくなる傾向にある。更に、密閉容器等に充填した際や、撹拌・混合した際の外圧によって、細孔が潰れてしまう可能性が低く、強固な凝集構造が得られ、艶消し剤の性能が有効に発揮できる。
また150g/L以下とすることにより、エアロゲルの密度が小さくなり、単位質量当たりに含まれるシリカ粒子数が増大するため、良好な艶消し効果が得られる傾向にある。
本発明のエアロゲルを製造するには、上記のゾルの作製に引き続き、シリカゾルに対してアンモニア水(例えば5%程度)、苛性ソーダ、アルカリ金属塩等を加え、pHを3〜6に調整しゾルをゲル化させる。ゲルが適切な粒度(例えば150μm〜4mm程度)となるようにゲルをつぶしながら適切な目開きの篩を通して、粉砕し適切な粒度の水系ゲルスラリーとする。pHが3より低いとゲル化するのに時間を要し効率が悪く、またpHが6を超える場合、直ちにゲル化し、均一なゲルが形成しにくくなる。さらには、一次粒子の合一もしくは成長し一次粒子径が大きくなり、比表面積が小さくなる傾向があり微細な凝集構造が形成しにくく、細孔容積が低くなり目的のエアロゲルが出来ない傾向がある。
上記のゲル化にかかる時間は、温度やシリカゾルの濃度にもよるが、pH5.0、50℃、シリカゾル中のシリカ濃度が80g/Lの場合には、数分後にゲル化が起こる。
本発明のエアロゲルを製造するに際しては、上記のゲル化に引き続き、シリカ濃度50〜80g/Lと低い場合又はゲル化のpHが3〜4と低い場合には、ゲル化体のシリカ骨格構造強度を強固にするため、熟成を行うことが好ましい。この熟成時のpH、温度、時間によりエアロゲルの比表面積が変化する。pHが高いほど、温度が高いほど、時間が長いほど、比表面積は低下するが、エアロゲルの骨格構造が強くなるため、乾燥収縮を抑制し、細孔容積を高める効果がある、さらには艶消し剤として使用する際には細孔がつぶれないまま保持できるため、物性バランスを調整し条件を決めることが好ましい。
上記の熟成温度の範囲としては、好ましくは30〜80℃である。熟成温度がこの範囲を外れて高い場合には、温度を上昇させるために必要な熱量が多大となり、熟成温度がこの範囲を外れて低い場合には、熟成の効果を得るのに必要な時間が長くなる。また、上記の熟成時間の範囲としては、ゲル化させるpHが3〜4の場合、5〜24時間程度が好ましい。また、ゲル化させるpHが4〜6に場合は、ゲル化直後0〜24時間程度が好ましい。この熟成時間が24時間を超えると、熟成中にシリカ一次粒子の合一もしくは成長し一次粒子径が大きくなり、比表面積が低下し、微細の凝集構造が形成しにくくなり細孔容積が低くなる傾向がある。
なお洗浄操作は、水系ゲルスラリーを水により洗浄することで、ゲル中に含まれる塩を取り除く操作である。従って、酸型陽イオン交換樹脂を用いてゾルを作製した場合には、この洗浄操作は必要ない。本発明の艶消し剤に使用するエアロゲルを製造するには、この洗浄は、洗浄液の伝導度が100μS/cm以下になるまで行うことが好ましい。当該洗浄操作は、公知の方法により行うことができる。例えば、ゲルに対して一定量の水を加え一定時間おいたのちに洗浄水を抜くことを繰り返す方法や、カラムに入れたゲルに対して水を一定量通過させる方法等が挙げられる。カラムにより洗浄を行う場合には、効率を上げる目的で、0.2〜1.0MPa程度の加圧下で行うことができる。
本発明のエアロゲルを製造するには、溶媒置換が行われる。この溶媒置換は上記方法で得たゲルを乾燥するに際し、乾燥収縮を起こさないよう、ゲルの作製に用いた水を、表面張力の小さな溶媒に置き換えるものである。直接水を表面張力の小さな溶媒に置き換えることは困難なため、通常はこの溶媒置換は、2段階で行われる。1段目に用いる溶媒の選定基準としては、水、及び2段目の溶媒置換に用いられる溶媒に対して混和性が良いことが挙げられる。
1段目の溶媒置換には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の水と任意の割合で混合可能な、所謂、親水性有機溶媒を用いることができ、好適には、メタノール又はエタノールを用いることができる。また、2段目に用いる溶媒の選定基準としては、引き続き行われる疎水化処理に用いられる処理剤と反応しないこと、乾燥収縮を起こさないために表面張力が小さいことが挙げられる。2段目に用いる溶媒としては、ヘキサン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、ヘプタン等を用いることができ、好適にはヘキサンを用いることができる。むろん必要に応じて、上記1段目の溶媒置換と2段目の溶媒置換との間に、さらなる溶媒置換を行っても構わない。
上記の1段目の溶媒置換は、公知の方法により行うことができる。例えば、ゲルに対して一定量溶媒を加え一定時間置いた後に溶媒を抜くことを繰り返す方法や、カラムに入れたゲルに対して溶媒を一定量通過させる方法等が挙げられる。置換に用いる溶媒を節約する上では、カラムを用いた方法が好ましい。また、カラムにより置換を行う場合には、効率を上げる目的で、0.2〜1MPa程度の加圧下で行うことができる。
