JP2935615B2 - 微細沈殿ケイ酸及びその製造法 - Google Patents

微細沈殿ケイ酸及びその製造法

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JP2935615B2
JP2935615B2 JP33466192A JP33466192A JP2935615B2 JP 2935615 B2 JP2935615 B2 JP 2935615B2 JP 33466192 A JP33466192 A JP 33466192A JP 33466192 A JP33466192 A JP 33466192A JP 2935615 B2 JP2935615 B2 JP 2935615B2
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昭義 河野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性に優れた樹脂用
充填剤、粘度調整剤、光沢に優れた塗料用充填剤、等と
して有用な沈殿ケイ酸を提供する。さらに、本発明は上
記物性を有する沈殿ケイ酸の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸の中
和反応により得られる一般的な沈殿ケイ酸は、例えば特
公昭39−1207号等の製造法により製造されるもの
として、従来から公知である。中和反応により一次粒子
から構造性を有するように成長させて得られた沈殿ケイ
酸は、乾燥及び引き続いて粉砕され、製品とされる。即
ち、静置乾燥あるいは噴霧乾燥の後に、目的に応じて適
切な粉砕機、例えはピンなどの間での衝撃剪断・摩擦作
用を利用して粉砕するピンミル、或いは高圧のジェット
気流に粒子を巻き込んで相互衝突により粉砕するジェッ
ト粉砕機等(最新超微粉砕プロセス技術:ソフト技研出
版部編、新技術情報センター発行、1985年、8〜1
0頁)を用いて粉砕される。これらの方法によって知ら
れる一般的な沈殿ケイ酸は、BET比表面積が通常10
0〜400m2 /gの範囲であり、主として汎用のゴム
補強充填剤、農薬の吸着担体、塗料の艶消し剤、或は種
々の媒体の粘度調製剤等として使用されている。
【0003】又、沈殿ケイ酸は 近年透明性を重視した
樹脂用充填剤として注目されている。例えば、シリコー
ンゴムや各種樹脂のフィルム等である。これらの分野に
おいて従来の沈殿ケイ酸では十分な透明感を得る事は出
来なかった。
【0004】さらに、塗料の分野においては一般的な沈
殿ケイ酸を配合し塗膜の性質を変えずに粘度調整のみを
行なおうとしても艶が消えてしまうという問題点を有し
ていた。かかる問題を解決するために樹脂中における分
散の改良された沈殿ケイ酸が従来より嘱望されていた。
しかしながら、上述した様な一般的な沈殿ケイ酸の製造
方法によっては本発明によるところの分散性に優れた沈
殿ケイ酸は得ることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、平均2次粒子径
が小さく、樹脂中の分散性がよい沈殿ケイ酸が得られて
いなかった理由としては次のごとき点が考えられる。
【0006】一般的に沈殿ケイ酸は、反応工程中に数n
m〜数十nmの一次粒子を形成する。この一次粒子は、
撹拌下において凝集し凝集粒子を形成する。さらにこの
凝集粒子は乾燥工程を経る事により凝集粒子同士がさら
に大きな二次凝集粒子を形成する。この二次凝集粒子は
強固なシロキサン結合によって結合している。この結合
をエネルギーを与え破壊する事により二次凝集粒子の大
きさを制御するのが粉砕工程である。この為に粉砕にお
いては多大なエネルギーを必要とする。
【0007】この様に、沈殿ケイ酸の二次凝集粒子の径
は、二次凝集粒子の結合エネルギーと粉砕のエネルギー
との関係によって粒度分布は支配されている。この様に
沈殿ケイ酸は強固なシロキサン結合によって乾燥時に大
きな二次凝集粒子を形成するので、従来採用されていた
粉砕方法では、沈殿ケイ酸の持つシロキサン結合を十分
破壊するに至らず、本発明によるところの微細な沈殿ケ
イ酸を得る事は出来ない。
【0008】一方、いったん粉砕された二次凝集粒子は
その粒子径が小さくなるほど再凝集しやすくなる性質を
有している。この原因は、水をバインダーとした水素結
合による凝集とファンデルワールス引力によるものであ
る。このように再凝集しやすい状態にある微細沈殿ケイ
酸はただ単に分級を行ったのでは、例えば塗料中に分散
させた場合、明らかに外観を損ねるような大きな凝集粒
子をカットすることができない。さらに、かかる凝集粒
子は粗大粒子同様に、塗料中に分散した場合に凹凸を形
成し、艶を消したり塗膜外観を損なう原因となる。また
透明な樹脂中においては、その透明性を低下させる。
【0009】そこで本発明者等は前述の如き種々の問題
を持ち従来製造し得なかった新規な沈殿ケイ酸につい
て、兼ねてより鋭意研究を重ね、体系的な検討を進めた
ところ、本発明による方法によって一挙に解決できるこ
とを見出すに至った。
【0010】本発明は、BET比表面積100〜600
2 /g、平均二次粒子径0.1〜1.5μm、1.0
μm以下の粒子が50wt%以上を有し、かつ8.0μ
