JP2004099922A - スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 - Google Patents
スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004099922A JP2004099922A JP2002259625A JP2002259625A JP2004099922A JP 2004099922 A JP2004099922 A JP 2004099922A JP 2002259625 A JP2002259625 A JP 2002259625A JP 2002259625 A JP2002259625 A JP 2002259625A JP 2004099922 A JP2004099922 A JP 2004099922A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- snout
- dross
- molten metal
- bath
- suction port
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Coating With Molten Metal (AREA)
Abstract
【課題】連続溶融亜鉛めっきなどの連続溶融めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法およびドロス除去装置を提供する。
【解決手段】スナウト内の鋼板近傍の溶融金属を、浴表面から350mm以上の深い部分にある清浄溶融金属と置換してスナウト内の浮遊ドロスを除去する方法において、置換流量を5〜120×10−3m3 /minの範囲とするスナウト内浮遊ドロスの除去方法、およびスナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口と、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分に開口する清浄溶融金属吸引口と、該供給口と吸引口を連結する管路と該管路の中間部に設けた溶融金属移送手段とからなるスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
【選択図】 図1
【解決手段】スナウト内の鋼板近傍の溶融金属を、浴表面から350mm以上の深い部分にある清浄溶融金属と置換してスナウト内の浮遊ドロスを除去する方法において、置換流量を5〜120×10−3m3 /minの範囲とするスナウト内浮遊ドロスの除去方法、およびスナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口と、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分に開口する清浄溶融金属吸引口と、該供給口と吸引口を連結する管路と該管路の中間部に設けた溶融金属移送手段とからなるスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続溶融亜鉛めっきなどの連続溶融めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法およびドロス除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続溶融金属めっき装置を図3に示す。この図3に示すように、鋼板1は連続焼鈍炉に連結したスナウト2内を進行し溶融めっき浴3へ導入される。通常スナウトの内部は還元焼鈍炉内と同様に非酸化性ガスで充満されており、またスナウトの下端は溶融めっき浴中に浸漬されているため、スナウト内は外部の雰囲気とは遮断されている。従って、非酸化性雰囲気であるスナウト内では、酸化亜鉛ドロスは発生しにくいが、鋼板から亜鉛浴に溶出したFeとめっき密着性向上のために浴に微量添加したAlとが反応して生じるトップドロス(Fe2 Al5 )が生成する。トップドロスは軽量であるため溶融金属浴上に浮遊し、スナウト内にも侵入してめっき不良の原因となることが良く知られている。特にスナウト内では、鋼板が最初に浴に接するためドロスなどの異物の巻き込み現象が発生し易く、また、スナウトは溶融金属浴中に一区画を形成し外部とは遮断されているために、滞留した浮遊ドロスは外部に散逸しにくいという問題がある。
【0003】
また、ドロス付着によるめっき鋼板の表面欠陥は、ドロス疵などと呼ばれ製品歩留を低下させる大きな要因である。従って、スナウト内のドロス除去に関する研究は従来から盛んに行われており、多くの提案がなされている。スナウト内の浮遊ドロスを吸引装置を用いてスナウト外へ排出する方法としては、例えば、スナウト外に排出口を有する曲管の吸引口をスナウト内浴面に対して間歇的に出没させる方法(引用文献1)、窒素ガスを用いたジェットポンプを作動させてスナウト内のドロスを吸引するもの(引用文献2)、スナウト内のスカム膜を吸引口径60〜80mm、吸引流量150L/min以下、浴面下10〜20mmの位置からメタルポンプで吸引する方法(引用文献3)、ドロスを機械的に移動させる板状のドロス除去装置とドロス吸引手段を組み合わせたもの、(引用文献4)、スナウトの内側と外側を結ぶU字形の連通管を配設し、窒素などのガスを用いたガスリフトポンプでドロスを排除するもの(引用文献5)などがある。
