JP7160106B2 - エアロゲル粒子、分散体及び塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゲル粒子、並びに、それを含む分散体及び塗膜に関する。
断熱性、透明性等に優れる材料としてエアロゲルが知られている。このような特性を有するエアロゲルを粒子状に加工し、様々な用途に応用することが検討されている。例えば、粒子状のエアロゲルを、断熱窓を構成する樹脂板等の間の充填剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2012-91943号公報
ところで、粒子状のエアロゲルを分散媒中に分散させることができれば、粒子そのものを扱う場合とはまた異なる分散体としての使用態様が期待される。しかしながら、特許文献1に記載される粒子状のエアロゲルを用いると、分散媒中で凝集が生じ、そもそも分散体を調製することができない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、分散媒中への良好な分散性を有するエアロゲル粒子を提供することを目的とする。本発明はまた、当該エアロゲル粒子が分散した分散体、及び、当該エアロゲル粒子を含む塗膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔分布を有するエアロゲル粒子であれば、分散媒中において優れた分散性を発現できることを見出した。
本開示は、細孔径が2~200nmの細孔を複数有するエアロゲルから構成されるエアロゲル粒子を提供する。ここで、上記細孔の合計細孔容積に占める、20~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積の割合は、50%以上である。このようなエアロゲル粒子は、分散性に優れる。
本開示において、上記細孔の合計細孔容積に占める、30~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積の割合は、40%以上であってよい。
本開示において、上記細孔の細孔分布曲線におけるピークトップは、20~200nmの範囲にあってよい。
本開示において、上記エアロゲルは、シランオリゴマーの加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってよく、上記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子の割合は、50%以上であってよい。
本開示はまた、上記エアロゲル粒子と液状媒体とを含む、分散体を提供する。
本開示の分散体は、バインダ樹脂を更に含んでいてよい。
本開示は更に、上記エアロゲル粒子と、バインダ樹脂又はその硬化体と、を含む、塗膜を提供する。
本発明は、分散媒中への良好な分散性を有するエアロゲル粒子を提供することができる。本発明はまた、当該エアロゲル粒子が分散した分散体、及び、当該エアロゲル粒子を含む塗膜を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのいずれか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。本実施形態で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るエアロゲル粒子は、細孔径が2~200nmの細孔を複数有するエアロゲルから構成される。細孔径が2~200nmの細孔の合計細孔容積に占める、20~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積の割合は、50%以上である。このようなエアロゲル粒子は、分散性に優れる。
ここで、エアロゲルの細孔径及び細孔容積は、ガス吸着法により測定することが出来る。測定装置としては、ガス吸着量測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製、Autosorb-iQ(Autosorbは登録商標))を用いることができる。
<エアロゲル>
狭義には、湿潤ゲルに対して超臨界乾燥法を用いて得られた乾燥ゲルをエアロゲル、大気圧下での乾燥により得られた乾燥ゲルをキセロゲル、凍結乾燥により得られた乾燥ゲルをクライオゲルと称するが、本実施形態においては、湿潤ゲルのこれらの乾燥手法によらず、得られた低密度の乾燥ゲルを「エアロゲル」と称する。すなわち、本実施形態において、「エアロゲル」とは、広義のエアロゲルである「Gel comprised of a microporous solid in which the dispersed phase is a gas(分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲル)」を意味する。一般的に、エアロゲルの内部は、網目状の微細構造を有しており、2~20nm程度の粒子状のエアロゲル成分が結合したクラスター構造を有している。このクラスターにより形成される骨格間には、100nmに満たない細孔がある。これにより、エアロゲルは、三次元的に微細な多孔性の構造が形成されている。なお、本実施形態に係るエアロゲルは、例えば、シリカを主成分とするシリカエアロゲルである。シリカエアロゲルとしては、例えば、有機基(メチル基等)又は有機鎖を導入した、いわゆる有機-無機ハイブリッド化されたシリカエアロゲルが挙げられる。
本実施形態に係るエアロゲルとしては、以下の態様が挙げられる。これらの態様を採用することにより、断熱性、難燃性、耐熱性及び柔軟性に優れるエアロゲルを得ることが容易となる。各々の態様を採用することで、各々の態様に応じた断熱性、難燃性、耐熱性及び柔軟性を有するエアロゲルを得ることができる。
(第一の態様)
本実施形態に係るエアロゲルは、下記一般式(1)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲルは、式(1)で表される構造を含む構造として、下記一般式(1a)で表される構造を有することができる。
Figure 0007160106000001
Figure 0007160106000002
式(1)及び式(1a)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。pは1~50の整数を示す。式(1a)中、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。式(1a)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)又は式(1a)で表される構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルとなる。このような観点から、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。式(1a)中、pは2~30とすることができ、5~20であってもよい。
(第二の態様)
本実施形態に係るエアロゲルは、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、かつ橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有することができる。このようなラダー型構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、耐熱性と機械的強度を向上させることができる。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、エアロゲルの骨格がラダー型構造からなっていてもよいが、エアロゲルが部分的にラダー型構造を有していてもよい。
Figure 0007160106000003
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、例えば、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有する(すなわち、下記一般式(X)で表される構造を有する)エアロゲルよりも優れた柔軟性を有するエアロゲルとなる。シルセスキオキサンは、組成式:(RSiO1.5を有するポリシロキサンであり、カゴ型、ラダー型、ランダム型等の種々の骨格構造を有することができる。なお、下記一般式(X)にて示すように、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有するエアロゲルでは、橋かけ部の構造が-O-であるが、本実施形態に係るエアロゲルでは、橋かけ部の構造が上記一般式(2)で表される構造(ポリシロキサン構造)である。ただし、本態様のエアロゲルは、一般式(2)で表される構造に加え、さらにシルセスキオキサンに由来する構造を有していてもよい。
Figure 0007160106000004
式(X)中、Rはヒドロキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、耐熱性と機械的強度とをより向上させるという観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。
Figure 0007160106000005
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1~3000の整数を示し、bは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、より優れた柔軟性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に6~2000とすることができるが、10~1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、2~30とすることができるが、5~20であってもよい。
(第三の態様)
本実施形態に係るエアロゲルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物(ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥して得られるもの:ゾル由来の湿潤ゲルの乾燥物)であってもよい。なお、これまで述べてきたエアロゲルも、このように、ケイ素化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥することで得られるものであってもよい。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、ポリシロキサン化合物を用いることができる。すなわち、上記ゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(以下、場合により「ポリシロキサン化合物群」という)を含有することができる。
