JP5561116B2 - スナウト内ドロスの除去装置 - Google Patents
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Description
上記溶融金属めっき装置は、通常、上記スナウトは溶融金属浴面に対して一定の角度で斜めに挿入されており、また、溶融金属浴内には、スナウト内に位置する金属板の板面に溶融金属を吹付ける複数の噴射ノズルが配置された構成となっている。
上述のように生成されたドロスは、溶融金属浴面に浮遊し、溶融金属浴内に浸漬される金属板の表面に付着して品質不良を生じさせる原因となっていた。
このような構成を備えた溶融金属浴の場合、上述のように、スナウト内には該スナウト内に位置する金属板の板面に溶融金属を吹付ける複数の噴射ノズルが配設されている。
通常、これらの噴射ノズルは、図8(なお、図8中の矢印は液流の方向を示す。)に示すように、溶融金属浴面とスナウト先端との中間位置の高さにある金属板の板面を噴射目標位置として、溶融金属をスナウト外の下方からそれぞれ噴射する。これらの噴射ノズルから噴射された溶融金属の噴流は、金属板の板面に衝突し、反射されることとなるが、このとき、この金属板に反射された溶融金属の流れによって、溶融金属浴面には、金属板から離れる方向に向かう液流が形成されるため、この液流によって浮遊ドロスは金属板から離れる方向に押し流される。そして、その金属板から離れる方向に押し流された浮遊ドロスが、上記吐出ノズルから吸引口へ向かう溶融金属の流れによって該吸引口側にさらに押し流され、この吸引口からスナウト内のドロスが回収、除去される。
そうすると、上記噴流方向に反転した液流が、上記随伴流によって勢いを増す一方で、該随伴流自体も噴射ノズル22からの噴流に干渉するため、該噴流の勢いが著しく低下し、これにより、上述した溶融金属浴面において金属板23から離れる方向に向かう液流の発生が阻害されたり、またその液流が発生しても勢いが弱い状態となったりしていた。
そのため、スナウト内の浮遊ドロスの除去を効率よく行うことができず、該浮遊ドロスの金属板表面への付着を十分に防止できない現象が生じていた。このような現象は、スナウト内における金属板と溶融金属浴面(浴内側)とが鋭角をなす側(図8における金属板22の左側)において顕著にあらわれる傾向にあり、ドロス付着による品質不良が生じる原因となる場合があった。
また、この場合においては、上記整流板を、金属板と対向する端部側が上記噴射ノズルの噴射目標位置と同じ高さ方向に向き、且つ金属板側の端部側に行くに従って溶融金属浴面に近づくように傾斜した状態でスナウト内に配設することが好ましい。
さらに、上記整流板を、金属板対向する端部側とは反対側の端部とスナウト内壁との間に隙間を形成した状態で該スナウトに固定することができる。
さらに、噴射ノズルから噴射された溶融金属は、金属板の溶融金属への侵入位置の高さ、即ち溶融金属浴面で金属板の板面に衝突して反転するため、反転した溶融金属の流れが金属板による随伴流により勢いが増大する機会が大幅に抑えられる。
これにより、溶融金属浴面には、浮遊ドロスが金属板から離れる方向の液流が確実且つ安定的に発生するため、該浮遊ドロスを効率よく除去することができると共に、浮遊ドロスの金属板への付着を抑止することができるため、ドロス付着に起因するめっきをした金属板の品質不良を抑えることができる。
なお、図中の太線の矢印は液流の方向を示している。
さらに、上記噴射ノズル4から噴射された溶融金属が金属板3の板面に衝突した後に生じる溶融金属の流れを制御する整流板8を備えている。
この噴射ノズル4,5は、溶融金属浴1中の金属板3の板面に対して溶融金属を噴射して、その噴流を金属板3に衝突させて反転させることにより、図4に示すように、スナウト2内の溶融金属浴面1aに、金属板3から離れる方向(金属板3の板面と対向するスナウト2の長手の内壁に向かう方向)の液流(以下「剥離流」という。)を発生させる機能を備えているものである。