上記の溶媒置換に用いられる溶媒の量としては、ゲル中の水分を十分に置換できる量とすることが好ましい。置換後のゲル中の含水率としては、シリカ分に対して10%以下とすることが好ましい。上記のカラムにより方法を採用する場合には、ゲルの容量に対して5〜10倍の量の溶媒を用いることができる。
上記2段目の溶媒置換についても、1段目の溶媒置換と同様の方法で行うことができ、1段目に用いた溶媒を十分置換できる量で行うことができる。カラムによる方法を採用する場合には、ゲルの容量に対して5〜10倍量の溶媒を用いることができる。
なお、上記の置換のために用いた溶媒は、回収し、蒸留塔の精製を行った後に、繰り返し使用することが、溶媒にかかる費用を節約する上で好ましい。
本発明の艶消し剤に使用するエアロゲルは、上記の溶媒置換の後に、疎水化処理を行う。疎水化処理に用いる処理剤としては、一般式(I)
SiX4−n
(但し、Rは炭化水素基であり、Xはアルコキシ基またはハロゲンであり、nは1〜3の整数である)
で示される構造、または一般式(II)
SiNHSiR
(但し、Rは上記と同じである)
で示される構造のものが好適に用いられる。好ましくは、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン(以下、DMDCS)、モノメチルトリクロロシラン(以下、MTS)、ヘキサメチルジシラザンである。
上記の疎水化処理の際に使用する処理剤の量としては、処理剤の種類にもよるが、例えばDMDCSを処理剤として用いる場合には、シリカ100質量部に対して50〜150質量部である。DMDCS処理剤の量が50質量部より少ないと、後工程の溶媒乾燥の際に乾燥収縮が起こり、目的の細孔容積が得られなかったり、目的の細孔容積が得られたエアロゲルであっても粒子同士の反撥(スプリングバック効果)が少なくなり、外力が加わった時に細孔の潰れを生じる。より好ましくは80〜130質量部である。
上記の疎水化処理の条件は、前記溶媒置換処理後のゲルを含む液に対して、一定量の溶媒を追加した後に疎水化処理剤を加え、一定時間反応させることにより行うことができる。疎水化処理剤としてDMDCSを用い、処理温度を50℃とした場合には、12時間程度以上保持することで行うことができる。
本発明のエアロゲルを得るためには、上記の疎水化処理の後に、濾別し、未反応の処理剤を溶媒で洗浄した後に、乾燥する。乾燥する際の温度は、溶媒の沸点以上で、表面処理剤の分解温度以下であることが好ましく、圧力は常圧、あるいは減圧下で行うことが好ましい。
本発明におけるエアロゲルは、上記のようにして得た塊粒状の乾燥エアロゲルを公知の方法で粉砕することにより得ることができる。
ただし、粒度分布がシャープなエアロゲルは、湿式粉砕では得られにくい為、乾式粉砕を行うことが好ましい。これらの原因機構は明らかでないが、湿式粉砕では粒子ひとつひとつに加わる粉砕エネルギーが大きすぎたり、粒子に均一にエネルギーが掛けづらい為、平均粒径を大幅に下回る小さな粒子の割合が増えたり、逆に、粉砕されずに残った粒径の大きな粗粒の割合が増えたり、または、その両方の現象が起こったりして、粒度分布のシャープなエアロゲルは得られにくいと考えられる。その為、本発明のエアロゲルを得るためには、乾式粉砕を行うことが好ましい。
そして、望ましくは乾式粉砕でも、ボールミルなど比較的長時間強い力を加え続ける方法よりもジェットミルなどの比較的短時間強い力を加える方法の方が、シャープな粒度分布を得るという点、エアロゲルの微細構造を破壊し難く、よって比表面積や細孔容積を減少させにくいという点、艶消しに寄与しない小さな粒子の発生を防止するという点等で好ましい。
更には、本発明で規定する範囲の粒度分布を有するエアロゲルを得るためにジェットミルを用いて粉砕する際は、該ジェットミルでの粉砕条件として、圧縮空気またはNなどの不活性ガスにおける粉体濃度を10g/m以上220g/m以下、好ましくは15g/m以上190g/m以下、より好ましくは15g/m以上30g/m以下にすることが好ましい。該粉体濃度にすることによって、ジェットミルの粉砕室内における粉体濃度が高まり、粉砕能力が向上するが、粉体濃度を上げ過ぎても個々の粒子に加わる粉砕力が分散するため、該粉体濃度が好ましい。
更には、該供給量が得られにくい場合は一度粉砕したものを再度数回粉砕することによって、本発明で規定する範囲の粒度分布を有するエアロゲルを得られる。
本発明のエアロゲルは緻密なネットワークを持った構造をしている為、一般的に塗料添加用に用いられている親水性湿式シリカと比べて、粉砕時に粉砕エネルギーが掛かりにくく粉砕されにくいと推測される。