【0004】
さらに、スナウト内に溶融金属浴の吸引口と供給口の両方を設け、スナウト内に吸引口に向かう流れを作りドロスを除去する方法としては、例えばメタルポンプのインペラーを上下に一対設け、ポンプの回転速度を上げずに吐出容量を上げる装置(引用文献6)、上下位置調整可能な供給口と吸引口を用いるもの(引用文献7)などがある。また、スナウト内にドロスを含まない清浄な溶融金属を供給し、スナウト内の溶融金属流を利用して吸引口を設けずにドロスをスナウト外へ排出するもの(引用文献8)などが知られている。
【0005】
【引用文献】(a)引用文献1 特開平9−31618号公報
(b)引用文献2 特開2001−335906号公報
(c)引用文献3 特開2001−49412号公報
(d)引用文献4 特開2000−273599号公報
(e)引用文献5 特開2000−265254号公報
(f)引用文献6 特開2001−181813号公報
(g)引用文献7 特開平8−269659号公報
(h)引用文献8 特開平11−279726号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許の多くは、スナウト内の浮遊ドロスを除去するに際し、浮遊ドロスを吸引装置によって吸引除去しようとするものである。しかしこれら除去方法によっても、特にドロス疵対策としては十分な効果が得られないのが実状である。一方、引用文献8には、スナウト内にドロスを含まない清浄な溶融金属を供給し、スナウト内の溶融金属流を利用し、吸引口を設けずにドロスをスナウト外へ排出するものが開示されている。しかしながら該特許の場合は、スナウト両側からの溶融金属の流し込みによってドロスをを排除するもので、流し込む溶融金属が多くなると両側からの流れが衝突し浴面が変動するため、気泡等を巻き込みめっき不具合の原因となる。また、該特許の場合は、スナウト内に供給するドロスを含まない清浄な溶融金属をどの位置において採取するのが最適であるか不明であり、しかもどの程度の置換量が最適であるかの解明が全く示されていない。
【0007】
【発明が解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、メタルポンプ吸引口周辺の高さ方向における浮遊ドロスの挙動を理論的に解析し、溶融金属浴表面から350mmより深い部分に清浄な溶融金属があることを見出した。しかし、溶融金属浴内のドロスの挙動は、ドロスの粒径毎の浮上速度と鋼板の随伴流などに影響され複雑な挙動を示すため、実操業において溶融金属浴を深度別にサンプリングし、ドロス個数と鋼板のドロス疵との関係を調査した。その結果、浴表面より350mm以上深い部分にあるドロス含有率が低い清浄な溶融金属を、特定範囲内の流量で静かにスナウト内に送り込みドロスを含有する金属浴と置換するれば良いことを見出し発明するに至ったものである。
【0008】
その発明の要旨とするところは、
(1)スナウト内の鋼板近傍の溶融金属を、浴表面から350mm以上の深い部分にある清浄溶融金属と置換してスナウト内の浮遊ドロスを除去する方法において、置換流量を5〜120×10−3m3 /minの範囲とすることを特徴とするスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
(2)スナウトの浸漬深さを350mm以上とする前記(1)記載のスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
【0009】
(3)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口と、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分に開口する清浄溶融金属吸引口と、該供給口と吸引口を連結する管路と該管路の中間部に設けた溶融金属移送手段とからなるスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
(4)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウト内の鋼帯端部の浴面下に設けられることを特徴とする前記(3)に記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
(5)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウトの片側のみに設けられることを特徴とする前記(3)または(4)記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスナウト内浮遊ドロスの除去装置の概略図である。この図に示す連続溶融亜鉛めっき装置において、還元性雰囲気の焼鈍炉(図示せず)内を走行してきた被めっき材の鋼板1を、スナウト2を経て、例えば溶融亜鉛めっき浴3に浸漬され、その表面に亜鉛が連続的に付着され亜鉛メッキ鋼板が製造される。このスナウト2は、焼鈍後の鋼板1が酸素と接触するのを防止するために設けられているが、スナウト2で囲まれた部分の溶融亜鉛めっき浴表面には、通常、めっき浴中のAlの反応生成物であるドロスが存在し、走行する鋼板1の表面に付着する。ドロス付着があると、めっき層の形状が乱れ、製品の品質欠陥となる他、このドロスが多量にスナウト2内壁に付着した場合には、ラインを停止して除去することが必要となり、生産性にも悪影響を与える。