この実施の形態においては、上記各噴射ノズルは、金属板3の板面の両面に6本ずつ設けられており、各噴射ノズルは、金属板3の板面の両面側に延びた噴射ノズル用の供給管9,10にそれぞれ取付けられている。また、各噴射ノズル4,5は、各供給管9,10を通じて、溶融金属浴1外に設けられたポンプ9a,10aによる溶融金属の圧送がそれぞれ行われる構成となっている。
したがって、これらの噴射ノズル4は、溶融金属浴1内においてはスナウト2内の金属板3の板面に向いた斜め上方向き、且つ吸引口側の斜め方向に噴流を形成するように溶融金属を噴射するようになっている。
一方、スナウト2内における金属板3と溶融金属浴面1a(浴内側)とが鈍角をなす側(図2における金属板の右側。以下、この実施の形態においては「金属板の裏面側」という。)に位置する各噴射ノズル(別の噴射ノズル)5は、その噴射口が、溶融金属浴1に浸漬されたスナウト2内の金属板3の板面に対して、側面視において斜め上方向き、且つ平面視においては吸引口の方向側に斜めに傾いた方向に向いた状態で配設されている。
したがって、これらの噴射ノズル5は、溶融金属浴1内においてはスナウト2内の金属板3の板面に向いた斜め上方向き、且つ吸引口側の斜め方向に噴流を形成するように溶融金属を噴射するようになっている。
なお、この実施に形態においては、金属板3の裏面側に位置する各噴射ノズル5は、金属板3の表面側に位置する各噴射ノズル4よりも溶融金属浴内の深い位置から溶融金属を噴射する配置となっている。
ここで、各噴射ノズル4,5の噴射目標位置を、金属板3の溶融金属への侵入位置としたのは、噴射ノズルからの噴流が金属板3の板面に衝突、反射した後に形成される上述した剥離流を安定的に発生させるためである。
しかしながら、噴射ノズル4,5から噴射されて金属板3によって反射された溶融金属の一部は、さらに溶融金属浴面方向に向かって該溶融金属浴面1aに衝突、反射されて、スナウト2内の溶融金属中には上記噴射ノズル4,5の噴流の方向に反転する液流(以下「反転流」という。)を形成する。
また、溶融金属浴中における金属板3の板面やその近傍には、金属板3の溶融金属浴内への引込みに伴って、該金属板3の引込み方向、つまりは反転流とほぼ同じ方向に向かう随伴流も発生している。
したがって、従来のように噴射ノズルからの溶融金属を、スナウト外の下方側から溶融金属浴面とスナウト先端との中間位置の高さにある板面に吹き付けた場合には、噴射ノズルからの噴流は、上記随伴流自体や該随伴流によって勢いが増した反転流の影響を直接的に受けることとなる。さらには、噴流が金属板に衝突した後の液流が金属板に沿って溶融金属浴面に至り、該溶融金属浴面で反射されて剥離流となる過程においても、反転流や随伴流の影響を受け続ける。
この結果、噴流自体の勢い、及び噴流が金属板に衝突した後に剥離流を発生させる液流の勢いが低下し、溶融金属浴面における剥離流の勢いが著しく低下したり、あるいは剥離流自体の発生が阻害されたりすることとなる。
このようにすることで、随伴流自体が噴流に与える影響を抑え、且つこの随伴流による反転流の勢いの増大を抑止する一方、噴流が金属板3に衝突した直後に溶融金属浴面1aで剥離流が形成されるようにして、噴流や該噴流の金属板衝突後に生じる剥離流を発生させる液流が、反転流や随伴流の影響を受ける機会を極力減らしている。
これにより、浮遊ドロスを金属板3から剥離させることができる程度の勢いを有する剥離流を安定的に発生させることができるため、結果として、浮遊ドロスの金属板3への接近、付着を抑止することが可能となる。
この吐出ノズル6は、金属板3の板面の両面側にそれぞれ溶融金属を吐出することができるように、ボックス状のヘッド部材12に所定の間隔で配設された2つの吐出口12a,12aが設けられた構成となっている。なお、この吐出ノズル6には、ヘッド部材12に連結された吐出ノズル用の供給管13を通じて、溶融金属浴1の外部に設けられたポンプ13aによる溶融金属の圧送が行われる。