なお前述のとおり、エアロゲルのネットワーク構造の強さは、ゲル熟成時のpHが高いほど、熟成時間が長いほど、熟成温度が高いほど強くなるため、粉砕され難くなる傾向にある。よって本発明のエアロゲルを得るためには、粉砕圧/風量を高くしたり、複数回の粉砕に供したりする必要性が高い傾向がある。
換言すれば、本発明のエアロゲルはこの比較的短時間強い力を加える方法によれば粉砕されにくいという特性により、艶消しに寄与しない無駄な粒子を粉砕工程により発生しにくく、同時に、塗膜表面の平滑性を悪化させる粗粉は優先的に破砕されるという2点で良好な特性をもつ。
このような粉砕により、好ましくはD50が2〜5μmとなるまで粉砕を行えばよい。
なお無論、上述した製法は一例であり、本発明のエアロゲルが上記製造方法により得られたものに限定されるものではなく、他の公知の粉砕、解砕、分級等を適宜選択して実施し製造してもよい。
本発明のエアロゲルは、そのシャープな粒度分布ゆえ、前述したように艶消し剤として使用することにより良好な艶消し性と表面平滑性を得ることができる。
艶消し剤として使用する場合には、通常、本発明のエアロゲルを有機樹脂に分散させて使用する。
本発明における艶消し剤と有機樹脂とを含む艶消し塗料において、有機樹脂は任意のものを使用できる。例えば、樹脂の種類からいって、油性塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の慣用のそれ自体公知の塗料の他に、ロジン、エステルガム、ペンタレジン、クマロン・インデンレジン、フェノール系レジン、変性フェノール系レジン、マレイン系レジン、アルキド系レジン、アミノ系レジン、ビニル系レジン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系レジン、スチレン系レジン、アクリル系レジン、シリコーン系レジン、ゴムベース系レジン、塩素化物系レジン、ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系レジン、フッ素系レジン、天然或いは合成の漆等の1種或いは2種以上を含有する塗料が挙げられる。また、用いる塗料は、その用い方によって、溶剤型塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等の任意のものであってよい。
この溶剤型塗料の有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘプタン、n−ヘキサン、アイソパー等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等の1種または2種以上を用いることができる。
紫外線(UV)硬化型塗料としては、ハイソリッドレジン、例えばUV硬化型のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が単独或いは2種以上の組み合わせで使用される。
粉体塗料としてはポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、セルロース誘導体、ポリエーテル、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂の他、エポキシ樹脂、エポキシ/ノボラック樹脂、イソシアネート或いはエポキシ硬化型ポリエステル樹脂等が挙げられる。
本発明における艶消し剤の樹脂における添加量は、任意の割合で添加できるが有機樹脂100質量部に対して、1〜90質量部、好ましくは、3〜80質量部が適当である。これにより、少量の配合で塗膜表面に高度の艶消し効果を付与することができる。また同時に、塗膜面の耐引っ掻き性も向上することが推測される。
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。また、以下において、BET比表面積、BJH法による細孔容積、BJH法による細孔分布の測定は、日本ベル株式会社製BELSORP−maxにより行った。
また、粒度分布に関しては、日本アルコール販売株式会社製のソルミックスA−7(標準組成:エタノール85.5%、プロピルアルコール9.6%、メタノール4.9%、水0.2%)に試料を添加し、日本エマソン株式会社製の超音波洗浄機B1510J‐MTで3分間分散したものを、ベックマン・コールター株式会社製、マルチサイザーIIIを用い、アパーチャーチューブ50μmにより行った。なお、上記分散時間に関して、分散時間が1、3、5分でそれぞれのD50の値が0.1μm以上変化しないことを確認した。
また、塗膜の艶消し効果を確認するために、JIS Z 8741に準ずる方法で確認した。具体的には、屈折率1.567のガラス板上に上島製作所製、ドクターブレード(塗布厚3MIL、上島製作所株式会社製))を用いて塗布した後、光沢度計(NIPPON DENSHOKU製、Gloss Meter UG2000)を用い、入射角60度のときの光沢度(グロス値)を評価した。また、平滑性に関してはJIS B0601で定義されている算術平均表面粗さ(以下、Raと記載)を用いて、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、LEXT OLS4000)で評価した。
