JP3717621B2 - 圧力範囲表示針を有する圧力計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の使用圧力範囲を表示する表示針を備えた圧力計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流体圧機器における流体圧を測定する圧力計には、測定された流体圧がその流体圧機器の適合範囲内にあるか否かを知るために、その適合範囲を表示する圧力範囲表示針を取り付けておくことが望ましい。この場合、流体圧の適合範囲は流体圧機器によって異なるため、上記圧力範囲表示針を取り付ける場合には、その取付位置を目盛板に沿って変更可能であること、及び、その変更作業を簡単に行い得ること等が要求される。また、目盛板及び表示針が見易い位置にあることも重要である。
【0003】
公知の圧力計は、一般に、図6に示すように、流体圧力を指針2の動きに変換して目盛板3で表示する内装機1と、該内装機1を収容するケース4と、該ケース4の前面に着脱自在に取り付けられた透明な前面カバー5とを備えていて、圧力範囲表示針6は上記目盛板3に取り付けられている。
【0004】
ところが、このような公知の圧力計は、上記目盛板3がケース4の前面から若干後退した位置にあり、しかも上記表示針6が、指針2の回転の邪魔にならないようにできるだけ目盛板3の外周に寄せて取り付けられているため、圧力計を斜め前方から見た場合に、目盛板3や表示針6がケース4に遮られて非常に見にくいという欠点があった。また、表示針6の位置を変更する場合には、狭い場所に指や工具等を差し込んで小さい表示針を動かさなければならないため、作業が非常に面倒で、圧力計が小型化されているとその作業は一層困難であった。更に、表示針6が目盛板3の外面に取り付けられているため、該表示針6で目盛の一部が多い隠されて見にくいという問題もあった。
【0005】
一方、米国特許第1,881,389号には、表示針をケースの前面周縁に移動自在に取り付けたインジケータが開示されている。このインジケータは、表示針の位置変更を外部から行うことができるため、その変更作業は簡単である。
【0006】
しかしながら、このインジケータにおいても、上述した一般的な圧力計と同様に、目盛板がインジケータの前面から若干後退した位置にあるため、見る角度によっては該目盛板を見にくいことがあり、また、上記表示針が目盛板の上面から若干離れて位置しているため、インジケータを斜め前方から見た場合に表示針と目盛との位置関係がずれて読み取り誤差を生じ易いばかりでなく、目盛の一部が表示針に覆い隠されて見にくいといった問題がある。しかも、表示針が外部に露出しているため、異物との接触によって該表示針が不用意に位置ずれし易いという欠点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主要な技術的課題は、目盛板や圧力範囲表示針が外部から見易い位置にあって、どのような角度からでもそれらを確実に読み取ることができる、視認性に勝れた圧力計を提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、圧力範囲表示針の位置の変更が容易で、異物との接触による位置ずれも生じにくい、使用性に勝れた圧力計を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の圧力計は、流体圧力を指針の動きに変換して表示する内装機と、該内装機を収容するケースと、該ケースの前面に着脱自在に取り付けられた前面カバーとを備え、該前面カバーが目盛板と表示針用取付部材とを兼ねていて、該カバーに、上記指針に指示させるべき圧力目盛が付されると共に、流体の使用圧力範囲を表示する表示針が該目盛に沿って移動可能に取り付けられており、更に、上記前面カバーが、第1部材と、該第1部材に保持された透明で目盛が付された第2部材とからなっていて、これらの第1部材と第2部材との間に上記目盛に沿った隙間が形成され、この隙間内に上記表示針が移動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
上記構成の圧力計は、ケースの前面に位置する前面カバーが目盛板を兼ねていて、これに圧力範囲表示針が直接取り付けられているため、どのような角度から圧力計を見ても、これらの目盛板及び表示針がケースに隠れて見にくいといったことがなく、しかも、表示針が指示する目盛を正面からでも斜め前方からでも誤差なく確実且つ正確に読み取ることができる。