なお、この吸引口7は、上記ヘッド部材14に連結された連結管15を介して、スナウト2外に設けられた排出口15aに連通していて、該吸引口7から吸い込まれた浮遊ドロスは連結管15及び排出口15aを通じてスナウト2外に排出される構成となっている。
この実施の形態においては、上記整流板8は、スナウト2内における金属板3と溶融金属浴面1a(浴内側)とが鋭角なす側、つまり金属板の表面側にのみ設けられている。
即ち、噴流ノズルからの噴流は、次第に拡散しながら噴射目標位置に向かって進むが、特に上方に拡散しやすい傾向にあるため、場合によっては、噴流自体が溶融金属浴面1aの剥離流に干渉したり、金属板3近傍の溶融金属浴面1aを必要以上に波立たせたりする可能性があることから、浮遊ドロスを効率的に金属板から離すことを阻害することが考えられる。そのため、上記整流板8を設けて、その下面側で噴射ノズル4からの噴流が上方に拡散しすぎるのを押さえこんで、噴流の方向を整え、これにより噴流自体が剥離流に影響を与えることを可及的に抑えている。
また、上述のように、本発明においては、各噴射ノズル4,5の噴射目標位置を金属板3の溶融金属への侵入位置として、噴流が反転流から受ける影響をできるだけ抑えるようにしているが、反転流の発生自体を防止することはきわめて困難である。そのため、上記整流板8は、その上面側で反転流をできるだけ遮断し、これにより、該反転流が噴流の方向に向かうのを抑えて、反転流が噴流に干渉することをより効果的に抑止できるようにする機能をも有している。
整流板8をこのように配設するのは、図3(b)に示すように、噴射ノズル4からの噴流の上下方向、特に上方の拡散を効率的に抑えて、安定的な剥離流を形成することが可能となり、浮遊ドロスを金属板3から常時安定的に離すことができるからである。
仮に、図3(a)に示すように、整流板8の金属板3と対向する端部側の向きが噴射ノズル4の噴射目標位置11よりも低すぎると、噴射ノズル4からの噴流の流れ全体が整流板8に押さえられるため、該噴流が金属板3に衝突、反射した際に、溶融金属の流れが上下方向に分散され易くなり、図3(b)の場合に比べて剥離流の勢いが弱まる可能性がある。そうすると、浮遊ドロスを金属板3から離れる方向に効率よく押し流すことが阻害されることが考えられる。
一方、図3(c)に示すように、噴射ノズル4の噴射目標位置11よりも高すぎると、噴射ノズル4からの噴流が上方に拡散しすぎるのを防止するという整流板8の整流の効果が薄れるため、図3(b)の場合に比べ、拡散した噴流による剥離流の干渉の抑止効果が低下する可能性が考えられる。
なお、図3(a)〜(c)中において、符号16は浮遊ドロスである。
このとき、スナウト2内を移動して溶融金属に浸漬される金属板3は、その板厚に関わらずスナウト2内を移動する際にロール等の影響によって若干ばたつく傾向がある上、前工程の焼鈍・圧延等において形状不良が生じ、板面に若干の凹凸が発生している場合がある。そのため、整流板8の短手方向の長さは、金属板3のばたつきや形状不良による金属板の板面の凹凸があっても、該金属板3に接触しない程度の距離となる突出状態に設定することも肝要がある。
より具体的には、最もばたつきが大きい薄板の場合に、整流板8の先端、即ち金属板側に位置する長手の端部から約50mm程度の距離があれば、金属板のばたつきや形状不良による凹凸があっても金属板と整流板との接触が避けられ、また反転流が噴射ノズル4からの噴流方向に向かうことを防止することができ且つ噴射目標に向かう該噴射ノズル4からの噴流の妨げにならない程度の空間を形成可能であることが実験的にわかっている。
したがって、整流板8の短手方向の長さは、金属板側に位置する長手の端部と金属板3との間の距離が最低でも50mm程度離される長さとすることが望ましい。
