JP3718789B2 - 車両用シャッタ−の施錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貨物車両の荷物収納室の開口部を開閉するシャッタ−の施錠装置に関するものであり、簡単な操作で車両用シャッタ−における盗難防止を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
バンタイプトラック等の貨物車両においては、積荷の盗難を防止するべく、荷物収納室後方の開口部を開閉する扉体を設け、運転者が車両から離れる時に付属のシリンダ−錠を施錠するか、あるいは別途南京錠によって施錠を行っている。しかしながら、集配車の運転者にとって、一日に50から100回もの開閉の都度、施錠・解錠のキ−操作を行うことは非常に煩わしいものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる不具合を解決するべく創案されたものであって、より簡単な構成かつ操作を有するものでありながら、扉体の開放を良好に防止することができる施錠装置を提供することを目的とするものである。本発明の他の目的は、耐久性が良好な施錠装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両の荷物収容室の天井部から降下して収容室の開口部を閉鎖する車両用シャッターにおいて、シャッターカーテンの下端部位には開口部全閉時に開口部下枠に設けた被係合部に係合することでシャッターカーテンの上方への開放移動を規制する第一の施錠装置を設け、開口部側部にはシャッターカーテンの上方への開放移動を規制する第二の施錠装置を設け、該第二の施錠装置は遠隔操作によってシャッターカーテンに係脱する電気錠であると共に、該第二の施錠装置のロック位置を該第一の施錠装置のロック位置上限よりも若干上方に位置するように構成し、該第一の施錠装置のロック位置では、該第二の施錠装置には負荷がかからず、該第一の施錠装置を解錠してシャッターカーテンを上昇させると該第二の施錠装置が効いて上昇移動が規制されるようにしたことを特徴とするものである。
【0005】
第一の施錠装置は、シャッタ−カ−テンが下限位置にまで降下した状態で、シャッタ−カ−テン下端と開口部下枠とを機械的に係合する手動式の施錠装置であることが望ましい。このような施錠装置は好適には、シャッタ−カ−テンの下端に設けた係合ア−ムが上下に回動することで、開口部下枠に設けた係合ピンに係脱するものであり、係合ア−ムが係合ピンに深く食い込むことで、外力や走行時の振動に耐え得るものである。また、第一の施錠装置は、シャッタ−カ−テン下端の幅方向中央部位に設けるのがよい。
【0006】
第二の施錠装置を構成する電気錠は、アンテナを用いた無線装置や非接触キ−、運転席からのコントロ−ル等によって遠隔操作が可能であり、信号によって係合部が突出するようになっており、施錠状態でシャッタ−カ−テンを開放させようとするとシャッタ−カ−テンに設けたストッパが該係合部に下方から当接することでシャッタ−カ−テンの上方移動が規制されるように構成される。
【0007】
第一の施錠装置のロック位置上限とは、第一の施錠装置がロックした状態で幾分上下方向の遊びがあった場合に、施錠状態においてシャッタ−カ−テンが最も上位に位置する場合のロック位置を言うものである。そして、ロック位置上限より若干上方とは、第一の施錠装置のロック位置では、第二の施錠装置には一切負荷がかかっておらず、第一の施錠装置を解錠してシャッタ−カ−テンを上昇させると直ぐに第二の施錠装置が効いて上昇移動が規制される程度のことを言う。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は貨物車両を後方から見た一部切欠部分斜視図であって、本発明に係る施錠装置の概念図である。全体として直方体の形状を有する荷物収容室1の後方には荷物を搬入・搬出する開口部2が形成されている。開口部2はシャッタ−カ−テン3がガイドレ−ル4に案内されて上下動することで開閉自在となっている。シャッタ−カ−テン3は複数のパネルを上下方向に連設して構成されており、図2(b)に示すようにパネルの両端部にはガイドレ−ル4内を転動するロ−ラ3aが形成されている。
【0009】
図2(a)、(b)に示すように、ガイドレ−ル4は、開口部2の側部12a、12b(開口部2の側枠2a)に沿って上下方向に延出するように立設された垂直レ−ル4aと、収容室1の天井部に沿って車体前方に向かって水平状に延出する水平レ−ル4bとからなる。開口部開放時には、シャッタ−カ−テン3は水平レ−ル4b上に位置した収納状態にあり、天井部から垂直レ−ル4aに沿って降下して開口部2を閉鎖するようになっている。図2(b)、図7(a)では、開口部2の側枠に2aという符号を付してあるが、本明細書において側部12a、12bは開口部2の側枠2aをも含む広い概念として用いている。尚、このような車両用シャッタ−は公知である。
