JP6205753B2 - ガスワイピングノズル及びガスワイピング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属帯に対する溶融金属の付着量を均一にするためのガスワイピングノズルと、当該ガスワイピングノズルを用いたガスワイピング方法に関する。
連続溶融金属めっき装置は、金属帯(例えば鋼帯)を亜鉛などの溶融金属でめっきするための装置である。この連続溶融金属めっき装置は、溶融金属を満たしためっき浴中に配置されるロールとして、例えば、鋼帯の進行方向を転換するためのシンクロール(ポットロールとも称する。)と、鋼帯の形状を矯正する一対のサポートロールを備える。めっき浴内に斜め下方に向けて導入された鋼帯は、シンクロールによりその進行方向を鉛直方向上方に転換された後に、一対のサポートロールの間を通過してめっき浴外に引き上げられる。その後、鋼帯の両側に配置されたガスワイピングノズルから鋼帯表面に気体を吹き付けることにより、鋼帯表面に付着した余剰の溶融金属を払拭して、所定のめっき付着量(目付量)に制御される。
ガスワイピングノズルの先端には、ガス噴射口として、水平方向に延びるスリットが形成されている。ガスワイピングノズルは、当該スリットから高圧のガスを噴射し、めっき浴から引き上げられた鋼帯表面に対して吹き付けることで、当該鋼帯表面に付着している余剰の溶融金属を吹き飛ばす。かかるガスワイピングノズルを用いたガスワイピング法では、鋼帯表面に対するガスの噴流の衝突箇所を基点として、当該噴流によって吹き飛ばされた余剰の溶融金属の飛沫(以下、スプラッシュという。)が飛散する現象が発生する。特に、鋼帯の搬送速度(通板速度)が高速(例えば150〜250m/min)である場合、このスプラッシュの発生が顕著となる。
このため、従来のガスワイピングノズルでは、ワイピング力を向上させ、またスプラッシュの発生を抑制する観点から、ノズル先端部の上面及び下面に傾斜面が設けられている。例えば、特許文献1には、ノズル先端に対して溶融金属のスプラッシュが付着してノズル詰まりが発生することを抑制するために、ノズル上面の傾斜面(傾斜角α)とノズル下面の傾斜面(傾斜角β)を、ノズル先端側で小さくすることが開示されている。
また、特許文献2には、スプラッシュが上方へ飛散することを防止するために、ガスの噴射方向を斜め下方にすることが開示されている。また、この特許文献2では、ガス噴射口近傍の強度不足を防ぐため、ノズル先端部の上側リップ角β及び下側リップ角γを15°以上とすることが開示されている。さらに、溶融金属の微細粒子が鋼帯やスリットノズルに付着することを防止するために、上側リップ角βを45°以下とするとともに、鋼帯の側端部で発生したスプラッシュが反対側のスリットノズルに付着しないようにするために、下側リップ角γを25°以下とすることが開示されている。
特開2007−270161号公報 特開2007−314851号公報
ところで、ガスワイピングノズルから噴射されるガスの噴流の流速は、例えば200m/sと非常に高速である。本願発明者が鋭意検討したところ、ノズル先端部の上面又は下面の傾斜面の角度θ1、θ2が大きい場合には、高速のガス噴流の影響により、ノズルの傾斜面と鋼帯表面との間の空間の気圧が低下するため、当該ガス噴流が上方向又は下方向に引き寄せられて曲がってしまうことが分かった。このように、ガス噴流が鋼帯表面に向けて水平方向に直線的に進行せずに、上方向又は下方向に引き寄せられて曲がってしまうと、ガス噴流による溶融金属の払拭量にバラツキが生じ、溶融金属の目付量の均一性が低下してしまう。従って、溶融金属の目付量の均一化するためには、上記ガス噴流の曲がりが生じないように、ノズル先端部の上面又は下面の傾斜面の角度θ1、θ2を適切に調整する必要がある。
さらに、ノズルよりも下方側でスプラッシュが発生している場合には、ノズル先端部の下面の傾斜面と鋼帯表面との間の空間が、当該スプラッシュの飛散領域の分だけ狭くなるので、上述したガス噴流が引き寄せられて曲がる現象が顕著になることが分かった。このスプラッシュの飛散領域は、ノズル下面の傾斜角度θ2のみならず、ノズル上面の傾斜角度θ1の影響をも受けるものである。従って、スプラッシュ発生時に上記ガス噴流の下方向への曲がりを防止するためには、スプラッシュの飛散領域(後述するスプラッシュ角度θ3)や、ノズル上面の傾斜角度θ1をも考慮して、ノズル下面の傾斜角度θ2を、適切に調整する必要がある。
