JP3716947B2 - 内燃機関の気筒判別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の気筒を有する内燃機関であって、各気筒毎に点火コイルを有する点火手段または各気筒グループ毎に点火コイルを有する点火手段のいずれか一方が設けられている内燃機関の気筒判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用ガソリンエンジンなどの4サイクル内燃機関では、複数の気筒が吸気、圧縮、爆発、排気の4行程のサイクルで駆動され、各気筒において、吸入圧縮された混合気を点火プラグで火花点火させることにより燃焼させて出力を得ているが、混合気の燃焼圧力がピストンを押し下げる力として効率的に働くように、最適なクランク位置で混合気を火花点火させると共に、十分な点火エネルギーを点火プラグに供給することが重要である。このために、各気筒の行程を判別するための気筒判別(行程判別)をしつつ制御が行われている。
【0003】
一方、各気筒の点火プラグに点火エネルギーを供給する一般的な電子制御方式の点火制御装置は、所定のクランク角(例えば180°)毎に発生されるパルス信号を点火時期を決定するための基本タイミング信号とし、クランク角(例えば30°)毎に発生されるパルス信号を基本タイミングから起算される点火進角のカウント信号として、機関の負荷状態に対応した進角値を有する点火信号を生成し、この点火信号により点火コイルの一次側に接続されているトランジスタの動作を制御し、点火コイルの一次側電流遮断によって二次側に発生する高電圧をディストリビュータを介して各気筒の点火プラグに分配するものである。
【0004】
この点火時期の決定に用いられるクランク角と基準気筒の行程との関係を判別するために、気筒判別が行われるが、4サイクル内燃機関においては、上述の4工程のサイクルがクランク軸2回転で完了するから、クランク軸が最大2回転しなければ基準気筒の判別を行うことができない。よって、クランク軸と共に回転する回転体に突起を設け、この突起を検出することによって気筒判別を行う場合、例えば、4気筒内燃機関においては、第1気筒、第4気筒のいずれかの気筒であることを判別することは可能であるが、その気筒が第1気筒、第4気筒のいずれの気筒であるかを明確に判別することはできないので、この気筒判別に代えて、クランク軸と共に回転する気筒判別センサ専用の駆動軸をカム軸にギヤ結合またはオルダム結合で連結し、その駆動軸の回転角を検出することによって気筒判別を行う方法が用いられている(特開平1−203656号公報)。
【0005】
しかし、上述のディストリビュータによる点火配電方式では、ディストリビュータの電極間の放電、ディストリビュータと点火コイル及びディストリビュータと点火プラグとを結ぶそれぞれの高圧ケーブルの抵抗によって点火エネルギーの大半が消費され、エネルギー効率が悪い。
【0006】
そこで、エネルギー効率を高めるために、ディストリビュータを用いずに点火プラグへの配電を行う低電圧配電方式による点火制御方法が提案され、この点火制御方法としては、各気筒毎に点火コイルを設けた気筒別独立点火システム(例えば特開昭58−008267号公報記載)、点火コイル毎に複数(例えば2個)の点火プラグを接続して複数(2つ)気筒を同時に点火させるディスビレス点火システム(例えば特開昭56−143358号公報記載)などがある。
【0007】
この気筒別独立点火システムやディスビレス点火システムでは、進角制御された点火信号を気筒別分配回路を介して各点火コイル別に分配し、その分配された信号で点火コイルの一次側に接続されているトランジスタをオン、オフ動作させることによって各気筒の点火コイルに順次点火エネルギーを供給する。
【0008】
例えば、4気筒の内燃機関における2気筒を同時に点火させるディスビレス点火システムでは、各点火コイルの一次側に並列接続された2個のトランジスタの動作を気筒分配回路からの点火信号により順次制御し、その制御によって点火コイルの二次側に発生した高電圧を点火コイルの二次側に直列接続された2つの点火プラグに印加し、第1、第3、第4、第2の気筒順に点火させる。このディスビレス点火システムにおいては、機関始動時または運転中に気筒順序の乱れを防ぐために、各サイクルの最初の点火気筒を常に同じにすることが行われているが、この各サイクルの最初の点火気筒を常に同じにするためには、クランク角720°毎のパルス信号を取り出し、この720°毎のパルス信号に基づき機関の2回転に1回気筒別分配回路をリセットすることが必要である。
【0009】
この720°毎のパルス信号は、クランク軸直結の気筒判別センサでは得られず、クランク軸の1/2の速度で回転する気筒判別センサ専用の駆動軸をカム軸にギヤ結合またはオルダム結合で連結し、その駆動軸の回転角を検出することによって720°毎のパルス信号を得る方法が用いられている。
【0010】
しかし、この方法では、気筒判別センサ専用の駆動軸を設ける必要があるので、コストが余分に掛かる。
【0011】
上述の方法に代わる気筒判別方法には、カム軸に、その回転を検出し、1回転毎に1つのパルスを発生する気筒判別センサを設け、その気筒判別センサの出力に基づき特定気筒の圧縮上死点を判別する方法(特開平02−271055号公報記載、特開平06−081705号公報記載)があり、この方法における気筒判別センサとしては、磁気、光、ホール、MREなどのセンサが用いられている。
【0012】
これに対し、カム軸に検出加工を施す必要がないセンサ配置構造(特開平04−287841号公報記載)により、気筒判別センサを配置する気筒判別方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の気筒判別方法(特開平02−271055号公報記載、特開平06−081705号公報記載)では、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることによって、気筒判別に掛かるコストが高くなる。
【0014】
また、後者の方法(特開平04−287841号公報記載)では、その配置構造から精度が高い気筒判別を得ることが困難である。
【0015】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、低コストでかつ高精度で気筒判別を行うことができる気筒判別装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、複数の気筒を有する内燃機関であって、気筒毎に対して点火コイルを有する点火手段または気筒グループ毎に対して点火コイルを有する点火手段のいずれか一方が設けられている内燃機関の気筒判別装置において、前記機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に特定の気筒に点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、前記点火時期信号の出力時における前記特定の気筒の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、前記気筒判別手段は、前記機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに前記気筒判別を実行することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記気筒判別手段は、前記機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記気筒判別手段は、所定電圧値と前記検出された点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの一次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの二次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする。
【0022】
請求項記載の発明は、複数の気筒を有する内燃機関であって、気筒毎に点火コイルを有する点火手段または気筒グループ毎に点火コイルを有する点火手段のいずれか一方が設けられている内燃機関の気筒判別装置において、前記機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に前記気筒のそれぞれに点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、前記点火時期信号の出力時における前記気筒毎の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された各点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、前記気筒判別手段は、前記機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに前記気筒判別を実行することを特徴とする。
