JP3007830B2 - 溶融金属めっきの余剰めっき液の除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属めっきの
余剰めっき液の除去装置に関し、詳しくは、金属めっき
がなされた金属めっき板の側端面に付着する余剰めっき
液を良好に除去しようとする技術に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、めっき浴１を通過して上方に引き
上げられる金属めっき板２の側端面に付着した余剰めっ
き液を吸引して除去する溶融金属めっきの余剰めっき液
の除去装置は、図６に示すように、固定レールＡに対し
て移動自在に設けられた基体Ｂに金属めっき板２の側端
面に当接する略Ｖ字状の追随ローラＣと、金属めっき板
２の側端部に付着した余剰めっき液を除去するノズル３
が付設され、基体Ｂにワイヤー１１が係着され、ワイヤ
ー１１の先端にウエイト１３が係着され、基体Ｂ側のガ
イドロール９が固定レールＡに係合され、しかして、ウ
エイト１３により重力付勢された基体Ｂを金属めっき板
２側に付勢し、追随ローラＣが金属めっき板２の側端面
に当接し、めっき浴１を通過して上方に引き上げられる
金属めっき板２が板面と略平行な方向へ蛇行することに
追随し、金属めっき板２の側端部に付着した余剰めっき
液を除去手段３にて例えば吸引除去するようにしてあ
る。図中７はシンクロールであり、金属板を誘導してい
る。１６はエアーノズルであり、金属めっき板２の両面
に配設されて、両面の余剰めっき液を除去するものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来
の構成のものにおいては、金属めっき板２の板面に沿う
方向の蛇行には追随するが、板厚方向の移動には追随し
難く、このため、金属めっき板２の側端面に付着した余
剰めっき液を良好に除去することができないという問題
があった。このように、側端面における余剰めっき液が
除去されないと、金属めっき板２自体が格落ち品となる
とともに、側端面における金属めっき板２の厚みが厚く
なり、金属めっき板２（ストリップ）をコイル状に巻き
取るのに、所定長さの金属めっき板２の巻き取りが不能
となり重量・長さ不足となる。また、形状不良等にもな
るため、これらを矯正する工程が増すことにもなる。

【０００４】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、金属めっきがな
された金属めっき板の側端面に付着する余剰めっき液を
良好に除去することができる溶融金属めっきの余剰めっ
き液の除去装置を提供しようとするにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１においては、め
っき浴１を通過して上方に引き上げられる金属めっき板
２の側端面に付着した余剰めっき液ａを除去する除去装
置であって、金属めっき板２の移動経路で、金属めっき
板２の側端面に沿う位置に上下に長い揺動バー５が金属
めっき板２の板厚方向に揺動自在に吊下げ保持され、金
属めっき板２の側端面に対向して余剰めっき液ａをエア
ー圧を利用して除去する除去手段３と、金属めっき板２
の側端部に係合して金属めっき板２の板厚方向の揺れに
追随する追随具４とが揺動バー５に取付けられて成るこ
とを特徴とするものである。

【０００６】請求項２においては、除去手段３と追随具
４とは近接して成ることを特徴とするものである。請求
項３においては、除去手段３はエアーの吸引に伴って余
剰めっき液ａを吸引する吸引用ノズル３ｙもしくはエア
ーの吹き出し力を利用して余剰めっき液ａを除去するす
エアー整流板３ｘであり、吸引用ノズル３ｙとエアー整
流板３ｘとが取替え自在になされて成ることを特徴とす
るものである。

【０００７】請求項１においては、揺動バー５に付設さ
れている追随具４は金属めっき板２の側端部に係合して
揺動バー５は金属めっき板２の板厚方向に揺動すること
ができ、除去手段３を金属めっき板２の側端面に常に追
随させることができ、金属めっき板２の側端面に付着し
た余剰めっき液ａを良好に除去することができる。請求
項２においては、除去手段３は追随具４の近くにあっ
て、より一層追随性を高めることができる。

