JP3718140B2 - レーザ溶接装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ溶接装置、特に原子炉燃料集合体の燃料棒,制御棒案内シンブル管等の端栓溶接に使用するレーザ溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子炉用燃料集合体の制御棒案内シンブル管等においては、図6(イ)(ロ)に示すようにシンブル管6上端にはリングナット(図示せず)を締め付けるカラー19が溶接され、一方、シンブル管6下部には雌ねじを有する下部端栓8が溶接され夫々、上部ノズル,下部ノズルに接続されるが、これらのカラー溶接,端栓溶接は従来、一般にTig溶接で各種専用チャンバーにシンブル管および端栓類を入れ、真空引き,不活性ガス置換を行った後、溶接を実施していた。そのため、トータルな溶接が長く、使用する不活性ガス量も少なくなかった。
また一部、Tig溶接に代えてレーザ溶接を適用した例もあるが、酸化,着色を防止するためにやはり真空引きを必要としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の如き実状に対処し、特にTig溶接をレーザ溶接に代え、更に新規な不活性ガス置換雰囲気で溶接を行うことを見出すことにより、燃料棒及び制御棒案内シンブル管の端栓溶接などにおいて真空引きを必要とすることなく、レーザ溶接を可能とし、しかも溶接部の酸化,着色を防止し、溶接時間の短縮をはかることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして、上記目的に適合するため本発明レーザ溶接装置は、溶接チャンバー内に被加工物を入れレーザを用いて溶接する装置において、前記溶接チャンバーを該チャンバー内に更に被加工物が入る大きさの溶接トップチャンバーを設けて二重構造となし、溶接トップチャンバーに、複数の不活性ガス流入孔を有するレーザガイド筒を先端を被加工物に向けて取り付け、被加工物を囲む雰囲気を不活性ガス雰囲気に保持せしめて溶接し得るようにした。
【0005】
請求項2〜4に係る発明は、上記発明における具体的な態様であり、請求項2の発明は、溶接チャンバー及び溶接トップチャンバーに夫々、独立して不活性ガスを流量調整可能に送付できる不活性ガス流入孔を設け各チャンバーへの流量を調整して不活性ガスを有効に利用する構成であり、請求項3の発明は溶接チャンバー内のレーザガイド筒の構成であり、上端にレーザ透光用ガラスを有し、その下部側面に不活性ガス流入口を有して構成されていると共に、ガス流入口に連なるレーザガイド筒内面にガス貯め、さらに該ガス貯めに筒内にガスを流入する流入孔が設けられている構成からなることを特徴とする。
【0006】
また請求項4の発明は被加工物を保持する治具の具体的な態様で、レーザ溶接装置の不活性ガス雰囲気に保持される溶接トップチャンバー内に制御棒案内シンブル管下部端栓保持治具、あるいはシンブル管カラー内面に挿入されるカラー中棒を設置すると共に、チャンバー内の不活性ガスがシンブル管内面に流入して酸化を防止するようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、更に添付図面にもとづき本発明装置の具体的な実施態様を説明する。
【0008】
図1は制御棒案内シンブル管の下部端栓を溶接する本発明装置の1例であり、中央に溶接チャンバー4が設置され、一方側より該チャンバー4にシンブル管6が挿入されると共に、これに対向して他方側に下部端栓8を保持する保持治具9がチャンバー4内に設けられた溶接トップチャンバー1内に配設されていて、該チャンバー1内でシンブル管6内部に下部端栓8先端を挿入して保持し得るようになっている。
