JP3713107B2 - 装飾用粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂シートを基材とし、特にコルゲート板等の曲面に伸ばしながら貼付しても経時で浮き等のない装飾用粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、顔料が含まれた不透明、透明、半透明の主として塩化ビニル系樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムの一面に粘着剤層が積層されてなる装飾用粘着シートが知られている。
この装飾用粘着シートは、装飾を施したい材料に粘着剤層を利用して貼り付け、表面側の色や模様などによって装飾効果を発揮させるものであって、近年、塗装に代わり、ラベルやステッカー類、公告や看板等のディスプレー分野、車両の装飾等のフリートマーキング分野に使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装飾用粘着シートは、曲面を主体とする被着体(特に車両等のフリートマーキング分野で凹部分を有するもの)に対して、貼付後に経時的にシートが浮き上がり、当初の装飾性が著しく損なわれるといった問題点があった。
【0004】
曲面への接着性を高めるためのものとして、例えば、特開平6−234960号公報には基材フィルムとして可撓性の優れたフッ素含有フィルムを用いることが記載されている。
【0005】
しかしながら、上記公報に記載のフッ素含有フィルムでも、フリートマーキング分野に使用するのに充分な柔軟性が得られず、特に押込み貼りを行った場合には浮きや剥がれといった問題点が依然として残るものであった。
またコストが汎用フィルムよりも高いので経済的に不利であるという問題もある。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解消し、曲面を主体とする被着体(特に車両などのフリートマーキング分野で凹部分を有するもの)に貼付しても、浮き上がりや剥がれが生じることのない接着力の良好な装飾用粘着シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の装飾用粘着シートは、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤からなる塩化ビニル系樹脂シートの一面に、重量平均分子量(Mw)が80万〜100万であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が4.0以下であり、かつ重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率が0.1重量%以下であるアクリル系共重合体が架橋剤により架橋されたアクリル系粘着剤層が設けられ、該アクリル系粘着剤のゲル分率が50〜60重量%であることを特徴とするものである。
【0008】
上記塩化ビニル系樹脂シートは塩化ビニル系樹脂及び可塑剤からなるものであり、上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂の他、塩化ビニルモノマー及びこれと重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体等が挙げられ、またこれらの樹脂もしくは共重合体に他のポリマーがブレンドされてもよい。
塩化ビニル系樹脂の重合度は、1000〜1500のものが好適に用いられる。
【0009】
上記他のビニルモノマーとしては、例えば酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、(無水)マレイン酸とそのエステル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
また、ブレンドされる上記他のポリマーとしては、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体)、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン三元共重合体)、塩素化ポリエチレン等の弾性高分子が挙げられ、特に塩素化ポリエチレンはその添加量により引張り強さと伸びをコントロールできるため、装飾用粘着シートとして所望の柔軟性を得ることが可能である。
【0010】
上記可塑剤は、塩化ビニル系樹脂シートに柔軟性を付与する目的で添加され、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油等が挙げられる。
中でもエポキシ化大豆油は熱安定剤の作用も兼ね備えており、カレンダー成形により塩化ビニル系樹脂シートを製造する場合には好適なものである。
【0011】
上記塩化ビニル系樹脂への可塑剤の添加量は、少なくなると十分な可塑化効果が得られず、また多くなると粘着剤中に移行し、粘着剤の凝集力を低下させやすくなるため、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して25〜40重量部が好ましく、より好ましくは28〜35重量部である。
【0012】
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂シートには、必要に応じて熱安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤等が含有されてもよい。
【0013】
上記熱安定剤としては、例えば、金属石鹸系熱安定剤、有機スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤、アンチモン系熱安定剤、非金属熱安定剤等が挙げられる。
上記金属石鹸系熱安定剤としては、例えば、Pb、Cd、Ba、Zn、Ca等とステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、2−エチルヘキソイン酸等からなる金属石鹸が挙げられ、具体的には、Cd/Ba系熱安定剤、Ba/Zn系熱安定剤、Ca/Zn系熱安定剤、Ba/Pb系熱安定剤、Cd/Ba/Zn系熱安定剤、Cd/Mg/Zn系熱安定剤等が挙げられる。
【0014】
上記有機スズ系熱安定剤としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズメルカプチド等が挙げられる。
上記鉛系熱安定剤としては、例えば、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、シリカゲル共沈珪酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛等が挙げられる。