【0011】
本発明の具体的な構成態様によれば、上記隙間を透明の第2部材で覆われた位置に形成することにより、上記表示針を該第2部材で外側から覆った状態に取り付けるのが適しており、また、該第2部材の隙間を覆う部分に目盛を付すことにより、該目盛を表示針より外側に位置させるのが好ましい。
このように構成することにより、何らかの異物が表示針に接触するのを防止して、該表示針の位置ずれや脱落、汚れ等を確実に防ぐことができ、また、目盛の一部が表示針に覆い隠されて読みにくいといった問題も解消される。
【0012】
本発明においてはまた、上記表示針の一部が前面カバーの裏面に突出し、該突出部分を介して該表示針の移動操作を行うように構成されている。
これにより、前面カバーをケースから取り外し、このカバー側において表示針の位置変更を簡単に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明に係る圧力計の一実施例を示すもので、この圧力計は、流体圧力を指針11の動きに変換して表示する内装機10と、該内装機10を収容するケース12と、該ケース12の前面に着脱自在に取り付けられた前面カバー13とを備えている。
【0014】
上記内装機10としては、流体圧力の導入により変形するブルドン管(図示せず)の変形を指針11の回転運動に変換する、公知のブルドン管方式のものが好適に使用されるが、その他の変換原理によるものを使用することもできる。この内装機10について注目すべき点は、その前面に指針11は取り付けられているが、目盛板は取り付けられていないということである。
【0015】
上記ケース12は、図3からも分かるように断面正方形状をしていて、その中央部に円形の室12aを有し、該室12a内に上記内装機10を収容するようにしたもので、合成樹脂により構成されている。該ケース12における一対の対角部には、圧力計を流体機器等に固定する螺子15を挿入するための螺子取付孔16が設けられ、他の一対の対角部には、上記前面カバー13を取り付けるための係止孔17が設けられている。
【0016】
上記前面カバー13は、上記ケース12の前面にほぼぴったりと取り付けることができるように、該ケース12の断面形状とほぼ同じ大きさの正方形状に形成されたもので、目盛板と表示針用取付部材とを兼ねており、その具体的構成は次の通りである。
【0017】
即ち、図4からも分かるように上記前面カバー13は、中央部に円形の取付穴23を有する不透明で四角形状をした合成樹脂製の第1部材21と、該第1部材21の取付穴23内に取り付けられた透明で円板形をした合成樹脂製の第2部材22とからなっており、該第2部材22の外周部分に流体圧力表示用の目盛24が付され、上記第1部材21の内周部分に、上記目盛24に対応する数値等の必要な文字25が付されている。
【0018】
上記第1部材21における取付穴23の穴縁23aは、図5に詳細に示すように、穴に近づくほど次第に薄くなるように上面側が2段にわたって薄肉化され、これに対して第2部材22の下面外周寄りの位置には、下端が外向きに折れ曲がった断面L字形の突壁26が環状に形成され、これらの穴縁23aと突壁26との間に、圧力範囲表示針20を取り付けるための隙間27が、透明の第2部材22の外周部分で外側から覆われた状態で、該外周部分に付した目盛24に沿うように形成されている。
【0019】
上記隙間27は、第1部材21と第2部材22とで囲まれた幅広の第1部分27aと、前面カバー13の裏面側に開口する幅が狭い第2部分27bとからなっていて、上記第1部分27aに、断面T字状をした上記表示針20の頭部20aが収容され、第2部分27bに脚部20bが嵌入している。そして、該脚部20bの先端は前面カバー13の裏面側に突出し、この脚部20bの突出部分を動かすことによって表示針20を、上記隙間27に沿って任意の位置に移動させることができるようになっている。
なお、上記第2部材22に対する第1部材21の取り付けは、接着や圧入等の任意の手段によって行うことができる。
【0020】
上記表示針20は、ゴムや合成樹脂のような弾性があって比較的摩擦の大きい素材で形成され、上記隙間27内、特に第1部分27a内に若干挟圧された状態に収容されており、これによって該表示針20が、衝撃や振動等によって不用意に動かないようになっている。
【0021】