そして、溶接チャンバー4には上部にレーザ発振器3が設置され、その上部に監視用同軸カメラ2が保持されて、同カメラの監視下でレーザガイド筒5を介してレーザ光線が透光され、レーザ溶接が実施されるようになっている。
【0009】
図2は上記装置における溶接チャンバー4部の拡大図であり、本発明においては図示のように溶接チャンバー4内に更に溶接しようとする被加工物が入る大きさの上記溶接トップチャンバー1が設けられていて、溶接チャンバー構造が従来の溶接チャンバー4と、内部の溶接トップチャンバー1との二重構造となっており、前述のレーザガイド筒5が内部の溶接トップチャンバー1にその先端を被加工物に向けて一体に取り付けられている。
【0010】
そして、上記の構造において溶接チャンバー4及び溶接トップチャンバー1には夫々独立して不活性ガスを送付するガス流口孔14a,14b及び13が設けられ、夫々流量が調整可能となっていて、少ないガス量で効率よく溶接に最適な雰囲気を作ることができるようになっている。
即ち、溶接チャンバー4内には雰囲気のキープのために常に小さな流量で不活性ガスを流しておき、溶接トップチャンバー1には溶接時に充分な流量を供給することにより不活性ガスの有効利用を図ることができる。
【0011】
一方、上記レーザガイド筒5は、その上端面にレーザ透光のため、ガラス16が上下のリング状パッキン17に挟まれて取り付けられていると共に、その下部側面に不活性ガス流入口12が設けられており、この不活性ガス流入口12より不活性ガスが流入される。
このレーザガイド筒5は内面周囲にはガス貯め10が形成され、前記不活性ガス流入口12より流入される不活性ガスを一旦貯留すると共に、このガス貯め10には前記ガスを筒内に均等に流入させるべく、筒内周方向にわたって16箇所の均等に付けられたガス流入孔11が設けられている。
図中、15は溶接チャンバー4内の不活性ガス排出口である。
【0012】
次に上述の如きレーザ溶接装置を用いて制御棒案内シンブル管の下部端栓8を溶接するにあたっては、該端栓8を端栓保持治具9に保持させ、端栓8先端をシンブル管内面に挿入し、レーザ発振器を作動させて溶接するが、このときシンブル管内面も酸化の可能性があるので、端栓保持治具9に図3に示すようにガス流入孔18を周方向に6箇所設け、凹所Cに保持される下部端栓の雌ネジ穴を介して図中、矢印のようにシンブル管内面にも不活性ガスが流入するように構成している。
【0013】
図4及び図5は前記制御棒案内シンブル管に下部端栓に代え、シンブル管上端のカラーの溶接に利用する本発明レーザ溶接装置であり、溶接チャンバー4内に溶接トップチャンバー1を設け、夫々に独立して不活性ガスを送付する構造、ならびにレーザガイド筒5に不活性ガス貯め10を設け、不活性ガスがガス流入口12より流入してガス貯め10に入り、次に周方向に複数箇所、通常、16箇所の均等に設けられたガス流入孔11からレーザガイド筒5内に入り込み、降下して被加工物溶接部周囲に均質な雰囲気を作る構造などの要部構造はさきの図1,図2に示す制御棒案内シンブル管の下部端栓溶接に用いたレーザ溶接装置と同様であるが、溶接トップチャンバー1内における被加工物溶接部の構造においてカラー溶接に独得な構造が採用されている。
【0014】
即ち、同溶接部構造においては、図6に示すようにシンブル管6の端部Eをあらかじめ、別途拡管装置7でカラー端部へ向けて外側へ拡管して傾斜させているため、図4に示すようにレーザ光をシンブル管6の端面とカラー端面に35°〜60°の角度で照射するようにしている。
そして、同溶接部の構造としてカラー19内に挿入するカラー中棒20が設けられ、カラー溶接時はカラー内面に該カラー中棒20を挿入し、カラー19ならびにシンブル管内面にも不活性ガスがカラー中棒20外面とシンブル管内面の隙間を通じて流れるようになっている。
【0015】