【0023】
請求項記載の発明は、請求項記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記気筒判別手段は、前記機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項記載の発明は、請求項記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記気筒判別手段は、所定電圧値と前記検出された各点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする。
【0026】
請求項記載の発明は、請求項記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの一次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの二次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする。
【0028】
請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置では、機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に特定の気筒に点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、点火時期信号の出力時における特定の気筒の点火電圧を検出する点火電圧検出手段とを設け、機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに検出された点火電圧に応じて気筒判別を行うので、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることなく、低コストで気筒判別を行うことができると共に、精度が高い気筒判別結果を得ることができる。
【0029】
請求項2記載の内燃機関の気筒判別装置では、機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うようにすることができる。
【0030】
請求項3記載の内燃機関の気筒判別装置では、所定電圧値と検出された点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うようにすることができる。
【0032】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、点火コイルの一次側の電圧を点火電圧として検出するので、点火コイルの一次側の電圧に応じて気筒判別を行うことができる。
【0033】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、点火コイルの二次側の電圧を点火電圧として検出するので、点火コイルの二次側の電圧に応じて気筒判別を行うことができる。
【0034】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に気筒のそれぞれに点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、点火時期信号の出力時における気筒毎の点火電圧を検出する点火電圧検出手段とを設け、機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに検出された各点火電圧に応じて気筒判別を行うので、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることなく、低コストで気筒判別を行うことができると共に、精度が高い気筒判別結果を得ることができる。
【0035】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うようにすることができる。
【0036】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、所定電圧値と検出された点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うようにすることができる。
【0038】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置では、点火コイルの一次側の電圧を点火電圧として検出するので、点火コイルの一次側の電圧に応じて気筒判別を行うことができる。
【0039】
請求項10記載の内燃機関の気筒判別装置では、点火コイルの二次側の電圧を点火電圧として検出するので、点火コイルの二次側の電圧に応じて気筒判別を行うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の第1形態)
図1は本発明の実施の第1形態に係る内燃機関(以下、エンジンという)の気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図、図2はECU15内に構成された点火時期制御を行うための手段を示すブロック図であり、本実施の形態では、4気筒のエンジンを例に説明する。
【0042】
エンジン1は、図1に示すように、4つの気筒(#1,#2,#3,#4)を有し、各気筒(#1,#2,#3,#4)には点火プラグ2,3,4,5がそれぞれ設けられている。各点火プラグ2,3,4,5の中心電極には、点火装置6から点火電圧がそれぞれ印加され、各点火プラグ2,3,4,5の外側電極は接地されている。
【0043】
点火装置6は、各点火プラグ2,3,4,5毎に対応して設けられ、それに印加する点火電圧を発生するための4つの点火コイル7,8,9,10を有する。各点火コイル7,8,9,10は、1次側コイル7a,8a,9a,10aと2次側コイル7b,8b,9b,10bとから構成されている。
【0044】
点火コイル7の一次側コイル7aの一端にはバッテリ電圧VBが印加され、1次側コイル7aの他端はトランジスタ11のコレクタに接続されている。1次側コイル7aの他端とトランジスタ11のコレクタとの間の接続点には、1次側コイル7aに発生する一次側電圧を検出するための電圧センサ20が設けられている。電圧センサ20は、該電圧センサ20は後述する電子コントロールユニット(以下、ECUという)15に接続されている。この電圧センサ20としては、1次側コイル7aの一次側電圧に応じて変化する静電容量を検出し、その静電容量に基づき一次側電圧を示す信号を出力するもの、または減衰器を用いたものなどが使用される。
【0045】
これに対し、二次側コイル7bの一端は一次側コイル7aの一端に接続され、二次側コイル7bの他端は点火プラグ2の中心電極に接続されている。
【0046】
他の各点火コイル8,9,10においては、点火コイル7と同様の接続構造を有し、各点火コイル8,9,10の一次側コイル8a,9a,10aには対応するトランジスタ12,13,14のコレクタが接続されているが、各点火コイル8,9,10の一次側コイル8a,9a,10aと対応するトランジスタ12,13,14のコレクタとの間には、電圧センサ20に対応するセンサは設けられていない。
【0047】
各トランジスタ11,12,13,14のベースには、ECU15から点火信号θigpn(n=1,…,4)が供給され、各トランジスタ11,12,13,14のエミッタは接地されている。
【0048】
ECU15には、エンジン運転パラメータを検出するための各センサ、例えば、スロットル弁開度(θTH)センサ16、温度センサ17、クランク角度位置(CRK)センサ18、TDCセンサ19等が接続されている。θTHセンサ16は、エンジン1の吸気管(図示せず)に設けられているスロットル弁(図示せず)の開度を検出し、その検出した開度を電気信号に変換してECU15に出力する。温度センサ17は、機関温度(冷却水温、吸気温など)を検出するセンサからなり、該センサは検出した機関温度を電気信号に変換してECU15に出力する。CRKセンサ18はエンジン1のクランク軸(図示せず)の1/2回転(180°)より短い一定のクランク角周期(例えば、30°周期)で所定のクランク角度位置毎に信号パルス(以下、CRK信号パルスという)を出力する。TDCセンサ19は各気筒(#1,#2,#3,#4)のクランク軸の圧縮行程終了時の上死点(TDC)でパルス信号(以下、TDC判別信号パルスという)をクランク軸の180°回転毎に発生する。CRK信号パルスはエンジン回転数の算出に用いられ、具体的には、CRK信号パルスの発生時間間隔を計測してCRME値を算出し、さらに前記CRME値をTDC判別信号パルスの発生時間間隔に亘って加算してME値を算出することにより、該ME値の逆数であるエンジン回転数NEが算出される。