【0015】
上記非金属熱安定剤としては、例えば、(i)エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂環式化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化ポリブタジエン等のエポキシ化合物、(ii)トリブチルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、モノイソオクチルジフェニルホスファイト、モノイソデシルジフェニルホスファイト、ジイソオクチルモノフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(p−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト等のホスファイト、(iii )アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルプロピオニルメタン等のβ−ジケトン等が挙げられる。
【0016】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク(塩基性ケイ酸マグネシウム)、カオリン(ケイ酸アルミニウム)、シリカ、酸化チタン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられる。
【0017】
上記着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
【0018】
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂シートの製造方法は、従来公知の任意の方法が採用されてもよく、例えば、上記構成成分を有機溶剤に分散させることにより塩化ビニル系樹脂ゾルを得、工程紙上に塗布乾燥後、加熱キュアーさせるゾルキャスティング法や、上記構成成分を加熱溶融させてシート状に成形するカレンダー法が挙げられる。
上記有機溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、市販品としては、例えば「ソルベッソ」(三菱化学社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用されるアクリル系粘着剤は、重量平均分子量(Mw)が80万〜100万であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が4.0以下であり、かつ重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率が0.1重量%以下であるアクリル系共重合体が架橋剤により架橋されたものであり、該アクリル系粘着剤のゲル分率が50〜60重量%であることを特徴とするものである。
【0020】
上記アクリル系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレートおよび極性基含有ビニルモノマーを主成分とする混合モノマーを共重合して得られる。
【0021】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数4〜14のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、これらはホモポリマーのガラス転移温度が−50℃以下なので、主成分として用いることにより、得られるアクリル系粘着剤の感圧接着性と剪断強度の粘着物性バランスを高度に保つことが可能となる。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチルアクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、また2種類以上併用されてもよい。
【0022】
上記アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、少なくなると凝集力が高くなり充分な感圧接着性が得られにくくなり、また多くなると凝集力が低くなり充分な剪断強度が得られにくくなるため、混合モノマー中、好ましくは50〜98重量%、より好ましくは70〜95重量%である。
【0023】
上記極性基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有ビニルモノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマー等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、また2種類以上併用されてもよい。
【0024】
上記極性基含有ビニルモノマーの含有量は、少なくなると凝集力が低下し剪断強度が得られにくくなり、また多くなると凝集力が高くなり感圧接着性が得られにくくなるため、混合モノマー中、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
【0025】
上記混合モノマーには、上記アルキル(メタ)アクリレート及び極性基含有ビニルモノマー以外に、他のビニルモノマーが含有され、共重合されてもよく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げらる。
【0026】
上記他のビニルモノマーの含有量は、多くなると凝集力が高くなり充分な感圧接着性が得られにくくなるため、上記極性基含有ビニルモノマーとの合計量が混合モノマー中、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0027】
上記混合モノマーを共重合する方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の全ての重合方法が挙げられるが、(メタ)アクリル酸やヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有ビニルモノマーの共重合性が良好であり、更に塗工粘度を制御し易く、かつ架橋剤、粘着付与樹脂等とも混合し易いという理由から溶液重合が好適である。
【0028】
上記溶液重合には、一般に熱重合開始剤が用いられる。熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、P−クロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、1,1−ジ−t−(ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のアルキルパーエステル類、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート類等の有機過酸化物の他に、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド、2,2’−アゾビス−(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾビス系化合物が挙げられる。