なお、溶接チャンバー4,溶接チャンバー1の二重構造は上記シンブル管と下部端栓およびカラーの溶接以外に燃料棒の端栓溶接などにも使用可能であり、何れも特に真空引きをすることなく、不活性ガス雰囲気で溶接を行い、溶接部の酸化,着色を防止することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上のように、溶接チャンバー内に被加工物を入れレーザを用いて溶接する装置において、前記溶接チャンバーを該チャンバー内に更に被加工物が入る大きさの溶接トップチャンバーを設けて二重構造となし、溶接トップチャンバーに、複数の不活性ガス流入孔を有するレーザガイド筒を先端を被加工物に向けて取り付け、被加工物を囲む雰囲気を不活性ガス雰囲気に保持せしめて溶接し得るようにしたものであり、溶接チャンバーを二重構造として内部の溶接トップチャンバー内において不活性ガス雰囲気下で被加工物を溶接するため、特に真空引きを必要とすることなく、更に下部端栓保持治具やカラー中棒などにより溶接部外面ならびに内面の酸化,着色を防止して溶接することができ、従って、従来、とかく障碍となっていた真空引きを廃止して溶接時間の大巾な短縮を可能とすると共に、各チャンバーへの独立した不活性ガスの効率的な流入により使用する不活性ガス量の低減も可能とし、燃料棒,制御棒案内シンブル管の端栓溶接などに極めて顕著な効果を有している。
なお、本発明レーザ溶接装置は同様な溶接を実施する他の溶接にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シンブル管下部端栓を溶接する本発明溶接装置例である。
【図2】上記溶接装置例の要部に係る溶接チャンバー内の構造図で、一部を断面で示す。
【図3】上記装置における下端端栓保持治具であり、(イ)は断面図。(ロ)はその平面図である。
【図4】シンブル管上部のカラーを溶接する本発明装置例である。
【図5】図4の装置の溶接チャンバー内の構造図で、一部を断面で示す。
【図6】シンブル管上下の溶接部を示し、(イ)はカラー溶接部斜視図、(ロ)は下部端栓溶接部断面図である。
【符号の説明】
1 溶接トップチャンバー
2 同軸カメラ
3 レーザ発振器
4 溶接チャンバー
5 レーザガイド筒
6 シンブル管
8 シンブル管下部端栓
9 下部端栓保持治具
10 ガス貯め
11 レーザガイド筒不活性ガス流入孔
12 ガス流入口
13 溶接トップチャンバー下方側のガス流入口
14a,14b 溶接チャンバーガス流入口
18 下部端栓保持治具ガス流入孔
19 カラー
20 カラー中棒

Claims (4)

  1. 溶接チャンバー内に被加工物を入れレーザを用いて溶接する装置において、前記溶接チャンバーを該チャンバー内に更に被加工物が入る大きさの溶接トップチャンバーを設けて二重構造となし、溶接トップチャンバーに、複数の不活性ガス流入孔を有するレーザガイド筒を先端を被加工物に向けて取り付け、被加工物を囲む雰囲気を不活性ガス雰囲気に保持せしめて溶接し得るようにしたことを特徴とするレーザ溶接装置。
  2. 溶接チャンバー及び溶接トップチャンバーが夫々、独立して不活性ガスを流量調整可能に送付できる不活性ガス流入口を有している請求項1記載のレーザ溶接装置。
  3. レーザガイド筒が上端にレーザ透光用ガラスを有し、その下部側面に不活性ガス流入口を有して構成され、上記ガス流入口に連なるレーザガイド筒内面側周囲にガス貯め、さらに該ガス貯めに筒内に不活性ガスを流入する流入孔が設けられている請求項1または2記載のレーザ溶接装置。
  4. レーザ溶接装置の不活性ガス雰囲気に保持される溶接トップチャンバー内に制御棒案内シンブル管下部端栓保持治具、あるいはシンブル管カラー内面に挿入されるカラー中棒が設置され、不活性ガスがシンブル管内面に流入して管内の酸化を防止する請求項1,2または3記載のレーザ溶接装置。
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