【0011】
溶融亜鉛浴3内に搬入された鋼板1は、めっき槽深部に配設されたシンクロール4を周回した後めっき槽外部に引き上げられるようになっていて、めっき槽内を移動する過程で鋼板1に連続的に亜鉛めっきが施される。このような連続溶融亜鉛めっき装置において、スナウト内の浮遊ドロスの悪影響を防止するには、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分にある清浄溶融金属をスナウト2内の鋼板近傍に送る金属浴移送手段(メタルポンプ7)を設け、このメタルポンプ7で清浄溶融金属を特定流量移送することにより可能である。
【0012】
合金化亜鉛めっきを施こすには、めっき浴中に微量のAlを添加して一定の合金化反応を進行させる。この場合、Al濃度が低いと鋼板との合金化が良く進み合金層の厚いめっき鋼板が製造される。また、Al濃度が高いとその逆で、合金化処理しにくい通常の亜鉛鋼板しか製造できない。このようなことから、浴中のAl濃度を一定にコントロールすることが必要である。
【0013】
しかし、亜鉛浴中のAlはドロスを形成し溶融めっきの障害となる。めっき浴中のAl濃度が0.14%より低い組成では、Alが鋼板や浴中のめっき機材と反応して浴よりも比重の重いFeZn7 のボトムドロスが生成されるが、浴中のAl濃度を制御するために浴中へ地金を投入するポット上層部は浴中の平均的なAl濃度よりもその濃度が高く、FeZn7 のボトムドロスは、さらに浴中のAlと反応して浴よりも比重の軽いFe2 Al5 (2FeZn7 +5Al→Fe2 Al5 +14Zn)のトップドロスを生成し、めっきポット上層部に停滞する。
【0014】
トップドロスはポット上層部からAl濃度が低い中層部に巻き込まれると、再度ボトムドロスに変化してポット底に沈降堆積する。従って、ポットの浴中にはトップドロスの生成領域と生成しない領域が存在する。本発明はこの境界となる位置が浴表面から350mmの位置であることを種々の実験の結果、見出したものである。その結果、めっき品質を阻害するトップドロスが少ない層(浴面から350mm以上深い層)から清浄溶融金属を吸い込みスナウト内の鋼板近傍へ供給することによってドロス疵のない製品の製造が可能となった。
【0015】
ドロス疵の原因となるドロスは目視で確認できないほど微細なものであり、顕微鏡でその有無を判断する。本発明では粒径が50μm程度までのドロスの排除を目的としている。浴表面から350mm以上深い層で、上記微細ドロスが減少することを見出し発明に至ったものであるが、清浄溶融金属の吸い込み口があまり深くなると、ポット底に沈降堆積しているボトムドロスを巻き上げる可能性があるので、シンクロールの上端レベル以下に下げない方が好ましい。
【0016】
次に、本発明における置換量を流量で5〜120×10−3m3 /minの範囲で操業する理由は、5×10−3m3 /min未満では、浮遊ドロスを新しい清浄溶融金属で置換できず鋼板のドロス疵を防止するに十分な効果が得られず、120×10−3m3 /minを超えると、スナウト内で乱流が発生し、浮上ドロスの巻き込み現象によって、結果的にドロス疵の発生を防止する効果が得られない。従って、その範囲を5〜120×10−3m3 /minと決めた。本発明ではスナウト内鋼板の表裏面を清浄溶融金属の層で包むことが重要で、出来るだけスナウト内の溶融金属流れを乱さないことが肝要である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
図1に示すように、スナウト外の溶融金属浴表面下400mmの深さにメタルポンの装置の吸い込み口8を設け、この吸い込み口8から吸い込んだドロスのない清浄溶融金属をスナウト内の開口部9から、流量20×10−3m3 /minで鋼板面近傍に噴出させた。一方、常に浴のAl濃度を0.10%保持するため、浴上から0.5%Al含有のZn地金を投入した。以上の条件で操業した結果、ドロス疵による製品不良は発生しなかった。
【0018】
なお、この条件で溶融金属浴中のドロスの状態をサンプリング調査した結果を図2に示す。サンプリングした溶融金属を凝固させ、半割りにして表面研磨後、顕微鏡で観察しドロスの個数(単位面積当り)を算出した。深さが250mmを超えると、スナウトの内と外のドロス個数に差が無くなるが、これはスナウト浸漬深さが200mmであったためである。表1に清浄溶融金属の置換流量を変化させた場合のドロス疵の発生状況を示す。この表1に示すように、No.1〜5は本発明例であり、No.6〜8は比較例である。評価方法としてドロス疵の有無によって判断し、○がドロス疵の発生なし、×はドロス疵の発生があるものとした。この結果、5×10−3m3 /min未満と120×10−3m3 /minを超える場合にはドロス疵の発生があることが分かる。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