また、前面カバー13における上記第1部材21の下面には、ケース12の係止孔17に対応する位置に、該係止孔17に係脱自在の一対のフック28が形成されている。そして、該前面カバー13をケース12に取り付けるときは、図3に鎖線で示すように該前面カバー13をケース12に対して若干回転させた位置に置き、その位置で上記フック28を係止孔17の広幅部17a内に挿入したあと、該前面カバー13を図の時計方向にケース12に丁度重なる位置まで回転させて、フック28を狭幅部17bに係止させるようにし、ケース12から取り外すときは、これとは逆の操作を行うようにする。
【0022】
上記構成を有する圧力計は、ケース12の前面に位置する前面カバー13が目盛板を兼ねていて、これに圧力範囲表示針20が直接取り付けられているため、目盛24及び表示針20が見易く、どのような角度から圧力計を見ても、これらの目盛24及び表示針20がケース12に隠れて見にくいといったことがない。しかも、指針11や表示針20が指示する目盛24を、正面からでも斜め前方からでも誤差なく確実且つ正確に読み取ることができる。
【0023】
また、上記表示針20が透明の第2部材22で外側から覆われることにより、人体やその他の異物が該表示針20に接触するのが確実に防止されるため、該表示針20の不用意な位置ずれ、脱落、汚れ等が発生しない。
更に、上記第2部材22の外周の表示針20を覆う部分に目盛24が付されることにより、該目盛24が表示針20より外側に位置しているので、従前の圧力計のように目盛24の一部が表示針20に覆い隠されて読みにくいといったことも全くない。
【0024】
上記表示針20の位置の変更は、前面カバー13をケース12から取り外し、該前面カバー13の裏面に突出する脚部20bを動かすことにより行う。この作業は、ケース12の隅の狭い部分に指や工具等を差込んで表示針20を動かす従来方法に比べ、非常に簡単である。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明によれば、前面カバーが目盛板を兼ねていて、これに圧力範囲表示針が取り付けられているため、目盛と表示針とが非常に見易く、どのような角度からでもそれらを確実且つ正確に読み取ることができる。
また、圧力範囲表示針の位置の変更が容易で、異物との接触による位置ずれや脱落、汚れ等が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧力計の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】前面カバーを取り外した状態のケースの正面図である。
【図4】前面カバーの断面図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】従来例の断面図である。
【符号の説明】
10 内装機 11 指針
12 ケース 13 前面カバー
20 表示針 21 第1部材
22 第2部材 24 目盛
27 隙間
Claims (4)
- 流体圧力を指針の動きに変換して表示する内装機と、該内装機を収容するケースと、該ケースの前面に着脱自在に取り付けられた前面カバーとを備え、
上記前面カバーが目盛板と表示針用取付部材とを兼ねていて、該カバーに、上記指針に指示させるべき圧力目盛が付されると共に、流体の使用圧力範囲を表示する表示針が該目盛に沿って移動可能に取り付けられており、更に、上記前面カバーが、第1部材と、該第1部材に保持された透明で目盛が付された第2部材とからなっていて、これらの第1部材と第2部材との間に上記目盛に沿った隙間が形成され、この隙間内に上記表示針が移動可能に取り付けられている、
ことを特徴とする圧力範囲表示針を有する圧力計。 - 請求項1に記載の圧力計において、上記隙間を第2部材で覆われた位置に形成することにより、上記表示針を該第2部材で外側から覆ったもの。
- 請求項2に記載の圧力計において、上記第2部材の隙間を覆う部分に目盛を付すことにより、該目盛を表示針より外側に位置させたもの。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の圧力計において、上記前面カバーの裏面に表示針の一部を突出させることにより、該突出部分で表示針の移動操作を行うようにしたもの。
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