JP3716904B2 - 発泡体の成形方法および成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダバレルと該シリンダバレル内に回転駆動可能に設けられているスクリュとからなる熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置と、射出プランジャー装置と、成形装置とを使用し、前記熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置で得られる溶融樹脂を前記射出プランジャー装置に供給し、そして前記射出プランジャー装置を駆動して前記成形装置に射出して発泡させ、冷却、固化を待って金型を開いて発泡体を取り出す発泡体の成形方法およびこの方法の実施に使用される発泡体の成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂製の発泡体を製造する製造方法あるいは製造装置は、例えば特表平6−506724号、特開平10−230528号等により多数提案されている。上記特表平6−506724号に開示されている微細発泡体の製造装置は、図2に示されているように、概略的には押出バレル70、この押出バレル70の先端部に設けられているシートダイ74、シートダイ74から押し出されるシート状発泡材料が受け入れられる圧力チャンバー75、圧力チャンバー75から送られ発泡材料を発泡させるアニーリングチャンバー76等からなっている。したがって、押出バレル70内の2軸混練スクリュ71、71を回転駆動して、ホッパ72からポリマープラスチック材料を押出バレル70に供給すると、ポリマープラスチック材料は、周知のように押出バレル70の外部から加えられる熱と、2軸混練スクリュ71、71の回転による摩擦作用等により生じる熱とにより溶融する。このとき、二酸化炭素供給装置73から超臨界状態の二酸化炭素の液体を供給すると、二酸化炭素の液体は溶融樹脂材料中に飽和され、そしてシートダイ74からシート状溶融樹脂として圧力チャンバー75に導入される。この圧力チャンバー75は、押出バレル70の圧力も低く制御されており、気泡核が形成される。そして、チルドローラ77によりアニーリングチャンバー76に移送されて発泡する。これにより、シート状の発泡体が得られる。
【0003】
また、上記特表平6−506724号には、図3に示されているような発泡体の射出成形機も開示されている。この射出成形機は、シリンダバレル80、このシリンダバレル80の内部に設けられている可塑化用スクリュ81、超臨界状態の二酸化炭素流体供給装置82等からなり、シリンダバレル80の下流端部近傍に静的ミキサ83が設けられている。また、金型のキャビテイ85には、ガスボンベ86からカウンタープレッシャー用ガスが供給されるようになっている。したがって、ポリマープラスチック材料をシリンダバレル80に供給し、スクリュ81を回転駆動すると、ポリマープラスチック材料は、周知のように溶融する。そこで、二酸化炭素液体供給装置82から超臨界状態の二酸化炭素の液体を供給すると、二酸化炭素の液体は溶融ポリマープラスチック材料に浸透、混合され、また静的ミキサ83により一層ミキシングされて金型のキャビテイ85に射出される。このとき、キャビテイ85にカウンタープレッシャーをかけておき、所定時間経過後にカウンタープレッシャーを一気に開放すると、表面にスキン層を有する発泡体が得られる。
【0004】
さらには、特開平10−230528号により、図4に示されている発泡体製造装置も知られている。この発泡体製造装置は、概略的には、シリンダバレル90、このシリンダバレル90内に回転駆動可能に設けられている混練スクリュ91、超臨界状態の二酸化炭素流体供給装置92、アキュムレータ93、射出シリンダ95を有する射出装置64、金型96等からなっている。したがって、混練スクリュ91を回転駆動してペレット状の樹脂材料を供給すると、従来周知のようにして樹脂材料は溶融する。このとき、二酸化炭素流体供給装置92から二酸化炭素の液体を供給すると、二酸化炭素の液体は溶融樹脂材料中に浸透する。二酸化炭素の液体が浸透した溶融樹脂はアキュムレータ92を介して射出プランジャー95に供給し、そして射出装置94によりプランジャーを駆動すると、金型96のキャビテイ97には、ガスボンベ98からカウンタープレッシャーがかけられているので、上記したようにして表面にスキン層を有する熱可塑性樹脂発泡成形が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のいずれの製造装置によっても、熱可塑性樹脂発泡成形体を得ることはできる。しかしながら、改良すべき問題点も認められる。例えば、図2に示されている発泡体の製造装置によると、連続的に発泡体を得ることができる利点は認められが、得られる発泡体がシート状で、立体的な大型の発泡体は得られない。