JP3718489B2 - 溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置および除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属めっきにおけるスナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属めっきにおけるスナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去する装置および方法に関しては、従来から以下のような提案がなされている。
例えば、特開平8−269659号公報には、同公報の図1に示されているように、溶融金属の供給ノズルを1基設置し、鋼板の片面側のみに溶融金属を吹付ける方法、或いは供給ノズルの中央が鋼板端面となるような位置に設置する方法が開示されている。
【0003】
しかし、この従来技術は片面のみに溶融金属を吹付けるため、鋼板の両面(表裏面)の浴流れを安定化させることは困難であった。
また、同じく、特開平8−269659号公報の図5に開示されている吸引口は、開口部が上下に延びる筒体を斜め下方に分断した形状を有しているので、溶融金属の供給口と対向側の鋼板側面においてドロスの滞留が発生しやすいという問題点があった。
【0004】
さらに、特開平8−3706号公報には、スナウト内浴面下に設置された吹付けノズルから浴中鋼板面に溶融金属または非酸化性ガスを鋼板の進行方向とは逆方向(上方向)に吹付ける方法が開示されているが、吹付け流量によっては鋼板から剥離した浴流れがスナウト内壁に到達し、鋼板に向かう反転流が発生するためドロスの付着や浴流れを誘発するうえ、長期間使用する間にスナウト内にドロスが堆積するという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、鋼板表面への溶融金属めっきに際して、スナウト内溶融金属のドロスが鋼板に付着することを回避し、さらにスナウト内にドロスが堆積することを防止し、めっき品質および外観を確保することができるスナウト内ドロスの除去装置および除去方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために溶融金属の供給ノズルや吹付けノズルを改善した結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)溶融金属めっきにおけるスナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去する装置であって、鋼板の片方の側面における溶融金属浴の浴面近傍に、該鋼板の表裏面に溶融金属を供給する2基の供給ノズルを有し、かつ、前記鋼板の他方の側面における溶融金属浴の浴面近傍に、該溶融金属を吸引する吸引口を有し、前記溶融金属を吸引する吸引口が箱型形状であって、該吸引口の中央に整流板を有することを特徴とする溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置。
【0007】
(2)前記溶融金属を鋼板の表裏面に吹付ける吹付けノズルが、鋼板の進行方向と逆方向であって、かつ、前記溶融金属を供給する浴流れ方向に傾斜していることを特徴とする(1)に記載の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置。
(3)(1)または(2)に記載の装置を用いて該スナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去することを特徴とする溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図4を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置の側面図である。
図1において、冷間圧延および焼鈍された鋼板1は、スナウト2の中を搬送されて、溶融金属めっきポット8に導入されて、溶融金属めっき浴7に浸漬されることにより表面に溶融金属めっきが施される。
この、溶融金属めっき浴7の浴面には、金属酸化物(アッシュ)や鋼板からのFeの溶出によるFe−Al系およびFe-Zn系の浮遊物(ドロス)が存在し、鋼板1の表面に付着したり、巻き込まれたりして表面欠陥や不めっきの原因となる。
【0009】
そこで、このドロスを除去するために、吹付けノズル5a,5bにより溶融金属を鋼板1の表裏面に吹付けるとともに、鋼板1の片方の側面から溶融金属の供給ノズル3により溶融金属を供給し、他方の側面に設置された箱型吸引口4にて吸引することにより、溶融金属浴面の浴流れを形成することにより、浴面に浮遊するドロスを除去することができる。
この溶融金属の供給ノズル3は、鋼板1の表裏面にそれぞれ一基ずつ設置されているので、鋼板1の表裏両面のドロスを除去することができる。
また、図1に示すように、溶融金属の吹付けノズル5a,5bは鋼板1の進行方向と逆向き(上方向)で、かつ、溶融金属の浴流れ方向に傾斜している。このように溶融金属の吹付けノズル5a,5bを傾斜させることにより、浴流れを促進することにより、ドロスの除去効果を高めることができる。
【0010】
図2は、本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置の平面図である。
図2において、鋼板1の片方の側面に溶融金属の供給ノズル3が2基設置されており、それぞれ、鋼板1の表裏の両面に溶融金属を供給することができる。
また、鋼板1の他方の側面には、吸引口4が設置されており、溶融金属を吸引することにより、溶融金属の浴流れを形成することができる。
さらに、図2に示すように、溶融金属の吹付けノズル5a,5bは溶融金属の浴流れ方向に傾斜しているので、浴流れを促進することにより、ドロスの除去効果を高めることができる。
【0011】
図3は、本発明の本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置に用いる吹付けノズルの詳細図である。