【0049】
ECU15は、さらに点火装置6の電圧センサ20を介して点火コイル7の一次側コイル7aの電圧(点火電圧)を取り込むと共に、バッテリ電圧VBを取り込む。
【0050】
ECU15は、上述の各種センサからの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路15a、中央演算処理回路(以下、CPUという)15b、該CPU15bで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶手段15c、各気筒毎に設けられている燃料噴射弁21に対する駆動信号及び点火信号θigpnを出力する出力回路15d等から構成される。
【0051】
ECU15は、各種センサからの出力信号に基づき、燃料噴射時間を算出し、算出した燃料噴射時間に応じた駆動信号を燃料噴射弁21に供給する燃料供給制御と、点火時期を算出し、算出した点火時期に応じた点火信号θigpnを点火装置6に供給する点火時期制御とを行う。
【0052】
ECU15による点火時期制御では、各種センサにより検出されたエンジン運転状態に応じて点火時期を算出し、エンジン回転数NEおよびバッテリー電圧VBに基づき点火コイルの通電時間を算出し、算出された点火時期と点火コイルの通電時間とに応じた点火信号θigpnを点火装置6の各トランジスタ11,12,13,14に分配、供給することによって所定タイミングで各トランジスタ11,12,13,14のオン、オフ動作を制御して点火を行うとともに、気筒判別を行う。この気筒判別を行う場合は、各CRK信号パルスの発生タイミングで特定気筒(本実施の形態では、#1気筒)の点火を行うと共に、各CRK信号パルスの発生タイミングで点火コイル7の一次側電圧を検出し、その検出した各電圧から#1気筒における圧縮行程終了時の上死点の判別(気筒判別)を行う。なお、以下、圧縮行程終了時の上死点を圧縮上死点という。
【0053】
この点火時期制御は、図2に示すように、ECU15のCPU15bによって構成された点火時期算出手段151、通電時間算出手段152、分配手段153、点火電圧検出手段154、気筒判別手段155の各手段によって行われる。
【0054】
まず、ECU15の点火時期制御によって生じる点火波形について図3を参照しながら説明する。図3は図1のエンジンにおける点火波形の特性を示す波形図である。
【0055】
本実施の形態では、4気筒エンジンであるので、#1、#3、#4、#2の各気筒順に点火が行われ、#1、#2、#3、#4の気筒間において、#1気筒が圧縮行程にあると、#3気筒は爆発行程、#4気筒は吸気行程、#2気筒は排気行程にある。
【0056】
点火時期制御時、ECU15から点火装置6の各トランジスタ11,12,13,14に供給される点火信号θigpnが、図3(a)に示すように、高レベル“H”になると、対応するトランジスタ11,12,13,14はオンし、対応する点火コイル7,8,9,10の一次側コイル7a,8a,9a,10aに流れる一次側電流I1は、図3(b)に示すように、徐々に増加する。所定の通電時間が経過して、点火信号θigpnが、図3(a)に示すように、高レベル“H”から低レベル“L”へ移行すると、対応するトランジスタ11,12,13,14はオフし、対応する一次側コイル7a,8a,9a,10aに流れる一次側電流I1は、図3(b)に示すように遮断される。この一次側電流I1の遮断によって対応する二次側コイル7b,8b,9b,10bには、図3(c),(d),(e)に示すように、一次側電圧V1、二次側電圧V2が発生するとともに、二次側電流I2が発生する。この二次側電圧V2は、対応する点火プラグ2,3,4,5に印加され、点火プラグ2,3,4,5による放電が行われる。
【0057】
点火プラグ2,3,4,5の放電によって気筒内の混合気の絶縁が破壊されると、絶縁破壊前の容量放電状態から放電電圧が略一定の誘導放電状態に移行し、誘導放電電圧は二次側電圧発生時以降の圧縮行程に伴う気筒内の圧力が上昇する従い上昇する(図3(d))。これは、圧力が高くなると誘導放電に必要な電圧も高くなるためである。誘導放電に必要な電圧が高くなると、点火電圧(二次側電圧)も高くなるが、誘導放電の最終段階においては、点火電圧が誘導放電に維持するための電圧より低くなり、誘導放電状態は消失する。二次側電圧発生時から誘導放電状態消失時までの期間が放電時間TDISとなる。よって、吸気、圧縮、爆発、排気の各行程において、圧縮行程終了時の上死点で気筒内の圧力が最大になり、点火電圧も最大になる。
【0058】
このような点火特性から、気筒が圧縮上死点にあるときに、該気筒の点火電圧(二次側電圧V2及び一次側電圧V1)は最大になることが分かる。また、気筒が圧縮上死点にあるとき、点火電圧の放電時間(二次側電圧V2及び一次側電圧V1の放電時間TDIS)が最小になりかつその二次側電流I2が最大になる。
【0059】
よって、気筒が圧縮上死点にあるときに、その二次側電圧V2及び一次側電圧V1が最大になることに基づき、点火電圧Vobjnとして二次側電圧または一次側電圧を検出し、その検出した電圧Vobjnに応じて特定した気筒が圧縮上死点にあることを判別することができる。
【0060】
次に、本実施の形態の気筒判別手法について図4および図5を参照しながら説明する。図4はECU15による気筒判別の処理手順を示すフローチャート、図5はCRKタイミングによる即ち各CRK信号パルス発生毎に行う特定気筒(#1気筒)の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【0061】
気筒判別は、エンジン運転状態が特定運転状態(始動時を含む所定減速時にエンジン1への燃料供給を停止する燃料カット状態)にあるときに実行される。即ち、気筒判別を行うときには、エンジン1の保護のために、燃料噴射弁21による燃料噴射を行わない。
【0062】
本実施の形態では、#1気筒の点火を行い、その点火電圧に応じて#1気筒の圧縮上死点を判別することにより、気筒判別を行うものである。具体的には、図5に示すように、#1気筒の吸気、圧縮、爆発および排気の各行程において、CRK信号パルスの発生毎に点火装置6に点火信号θigp1を出力することにより#1気筒の点火を行い、各CRK信号パルスの発生タイミング即ち各点火タイミングでの一次側電圧V1を点火電圧値Vobjn(n=1)として検出し、検出した点火電圧値Vobjnと基準値Vref との比較を点火電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立するまで繰り返し、#1気筒の圧縮上死点を判別することにより気筒判別を行う。
【0063】
図4において、まず、ステップS1でエンジン1が特定運転状態にあることを「1」で示すフラグF1STが「1」であるか否かを判定し、フラグF1STが「1」でなければ、処理を直ちに終了する一方、「1」であると判定されると、ステップS2に進む。
【0064】
ステップS2では、CRKセンサ18から出力されるCRK信号パルスの検出を行い、続くステップS3では、CRK信号パルスの発生毎に点火装置6に点火信号θigp1を出力して#1気筒の点火を行う。この点火信号θigp1によって#1気筒の点火コイル7に点火電圧が誘起され、その点火電圧は点火プラグ2に印加される。
【0065】
次いで、ステップS4に進み、各CRK信号パルス発生タイミングすなわち#1気筒の各点火タイミングに合わせて点火コイル7の一次側電圧を取り込み、その電圧値を点火電圧値Vobjn(n=1)として検出する。
【0066】
続くステップS5では、検出した点火電圧値Vobjnと予め設定された基準値Vref とを比較する。この基準値Vref は、圧縮上死点において一次側電圧が最も高くなることに基づき実験等により予め設定された値である。
【0067】
点火電圧値Vobjn<基準値Vref が成立すると、処理は再度ステップS2に戻り、上記ステップS2ないしステップS5の処理を点火電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立するまで繰り返す。
【0068】
点火電圧値Vobjn≧基準値Vref の関係式が成立すると、ステップS6に進む。ステップS6では、電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立したとき、その時点のCRK信号パルスの発生タイミングが#1気筒の圧縮上死点に対応すると判別する。即ち、今#1気筒が圧縮上死点にあると判別されると、#3、#4、#2の各気筒がそれぞれ前述した所定の行程(爆発、吸気、排気)にあることが推定されることにより気筒判別が行われる。
【0069】
続くステップS7では、上記の気筒判別結果から次の所定気筒(本例では#3気筒)から順次点火を開始し、即ち、点火信号θigpn(n=1,…,4)を各気筒に順次出力し、本処理を終了する。この順次点火の開始に伴い燃料噴射弁21による燃料噴射が開始される。