【０００８】請求項３においては、金属めっき液の種類
に応じて、吸引用ノズル３ｙとエアー整流板３ｘとを使
い分けることができ、金属めっき液の種類が異なる毎
に、装置全体を取り替えるようなことがなく、除去手段
３のみを取り替えればよく、作業性を向上させ、かつ装
置を簡素化することができるという利点がある。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて詳述する。長尺な金属板がシンクロール７にガ
イドされて、めっき浴１に浸漬され、金属めっきが施さ
れ、金属めっき板２がめっき浴１を通過して上方に引き
上げられ、乾燥工程等を終えて巻取りロールに巻取られ
る。この場合、めっき浴１から引上げられる金属めっき
板２には、中央部はもちろん側端部にもめっき液が付着
している。金属めっき板２の板面に付着しているめっき
液は、金属めっき板２の両面に設けられていて、板面に
対して一列状に配設されたエアーノズル１６からの圧力
エアーの吹き出しによるいわゆるエアーナイフによっ
て、めっき液を除去してめっき浴１に流下させることが
できるようにしてある。ところで、金属めっき板２の側
端部に付着している余剰めっき液ａも除去するのであ
り、以下その構成を詳述する。

【００１０】金属めっき板２の移動経路の両側部には、
固定レール８，８が設けられている。移動基体１０には
上下にガイドロール９…が設けられ、ガイドロール９…
が固定レール８に係合されて移動基体１０を金属めっき
板２の板面に沿う方向に移動できるようにしてある。固
定レール８の上縁部は逆Ｖ字状に形成されていて、上縁
部にごみが堆積するのを回避している。

【００１１】移動基体１０には余剰めっき液ａを除去す
る除去手段３と、金属めっき板２の所定の移動軌跡から
外れるのに追随する追随具４が設けられている。また、
移動基体１０にはワイヤー１１が係着され、ワイヤー１
１はローラ１２に巻回されて端部にはウエイト１３が係
着されている。しかして、ウエイト１３の重力がワイヤ
ー１１を介して移動基体１０に掛かり、移動基体１０を
金属めっき板２側に付勢し、追随具４のＶ形ローラ４ａ
が金属めっき板２の側端面に当接し、このように、金属
めっき板２の両側からＶ形ローラ４ａ，４ａが当接し、
除去手段３，３を金属めっき板２の板面に沿う方向の移
動に追随することができるようにしてある。

【００１２】そして、金属めっき板２の板厚方向の揺れ
に対しては以下のような構成にて追随することができる
ようにしてある。即ち、移動基体１０の背面側にはステ
ーを介して軸６が、その軸芯を金属めっき板２の板面に
沿う方向と略平行になるように取付けられ、この軸６に
揺動バー５が揺動自在に吊下げ保持されている。このよ
うに、軸６を移動基体１０に保持する構成は種々設計変
更可能である。揺動バー５の下端に上記除去手段３が取
付けられ、除去手段３のやや上方、具体的には約１５０
ｍｍ程度の間隔を隔てて追随具４のＶ形ローラ４ａが取
付けられている。

【００１３】しかして、揺動バー５は軸６の廻りに回動
して金属めっき板２の板厚方向に揺動し、揺動バー５に
付設されている除去手段３及びＶ形ローラ４ａは金属め
っき板２の板厚方向の移動に対して充分に追随するので
ある。このように、除去手段３を金属めっき板２の側端
部に常に追随させることができ、金属めっき板２の側端
面に付着した余剰めっき液ａを良好に除去することがで
きるのである。かかる場合、除去手段３とＶ形ローラ４
ａとは近接していて、より一層追随性を高めるのであ
る。

【００１４】図２に示すように、除去手段３は例えば吸
引用ノズル３ｙであり、両端が開口した筒状体に形成さ
れ、エアー導入部には斜面３ａが形成され、斜面３ａに
沿って導入されるエアーが出口に向けて噴出されること
に伴うエゼクター作用で金属めっき板２側からエアーを
吸い込んで、金属めっき板２に付着している余剰めっき
液ａを除去するものである。吸引用ノズル３ｙの筒状体
はステンレス鋼製で、表面硬化処理及び平滑化処理がな
されていて、余剰めっき液ａが付着するのを回避すると
ともに、付着したものを容易に除去できるようにしてあ
る。