mより大きい粒子が存在しない、沈殿ケイ酸を提供する
ことを目的とする。
【0011】また本発明は、かかる新規な沈殿ケイ酸を
製造する方法を提供する事を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
上記物性を有する沈殿ケイ酸について鋭意研究を垂ねた
結果、本発明で特定される条件の下で乾燥・粉砕・分級
することにより、従来製造するに至らなかった新規な沈
殿ケイ酸を容易に製造できるという知見を見いだし、本
発明を完成するに至ったものである。
【0013】本発明の沈殿ケイ酸は、BET比表面積が
100〜600m2 /g、好ましくは100〜400m
2 /gであり、コールタ―カウンター法で測定したとき
の平均二次粒子径が0.1〜1.5μm、好ましくは更
に微細な0.1〜1.2μmの平均粒子径を有し、更に
1.0μm以下の粒子が50wt%以上を有していて、
かつ、8.0μmよりも大きい粒子が存在しない粒子特
性を有することを特徴とする。
【0014】この様な特性を有する沈殿ケイ酸は、アル
カリ金属ケイ酸塩水溶液と硫酸との中和沈殿反応を行な
い、該スラリー液を酸性化後濾過・洗浄して沈殿ケイ酸
のケークを得、次いで、従来は乾燥して強固なシロキサ
ン結合を有する大きな二次凝集粒子を得た後粉砕・分級
して沈殿ケイ酸を得る工程を行なっていたが、本発明に
おいてはこの工程を行わず、これとは別に、過熱蒸気を
用いたジェットミル中で同時に乾燥・粉砕を行ない、こ
の時の沈殿ケイ酸の水分を再凝集を防止する目的で、1
0wt%以下にし、同じく再凝集を防止する目的で相対
湿度を50%以下という水分が可及的に少ない状態下
分級する事により、本発明の沈殿ケイ酸を得ることがで
きる。
【0015】更に上述の内容について、後述する実施
例、比較例を参考にしながら更に詳細に説明する。
【0016】沈殿ケイ酸の比表面積のコントロールは、
アルカリ金属ケイ醗塩水溶液と硫酸の中和反応時のアル
カリ金属ケイ酸水溶液濃度、硫酸濃度、塩濃度、pH、
温度を変える事により行なうことができる。一般的なB
ET比表面積100〜400m2 /gを有する沈殿ケイ
酸は、特公昭39−1207号等の製造法により製造さ
れる。また、より高いBET比表面積を有する沈殿ケイ
酸については特公昭61−26492号、特公昭62−
12171号等に示されている。さらにアルカリ金属ケ
イ酸塩水溶液と硫酸との同時滴下中和沈殿反応におい
て、反応中の温度を5〜40℃に維持して行ない、次い
で反応液の温度を40℃以上好ましくは70℃以上に昇
温し水熱処理を行ない、該スラリー液を酸性化後濾過・
洗浄する方法によつても得る事ができる。このようにし
て得られた種々のBET比表面積を有する沈澱ケイ酸
を、本発明によるところの粒度分布を有するように調整
し、表2、表3に示すように塗料テストを行なった。そ
の結果、実施例1〜3、比較例1〜2において明らかな
ように、BET比表面積が100m2 /g以下の場合
は、粘度調整剤としての効果が不十分であり、600m
2 /g以上の場合は光沢を保つことができないという問
題を有している。
【0017】この様にして得られた沈殿ケイ酸はフィル
タープレスを用いて濾過・洗浄を行なう。この時の沈澱
ケイ酸は水分を70〜90wt%程度含んでおり、スラ
リー化するか或はスラリー化することなしに過熱蒸気を
用いたジェットミル中にフィードすることができる。
【0018】ここで過熱蒸気とは 高圧蒸気を加熱装置
(例えば、灯油を用いた炉)を利用して加熱した蒸気を
言う。
【0019】微細沈澱ケイ酸の製造において重要なこと
は、中和沈澱反応によりフロック状にケイ酸を析出させ
ることと、乾燥と粉砕を同時に行なうことを組合せ、さ
らに続いて行なわれる分級工程の条件を満たすことであ
る。
【0020】硫酸とアルカリ金属ケイ酸塩の中和反応に
より得られるケイ酸にはシリカゲルの如き、巨大な3次
元的網目構造により構成されているものがある。かかる
ケイ酸は、その構造が連続しており小さくするためには
粉砕を行なうことが必要である。しかしながらその大き
さは数百μm〜数千μmの大きさしか得ることはできな
い。一方、沈澱ケイ酸は、反応の時点より微小なフロッ
クとして得られるためその大きさは、数μm〜数十μm
の大きさで得ることができる。かかる沈澱ケイ酸は、そ
の後、濾過工程・洗浄工程において凝集するが、その構
造はフロック単位で不連続であり容易に微細に粉砕する
ことができる。このような沈澱ケイ酸を上述したよう
な、同時乾燥粉砕機を用いて粉砕することにり、本発明
によるところのさらに微細な沈澱ケイ酸を得ることがで
きる。
【0021】かかる微細な沈澱ケイ酸は1.5μm以
下、更に微細なものとしては1.2μm以下の平均二次
粒子径を有する。実施例1〜3と比較例5,6から明ら
かなように平均二次粒子径が1.5μm以上の場合は光
沢を保つことができず、塗膜外管・分散の状態も悪いも
のとなっている。さらに、透明な樹脂系に関してはその
透明性を保つことができない。
【0022】さらに同時乾燥粉砕時に重要な事は、上述
したように十分に二次粒子の粒子径を小さくする事は言
うまでも無いが、それと同時に、二次粒子同士の再凝集
の原因と考えられる水分を十分に除去する事である。こ
の時の沈殿ケイ酸の水分は10wt%以下好ましくは5
wt%以下に調整される。上述したように、乾燥を行な
う際にシリカの粒子は強固なシロキサン結合により凝集
する。そこで本発明者等は、かかる強固なシロキサン結
合の生成を防ぎ粉砕することにより微細に粉砕すること
を検討した結果、上述したように乾燥と粉砕を同時に行
うことにより本発明によるところの微細な沈澱ケイ酸を
得るに至った。しかしながら、続いて行なわれる分級工
程において、比較例3に示されるように沈澱ケイ酸の水
分を10wt%以下好ましくは5wt%以下に水分をコ
ントロールすることが重要であることを見出した。その
理由は定かではないが、本発明の粒子の如き微細な粒子
はファンデルワールス力の増加により凝集し易い傾向に
ある。そこへ水分が存在した場合、水をバインダーとし
て大きな凝集粒子を形成するため、水の存在がほとんど
ない(水分が可及的に少ない)状態において分級を行な
うことにより、小さい凝集体にすることができると考え
られる。かかる効果は比較例4で明らかなように、分級
系内の大気中の水分の場合も同様である。
【0023】この時用いられる分級工程は、同時乾燥粉
砕の後連続して分級するか或は一度バッグフィルターの
ような装置により捕集した後分級される。この時使用さ
れる分級機としては例えばミクロンセパレーター(ホソ
カワミクロン社製)のような風力分級機等を挙げること
ができる。
【0024】分級機を用いて分級する際に重要な事は、
比較例4で明らかなように系内の空気の相対湿度を50
%以下好ましくは10%以下にする事である。この方法
としては、例えば系内に流入する空気を加熱してその系
内の相対湿度を下げる方法や冷却により空気中の水分を
除去する方法を例示できるが、これらの方法に限定され
るものではない。
【0025】この様な条件によって分級することによ
り、8μm以上の凝集粒子は除去することができる。さ
らに、塗料中においても、分散・光沢・外観・透明性の
良好なものを得ることができる。
【0026】このようにして得られた沈殿ケイ酸は、B
ET比表面積100〜600m2 /g、平均二次粒子径
0.1〜1.5μmであり、かつ1.0μm以下の粒子
が50wt%以上を有しかつ8.0μm以上の粒子が存
在しない新規な沈殿ケイ酸であり、上述した製造方法に
より容易に得ることができる。
【0027】さらに、かかる物性を有する沈殿ケイ酸
は、透明性に優れた樹脂用充填剤、光沢性に優れた樹脂
用充填剤・粘度調整剤、等として有用である。
【0028】比較例5,6で明らかなように、平均二次
粒子径が1.5μm以上のものは、塗料表面の凹凸が大
きいためか光沢を保つことが出来ない。さらに、透明性
においても低下している。また平均二次粒子径の大きさ
がその範囲の中にあっても1.0μm以下の粒子が50
wt%以上有さないものは、比較例7で明らかなように
1〜4μm程度の粒子の存在が多くなって、これがため
に凹凸ができるためか光沢を保つことができない。さら
に8.0μm以上の粒子を有するものは、比較例3,4
で明らかなように、分散不良によるためか、塗膜外観が
悪く、光沢・透明性共に悪い結果となっている。
【0029】
【実施例】以下本発明を、より具体的に実施例及び比較
例を上げて説明する。なお各物性値の測定は次に示す方
法により測定した。
【0030】(1)BET比表面積 カンタソープ(米国Quantachrome社製)を用いて1点法
により測定した。
【0031】(2)二次粒子の粒度分布並びに平均粒子
径(体積平均径) コールターカウンターTA−II(Coulterelectronics I
nc. 製)を用いて、30μmアパーチャーチューブによ
り測定した。
【0032】試料の分散は、40秒間の超音波分散を行
ない、分散液は付属のIsotonII液を使用した。
【0033】(3)水分 KETT水分計を用いて150℃乾燥時の水分量を測定
した。
【0034】(4)粘度 粘度の測定は、室温(約20℃)でBL型粘度計によ
り、6rpm・120秒後の粘度を測定した。
【0035】(5)分散度 塗料一般試験方法 JISK5400のつぶの試験方法
に従って測定した。
【0036】(6)光沢度 デジタル変角光沢計(スガ試験機社製)を用いて∠6O
゜の反射率を測定した。数値は高い方が光沢度が良い。
【0037】(7)透過率 測色計(スガ試験機社製)を用いてその透過度を測定し
た。数植は高い方が透過率が良い。
【0038】実施例1 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が125m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は2.6w
t%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の
乾燥気流中で風力分級機を用いて分級した。この時の分
級機系内の相対湿度は、1%以下であった。得られた沈
殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1
に示した。