【0070】
なお、電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立するまでの期間は、圧縮行程終了から本処理が開始されるときに最長になり、その最長期間は略4TDC期間となる。
【0071】
このように、本実施の形態によれば、各CRK信号パルスの発生毎に#1気筒の点火を行い、各点火タイミングで電圧値Vobjnとして点火コイル7の一次側電圧値を検出し、その電圧値Vobjnに応じて#1気筒の圧縮上死点を判別するので、磁気、光、ホール、MREなどの高価な気筒判別センサを用いることなく、気筒判別を行うことができ、コストの低減を図ることができる。
【0072】
また、図5に示した例では、CRK信号パルスの1つが#1気筒の圧縮上死点に同期しているので、さらに精度が高い気筒判別を得ることができる。
【0073】
さらに、一次側電圧値に応じて気筒判別を行うので、点火電圧の検出をノイズなどによる影響を受けずに行うことができ、誤判別なく確実に気筒判別を行うことができる。
【0074】
さらに、既に気筒判別センサが設けられている制御装置の場合には、本実施の形態の気筒判別装置をその気筒判別センサのバックアップ用としてフェールセーフ時等に使用することが可能になる。
【0075】
さらに、本実施の形態では、エンジンが特定の運転状態、例えば燃料カット状態にあるときに、気筒判別を実行するような構成としたが、この構成に加えてまたはそれに代えて、気筒判別の必要が生じたときには、運転状態に応じて任意のタイミングで強制的に燃料カットを行うことによって気筒判別を実行するように制御することもできる。
【0076】
なお、本実施の形態では、各CRK信号パルスの発生毎に点火を行うようにしているが、これに代えて、間引くことによって1つおきなどのCRK信号パルス毎に点火を行うようにしても、気筒判別を行うことができる。
【0077】
また、等間隔のクランク角位置で発生するCRK信号パルスに代えて、変則の、例えば、不等間隔でのクランク角位置で発生するCRK信号パルスを用いても、そのCRK信号パルス発生毎に点火を行うことによって、気筒判別を行うことができる。
【0078】
(実施の第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について図6及び図7を参照しながら説明する。図6は本発明の実施の第2形態に係る気筒判別の処理手順を示すフローチャート、図7はTDCタイミングによる即ちTDC判別信号パルス発生毎に行う特定気筒(#1気筒)の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【0079】
本実施の形態は、上述した実施の第1形態と同じハードウェア構成を有し、本実施の形態では、実施の第1形態に対して、CRK信号パルスの発生毎に点火を行うことに代えて、TDC判別信号パルスの発生毎に点火を行う点が異なる。
【0080】
具体的には、図7に示すように、#1気筒の吸気、圧縮、爆発および排気の各行程において、TDC判別信号パルスの発生(▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各発生タイミング)毎に点火装置6に点火信号θigp1を出力することにより#1気筒の点火を行い、各TDC判別信号パルスの発生タイミング即ち各点火タイミングでの一次側電圧V1を点火電圧値Vobjn(n=1)として検出し、検出した点火電圧値Vobjnと基準値Vref との比較を、電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立するまで繰り返し、電圧値Vobjn≧基準値Vref が成立したとき、そのTDC信号のタイミング(タイミング▲3▼)が#1気筒の圧縮上死点に対応すると判別する。
【0081】
図6において、まず、ステップS10でフラグF1STが「1」であると判定すると、ステップS11に進み、TDCセンサ19から出力されるTDC判別信号パルスの検出を行う。
【0082】
次いで、ステップS12に進み、各TDC判別信号パルスの発生毎に点火装置6に点火信号θigp1を出力して#1気筒の点火を行う。
【0083】
続くステップS13では、各TDC判別信号パルスの発生タイミングすなわち#1気筒の各点火タイミングに合わせて点火コイル7の一次側電圧V1を取り込み、その電圧値を点火電圧値Vobjnとして検出する。
【0084】
以下、上述した実施の第1形態の図4に示すステップS5〜S7と同様のステップS14〜ステップS16を実行して処理を終了する。
【0085】
このように、TDC判別信号パルスの発生毎に#1気筒の点火を行い、その点火タイミングで点火電圧値Vobjnとして点火コイル7の一次側電圧値を検出し、点火電圧値Vobjnに応じて#1気筒の圧縮上死点を判別して気筒判別を行うので、上述した実施の第1形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(実施の第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について図8を参照しながら説明する。図8は本発明の実施の第3形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【0087】
本実施の形態は、実施の第1形態に対して、特定気筒(#1気筒)の点火コイル7の一次側電圧を点火電圧として検出することに代えて、特定気筒(#1気筒)の二次側電圧を点火電圧として検出する点で異なる。
【0088】
具体的には、図8に示すように、#1気筒に対応する点火コイル7の二次側コイル7bの他端と点火プラグ2との間には、2次側コイル7bに発生する二次側電圧を検出するための電圧センサ35を設けている。この電圧センサ35としては、実施の第1形態の電圧センサ20と同様の構成を有するセンサを用いることができる。
【0089】
このような構成を有する本実施の形態では、#1気筒に対する二次側電圧に応じて気筒判別を行うが、その気筒判別手順は実施の第1形態または実施の第2形態における気筒判別手順のいずれか一つに同じであるので、その説明は省略する。
【0090】
(実施の第4形態)
次に、本発明の実施の第4形態について図9ないし図12を参照しながら説明する。図9は本発明の実施の第4形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図、図10は気筒判別の処理手順を示すフローチャート、図11は図10のステップS24における点火電圧値Vobjnの比較処理を示すフローチャート、図12はCRKタイミングによる各気筒の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【0091】
本実施の形態は、実施の第1形態に対して、CRK信号パルスの発生毎に各気筒(#1,#3,#4,#2)の点火を行い、各気筒の二次側電圧を点火電圧として検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの比較結果に応じて気筒判別を行うよう点が異なる。
【0092】
本実施の形態では、図9に示すように、各気筒毎に二次側電圧を点火電圧として検出する電圧センサ35a,35b,35c,35dを設けている。即ち、二次側コイル7bの他端と点火プラグ2との間に電圧センサ35aが、二次側コイル8bの他端と点火プラグ3との間に電圧センサ35bが、二次側コイル9bの他端と点火プラグ4との間に電圧センサ35cが、二次側コイル10bの他端と点火プラグ5との間に電圧センサ35dがそれぞれ設けられ、ECU15は各電圧センサ35a,35b,35c,35dを介して各二次側コイル7b,8b,9b,10bにそれぞれ発生する電圧値Vobjnを検出する。
【0093】
次に、本実施の形態による気筒判別手順について図10ないし図12を参照しながら説明する。
【0094】
本実施の形態では、図12に示すように、各気筒の各行程において、CRK信号パルスの発生(各気筒の上死点、下死点のクランク角度位置に対応するタイミング)毎に点火装置6に点火信号θigp1,θigp2,θigp3,θigp4を出力することにより各気筒の点火を行い、各CRK信号パルスの発生タイミング即ち各点火タイミングでの二次側電圧V2を各気筒毎の点火電圧値Vobjnとして検出し、検出した各点火電圧値Vobjn(n=1,…,4)の相互比較を、#1気筒の圧縮上死点の判別が得られるまで繰り返す。
【0095】
図10において、まず、ステップS20で特定運転状態フラグF1STが「1」であるか否かの判定を行い、そのフラグF1STが「1」でなければ、処理は直ちに終了する一方、「1」であると判定されると、ステップS21に進む。ステップS21では、CRKセンサ18から出力されるCRK信号パルスの検出を行う。
