JP3719103B2 - 車両用ドアの灰皿構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアの灰皿構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラックのキャブにおけるドアにおいては、運転者の視界をなるべく広くして、キャブ側方の歩行者や他の車両、器物等に対する視認性を向上し安全性を改善するために、ドアのウエストラインを低くして窓開口を広く設定したものが多い。この種のトラックキャブ用のドアでは、窓開口の下縁即ちウエストラインが低い位置にあるため、ドアインナパネルの車室内方の側面に装着されるトリムの窓開口下縁に近い上方部分に、車室内方に膨らんだ膨出部を設け、同膨出部に灰皿を配置する構造を採用することが好ましい。
【0003】
上記ドアトリムの上方部分に灰皿を収容する膨出部を設けた構造の一例を、図5の部分的斜視図、及び図6の断面図を参照して説明する。先ず、図5において、符号10はドアのインナパネル、12は同インナパネル10の車室内方の側面にねじその他任意の固着具によって装着されたトリムである。トリム12は、一例として、ポリプロピレン等適宜の樹脂材料で作られた基材に、スポンジ状樹脂薄板を被着し、さらに車室側の表面に塩化ビニル製表皮を被覆した3層構造の樹脂成形体からなり、車両の乗員が不用意に煙草の火を消そうとしてこすり付けると、部分的に溶融し変形する等の熱害を生じ易い性質を有する。トリム12の窓開口下縁に近い上方部分に車室内方に膨らんだ膨出部14が設けられ、同膨出部14に総括的に符号16で示した灰皿が配設されている。
【0004】
図5のVI−VI線に沿う断面図である図6に示されているように、上記インナパネル10の窓開口下縁を形成する上端部分は、リーンホースメント18によって補強され、その上端には窓ガラス20に弾性的に当接されるリップ22を備えた水切りストリップ24が取り付けられている。また、上記トリム12の膨出部14の頂壁14aは、車室内方から外方に向かって延び上記水切りストリップ24の上方部分まで延びている。上記トリム12の頂壁14aには、上記灰皿16を支持する断面形状が溝型をなす支持部材14bが配置され、同支持部材14bはポリプロピレン等適宜の樹脂材料を成形して作られ、トリム12の一部を構成すると共に、煙草の火に対してはトリム12と同様に熱害により変形し易い性質を有する。
【0005】
上記トリム12の膨出部頂壁14a(上記支持部材14bを含む)には、上記灰皿16を上方から挿入することができる灰皿挿入口26(図6に便宜的に2点鎖線で示されている)が設けられると共に、支持部材14bの底部には、灰皿16の下方部分を受容して位置決めする透孔28が設けられている。(なお、灰皿16が、上記灰皿挿入口26から下向きに挿入されたのち、車両走行中の振動等により上方に浮上って離脱することを防止するために、板ばね等を用いた弾性係止装置が灰皿16とトリム12又は支持部材14bとの間に設けられているが、本発明とは直接関係がないので、図示説明は省略する。)
【0006】
上記灰皿16は、全体として角柱状をなす有底筒状の灰皿本体30と、同灰皿本体30の上端開口を開閉自在に覆う蓋部材32とからなり、同蓋部材32は車室外方の一側縁を灰皿本体30の上端開口端における車室外方の側縁に図示しない枢支ピンによって枢着されている。また、灰皿本体30及び蓋部材32は、フェノール樹脂等自己消火性が高い樹脂材料によって作られ、煙草の火等を押しつけた場合でも、溶融したり変形することが少なく、トリム12に較べ遙かに優れた耐火性を有する。
【0007】
上記灰皿本体30の上端開口の周縁には、少なくとも車幅方向に延びた前後の側縁及び車両前後方向に延びた車室内方の側縁に、夫々上端開口から外方に延びたフランジ34a及び34bが設けられている。車室内の見栄え向上、ひいては居住性改善の観点から、上記蓋部材32を閉じた状態で、同蓋部材32の車室内方の自由端縁32aとトリム12の膨出部14との合わせ部分が実質的に一線をなすことが要望されている。このため、図6に示されているように、灰皿本体30の上端開口の車室内方側縁に設けられたフランジ34bの車幅方向の幅hを狭く設定し、蓋部材32の自由端縁32aが、閉鎖時上記フランジ34bを越えてトリム膨出部14の灰皿挿入口26を限界する側縁又はトリム上端縁部分14cに当接するように形成することが好ましい。
【0008】
しかしながら、図6の構造では、車両の乗員が蓋部材32を開いて不用意に煙草の火を灰皿本体30の上端開口の車室内方のフランジ34bに押し付けて消そうとした場合、同フランジ34bに隣接するトリム上端縁部14cが露出しているために、煙草の火の高熱によって同トリム上端縁部14cが溶融し変形する等の熱害が発生する。