ポリシロキサン化合物における官能基は、特に限定されないが、同じ官能基同士で反応するか、あるいは他の官能基と反応する基とすることができる。加水分解性の官能基としては、アルコキシ基が挙げられる。縮合性の官能基としては、水酸基、シラノール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。水酸基は、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基に含まれていてもよい。なお、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)をさらに有していてもよい。反応性基としては、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基等が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。これらの官能基及び反応性基を有するポリシロキサン化合物は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。これらの官能基及び反応性基のうち、例えば、エアロゲルの柔軟性を向上する基としては、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられ、これらのうち、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基は、ゾルの相溶性をより向上することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性の向上とエアロゲルの熱伝導率の低減の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は1~6とすることができるが、エアロゲルの柔軟性をより向上する観点から2~4であってもよい。
分子内にヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(A)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、一般式(1)及び式(1a)で表される構造をエアロゲルの骨格中に導入することができる。
Figure 0007160106000006
式(A)中、R1aはヒドロキシアルキル基を示し、R2aはアルキレン基を示し、R3a及びR4aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(A)中、2個のR1aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR2aは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(A)中、2個以上のR3aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR4aは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物を含有するゾルの縮合物である(ゾルから生成された)湿潤ゲルを用いることにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルをさらに得易くなる。このような観点から、式(A)中、R1aとしては炭素数が1~6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(A)中、R2aとしては炭素数が1~6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(A)中、R3a及びR4aとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(A)中、nは2~30とすることができるが、5~20であってもよい。
上記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X-22-160AS、KF-6001、KF-6002、KF-6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42-B0970、Fluid OFOH 702-4%等の化合物(いずれも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(B)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、一般式(2)又は(3)で表される橋かけ部を有するラダー型構造をエアロゲルの骨格中に導入することができる。
Figure 0007160106000007
式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(B)中、2個のR1bは各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR2bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR3bは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(B)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR4bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR5bも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である(ゾルから生成された)湿潤ゲルを用いることにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルをさらに得易くなる。このような観点から、式(B)中、R1bとしては炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としてはメチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R2b及びR3bとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R4b及びR5bとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(B)中、mは2~30とすることができるが、5~20であってもよい。
上記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、特開2000-26609号公報、特開2012-233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
また、分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(C)で表される構造を有するものも挙げられる。下記一般式(C)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、耐熱性と機械的強度を向上することができる。
Figure 0007160106000008
式(C)中、R1Cはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2C及びR3Cはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、x及びyは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(C)中、R1Cは各々同一であっても異なっていてもよく、R2Cは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にR3Cは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である(ゾルから生成された)湿潤ゲルを用いることにより、低熱伝導率かつ機械強度の高く、柔軟なエアロゲルをさらに得易くなる。このような観点から、式(C)中、R1Cとしては炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としてはメチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(C)中、R2C及びR3Cとしてはそれぞれ独立に炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(C)中、x及びyは2~30とすることができるが、5~20であってもよい。
上記一般式(C)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、KC-89、KR-515、KR-500、X-40-9225(いずれも信越化学工業株式会社製)、SR-2402、AY42-163、US-SG2403(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)、XC96-B0446、XR31-B1410(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、エチルシリケート28、エチルシリケート40、メチルシリケート51、メチルシリケート53A(いずれもコルコート株式会社製)などが用いられる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物はゾル中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物は混在していてもよい。また、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これら、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に係るエアロゲルを作製するにあたり、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、上述のポリシロキサン化合物以外のケイ素化合物を用いることができる。すなわち、上記のケイ素化合物を含有するゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有する当該ケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「ケイ素化合物群」という)を、上述のポリシロキサン化合物群に加えて、あるいは上述のポリシロキサン化合物群に代えて、含有することができる。ケイ素化合物における分子内のケイ素数は1又は2とすることができる。
分子内に加水分解性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、アルキルケイ素アルコキシド等が挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドは、耐水性を向上する観点から、加水分解性の官能基の数を3個以下とすることができる。このようなアルキルケイ素アルコキシドとしては、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン等が挙げられ、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。ここで、加水分解性の官能基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n-プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール、トリフルオロプロピルシラントリオール等が挙げられる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる上述の反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)をさらに有していてもよい。
