JP3712648B2 - コンベヤ駆動装置および駐車設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両を収容する格納部に設置された第1のコンベヤと、車両を搬入・搬出する走行台車に設置された第2のコンベヤとを同期運転するコンベヤ駆動装置およびこのコンベヤ駆動装置を備えた駐車設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
高層ビル等の構築物、道路あるいは公園の地下に数百台分の駐車スペースを提供する大規模な駐車設備は、地上に設置された入庫口および出庫口と、地下に設置された格納室と、これら格納室と入庫口および出庫口とを結ぶ入・出庫リフターとを備えている。
【0003】
格納室には、乗用自動車のような車両を収容する複数の格納棚と、これら格納棚に自動車を搬入・搬出するための走行台車とが配置されている。格納棚は、多数の駐車領域を有し、これら駐車領域は、横方向に一列に並べて配置されている。格納棚は、互いに間隔を存して二列に並んでいるとともに、各列毎に縦方向に複数段に亘って積層されている。そして、夫々の格納棚の駐車領域に車両が乗り入れる第1のコンベヤが設置されている。
【0004】
走行台車は、横方向に隣り合う格納棚の間に配置されている。走行台車は、格納棚に沿って走行移動するとともに、車両を出し入れすべき所望の格納棚に対応する位置で停止可能となっており、この走行台車に車両が乗り入れる第2のコンベヤが設置されている。
【0005】
図13ないし図19は、従来の大規模な地下駐車設備において、その格納棚1の各駐車領域に設置された第1のコンベヤ2と、走行台車3に設置された第2のコンベヤ4との位置関係を開示している。格納棚1は、一対の横梁5a,5bと縦梁6とを組み合わすことで構成されている。横梁5a,5bは、格納棚1に沿って水平に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。縦梁6は、横梁5a,5bの間に掛け渡されている。
【0006】
第1のコンベヤ2は、格納棚1の上に設置されている。第1のコンベヤ2は、乗用自動車のような車両7の前輪7aを支える前輪用コンベヤ組立体8と、車両7の後輪7bを支える後輪用コンベヤ組立体9とを備えている。
【0007】
前輪用コンベヤ組立体8は、コンベヤフレーム10を有している。コンベヤフレーム10は、横梁5a,5bの間に跨っており、このコンベヤフレーム10の両端部に夫々駆動軸12a,12bが回転自在に支持されている。駆動軸12a,12bは、一対のチェーン14を介して互いに連動されている。チェーン14は、互いに間隔を存して平行に配置されており、これらチェーン14の間に前輪7aに接する多数の鋼板15が掛け渡されている。そのため、前輪用コンベヤ組立体8は、格納棚1とは直交する方向に沿って水平に配置されている。
【0008】
後輪用コンベヤ組立体9は、コンベヤフレーム17を有している。コンベヤフレーム17は、横梁5a,5bの間に跨っており、このコンベヤフレーム17の両端部に夫々駆動軸19a,19bが回転自在に支持されている。駆動軸19a,19bは、一対のチェーン21を介して互いに連動されている。チェーン21は、互いに間隔を存して平行に配置されており、これらチェーン21の間に後輪7bに接する多数の鋼板22が掛け渡されている。そのため、後輪用コンベヤ組立体9は、格納棚1とは直交する方向に沿って水平に配置されている。
【0009】
前輪用コンベヤ組立体8の一端に位置された一方の駆動軸12aと、後輪用コンベヤ組立体9の一端に位置された一方の駆動軸19aとは、連動軸23を介して同軸状に連結されている。この結果、前輪用コンベヤ組立体8と後輪用コンベヤ組立体9とは、互いに同期して車両7の車幅方向に無端走行されるようになっている。
【0010】
図14、図18および図19に示すように、格納棚1の各駐車領域は、コンベヤ駆動部25を備えている。コンベヤ駆動部25は、格納棚1の縦梁6に固定された軸受台26を有している。軸受台26は、前輪用コンベヤ組立体8に隣接されており、この軸受台26の前面に一対の軸受ユニット27が取り付けられている。軸受ユニット27は、歯車軸28を回転自在に支持している。歯車軸28は、上記一方の駆動軸12aに中継軸29を介して同軸状に連結されており、この歯車軸28の中間部に従動歯車30が固定されている。そのため、従動歯車30は、歯車軸28、中継軸29および連動軸23を介して前輪用コンベヤ組立体8および後輪用コンベヤ組立体9と同期して回転するようになっている。