しかしながら、上記特許文献1、2に記載の従来のガスワイピングノズルでは、ノズル先端部の傾斜面の角度を設計する際に、前述したガス噴流が上方向又は下方向に引き寄せられて曲がってしまう現象や、ノズル上面や下面の傾斜角度θ1、θ2の相互関係を何ら考慮していない。このため、ノズル上面や下面の傾斜角度θ1、θ2が適切に調整されていないので、ガス噴流が上方向又は下方向に引き寄せられて曲がることによって、溶融金属の目付量が不均一になってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ノズル先端部の上面と下面の傾斜角度の相互関係やスプラッシュの飛散領域を考慮して、当該傾斜角度を適切に調整することで、ノズルから噴射されるガス噴流の曲がりを防止して、金属帯に対する溶融金属の付着量を均一化することが可能な、新規かつ改良されたガスワイピングノズル及びガスワイピング方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、
150〜250m/minで金属帯を搬送する連続溶融金属めっき装置に設けられ、めっき浴から鉛直方向に引き上げられる前記金属帯の全幅に渡って、水平方向に同時にガスを吹き付けるガスワイピングノズルにおいて、
前記ガスワイピングノズルのノズル先端側の上面は、ガス噴射方向に向けて下るように傾斜した傾斜面であり、
前記ガスワイピングノズルのノズル先端側の下面は、前記ガス噴射方向に向けて上るように傾斜した傾斜面であり、
前記ガスワイピングノズルの上面の前記傾斜面が水平面となす傾斜角度θ1と、前記ガスワイピングノズルの下面の前記傾斜面が水平面となす傾斜角度θ2が、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする、ガスワイピングノズル。
5°≦θ1≦40° ・・・(1)
0°≦θ2≦0.225×θ1+2.75° ・・・(2)


さらに、前記傾斜角度θ1が20°以上であるようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記ガスワイピングノズルを用いて、めっき浴から鉛直方向に引き上げられる金属帯に対して水平方向にガスを吹き付けることにより、前記金属帯に対する溶融金属の付着量を制御することを特徴とする、ガスワイピング方法が提供される。
さらに、前記ガスワイピングノズルの最先端と前記金属帯との距離dが、6〜8mmであり、
前記ガスワイピングノズルのスリット幅δが、0.6〜0.8mmであり、
前記ガスワイピングノズルの最先端に、前記金属帯の表面と対向する平坦部が形成され、前記平坦部の長さtが、5〜7mmであり、
前記ガスワイピングノズルから噴射されたガスが前記金属帯に衝突するときのガス圧Pwが、5〜25kPaであるようにしてもよい。
以上の構成によれば、ノズル先端部の上面の傾斜角度θ1と下面の傾斜角度θ2の相互関係やスプラッシュの飛散領域を考慮して、当該傾斜角度θ1、θ2を適切に調整することができる。これにより、ノズルから噴射されるガスの噴流の曲がり(偏流)を防止して、水平方向に進行するガス噴流を用いて適切にガスワイピングを実行できる。従って、金属帯に対する溶融金属の目付量のばらつきを抑制して、目付量を均一化できる。
以上説明したように本発明によれば、ノズル先端部の上面と下面の傾斜角度の相互関係やスプラッシュの飛散領域を考慮して、当該傾斜角度を適切に調整することで、ノズルから噴射されるガス噴流の曲がりを防止して、金属帯に対する溶融金属の付着量を均一化することができる。
本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルが適用された連続溶融金属めっき装置を示す模式図である。 同実施形態に係るガスワイピングノズルの構造例を示す垂直断面図である。 同実施形態に係るガスワイピングノズルの先端部を示す模式図である。 ガスワイピングノズルから噴射されたガス噴流が上方に引き寄せられた状態を示す模式図である。 ガスワイピングノズルから噴射されたガス噴流が下方に引き寄せられた状態を示す模式図である。 ノズル上下面の傾斜角度θ1、θ2と、スプラッシュ角度θ3の関係を示すグラフである。 ノズル上下面の傾斜角度θ1、θ2と、θ2+θ3との関係を示すグラフである。 同実施形態に係るガスワイピングノズルの上下面の傾斜角度θ1、θ2の適正範囲を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.連続溶融金属めっき装置の構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルが適用される連続溶融金属めっき装置について説明する。図1は、本実施形態に係る連続溶融金属めっき装置1を示す模式図である。
図1に示すように、連続溶融金属めっき装置1は、鋼帯2を、溶融金属を満たしためっき浴3に浸漬することにより、鋼帯2の表面に溶融金属を連続的に付着させるための装置である。連続溶融金属めっき装置1は、浴槽4と、スナウト5と、シンクロール6と、上下一対のサポートロール7、8と、ガスワイピングノズル10と、を備える。