【0039】実施例2 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が220m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は3.0w
t%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の
乾燥気流中で風力分級機を用いて分級した。この時の分
級機系内の相対湿度は、1%以下であった。得られた沈
殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1
に示した。
【0040】実施例3 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が350m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は3.5w
t%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の
乾燥気流中で風力分級機を用いて分級した。この時の分
級機系内の相対湿度は、1%以下であった。得られた沈
殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1
に示した。
【0041】比較例1 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が55m2 /gの沈殿ケイ酸のケ
ークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸気
の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2 G)
の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾操粉
砕を行なった。この時流体エネルギ―ミルの出口温度が
180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用いてフ
ィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は1.0wt%
であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の乾燥
気流中で風力分級機を用いて分級した。この時の分級機
系内の相対湿度は、1%以下であった。得られた沈殿ケ
イ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1に示
した。
【0042】比較例2 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が650m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は4.5w
t%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の
乾燥気流中で風力分級機を用いて分級した。この時の分
級機系内の相対湿度は、1%以下であった。得られた沈
殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1
に示した。
【0043】比較例3 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が220m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が100℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は12.2
wt%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃
の乾燥気流中で風力分級機を用いて分級した。得られた
沈殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表
1に示した。
【0044】比較例4 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が220m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、過熱蒸
気の温度が500℃、粉砕圧力3.0(kg/cm2
G)の条件において流体エネルギーミルを使用し同時乾
操粉砕を行なった。この時流体エネルギーミルの出口温
度が180℃になる様に該スラリーを定量ポンプを用い
てフィードした。得られた沈殿ケイ酸の水分は3.0w
t%であった。さらに得られた沈殿ケイ酸を20℃、相
対湿度80%の気流中で風力分級機を用いて分級した。
得られた沈殿ケイ酸の二次粒子の粒度分布並びに平均粒
子径を表1に示した。
【0045】比較例5 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が220m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、噴霧乾
燥機を用いて乾燥した後、圧縮空気を用いて粉砕圧力
5.0(kg/cm2 G)の条件において粉砕を行なっ