【0011】
図13や図14に示すように、上記走行台車3は、メインフレーム33を有している。メインフレーム33は、一対の横梁34a,34bと複数の縦梁35とを組み合わすことで構成されている。横梁34a,34bは、格納棚1に沿って水平に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。縦梁35は、横梁34a,34bの間に掛け渡されている。このメインフレーム33は、一対の走行駆動装置32により格納棚1に沿って水平に走行移動されるとともに、車両7を搬入又は搬出すべき所望の駐車領域に対応した箇所で停止可能となっている。
【0012】
走行台車3に装備された第2のコンベヤ4は、メインフレーム33の上に設置されている。第2のコンベヤ4は、車両7の前輪7aを支える前輪用コンベヤ組立体36と、車両7の後輪7bを支える後輪用コンベヤ組立体37とを備えている。
【0013】
前輪用コンベヤ組立体36は、コンベヤフレーム38を有している。コンベヤフレーム38は、横梁34a,34bの間に跨って水平に配置されており、このコンベヤフレーム38の両端部に夫々駆動軸40a,40bが回転自在に支持されている。駆動軸40a,40bは、一対のチェーン42を介して互いに連動されている。チェーン42は、互いに間隔を存して平行に配置されており、これらチェーン42の間に前輪7aに接する多数の鋼板43が掛け渡されている。そのため、前輪用コンベヤ組立体36は、走行台車3の移動方向とは直交する方向に沿って水平に配置されている。
【0014】
後輪用コンベヤ組立体37は、コンベヤフレーム45を有している。コンベヤフレーム45は、横梁34a,34bの間に跨って水平に配置されており、このコンベヤフレーム45の両端部に夫々駆動軸47a,47bが回転自在に支持されている。駆動軸47a,47bは、一対のチェーン49を介して互いに連動されている。チェーン49は、互いに間隔を存して平行に配置されており、これらチェーン49の間に後輪7bに接する多数の鋼板50が掛け渡されている。そのため、後輪用コンベヤ組立体37は、走行台車3の移動方向とは直交する方向に沿って水平に配置されている。
【0015】
前輪用コンベヤ組立体36の一端に位置された一方の駆動軸40aと、後輪用コンベヤ組立体37の一端に位置された一方の駆動軸47aとは、連動軸51を介して同軸状に連結されている。この結果、前輪用コンベヤ組立体36と後輪用コンベヤ組立体37とは、互いに同期して車両7の車幅方向に無端走行されるようになっている。そして、図14に示すように、走行台車3が所望の駐車領域に対応した位置で停止した状態にあっては、格納棚1の前輪用および後輪用コンベヤ組立体8,9と走行台車3の前輪用および後輪用コンベヤ組立体36,37とが同一平面上で向かい合い、これらの間で車両7の受け渡しが行なわれる。
【0016】
図14に示すように、走行台車3は、前輪用コンベヤ組立体36および後輪用コンベヤ組立体37を駆動するためのコンベヤ駆動機構53を装備している。コンベヤ駆動機構53は、モータ54を有している。モータ54は、メインフレーム33に支持され、前輪用コンベヤ組立体36と後輪用コンベヤ組立体37との間に位置されている。このモータ54は、減速機55を一体化したギヤードモータであり、その減速機55の出力端がチェーン58を介して前輪用コンベヤ組立体36の他方の駆動軸40bと連動されている。そのため、減速機55から出力されるモータ54の動力は、チェーン58を介して前輪用コンベヤ組立体36に伝達されるとともに、この前輪用コンベヤ組立体36から連動軸51を介して後輪用コンベヤ組立体37に伝達される。
【0017】
図13および図14に示すように、走行台車3は、連結駆動装置61を装備している。この連結駆動装置61は、モータ54の動力を格納棚1の前輪用コンベヤ組立体8および後輪用コンベヤ組立体9に分配するためのものである。図15および図16に最も良く示されるように、連結駆動装置61は、フレーム62を備えている。フレーム62は、一対の固定梁63a,63bを有している。固定梁63a,63bは、走行台車3の移動方向とは直交する方向に沿って互いに平行に配置されている。これら固定梁63a,63bの両端部は、一対のクロスメンバ64によって連結されている。このフレーム62は、走行台車3のメインフレーム33の上に複数のブラケット65を介して水平に固定されている。
