JP3713154B2 - ディスク装置のディスククランプ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はCDプレーヤ等のディスク装置に係わり、特に、ディスク装置を薄型とすることができるディスククランプ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のCDプレーヤのディスククランプ機構の例を図7〜図9により説明する。図7に示すディスクモータ3はシャーシに固定されており、その回転軸にはターンテーブル4が固着されている。クランパ保持シャーシ1に固定されたクランパ保持部2は図7(b)に示すようにディスク7のアンクランプ時にはクランパ8をターンテーブル4の上方に保持している。
【0003】
クランパ保持シャーシ1の昇降機構が図8および図9に示されている。クランパ保持シャーシ1に立設された軸1a、1a…はスライダ5のカム溝5a、5aとスライダ6に設けられた同様のガイド溝を挿通している。
【0004】
スライダ5およびスライダ6はシャーシに対して図示していない駆動機構により前後方向に駆動される。スライダ5およびスライダ6の移動によりクランパ保持シャーシ1は昇降される。なお、軸1a、1a…は図示していないシャーシの縦溝をも挿通している。
【0005】
図7(b)はディスク7のアンクランプ状態を示しており、このときクランパ保持シャーシ1は上昇している。ディスク7は図示していない搬送機構によりターンテーブル4とクランパ8の間を通るようにしてターンテーブル4の上方に送られる。その後、クランパ保持シャーシ1が下降すると、クランパ保持部2はクランパ8をターンテーブル4の上に降ろしてクランパ8から離れる。
【0006】
そして、クランパ8はターンテーブル4に磁力により吸引されてディスク7をターンテーブル4との間に挾持する。この状態がディスク7のクランプ状態であり、図7(a)に示されている。クランプされたディスク7はディスクモータ3により回転駆動され、図示していない光ピックアップがディスク半径方向に送られてディスクが再生される。
【0007】
ディスクのアンクランプは図7(a)に示す位置からクランパ保持シャーシ1が上昇されることにより行われる。クランパ保持部2はディスククランプ時にディスク7およびクランパ8と接触しないように薄板の部材で作られている。
【0008】
上記した従来のディスククランプ機構では、ディスクアンクランプ時にクランパ8がクランパ保持シャーシ1の下面より大きくターンテーブル4側に突出している。従って、クランパ8とターンテーブル4との間の隙間を大きく取りにくくディスク7の移送時にディスク7がクランパ8またはターンテーブル4と接触してディスク7に傷をつけることがあった。
【0009】
クランパ保持シャーシ1の上昇ストロークを大きくすると、クランパ8とターンテーブル4との隙間を広くすることができるが、その場合には装置の高さが高くなるという問題があった。
【0010】
上記問題を解決し、装置を薄型としてもディスクアンクランプ時にクランパとターンテーブルとの隙間を広くすることができるディスク装置のディスククランプ機構を本出願人が特願平9−273540号に提案している。そのディスククランプ機構が図10〜図14に示されている。このディスククランプ機構の動作原理を説明する。なお、図において、図7〜図9の従来例で示したものと同様の機能を有する部分は同一の符号が付されており、その詳細な説明を省略する。
【0011】
この例ではクランパ保持部2が板ばねで作られており、ディスクアンクランプ時にクランパ保持部2のクランパ8との当接部が上方に変位される。そして、クランパ保持部2に載置されたクランパ8の底面はクランパ保持シャーシ1の底面より上方に持ち上げられる。なお、図10(b)はディスク7のクランプ状態を示している。
【0012】
図11〜図14によりクランパ保持部2が変位される様子を説明する。図12(e)にクランパ保持部2の形状を示す。クランパ保持部2は先端に凸部2aが形成されており、自然状態で凸部2aの面は基端部の面より下になるようにクランパ保持部2は2箇所で折り曲げられている。
【0013】
クランパ保持部2の基端部は図11に示すレバー9に固着される。レバー9はクランパ保持シャーシ1に回動自在に嵌着されており、図13および図14に示すようにスライダ5により回動される。