上記トリム上端縁部14cの熱害を防止するためには、図7の要部断面図に示されているように、上記フランジ34bがトリム上端縁部14cを全体的に覆うように車室内方に延長し、蓋部材32の自由端縁32aがフランジ34bの上面に接するように構成すれば良いが、この場合、図中A及びBで示されているように、蓋部材32の自由端縁32aとフランジ34bとの合わせ線、及びフランジ34bとトリム上端縁部14cとの合わせ線の2本の線が外見上表われることとなり、見栄えが損なわれ、ひいては車室内の居住性が劣る不具合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み創案されたもので、車両の乗員が灰皿本体の蓋部材を開いて、同灰皿本体における上端開口の車室内方側縁部分に煙草の火を押しつけて消そうとした場合でも、トリムの溶融や変形等の熱害を起こすことがなく、また上記蓋部材の閉鎖時にその車室内方の自由端縁とトリムとの間に実質的に単一の線が表われることにより、見栄えを向上し、ひいては車室の居住性を向上し得るようにした車両用ドアの灰皿構造を提供することを、主たる目的とするものである。
さらに、本発明の他の目的は、上記蓋部材の閉鎖時に、その車室内方の自由端縁とトリムとの合わせ線が単一の線であると共に、蓋部材の閉鎖時に、その車幅方向に延びた前後側縁とトリムとの合わせ線が夫々単一の線で形成されることにより、見栄えを一層向上し、さらに車室内の居住性を改善することができる灰皿構造を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、車両用ドアのトリムに設けられた灰皿挿入口内に嵌装され、上端開口の車幅方向に延びた前後側縁及び車両前後方向に延びた車室内方側縁に夫々開口外方に延びたフランジを設けた有底筒状の灰皿本体と、同灰皿本体の上端開口の車両前後方向に延びた車室外方側縁に枢着されその回動により灰皿の上端開口を自在に開閉することができる蓋部材とを備え、上記灰皿本体の車室内方側縁のフランジが、上記トリムの灰皿挿入口側方の車室内方側縁部分を全体的に覆い、上記蓋部材の車室内方の自由端縁と、上記灰皿本体の車室内方端縁のフランジと、上記トリムの灰皿挿入口の車室内方側縁とが、上記蓋部材の閉鎖時に、上記自由端縁の車室内方への傾斜面、及び、上記フランジの車室内方部分における車室内方への傾斜面が略密着することにより、実質的に一線をなして接するように構成されたことを特徴とする車両用ドアの灰皿構造を提案するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を、図1ないし図4を参照して説明する。なお、図5ないし図7を参照して説明した従来の灰皿構造と実質的に同一の部材又は部分については、同一の符号を用い重複説明は省略する。
トリム12の膨出部14の頂壁14aに設けられた灰皿挿入口26から、有底筒状の灰皿本体30が上記膨出部14内に嵌装され、図示を省略されている板ばね等からなる係止手段によってトリム12又はインナパネル等のドア構成部材に係止されている。灰皿本体30の上端開口の車室外方の側縁に、蓋部材32の対応する側縁が枢支ピン36によって回動自在に枢着されている。
【0012】
上記灰皿本体30の上端開口の車両前後方向に延びた車室内方の側縁に、車室内方に向かって突設されたフランジ34bは、図2の断面図に示されているように、灰皿挿入口26の車室内方の側縁部分を形成するトリム上端縁部14cの全幅を覆うように形成され、また上記フランジ34bの車室内方の部分には傾斜面34b′が形成されている。一方、蓋部材32の車室内方の側縁32aは、同蓋部材32の閉鎖時に、上記傾斜面34b′に略密着するような傾斜面に形成されている。また、灰皿本体30の上端開口の半幅方向に延在しかつ開口外方に延びて形成された前後のフランジ34aは、図3の断面図に示されているように、トリム膨出部14の頂壁14aに設けられた段部14a′に乗架され、蓋部材32が閉鎖されたとき、同蓋部材の前後側縁32bが略密着し、かつ同側縁32bの端面と上記フランジ34aの端面とが実質的に同一面上に位置するように形成されている。
【0013】
上記灰皿構造によれば、灰皿本体30の上端開口に車室内方に向かって延びて形成されたフランジ34bが、トリム膨出部14の上端縁部14cの実質的に全体を覆っているので、図1に示すように蓋部材32を用いて、乗員が煙草の火を上記フランジ34bに押しつけて消した場合でも、トリム上端縁部14cが溶融して変形するような不具合がない利点がある。また、図2から明らかなように、上記フランジ34bの車室内方の部分に傾斜面34b′が形成されると共に、蓋部材32の対応する自由端縁32aが上記傾斜面34b′に実質的に密着する傾斜面に形成されて、トリム上端縁部14cとフランジ34bと蓋部材32の自由端縁32aとが、車室内方部分で実質的に一線αをなすように構成されているので、見栄えが優れ、車室の居住性を向上することができる。
【0014】