るため、製品の品質向上、歩留り向上が可能となり、工業上極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスナウト内浮遊ドロスの除去装置の概略図である。
【図2】本発明における浴中ドロスの状況を示す図である。
【図3】従来の連続溶融金属めっき装置の概略図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 焼鈍炉スナウト
3 溶融めっき浴
4 シンクロール
5 テンションロール
6 ドロス
7 メタルポンプ
8 吸い込み口
9 開口部
10 管路
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続溶融亜鉛めっきなどの連続溶融めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法およびドロス除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続溶融金属めっき装置を図3に示す。この図3に示すように、鋼板1は連続焼鈍炉に連結したスナウト2内を進行し溶融めっき浴3へ導入される。通常スナウトの内部は還元焼鈍炉内と同様に非酸化性ガスで充満されており、またスナウトの下端は溶融めっき浴中に浸漬されているため、スナウト内は外部の雰囲気とは遮断されている。従って、非酸化性雰囲気であるスナウト内では、酸化亜鉛ドロスは発生しにくいが、鋼板から亜鉛浴に溶出したFeとめっき密着性向上のために浴に微量添加したAlとが反応して生じるトップドロス(Fe2 Al5 )が生成する。トップドロスは軽量であるため溶融金属浴上に浮遊し、スナウト内にも侵入してめっき不良の原因となることが良く知られている。特にスナウト内では、鋼板が最初に浴に接するためドロスなどの異物の巻き込み現象が発生し易く、また、スナウトは溶融金属浴中に一区画を形成し外部とは遮断されているために、滞留した浮遊ドロスは外部に散逸しにくいという問題がある。
【0003】
また、ドロス付着によるめっき鋼板の表面欠陥は、ドロス疵などと呼ばれ製品歩留を低下させる大きな要因である。従って、スナウト内のドロス除去に関する研究は従来から盛んに行われており、多くの提案がなされている。スナウト内の浮遊ドロスを吸引装置を用いてスナウト外へ排出する方法としては、例えば、スナウト外に排出口を有する曲管の吸引口をスナウト内浴面に対して間歇的に出没させる方法(引用文献1)、窒素ガスを用いたジェットポンプを作動させてスナウト内のドロスを吸引するもの(引用文献2)、スナウト内のスカム膜を吸引口径60〜80mm、吸引流量150L/min以下、浴面下10〜20mmの位置からメタルポンプで吸引する方法(引用文献3)、ドロスを機械的に移動させる板状のドロス除去装置とドロス吸引手段を組み合わせたもの、(引用文献4)、スナウトの内側と外側を結ぶU字形の連通管を配設し、窒素などのガスを用いたガスリフトポンプでドロスを排除するもの(引用文献5)などがある。
【0004】
さらに、スナウト内に溶融金属浴の吸引口と供給口の両方を設け、スナウト内に吸引口に向かう流れを作りドロスを除去する方法としては、例えばメタルポンプのインペラーを上下に一対設け、ポンプの回転速度を上げずに吐出容量を上げる装置(引用文献6)、上下位置調整可能な供給口と吸引口を用いるもの(引用文献7)などがある。また、スナウト内にドロスを含まない清浄な溶融金属を供給し、スナウト内の溶融金属流を利用して吸引口を設けずにドロスをスナウト外へ排出するもの(引用文献8)などが知られている。
【0005】
【引用文献】(a)引用文献1 特開平9−31618号公報
(b)引用文献2 特開2001−335906号公報
(c)引用文献3 特開2001−49412号公報
(d)引用文献4 特開2000−273599号公報
(e)引用文献5 特開2000−265254号公報
(f)引用文献6 特開2001−181813号公報
(g)引用文献7 特開平8−269659号公報
(h)引用文献8 特開平11−279726号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許の多くは、スナウト内の浮遊ドロスを除去するに際し、浮遊ドロスを吸引装置によって吸引除去しようとするものである。しかしこれら除去方法によっても、特にドロス疵対策としては十分な効果が得られないのが実状である。一方、引用文献8には、スナウト内にドロスを含まない清浄な溶融金属を供給し、スナウト内の溶融金属流を利用し、吸引口を設けずにドロスをスナウト外へ排出するものが開示されている。しかしながら該特許の場合は、スナウト両側からの溶融金属の流し込みによってドロスをを排除するもので、流し込む溶融金属が多くなると両側からの流れが衝突し浴面が変動するため、気泡等を巻き込みめっき不具合の原因となる。また、該特許の場合は、スナウト内に供給するドロスを含まない清浄な溶融金属をどの位置において採取するのが最適であるか不明であり、しかもどの程度の置換量が最適であるかの解明が全く示されていない。
【0007】