【0096】
次いで、ステップS22に進み、所定のCRK信号パルスの発生毎に点火装置6に点火信号θigp1,θigp2,θigp3,θigp4をそれぞれ出力して各気筒(#1,…,#4)の点火を行う。具体的には、図12に示すように、各気筒の上死点、下死点のクランク角度位置に対応するCRK信号パルスの発生タイミングで点火が行われる。
【0097】
続くステップS23では、前記所定のCRK信号パルスの発生タイミングすなわち点火タイミングに合わせて点火コイル7,8,9,10の二次側電圧を取り込み、それぞれの電圧値を各気筒に対応する点火電圧値Vobjn(n=1,2,3,4)として検出する。
【0098】
次いで、ステップS24に進み、検出した各気筒の点火電圧値Vobjnを相互に比較する。この比較処理は、図11に示す手順によって行われる。まず、ステップS241で、検出した各気筒の点火電圧値VobjnをECU15の記憶手段15cのレジスタa0,a1,a2,a3にそれぞれ書き込む。
【0099】
次いで、ステップS242で、レジスタa0,a1,a2,a3の中でa0の絶対値が最大値を示すか否かを判別し、a0の絶対値が最大値を示すときには、ステップS245で、該絶対値を最大値a0MAXとしてECU15の記憶手段15cのレジスタa0MAXに格納する。同様に、ステップS243,ステップS244で、それぞれa1,a2が最大値を示す場合、ステップS246、ステップS247において、対応する値を最大値a1MAX、a2MAXとして記憶手段15cのレジスタa1MAX,a2MAXに格納する一方、a0,a1,a2のいずれの絶対値も最大値を示さないときには、a3を最大値a3MAXとして記憶手段15cのレジスタa3MAXに格納する。
【0100】
図10に戻り、続くステップS25で、ステップS24による比較結果に基づき各気筒の圧縮上死点を判別するための気筒判別を行う。具体的には、a0の絶対値が最大であるときは、その点火タイミングにおいて、#1気筒が圧縮上死点にあると判別される。a1の絶対値が最大であると、#1気筒が爆発下死点(#3気筒が圧縮上死点)にある、a2の絶対値が最大であると、#1気筒が排気上死点(#4気筒が圧縮上死点)にある、a3の絶対値が最大であると、#1気筒が吸気下死点(#2気筒が圧縮上死点)にある、とそれぞれ判別される。なお、この判別後、上記各レジスタは0にクリアされる。
【0101】
ステップS25の気筒判別後、ステップS26に進み、気筒判別結果に応じて所定の気筒順に点火信号θigpn(n=1,…,4)を順次出力して順次点火を行い、本処理を終了する。
【0102】
このように、本実施例の形態によれば、CRK信号の出力タイミングに合わせた各気筒の点火を行い、各点火タイミングで各気筒の点火電圧値Vobjnとして各点火コイル7,8,9,10の二次側電圧値を検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの比較結果に応じて気筒判別を行うので、上述した第1ないし第3形態の効果に加えて、気筒判別に要する時間を短縮することができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、各気筒の圧縮上死点を判別するようにしているが、これに代えて、各気筒の爆発下死点、排気上死点または吸気下死点を求めるようにしてもよい。
【0104】
また、本実施の形態では、各気筒の上死点、下死点のクランク角度位置に対応するCRK信号パルスの発生毎に点火を行うように設定しているが、これに代えて、各CRK信号パルスの発生毎に点火を行うように設定することも可能である。
【0105】
さらに、本実施の形態では、各気筒(#1,#2,#3,#4)の二次側電圧を点火電圧として検出するように構成されているが、これに代えて、各気筒の一次側電圧を点火電圧として検出し、その検出した点火電圧から同様に気筒判別できることはいうまでもない。
【0106】
(実施の第5形態)
次に、本発明の実施の第5形態について図13および図14を参照しながら説明する。図13は本発明の実施の第5形態に係る気筒判別の処理手順を示すフローチャート、図14はTDCタイミングによる各気筒の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【0107】
本実施の形態は、上述した実施の第4形態と同じハードウェア構成を有し、本実施の形態では、TDC判別信号パルスの発生タイミングに応じて各気筒の点火を行い、各点火タイミングに合わせて各気筒に対応する点火コイルの二次側電圧を検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの比較結果に応じて気筒判別を行うように構成されている。
【0108】
具体的には、図14に示すように、各TDC判別信号パルスの発生(▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各発生タイミング)毎に点火装置6に点火信号θigp1,θigp2,θigp3,θigp4を出力することにより各気筒の点火を行い、各TDC判別信号パルスの発生タイミング即ち各点火タイミングでの二次側電圧V2を点火電圧値Vobjn(n=1,…,4)として検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの相互比較を行い、その比較結果に基づき気筒判別を行う。
【0109】
図13において、まず、ステップS30で特定運転状態フラグF1STが「1」であるか否かの判定を行い、そのフラグF1STが「1」でないと、処理は直ちに終了する一方、「1」であると判定されると、ステップS31に進み、TDCセンサ19から出力されるTDC判別信号パルスの検出を行う。
【0110】
次いで、ステップS32に進み、TDC判別信号パルスの発生(図13に示す▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各タイミング)毎に点火信号θigpn(n=1,…,4)を出力して各気筒の点火を行う。
【0111】
続くステップS33では、各TDC判別信号パルスの発生タイミング(▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各タイミング)すなわち各気筒の点火タイミングに合わせて点火コイル7,8,9,10の二次側電圧を順次取り込み、その電圧値を点火電圧値Vobjn(n=1,2,3,4)として検出する。
【0112】
次いで、ステップS34に進み、検出した各電圧値Vobjnを相互に比較する。この比較処理は、上述した実施の第4形態の比較処理(図11に示す)と同様であるので、その説明は省略する。
【0113】
続くステップS35で、ステップS34による比較結果に基づき各気筒の圧縮上死点を判別するための気筒判別を行う。この判別方法は上述した実施の第4形態の方法と同様であるので、その説明は省略する。
【0114】
次いで、ステップS36に進み、上記気筒判別結果に基づき点火信号θigpn(n=1,…,4)を出力して順次点火を行い、本処理を終了する。
【0115】
このように、本実施の形態によれば、TDC判別信号パルスの発生タイミングに合わせた各気筒の点火を行い、各点火タイミングで各気筒の点火電圧値Vobjnとして点火コイル7,8,9,10の二次側電圧値を検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの相互の比較結果に応じて気筒判別を行うので、上述した実施の第4形態と同様の効果が得られる。
【0116】
(実施の第6形態)
次に、本発明の実施の第6形態について図15及び図16を参照しながら説明する。図15は本発明の実施の第6形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図であり、本実施の形態では、本発明の気筒判別装置を、4つの気筒において2つの気筒の点火プラグに対し1つの点火コイルが設けられ、2気筒同時に点火する点火システムを有するエンジンに適用したものである。
【0117】
エンジン1は、図15に示すように、4つの気筒(#1,#2,#3,#4)を有し、各気筒(#1,#2,#3,#4)には点火プラグ2,3,4,5がそれぞれ設けられている。各点火プラグ2,3,4,5の中心電極には、点火装置30から点火電圧がそれぞれ印加され、各点火プラグ2,3,4,5の外側電極は接地されている。各点火プラグ2,3,4,5においては、点火プラグ2,5すなわち#1、#4気筒を第1の気筒グループとして、点火プラグ3,4すなわち#2、#3気筒を第2の気筒グループとしてそれぞれ区分けしている。
【0118】
点火装置30は、上述の各グループ毎にそのグループの点火プラグに同時に印加する点火電圧を発生するための2つの点火コイル31,32を有する。各点火コイル31,32は、1次側コイル31a,32aと2次側コイル31b,32bとから構成されている。