加水分解性の官能基の数が3個以下であり、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
また、縮合性の官能基を有し、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3-メタクリロキシプロピルシラントリオール、3-メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3-アクリロキシプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルメチルシランジオール、N-フェニル-3-アミノプロピルシラントリオール、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルシランジオール等も用いることができる。
さらに、分子末端の加水分解性の官能基が3個以下のケイ素化合物であるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等も用いることができる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有する当該ケイ素化合物の加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記のケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)を使用することにより、下記一般式(4)~(6)で表される構造をエアロゲルの骨格中に導入することができる。本実施形態に係るエアロゲルは、これらの構造をのうちいずれかを単独で、又は2種以上有することができる。
Figure 0007160106000009
式(4)中、Rはアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1~6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
Figure 0007160106000010
式(5)中、R10及びR11はそれぞれ独立にアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1~6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
Figure 0007160106000011
式(6)中、R12はアルキレン基を示す。ここで、アルキレン基としては炭素数が1~10のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
(第四の態様)
本実施形態に係るエアロゲルは、シランオリゴマーの加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってよい。また、このとき、シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子の割合は、50%以上であってよい。
なお、ゾルとは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本態様においては、シランオリゴマーの加水分解生成物を含むケイ素化合物が液体媒体中に溶解又は分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
シランオリゴマーはシランモノマーの重合体であり、複数のケイ素原子が酸素原子を介して連結された構造を有する。本明細書中、シランオリゴマーは、1分子中のケイ素原子の数が2~100個の重合体を示す。シランオリゴマーは、例えば、後述するシランモノマーの一種又は二種以上の重合体であってよく、アルキルトリアルコキシシランを含むシランモノマーの重合体であることが好ましい。
シランオリゴマーに含まれるケイ素原子は、1個の酸素原子と結合したケイ素原子(M単位)、2個の酸素原子と結合したケイ素原子(D単位)、3個の酸素原子と結合したケイ素原子(T単位)及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子(Q単位)に区別することができる。M単位、D単位、T単位及びQ単位としては、それぞれ以下の式(M)、(D)、(T)及び(Q)が例示できる。
Figure 0007160106000012
上記式中、Rはケイ素に結合する酸素原子以外の原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。これらの単位の含有量に関する情報は、Si-NMRにより得ることができる。
シランオリゴマーにおいて、ケイ素原子の総数に対するT単位の割合は、50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、100%であってもよい。
シランオリゴマーは、上述の式(M)、(D)、(T)及び(Q)中のRとして、アルキル基又はアリール基を有していることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
シランオリゴマーは加水分解性の官能基を有しており、ゾル生成工程では、この加水分解性の官能基が加水分解されて、シラノール基が生じると考えられる。加水分解性の官能基としては、アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、加水分解反応の反応速度の観点から、メチル基、エトキシ基が好ましい。
加水分解性の官能基の含有量は、シランオリゴマーの全量基準で、例えば2質量%以上であってよく、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、加水分解性の官能基の含有量は、シランオリゴマーの全量基準で、例えば60質量%以下であってよく、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。このようなシランオリゴマーによれば、乾燥工程における体積収縮を一層抑制でき、成形性に一層優れるエアロゲルが得られる。
シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば200以上であってよく、好ましくは400以上、より好ましくは600以上である。また、シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば10000以下であってよく、好ましくは7000以下、より好ましくは5000以下である。このようなシランオリゴマーによれば、乾燥工程における体積収縮を一層抑制でき、成形性に一層優れるエアロゲルが得られる。なお、本明細書中、シランオリゴマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
シランオリゴマーとしては市販品を用いてもよく、例えば、XR31-B1410、XC96-B0446(いずれも、モメンティブ社製)、KR-500、KR-515、X-40-9225、KC-89S(いずれも、信越化学工業株式会社製)、SR-2402、AY42-163(いずれも、東レ・ダウコーティング株式会社製)等が挙げられる。
シランオリゴマーは、他のケイ素化合物(例えば、第三の態様に記載したケイ素化合物)と組み合わせて用いることもできる。
例えば、上記ゾルは、シランオリゴマーの加水分解生成物と、加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物及び/又は縮合性の官能基を有するシランモノマーと、を含有するものであってよい。加水分解性の官能基としては、シランオリゴマーが有する加水分解性の官能基として例示した基と同じ基が例示できる。縮合性の官能基としてはシラノール基が挙げられる。なお、シランモノマーは、シロキサン結合(Si-O-Si)を有さないケイ素化合物ということもできる。
加水分解性の官能基を有するシランモノマーとしては、例えば、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、モノアリールジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、モノアリールモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、ジアリールモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン、トリアリールモノアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトシシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
縮合性の官能基を有するシランモノマーとしては、例えば、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n-プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール、トリフルオロプロピルシラントリオール等が挙げられる。
シランモノマーは、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる反応性基をさらに有していてもよい。反応性基としては、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基等が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。
加水分解性の官能基及び反応性基を有するシランモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
縮合性の官能基及び反応性基を有するシランモノマーとしては、例えば、ビニルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3-メタクリロキシプロピルシラントリオール、3-メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3-アクリロキシプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルメチルシランジオール、N-フェニル-3-アミノプロピルシラントリオール、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルシランジオール等が挙げられる。
また、シランモノマーは2以上のケイ素原子を有していてもよく、このようなシランモノマーとしては、ビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン等が挙げられる。
(第五の態様)