【発明が解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、メタルポンプ吸引口周辺の高さ方向における浮遊ドロスの挙動を理論的に解析し、溶融金属浴表面から350mmより深い部分に清浄な溶融金属があることを見出した。しかし、溶融金属浴内のドロスの挙動は、ドロスの粒径毎の浮上速度と鋼板の随伴流などに影響され複雑な挙動を示すため、実操業において溶融金属浴を深度別にサンプリングし、ドロス個数と鋼板のドロス疵との関係を調査した。その結果、浴表面より350mm以上深い部分にあるドロス含有率が低い清浄な溶融金属を、特定範囲内の流量で静かにスナウト内に送り込みドロスを含有する金属浴と置換するれば良いことを見出し発明するに至ったものである。
【0008】
その発明の要旨とするところは、
(1)スナウト内の鋼板近傍の溶融金属を、浴表面から350mm以上の深い部分にある清浄溶融金属と置換してスナウト内の浮遊ドロスを除去する方法において、置換流量を5〜120×10−3m3 /minの範囲とすることを特徴とするスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
(2)スナウトの浸漬深さを350mm以上とする前記(1)記載のスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
【0009】
(3)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口と、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分に開口する清浄溶融金属吸引口と、該供給口と吸引口を連結する管路と該管路の中間部に設けた溶融金属移送手段とからなるスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
(4)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウト内の鋼帯端部の浴面下に設けられることを特徴とする前記(3)に記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
(5)スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウトの片側のみに設けられることを特徴とする前記(3)または(4)記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスナウト内浮遊ドロスの除去装置の概略図である。この図に示す連続溶融亜鉛めっき装置において、還元性雰囲気の焼鈍炉(図示せず)内を走行してきた被めっき材の鋼板1を、スナウト2を経て、例えば溶融亜鉛めっき浴3に浸漬され、その表面に亜鉛が連続的に付着され亜鉛メッキ鋼板が製造される。このスナウト2は、焼鈍後の鋼板1が酸素と接触するのを防止するために設けられているが、スナウト2で囲まれた部分の溶融亜鉛めっき浴表面には、通常、めっき浴中のAlの反応生成物であるドロスが存在し、走行する鋼板1の表面に付着する。ドロス付着があると、めっき層の形状が乱れ、製品の品質欠陥となる他、このドロスが多量にスナウト2内壁に付着した場合には、ラインを停止して除去することが必要となり、生産性にも悪影響を与える。
【0011】
溶融亜鉛浴3内に搬入された鋼板1は、めっき槽深部に配設されたシンクロール4を周回した後めっき槽外部に引き上げられるようになっていて、めっき槽内を移動する過程で鋼板1に連続的に亜鉛めっきが施される。このような連続溶融亜鉛めっき装置において、スナウト内の浮遊ドロスの悪影響を防止するには、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分にある清浄溶融金属をスナウト2内の鋼板近傍に送る金属浴移送手段(メタルポンプ7)を設け、このメタルポンプ7で清浄溶融金属を特定流量移送することにより可能である。
【0012】
合金化亜鉛めっきを施こすには、めっき浴中に微量のAlを添加して一定の合金化反応を進行させる。この場合、Al濃度が低いと鋼板との合金化が良く進み合金層の厚いめっき鋼板が製造される。また、Al濃度が高いとその逆で、合金化処理しにくい通常の亜鉛鋼板しか製造できない。このようなことから、浴中のAl濃度を一定にコントロールすることが必要である。
【0013】
しかし、亜鉛浴中のAlはドロスを形成し溶融めっきの障害となる。めっき浴中のAl濃度が0.14%より低い組成では、Alが鋼板や浴中のめっき機材と反応して浴よりも比重の重いFeZn7 のボトムドロスが生成されるが、浴中のAl濃度を制御するために浴中へ地金を投入するポット上層部は浴中の平均的なAl濃度よりもその濃度が高く、FeZn7 のボトムドロスは、さらに浴中のAlと反応して浴よりも比重の軽いFe2 Al5 (2FeZn7 +5Al→Fe2 Al5 +14Zn)のトップドロスを生成し、めっきポット上層部に停滞する。
【0014】
トップドロスはポット上層部からAl濃度が低い中層部に巻き込まれると、再度ボトムドロスに変化してポット底に沈降堆積する。従って、ポットの浴中にはトップドロスの生成領域と生成しない領域が存在する。本発明はこの境界となる位置が浴表面から350mmの位置であることを種々の実験の結果、見出したものである。その結果、めっき品質を阻害するトップドロスが少ない層(浴面から350mm以上深い層)から清浄溶融金属を吸い込みスナウト内の鋼板近傍へ供給することによってドロス疵のない製品の製造が可能となった。