【0014】
すなわち、スライダ5に立設された軸5bはレバー9の折り曲げ部に設けた縦溝(図13および図14には見えていない)に挿通しており、スライダ5が図13に示すようにクランパ保持シャーシ1を上昇させたときはレバー9は上から見て時計方向に回動される。また、スライダ5が図14に示すようにクランパ保持シャーシ1を下降させたときはレバー9は上から見て反時計方向に回動される。
【0015】
このように、レバー9はクランパ保持シャーシ1の昇降と連動して回動されるが、レバー9とクランパ保持シャーシ1との相対移動によりレバー9に固着されたクランパ保持部2の凸部2aは変位する。
【0016】
図12(a)〜(d)にクランパ保持部2の凸部2aが変位される状態を示している。なお、図12(a)〜(d)ではクランパ保持部2にクランパ8の重みが加わらない状態で示している。図12(a)から図12(d)にはクランパ保持シャーシ1が上昇する状態が順次示されてる。図に示すように、クランパ保持部2の凸部2aはクランパ保持シャーシ1の移動方向に変位する。
【0017】
従って、図10(a)に示すようにディスク7のアンクランプ時にクランパ8の底面がクランパ保持シャーシ1の底面より高くなり、クランパ8とターンテーブル4の間隔を広くすることができ、ディスク7の移送時にディスク7をクランパ8またはターンテーブル4と接触させて傷つけることが防止される。また、必要な間隔を確保するためのクランパ保持シャーシ1のストロークが小さくなり装置を薄型とすることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特願平9−273540号に提案されたディスククランプ機構は、ディスク挿入時や排出時にはターンテーブル4とクランパ8との間のスペースは十分取れるが、ディスククランプ時に図10(b)および図10(c)に示すようにクランパ保持部2がクランパ8とディスク7の間に位置するため、ディスク回転状態でのクランパ保持部2とクランパ8との隙間A(図10(c)に図示)とクランパ保持部2とディスク7との隙間B(図10(c)に図示)を十分に取ることが困難であった。
【0019】
このため、各部品の寸法のばらつきや、ディスクの厚みのばらつき、ディスクの面ぶれ等によって、クランパ保持部2とクランパ8との擦れる異音の発生、あるいはクランパ保持部2とディスク7との接触によりディスクに傷がつく等の問題があった。
【0020】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、装置を薄型としてもディスクアンクランプ時にクランパとターンテーブルとの隙間を広くすることができ、しかも、ディスク回転状態でクランパ保持部とクランパとの接触やクランパ保持部とディスクとの接触が防止されるディスク装置のディスククランプ機構を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明のディスク装置のディスククランプ機構は、クランパを板ばねで作られたクランパ保持部を介して保持したクランパ保持シャーシをターンテーブルに対して上下動させてディスクをクランプまたはアンクランプするディスククランプ機構において、前記クランパ保持部を前記クランパ保持シャーシの上面に沿う基端部と、前記基端部に連なり前記クランパ保持シャーシの穴を通り前記クランパ保持シャーシの下側に延びる傾斜部と、前記傾斜部に連なり前記クランパを支える凸部とからなる形状とし、前記クランパ保持シャーシにレバーを回動自在に支持し、前記レバーに前記クランパ保持部の基端部を回動自在に支持し、かつ前記クランパ保持部の基端部とクランパ保持シャーシとをカムを介して係合させ、さらに、前記クランパ保持部の基端部に前記クランパ保持シャーシの突起部に乗り上げる突出部を設け、前記クランパ保持シャーシの前記上下動と連動して前記レバーを回動させ、前記クランパ保持シャーシの上昇により前記レバーの回動および前記クランパ保持部の前記レバーの回動に伴う移動による前記クランパ保持部の傾斜部の前記クランパ保持シャーシに対する圧接により前記クランパ保持部を弾性変形させて前記凸部を前記クランパ保持シャーシに対して上方向に変位させて前記クランパを持ち