実施例1
3号ケイ酸ソーダ(JIS K1408)をSiO濃度が16.5g/100mLになるまで希釈し、このケイ酸ソーダと硫酸(9.5g/100mL)を室温で混合反応させ、シリカゾル(SiO濃度が8%、pH2)1000mlを製造した。前記シリカゾルに、3号ケイ酸ソーダをSiO濃度が8%に希釈したものを添加してpH5.8として、ゲル化させ、40℃のウォータバスにて90分熟成した。その後、2mmの網を通して粉砕したゲルを通液カラムに入れ、導電率100μS以下まで通水し、ゲルの洗浄を行った。その後、通液カラムにて、水分濃度0.2wt%以下までエタノールで置換し、更にエタノール濃度0.1wt%以下までトルエンで置換した。
得られたトルエンを分散媒としたゲルを2000mlのガラス容器に入れ、DMDCSを60g加え、60℃で6時間撹拌反応させた。反応後、ゲルを吸引濾過により濾別し、常圧、窒素雰囲気下、120℃で12時間乾燥させて粗エアロゲルを得た。
こうして得られた粗エアロゲルの疎水性は、該エアロゲル1gを水100mLのビーカーに入れ、数十秒間撹拌した後、静置し、エアロゲル相と水相とに完全に分離することで確認した。
上記粗エアロゲルをジェットミル(セイシン企業株式会社製、STJ−100)で粉砕した。このときのフィード圧とミル圧は共に0.1MPa、0.2m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は35g/min、単位風量当たり187g/mで行った結果、D50が12.6μm、D10/D90が0.21のエアロゲル(以下、エアロゲル1−A)を得た。
エアロゲル1−Aをジェットミルで再度粉砕した。このときのフィード圧とミル圧は共に0.5MPa、0.9m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は24g/min、単位風量当たり26g/mで行った結果、D50が2.8μm、D10/D90が0.33、比表面積687m/g、細孔容積5.29mL/g、細孔半径のピークは29.5nmのエアロゲル(以下、エアロゲル1−B)を得た。
エアロゲル1−Bを艶消し剤として、ウレタン塗料(RETAN PG80III、388―026、関西ペイント株式会社製)100質量部に対して艶消し剤3質量部の割合で添加した。
その後、撹拌機で1000rpm5分間撹拌後、脱泡器(IWAKI KM Shaker、イワキ産業製、V−SX、150SPM)で2時間脱泡させ、艶消し塗料を得た。
その後、塗布器(PI−1210 FILM COATER、テスター産業株式会社製)とドクターブレードでガラス板上に艶消し塗料を塗布し、20分間20℃で乾燥させた後、20分間60℃で乾燥させた。
こうして得られた塗膜を評価したところ、グロス値14、Ra0.40μmであった。
実施例2
シリカゲル熟成時の熟成温度を60℃に変更し、その他は実施例1と同様の手順で粗エアロゲルを作製したところ、比表面積が507m/g、細孔容積が5.14mL/g、細孔半径のピークは25.5nmの粗エアロゲルを得た。
上記粗エアロゲルを実施例1における1−Aの粉砕と同様の方法で粉砕した結果、D50が12.6μm、D10/D90が0.21のエアロゲル(以下、エアロゲル2−A)を得た。
エアロゲル2−Aを実施例1と同様のジェットミルで、フィード圧とミル圧は共に0.64MPa、1.2m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は24g/min、単位風量当たり20g/mで行った結果、D50が2.2μm、D10/D90が0.35のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値16、Ra0.30μmであった。
実施例3
実施例1で得たエアロゲル1−Bを更に、フィード圧とミル圧は共に0.5MPa、0.9m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は20g/min、単位風量当たり21g/mで行った結果、D50が2.5μm、D10/D90が0.36のエアロゲルを得た。実施例1と比較してD50が小さく、D10/D90がより大きなエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値15、Ra0.38μmであった。
実施例4
実施例3で得たエアロゲルを更に、フィード圧とミル圧は共に0.5MPa、0.9m3/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は18g/min、単位風量当たり19g/mで行った結果、D50が2.2μm、D10/D90が0.37のエアロゲルを得た。