また、図3に示されている射出成形機は金型を備えているので、立体的な大型の発泡体を得ることはできるが、金型に射出して発泡体を得ている間は、樹脂材料の混練溶融が停止する欠点、特に二酸化炭素の流体の供給も停止する欠点がある。このように、二酸化炭素の流体の供給が停止すると、連続的に供給する場合に比較して定量性の確保が困難で、溶融熱可塑性樹脂と二酸化炭素の流体との混合比を一定に保つことが困難と予想される。また、樹脂材料の混練溶融が停止するときは、スクリュの回転も停止するので、相溶状態の熱可塑性樹脂と二酸化炭素の流体が分離し、金型へ射出したときのセルの微細化は困難で、高い品質の発泡体は得られない。また、図5に示されている製造装置によると、立体的な大型の発泡体を得ることはできるが、金型に射出して発泡体を得ている間は、樹脂材料の混練溶融が停止する欠点があり、上記したような理由により高品質の発泡体は得られにくいことが予想される。なお、前記特開平10−230528号には、2個の射出プランジャーを備えた発泡体の製造装置は示されている。しかしながら、2個の射出プランジャーを備えた理由は、装置系内を所定の圧力に維持するのを容易にするためで、また発明の目的、効果等から見て二酸化炭素を連続的に供給し、高品質の発泡体を得ようとするものとは認められない。
本発明は、上記したような従来の問題点を解決した発泡体の成形方法および成形装置を提供することを目的としている。すなわち、溶融状態の樹脂材料と不活性流体例えば二酸化炭素の流体との混合比を容易に一定に保つことができ、また溶融状態の樹脂材料に浸透した二酸化炭素の流体の分離を防ぎ、それによって微細セルの高品質の発泡体が得られる発泡体の成形方法および成形装置を提供することを目的とし、また立体的な大型の発泡体を得ることができる発泡体の成形方法および成形装置を提供することも目的とし、その他本発明は上記目的に加えて表面にスキン層を有する発泡体の成形方法および成形装置を提供するとを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、大きな立体的な発泡体を得るために、冷却、固化、型開き等の工程を必要とする金型を使用するにも拘わらず、溶融状態の樹脂材料に不活性の流体例えば二酸化炭素の流体を均一に分散、浸透させる溶融樹脂の製造を、中断することなく、連続して行うように構成することにより達成される。すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的は達成するために、シリンダバレルと該シリンダバレル内に回転駆動可能に設けられているスクリュとからなる混練押出用のスクリュを備えた押出機と、射出プランジャー装置と、成形装置とを使用し、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機で得られる溶融樹脂を前記射出プランジャー装置に供給し、そして前記射出プランジャー装置を駆動して前記成形装置に射出して発泡させ、冷却、固化を待って金型を開いて発泡体を取り出す発泡体の成形方法であって、前記射出プランジャー装置には複数台の射出プランジャーを、前記成形装置にも複数台の金型を使用し、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機内において樹脂材料が連続して溶融した後に超臨界状態の不活性流体を連続的に注入して得られる溶融樹脂をギヤポンプにより加圧して前記複数台の射出プランジャーに順次供給し、溶融樹脂が供給された射出プランジャーから金型のキャビテイに順次射出して発泡体を得、これにより前記混練押出用のスクリュを備えた押出機により連続的に得られる溶融樹脂を途切れることなく、発泡体の成形に使用するように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、溶融樹脂を金型のキャビテイに射出するとき、前記キャビティには所定のガスにより所定のガス圧力をかけておき、射出後所定時間経過したら前記ガス圧力を一気に開放するように構成され、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の成形方法において、ガスが不活性ガスで、その圧力が超臨界状態であるように、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の成形方法において、不活性ガスが二酸化炭素であり、その臨界圧力が7.38MPa、臨界温度が31.1℃以上であるように、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の成形方法において、ガスが空気で、その圧力が3.0MPa以下であるように、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の成形方法において、重合工程で生成された一次原料を直接混練押出用のスクリュを備えた押出機に投入し連続的に溶融して成形するように構成される。