【0010】
図3はシャッタ−カ−テン3が開口部2を全閉した状態を示す正面図であって、本発明の第一の実施の形態を示すものである。シャッタ−カ−テン3を構成する最下端のパネルの幅方向中央部位の裏面側には第一の施錠装置5が設けてあり、開口部2の下枠6の幅方向中央部位に切欠形成した溝部7内に前後方向に延出させて設けた係合ピン8に係脱自在に係合するようになっている。施錠装置5は下方に向かって突出する一対の突起部9を有し、突起部9、9間には係合ピン8を受け入れる溝部9aが形成されている。シャッタ−カ−テン3が下限位置まで降下した時には、突起部9、9間に受け入れられる係合ピン8が図示しない作動ピ−スを押し上げることで、係合ア−ム10(図3では点線で示してある)が回動し、フック状の係合ア−ム10が係合ピン8に係合する。
【0011】
施錠装置5についてさらに説明すると、施錠装置5は手動式の施錠装置であって、係合ア−ム10を有するバネフック機構と、シャッタ−カ−テン3の外側に設けられた開閉レバ−11の操作によって係合ア−ム10と係合ピン8との係合を解除する解放機構と、シャッタ−カ−テン3の外側からのキ−操作によって開閉レバ−11の動きを停止させて解放機構をロックする施錠機構と、施錠機構によるロックに関わらずにシャッタ−カ−テン3の内側からの操作によって係合ア−ム10と係合ピン8との係合状態を解除する非常脱出用解放機構とを有する。
【0012】
バネフック機構は、係合ア−ム10を解放方向に回動するように付勢するスプリングと、シャッタ−カ−テン3を下限位置まで降下させたときに溝部9a内に導かれた係合ピン8により押し上げられて係合ア−ム10をスプリングの弾性力に抗して係合方向に回動させる作動ピ−スと、作動ピ−スにより回動された係合ア−ム10が係合ピン8と係合されたときに係合ア−ム10の回動を停止させるストッパを備えている。尚、このような施錠機構5は公知であり、例えば実用新案登録第2564007号に開示されている。
【0013】
開口部2の側部12a、12bの少なくともいずれか一方には第二の施錠装置が設けてある。第二の施錠装置は電気錠13であって、遠隔操作によって施錠・解錠ができるようになっている。電気錠13を設ける上下位置は限定されないが、下方に設置すれば、例えば内部からの非常解放の際に便利である。また、電気錠13は開口部2の側方に設けることでシャッタ−カ−テン3に対して係脱自在であればよく、電気錠13を設ける部位は開口部側枠でも収容室側壁でもよい。
【0014】
電気錠13は電気的に出没自在の係止部14を有し、シャッタ−カ−テン3を構成するパネルの所定部位に設けたストッパ15が係止部14に下方から当接することでシャッタ−カ−テン3の上方への開放移動を規制する。電気錠13は非常時にシャッタ−カ−テン3の内外から解錠できるようになっており、内部非常解錠サムタ−ン16および外部非常解錠シリンダ−17を備えている。このような電気錠自体は公知である。電気錠13の解錠指令はコントロ−ルユニット18によって制御されており、アンテナ19からの信号によって、コントロ−ルユニット18を介してリ−ド線20によって電気錠13のソレノイドに通電することで電気錠13を解錠する
【0015】
電気錠13のロック位置は第一の施錠装置5のロック位置上限よりも若干上方に位置させてあり、これは電気錠13の係止部14とパネル側のストッパ15との位置関係によって決定される。開口部2が完全に全閉された状態では第一の施錠装置5がシャッタ−カ−テン3の上方への移動を規制しており、この状態においては、電気錠13は効いておらず、電気錠13に負荷はかかっていない。第一の施錠装置5を解除してシャッタ−カ−テン3を上昇させようとすると、第一の施錠装置5よりわずか上方にロック位置を有する電気錠13がシャッタ−カ−テン3の上方への移動を規制する。第一の実施の形態のものでは、開口部閉鎖時には、突起部9が棒状の係合ピン8を両側から挾持する状態であり、施錠装置5の係合ア−ム10を上方に回動させて係合ピン8から外しても、シャッタ−カ−テン3は左右に揺れないので、電気錠13は開口部側部12a、12bのいずれか一方に設ければ良い。もっとも、開口部側部両側に電気錠13を設けてもよい。
【0016】
図5は本発明の第二の実施の形態を示す図であって、このものでは、第一の施錠装置の構成が第一の実施の形態と異なると共に、第二の施錠装置を構成する電気錠は開口部左右両側に設けてある。施錠装置50は、シャッタ−カ−テン3の下端部の幅方向中央部位に設けてあり、フック状の係合ア−ム100と、係合ア−ム100を回動操作するハンドル110とを有し、ハンドル110を回動させることで係合ア−ム100が開口部下枠6の幅方向中央部位に切欠形成した溝部7に設けた係合ピン80に係合し、シャッタ−カ−テン3の上方移動を規制する。このような施錠装置は公知である。