【0119】
点火コイル31の一次側コイル31aの一端はバッテリ電圧VBが印加され、1次側コイル31aの他端はトランジスタ33のコレクタに接続されている。1次側コイル31aの他端とトランジスタ33のコレクタとの間の接続点には、1次側コイル31aに発生する一次側電圧を検出するための電圧センサ20aが設けられ、電圧センサ20はECU15に接続されている。これに対し、二次側コイル31bの一端は点火プラグ2の中心電極に、その他端は点火プラグ5の中心電極にそれぞれ接続されている。
【0120】
点火コイル32においては、点火コイル31と同様の接続構造を有し、点火コイル32の一次側コイル32aにはトランジスタ34のコレクタが接続され、点火コイル32の一次側コイル32aとトランジスタ34のコレクタとの間の接続には、電圧センサ20bが設けれ、電圧センサ20bはECU15に接続されている。各電圧センサ20a,20bは、上述した実施の第1形態の電圧センサ20と同様な構成を有する。
【0121】
各トランジスタ33,34のベースにはECU15からの点火信号θigpn(n=1,2)が入力され、各トランジスタ33,34のエミッタは接地されている。
【0122】
ECU15は、点火装置30の点火コイル31の一次側コイル31aに発生する電圧を電圧センサ20aを介して、点火コイル32の一次側コイル32aに発生する電圧を電圧センサ20bを介してそれぞれ取り込み、各電圧を検出する。
【0123】
ECU15による点火制御では、エンジン運転状態に応じて点火時期を算出し、エンジン回転数NEおよびバッテリ電圧VBに基づき点火コイルの通電時間を算出し、算出された点火時期と点火コイルの通電時間とに応じた点火信号θigp nを点火装置30の各トランジスタ33,34に分配、供給することによって所定タイミングで各トランジスタ33,34のオン、オフ動作を制御して2気筒同時点火を行うとともに、気筒判別を行うときには、TDC判別信号パルスの発生タイミングで各気筒グループの点火を行い、各点火コイル31,32の一次側電圧を検出し、その検出した各電圧から気筒グループの判別を行う。
【0124】
なお、上述した構成以外は、前述した各実施の形態のいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
【0125】
次に、本実施の形態による気筒判別について図16を参照しながら説明する。図16は気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【0126】
図16において、まず、ステップS40でフラグF1STが「1」であると判定すると、ステップS41に進み、TDCセンサ19から出力されるTDC判別信号パルスの検出を行う。
【0127】
次いで、ステップS42に進み、TDC判別信号パルスの発生タイミングで点火装置30に点火信号θigp1,θigp2を順次出力して各気筒グループの点火を行う。各点火信号θigp1,θigp2によって点火コイル31,32に点火電圧が誘起され、その点火電圧は点火プラグ2,5,3,4に印加される。
【0128】
続くステップS43では、TDC判別信号パルスの発生タイミングすなわち各気筒グループの点火タイミングに合わせて点火コイル31,32の一次側電圧を取り込み、各電圧値を各気筒グループに対応する点火電圧値Vobjn(n=1,2)として検出する。
【0129】
次いで、ステップS44に進み、検出した各気筒グループの点火電圧値Vobjnを相互に比較し、その比較結果を出力する。
【0130】
続くステップS45で、ステップS44による比較結果に基づき各気筒グループにおける圧縮上死点を判別するための気筒判別を行う。具体的には、Vobj1≧Vobj2が成立すると、第1の気筒グループすなわち#1気筒または#4気筒が圧縮上死点にあると判別され、Vobj1<Vobj2が成立すると、第2の気筒グループすなわち#2気筒または#3気筒が圧縮上死点にあると判別され、各気筒グループにおける圧縮上死点の判別すなわちグループ判別が行われる。
【0131】
ステップS45の気筒判別後、ステップS46に進み、上記気筒判別結果に応じて所定の気筒グループ順に点火信号θigpn(n=1,2)を順次出力して順次グループ点火を行い、本処理を終了する。
【0132】
このように、本実施の形態によれば、TDC判別信号パルスの発生タイミングに合わせたグループ点火を行い、各点火タイミングで各気筒グループの電圧値Vobjnとして対応する点火コイル31,32の一次側電圧値を検出し、検出した各点火電圧値Vobjnの相互比較結果に応じて気筒グループを判別するので、4気筒に対し、2つの電圧を検出すればよく、構成が簡素化される。
【0133】
また、各気筒グループ毎にその一次側電圧を検出するので、グループ判別に要する期間は2TDCに相当する期間で足りる。
【0134】
なお、本実施の形態では、各気筒グループの点火電圧値Vobjnとして点火コイル31,32の一次側電圧値を検出しているが、これに代えて、各気筒グループの点火電圧値Vobjnとして点火コイル31,32の二次側電圧値を検出するように構成することもできる。
【0135】
また、点火コイル31,32のいずれか一方の一次側電圧値を検出し、その検出した電圧に応じてグループ判別を行うことも可能である。
【0136】
(実施の第7形態)
次に、本発明の実施の第7形態について図17ないし図19を参照しながら説明する。図17は本発明の実施の第7形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図であり、本実施の形態は、本願発明の気筒判別装置を電子制御スロットルを有するエンジンに適用したものである。
【0137】
図17に示すように、エンジン41においては、アクチュエータ22がスロットル弁23に駆動可能に接続されると共に、ECU15に電気的に接続されている。
【0138】
ECU15には、スロットル弁開度(θTH)センサ16、温度センサ17、クランク角度位置(CRK)センサ18、TDCセンサ19等以外に、アクセルペダルの踏み込み量ACC(以下、アクセル開度という)を検出するアクセル開度(ACC)センサ24等が接続されている。
【0139】
ECU15は、ACCセンサ24により検出されたアクセル開度に応じてアクチュエータ22に駆動信号を供給し、スロットル弁3を開閉駆動するスロットル弁制御を行う。
【0140】
上述した以外の構成は、上述した各実施の形態のいずれかと同様であるので、その説明は省略する。また、ECU15による点火時期制御に含まれる気筒判別は、上述の点火装置42の点火電圧の検出構造に対応して特定気筒(または各気筒もしくは気筒グループ)の圧縮上死点の判別を行うが、その詳細は上述の各実施の形態のいずれかで述べたと同様であり、その説明は省略する。
【0141】
次に、本実施の形態による気筒判別に伴うスロットル弁制御について図18及び図19を参照しながら説明する。図18は始動時の気筒判別に伴うスロットル弁制御の手順を示すフローチャート、図19は気筒判別後のスロットル弁制御の手順を示すフローチャートである。
【0142】
まず、始動時の気筒判別に伴うスロットル弁制御について図18を参照しながら説明する。
【0143】
本実施の形態では、始動時に、上述した各実施の形態のいずれかで述べたと同様の手順で気筒判別を行うが、この気筒判別に伴いスロットル弁制御を行う。
【0144】
図18において、まず、ステップ50で、始動モードであるか否かの判定を行い、続くステップS51で、判定の結果が始動モードであるか否かを判断する。
【0145】
始動モードであると判断すると、ステップS52に進み、気筒判別に伴う制御を開始する。この制御では、アクセル開度に関係なく、始動モードに対応したスロットル弁23の目標開度値を算出し、スロットル弁23の目標開度値を機関温度に応じて補正する。このように、始動時の気筒判別に伴い行われるスロットル弁制御によって、アクセル開度に関係なく、始動モードに対応する所定の開度にスロットル弁23が保持される。
【0146】
スロットル弁23の開度値算出後、ステップS54に進み、算出されたスロットル弁開度値になるようにスロットル弁23をアクチュエータ22を介して駆動し、本処理を終了する。
【0147】
これに対し、ステップS51で始動モードでないと判断すると、ステップS53に進み、通常制御を開始する。この通常制御では、アクセル開度に応じたスロットル弁23の目標開度値を算出し、スロットル弁23の目標開度値を機関温度に応じて補正する。
【0148】
スロットル弁23の開度値算出後、ステップS54に進み、算出されたスロットル弁開度値になるようにスロットル弁23をアクチュエータ22を介して駆動し、本処理を終了する。
【0149】
次に、エンジンが特定の運転状態(所定の減速状態)にあるとき、上述した各実施の形態のいずれかで述べたと同様の手順で気筒判別を行うが、この手順で気筒判別結果が得られなかったときに、気筒判別に伴うスロットル弁制御を行う。このスロットル弁制御は、スロットル弁22を開度を制御して気筒内に吸気される空気量を調整することによって、気筒内の吸気の性状を気筒判別可能な性状にするための制御である。
【0150】
この気筒判別後のスロットル弁制御では、図19に示すように、ステップ60で、気筒判別を行い、続くステップS61で、その気筒判別によって特定気筒(または各気筒もしくは各気筒グループ)の圧縮上死点を判別することができたか否かの判断を行う。この判断処理は、上述した各実施の形態のいずれかの気筒判別に要する最大期間に応じてTDC判別信号パルスの発生タイミングに合わせて行うようにすればよく、例えば、最大4TDC期間毎に1回判断すればよい。
【0151】
特定気筒の圧縮上死点の判別ができていないと判断すると、ステップS62に進み、気筒判別に伴う制御を開始する。この制御では、アクセル開度に関係なく、気筒判別可能なスロットル弁23の目標開度値を算出し、算出したスロットル弁23の目標開度値を機関温度に応じて補正する。
【0152】
ステップS62によるスロットル弁23の開度値算出後、ステップS64に進み、算出されたスロットル弁開度値になるようにスロットル弁23をアクチュエータ22を介して駆動し、本処理を終了する。
【0153】
これに対し、ステップS61で特定気筒の圧縮上死点の判別ができたと判断すると、ステップS63に進み、通常制御を開始する。この制御では、アクセル開度に応じたスロットル弁23の目標開度値を算出し、算出したスロットル弁23の目標開度値を機関温度に応じて補正する。
【0154】
ステップS63によるスロットル弁23の開度値補正後、上記ステップS64に進み、その補正されたスロットル弁開度値になるようにスロットル弁23をアクチュエータ22を介して駆動し、本処理を終了する。
【0155】
このように、本実施の形態によれば、電子制御スロットルを有するエンジンにおいては、始動時に、気筒判別に伴う制御へ移行し、その制御では、アクセル開度に関係なく、始動モードに対応する所定の開度にスロットル弁23を保持するので、吸入空気量のばらつきの発生を抑制することができ、気筒判別の精度向上を図ることができる。また、気筒判別が得られないときには、気筒判別後の制御へ移行し、その制御では、アクセル開度に関係なく、スロットル弁23の開度を気筒判別可能な開度に保持するので、始動時と同様に、吸入空気量のばらつきの発生を抑制することができ、気筒判別の精度向上を図ることができる。
【0156】
(実施の第8形態)
次に、本発明の実施の第8形態について図20ないし図22を参照しながら説明する。図20は本発明の実施の第8形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図であり、本実施の形態は、本願発明の気筒判別装置を補助空気量制御装置(EACV)を有するエンジンに適用したものである。
【0157】
図20に示すように、エンジン51においては、補助空気量制御装置(EACV)25が設けられ、このEACV25は、吸気管(図示せず)内のスロットル弁をバイパスする補助空気通路(図示せず)内に配置され、スロットル弁をバイパスしてエンジン51に供給される補助空気量(二次空気量)を調整する電磁弁からなる。EACV25はECU15に接続され、ECU15はエンジン運転状態に応じてエンジン51に供給される二次空気量をEACV25の開度を調整することにより制御するEACV制御を行う。
【0158】
上述した以外の構成は、上述した各実施の形態のいずれかと同様であるので、その説明は省略する。また、本実施の形態においても、ECU15による点火時期制御に含まれる気筒判別は、上述の各実施の形態のいずれかで述べたと同様であり、その説明は省略する。
【0159】
次に、気筒判別に伴うEACV制御について図21及び図22を参照しながら説明する。図21は始動時の気筒判別に伴うEACV制御の手順を示すフローチャート、図22は気筒判別後のEACV制御の手順を示すフローチャートである。
【0160】
まず、始動時の気筒判別に伴うEACV制御について図21を参照しながら説明する。
【0161】
本実施の形態では、始動時に、上述した各実施の形態のいずれかで述べたと同様の手順で気筒判別を行うが、この気筒判別に伴いEACV制御を行う。
【0162】
図21において、まず、ステップ70で、始動モードであるか否かの判定を行い、続くステップS71で、判定の結果が始動モードであるか否かを判断する。
【0163】
始動モードであると判断すると、ステップS72に進み、気筒判別に伴う制御を開始する。この制御では、始動モードに対応するEACV25のデューティ(開度)を算出し、その算出されたEACV25のデューティ(開度)を機関温度に応じて補正し、その補正されたEACV25のデューティ(開度)を吸入空気量が一定になるようにスロットル開度θTHに応じて補正する。
【0164】
EACV25のデューティ(開度)の算出後、ステップS74に進み、その補正されたデューティ(開度)になるようにEACV25を駆動し、本処理を終了する。
【0165】
これに対し、ステップS71で始動モードでないと判断すると、ステップS73に進み、通常制御を開始する。この通常制御では、エンジン運転状態に応じてEACV25のデューティ(開度)を算出し、その算出されたEACV25のデューティ(開度)を機関温度に応じて補正する。
【0166】
EACV25のデューティ(開度)の算出後、上記ステップS74に進み、その補正されたデューティ(開度)になるようにEACV25を駆動し、本処理を終了する。
【0167】
次に、エンジンが特定の運転状態(所定の減速状態)にあるとき、上述した各実施の形態のいずれかで述べたと同様の手順で気筒判別を行うが、この手順で気筒判別結果が得られなかったときに、気筒判別に伴うEACV制御を行う。このEACV制御は、スロットル弁22を開度を制御して気筒内に吸気される空気量を調整することによって、気筒内の吸気の性状を気筒判別可能な性状にするための制御である。
【0168】
このEACV制御では、図22に示すように、ステップ80で、気筒判別を行い、続くステップS81で、その気筒判別によって特定気筒(または各気筒もしくは各気筒グループ)の圧縮上死点を判別することができたか否かの判断を行う。
【0169】
特定気筒の圧縮上死点の判別ができていないと判断すると、ステップS82に進み、気筒判別に伴う制御を開始する。この制御では、気筒判別可能なEACV25のデューティ(開度)を算出し、その算出されたEACV25のデューティ(開度)を機関温度に応じて補正し、その補正されたEACV25のデューティ(開度)を吸入空気量が一定になるようにスロットル開度θTHに応じて補正する。
【0170】
EACV25のデューティ(開度)の算出後、ステップS84に進み、その補正されたデューティ(開度)になるようにEACV25を駆動し、本処理を終了する。
【0171】
これに対し、ステップS81で特定気筒の圧縮上死点の判別ができたと判断すると、ステップS83に進み、通常制御を開始する。この通常制御では、エンジン運転状態に応じてEACV25のデューティ(開度)を算出し、その算出されたEACV25のデューティ(開度)を機関温度に応じて補正する。
【0172】
EACV25のデューティ(開度)の算出後、上記ステップS84に進み、その補正されたデューティ(開度)になるようにEACV25を駆動し、本処理を終了する。
【0173】
このように、本実施の形態によれば、EACV25を有するエンジンにおいては、始動時に、気筒判別に伴う制御へ移行し、その制御では、アクセル開度に応じてエンジン51に供給される二次空気量をEACV25で調整するので、吸入空気量のばらつきの発生を抑制することができ、気筒判別の精度向上を図ることができる。また、気筒判別が得られないときには、気筒判別後の制御へ移行し、その制御では、エンジン運転状態に応じてエンジン51に供給される二次空気量をEACV25で調整するので、始動時と同様に、吸入空気量のばらつきの発生を抑制することができ、気筒判別の精度向上を図ることができる。
【0174】
なお、上述した各実施の形態では、本発明の気筒判別装置を内燃エンジンの点火時期制御に適用した例について説明したが、これに限らず、例えば、内燃エンジンの燃料供給制御における燃料噴射タイミング制御に適用してもよい。