請求項7に記載の発明は、シリンダバレルと該シリンダバレル内に回転駆動可能に設けられているスクリュとからなる混練押出用のスクリュを備えた押出機と、射出プランジャー装置と、成形装置とからなり、前記射出プランジャー装置は、複数台の射出プランジャーから、そして前記成形装置は複数台の金型からなり、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機には超臨界状態の不活性流体の注入口が設けられ、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機において樹脂材料が溶融した後に超臨界状態の不活性流体が連続的に注入されて得られる溶融樹脂はギヤポンプにより昇圧されて、前記複数台の射出プランジャーに順次供給され、溶融樹脂が供給された射出プランジャーから前記複数台の金型のキャビテイに順次射出されて発泡体が得られ、これにより前記混練押出用のスクリュを備えた押出機により連続的に得られる溶融樹脂が途切れることなく、発泡体の成形に使用されるように構成される。請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の成形装置において、ギヤポンプの下流側に混合、分散用のスタチックミキサーが設けられ、請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の成形装置において、押出機のスクリュは、複数のニーディングディスクが設けられている2軸のスクリュからなり、前記スクリュは、輸送部、溶融混練部、ガス溶解部および昇圧部からなるように、そして請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれかの項に記載の成形装置において、成形装置の型締装置は、射出圧縮機能を持つように構成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、全体を模式的に示す図であるが、同図に示されているように本実施の形態に係わる熱可塑性樹脂発泡体の成形装置は、概略的には、熱可塑性樹脂を連続的に溶融すると共に超臨界状態の流体例えば二酸化炭素の流体を連続的に浸透、飽和させて溶融樹脂を得る熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置1と、この熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置1で得られる溶融樹脂を連続的に次の射出プランジャー装置50まで導く配管装置30と、この配管装置30から送られてくる溶融樹脂を連続的に受け入れる射出プランジャー装置50と、前記射出プランジャー装置50に対応して設けられている成形装置60とから構成されている。
【0008】
熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置1は、図1に示されているように、シリンダバレル2を備えている。このシリンダバレル2の、図1において左方の端部近傍には、熱可塑性樹脂の供給用の第1の開口部10が開けられ、この第1の開口部10に、機械的な定量供給装置、図示の実施の形態ではスクリュ式供給装置11を介して、ホッパ12が取り付けられている。これにより、重合工程から生成される一次原料が直接的にシリンダバレル2に供給される。ホッパ12の下流側には、シリンダバレル2の内周壁とスクリュ3との間隔を調節する一対の板状のゲート13、13またはシールリングが設けられている。このゲート13、13は、例えば特開平8−142159号、特開平9−1630号等にも示されているように従来周知であるので、詳しい説明はしないが、1個の駆動装置14により一対のゲート13、13が同時にシリンダバレル2の内周壁とスクリュ3との間隔を狭める方向と広げる方向とに駆動されるようになっている。このゲート13、13により、熱可塑性樹脂の混練度が調節され、略完全に溶融されて次のステージへと送られる。そして、このゲート13、13の下流側に超臨界状態の不活性ガス例えば二酸化炭素の流体を供給するための流体供給用の第2の開口部15が開けられている。本実施の形態によると、このように流体供給用の第2の開口部15がゲート13、13の下流側に位置しているので、第2の開口部15から供給される超臨界状態の二酸化炭素の流体が、溶融状態の熱可塑性樹脂によりシールされ、上流側へ逆流することが防止される。
【0009】
上記したシリンダバレル2の内部に、回転駆動可能に2軸の混練押出用のスクリュ3が設けられている。このスクリュ3は、そのフライトのピッチ、溝深さ等の形状が軸方向に適宜変更され、樹脂材料供給用の第1の開口部10近傍の供給部から輸送部T、その下流側が第1のニーディングディスク4が設けられている溶融混練部YKとなっている。そして、その下流側の通常のフライトが設けられている部分に、上記した一対の板状のゲート13、13が設けられている。そして、さらにその下流側に第2のニーディングディスク5が設けられている。この第2のニーディングディスク5が設けられている部分は、ガス溶解部GYとなり、このガス溶解部GYに対応して、超臨界状態の二酸化炭素の流体を供給するための第2の開口部15が設けられている。ガス溶解部GYの下流側は昇圧部Pとなり、その下流端部に後述するギヤポンプ32が接続されている。
【0010】
このように、ガス溶解部GYの下流側に昇圧部Pが設けられているので、第2の開口部15から注入される不活性の流体は、溶解されて昇圧部Pに入る。これにより、第2のニーディングディスク5の下流側の溶融樹脂圧力を10MPa以上に保って次のギヤポンプ32に送ることができる。なお、第1のニーディングディスク4は、これに代えてフルフライトスクリュでも実施できるし、昇圧部Pは逆フライトスクリュで実施しても昇圧効果は得られる。
【0011】
第2の開口部15には、超臨界状態の二酸化炭素の流体を供給するための二酸化炭素の流体供給装置20が接続されている。この二酸化炭素の流体供給装置20は、二酸化炭素ガスが充填されているガスボンベ21、二酸化炭素ガスを超臨界ガス圧以上に加圧する昇圧機22、圧力制御弁23、昇圧された二酸化炭素ガスの流量を制御する流量調整弁24等からなり、そしてこれらを順に接続している管路25の終端部が流体供給用の第2の開口部15に接続されている。なお、二酸化炭素ガスを超臨界ガス温度以上に加熱する加熱器は示されていない。
【0012】
配管装置30は、シリンダバレル2の下流端に接続されている昇圧部31と、この昇圧部31の下流端に設けられている配管部35とからなっている。昇圧部31は、従来周知の形態をしたギヤポンプ32と、このギヤポンプ32の下流側に設けられているスクリーンチエンジャー33とを備えている。そして、このギヤポンプ32により、シリンダバレル2から押し出される二酸化炭素の流体が飽和されている溶融樹脂を超臨界圧以上の圧力を保って、またスクリーンチエンジャー33により遺物が除去されて次の配管部35へと送られる。配管部35は、昇圧部31の下流端部に接続されているスタチックミキサー部36と、その下流側の管路部37と、管路部37の終端部に位置するデイストリビュータ部38とからなっている。デイストリビュータ部38は、3方弁39を備えている。この3方弁39の一方が、第1の開閉弁40が介装されている第1の供給管41を介して、射出プランジャー装置50の第1の射出プランジャー51に、そして3方弁39の他方が、第2の開閉弁40’が介装されている第2の供給管41’を介して第2の射出プランジャー51’にそれぞれ接続されている。なお、連続成形を中断するときは、3方弁39は図示の状態から180゜回転させてダイバータ弁の役割を果たす。また、配管装置30の昇圧部31、スタチックミキサー部36、管路部37およびデイストリビュータ部38の第1、2の供給管41、41’等の外周部には、図1には示されていないが、個々に発熱温度が制御される加熱ヒータが設けられている。
【0013】
射出プランジャー装置50の、第1、2の射出プランジャー51、51’および成形装置60の、第1、2の金型61、61’は、本実施の形態では同じ構造をしているので、以下一方の第1の射出プランジャー51および第1の金型61についてのみ説明し、他方は同じ参照数字にダッシュ「’」を付けて重複説明はしない。第1の射出プランジャー51は、射出ピストンシリンダユニットPSと、射出プランジャーユニットSとからなっている。射出ピストンシリンダユニットPSは、従来周知のように、シリンダ52とこのシリンダ52内に往復動自在に設けられているピストン53とからなっている。射出プランジャーユニットSも同様に射出シリンダ55と、この射出シリンダ55内に往復動自在に設けられている射出ピストン56とからなっている。そして、射出シリンダ55の、図1において下方のピストンヘッド室57の一方に、第1の供給管41が接続され、このピストンヘッド室57の他方にシャットオフ弁58が介装されている吐出管が接続され、この吐出管の先端部に射出ノズル59が設けられている。このように構成されている射出ピストンシリンダユニットPSと射出プランジャーユニットSとのピストンロッド54は、共通になっている。したがって、シリンダ52のピストンヘッド室に所定圧力の作動油を供給し背圧をかけると、射出プランジャーユニットSの射出ピストン56が、図1において下方へ押され、射出シリンダ55内に供給される溶融樹脂は、この射出ピストン56の背圧に抗して供給される。これにより、射出シリンダ55内は超臨界圧力以上に保もたれ、発泡が抑えられる。なお、これらの射出ピストンシリンダユニットPSと射出プランジャーユニットSに圧力油を給排する油圧回路は、図1には示されていない。また、射出シリンダ55の外周部には発熱温度が制御される加熱ヒータが設けられているが、この加熱ヒータも図1には示されていない。
【0014】
成形装置60は、図に示されていない型締装置と金型61とカウンタプレッシャー付加装置65とからなっている。金型61は、従来周知のように、固定金型62と、可動金型63とからなり、これらの金型62、63のパーテイングラインに沿って発泡体を成形するためのキャビテイ64が形成されている。このキャビテイ64に、ランナ、ゲート等を介して射出ノズル59がタッチ状態で接続されている。また、カウンタプレッシャー付加装置65は、ガスボンベ66、圧力制御弁67等からなり、そのガス管68がキャビテイ64に接続されている。なお、図1には、圧縮機能を持つ型締装置は示されていない。
【0015】
次に、上記成形装置を使用した熱可塑性樹脂発泡体の製造例について説明する。なお、本成形装置は、制御装置により自動的に製造することも、また手動的にも製造することができるが、以下主として手動的に成形する例について説明する。図1には示されていないが、シリンダバレル2の外周部に設けられている加熱ヒータの発熱温度を設定する。また、第1、2の射出シリンダ55、55’の外周部に設けられている加熱ヒータの発熱温度も設定する。第1の射出シリンダ55の発熱温度は、シリンダバレル2および管路部37等の発熱温度よりも低めに設定する。さらには、射出ノズル59、59’近傍の管路の発熱温度は高めに設定する。そうして、スクリュ3を回転駆動する。また、ホッパ12から重合工程で生成される一次原料をシリンダバレル2に供給する。そうすると、一次原料は、シリンダバレル2の外周部に設けられている加熱ヒータから加えられる熱と、スクリュ3を回転駆動するときの摩擦作用、剪断作用等により生じる熱とにより溶融する。このときゲート13、13により溶融度が調節され、略完全に溶融されて次へ送られる。流体供給用の第2の開口部15から二酸化炭素の流体を注入する。注入された二酸化炭素の流体は、溶融熱可塑性樹脂中に浸透し均一に混合、分散される。なお、このとき、流体供給用の第2の開口部15はゲート13、13の下流側に位置しているので、注入された二酸化炭素の流体は上流側へ漏れることなく、超臨界状態を保って混合、分散される。このようにして、二酸化炭素の流体が均一に浸透、混合、分散された飽和状態の溶融樹脂は、次の配管装置30へと押し出される。
【0016】
昇圧部31のギヤポンプ32により、圧力が超臨界圧力以下に下がらないように昇圧され、二酸化炭素の流体は次のスタチックミキサー36により一層溶解され、そして管路部37を通ってデストリビューター部38へと圧送される。図1は、第2の射出シリンダ55’に溶融樹脂を供給している状態を示しているが、同図に示されているように、シャットオフ弁58’を閉じ、第1の開閉弁40’を開く、また3方弁39を図1に示されている方向に切り換える。そうすると、ギヤポンプ32により昇圧された溶融樹脂が第2の射出シリンダ55’に供給される。このとき、射出シリンダ52’のピストンヘッド室には所定の圧力油が供給されているので、第2の射出シリンダ55’内は超臨界圧力以上に保たれ、発泡が抑制される。なお、第2の射出シリンダ55’の温度は、シリンダバレル2、管路部37等よりも低く設定されているので、冷却された超臨界状態の二酸化炭素の流体の、溶融樹脂への浸透が進む。
【0017】
カウンタプレッシャー付加装置65’から、臨界圧力が7.38MPa、臨界温度が31.1°C以上の超臨界状態の二酸化炭素の流体を金型61’のキャビテイ64’に加えておく。そうして、第1の開閉弁40’を閉じ、シャットオフ弁58’を開いて、第2のシリンダ55’のピストンヘッド室に作動油を供給する。そうすると、第2の射出シリンダ55’内の溶融樹脂が射出ノズル59’からキャビテイ64’に充填される。充填が終わった射出ピストン56の位置が、第1の射出プランジャー51で示されている。この充填時には、射出ノズル59’の近傍の設定温度は高く、また充填時の摩擦抵抗による発熱により、溶融樹脂は高温になってキャビテイ64’に充填される。これにより、浸透された二酸化炭素の流体により発泡核が形成される。キャビテイ64’の内表面に接している部分が冷却、固化し、未発泡のスキン層がやがて形成される。所定厚さのスキン層が形成されたら、カウンタプレッシャー付加装置65の圧力制御弁67により、二酸化炭素の流体圧力を一気に開放する。そうすると、スキン層の内部で発泡が起こり、所定形状の発泡体が得られる。可動金型63’を開いて発泡体を取り出す。
【0018】
上記のようにして、第2の射出シリンダ55’に溶融樹脂を供給している間に、第1の射出シリンダ55に溶融樹脂を供給できるように、製造サイクルを設定する。これにより、熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置1により連続的に製造される溶融樹脂を第1、2の射出プランジャー51、51’に途切れることなく交互に供給でき、したがって発泡体を交互に得ることができる。
【0019】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な形で実施できる。例えば、射出プランジャーの数および金型の数が上記実施の形態に限定されることがないことは明らかである。また、配管部35を省略し、デイストリビュータ部38へ直接圧送するように実施できることも明らかである。
【0020】
また、上記実施の形態では、物理的発泡剤である二酸化炭素の流体が適用されているが、超臨界圧力を維持できれば窒素ガスで実施できる。また、造核剤として、タルク、炭酸カルシューム、酸化チタン、カーボンブラック等を使用するこどもできる。このときは、造核剤をパウダー状の一次原料に均一に混合してからシリンダバレル2に供給するのが望ましい。さらには、重合工程で生成される一次原料に代えて、ペレット状の樹脂材料で実施できることは明らかである。
【0021】
また、カウンタプレッシャー付加装置65から供給されるガスが、不活性ガス例えば二酸化炭素ガスであるときは、カウンタプレッシャー圧力は、二酸化炭素ガスの超臨界状態(31.1°Cのとき7.38MPa)であることが望ましい。このように、カウンタプレッシャーガスが窒素ガス、アルゴンガス等のように不活性ガスであると、酸素による樹脂焼けの要因が無く、また経時変化による変色が防止できるが、空気でも実施できる。空気の時は3.0MPa以下でも溶融樹脂によっては、良い発泡体を得ることができる。さらには、カウンタプレッシャーガスを使用しなくても、射出プランジャー51、51’による射出速度を上げることにより、急激な圧力解放状態となり、溶融樹脂の種類によっては良い発泡体を得ることができる。
【0023】
図1には示されていないが、金型61、61’を型締めする型締装置に射出圧縮機能を持たせ、発泡体が冷却固化する前に、微少型締め、あるいは型開き動作を複合させることにより、薄肉で表面の転写性が良好な発泡体および肉厚でヒケのない発泡体を得ることができる。なお、上記実施の形態では、超臨界状態の二酸化炭素の流体を供給するように説明したが、シリンダバレル2内は超臨界温度以上になっているので、超臨界圧力以上の圧力の二酸化炭素ガスを供給できることは明らかである。
【0024】
また、上記実施の形態では、二軸押出機が適用されているが、単軸押出機で実施できることは明らかである。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、射出プラシジャー装置には複数台の射出プランジャーを、成形装置にも複数台の金型を使用し、熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置において樹脂材料が連続して溶融した後に超臨界状態の不活性流体を連続的に注入して得られる溶融樹脂をギヤポンプにより昇圧して前記複数台の射出プランジャーに順次供給し、溶融樹脂が供給された射出プランジャーから金型のキャビテイに順次射出して発泡体を得、これにより前記熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置により連続的に得られる溶融樹脂を途切れることなく、発泡体の成形に使用するので、すなわち連続的に不活性流体例えば二酸化炭素の流体を供給するので、供給量の制御が容易で、溶融状態の樹脂材料と二酸化炭素の流体との混合比を容易に一定に保つことができ、また熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置が停止しないので、溶融状態の樹脂材料に浸透した二酸化炭素の流体の分離を防ぐことができ、微細セルの高品質の発泡体が得られるという、本発明に特有の効果が得られる。さらには、二酸化炭素の流体を溶融樹脂中に溶解させることにより、流動性が増し、低温射出が可能となり、成形品の冷却時間を短縮できる効果も得られる。また、金型により成形するので、立体的な大型の発泡体例えば自動車のバンパー、インスツルメントパネル、建築、レジャー、浴槽、レジャーボート等を得ることができる効果も得られる。また、溶融樹脂を金型のキャビテイに射出するとき、前記キャビテイには所定のガスにより所定のガス圧力をかけておき、射出完了後所定時間経過したら前記ガス圧力を一気に開放する発明によると、上記効果に加えて、スキシ層を有する発泡体を得ることができる効果が得られる。さらには、溶融樹脂を金型のキャビテイに射出するとき、前記キャビテイに二酸化炭素ガス、窒素ガス等の不活性ガスにより所定のガス圧力をかけておき、射出完了後所定時間経過したら前記ガス圧力を一気に開放する発明によると、上記効果に加えて、酸素による樹脂焼け、経時変化による変色等が防止できる。このように、射出完了後所定時間経過したらガス圧力を一気に開放するので、表面のスキシ層の厚さをコントロールでき、そして内部が発泡体からなる、剛性のある発泡構造体を得ることができる。また、成形装置の型締装置が射出圧縮機能を持つ発明によると、薄肉で表面の転写性が良好な発泡体および肉厚でヒケのない発泡体を得ることができる効果がさらに得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を一部断面にして模式的に示す正面図である。
【図2】従来の発泡体の製造装置を模式的に示す正面図である。
【図3】従来の発泡体の他の製造装置を模式的に示す正面図である。
【図4】従来の発泡体のさらに他の製造装置を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置
2 シリンダバレル
3 スクリュ 4、5 ニーディングディスク
15 流体供給用の開口部 20 二酸化炭素流体供給装置
30 配管装置
32 ギヤポンプ 50 射出プランジャー装置
55 射出シリンダ 60 成形装置
61 金型
65 カウンタプレッシャー付加装置
Claims (10)
- シリンダバレルと該シリンダバレル内に回転駆動可能に設けられているスクリュとからなる混練押出用のスクリュを備えた押出機と、射出プランジャー装置と、成形装置とを使用し、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機で得られる溶融樹脂を前記射出プランジャー装置に供給し、そして前記射出プランジャー装置を駆動して前記成形装置に射出して発泡させ、冷却、固化を待って金型を開いて発泡体を取り出す発泡体の成形方法であって、
前記射出プランジャー装置には複数台の射出プランジャーを、前記成形装置にも複数台の金型を使用し、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機内において樹脂材料が連続して溶融した後に超臨界状態の不活性流体を連続的に注入して得られる溶融樹脂をギヤポンプにより加圧して前記複数台の射出プランジャーに順次供給し、溶融樹脂が供給された射出プランジャーから金型のキャビテイに順次射出して発泡体を得、これにより前記混練押出用のスクリュを備えた押出機により連続的に得られる溶融樹脂を途切れることなく、発泡体の成形に使用することを特徴とする発泡体の成形方法。 - 請求項1に記載の成形方法において、溶融樹脂を金型のキャビテイに射出するとき、前記キャビティには所定のガスにより所定のガス圧力をかけておき、射出後所定時間経過したら前記ガス圧力を一気に開放する、発泡体の成形方法。
- 請求項2に記載の成形方法において、ガスが不活性ガスで、その圧力が超臨界状態である、発泡体の成形方法。
- 請求項3に記載の成形方法において、不活性ガスが二酸化炭素であり、その臨界圧力が7.38MPa、臨界温度が31.1℃以上である、発泡体の成形方法。
- 請求項3に記載の成形方法において、ガスが空気で、その圧力が3.0MPa以下である、発泡体の成形方法。
- 請求項1〜5のいずれかの項に記載の成形方法において、重合工程で生成された一次原料を直接混練押出用のスクリュを備えた押出機に投入し連続的に溶融して成形する、発泡体の成形方法。
- シリンダバレルと該シリンダバレル内に回転駆動可能に設けられているスクリュとからなる混練押出用のスクリュを備えた押出機と、射出プランジャー装置と、成形装置とからなり、
前記射出プランジャー装置は、複数台の射出プランジャーから、そして前記成形装置は複数台の金型からなり、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機には超臨界状態の不活性流体の注入口が設けられ、前記混練押出用のスクリュを備えた押出機において樹脂材料が溶融した後に超臨界状態の不活性流体が連続的に注入されて得られる溶融樹脂はギヤポンプにより昇圧されて、前記複数台の射出プランジャーに順次供給され、溶融樹脂が供給された射出プランジャーから前記複数台の金型のキャビテイに順次射出されて発泡体が得られ、これにより前記混練押出用のスクリュを備えた押出機により連続的に得られる溶融樹脂が途切れることなく、発泡体の成形に使用されることを特徴とする、発泡体の成形装置。 - 請求項7に記載の成形装置において、ギヤポンプの下流側に混合、分散用のスタチックミキサーが設けられている発泡体の成形装置。
- 請求項7または8に記載の成形装置において、押出機のスクリュは、複数のニーディングディスクが設けられている2軸のスクリュからなり、前記スクリュは、輸送部、溶融混練部、ガス溶解部および昇圧部からなる、発泡体の成形装置。
- 請求項7〜9のいずれかの項に記載の成形装置において、成形装置の型締装置は、射出圧縮機能を持つ、発泡体の成形装置。
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