実施例3と比較してD50が小さく、D10/D90がより大きなエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値17、Ra0.31μmであった。
実施例5
表面処理剤をDMDCSの代わりにモノメチルトリクロロシラン(以下、MTS)を用いて、添加量はゲル100mLに対して7g加え、その他は実施例1と同様の手順で粗エアロゲルを作製した。
こうして得られたエアロゲルの比表面積は737m/g、細孔容積は4.09mL/g、細孔半径のピークは25.5nmであった。
このエアロゲルを実施例4と同様の方法で粉砕し、D50が2.3μm、D10/D90が0.39のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値22、Ra0.24μmであった。
実施例6
シリカゲル熟成時の熟成時間を120分に延長し、その他の条件は実施例1と同様の手順で粗エアロゲルを作製したところ、比表面積は667m/g、細孔容積は4.38mL/g、細孔半径のピークは27.4nmのエアロゲルを得た。
こうして得られたエアロゲルを実施例1と同様のジェットミルで、フィード圧とミル圧は共に0.6MPa、1.1m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は17g/min、単位風量当たり15g/mで2回粉砕した結果、D50が2.8μm、D10/D90が0.33のエアロゲルを得た。
上記エアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値16で、Ra0.41μmであった。
実施例7
シリカゲル熟成時の熟成時間を30分に短縮し、その他の条件は実施例1と同様の手順で粗エアロゲルを作製したところ、比表面積は790m/g、細孔容積は5.81mL/g、細孔半径のピークは22.1nmのエアロゲルを得た。
こうして得られたエアロゲルを実施例6と同様の手順で粉砕した結果、D50が2.9μm、D10/D90が0.33のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値12、Ra0.48μmであった。
実施例8
シリカゲル熟成時の熟成時間を60分に短縮し、その他の条件は実施例1と同様の手順で粗エアロゲルを作製したところ、比表面積は815m/g、細孔容積は5.19mL/g、細孔半径のピークは29.5nmのエアロゲル(以下、エアロゲル8―A)を得た。
こうして得られたエアロゲルを、原体の供給量を18g/min、単位風量当たり16g/mに変更した以外は、実施例6と同様の手順で粉砕した結果、D50が2.6μm、D10/D90が0.37のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値13、Ra0.40μmであった。
実施例9
エアロゲル8−Aを実施例1と同様のジェットミルでフィード圧とミル圧は共に0.35MPa、0.7m/gの圧縮空気を用い、原体の供給量は18g/min単位風量当たり27g/mで1回粉砕した結果、D50が3.9μm、D10/D90が0.30のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値12、Ra0.65μmであった。
比較例1
実施例2で作製したエアロゲル2−Aを再度ジェットミルで粉砕する代わりに、分級器(ユーラステクノ株式会社製、マイクロカット400H形)を用いて分級したところ、D50が2.7μm、D10/D90が0.23のエアロゲルを得た。上記手順により、実施例1と比較してD50は同等であるが、D10/D90が小さいエアロゲルが得られた。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値22、Ra0.54μmであった。
比較例2
株式会社トクヤマ製のファインシールE−50の表面をシリコーンオイルで処理し、疎水性シリカを作製した。こうして得られたシリカの比表面積は160m/g、細孔容積は1.30mL/g、細孔半径のピークは見られなかった。この疎水性シリカをフィード圧、ミル圧は共に0.4MPa、0.8m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は24g/min、単位風量当たり32g/m3で1回粉砕した結果、D50が2.3μm、D10/D90が0.34の疎水性シリカを得た。
この疎水性シリカに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値58、Ra0.19μmであった。
比較例3
実施例1のエアロゲル1−Aを実施例1と同様のジェットミルで、フィード圧とミル圧は共に0.4MPa、0.8m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は26g/min、単位風量当たり35g/mで1回粉砕した結果、D50が3.2μm、D10/D90が0.28のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値12、Ra0.70μmであった。
比較例4
実施例8のエアロゲル8−Aを実施例1で用いたジェットミルで、フィード圧とミル圧は共に0.3MPa、0.6m/gの圧縮空気を用い、原体の供給量は18g/min、単位風量当たり32g/mで粉砕した結果、D50が5.5μm、D10/D90が0.24のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値12、Ra1.33μmであった。
比較例5
ゲル化時のpHを5.5に変更し、その他の条件は実施例1と同様の工程を得て粗エアロゲルを作製したところ、比表面積は783m/g、細孔容積は5.76mL/g、細孔半径のピークは22.1nmのエアロゲルを得た。
こうして得たエアロゲルを実施例1と異なるジェットミル(セイシン企業株式会社製、CO−JetSYSTEMα‐mkIII)で、フィード圧とミル圧は共に0.6MPa、0.3m/minの圧縮空気を用い、原体の供給量は1g/min、単位風量当たり3g/mで粉砕した結果、D50が8.1μm、D10/D90が0.15のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施1と同様の評価を行ったところ、グロス値16、Ra4.37μmであった。
比較例6
実施例1で作製したエアロゲル1−Aの50gをトルエン5000mLに分散混合させてスラリーを作製した。上記スラリーを湿式微粒化装置(Ultimaizer System、株式会社スギノマシン製)を用いて140MPaで粉砕し、120℃で12時間乾燥させた結果、D50が2.5μm、D10/D90が0.25のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値16、Ra1.53μmであった。
比較例7
粉砕圧を100MPaに変更し、それ以外の条件は比較例6と同様の手順でエアロゲルを作製した結果、D50が2.9μm、D10/D90が0.25のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値26、Ra1.61μmであった。
比較例8
実施例8のエアロゲル8−A 5gをボールミル(ZR−Pポットミル Type:A−5、日本化学陶業株式会社製)に投入し、更に、直径15mmのアルミナ球を、ミル容器の17%程度になるまで投入した。
その後、ボールミルの回転数を85rpmで1時間粉砕した結果、比表面積と細孔容積が減少し、比表面積が670m/g、細孔容積が1.08mL/g、かつ、細孔半径のピークは見られなくなり、D50が5.6μm、D10/D90が0.12のエアロゲルを得た。
このエアロゲルに対して実施例1と同様の評価を行ったところ、グロス値85であった。
以下の表1にエアロゲルの製造条件を、表2に得られた結果を纏めて記す。
Figure 2017020041
Figure 2017020041

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    SiX4−n
    (但し、Rは炭化水素基であり、Xはアルコキシ基またはハロゲンであり、nは1〜3の整数である)
    で示される構造、または一般式(II)
    SiNHSiR
    (但し、Rは上記と同じである)
    で示される構造の処理剤により疎水化されたエアロゲルであって、
    BET法による比表面積が400〜1000m/g、BJH法による細孔容積および細孔半径のピークが各々3〜8mL/g、10〜40nmであり、且つ
    コールターカウンター法により測定されたD10とD90の比(D10/D90)が0.3〜0.5(ただし、D10は体積基準の累積粒度分布曲線の粒径の小さい方から10%頻度の値の粒径を表し、D90は同90%頻度の値の粒径を表す)
    であることを特徴とするエアロゲル。
  2. 表面処理剤が、一般式(I)で示される構造のものである請求項1のエアロゲル。
  3. 一般式(I)で示される構造の表面処理剤が、ジメチルジクロロシランである請求項2のエアロゲル。
  4. D50が2〜5μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゲル。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアロゲルからなる艶消し剤。
  6. 請求項5の艶消し剤と有機樹脂とを含む艶消し塗料。
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