本実施形態に係るエアロゲルは、さらに強靱化する観点並びにさらに優れた断熱性及び柔軟性を達成する観点から、エアロゲル成分に加え、さらにシリカ粒子を含有していてもよい。エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲルを、エアロゲル複合体ということもできる。エアロゲル複合体は、エアロゲル成分とシリカ粒子とが複合化されていながらも、エアロゲルの特徴であるクラスター構造を有しており、三次元的に微細な多孔性の構造を有していると考えられる。
エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲルは、上述の、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、シリカ粒子と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物ということができる。したがって、第一の態様~第四の態様に関する記載は、本実施形態に係るエアロゲルに対しても適宜準用することができる。
シリカ粒子としては、特に制限なく用いることができ、非晶質シリカ粒子等が挙げられる。非晶質シリカ粒子としては、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子、コロイダルシリカ粒子等が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカ粒子は単分散性が高く、ゾル中での凝集を抑制し易い。なお、シリカ粒子としては、中空構造、多孔質構造等を有するシリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子の形状は特に制限されず、球状、繭型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子の平均一次粒子径は、適度な強度及び柔軟性をエアロゲルに付与し易く、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルが得易い観点から、1nm以上であってもよく、5nm以上であってもよく、20nm以上であってもよい。シリカ粒子の平均一次粒子径は、シリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる観点から、500nm以下であってもよく、300nm以下であってもよく、100nm以下であってもよい。これらの観点から、シリカ粒子の平均一次粒子径は、1~500nmであってもよく、5~300nmであってもよく、20~100nmであってもよい。
本実施形態において、シリカ粒子の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を用いてエアロゲルを直接観察することにより得ることができる。ここでいう「直径」とは、エアロゲルの断面に露出した粒子の断面を円とみなした場合の直径を意味する。また、「断面を円とみなした場合の直径」とは、断面の面積を同じ面積の真円に置き換えたときの当該真円の直径のことである。なお、平均粒子径の算出に当たっては、100個の粒子について円の直径を求め、その平均を取るものとする。
なお、シリカ粒子の平均粒子径は、原料からも測定することができる。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常固形分濃度が5~40質量%程度で、水中に分散しているコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液に、パターン配線付きウエハを2cm角に切って得られたチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。
シリカ粒子の1g当たりのシラノール基数は、耐収縮性に優れるエアロゲルを得易くなる観点から、10×1018個/g以上であってもよく、50×1018個/g以上であってもよく、100×1018個/g以上であってもよい。シリカ粒子の1g当たりのシラノール基数は、均質なエアロゲルが得易くなる観点から、1000×1018個/g以下であってもよく、800×1018個/g以下であってもよく、700×1018個/g以下であってもよい。これらの観点から、シリカ粒子の1g当たりのシラノール基数は、10×1018~1000×1018個/gであってもよく、50×1018~800×1018個/gであってもよく、100×1018~700×1018個/gであってもよい。
上記ゾルに含まれるケイ素化合物の含有量は、良好な反応性をさらに得易くなる観点から、ゾルの総量100質量部に対し、5質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい。上記ゾルに含まれるケイ素化合物の含有量は、良好な相溶性をさらに得易くなる観点から、ゾルの総量100質量部に対し、50質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよい。これらの観点から、上記ゾルに含まれるケイ素化合物の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、5~50質量部であってもよく、10~30質量部であってもよい。
上記ゾルにシリカ粒子が含まれる場合、シリカ粒子の含有量は、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルが得易くなる観点から、ゾルの総量100質量部に対し、1質量部以上であってもよく、4質量部以上であってもよい。シリカ粒子の含有量は、シリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる観点から、ゾルの総量100質量部に対し、20質量部以下であってもよく、15質量部以下であってもよい。これらの観点から、シリカ粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1~20質量部であってもよく、4~15質量部であってもよい。
<エアロゲル粒子>
本実施形態におけるエアロゲル粒子は、後述のとおりバルクのエアロゲルを粉砕することにより得ることができる。
エアロゲル粒子の比表面積は特に限定されず、例えば2000m/g以下であってよく、好ましくは1000m/g以下である。このようなエアロゲル粒子は分散性が一層向上する傾向がある。当該比表面積は700m/g以下であってもよく、400m/g以下であってもよく、150m/g以下であってもよい。エアロゲル粒子の比表面積の下限は特に限定されないが、分散液中での凝集抑制及び充填率の向上という観点から、10m/g程度とすることができる。エアロゲル粒子の比表面積を調整する方法としては様々考えられるが、例えば、一般式(2)で表される橋架け部構造を有するエアロゲル成分の量を調整すること、シリカ粒子の量を調整すること等が挙げられる。
比表面積はBET法により測定することができる。測定装置としては、ガス吸着量測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製、Autosorb-iQ(Autosorbは登録商標))を用いることができる。
エアロゲル粒子の平均粒子径D50は1~1000μmとすることができるが、3~700μmであってもよく、5~500μmであってもよく、10~100μmであってもよく、10~50μmであってもよい。エアロゲル粒子の平均粒子径D50が1μm以上であることにより、分散性、取り扱い性等に優れるエアロゲル粒子が得易くなる。一方、平均粒子径D50が1000μm以下であることにより、分散性に優れるエアロゲル粒子が得易くなる。エアロゲル粒子の平均粒子径は、粉砕方法及び粉砕条件、ふるい、分級の仕方等により適宜調整することができる。
エアロゲル粒子の平均粒子径D50はレーザー回折・散乱法により測定することができる。例えば、溶媒(エタノール)に、エアロゲル粒子の含有量が0.05~5質量%となるように添加し、50Wの超音波ホモジナイザーで15~30分振動することによって、エアロゲル粒子の分散を行う。その後、分散液の約10mL程度をレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置に注入して、25℃で、屈折率1.3、吸収0として粒子径を測定する。そして、この粒子径分布における積算値50%(体積基準)での粒径を平均粒子径D50とする。測定装置としては、例えばMicrotrac MT3000(日機装株式会社製、製品名)を用いることができる。
エアロゲル粒子は、細孔径が2~200nmの細孔を複数有するエアロゲルから構成されている。
エアロゲル粒子を構成するエアロゲルにおいて、2~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積Vに占める、20~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積Vの割合は、50%以上である。これにより、分散性に優れたエアロゲル粒子となる。合計細孔容積Vに占める合計細孔容積Vの割合は、60%以上であってもよく、70%以上であってもよい。また、合計細孔容積Vに占める合計細孔容積Vの割合は、例えば95%以下であってよく、好ましくは90%以下である。
エアロゲル粒子を構成するエアロゲルにおいて、2~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積Vに占める、30~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積Vの割合は、例えば30%以上であってよく、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。これにより、分散性が一層向上する傾向がある。また、合計細孔容積Vに占める合計細孔容積Vの割合は、例えば90%以下であってよく、好ましくは85%以下である。
エアロゲル粒子を構成するエアロゲルについて、2~200nmの範囲の細孔分布曲線を求めた場合、当該曲線のピークトップは、20~200nmの範囲にあることが好ましく、20~100nmの範囲にあることがより好ましく、20~80nmの範囲にあることが一層好ましい。これにより、分散性及び断熱性が一層向上する傾向がある。
本明細書中、エアロゲルの細孔径と細孔容積との関係は、ガス吸着法により測定することが出来る。測定装置としては、ガス吸着量測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製、Autosorb-iQ(Autosorbは登録商標))を用いることができる。
エアロゲル粒子を構成するエアロゲルの細孔径及びその細孔容積を調整する方法としては様々考えられるが、例えば、第四の態様におけるシランオリゴマーの量を調整すること、シリカ粒子の量を調整すること、一般式(2)で表される橋架け部構造を有するエアロゲル成分を増やすこと等の方法が挙げられる。
<エアロゲル粒子の製造方法>
エアロゲル粒子の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