上げたディスクアンクランプ状態となり、また、前記クランパ保持シャーシの下降により前記カムの作用による前記クランパ保持部の回動に伴い前記クランパ保持部の凸部をクランパ半径方向にクランパ周縁から離れる方向に移動させ、かつ前記クランパ保持部の突出部が前記クランパ保持シャーシの突起部に乗り上げることにより前記クランパ保持部の凸部がディスクの前記クランパ保持シャーシと対向する面から離れる方向に移動したディスククランプ状態となるように構成したものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明の実施例であるCDプレーヤのディスククランプ機構を図面により説明する。図1〜図6に実施例のディスククランプ機構の要部を示す。実施例のディスククランプ機構では従来例と同様にレバー9はクランパ保持シャーシ1に嵌着されており、クランパ保持シャーシ1の昇降に連動して回動する。なお、図1、図3、図5ではレバー9の図示を省略している。
【0025】
板ばねで作られたクランパ保持部10はレバー9に立設された軸9aに回動自在に支持されている。クランパ保持シャーシ1に立設されたピン1cはクランパ保持部10のカム溝10cを挿通しており、クランパ保持部10はレバー9がクランパ保持シャーシ1に対して移動することにより軸9aのまわりに回動する。クランパ保持部10にはクランパ8を持ち上げるための凸部10aとクランパ保持シャーシ1の突起部1bと当接する突出部10bが設けられている。
【0026】
ディスク挿入時の状態が図1および図2に示されている。このときクランパ保持シャーシ1は上昇しておりレバー9はクランパ保持シャーシ1に対して時計方向に回動した位置にある。従って、クランパ保持部10は軸9aのまわりに反時計方向に回動しており、突出部10aはクランパ8の下側に入り込んでいる。また、クランパ保持部10はクランパ保持シャーシ1により上方向に変位させられておりクランパ8を高く持ち上げている。従って、クランパ8とディスク7との間隔は大きくなっている。
【0027】
ディスク7がターンテーブル(図1〜図6では図示していないが従来例で示されている)の上方所定位置に移送されると、従来例で示したスライダ5、6が移動を開始する。すると、クランパ保持シャーシ1は下降しレバー9はクランパ保持部10と共に上から見て反時計方向に回動する。
【0028】
図3および図4に回動途中の状態が示されている。クランパ保持シャーシ1により変形されていたクランパ保持部10はクランパ保持シャーシ1から押されることがなくなり、自然状態となって凸部10aがクランパ保持シャーシ1の下側に移動しクランパ8から離れ、クランパ8はディスク7を挾持する位置に降ろされてクランプ状態となる。
【0029】
レバー9はさらに回動し、カム溝10cとピン1cの作用によりクランパ保持部10は軸9aのまわりに時計方向に回動し、その凸部10aがクランパ8の下方から外れた位置にくる。そして、クランパ保持部10は突起部1b、1bにより突出部10b、10bが押上げられクランパ保持部10の凸部10aはディスク7から上方に離れる。
【0030】
その状態が図5および図6に示されている。この状態でディスク7が回転駆動されるが、図5に示すようにクランパ保持部10の凸部10aはクランパ8から半径方向に離れ、また、図6に示すように凸部10aはディスク7から大きい距離Dだけ離れており、ディスク7とクランパ保持部10との接触およびクランパ8とクランパ保持部10との接触が防止される。ディスクアンクランプは上記と逆の動作により行われる。
【0031】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、クランパ保持部の凸部を自然状態で上方に変位させておき、クランプ時にレバーの移動により押し下げるようにしてもよい。
【0032】
また、クランパ保持部を回動させるためのカム溝をクランパ保持シャーシに設け、それと係合するピンをクランパ保持部に設けるようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
この発明のディスク装置のディスククランプ機構によれば、ディスクアンクランプ時にクランパの底面をクランパ保持シャーシの底面より高くできるので、クランパとターンテーブルの間隔を広くすることができ、ディスクの移送時にクランパまたはターンテーブルと接触させて傷つけることが防止される。