鋼板1は、スナウト2の中を矢印の方向に搬送され、溶融金属めっき浴に浸漬される。この溶融金属めっき浴の液面近傍にて、溶融金属の吹付けノズル5a,5bによって、溶融金属が鋼板1の表裏面に吹付けられるので、鋼板1の表面へのドロスの付着を防止することができる。
図3に示すように、吹付けノズル5a,5bを鋼板の進行方向と逆方向(上方向)に傾斜させているので、ドロスの除去効果を高めることができる。
【0012】
図4は、本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置に用いる吸引口の詳細図である。
図4において、吸引口4は箱型形状となっており、供給された溶融金属をキャッチし易い構造となっているので、吸引効果を著しく高めることができる。
また、吸引口4の中央部に三角柱の形状の整流板6を設けているので、溶融金属の浴流れを整流化することにより、安定した浴流れを実現することができる。
【0013】
以上のように、スナウト内浴面におけるドロスを除去するために、スナウト内浴面近傍に溶融金属を供給するノズルを鋼板の側面に鋼板の表裏のドロス除去性を確保するためにそれぞれ1基ずつ合計2基設置し、さらに吸引口付近でのドロスの滞留を防止するためにスナウト内浴面下に設置された吹付けノズルにより吸引口への流れを促進させることができる。
さらに吸引口近傍でのドロスの滞留を防止するために吸引口の形状を箱型とした上、吸引口中央部に仕切り板を設置し、鋼板表裏の浴流れを促進し、ドロスの滞留を防止することができる。
スナウト2内の浴面近傍で発生したドロスを供給ノズル3およびスナウト2内浴面下に設置されたノズル5a、5bより溶融金属を供給し鋼板1近傍のドロスを除去し、箱型吸引口4にて吸引されスナウト2外へ排出される。また箱型吸引口4近傍に滞留するドロスは整流板6にて箱型吸引口へよどむことなく吸引される。
【0014】
【実施例】
本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置および除去方法を、板厚2〜9mm のZn-11%Al-3%Mg-0.2%Siからなる溶融金属めっきを、ライン速度40〜60mpm、浴温430±10℃の条件にて施した鋼板に適用したにおける実施例を表1に示す。
No.1およびNo.2は比較例であり、溶融金属の供給ノズルおよび吸引口、吹付けノズル(浴中ノズル)のいずれも設置していないため、表面欠陥個数が60以上(個/m2)となった。
【0015】
No.3も比較例であり、溶融金属の供給ノズルを1基と、従来の円筒竹割型の吸引口を設置したところ、表面欠陥個数が35〜43(個/m2)に減少した。
No.4,No.5は本発明例(実施例)であり、溶融金属の供給ノズルを2基と、本発明の整流板を設けた箱型の吸引口を設置したところ、表面欠陥個数が18〜28(個/m2)に減少した。
No.6〜,No.8は本発明例(実施例)であり、溶融金属の供給ノズルを2基と、本発明の整流板を設け、さらに、浴中の吹付けノズル(浴中ノズル)を設置したところ、表面欠陥個数が0〜5(個/m2)に減少した。
【表1】
Figure 0003718489
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、鋼板表面への溶融金属めっきに際して、スナウト内溶融金属のドロスが鋼板に付着することを回避し、さらにスナウト内にドロスが堆積することを防止し、めっき品質および外観を確保することができるスナウト内ドロスの除去装置および除去方法を提供することができ、具体的には以下のような産業上有用な著しい効果を奏する。
従来の方法では鋼板の表裏のドロス滞留および吸引口近傍でのドロス滞留を防止することが困難であったが、本発明により鋼板表裏及びスナウト内のドロス除去性を連続的に確保できるため、ドロスに起因する表面凹凸やめっき剥離の発生を大幅に改善可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置の側面図である。
【図2】 本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置の平面図である。
【図3】 本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置に用いる吹付けノズルの詳細図である。
【図4】 本発明の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置に用いる吸引口の詳細図である。
【符号の説明】
1 :鋼板、
2 :スナウト、
3 :供給ノズル、
4 :箱型吸引口、
5a:吹付けノズル(表面)、
5b:吹付けノズル(裏面)、
6 :整流板、
7 :溶融金属めっき浴、
8 :溶融金属めっきポット

Claims (3)

  1. 溶融金属めっきにおけるスナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去する装置であって、鋼板の片方の側面における溶融金属浴の浴面近傍に、該鋼板の表裏面に溶融金属を供給する2基の供給ノズルを有し、かつ、前記鋼板の他方の側面における溶融金属浴の浴面近傍に、該溶融金属を吸引する吸引口を有し、前記溶融金属を吸引する吸引口が箱型形状であって、該吸引口の中央に整流板を有することを特徴とする溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置。
  2. 前記溶融金属を鋼板の表裏面に吹付ける吹付けノズルが、鋼板の進行方向と逆方向であって、かつ、前記溶融金属を供給する浴流れ方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の装置を用いて該スナウト内の溶融金属浴面に浮遊するドロスを除去することを特徴とする溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法。
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