鋼帯2は、溶融金属によるめっき対象となる金属帯の一例である。本実施形態では鋼帯2の例を上げて説明するが、本発明の金属帯は、めっき対象となる帯状の金属材料であれば、その材質は問わない。また、めっき浴を構成する溶融金属は、亜鉛、鉛−錫、アルミニウムなどの耐食性金属が一般的であるが、めっき金属として使用されるその他の金属であってもよい。溶融金属で鋼帯2をめっきして得られる溶融金属めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板等が代表的であるが、その他の種類のめっき鋼板であってもよい。以下では、めっき浴3をなす溶融金属として溶融亜鉛を用い、鋼帯2の表面に溶融亜鉛を付着させて、亜鉛めっき鋼板を製造する例について説明する。
浴槽4は、上記溶融金属からなるめっき浴3を貯留する。スナウト5は、その一端をめっき浴3内に浸漬されるように傾斜配設される。
シンクロール6は、めっき浴3中の最下方に配設され、サポートロール7、8よりもロール径が大きい。シンクロール6は、鋼帯2の走行に伴って図示の時計回りに回転する。このシンクロール6は、スナウト5を通ってめっき浴3内に斜め下方に向けて導入された鋼帯2を、鉛直方向上方に方向転換する。
サポートロール7、8は、めっき浴3中のシンクロール6の上方に配置され、シンクロール6から鉛直方向に引き上げられた鋼帯2を左右両側から挟み込むようにして配設される。サポートロール7、8は、不図示の軸受け(例えば、滑り軸受け、転がり軸受け等)により回転自在に支持される。なお、サポートロールを1つだけ、又は3つ以上設置してもよいし、サポートロールを配置してなくてもよい。トップロール9は、めっき浴3の上方であってシンクロール6の直上に配置される。このトップロール9は、シンクロール6から鉛直方向上方に引き上げられた鋼帯2を、搬出方向に方向転換する。
ガスワイピングノズル10は、鋼帯2の表面にガス(例えば空気)を吹き付けて、鋼帯2に対する溶融金属の付着量を制御する機能を有する。ガスワイピングノズル10は、鋼帯2の厚み方向の両側に配設され、サポートロール7、8の直上のめっき浴3外であって、めっき浴3の浴面から所定の高さだけ上方に配置される。かかるガスワイピングノズル10は、めっき浴3から鉛直方向上方に引き上げられた鋼帯2の両面にガスを吹き付けて、余剰な溶融金属を払拭する。これにより、鋼帯2の表面に対する溶融金属の付着量(目付量)が適正量に制御される。
ここで、上記構成の連続溶融金属めっき装置1の動作について説明する。連続溶融金属めっき装置1は、不図示の駆動源により鋼帯2を長手方向に移動させて、装置内の各部を通板させる。この鋼帯2は、スナウト5を通じてめっき浴3中に斜め下方に導入され、シンクロール6を周回して、その進行方向が鉛直方向上方に変換される。次いで、鋼帯2は、サポートロール7、8の間を通過して上昇し、めっき浴3外に引き上げられる。その後、ガスワイピングノズル10から吹き付けられるガスの圧力により、めっき浴3外に引き上げられた鋼帯2の表面に付着している余剰な溶融金属が払拭されて、鋼帯2の表面に対する溶融金属の付着量が所定の目付量に制御される。以上のようにして、連続溶融金属めっき装置1は、鋼帯2をめっき浴3中に連続的に浸漬して、溶融金属、例えば溶融亜鉛でめっきすることで、所定の目付量の溶融金属めっき鋼板を製造する。
[2.ガスワイピングノズルの構成]
次に、図2を参照して、本実施形態に係るガスワイピングノズル10の構成について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るガスワイピングノズル10の構造例を示す垂直断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るガスワイピングノズル10は、上下二つの部材、例えば、ノズル上部部材11とノズル下部部材12を組み合わせて構成される。ノズル上部部材11とノズル下部部材12とをボルト・ナットセット13、14で一体的に組み立てることで、ノズル本体が構成される。このノズル本体は、不図示のガスヘッダーに接続される。このノズル本体の後端側に形成された導入孔16からガスがノズル本体内に流入する。また、ノズル本体のガス噴射方向先端側の部分をノズル先端部15と称する。ノズル先端部15におけるノズル上部部材11とノズル下部部材12との間の空間部がノズルヘッダー18となり、ノズル上部部材11の先端部とノズル下部部材12の先端部との間には、所定のスリット幅δのスリット19が形成されている。このスリット19のノズル最先端側が、ガス噴射口20となる。
また、ガスワイピングノズル10のノズル先端部15の上面、即ち、ノズル上部部材11の上面は、ガス噴射方向に向けて傾斜した傾斜面21となっている。同様に、ガスワイピングノズル10のノズル先端部15の下面、即ち、ノズル下部部材12の下面も、ガス噴射方向に向けて傾斜した傾斜面22となっている。ノズル先端部15上面の傾斜面21の傾斜角度をθ1、ノズル先端部15下面の傾斜面22の傾斜角度をθ2とする。かかる傾斜面21、22を形成することで、ガス噴流の衝突による溶融金属のスプラッシュの発生を抑制することができるが、詳細は後述する。