【0029】
上記アクリル系共重合体を得る際に、重合反応のばらつきを抑え、分子量を適切に調節する目的で、モノマー溶液中に連鎖移動剤が添加されてもよい。上記連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、チオグリコール酸ブチル、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホスファイト類等のチオール化合物や四塩化炭素などのハロゲン化合物等が挙げられる。
【0030】
上記で得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)および重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率はそれぞれゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により標準ポリスチレン換算分子量として測定される。
具体的には、未架橋である上記アクリル系共重合体をテトラヒドロフラン(以下「THF」という)に溶解して0.5〜1.0重量%の溶液を作製し、THFを分散媒として用いてゲル充填カラムで分離し、その溶出時間と溶出溶液の屈折率の関係から求められる。
【0031】
上記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、小さいと充分な凝集力が得られにくくなり、大きいと初期接着性が低下し、押込み貼りが困難になるため、80万〜100万であり、好ましくは85万〜98万である。
【0032】
上記アクリル系共重合体の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は、大きいと低分子量物が多量に存在するので、充分な凝集力が得られにくくなるため、4.0以下であり、好ましくは3.5以下である。
【0033】
また、同様に重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率が多くなると充分な凝集力が得られにくくなるため、0.1重量%以下であり、好ましくは0.07重量%以下である。
【0034】
本発明で用いられるアクリル系粘着剤は、上記アクリル系共重合体を架橋剤により架橋したものである。この際、アクリル系粘着剤中に共重合される極性基含有ビニルモノマーの種類によって好適に使用される架橋剤が異なる。
極性基含有ビニルモノマーとしてカルボキシル基含有ビニルモノマーを共重合した場合は、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が好適に使用され、水酸基含有ビニルモノマーを共重合した場合にはイソシアネート系架橋剤が好適に使用される。
【0035】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ、上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられ、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、トリメチロールプロパン変成TDI等が挙げられる。
【0036】
上記架橋剤の添加量は、少なくなると充分な架橋度が得られにくくなり、このため凝集力の低下に伴い充分な剪断強度が得られにくくなり、また多くなると架橋密度が高くなり柔軟性が損なわれ、充分な感圧接着性が得られにくくなる。このため、添加量は上記アクリル系共重合体の固形分100重量部に対して0.01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜3重量部である。
【0037】
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、低すぎても高すぎても初期接着力と凝集力のバランスが十分にとれなくなるため、50〜60重量%が必要である。
【0038】
上記アクリル系粘着剤中には、他の物性を低下させない範囲において必要に応じてたの添加物が添加されてもよく、例えば、粘着付与樹脂、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0039】
上記粘着付与樹脂としては、例えば、C5系及びC9系石油樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、不均化ロジン樹脂、不均化ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂もしくはこれらの水添物といった全ての粘着付与樹脂が挙げられる。上記粘着付与樹脂は単独で使用されてもよいし、また2種類以上併用されてもよい。
【0040】
上記粘着付与樹脂はアクリル系粘着剤中では未架橋成分となるため、添加量が多くなると凝集力が低くなり、充分な剪断強度が得られない。このため、添加量はアクリル系粘着剤100重量部に対して30重量部以下が好ましい。
【0041】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク(塩基性ケイ酸マグネシウム)、カオリン(ケイ酸アルミニウム)、シリカ等が挙げられる。
【0042】
本発明の装飾用粘着シートを製造する方法の例を以下に説明する。
アクリル系共重合体、有機溶剤および架橋剤の所定配合物を、前述の塩化ビニル系樹脂シートの一面に塗布乾燥することにより上記有機溶剤を揮発させ、アクリル系粘着剤層を設ける。この時、塗布に使用できる塗工機としては、通常の粘着剤塗布に使用されるものであれば特に限定されないが、精度よく厚みを調整でき、かつ生産性よく塗工できるナイフコーター、コンマロールコーター、その他のロールコーターが好ましい。
【0043】
また、上記のように塩化ビニル系樹脂シートに直接アクリル系粘着剤を塗布乾燥する方法のほか、一旦工程紙上にアクリル系粘着剤を塗布乾燥した後、上記塩化ビニル系樹脂シートの一面に転写する方法等も挙げられる。
【0044】
本発明の装飾用粘着シートをコルゲート板等の曲面板に貼付する際の施工方法としては、大きく分けて上記曲面の山→谷→山と沿わせながら徐々に貼付する「沿わし貼り」と、先に粗く全面に貼付しておき、凹部を押込みながら貼付していく「押込み貼り」の2種類がある。上記沿わし貼りは、その施工方法を見ても明らかなように反発の応力が蓄積しにくいため、浮きあるいは剥離等の不良発生が少ない。