【0015】
ドロス疵の原因となるドロスは目視で確認できないほど微細なものであり、顕微鏡でその有無を判断する。本発明では粒径が50μm程度までのドロスの排除を目的としている。浴表面から350mm以上深い層で、上記微細ドロスが減少することを見出し発明に至ったものであるが、清浄溶融金属の吸い込み口があまり深くなると、ポット底に沈降堆積しているボトムドロスを巻き上げる可能性があるので、シンクロールの上端レベル以下に下げない方が好ましい。
【0016】
次に、本発明における置換量を流量で5〜120×10−3m3 /minの範囲で操業する理由は、5×10−3m3 /min未満では、浮遊ドロスを新しい清浄溶融金属で置換できず鋼板のドロス疵を防止するに十分な効果が得られず、120×10−3m3 /minを超えると、スナウト内で乱流が発生し、浮上ドロスの巻き込み現象によって、結果的にドロス疵の発生を防止する効果が得られない。従って、その範囲を5〜120×10−3m3 /minと決めた。本発明ではスナウト内鋼板の表裏面を清浄溶融金属の層で包むことが重要で、出来るだけスナウト内の溶融金属流れを乱さないことが肝要である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
図1に示すように、スナウト外の溶融金属浴表面下400mmの深さにメタルポンの装置の吸い込み口8を設け、この吸い込み口8から吸い込んだドロスのない清浄溶融金属をスナウト内の開口部9から、流量20×10−3m3 /minで鋼板面近傍に噴出させた。一方、常に浴のAl濃度を0.10%保持するため、浴上から0.5%Al含有のZn地金を投入した。以上の条件で操業した結果、ドロス疵による製品不良は発生しなかった。
【0018】
なお、この条件で溶融金属浴中のドロスの状態をサンプリング調査した結果を図2に示す。サンプリングした溶融金属を凝固させ、半割りにして表面研磨後、顕微鏡で観察しドロスの個数(単位面積当り)を算出した。深さが250mmを超えると、スナウトの内と外のドロス個数に差が無くなるが、これはスナウト浸漬深さが200mmであったためである。表1に清浄溶融金属の置換流量を変化させた場合のドロス疵の発生状況を示す。この表1に示すように、No.1〜5は本発明例であり、No.6〜8は比較例である。評価方法としてドロス疵の有無によって判断し、○がドロス疵の発生なし、×はドロス疵の発生があるものとした。この結果、5×10−3m3 /min未満と120×10−3m3 /minを超える場合にはドロス疵の発生があることが分かる。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
るため、製品の品質向上、歩留り向上が可能となり、工業上極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスナウト内浮遊ドロスの除去装置の概略図である。
【図2】本発明における浴中ドロスの状況を示す図である。
【図3】従来の連続溶融金属めっき装置の概略図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 焼鈍炉スナウト
3 溶融めっき浴
4 シンクロール
5 テンションロール
6 ドロス
7 メタルポンプ
8 吸い込み口
9 開口部
10 管路
Claims (5)
- スナウト内の鋼板近傍の溶融金属を、浴表面から350mm以上の深い部分にある清浄溶融金属と置換してスナウト内の浮遊ドロスを除去する方法において、置換流量を5〜120×10−3m3 /minの範囲とすることを特徴とするスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
- スナウトの浸漬深さを350mm以上とする請求項1記載のスナウト内浮遊ドロスの除去方法。
- スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口と、溶融金属浴表面から350mm以上深い部分に開口する清浄溶融金属吸引口と、該供給口と吸引口を連結する管路と該管路の中間部に設けた溶融金属移送手段とからなるスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
- スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウト内の鋼帯端部の浴面下に設けられることを特徴とする請求項3記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