また、ガスワイピングノズル10のノズル先端部15の最先端には、鋼帯2の表面と対向する平坦部23が形成されている。平坦部23は、鋼帯2の表面に対して平行、若しくは若干傾斜した平面である。この平坦部23は、ノズル上部部材11の最先端とノズル下部部材12の最先端にそれぞれ形成される。
上記のノズル構造において、不図示のガス供給源から供給されるガスは、ガスヘッダーから導入孔16を通じてノズル本体内に供給される。さらに、当該ガスは、ノズルヘッダー18に供給された後、ノズル上部部材11とノズル下部部材12の先端部間に形成されたスリット19を通ってガス噴射口20から噴射され、めっき浴3から引き上げられた鋼帯2の表面に吹き付けられる
ガスワイピングノズル10の幅(鋼帯2の幅方向の幅。図2の紙面垂直方向)は、鋼帯2の幅と同程度かそれ以上であり、スリット19の奥行き方向の幅も鋼帯2の幅と同程度かそれ以上である。このため、ガスワイピングノズル10のスリット19から噴射されたガスの噴流は、めっき浴3から引き上げられた鋼帯2の全幅に渡って同時に吹き付けられて、余剰の溶融金属を払拭する。
[3.ノズル上下面の傾斜角度θ1、θ2]
次に、図3を参照して、本実施形態に係るガスワイピングノズル10のノズル先端部15の上面(傾斜面21)と下面(傾斜面22)の傾斜角度θ1、θ2の適正値について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係るガスワイピングノズル10を示す模式図である。
図3に示すように、一対のガスワイピングノズル10、10が、めっき浴3から鉛直方向に引き上げられる鋼帯2の厚み方向両側に設置される。これら2つのガスワイピングノズル10、10は、同一の高さ位置に対向配置され、当該2つのガスワイピングノズル10、10の最先端から鋼帯2の表面までの距離dは等距離である。距離dは例えば5〜10mmである。ガスワイピングノズル10のノズル先端部15には、ガス噴出孔であるスリット19が形成されており、スリット19の幅δ(以下、スリット幅δという。)は例えば0.5〜1.0mmである。また、ノズル先端部15の最先端に形成された平坦部23の縦方向の長さtは、例えば4〜8mmである。
かかるガスワイピングノズル10は、鋼帯2の表面に向けて水平方向にガス(例えば圧縮空気)の噴流30を噴射する。各ガスワイピングノズル10のノズル先端部15から噴射されたガスの噴流30は、鋼帯2の表面に衝突し、当該表面に付着している余剰の溶融金属31を吹き飛ばす。かかるガスワイピングにより、鋼帯2の表面に付着する溶融金属31の厚さが所望の厚さDに調整され、目付量が均一化される。
ところで、上記ガスワイピングでは、鋼帯2の表面から吹き飛ばされた溶融金属31の飛沫(スプラッシュ32)が主に下方に向けて飛散する。このスプラッシュ32の飛散領域は、噴流30と鋼帯2の表面との衝突点33を基点とした略三角形状の断面領域となり、当該スプラッシュ32の飛散領域の表面34(飛散領域と非飛散領域の境界面)は、鋼帯2の表面(鉛直面)に対して所定角度θ3だけ傾斜した傾斜面となる。このようなスプラッシュ32の飛散領域を表す角度θ3をスプラッシュ角度と称する。
スプラッシュ角度θ3が大きくなるほど、スプラッシュ32がガスワイピングノズル10の先端に付着してノズル詰まりを引き起こす、或いは鋼帯2の表面に再付着して鋼板品質を劣化させるといった弊害を引き起こす。鋼帯2の通板速度v(搬送速度)が大きくなるほど、噴流30により単位時間当りに吹き飛ばされる溶融金属31の量が増えるため、スプラッシュ32の量が増加し、スプラッシュ角度θ3も大きくなる。特に、150〜250m/minの高速通板時には、大量のスプラッシュ32が発生するので、的確にスプラッシュ32を抑制する必要が生じる。
そこで、本願発明者は、ガスワイピングノズル10の形状やガス噴射条件を変更して数値解析することにより、上記ガスワイピングノズル10から噴射されるガスの噴流30とスプラッシュ32の挙動について検討した。この結果、ガスワイピングノズル10のノズル先端部15の上面の傾斜面21が水平面となす傾斜角度θ1(以下、ノズル上面の傾斜角度θ1という。)と、当該ノズル先端部15の下面の傾斜面22が水平面となす傾斜角度θ2(以下、ノズル下面の傾斜角度θ2という。)が、ガスの噴流30の進行方向とスプラッシュ32の発生に対して大きく影響することが判明した。そして、かかる知見を基に、溶融金属31の目付量を均一化する上で適切な傾斜角度θ1、θ2を見出した。
即ち、下記式(1)及び(2)を満たすように、ノズル上面の傾斜角度θ1とノズル下面の傾斜角度θ2を調整することによって、噴流30の進行方向を水平方向の直線状にすることができ、鋼帯2に対する溶融金属31の目付量を均一化できることが判明した。
0°≦θ1≦40° ・・・(1)
0°≦θ2≦0.225×θ1+2.75° ・・・(2)
以下に、上記式(1)及び(2)が好ましい理由について説明する。
本願発明者は、粒子法解析と数値流体解析のハイブリット解析を用いて、液体金属とガス流れの2相流の数値解析を行い、ガスの噴流30の流速ベクトルやスプラッシュ32の状況について調べた。この数値解析では、液体金属を粒子法で解析し、ガス流れを数値流体解析で解析し、それぞれの流体の界面での相互作用を界面での反力として与え、各計算ステップで誤差を収束させるように時系列で解析した。なお、この数値解析の計算条件は、以下の表1の通りである。
Figure 0006205753
(1)θ1≦40°の根拠
まず、ノズル上面の傾斜角度θ1の上限について説明する。上記の数値解析結果によれば、ノズル上面の傾斜角度θ1が40°超になると(換言すると、ノズル上面の傾斜面21と鋼帯2の表面との角度θ4が50°未満になると)、図4に示すように、ガスの噴流30が上方向に引き寄せられ、噴流30の進行方向が上側に曲がることが分かった。
この理由としては、θ1が40°超である場合、ノズル上面の傾斜面21と鋼帯2の表面の間の空間35が狭くなるため、高流速の噴流30により当該空間35の気圧が低下し、噴流30が引き寄せられると考えられる。例えば、圧縮性流体のベルヌイの法則によれば、以下の式(3)から分かるように、流体の流速が200m/s以上である場合、その周辺の空間の圧力は約0.1気圧も低下する。なお、式(3)において、uは流体の流速であり、Pは流体の圧力であり、ρは流体の密度であり、kは流体の比熱比である。
Figure 0006205753
ガスワイピングノズル10から噴射されるガスの噴流30の流速uは、例えば100〜300m/s程度の高速であり、当該噴流30の周辺の気圧が低下する。この結果、図4に示すように、θ1>40°(θ4<50°)となると、ノズル上面の傾斜面21と鋼帯2の表面の間の狭い空間35に、噴流30に起因する低圧部36が安定的に発生し、噴流30が上方に引き寄せられて曲がることになる。噴流30が上方に引き寄せられると、鋼帯2に対する噴流30の衝突点33の位置や衝突範囲、ガス圧Pw等が変動するため、溶融金属31を適切に払拭できず、目付量がばらついてしまう。
従って、図4のように噴流30が上方に引き寄せられる現象を防止するためには、θ4を50°以上とする、即ち、θ1を40°以下として、ノズル上面の傾斜面21と鋼帯2の表面の間の空間35を、ある程度広く確保することが好ましい。従って、以下の式(4)が得られる。
θ1≦40° ・・・(4)
(2)θ2≦0.225×θ1+2.75°の根拠
次に、ノズル下面の傾斜角度θ2の上限について説明する。高速通板といえども、鋼帯2の通板速度vは5m/s以下(即ち、300m/min以下)であり、噴流30の流速uに対して通板速度vは無視できる程度に小さい。従って、上記噴流30が引き寄せられる現象は、鋼帯2の通板方向に関わらず発生し、ガスワイピングノズル10の下側でも発生する。つまり、ノズル下面の傾斜角度θ2が大きくなると、図5に示すように、ガスの噴流30が下方向に引き寄せられ、噴流30の進行方向が下側に曲がることになる。
この際、本願発明者による数値解析結果によれば、スプラッシュ32のように空間に飛散した粒子でも、上記噴流30に起因する圧力低下を引き起こす空間の壁となることが分かった。つまり、図5に示すように、スプラッシュ32の飛散領域の表面34とノズル下面の傾斜面22との間の角度θ5(θ5=90°−θ2−θ3)が50°未満となると、当該傾斜面22とスプラッシュ32の飛散領域の表面34との間の空間37が狭くなる。このため、高流速の噴流30により当該空間37の気圧が低下して、噴流30に起因する低圧部38が安定的に発生し、噴流30が下方に引き寄せられて曲がる現象が発生する。このように、噴流30が下方に引き寄せられたときにも、鋼帯2に対する噴流30の衝突点33の位置や衝突範囲、ガス圧Pw等が変動するため、溶融金属31を適切に払拭できず、目付量がばらついてしまう。
従って、図5のように噴流30が下方に引き寄せられる現象を防止するためには、θ5を50°以上とする、即ち、θ2+θ3を40°以下として、ノズル下面の傾斜面22と鋼帯2の表面の間の空間37を、ある程度広く確保することが好ましい。従って、以下の式(5)が得られる。
θ2+θ3≦40° ・・・(5)
ところで、上述した数値解析結果によれば、スプラッシュ角度θ3と傾斜角度θ1、θ2との間には相関があることが分かった。図6は、スプラッシュ角度θ3と傾斜角度θ1、θ2との関係を示すグラフである。
図6に示すように、θ1≦40°の範囲では、θ1が大きいほど、θ3が小さくなる傾向にある。また、θ1≧40°の範囲では、θ1に関わらず、θ3はほぼ一定である。従って、上記式(4)のθ1≦40°の範囲(ガスの噴流30の上方向の曲がりを防止可能なθ1の範囲)では、θ1をできるだけ大きくし、40°に近づけた方が好ましいといえる。これにより、スプラッシュ角度θ3をできるだけ小さくして、スプラッシュ32の発生を抑制できる。よって、鋼帯2の表面の目付量のばらつきや、スプラッシュ32の付着によるノズル詰まり、鋼帯2の表面におけるスプラッシュ32に起因する疵の発生等を抑制できる。
一方、θ2に関しては、図6に示すように、θ2が小さいほど、θ3が小さくなる傾向にある。従って、θ2をできるだけ小さくし、0°に近づけた方が好ましい。これにより、スプラッシュ角度θ3を小さくして、スプラッシュ32の発生を抑制できる。よって、鋼帯2の表面の目付量のばらつきや、スプラッシュ32の付着によるノズル詰まり、鋼帯2の表面におけるスプラッシュ32に起因する疵の発生等を抑制できる。
また、図6のθ3とθ1、θ2との関係から、図7の関係が得られる。図7は、θ2+θ3と傾斜角度θ1、θ2との関係を示すグラフである。
図7から分かるように、上述した式(5)の条件(θ2+θ3≦40°)を満たすためには、θ2は多くとも11.5°以下である必要がある。つまり、次の式(6)を満たすことが必要条件となる。
θ2≦11.5° ・・・(6)
さらに、式(5)の条件(θ2+θ3≦40°)を満たすためには、θ1に値に応じて、θ2の値を調整する必要がある。図7の結果からは、当該条件を満たすためのθ1とθ2の臨界値は、表2の通りである。
Figure 0006205753
さらに、上記表2の臨界点を表すθ1とθ2の関係式を最小二乗法により求めると、以下の式(7)となる。よって、式(5)の条件(θ2+θ3≦40°)を満たすためには、次の式(8)を満たす必要がある。θ2=0.225×θ1+2.75° ・・・(7)θ2≦0.225×θ1+2.75° ・・・(8)
上記式(8)を満たせば、スプラッシュ32の飛散領域の表面34とノズル下面の傾斜面22との間の角度θ5(θ5=90°−θ2−θ3)が、50°超となる。従って、高速のガスの噴流30により生成される低圧部38により当該噴流30が偏流することを防止できる。
(3)θ1≧0°、θ2≧0°の根拠
さらに、θ1が0°未満であると、ガスワイピングノズル10のノズル上部部材11を製造することが非常に困難になったり、ノズル先端部15におけるノズル上部部材11の強度が低下したりしてしまう。従って、θ1は、少なくとも0°以上であることが好ましい。θ1≧0°であれば、ノズル先端部15におけるノズル上部部材11の厚みが厚くなり、ノズル先端部15の強度を確保できるとともに、当該ノズル先端部15を切削加工等により容易に製造可能となる。
θ1≧0° ・・・(9)
また、同様な理由から、θ2も、少なくとも0°以上であることが好ましい。θ2≧0°であれば、ノズル先端部15におけるノズル下部部材12の厚みが厚くなり、ノズル先端部15の強度を確保できるとともに、当該ノズル先端部15を切削加工等により容易に製造可能となる。
θ2≧0° ・・・(10)
(4)θ1≧20°の根拠
さらに、ノズル上面の傾斜角度θ1は20°以上であることがより好ましい。θ1が20°未満であると、鋼帯2の通板速度vが150m/min以上の高速通板となったときに、圧縮性流体(噴流30)のコアンダ効果の上下のアンバランスが原因で、ガスの噴流30が下方に引き寄せられる場合がある。つまり、θ1が20°未満であると、ノズル上面側の空間35よりもノズル下面側の空間37が小さくなるため、ノズル上面側の空間35における噴流30のコアンダ効果よりも、ノズル下面側の空間37における噴流30のコアンダ効果が顕著に大きくなり、噴流30が下方に湾曲する場合がある。この結果、ガ下方に湾曲した噴流30によるガスワイピングが不適切になり、溶融金属31の目付量にばらつきが生じる可能性がある。これに対し、θ1が20°以上であれば、噴流30を水平方向に直線的に進行させて、適切なガスワイピングを実現できるので、目付量のばらつきを更に好適に抑制できる。
θ1≧20° ・・・(11)
(5)まとめ
以上の式(4)、(8)、(9)、(10)をまとめると、上述した式(1)、(2)が得られる。
0°≦θ1≦40° ・・・(1)
0°≦θ2≦0.225×θ1+2.75° ・・・(2)
図8は、本実施形態に係るノズル上面の傾斜角度θ1とノズル下面の傾斜角度θ2の適正範囲を示すグラフである。この図8は、式(1)及び式(2)を満たすθ1とθ2の範囲(斜線領域)を示している。
図8に示すように、本実施形態に係るθ1とθ2の適正範囲は、特許文献1、2に開示された従来のθ1とθ2の組み合わせ((θ1,θ2)=(5°,5°)、(15°〜25°,15°〜25°)を含んでいない。
ガスワイピングノズル10のノズル上下面の傾斜角度θ1、θ2を、図8に示す適正範囲に調整することで、ガスワイピングノズル10から噴射されたガスの噴流30が上下どちらの方向にも引き寄せられない中立状態となる。従って、ガスの噴流30の上又は下方向への曲がりを防止して、当該噴流30を鋼帯2に向けて水平方向に直進させることができるので、ガスワイピングを均一化することができる。よって、鋼帯2の表面の目付量のばらつきを、5g/m以下に抑制して、当該目付量を均一化することができる。
[4.ガスワイピング方法]
次に、本実施形態に係るガスワイピングノズル10を用いて、鋼帯2に対して水平方向にガスを吹き付け、鋼帯2に対する溶融金属31の付着量を制御するガスワイピング方法について説明する。本実施形態に係るガスワイピング方法の条件は以下の通りである。
ノズル最先端と鋼帯2との距離d :6〜8mm
ノズルのスリット幅δ :0.6〜0.8mm
ノズル最先端の平坦部23の長さt :5〜7mm
鋼帯2に対する衝突時のガス圧Pw :5〜25kPa
(1)d:6〜8mm、δ:0.6〜0.8mmの根拠
距離dを6mm未満にすると、鋼帯2とノズル10との距離が近すぎて、鋼帯2の振動時に、鋼帯2とノズル10が接触する可能性が高くなる。従来のワイピング方法では、d/δ=10程度であり、その場合、距離dは、コアの長さcの2倍程度となっている。なお、コアとは、噴流30の吐出方向に沿って噴流30の流速が減衰しない領域のことであり、コアの長さcはスリット幅δの5倍程度である(c=5×δ)。dを大きくすると、δも大きくなり、同じ圧力では、気体流量が増加する。距離dが8mmを越えると、所望のガス圧Pwを得るためには、ガスの流量を多くする必要があるので、ブロアの運転コストが増加するだけでなく、溶融亜鉛のめっき浴3の表面の波立ちが発生して、製造されるめっき鋼板の品質に悪影響を与える。よって、dは6mm以上、8mm以下であることが好ましい。
また、d/δは、20/3以上、40/3以下であることが好ましい。d/δ=10であることが適切であるが、dの誤差として、鋼帯2の振動振幅2mm程度は許容される。従って、例えば、d=6、δ=0.6mmのときには、(6−2)/0.6≦d/δ≦(6+2)/0.6より、20/3≦d/δ≦40/3であることが好ましい。
(2)t:4〜7mmの根拠
ガスワイピングノズル10の最先端の平坦部23の長さtが4mm未満である場合には、ガスワイピングノズル10の機械加工が困難となる。一方、tが7mm超である場合には、平坦部23への噴流付着効果が発生するので好ましくない。よって、tは4mm以上、7mm以下であることが好ましい。
(3)Pw:5〜25kPaの根拠
鋼帯2に対してガスの噴流30が衝突する時のガス圧Pwが5kPa以下である場合には、ガスワイピング力が弱すぎるため、鋼帯2に対する溶融金属の目付量が厚くなる。一方、Pwが25kPa超である場合には、ガスワイピング力が強すぎるため、目付量が薄くなる。よって、Pwは5mm以上、7mm以下であることが好ましい。
以下に本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明の効果を実証すするために行った例示にすぎず、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表3は、本実施例に係るガスワイピング試験の試験条件と評価結果を示す。
Figure 0006205753
表3に示すように、上記ガスワイピングノズル10の上下面の傾斜角度θ1、θ2を変更して、相異なるノズル形状のノズル試験体を作成し、ガスワイピング試験を行った。この試験では、以下の条件で、ガスワイピングノズル10からガスの噴流30を鋼帯2に噴射して、溶融金属31の目付量を調整した。なお、ノズル最先端の平坦部23の長さtは、加工可能範囲である5〜7mmとした。この際、鋼帯2に対する溶融金属31の目付量が45g/mとなるように、Pj、Pwを調整した。
ノズル最先端と鋼帯2との距離d :8mm
ノズルのスリット幅δ :0.8mm
ノズル最先端の平坦部23の長さt :5〜7mm
ノズル内部でのガス圧Pj :150kPa
鋼帯2に対する衝突時のガス圧Pw :25kPa
鋼帯2の通板速度v :180m/min
そして、上記各種のノズルを用いたガスワイピング時において、スプラッシュ32の発生状況や、ガスワイピング後の溶融金属31の目付状態を評価した。表3に示すスプラッシュ無害化の評価において、〇は、スプラッシュ32がノズルや鋼帯2に付着して疵にならない状態であることを表し、△は、当該疵が通板時間1分に対し1個以上発生する状況であることを表し、×は、当該疵が通板時間1分に対し2個以上発生する状況であることを表す。〇の場合は、スプラッシュ32が無害化されており、噴流30の上下方向への偏流(曲がり)を完全に防止できているといえる。△の場合は、疵は発生するものの、その発生頻度は許容範囲内であり、スプラッシュ32を十分に無害化できているといえる。×の場合は、疵の発生頻度は許容範囲外であり、スプラッシュ32を無害化できていないといえる。
また、表3に示す目付状態の評価において、〇は、鋼帯2の表面の目付量のばらつきが5g/m未満であることを表し、△は、当該目付量のばらつきが5g/m以上となることが通板方向で5%未満発生することを表し、×は、当該目付量のばらつきが5g/m以上なることが通板方向で5%以上発生することを表す。
表3から分かるように、本実施例1〜10では、ノズル上下面の傾斜角度θ1、θ2が、上述した式(1)の条件「0°≦θ1≦40°」と、式(2)の条件「0°≦θ2≦0.225×θ1+2.75°」を満たしている。この結果、本実施例1〜10では、スプラッシュ32を無害化できるとともに、ノズルから噴射されたガスの噴流30が上下に偏流することなく、鋼帯2に適切に衝突しているので、目付量を均一化できた。即ち、溶融金属31の目付量のばらつきを5g/m未満に抑えるか(実施例1〜7)、5g/m以上の目付量のばらつきが発生したとしても、その割合を通板方向で5%未満とすることができており(実施例8〜10)、鋼帯2全体としては、良好な目付状態を得ることができた。
一方、比較例1〜8では、当該式(1)又は式(2)の少なくともいずれかの条件を満たしていないので、ガスの噴流30が上方又は下方に偏流してしまい、ワイピング力の低下のため、目付量が不均一となり、目付量のばらつきが5g/m以上なることが通板方向で5%以上発生した。また、有害なスプラッシュ32が発生したため、スプラッシュ32がノズルや鋼帯2に付着して、鋼帯2に疵が発生する場合があった。
また、実施例1〜7は、ノズル上下面の傾斜角度θ1が、上記式(1)及び式(2)の条件に加えて、上述した式(11)の条件「θ1≧20°」も満たしている。これにより、鋼帯2に付着して疵にならない程度に、スプラッシュ32の発生を抑制して無害化できるとともに、ガスの噴流30が下方に曲がることを防止して、ガスの噴流3の直進性をより向上できるため、目付量ばらつきを5g/m未満にできるという効果があった。一方、実施例8〜10では、当該式(11)の条件「θ1≧20°」を満たさないため、ガスの噴流30が下方に曲がり、目付量ばらつきが5g/m以上となることが通板方向で5%未満発生するという弊害があり、実施例1〜7よりも目付状態が劣化していた。
以上により、ノズル先端部の上面と下面の傾斜角度θ1、θ2の相互関係やスプラッシュ角度θ3を考慮して、当該傾斜角度θ1、θ2を適切に調整することにより、スプラッシュ32を無害化できるとともに、ノズルから噴射されるガス噴流30の曲がりを防止して、ガスワイピングを好適に行って、鋼帯2に対する溶融金属31の付着量を均一化できることが実証されたといえる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 連続溶融金属めっき装置
2 鋼帯
3 めっき浴
4 浴槽
5 スナウト
6 シンクロール
7、8 サポートロール
9 トップロール
10 ガスワイピングノズル
11 ノズル上部部材
12 ノズル下部部材
13 スペーサ
15 ノズル先端部
19 スリット
20 ガス噴射口
21、22 傾斜面
23 平坦部
30 噴流
31 溶融金属
32 スプラッシュ
33 衝突点
34 表面
35、37 空間
36、38 低圧部

Claims (4)

  1. 150〜250m/minで金属帯を搬送する連続溶融金属めっき装置に設けられ、めっき浴から鉛直方向に引き上げられる前記金属帯の全幅に渡って、水平方向に同時にガスを吹き付けるガスワイピングノズルにおいて、
    前記ガスワイピングノズルのノズル先端側の上面は、ガス噴射方向に向けて下るように傾斜した傾斜面であり、
    前記ガスワイピングノズルのノズル先端側の下面は、前記ガス噴射方向に向けて上るように傾斜した傾斜面であり、
    前記ガスワイピングノズルの上面の前記傾斜面が水平面となす傾斜角度θ1と、前記ガスワイピングノズルの下面の前記傾斜面が水平面となす傾斜角度θ2が、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする、ガスワイピングノズル。
    5°≦θ1≦40° ・・・(1)
    0°≦θ2≦0.225×θ1+2.75° ・・・(2)
  2. 前記傾斜角度θ1が20°以上であることを特徴とする、請求項1に記載のガスワイピングノズル。
  3. 請求項1又は2に記載のガスワイピングノズルを用いて、めっき浴から鉛直方向に引き上げられる金属帯に対して水平方向にガスを吹き付けることにより、前記金属帯に対する溶融金属の付着量を制御することを特徴とする、ガスワイピング方法。
  4. 前記ガスワイピングノズルの最先端と前記金属帯との距離dが、6〜8mmであり、
    前記ガスワイピングノズルのスリット幅δが、0.6〜0.8mmであり、
    前記ガスワイピングノズルの最先端に、前記金属帯の表面と対向する平坦部が形成され、前記平坦部の長さtが、5〜7mmであり、
    前記ガスワイピングノズルから噴射されたガスが前記金属帯に衝突するときのガス圧Pwが、5〜25kPaであることを特徴とする、請求項3に記載のガスワイピング方法。
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