さらに、蓋部材32の車幅方向に延びた前後の側縁32bと、隣接するトリム12の上方部分14aとが、実質的に面一でかつ視覚上一線βをなすように形成されることにより、全体として図4の概略斜視図に示されているように、灰皿16の蓋部材32を閉じた状態において、同蓋部材32の前後側縁32b、及び車室内方側縁32aが、何れも単一の線α及びβとしてトリム12の頂壁14aに表われるので、見栄えが優れ、ひいては車室の居住性を一層向上し得る追加の利点がある。
【0015】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係る車両用ドアの灰皿構造は、車両用ドアのトリムに設けられた灰皿挿入口内に嵌装され、上端開口の車幅方向に延びた前後側縁及び車両前後方向に延びた車室内方側縁に夫々開口外方に延びたフランジを設けた有底筒状の灰皿本体と、同灰皿本体の上端開口の車両前後方向に延びた車室外方側縁に枢着されその回動により灰皿の上端開口を自在に開閉することができる蓋部材とを備え、上記灰皿本体の車室内方側縁のフランジが、上記トリムの灰皿挿入口側方の車室内方側縁部分を全体的に覆い、上記蓋部材の車室内方の自由端縁と、上記灰皿本体の車室内方端縁のフランジと、上記トリムの灰皿挿入口の車室内方側縁とが、上記蓋部材の閉鎖時に、上記自由端縁の車室内方への傾斜面、及び、上記フランジの車室内方部分における車室内方への傾斜面が略密着することにより、実質的に一線をなして接するように構成されたことを特徴とし、灰皿本体の上端開口の車両前後方向に延びた車室内方側縁部分に、乗員が煙草の火を押し付けて消そうとした場合でも、トリムの溶融、変形等の熱害を起こすことがなく、また灰皿本体の上端開口を蓋部材により閉鎖した場合に、同蓋部材の少なくとも上記車室内方側縁と、灰皿本体の車室内方の端縁と、トリムとが実質的に一線で交わるので、見栄えが優れ、ひいては車室の居住性を向上させ得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う部分的断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う部分的断面図である。
【図4】図1において蓋部材32を閉じた状態を示す概略斜視図である。
【図5】従来の車両用ドアにおける灰皿構造を示す概略斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図6の変形例を示した部分的断面図である。
【符号の説明】
10…ドアのインナパネル、12…トリム、14…トリム12の膨出部、14a…膨出部の頂壁、16…灰皿、20…窓ガラス、26…灰皿挿入口、30…灰皿本体、32…蓋部材、34a及び34b…灰皿上端開口周縁のフランジ、36…枢支ピン。
Claims (1)
- 車両用ドアのトリムに設けられた灰皿挿入口内に嵌装され、上端開口の車幅方向に延びた前後側縁及び車両前後方向に延びた車室内方側縁に夫々開口外方に延びたフランジを設けた有底筒状の灰皿本体と、同灰皿本体の上端開口の車両前後方向に延びた車室外方側縁に枢着されその回動により灰皿の上端開口を自在に開閉することができる蓋部材とを備え、上記灰皿本体の車室内方側縁のフランジが、上記トリムの灰皿挿入口側方の車室内方側縁部分を全体的に覆い、上記蓋部材の車室内方の自由端縁と、上記灰皿本体の車室内方端縁のフランジと、上記トリムの灰皿挿入口の車室内方側縁とが、上記蓋部材の閉鎖時に、上記自由端縁の車室内方への傾斜面、及び、上記フランジの車室内方部分における車室内方への傾斜面が略密着することにより、実質的に一線をなして接するように構成されたことを特徴とする車両用ドアの灰皿構造。
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JP2000159152A JP3719103B2 (ja) | 2000-04-20 | 2000-04-20 | 車両用ドアの灰皿構造 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family Applications (1)
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JP2000159152A Expired - Lifetime JP3719103B2 (ja) | 2000-04-20 | 2000-04-20 | 車両用ドアの灰皿構造 |
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2000
- 2000-04-20 JP JP2000159152A patent/JP3719103B2/ja not_active Expired - Lifetime
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