- スナウト内の鋼板近傍に清浄溶融金属を供給する供給口がスナウトの片側のみに設けられることを特徴とする請求項3または4記載のスナウト内浮遊ドロスの除去装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002259625A JP2004099922A (ja) | 2002-09-05 | 2002-09-05 | スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002259625A JP2004099922A (ja) | 2002-09-05 | 2002-09-05 | スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004099922A true JP2004099922A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32260567
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002259625A Withdrawn JP2004099922A (ja) | 2002-09-05 | 2002-09-05 | スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004099922A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014114483A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 溶融亜鉛めっきラインにおけるスナウト内浮遊スカム除去装置 |
JP2014114484A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 溶融亜鉛めっきラインにおけるスナウト内浮遊スカム除去装置 |
-
2002
- 2002-09-05 JP JP2002259625A patent/JP2004099922A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014114483A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 溶融亜鉛めっきラインにおけるスナウト内浮遊スカム除去装置 |
JP2014114484A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 溶融亜鉛めっきラインにおけるスナウト内浮遊スカム除去装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2797910B2 (ja) | 連続溶融めっき方法及びその方法に使用するドロス除去装置 | |
JPH08269659A (ja) | 連続溶融めっきにおけるスナウト内ドロスの除去方法および装置 | |
JP4961675B2 (ja) | 連続溶融金属めっき装置 | |
JP2004099922A (ja) | スナウト内浮遊ドロスの除去方法および装置 | |
JP2501654B2 (ja) | 連続溶融亜鉛めっき装置 | |
JPH05279827A (ja) | 溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロス除去装置 | |
JP2005171361A (ja) | 溶融金属めっきにおけるスナウト内浴面の異物除去装置 | |
JP2959409B2 (ja) | めっき浴のドロス除去装置 | |
JP2014065950A (ja) | スナウト内異物排出装置 | |
JP3993715B2 (ja) | ドロス除去方法および除去装置 | |
JPH09228016A (ja) | 溶融金属めっき方法及びその装置 | |
JP2004059942A (ja) | 溶融金属めっきにおけるスナウト内ドロスの除去装置および除去方法 | |
JP4238457B2 (ja) | 溶融金属めっき浴中のドロスの除去方法および溶融金属めっき装置 | |
JP2001164349A (ja) | 溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方法および装置 | |
JP2928454B2 (ja) | 連続溶融金属めっき装置 | |
JP2842204B2 (ja) | 連続溶融めっき方法及びその装置 | |
JP3745730B2 (ja) | 美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP4487386B2 (ja) | 鋼帯の溶融金属めっきにおけるめっき浴の清浄化方法および溶融金属めっき装置 | |
JPH04154948A (ja) | 溶融亜鉛浴槽 | |
JP2897583B2 (ja) | 溶融亜鉛めっき浴中のドロスの除去方法および装置 | |
JPH10226864A (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JPH11279730A (ja) | Znの酸化を抑制した溶融めっき方法 | |
JPH07113154A (ja) | 溶融金属めっき方法及び装置 | |
JP5115041B2 (ja) | 溶融金属めっき装置 | |
JPH10140309A (ja) | 溶融亜鉛めっき設備におけるドロス除去装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |