JP3713607B2 - 自動車の観音開き扉のシール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の観音開き扉のシール構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、観音開き扉の上下端部のシール構造として、図1乃至図3に示すように、次の構成のものが使用されている。すなわち、10はボディ開口縁部、11はそのボディ開口縁部10に突設したボディ側フランジ部分、20はそのボディ側フランジ部分11に取付けたボディ側ウエザーストリップであって、ボディ側フランジ部分11に嵌着したU字状トリム部分21及びそのU字状トリム部分21に一体に結合した中空シール部分22よりなり、上下の中央には平坦面23が形成されている。
【0003】
30,40は前記ボディ開口縁部10の開閉可能に取付けた一対の先閉扉及び後閉扉であって、その内面周縁部はボディ側ウエザーストリップ20と弾接するようにしてある。31,41は扉30,40の自由端部の縦框である。また、42は後閉扉框41の外端面に面一に突設した後閉扉端部であって、その外面は先閉扉框31の外端面に略面一にしてある。
【0004】
60は先閉扉30の鉛直自由端部に取付けたインナーウエザーストリップであって、先閉扉框31の先端に扉の半径方向に突設した鉛直フランジ部32に嵌着した鉛直U字状トリム部61、及びその鉛直U字状トリム部61の車外側面に一体に結合した鉛直中空シール部62よりなり、その鉛直中空シール部62は後閉扉框41の車内側端面と弾接するようにしてある。
【0005】
図4乃至図8に示すように、インナーウエザーストリップ60の鉛直U字状トリム部61の上下の各端部には、後閉扉側に厚さを次第に薄くしたヒレ部63を扉の半径方向に突設すると共に、図4・図7に示すように、各ヒレ部63よりも突出したインナーウエザーストリップ60とサブシールウエザーストリップ50とを連結部80を介在させて一体に連結してある。
【0006】
ヒレ部63の取付けバラツキの調整及びずれ防止に当っては、それぞれ車内外方向のズレ防止は、図6及び図7に示すように、鉛直U字状トリム部61をフランジ部32に嵌着すること、扉の半径方向のズレ防止は、サブシールウエザーストリップ50を先閉扉框31のクリップ孔55にクリップ74で留めることによっていた。
【0007】
しかしながら、サブシールウエザーストリップ50のクリップ取付部分、インナーウエザーストリップ60の鉛直U字状トリム部61は剛性が小さいため、後閉扉40の開閉を繰返すうちに、図8に矢印Mで示すように、ヒレ部63が初期固定位置からズレて、水85が漏れると言う問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の観音開き扉は、後閉扉40の開閉を繰返すうちに、図8に示すように、ヒレ部63が初期固定位置からズレて、水漏れすることであって、本発明は上記課題を解決した、観音開き扉のシール構造を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図1乃至図5及び図9乃至図13に示す如く、先閉扉框31の車内側及び車外側にそれぞれ並設し、且つ上下の各端部で連結したインナーウエザーストリップ60及びサブシールウエザーストリップ50のうち、インナーウエザーストリップ60の上下各端部に、扉の半径方向に突設しボディ側ウエザーストリップ20の表面と弾接させるヒレ部63のズレを防止するように構成した観音開き扉のウエザーストリップの上下端部の固定構造であって、インナーウエザーストリップ60及びサブシールウエザーストリップ50の上下各端部の先閉扉框31への取付部分に、それぞれ車内側芯材71,車外側芯材72を水平ブリッジ73で一体に連結した芯材枠70を埋設すると共に、サブシールウエザーストリップ50の車外側芯材72を埋設した部分をクリップ74で先閉扉框31に留めてある。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、先閉扉框31の上下各端に、横フランジ部35を設けてある。
【0011】
第1の発明によれば、埋設した芯材枠70により剛性が高められ、しかもその芯材枠70を埋設した部分がクリップ74で先閉扉框31に固定されるため、ヒレ部63が先閉扉框31に強く固定されると共に、ヒレ部63の扉の半径方向のズレが抑制され、後閉扉40の開閉が長期間にわたって繰返されても、ズレを起すことはない。さらに第2の発明によれば、先閉扉框31の上下各端に垂設された水平フランジ35により、ヒレ部63の前後方向のズレも抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例について、図1乃至図5及び図9乃至図14により観音開き後扉を例にして説明すると、10はボディ開口縁部、11はボディ開口縁部10の周縁部に突設したボディ側フランジ部分、30,40はそれぞれボディ開口縁部10に開閉可能に取付けた一対の観音開きの先閉扉及び後閉扉であって、それぞれ鉛直自由縁には後閉扉框41、L字状の先閉扉框31を形成してある。20は前記ボディ側フランジ部分11に取付けたボディ側ウエザーストリップであって、ボディ側フランジ部分11に嵌着したU字状トリム部分21及びそのU字状トリム部分21に一体に結合した中空シール部分22よりなり、前記扉30,40の周縁部と弾接するようにしてある。
【0013】
50は先閉扉30の先閉扉框31の車外側段部に取付けた中空状のサブシールウエザーストリップ、60は先閉扉30の鉛直自由端縁部に並設したインナーウエザーストリップである。なお、サブシールウエザーストリップ50とインナーウエザーストリップ60とは、図4・図9に示すように、上下端部で一体に結合してある。サブシールウエザーストリップ50は、後閉扉框41の外端面に面一に扉の半径方向に突設した後閉扉端部42の内面と弾接するようにしてある。
【0014】
インナーウエザーストリップ60は、先閉扉框31の先端に扉の半径方向に突設した鉛直フランジ部32に嵌着した鉛直U字状トリム部61及びその鉛直U字状トリム部61に一体に結合した中空シール部62よりなり、その中空シール部62は後閉扉框41の車内側端面と弾接するようにしてある。また、インナーウエザーストリップ60の上下の各端部近傍には、扉の半径方向にヒレ部63を突設してあり、そのヒレ部63は後閉扉に向って厚さを徐々に薄くし、ウエザーストリップ20の中空シール部分22の表面と弾接するようにしてある。図5において帯状の平行線は接触シール面を示している。
【0015】
さらに両ウエザーストリップ50,60の先閉扉框31に固定する上下各端部には、その剛性を高めるために、次のように構成される芯材枠70を埋設してある。すなわち、図9乃至図13において、71はインナーウエザーストリップ60のU字状トリム部61に埋設した車内側芯材であって、断面U字状で、樹脂又はステンレス鋼よりなる。72はサブシールウエザーストリップ50の基底部の相対する部分に埋設した車外側芯材であって、同じく樹脂又しステンレス鋼よりなる。73は両芯材71,72を一体に連結する水平ブリッジであって、インナーウエザーストリップ60とサブシールウエザーストリップ50の連結部分に埋設されている。また、サブシールウエザーストリップ50の車内側芯材71を埋設した部分はクリップ74で先閉扉框31に留めてある。さらに図14に示すように、先閉扉框31の上下各端に、ヒレ部63の上下方向のズレを抑える横フランジ部35を設けてある。
【0016】
作用について説明する。芯材枠70を埋設することにより剛性を高め、しかもその芯材枠70を埋設した部分をクリップ74で先閉扉框31に留めてあるため、ヒレ部63が先閉扉框31に強く固定され、後閉扉40の開閉を長期間繰返しても、ヒレ部63の扉の半径方向のズレが抑制される。さらに先閉扉框31の上下各端に横フランジ部35を突設してあるため、ヒレ部63の前後方向のズレが抑制される。
【0017】
また、実施の形態例としては観音開きの後扉について説明したが、観音開きの横扉についても同様に適用可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されるため、ヒレ部63が先閉扉框31に強く固定され、その上下方向・車幅方向のズレが抑制される。従って後閉扉40の開閉を長期間繰返しても、ヒレ部63のズレが発生せず、車内への水漏が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 観音開きの扉を備えた自動車の後部斜視図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 図1のB−B断面図である。
【図4】 ウエザーストリツプの骨格を示す後面図である。
【図5】 図4の要部を示す斜視図である。
【図6】 従来例における先閉扉框の要部を示す斜視図である。
【図7】 図6の框にインナーウエザーストリップ及びサブシールウエザーストリップを取付けた状態における斜視図である。
【図8】 従来例のヒレ部分のズレ及び水漏れ状態を示す斜視図である。
【図9】 本発明の実施の形態例を示す斜視図である。
【図10】 図9の形態例を実施した図1のC−C相当断面図であるが、ボディ側ウエザーストリップの断面が図の左側に示してある。
【図11】 芯材枠の平面図である。
【図12】 芯材枠の背面図である。
【図13】 図12の右側面図である。
【図14】 本発明の別な実施の形態例における先閉扉框の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ボディ開口縁部
11 ボディ側フランジ部分
20 ボディ側ウエザーストリップ
21 U字状トリム部分
22 中空シール部
23 平坦面
30 先閉扉
31 先閉扉框
32 鉛直フランジ部
35 横フランジ部
40 後閉扉
41 後閉扉框
42 後閉扉端部
50 サブシールウエザーストリップ
55 クリップ孔
60 インナーウエザーストリップ
61 トリム部
62 中空シール部
63 ヒレ部
70 芯材枠
71 車内側芯材
72 車外側芯材
73 水平ブリッジ
74 クリップ
75 クリップ孔
80 連結部
85 水

Claims (2)

  1. 先閉扉框(31)の車内側及び車外側にそれぞれ並設し、且つ上下の各端部で連結したインナーウエザーストリップ(60)及びサブシールウエザーストリップ(50)のうち、インナーウエザーストリップの上下各端部に、扉の半径方向に突設しボディ側ウエザーストリップ(20)の表面と弾接させるヒレ部(63)のズレを防止するように構成した観音開き後扉のウエザーストリップの上下端部の固定構造であって、インナーウエザーストリップ及びサブシールウエザーストリップの上下各端部の先閉扉框への取付部分に、それぞれ車内側芯材(71),車外側芯材(72)を水平ブリッジ(73)で一体に連結した芯材枠(70)を埋設すると共に、サブシールウエザーストリップの車外側芯材を埋設した部分をクリップ(74)で先閉扉框に留めることを特徴とする自動車の観音開き扉のシール構造。
  2. 先閉扉框(31)の車内側及び車外側にそれぞれ並設し、且つ上下の各端部で連結したインナーウエザーストリップ(60)及びサブシールウエザーストリップ(50)のうち、インナーウエザーストリップの上下各端部に、扉の半径方向に突設しボディ側ウエザーストリップ(20)の表面と弾接させるヒレ部(63)のズレを防止するように構成した観音開き扉のウエザーストリップの上下端部の固定構造であって、インナーウエザーストリップ及びサブシールウエザーストリップの上下各端部の先閉扉框への取付部分に、それぞれ車内側芯材(71),車外側芯材(72)を水平ブリッジ(73)で一体に連結した芯材枠(70)を埋設すると共に、サブシールウエザーストリップの車外側芯材を埋設した部分をクリップ(74)で先閉扉框に留め、さらに先閉扉框の上下各端に、横フランジ部(35)を設けたことを特徴とする自動車の観音開き扉のシール構造。
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