【００１５】追随具４のＶ形ローラ４ａには、一対のガ
イド板４ｂ，４ｂが付設されていて、金属めっき板２の
端部のガイドを容易におこなえるようにしてある。ま
た、Ｖ形ローラ４ａにはエアー経路からエアーが吹き付
けられてＶ形ローラ４ａの冷却を図るようにしてある。
図１において、矢印イはエアー供給を示している。とこ
ろで、鉄板にアルミ亜鉛めっきをおこなう場合で、金属
めっき板２の側端部に付着している余剰めっき液ａを除
去するのに、めっき液の粘度が低く、このため、上記吸
引用ノズル３ｙのようなアスピレータにて余剰めっき液
ａを吸引除去するものであり、一方、鉄板に亜鉛めっき
をおこなう場合で、金属めっき板２の側端部に付着して
いる余剰めっき液ａを除去するのに、めっき液の粘度が
高く、このため、吸引用ノズル３ｙによる吸引除去がや
や困難となる。以下、余剰めっき液ａをエアー整流板３
ｘにより除去する構成を詳述する。

【００１６】図３は吸引用ノズル３ｙに代えて、エアー
整流板３ｘを使用する概略図を示している。図４に示す
ように、エアー整流板３ｘは金属めっき板２の板厚方向
に対して略直交する鉛直面３ｆを備え、この鉛直面３ｆ
が金属めっき板２との間に所定の間隔ｄを隔てて保持さ
れている。鉛直面３ｆを備えた縦板の下方部が下方程金
属めっき板２の側端面から離れる方向に湾曲されてい
る。また、縦板の巾方向の中央部に縦板とは略直交させ
て風受け板３ｄが設けられて構成されているものであ
る。この風受け板３ｄは金属めっき板２と略同一面上に
保持されることで、金属めっき板２のようにエアーノズ
ル１６から吹き出される圧力エアーを受けることで、金
属めっき板２の側端面において、エアーノズル１６，１
６から吹き出される圧力エアーが金属めっき板２の側端
面部分において衝突して乱流となり、側端面を含めた金
属めっき板２の端部のめっき面を荒らすのを回避するも
のである。

【００１７】しかして、エアーノズル１６，１６から金
属めっき板２の板面に対して水平から下向き約７°程度
の角度をつけて吹き出される圧力エアーは、金属めっき
板２の側端部の近傍においては、縦板の鉛直面３ｆ及び
鉛直面３ｆの下方の湾曲面３ｅにガイドされ、金属めっ
き板２の側端面に対して設定されている所定の間隔ｄを
通過する圧力エアーによって、金属めっき板２の側端面
の余剰めっき液ａを吹き飛ばして除去するのであり、そ
して、圧力エアー及び吹き飛ばされた余剰めっき液ａは
縦板の下方の湾曲面３ｅにガイドされ、金属めっき板２
の側端面から緩やかに離れ、余剰めっき液ａを安定して
除去するのである。また、エアーノズル１６，１６から
金属めっき板２の側端面から離れて吹き出される圧力エ
アーは、風受け板３ｄの両面に当たるとともに、金属め
っき板２の側端面側においては、縦板の下方内面側の湾
曲面３ｅにガイドされて圧力エアーは金属めっき板２の
側端面から緩やかに離れるように下方に導かれるのであ
る。このようにして、金属めっき板２の側端面の余剰め
っき液ａを良好に除去するのである。そして、エアー整
流板３ｘの構成は、縦板に風受け板３ｄを取付け、縦板
の鉛直面３ｆの下方に湾曲面３ｅを形成するという簡素
な構成でよいものである。図５はエアー整流板３ｘの他
の実施の形態を示していて、上記実施の形態における縦
板を外して、風受け板３ｄのみにしたものである。この
ように、エアー整流板３ｘの形態は種々設計変更可能で
ある。

【００１８】除去手段３の吸引用ノズル３ｙとエアー整
流板３ｘとは、取替え自在に構成されていて、上述のよ
うに金属めっき液の種類によって、使い分けることがで
きるようにしてある。以下その構成を詳述する。揺動バ
ー５がパイプ状に形成されてコンプレッサーのような送
風手段（図示せず）に接続されて圧力エアーを送ること
ができるようにしてある。この揺動バー５の途中に継手
１７が設けられ、継手１７に対して、吸引用ノズル３ｙ
を下端に備えたパイプ体１８の上端の接続具１９ａを取
外し自在に接続することができるようにしてある。ま
た、継手１７に対して、エアー整流板３ｘを下端に備え
た保持材２０の上端の接続具１９ｂを取外し自在に接続
することができるようにしてある。これら接続具１９
ａ，１９ｂは同一形状のものである。そして、継手１７
に対して接続具１９ａ，１９ｂを接続する構成は、ねじ
締めや嵌合手段等どのようなものであってもよい。そし
て、エアー整流板３ｘを使用する場合には、接続具１９
ｂの接続状態では、保持具２０へのエアーの供給が断た
れ、エアー整流板３ｘ側にはエアーは供給されることが
ないものである。