【0045】
【発明の実施の形態】
(塩化ビニル系樹脂シートの作製)
塩化ビニル樹脂(鐘淵化学社製,商品名「PSH−10」)100重量部、アジピン酸系可塑剤(アデカアーガス社製、商品名「P−300」)30重量部、金属石鹸系熱安定剤(アデカアーガス社製、商品名「MARK AP551」)7重量部、酸化チタン(大日精化社製、商品名「VT−771」)35重量部、溶剤(三菱化学社製、商品名「ソルベッソ」)60重量部を均一に混合した後、工程紙上に塗工し、乾燥後、加熱キュアーして厚み50μmの塩化ビニル系樹脂シートを得た。
【0046】
(実施例1〜3及び比較例1〜2)
還流冷却管、温度計、攪拌機を備えたセパラブルフラスコ中に、表1記載の配合組成に従い、所定量のn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびn−ドデシルメルカプタンを酢酸エチル100重量部とともに添加し、窒素ガスパージを行いながら還流するまで昇温し保持した。
次いでベンゾイルパーオキサイドの5重量%酢酸エチル溶液を、最初に0.1重量部、30分後に0.1重量部、1時間30分後に0.2重量部、3時間後に0.8重量部の順でそれぞれ30分かけて添加し、全量添加後更に5時間かけて重合しアクリル系共重合体の溶液を得た。
この時の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)および重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めた。その結果を表1に示した。
【0047】
更に表1記載の配合組成に従い、上記アクリル系共重合体の固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL−55E」、固形分55重量%の溶液)1.0重量部を均一に混合し、上記塩化ビニル系樹脂シートに乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、乾燥することにより装飾用粘着シートを得た。
【0048】
また、別途、アクリル系粘着剤の溶液を離型処理された工程紙の離型処理面に塗布乾燥し、得られたアクリル系粘着剤層の所定量を採取し、過剰のテトラヒドロフランに一昼夜浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上に残留した分を架橋成分とし、乾燥後の重量分率からゲル分率を測定した。
【0049】
(比較例3)
上記ベンゾイルパーオキサイドの5重量%酢酸エチル溶液を、最初に0.2重量部、1時間30分後に0.2重量部、3時間後に0.8重量部の順でそれぞれ30分かけて添加し、全量添加後更に5時間かけて重合したこと以外は実施例1と同様の操作によってアクリル系共重合体の溶液を得た。
この時の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)、重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率をそれぞれゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めた。また、実施例1と同様の操作によって装飾用粘着シートを得、またゲル分率を測定した。その結果を表1に示した。
【0050】
評価項目
(1)曲面施工試験
まず、アルミニウム製板(サイズ:200mm×100mm、厚み5mm)を図1のように長辺の真ん中で140°の角度に折り曲げて曲面を作製した。
次いで実施例1〜3及び比較例1〜3で得た各装飾用粘着シートを、220mm×80mmにカットし、図1の両端部A、Bに渡るように静置した。
次いで両端部AおよびBから内側にそれぞれ20mmまでを2kgの圧着ローラーを2往復させて圧着することで両端部をまず固定し、更に中心部を屈折点に向けて伸ばしながら押込むことにより仮固定した後、2kgの圧着ローラーで中心部に向けて圧着した。施工後、23℃条件下で1週間放置した後の浮き上がり状態を下記の評価基準で行った結果を表1に示した。
○:装飾用粘着シートの浮きの発生なし。
△:貼着面積中、浮き上がりが面積比10%未満の範囲で発生。
×:貼着面積中、浮き上がりが10%以上の範囲で発生。
【0051】
(2)90°定荷重剥離試験
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た各装飾用粘着シートを25mm幅の短冊状にカットし、SUS#304板(サイズ:50mm×120mm×2mm)の中央部に25mm×80mmとなるように貼付し、2kgの圧着ローラーで2往復させて圧着した後、60℃恒温槽内で装飾用粘着シート貼付面を下向きに置いて20分間放置し、更に装飾用粘着シートの一方の端部に、上記SUS#304板に対して90°方向に100gの荷重をかけた後の2時間後の剥がれ長さ(mm)を測定した。その結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明の装飾用粘着シートは、以上の構成からなるものであり、積層されているアクリル系粘着剤に用いられているアクリル系共重合体が、特定の重量平均分子量であるため凝集力が高いものとなっており、分子量分布がシャープであり、分子量10,000以下の低分子量物が特定量以下に抑えられており、更に架橋剤により架橋した後のゲル分率が50〜60重量%であることにより、コルゲート板のような波打った板に対して、山部に仮固定した後、谷部に向けてスキージやローラー等の圧着治具を用いてシートを伸ばしながら貼付した場合のように、装飾シートの応力が長時間に渡ってかかるような条件においても、装飾用粘着シートが被着体から浮き上がったり、剥離が生じたりすることがないものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】曲面施工性を評価するためのアルミニウム板を示した側面図。
【符号の説明】
1:アルミニウム板
A、B:端部
Claims (1)
- 塩化ビニル系樹脂及び可塑剤からなる塩化ビニル系樹脂シートの一面に、重量平均分子量(Mw)が80万〜100万であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が4.0以下であり、かつ重量平均分子量10,000以下の低分子量物の比率が0.1重量%以下であるアクリル系共重合体が架橋剤により架橋されたアクリル系粘着剤層が設けられ、該アクリル系粘着剤のゲル分率が50〜60重量%であることを特徴とする装飾用粘着シート。
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