上記各支持部材18は、上記スナウト2に溶接等の手段により固定された基端側の固定部18aと、該固定部18aの先端側には節された中間部18bと、該中間部18bの先端に設けられて上面側に整流板8が取付けられた支持部18cとを一体に有したもので、平面視において、金属板3の表面側に位置する噴射ノズル4の噴射方向とほぼ平行となる方向に延びている。
これらの支持部材18は、各支持部材18の中間部18bによって、上記スナウト2の内壁と上記整流板8におけるスナウト内壁側の長手の端部との間に隙間19が空けられた状態で整流板8を支持しており、これにより、スナウト2を溶融金属浴1から引き揚げた際に整流板8上の溶融金属をこの隙間19から流出させ、整流板8上に溶融金属が溜まらないようにしている。
また、溶融金属めっきを施す工程と同時に、上記除去装置を稼働させる。即ち、溶融金属浴1中に配置した複数の噴射ノズル4,5から溶融金属を、上記スナウト内における金属板の溶融金属への侵入位置を噴射目標位置11として噴射して溶融金属浴1に浸漬されたスナウト2内の金属板3の板面に溶融金属を吹付ける。そして、上記スナウト2内に配設させた吐出ノズル6から溶融金属を吐出させ、金属板3の一端側(吐出ノズル側)から他端側(吸引口側)方向へ向かう液流を発生させることにより、溶融金属浴面1aに浮遊するドロスを吸引口7に向けて押し流す。
さらに、噴射ノズル4,5から噴射された溶融金属は、金属板3の溶融金属への侵入位置の高さ、即ち溶融金属浴面で金属板3の板面に衝突して反転するため、反転した溶融金属の流れが金属板3による随伴流により勢いが増大する機会が大幅に抑えられる。
この結果、浮遊ドロスがスナウト内から効率よく除去されて、浮遊ドロスの金属板3への付着を抑止することができるため、ドロス付着に起因するめっきをした金属板の品質不良を抑えることが可能となる。
これより、金属板の両面に対する浮遊ドロスの付着が押さえられ、一層の品質向上を図ることができる。
図5中、符号20は金属板の裏面側の整流板、21は該整流板20の支持部材である。その他の部分については、上記実施の形態と実質的に同じ構成、同じの作用効果であるため、同様の符号を付して詳しい説明は省略する。
なお、金属板の裏面側に配置する整流板の構成や支持の構成は、基本的には、金属板の表面側に設けた整流板と同じである。
さらに、上記実施の形態においては、金属板の裏面側に位置する噴射ノズル5を、側面視において斜め上向きに溶融金属を噴射させるような配置となっているが、図5に示すように、側面視においてほぼ鉛直方向に溶融金属を噴射させるような配置としてもよい。なお、この場合における噴射ノズル5の平面視の噴射方向は、上記実施の形態の場合と同じく、吸引口の方向側に斜めに傾いた方向である。
具体的に、この実施例においては、本発明の除去装置ついて、整流板を配設していないもの(以下、「本発明例1」という。)と、整流板を配設したもの(以下「本発明例2」という)を用いる一方、従来の除去装置については、噴射ノズルの噴射目標位置がスナウト内における金属板の溶融金属への侵入位置ではなく、且つ整流板を配設していないもの(以下「比較例」という。)を用いた。
そして、本発明例1,2及び比較例に係る各装置について、板幅1250mm、板厚1.6mmの鋼板に亜鉛めっきを施す場合を対象とし、浮遊ドロスの除去状況を比較は、めっきを施した後の鋼板においてドロスに起因する疵の個数や位置を比較することにより行った。
なお、本発明例1,2及び比較例が適用される溶融金属めっき装置は、上記実施の形態と同じ構成であり、いずれも、スナウト内の短手の長さを314mmとし、溶融金属浴面に対して約57〜60°の角度で、先端側を溶融金属浴面から約150mm程度の深さにまで挿入した。