【0034】
しかも、ディスク回転時においてもクランパ保持部とディスクとの隙間を十分に取ることができるのでクランパ保持部とクランパとの接触やクランパ保持部とディスクとの接触が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例であるCDプレーヤのディスククランプ機構の要部を一部部材を透視して示す平面図である。
【図2】図1に示す部分の一部部材を透視して示す側面図である。
【図3】同要部の他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図4】図3に示す部分の一部部材を透視して示す側面図である。
【図5】同要部のさらに他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図6】図5に示す部分の一部部材を透視して示す側面図である。
【図7】従来のCDプレーヤのディスククランプ機構の概略構成を示す正面図である。
【図8】同ディスククランプ機構を示す平面図である。
【図9】同ディスククランプ機構の作用を説明するための側面図である。
【図10】従来の他のCDプレーヤのディスククランプ機構の概略構成を示す正面図であり、図10(a)はディスクアンクランプ時、図10(b)はディスククランプ時、図10(c)は図10(b)のC部詳細を示している。
【図11】同ディスククランプ機構を示す側面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は同ディスククランプ機構の作用を示す部分側面図、図12(e)は同ディスククランプ機構のクランパ保持部を示す平面図である。
【図13】同ディスククランプ機構を示す斜視図である。
【図14】同ディスククランプ機構の他の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 クランパ保持シャーシ、1a 軸、1b 突起部、1c ピン
2 クランパ保持部、2a 凸部
3 ディスクモータ
4 ターンテーブル
5 スライダ、5a カム溝、5b 軸
6 スライダ
7 ディスク
8 クランパ
9 レバー、9a 軸
10 クランパ保持部、10a 凸部、10b 突出部、10c カム溝
Claims (1)
- クランパを板ばねで作られたクランパ保持部を介して保持したクランパ保持シャーシをターンテーブルに対して上下動させてディスクをクランプまたはアンクランプするディスククランプ機構において、前記クランパ保持部を前記クランパ保持シャーシの上面に沿う基端部と、前記基端部に連なり前記クランパ保持シャーシの穴を通り前記クランパ保持シャーシの下側に延びる傾斜部と、前記傾斜部に連なり前記クランパを支える凸部とからなる形状とし、前記クランパ保持シャーシにレバーを回動自在に支持し、前記レバーに前記クランパ保持部の基端部を回動自在に支持し、かつ前記クランパ保持部の基端部とクランパ保持シャーシとをカムを介して係合させ、さらに、前記クランパ保持部の基端部に前記クランパ保持シャーシの突起部に乗り上げる突出部を設け、前記クランパ保持シャーシの前記上下動と連動して前記レバーを回動させ、前記クランパ保持シャーシの上昇により前記レバーの回動および前記クランパ保持部の前記レバーの回動に伴う移動による前記クランパ保持部の傾斜部の前記クランパ保持シャーシに対する圧接により前記クランパ保持部を弾性変形させて前記凸部を前記クランパ保持シャーシに対して上方向に変位させて前記クランパを持ち上げたディスクアンクランプ状態となり、また、前記クランパ保持シャーシの下降により前記カムの作用による前記クランパ保持部の回動に伴い前記クランパ保持部の凸部をクランパ半径方向にクランパ周縁から離れる方向に移動させ、かつ前記クランパ保持部の突出部が前記クランパ保持シャーシの突起部に乗り上げることにより前記クランパ保持部の凸部がディスクの前記クランパ保持シャーシと対向する面から離れる方向に移動したディスククランプ状態となるように構成したディスク装置のディスククランプ機構。
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