本実施形態のエアロゲル粒子は、ゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換する洗浄及び溶媒置換工程と、洗浄及び溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程と、乾燥により得られたエアロゲルを粉砕する粉砕工程とを主に備える製造方法により製造することができる。
また、ゾル生成工程と、湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する湿潤ゲル粉砕工程と、洗浄及び溶媒置換工程と、乾燥工程とを主に備える製造方法により製造してもよい。
得られたエアロゲル粒子は、ふるい、分級等によって大きさをさらに揃えることができる。粒子の大きさを整えることで分散性を高めることができる。なお、「ゾル」とは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本実施形態においては上記ケイ素化合物と、場合によりシリカ粒子と、が溶媒中に溶解又は分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
(ゾル生成工程)
ゾル生成工程は、ケイ素化合物と、場合によりシリカ粒子(シリカ粒子を含む溶媒であってもよい)と、を混合して加水分解反応を行った後、ゾルを生成する工程である。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中にさらに酸触媒を添加してもよい。また、特許第5250900号公報に示されるように、溶媒中に界面活性剤、熱加水分解性化合物等を添加することもできる。さらに、熱線輻射抑制等を目的として、溶媒中にカーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等の成分を添加してもよい。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコールの混合液を用いることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、ゲル壁との界面張力を低減させる点で、表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば溶媒としてアルコールを用いる場合、アルコールの量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量1モルに対し、4~8モルとすることができるが、4~6.5であってもよく、又は4.5~6モルであってもよい。アルコールの量を4モル以上にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、8モル以下にすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、得られるエアロゲルの耐水性をより向上する酸触媒としては有機カルボン酸が挙げられる。当該有機カルボン酸としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、ケイ素化合物の加水分解反応を促進させて、より短時間でゾルを得ることができる。
酸触媒の添加量は、ポリシロキサン化合物群及びケイ素化合物群の総量100質量部に対し、0.001~0.1質量部とすることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物、ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物などを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物としては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸等が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、後述する湿潤ゲル生成工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、相分離を抑制する作用をすると考えられている。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはケイ素化合物の種類及び量にも左右されるが、例えばポリシロキサン化合物群及びケイ素化合物群の総量100質量部に対し、1~100質量部とすることができる。なお、同添加量は5~60質量部であってもよい。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を促進すると考えられている。よって、この熱加水分解性化合物としては、加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られ易い。
熱加水分解性化合物の添加量は、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を十分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、ポリシロキサン化合物群及びケイ素化合物群の総量100質量部に対して、1~200質量部とすることができる。なお、同添加量は2~150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性をさらに得易くなり、また、200質量部以下とすることにより、結晶の析出及びゲル密度の低下をさらに抑制し易くなる。
ゾル生成工程の加水分解は、混合液中のケイ素化合物、シリカ粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば20~60℃の温度環境下で10分~24時間行ってもよく、50~60℃の温度環境下で5分~8時間行ってもよい。これにより、ケイ素化合物中の加水分解性官能基が十分に加水分解され、ケイ素化合物の加水分解生成物をより確実に得ることができる。
ただし、溶媒中に熱加水分解性化合物を添加する場合は、ゾル生成工程の温度環境を、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制してゾルのゲル化を抑制する温度に調節してもよい。この時の温度は、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制できる温度であれば、いずれの温度であってもよい。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合は、ゾル生成工程の温度環境は0~40℃とすることができるが、10~30℃であってもよい。
(湿潤ゲル生成工程)
湿潤ゲル生成工程は、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る工程である。本工程では、ゲル化を促進させるため塩基触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸銅(II)、炭酸鉄(II)、炭酸銀(I)等の炭酸塩類;炭酸水素カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3-メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N-メチルモルホリン、2-メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、水酸化アンモニウム(アンモニア水)は、揮発性が高く、乾燥後のエアロゲル粒子中に残存し難いため耐水性を損ない難いという点、さらには経済性の点で優れている。上記の塩基触媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、ゾル中のケイ素化合物、及びシリカ粒子の、脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応を促進することができ、ゾルのゲル化をより短時間で行うことができる。また、これにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。特に、アンモニアは揮発性が高く、エアロゲル粒子中に残留し難いので、塩基触媒としてアンモニアを用いることで、より耐水性の優れたエアロゲル粒子を得ることができる。
塩基触媒の添加量は、ポリシロキサン化合物群及びケイ素化合物群の総量100質量部に対し、0.5~5質量部とすることができるが、1~4質量部であってもよい。0.5質量部以上とすることにより、ゲル化をより短時間で行うことができ、5質量部以下とすることにより、耐水性の低下をより抑制することができる。
湿潤ゲル生成工程におけるゾルのゲル化は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。ゲル化温度は、30~90℃とすることができるが、40~80℃であってもよい。ゲル化温度を30℃以上とすることにより、ゲル化をより短時間に行うことができ、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。また、ゲル化温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
湿潤ゲル生成工程における熟成は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。熟成により、湿潤ゲルを構成する成分の結合が強くなり、その結果、乾燥時の収縮を抑制するのに十分な強度(剛性)の高い湿潤ゲルを得ることができる。熟成温度は、30~90℃とすることができるが、40~80℃であってもよい。熟成温度を30℃以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、熟成温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
なお、ゾルのゲル化終了時点を判別することは困難な場合が多いため、ゾルのゲル化とその後の熟成とは、連続して一連の操作で行ってもよい。
ゲル化時間と熟成時間は、ゲル化温度及び熟成温度により適宜設定することができる。ゾル中にシリカ粒子が含まれている場合は、含まれていない場合と比較して、特にゲル化時間を短縮することができる。この理由は、ゾル中のケイ素化合物が有するシラノール基又は反応性基が、シリカ粒子のシラノール基と水素結合又は化学結合を形成するためであると推察する。なお、ゲル化時間は10~120分間とすることができるが、20~90分間であってもよい。ゲル化時間を10分間以上とすることにより均質な湿潤ゲルを得易くなり、120分間以下とすることにより後述する洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能となる。なお、ゲル化及び熟成の工程全体として、ゲル化時間と熟成時間との合計時間は、4~480時間とすることができるが、6~120時間であってもよい。ゲル化時間と熟成時間の合計を4時間以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、480時間以下にすることにより熟成の効果をより維持し易くなる。
得られるエアロゲル粒子の密度を下げたり、平均細孔径を大きくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で高めたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で長くしてもよい。また、得られるエアロゲル粒子の密度を上げたり、平均細孔径を小さくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で低くしたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で短くしてもよい。
(湿潤ゲル粉砕工程)
湿潤ゲル粉砕工程を行う場合、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する。粉砕は、例えば、ヘンシャル型ミキサーに湿潤ゲルを入れるか、又はミキサー内で湿潤ゲル生成工程を行い、ミキサーを適度な条件(回転数及び時間)で運転することにより行うことができる。また、より簡易的には密閉可能な容器に湿潤ゲルを入れるか、又は密閉可能な容器内で湿潤ゲル生成工程を行い、シェイカー等の振盪装置を用いて、適度な時間振盪することにより行うことができる。なお、必要に応じて、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル等を用いて、湿潤ゲルの粒子径を調整することもできる。
(洗浄及び溶媒置換工程)
洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲル生成工程又は湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する工程(洗浄工程)と、湿潤ゲル中の洗浄液を乾燥条件(後述の乾燥工程)に適した溶媒に置換する工程(溶媒置換工程)を有する工程である。洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲルを洗浄する工程を行わず、溶媒置換工程のみを行う形態でも実施可能であるが、湿潤ゲル中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高いエアロゲル粒子の製造を可能にする観点からは、湿潤ゲルを洗浄してもよい。
洗浄工程では、湿潤ゲル生成工程又は湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する。当該洗浄は、例えば水又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。上記の有機溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
後述する溶媒置換工程では、乾燥によるゲルの収縮を抑制するため、低表面張力の溶媒を用いることができる。しかし、低表面張力の溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、溶媒置換工程において低表面張力の溶媒を用いる場合、洗浄工程で用いる有機溶媒としては、水及び低表面張力の溶媒の双方に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が挙げられる。なお、洗浄工程において用いられる親水性有機溶媒は、溶媒置換工程のための予備置換の役割を果たすことができる。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水又は有機溶媒の量としては、湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換し、洗浄できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3~10倍の量とすることができる。洗浄は、洗浄後の湿潤ゲル中の含水率が、シリカ質量に対し、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄工程における温度環境は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30~60℃程度の加温とすることができる。
溶媒置換工程では、乾燥工程におけるエアロゲルの収縮を抑制するため、洗浄した湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える。この際、加温することにより置換効率を向上させることができる。置換用溶媒としては、具体的には、乾燥工程において、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥する場合は、後述の低表面張力の溶媒が挙げられる。一方、超臨界乾燥をする場合は、置換用溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2-プロパノール、ジクロロジフルオロメタン、二酸化炭素等、又はこれらを2種以上混合した溶媒が挙げられる。
低表面張力の溶媒としては、20℃における表面張力が30mN/m以下の溶媒が挙げられる。なお、当該表面張力は25mN/m以下であっても、又は20mN/m以下であってもよい。低表面張力の溶媒としては、例えば、ペンタン(15.5)、ヘキサン(18.4)、ヘプタン(20.2)、オクタン(21.7)、2-メチルペンタン(17.4)、3-メチルペンタン(18.1)、2-メチルヘキサン(19.3)、シクロペンタン(22.6)、シクロヘキサン(25.2)、1-ペンテン(16.0)等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン(28.9)、トルエン(28.5)、m-キシレン(28.7)、p-キシレン(28.3)等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン(27.9)、クロロホルム(27.2)、四塩化炭素(26.9)、1-クロロプロパン(21.8)、2-クロロプロパン(18.1)等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル(17.1)、プロピルエーテル(20.5)、イソプロピルエーテル(17.7)、ブチルエチルエーテル(20.8)、1,2-ジメトキシエタン(24.6)等のエーテル類;アセトン(23.3)、メチルエチルケトン(24.6)、メチルプロピルケトン(25.1)、ジエチルケトン(25.3)等のケトン類;酢酸メチル(24.8)、酢酸エチル(23.8)、酢酸プロピル(24.3)、酢酸イソプロピル(21.2)、酢酸イソブチル(23.7)、エチルブチレート(24.6)等のエステル類などが挙げられる(かっこ内は20℃での表面張力を示し、単位は[mN/m]である)。これらの中で、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)は低表面張力でありかつ作業環境性に優れている。また、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジメトキシエタン等の親水性有機溶媒を用いることで、上記洗浄工程の有機溶媒と兼用することができる。なお、これらの中でも、さらに後述する乾燥工程における乾燥が容易な点で、常圧での沸点が100℃以下の溶媒を用いてもよい。上記の溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒置換工程に使用される溶媒の量としては、洗浄後の湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3~10倍の量とすることができる。
溶媒置換工程における温度環境は、置換に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、ヘプタンを用いる場合は、30~60℃程度の加温とすることができる。
なお、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合、溶媒置換工程は必須ではない。推察されるメカニズムとしては次のとおりである。すなわち、シリカ粒子が三次元網目状の骨格の支持体として機能することにより、当該骨格が支持され、乾燥工程におけるゲルの収縮が抑制される。そのため、洗浄に用いた溶媒を置換せずに、ゲルをそのまま乾燥工程に付すことができると考えられる。このように、シリカ粒子を用いることで、洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能である。
(乾燥工程)
乾燥工程では、上記のとおり洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥させる。これにより、エアロゲル(エアロゲルブロック又はエアロゲル粒子)を得ることができる。すなわち、上記ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥してなるエアロゲルを得ることができる。
乾燥の手法としては特に制限されず、公知の常圧乾燥、超臨界乾燥又は凍結乾燥を用いることができる。これらの中で、低密度のエアロゲルを製造し易いという観点からは、常圧乾燥又は超臨界乾燥を用いることができる。また、低コストで生産可能という観点からは、常圧乾燥を用いることができる。なお、本実施形態において、常圧とは0.1MPa(大気圧)を意味する。
エアロゲルは、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥することにより得ることができる。乾燥温度は、置換された溶媒(溶媒置換を行わない場合は洗浄に用いられた溶媒)の種類により異なるが、特に高温での乾燥が溶媒の蒸発速度を速め、ゲルに大きな亀裂を生じさせる場合があるという点に鑑み、20~150℃とすることができる。なお、当該乾燥温度は60~120℃であってもよい。また、乾燥時間は、湿潤ゲルの容量及び乾燥温度により異なるが、4~120時間とすることができる。なお、生産性を阻害しない範囲内において臨界点未満の圧力をかけて乾燥を早めることも、常圧乾燥に包含されるものとする。
エアロゲルは、また、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、超臨界乾燥することによっても得ることができる。超臨界乾燥は、公知の手法にて行うことができる。超臨界乾燥する方法としては、例えば、湿潤ゲルに含まれる溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にて溶媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、超臨界乾燥する方法としては、湿潤ゲルを、液化二酸化炭素中に、例えば、20~25℃、5~20MPa程度の条件で浸漬することで、湿潤ゲルに含まれる溶媒の全部又は一部を当該溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素を単独で、又は二酸化炭素及び溶媒の混合物を除去する方法が挙げられる。
このような常圧乾燥又は超臨界乾燥により得られたエアロゲルは、さらに常圧下にて、105~200℃で0.5~2時間程度追加乾燥してもよい。これにより、密度が低く、小さな細孔を有するエアロゲルをさらに得易くなる。追加乾燥は、常圧下にて、150~200℃で行ってもよい。
(粉砕工程)
湿潤ゲル粉砕工程を行わない場合は、乾燥により得られたエアロゲル(エアロゲルブロック)を粉砕することによりエアロゲル粒子を得る。例えば、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル、ハンマーミル等にエアロゲルを入れ、適度な回転数と時間で運転することにより行うことができる。
<分散体>
分散体は、上述のエアロゲル粒子と液状媒体とを含む。分散体は、上述のエアロゲル粒子と液状媒体との混合物ということもできる。分散体中のエアロゲル粒子は、細孔内が液状媒体で満たされていてもよい。
液状媒体としては水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、エアロゲル粒子を分散し得るものであれば特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p-シメン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらの中でも、揮発性、沸点等の観点から、アルコール類及びケトン類を用いることができ、特にアルコール類を好適に用いることができる。アルコール類及びケトン類は、水、水系樹脂等との混合が容易であるため、それらの成分との併用時にも好適である。
分散体は、バインダ樹脂を更に含有していてよい。このような分散体は、塗膜を形成するための塗液ということもできる。バインダ樹脂は、塗膜形成後にエアロゲル粒子同士を結着する機能を有する。バインダ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び強靭性という観点から、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂及びポリエステル樹脂を好適に用いることができる。
なお、セルロース系樹脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、ヒドロキシエチルメチルセルロース等が挙げられる。また、ポリビニル系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
バインダ樹脂が熱硬化性樹脂であるとき、分散体は、硬化剤をさらに含有していてよい。硬化剤は特に限定されず、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜変更してよい。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であるとき、硬化剤としては、公知のエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリアミド系硬化剤等が例示でき、反応性の観点からはアミン系硬化剤及びポリアミド系硬化剤を好適に用いることができる。
分散体は、第一のバインダ樹脂と、液状媒体に対する溶解度が第一のバインダ樹脂より低い第二のバインダ樹脂と、を含有していてもよい。このような第一のバインダ樹脂及び第二のバインダ樹脂を塗液に含ませることで、塗膜強度及び接着性に優れた塗膜が得られる。この理由は必ずしも定かではないが、発明者らは次のように推察している。第一のバインダ樹脂と第二のバインダ樹脂は液状媒体に対する溶解度が異なるため、塗膜形成時の乾燥工程(液状媒体を除去する工程)において、液状媒体に対して第二のバインダ樹脂が第一のバインダ樹脂より先に飽和し、第二のバインダ樹脂が先に析出しやすくなる。このような溶解度の差異により、塗膜形成時に特徴的なバインダ構造が形成され、優れた塗膜強度及び接着性が得られると考えられる。
上述の特徴的なバインダ構造については必ずしも定かではないが、例えば、第二のバインダ樹脂が先にエアロゲル粒子(及び後述の繊維状物質)上に結着し、第一のバインダ樹脂が第二のバインダ樹脂を介してエアロゲル粒子間(又は、エアロゲル粒子と繊維状物質との間若しくは繊維状物質間)を結着することで、優れた塗膜強度及び接着性が得られていることが推測される。また、第二のバインダ樹脂が粒状となってエアロゲル粒子間を埋め、その後、第一のバインダ樹脂で結着されることで、エアロゲル粒子同士が強固に結着しているとも考えられる。
バインダ樹脂としては上記の樹脂が挙げられる。第一のバインダ樹脂及び第二のバインダ樹脂はこれらの中から選択してよく、より具体的には後述の樹脂から選択してもよい。
本実施形態では、第二のバインダ樹脂の含有量が、第一のバインダ樹脂の含有量より多いことが好ましい。これにより、上述の効果がより顕著に奏される。第二のバインダ樹脂の含有量は、第一のバインダ樹脂100質量部に対して100質量部を超えることが好ましく、150質量部以上がより好ましく、200質量部以上であってよく、300質量部以上であってもよく、400質量部以上であってもよく、600質量部以上であってもよい。
また、第二のバインダ樹脂の含有量は、断熱性能に優れる観点からは、第一のバインダ樹脂100質量部に対して、800質量部以下であってよく、700質量部以下が好ましく、600質量部以下であってよく、500質量部以下であってもよく、400質量部以下であってもよい。
第一のバインダ樹脂は、塗膜形成後にエアロゲル粒子同士を結着する機能を有し、液状媒体に溶解可能な樹脂であればよい。例えば、液状媒体が水系溶媒であるとき、第一のバインダ樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち、増粘性に優れる観点からは、セルロース系樹脂、ポリビニルピロリドンを好適に用いることができる。
第二のバインダ樹脂は、液状媒体に溶解可能であり、液状媒体に対する溶解度が第一のバインダ樹脂より低い樹脂であればよい。第二のバインダ樹脂は、熱可塑性樹脂であってよく、熱硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらのうち、取り扱い性の観点からは、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールを好適に用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れる観点からは、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂を好適に用いることができる。
分散体は、他の成分として増粘剤、繊維状物質、顔料、レベリング剤等を更に含んでいてもよい。
増粘剤は分散体の粘性を向上させ、対象に対する塗工性をより良好にすることができる。増粘剤としては、例えば、フュームドシリカ、粘土鉱物等の微粒子が挙げられる。
繊維状物質は塗膜形成後にエアロゲル粒子間のアンカー機能を発現することができ、塗膜強度をより向上することができる。繊維状物質としては特に制限されず、有機繊維及び無機繊維が挙げられる。有機繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維、フェノール系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、ポリ乳酸系繊維、ポリカーボネート系繊維等が挙げられる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維等が挙げられる。
繊維状物質の繊維長は、例えば1.5mm以上であってよい。これにより、塗膜強度を向上しつつ、塗膜の断熱性を確保することができる。この理由は必ずしも定かではないが、発明者らは次のように推察している。プレス成型体の作製に際しては、成型体のさらなる強度確保のため、成型体内で繊維がランダムに配向していることが好ましい。しかしながら、厚みの薄い膜状の成型体を作製した場合、繊維をランダムに配向させることは、厚み方向(断熱したい方向)において繊維による熱パスが生じやすく、厚み方向の断熱性を損なうことにもつながる。これに対し、塗液を用いて対象表面に薄い塗膜を形成する場合においては、長繊維(繊維長が1.5mm以上である繊維状物質)を敢えて用いることで繊維が面内に配向し易くなることが推測される。これによって、面方向における強度を向上させつつ、厚み方向における高い断熱性を維持することが可能になると考える。
この観点から、当該繊維長は2mm以上とすることができ、2.5mm以上であってもよく、3mm以上であってもよい。一方、繊維長の上限は特に制限されないが、分散体中での分散性の観点から、20mmとすることができる。
繊維状物質の全質量を基準として、繊維長が1.5mm以上である繊維の含有量は、30質量%以上とすることができるが、50質量%以上であってもよい。当該含有量の上限は、100質量%(すなわち、実質的に塗液中の全繊維状物質の繊維長が1.5mm以上)とすることができる。
分散体がバインダ樹脂を含有する場合、分散体中のエアロゲル粒子の含有量は、分散性、エアロゲル粒子の充填量、分散体の粘度等の観点から、0.1~30質量%とすることができるが、1~25質量%であってもよい。
分散体がバインダ樹脂を含有する場合、分散体中のバインダ樹脂の含有量は、エアロゲル粒子同士の結着性、塗膜の断熱性等の観点から、1~40質量%とすることができるが、1~30質量%であってもよい。
分散体中のバインダ樹脂の含有量は、例えば、エアロゲル粒子100質量部に対して、5質量部以上とすることができるが、10質量部以上であってもよく、15質量部以上であってもよく、20質量部以上であってもよい。これにより、エアロゲル粒子がバインダ樹脂によって強固に結着され易くなり、塗膜の強度が一層向上する。
また、バインダ樹脂の含有量は、例えば、エアロゲル粒子100質量部に対して、150質量部以下とすることができるが、130質量部以下であってもよく、100質量部以下であってもよく、90質量部以下であってもよい。これにより、塗膜中のエアロゲル粒子の比率が高くなり、塗膜の断熱性が一層向上する。
分散体中の繊維状物質の含有量は、塗液中での分散性、良好なアンカー機能の発現性等の観点から、1~50質量%とすることができるが、1~30質量%であってもよい。
分散体中の繊維状物質の含有量は、例えば、エアロゲル粒子100質量部に対して、5質量部以上とすることができるが、7質量部以上であってもよく、9質量部以上であってもよい。これにより、繊維状物質によるアンカー効果が得られ易くなり、塗膜強度が一層向上する。
また、繊維状物質の含有量は、例えば、エアロゲル粒子100質量部に対して、50質量部以下とすることができるが、35質量部以下であってもよく、25質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよく、15質量部以下であってもよい。これにより、塗膜中のエアロゲル粒子の比率が高くなり、塗膜の断熱性が一層向上する。
増粘剤の含有量は、所望の分散体の粘度(例えば、1000mPa・s以上)となるように適宜調整することができる。分散体の粘度はバインダ樹脂を配合することにより向上させることもできるため、その場合は必ずしも増粘剤を配合する必要はない。
<塗膜の製造方法及び塗膜>
塗膜の製造方法(塗膜形成方法)は、エアロゲル粒子及び液状媒体を含む塗液(上述の分散体)から、液状媒体を除去する工程を備える。より具体的には、塗膜の製造方法は、塗液を対象物上に塗布する工程と、対象物上に塗布された塗液から液状媒体を除去する工程と、を備えることができる。
塗液を対象物上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばディップコート、スプレーコート、スピンコート、ロールコート等が挙げられる。塗膜の形成に際しては、塗布された塗液に対し、加熱(例えば、40~150℃)処理、減圧(例えば、10000Pa以下)処理、又はそれらの両処理を行うことで、塗液から液状媒体を除去すればよい。
塗膜中のエアロゲル粒子の含有量は、例えば、40質量%以上とすることができるが、50質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。これにより、塗膜の断熱性が一層向上する。また、塗膜中のエアロゲル粒子の含有量は、例えば、95質量%以下とすることができるが、90質量%以下であってもよい。これにより、塗膜が形成し易くなる傾向がある。
塗膜の厚さは特に制限されず、例えば、0.01~5mmとすることができる。
対象物を構成する材料としては特に制限されず、金属、セラミック、ガラス、樹脂、これらの複合材料等が挙げられる。対象物の形態としては、使用する目的又は材料に応じて適宜選択することができ、ブロック状、シート状、パウダー状、繊維状等が挙げられる。
塗膜は、エアロゲルに由来する優れた断熱性、耐熱性、難燃性等を有する。このような利点から、当該塗膜を、極低温容器、宇宙分野、建築分野、自動車分野、家電分野、半導体分野、産業用設備等における断熱材としての用途等に適用できる。なお、当該塗膜は、断熱材としての用途の他に、撥水材、吸音材、静振材、触媒担持材等としても利用することができる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
シリカ粒子含有原料としてPL-2L(扶桑化学工業株式会社製、製品名)を100.0質量部、水を80.0質量部、酸触媒として酢酸を0.5質量部、カチオン系界面活性剤として臭化セチルトリメチルアンモニウム(和光純薬工業株式会社製)を1.0質量部、及び熱加水分解性化合物として尿素を150.0質量部混合し、これにケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-13)を60.0質量部、ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-22)を20.0質量部、上記一般式(B)で表される構造を有する両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(以下、「ポリシロキサン化合物A」という)を20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃でゲル化した後、60℃で48時間熟成して湿潤ゲル1を得た。
なお、上記「ポリシロキサン化合物A」は次のようにして合成した。まず、撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、両末端にシラノール基を有するジメチルポリシロキサンXC96-723(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt-ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
その後、得られた湿潤ゲル1をプラスチック製ボトルに移し、密閉後、エクストリームミル(アズワン株式会社製、MX-1000XTS)を用いて、27,000rpmで10分間粉砕し、粒子状の湿潤ゲルを得た。得られた粒子状の湿潤ゲルをメタノール2500.0質量部に浸漬し、25℃で24時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら合計3回行った。次に、洗浄した粒子状の湿潤ゲルを、低表面張力溶媒であるヘプタン2500.0質量部に浸漬し、25℃で24時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいヘプタンに交換しながら合計3回行った。洗浄及び溶媒置換された粒子状の湿潤ゲルを、常圧下にて、40℃で96時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥した。最後に、ふるい(東京スクリーン株式会社製、目開き45μm、線径32μm)にかけエアロゲル粒子1を得た。なお、エアロゲル粒子1の平均粒子径D50は15.3μmであった。測定方法は次のとおりである。
エタノールに、エアロゲル粒子の含有量が0.5質量%となるように添加し、これに50Wの超音波ホモジナイザーで20分間振動を与えることで分散液を調製した。得られた分散液10mLをMicrotrac MT3000(日機装株式会社製、製品名)に注入し、25℃で、屈折率1.3、吸収0として粒子径を測定した。そして、得られた粒子径分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を平均粒子径D50とした。
(実施例2)
シランオリゴマーとして「XR31-B1410」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名)を100質量部、シランモノマーとしてテトラエトキシシラン「KBE-04」(信越化学工業株式会社製、製品名、以下「TEOS」と略記)を50質量部、2-プロパノールを300質量部、及び、水を100質量部混合し、これに酸触媒として酢酸を0.1質量部加え、25℃で4時間反応させてゾルを得た。得られたゾルに塩基触媒として5%濃度のアンモニア水を80質量部加え、60℃で1時間ゲル化した後、60℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後、得られた湿潤ゲルを、常圧下にて、25℃で72時間乾燥し、その後150℃で2時間乾燥した。最後に、ふるい(東京スクリーン株式会社製、目開き45μm、線径32μm)にかけ、エアロゲル粒子2を得た。なお、エアロゲル粒子2の平均粒子径D50は14.1μmであった。
(実施例3)
シランオリゴマーとして「KR-515」(信越化学工業株式会社製、製品名)を100質量部、MTMSを800質量部、KBE-04を50質量部、ジメチルジエトキシシラン「KBE-02」(信越化学工業株式会社製、製品名、以下「DMDES」と略記)を50質量部、2-プロパノールを2000質量部、及び、水を500質量部混合し、これに酸触媒として酢酸を0.8質量部加え、25℃で4時間反応させてゾルを得た。得られたゾルに塩基触媒として5%濃度のアンモニア水を700質量部加え、60℃で1時間ゲル化した後、60℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例2と同様にしてエアロゲル粒子3を得た。なお、エアロゲル粒子3の平均粒子径D50は16.5μmであった。
(実施例4)
シランオリゴマーとして「KR-500」(信越化学工業株式会社製、製品名)を100質量部、MTMSを250質量部、KBE-04を250質量部、KBE-02を50質量部、2-プロパノールを1500質量部、及び、水を300質量部混合し、これに酸触媒として酢酸を0.6質量部加え、25℃で4時間反応させてゾルを得た。得られたゾルに塩基触媒として5%濃度のアンモニア水を400質量部加え、60℃で1時間ゲル化した後、60℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例2と同様にしてエアロゲル粒子4を得た。なお、エアロゲル粒子4の平均粒子径D50は15.2μmであった。
(比較例1)
エアロゲル粒子5としてJIOS AeroVa(登録商標、JIOS AEROGEL CORPORATION社製、製品名)を準備した。エアロゲル粒子5の平均粒子径D50は15.7μmであった。
(細孔容積割合の算出)
エアロゲル粒子の2~200nmの範囲の細孔容積を、ガス吸着量測定装置(カンタクローム・インスルツメンツ・ジャパン合同会社製、Autosorb-iQ(Autosorbは登録商標))を用いて測定した。測定結果をBJH法にて解析し、2~200nmの範囲の細孔容積、20~200nmの範囲の細孔容積、30~200nmの範囲の細孔容積をそれぞれ算出した。算出した容積から、20~200nmの細孔容積が占める割合及び30~200nmの細孔容積が占める割合を求めた。結果を表1に示す。
(細孔分布曲線におけるピークトップ)
エアロゲル粒子の2~200nmの範囲の細孔容積を、ガス吸着量測定装置(カンタクローム・インスルツメンツ・ジャパン合同会社製、Autosorb-iQ(Autosorbは登録商標))を用いて測定した。測定結果をBJH法にて解析し、2~200nmの領域の細孔容積を算出した。算出結果において最も細孔容積の多い細孔径の値を、細孔分布曲線におけるピークトップとした。結果を表1に示す。
(分散性評価)
100mlディスポーザブル容器に2-プロパノールを0.2g、純水を4.0g入れ、そこにヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.1g投入して、あわとり練太郎 ARV-310(株式会社シンキー社製、製品名)を用いて1000rpmで15分程撹拌し、分散媒を作成した。撹拌後、エアロゲル粒子を1.0g投入し、あわとり練太郎にて1000rpmで10分撹拌し、撹拌後の分散液を目視にて観察し、エアロゲル粒子の分散性を評価した。エアロゲル粒子が良好に分散し、分散液に流動性があり、分散媒とエアロゲル粒子の分離が無い場合をA評価、エアロゲル粒子が分散せずに凝集または分離し、分散液に流動性がない場合をB評価とした。結果を表1に示す。
Figure 0007160106000013

Claims (6)

  1. 細孔径が2~200nmの細孔を複数有するエアロゲルから構成されるエアロゲル粒子であって、
    前記細孔の合計細孔容積に占める、20~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積の割合が50%以上であり、
    前記エアロゲルが、シランオリゴマーの加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であり、
    前記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子の割合が50%以上である、エアロゲル粒子。
  2. 前記細孔の合計細孔容積に占める、30~200nmの細孔径を有する細孔の合計細孔容積の割合が40%以上である、請求項1に記載のエアロゲル粒子。
  3. 前記細孔の細孔分布曲線におけるピークトップが、20~200nmの範囲にある、請求項1又は2に記載のエアロゲル粒子。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゲル粒子と液状媒体とを含む、分散体。
  5. バインダ樹脂を更に含む、請求項に記載の分散体。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゲル粒子と、バインダ樹脂又はその硬化体と、を含む、塗膜。
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