この場合において、本発明例1,2に係る除去装置のいずれも、鋼板と溶融金属浴面(浴内側)とが鋭角をなす側(以下、この実施例において「鋼板の表面側」という。)に位置する噴射ノズルは、平面視においては鋼板に対して約60°の方向、側面視においては鋼板に対して約20°の方向から、スナウト内における金属板の溶融金属への侵入位置を噴射目標位置として溶融金属を噴射するようにした。また、鈍角をなす側(以下、この実施例においては「鋼板の裏面側」という。)に位置するノズルは、平面視において鋼板に対して約45°の方向、側面視においては鋼板に対して約33°(つまり、側面視においてはほぼ鉛直)の方向から、スナウト内における金属板の溶融金属への侵入位置を噴射目標位置として溶融金属を噴射するようにした。
さらに、本発明例1に係る除去装置は、鋼板の表面側の噴射ノズルを、該噴射ノズルの先端が溶融金属浴面から189mmの深さ、鋼板の裏面側の噴射ノズルを、該噴射ノズルの先端が溶融金属浴面から267mmの深さとなるようにそれぞれ配設した。
また、本発明例2については、鋼板の表面側及び裏面側の噴射ノズルを、噴射ノズル先端がいずれも溶融金属浴面から189mmの深さとなるように配設した。
鋼板の表面側及び裏面側の各整流板は、長手方向長さが1320mm、短手方向長さが150mm、厚さが6mmのものを採用している。また、これらの整流板は、鋼板側に位置する長手の端部側の向きを噴射ノズルの噴射目標位置と同じ高さ方向を向けていて、表面側の整流板ついては、その長手の端部と鋼板との間に50mmの距離が形成される配置に、裏面側の整流板については、その長手の端部と鋼板との間に50mm以上の距離が形成される配置とした。このとき、鋼板の表面側の整流板における鋼板側に位置する長手の端部側は、溶融金属浴の浴面から約40mm程度の深さ、鋼板の裏面側の整流板における鋼板側に位置する長手の端部側は、溶融金属浴の浴面から約100mm程度の深さにそれぞれ位置していた。
また、支持部材については、直径13mmの断面略円形の棒状のものを用いた。
また、浮遊ドロスに起因して発生する鋼板の裏面側の疵に関しては、比較例においては0.016個/m2あったが、本発明例1,2の場合は、0.005個/m2にまで減少した。即ち、鋼板の裏面側に発生した浮遊ドロスに起因する疵は、比較例に比べ、本発明例1,2の場合は約69%も削減することができた。
この結果から、本発明例1,2の場合は、比較例に比べ、噴射ノズルからの噴流に対する反転流及び随伴流の影響が効果的に抑止され、浮遊ドロスに起因する鋼板の疵の発生が大幅に抑えられることがわかった。
なお、本発明例1と本発明例2との比較において、鋼板の表面側に発生した浮遊ドロスに起因する疵が本発明例1よりも本発明例2の方が少ないのは、整流板による噴流の整流効果及び反転流の可及的な遮断の効果があらわれていると考えられる。
これに対し、本発明例1の場合は、浮遊ドロスに起因する疵の発生は、鋼板の表面側は吸引口側の端部から150mm、鋼板の裏面側は吸引口側の端部から88mmの間で発生した。また、本発明例2の場合は、浮遊ドロスに起因する疵の発生は、鋼板の表面側は吸引口側の端部から100mm、鋼板の裏面側は吸引口側の端部から50mmの間で発生した。
このように、本発明例1,2の場合は、比較例に比べ、鋼板の板幅方向の端部側(エッジ部側)、さらに具体的には、スナウト内における吸引口側により近い位置でドロスに起因する疵が発生していた。即ち、本発明例1,2に係る除去装置を使用した場合には、鋼板においてドロスに起因する疵が発生する範囲が比較例よりも狭く、疵が存在しない範囲、つまり品質不良が生じない範囲が比較例に比べて大きかった。
この結果から、本発明例1,2の場合は、比較例に比べて、浮遊ドロスを効率的に吸引口側に押し流していることがわかった。
なお、今回めっき対象となった1250mm程度の板幅の鋼板の場合、この後の製品に至るまでの過程で鋼板の板幅方向の端部(エッジ部)は、板厚・目付によるが、一部10mm程度トリムをするものがある。したがって、最終製品として比較した場合であっても、本発明によって浮遊ドロスを除去した場合は、従来に比べて浮遊ドロスに起因する疵が大幅に削減されることとなる。