【００１９】このように、金属めっき液の種類に応じ
て、吸引用ノズル３ｙとエアー整流板３ｘとを使い分け
ることで、金属めっき液の種類が異なる毎に、装置全体
を取り替えるようなことがなく、除去手段３のみを取り
替えればよく、作業性を向上させ、かつ装置を簡素化す
ることができるのである。

【００２０】

【発明の効果】請求項１においては、金属めっき板の移
動経路で、金属めっき板の側端面に沿う位置に上下に長
い揺動バーが金属めっき板の板厚方向に揺動自在に吊下
げ保持され、金属めっき板の側端面に対向して余剰めっ
き液をエアー圧を利用して除去する除去手段と、金属め
っき板の側端部に係合して金属めっき板の板厚方向の揺
れに追随する追随具とが揺動バーに取付けられているか
ら、揺動バーに付設されている追随具は金属めっき板の
側端部に係合して揺動バーは金属めっき板の板厚方向に
揺動することができ、除去手段を金属めっき板の側端面
に常に追随させることができ、金属めっき板の側端面に
付着した余剰めっき液を良好に除去することができると
いう利点がある。

【００２１】請求項２においては、除去手段と追随具と
は近接しているから、除去手段は追随具の近くにあっ
て、より一層追随性を高めることができるという利点が
ある。請求項３においては、除去手段はエアーの吸引に
伴って余剰めっき液を吸引する吸引用ノズルもしくはエ
アーの吹き出し力を利用して余剰めっき液を除去するエ
アー整流板であり、吸引用ノズルとエアー整流板とが取
替え自在になされているから、金属めっき液の種類に応
じて、吸引用ノズルとエアー整流板とを使い分けること
ができ、金属めっき液の種類が異なる毎に、装置全体を
取り替えるようなことがなく、除去手段のみを取り替え
ればよく、作業性を向上させ、かつ装置を簡素化するこ
とができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示し、（ａ）は概略正
面図、（ｂ）は概略側面図である。

【図２】（ａ）は吸引用ノズルの作用を示す概略断面
図、（ｂ）（ｃ）は作用を示す概略平断面図である。

【図３】同上のエアー整流板を使用する概略正面図であ
る。

【図４】（ａ）はエアー整流板の部分断面図、（ｂ）は
金属めっき板の余剰めっき液を除去する前の概略断面
図、（ｃ）は作用を示す平断面図、（ｄ）は作用を示す
側断面図である。

【図５】同上のエアー整流板の他の実施の形態を示す概
略平断面図である。

【図６】従来例を示し、（ａ）は概略正面図、（ｂ）は
概略側面図である。

【符号の説明】

１ めっき浴 ２ 金属めっき板 ３ 除去手段 ４ 追随具 ５ 揺動バー

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−145329（ＪＰ，Ａ) 実開 昭50−52213（ＪＰ，Ｕ) 特表 平２−502169（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 めっき浴を通過して上方に引き上げられ
   る金属めっき板の側端面に付着した余剰めっき液を除去
   する除去装置であって、金属めっき板の移動経路で、金
   属めっき板の側端面に沿う位置に上下に長い揺動バーが
   金属めっき板の板厚方向に揺動自在に吊下げ保持され、
   金属めっき板の側端面に対向して余剰めっき液をエアー
   圧を利用して除去する除去手段と、金属めっき板の側端
   部に係合して金属めっき板の板厚方向の揺れに追随する
   追随具とが揺動バーに取付けられて成ることを特徴とす
   る溶融金属めっきの余剰めっき液の除去装置。
2. 【請求項２】 除去手段と追随具とは近接して成ること
   を特徴とする請求項１記載の溶融金属めっきの余剰めっ
   き液の除去装置。
3. 【請求項３】 除去手段はエアーの吸引に伴って余剰め
   っき液を吸引する吸引用ノズルもしくはエアーの吹き出
   し力を利用して余剰めっき液を除去するエアー整流板で
   あり、吸引用ノズルとエアー整流板とが取替え自在にな
   されて成ることを特徴とする請求項１又は請求項２記載
   の溶融金属めっきの余剰めっき液の除去装置。