【0017】
開口部の左右の側部12a、12bには下方に位置して第二の施錠装置を構成する電気錠13が設けてある。電気錠13のロック位置は第一の施錠装置50のロック位置上限よりも若干上方に位置させてあり、開口部2が完全に全閉された状態では第一の施錠装置50がシャッタ−カ−テン3の上方への移動を規制しており、この状態においては、電気錠13は効いておらず、電気錠13に負荷はかかっていない。第一の施錠装置50を解除してシャッタ−カ−テン3を上昇させようとすると、第一の施錠装置50よりわずか上方にロック位置を有する電気錠13がシャッタ−カ−テン3の上方への移動を規制する。尚、電気錠の構成は第一の実施の形態のものと同様である。
【0018】
このように構成された施錠装置の作用について説明する。無線式あるいは非接触式手段による電気錠解除指令はコントロ−ルユニット18によって制御されており、指令に基づいて電気錠13のソレノイドに通電することで電気錠13を解錠する。そして、第一の施錠装置5、50のロック機構を解錠すれば、シャッタ−カ−テン3が上昇可能となり、開口部2を開放することができる。一方、電気錠13を解錠せずに第一の施錠装置5、50のみを解錠しても、電気錠13によってシャッタ−カ−テン3のパネルの上昇が拘束されており、シャッタ−カ−テン3を開放することはできない。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような有利な効果を奏する。
(1)第一の施錠装置と電気錠からなる第二の施錠装置との協働により、簡単な操作で解錠できるものでありながら、良好に盗難防止を図ることができる。通常の走行時における振動等の負荷を第一の施錠装置が受け持つので、第二の施錠装置を構成する電気錠には負荷がかからず、電気錠は軽い構造で済むと共に、電気錠の耐久性も良好である。
(2)本発明に係る電気錠は、後付けが容易であり、車体の改造を最小限に留めるものでありながら、既存の施錠装置に併せて付加することができる。また、電気錠は車体側に設置するものであるため、扉体側に設置する施錠装置に比べて、電線を扉体間にわたす必要がなく、扉体と電線の干渉によるドラブルを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】貨物車両を後方から見た一部切欠部分斜視図である。
【図2】(a)はガイドレ−ルの側面図、(b)はガイドレ−ルの垂直部とパネルの端部の取り合いを示す断面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係り、(a)はシャッタ−の全体正面図、(b)は第一の施錠部の側面図である。
【図4】第一の実施の形態に係る第一の施錠装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は室内側から見た正面図、(c)は側面図、(d)は外側から見た正面図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態に係り、(a)はシャッタ−の全体正面図、(b)は第一の施錠部の側面図である。
【図6】第二の実施の形態に係る第一の施錠装置の正面図である。
【図7】電気錠を示す図であって、(a)は平面図、(b)は室内側から見た正面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
1 荷物収容室
2 開口部
3 シャッタ−カ−テン
5、50 第一の施錠装置
13 電気錠
Claims (1)
- 車両の荷物収容室の天井部から降下して収容室の開口部を閉鎖する車両用シャッターにおいて、シャッターカーテンの下端部位には開口部全閉時に開口部下枠に設けた被係合部に係合することでシャッターカーテンの上方への開放移動を規制する第一の施錠装置を設け、開口部側部にはシャッターカーテンの上方への開放移動を規制する第二の施錠装置を設け、該第二の施錠装置は遠隔操作によってシャッターカーテンに係脱する電気錠であると共に、該第二の施錠装置のロック位置を該第一の施錠装置のロック位置上限よりも若干上方に位置するように構成し、該第一の施錠装置のロック位置では、該第二の施錠装置には負荷がかからず、該第一の施錠装置を解錠してシャッターカーテンを上昇させると該第二の施錠装置が効いて上昇移動が規制されるようにしたことを特徴とする車両用シャッターの施錠装置。
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