【0175】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置によれば、機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に特定の気筒に点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、点火時期信号の出力時における特定の気筒の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、気筒判別手段は、機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに気筒判別を実行するので、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることなく、気筒判別を行うことができると共に、精度が高い気筒判別結果を得ることができる、すなわち、低コストでかつ高精度で気筒判別を行うことができる。
【0176】
請求項記載の内燃機関の気筒判別装置によれば、機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に気筒のそれぞれに点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、点火時期信号の出力時における気筒毎の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された各点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、気筒判別手段は、機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに気筒判別を実行するので、磁気、光、ホール、MREなどの気筒判別センサを用いることなく、気筒判別を行うことができると共に、精度が高い気筒判別結果を出力することができる、すなわち、低コストでかつ高精度で気筒判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る内燃機関の気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図2】ECU15内に構成された点火時期制御を行うための手段を示すブロック図である。
【図3】図1のエンジンにおける点火波形の特性を示す波形図である。
【図4】気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】クランクタイミングによる特定気筒(#1気筒)の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の第2形態に係る気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】TDCタイミングによる特定気筒(#1気筒)の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施の第3形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図9】本発明の実施の第4形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図10】気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS24における点火電圧値Vobjnの比較処理を示すフローチャートである。
【図12】CRKタイミングによる各気筒の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の実施の第5形態に係る気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】TDCタイミングによる各気筒の点火タイミングを示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の実施の第6形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図16】ECUによる気筒判別の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の第7形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図18】始動時の気筒判別に伴うスロットル弁制御の手順を示すフローチャートである。
【図19】気筒判別後のスロットル弁制御の手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の実施の第8形態に係るエンジンの気筒判別装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図21】始動時の気筒判別に伴うEACV制御の手順を示すフローチャートである。
【図22】気筒判別後のEACV制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2,3,4,5 点火プラグ
6,30,42 点火装置(点火手段)
7,8,9,10,31,32 点火コイル
11,12,13,14,33,34 トランジスタ
15 ECU(気筒判別装置)
16 θTHセンサ
17 温度センサ
18 CRKセンサ
19 TDCセンサ
20,20a,20b,30a,30b,30c,30d 電圧センサ
21 燃料噴射弁
22 アクチュエータ
23 スロットル弁
24 ACC(アクセル開度センサ)
25 EACV(補助空気量制御装置)

Claims (10)

  1. 複数の気筒を有する内燃機関であって、気筒毎に対して点火コイルを有する点火手段または気筒グループ毎に対して点火コイルを有する点火手段のいずれか一方が設けられている内燃機関の気筒判別装置において、前記機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に特定の気筒に点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、前記点火時期信号の出力時における前記特定の気筒の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、前記気筒判別手段は、前記機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに前記気筒判別を実行することを特徴とする内燃機関の気筒判別装置。
  2. 前記気筒判別手段は、前記機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置。
  3. 前記気筒判別手段は、所定電圧値と前記検出された点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置。
  4. 前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの一次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置。
  5. 前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの二次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の気筒判別装置。
  6. 複数の気筒を有する内燃機関であって、気筒毎に点火コイルを有する点火手段または気筒グループ毎に点火コイルを有する点火手段のいずれか一方が設けられている内燃機関の気筒判別装置において、前記機関の所定回転角毎に基準角信号を出力する基準角信号発生手段と、該基準角信号の出力毎に前記気筒のそれぞれに点火時期信号を出力する点火時期信号発生手段と、前記点火時期信号の出力時における前記気筒毎の点火電圧を検出する点火電圧検出手段と、該検出された各点火電圧に応じて気筒判別を行う気筒判別手段とを備え、前記気筒判別手段は、前記機関が燃料噴射を行わない燃料カット状態にあるときに前記気筒判別を実行することを特徴とする内燃機関の気筒判別装置。
  7. 前記気筒判別手段は、前記機関の1サイクル間に検出された各点火電圧値を相互に比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする請求項6記載の内燃機関の気筒判別装置。
  8. 前記気筒判別手段は、所定電圧値と前記検出された各点火電圧値とを比較し、その比較結果に基づき気筒判別を行うことを特徴とする請求項記載の内燃機関の気筒判別装置。
  9. 前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの一次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする請求項記載の内燃機関の気筒判別装置。
  10. 前記点火電圧検出手段は、前記点火コイルの二次側の電圧を前記点火電圧として検出することを特徴とする請求項記載の内燃機関の気筒判別装置。
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