た。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の乾燥気流中
で風力分級機を用いて分級した。得られた沈殿ケイ酸の
二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1に示した。
【0046】比較例6 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が120m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、噴霧乾
燥機を用いて乾燥した後、圧縮空気を用いて粉砕圧力
5.0(kg/cm2 G)の条件において粉砕を行なっ
た。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の乾燥気流中
で風力分級機を用いて分級した。得られた沈殿ケイ酸の
二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1に示した。
【0047】比較例7 ケイ酸ナトリウムと硫酸との中和反応を行ない、濾過・
洗浄後BET比表面積が150m2 /gの沈殿ケイ酸の
ケークを得た。次いで該ケークをスラリー化し、噴霧乾
燥機を用いて乾燥した後、圧縮空気を用いて粉砕圧力
5.0(kg/cm2 G)の条件において粉砕を行なっ
た。さらに得られた沈殿ケイ酸を100℃の乾燥気流中
で風力分級機を用いて分級した。得られた沈殿ケイ酸の
二次粒子の粒度分布並びに平均粒子径を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】参考例1 塗膜形成剤としてアミノアルキッド樹脂(日本ペイント
社製)を用い、樹脂100重量部に対して、キシレン1
0重量部、上記のように製造した各沈殿ケイ酸4重量部
を配合し、ペイントシェーカーを用いて30分分散し
た。この時の分散度を実施例1〜3、比較例1〜7につ
いて測定した結果を、表2に示した。さらに分散液を、
No.20バーコーターによりブリキ板(100×20
0mm)に塗布した後、120℃で20分乾燥し塗膜を
形成した。
【0050】この塗膜の光沢度を測定した結果を表2に
示した。また沈澱ケイ酸を配合しない液を同様に塗布し
て形成した塗膜の光沢度を測定し結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】参考例2 塗膜形成剤としてアクリルクリアー樹脂(関西ペイント
社製)を用い、樹脂100重量部に対して、専用シンナ
ー45重量部、上記のように製造した各沈殿ケイ酸4重
量部を配合し、ペイントシェーカーを用いて30分分散
した。この時の分散度を実施例1〜3、比較例3〜5に
ついて測定した結果を、表3に示した。さらに分散液
を、100μmアプリケーターによりガラス板(50×
100×3mm)に塗布した後、20℃で30分乾燥し
塗膜を形成した。
【0053】この塗膜の透過率を測定した結果を表3に
示した。また沈澱ケイ酸を配合しない液を同様に塗布し
て形成した塗膜の光沢度を測定し結果を表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、BET比表面積100
〜600m2 /g、平均二次粒子径0.1〜1.5μm
であり、かつ1.0μm以下の粒子が50wt%以上を
有しかつ8.0μm以上の粒子が存在しない新規な沈殿
ケイ酸を得ることができる。
【0056】また本発明により得られた物性を有する新
規な沈澱ケイ酸は、透明性に優れた樹脂用充填剤、光沢
に優れた樹脂用充填剤、粘度調整剤等として有用であ
る。
【0057】更に又、本発明の製造方法により、上記し
た物性を有する新規な沈殿ケイ酸を工業的に効率よく製
造することが出来るという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 33/193

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と硫酸との
    中和沈殿反応で製造した沈殿ケイ酸を過熱蒸気を用いた
    ジェットミル中で同時に乾燥・粉砕し、該沈殿ケイ酸を
    水分が可及的に少ない状態下で分級して得た、BET比
    表面積100〜600m2/g、コールターカウンター
    法により測定した平均二次粒子径が0.1〜1.5μ
    m、1.0μm以下の粒子が50wt%以上を有し、か
    つ8.0μm以上の粒子が存在しないことを特微とする
    沈殿ケイ酸。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と硫酸との
    中和沈殿反応において得られた沈殿ケイ酸を過熱蒸気を
    用いたジェットミル中で同時に乾燥・粉砕した後、沈殿
    ケイ酸の水分が10wt%以下であり、かつ系内の相対
    湿度が50%以下である条件下において分級する事を特
    徴とする請求項1に記載の物性を有する沈殿ケイ酸の製
    造方法。
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