これについては、鋼板の表面側では、整流板による噴流の整流効果により、噴流の剥離流への干渉が抑えられて、図4に示すような剥離流の流れに乗って浮遊ドロスが吐出ノズル側から吸引口側に一層効率的且つ安定的に押し流されたものと考えられる。
一方、鋼板の裏面側では、該裏面側の噴射ノズルを、本発明例1よりも浅く配置した結果、鋼板の裏面側の剥離流の勢いが本発明例1の場合よりも強くなり、これによって浮遊ドロスが吐出ノズル側から吸引口側により効率的に押し流されたものと推測される
1a 溶融金属浴面
2 スナウト
3 金属板
4 噴射ノズル
5 噴射ノズル(別の噴射ノズル)
6 吐出ノズル
7 吸引口
8 整流板
11 噴射目標位置
18 支持部材
19 隙間
Claims (2)
- 溶融金属浴面に対して斜めに挿入させたスナウトを通じて金属板を溶融金属浴内に浸漬させる溶融金属めっき装置において、
上記金属板と上記溶融金属浴面とが鋭角をなす側の上記金属板の板面に溶融金属を吹付けて上記スナウト内の上記溶融金属浴面に浮遊するドロスを上記金属板の上記板面から離す方向の液流を発生させる、上記溶融金属浴中の上記スナウト外の下方に配置された複数の噴射ノズルと、
上記金属板と上記溶融金属浴面とが鈍角をなす側の上記金属板の板面に溶融金属を吹付けて上記スナウト内の上記溶融金属浴面に浮遊するドロスを上記金属板の上記板面から離す方向の液流を発生させる、上記溶融金属浴中の上記スナウト外の下方に配置された複数の別の噴射ノズルと、
上記スナウト内における上記金属板の板幅方向の一端側に配設されて、溶融金属を上記金属板の他端側方向へ吐出する吐出ノズルと、
上記スナウト内における上記金属板の板幅方向の他端側に配設されて、上記スナウト内の上記ドロスを吸引する吸引口と、を備え、
上記スナウト内における上記金属板と上記溶融金属浴面とが鋭角をなす側に位置する上記複数の噴射ノズルは、その噴射口が上記溶融金属浴に浸漬された上記スナウト内の上記金属板の上記板面に対し、側面視において斜め上方向き、且つ平面視において上記吸引口の方向側に斜めに傾いた方向に向いた状態で配設され、
上記スナウト内における上記金属板と上記溶融金属浴面とが鈍角をなす側に位置する上記複数の別の噴射ノズルは、側面視において鉛直向き、且つ平面視においては上記吸引口の方向側に斜めに傾いた方向に向いた状態で配設されたドロスの除去装置であって、
上記噴射ノズル及び上記別の噴射ノズルはそれぞれ、上記スナウト内における上記金属板の溶融金属への侵入位置を噴射目標位置として溶融金属を噴射する構成とされ、
更に、上記金属板と上記溶融金属浴面とが鋭角をなす側及び上記金属板と上記溶融金属浴面とが鈍角をなす側のそれぞれの上記スナウト内には、上記噴射ノズルからの噴流の流れを整える板体状の整流板が備えられ、
上記整流板はそれぞれ、上記金属板方向に突出し且つ上記金属板の板幅方向に沿うように配設されるとともに、上記金属板と対向する端部側が上記噴射目標位置と同じ高さ方向に向き、且つ上記金属板側の端部側に行くに従って上記溶融金属浴面に近づくように傾斜した状態で配設され、
更に上記整流板はそれぞれ、上記溶融金属浴面と上記噴射ノズルとの間に配置されて、上記噴射ノズルから上記金属板の上記板面に吹き付ける溶融金属の上記噴流と、上記板面から離す方向の上記液流との干渉を抑えるように構成されたことを特徴とするスナウト内ドロスの除去装置。 - 上記整流板は、金属板と対向する端部側とは反対側の端部とスナウト内壁との間に隙間を空けて該スナウトに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のスナウト内ドロスの除去装置。
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