【0018】
固定梁63a,63bの両端部に夫々軸受ユニット66が固定されている。軸受ユニット66は、走行台車3の移動方向に互いに向かい合っており、これら軸受ユニット66の間に夫々動力伝達軸67が回転自在に支持されている。動力伝達軸67は、上記前輪用コンベヤ組立体36の駆動軸40a,40bに夫々軸継手68を介して同軸状に連結されている。このため、動力伝達軸67は、前輪用コンベヤ組立体36と同期して回転駆動される。この動力伝達軸67の中間部に駆動歯車69が固定されている。駆動歯車69は、走行台車3が所望の駐車領域に対応した位置で停止した時に、この駐車領域の従動歯車30と向かい合うようになっている。
【0019】
さらに、図15ないし図19に示すように、動力伝達軸67の外周面の上に一対のスイングアーム71a,71bが回転自在に支持されている。スイングアーム71a,71bは、駆動歯車69を間に挟んで互いに向かい合うとともに、動力伝達軸67の下方に向けて延びている。これらスイングアーム71a,71bの先端に歯車支持軸72が掛け渡されている。歯車支持軸72の外周面の上には、アイドル歯車73が回転自在に支持されている。このアイドル歯車73は、駆動歯車69と噛み合っている。そして、アイドル歯車73は、動力伝達軸67を中心とするスイングアーム71a,71bの回動軌跡X1に沿うように駆動歯車69の周囲を所定の角度範囲に亘って公転するようになっている。
【0020】
したがって、図19の(A)に示すように、スイングアーム71a,71bは、アイドル歯車73を格納棚1の従動歯車30から離脱させる噛み合い解除位置と、図19の(B)に示すように、アイドル歯車73を従動歯車30と駆動歯車69との間に下方から進出させて、この従動歯車30に噛み合わせる噛み合い位置とに亘って揺動可能となっている。
【0021】
アイドル歯車73が噛み合い解除位置に回動された状態では、このアイドル歯車73は駆動歯車69の下方に位置されており、走行台車3の第2のコンベヤ4から格納棚1の第1のコンベヤ2への動力伝達が遮断されている。このアイドル歯車73が噛み合い解除位置から噛み合い位置に進出されると、駆動歯車69の回転がアイドル歯車73を介して従動歯車30に伝わり、この従動歯車30が駆動歯車69と同期して同方向に回転駆動される。よって、走行台車3の第2のコンベヤ4から格納棚1の第1のコンベヤ2に動力が伝達され、これら第1および第2のコンベヤ2,4が互いに同期して無端走行される。
【0022】
図15ないし図17に示すように、連結駆動装置61は、フレーム62の下方に配置されたスイング梁75を有している。スイング梁75は、連結駆動装置61を平面的に見た場合に、フレーム62の固定梁63a,63bの間において、これら固定梁63a,63bと平行となるように水平に配置されている。スイング梁75は、その両端部の上面に夫々支持プレート76を備えており、これら支持プレート76の側面に一対の支持アーム77a,77bが固定されている。支持アーム77a,77bは、互いに間隔を存して平行に配置されており、これら支持アーム77a,77bの先端が上記歯車支持軸72の両端部に連結されている。
【0023】
このため、スイング梁75は、その両端部が四本のスイングアーム71a,71bを介してフレーム62の両端部から吊り下げられた状態にあり、図16に矢印で示すように、上記フレーム62と平行を保ったまま上下に揺動変位するようになっている。
【0024】
図15および図16に示すように、連結駆動装置61は、スイング梁75を揺動させるシリンダ機構79を装備している。シリンダ機構79は、駆動源としてのモータ80を有している。モータ80は、減速機81を一体化したギヤードモータであり、この減速機81からの動力伝達によりシリンダ機構79のピストンロッド82が伸縮するようになっている。
【0025】
シリンダ機構79は、スイング梁75の下方において、水平に配置されている。シリンダ機構79のピストンロッド82は、スイング梁75から下向きに延びるブラケット83に回動可能に連結されているとともに、このピストンロッド82とは反対側の端部が他のブラケット84を介して走行台車3のメインフレーム33に支持されている。
【0026】
そのため、シリンダ機構79のピストンロッド82を伸縮させると、スイング梁75が揺動変位するようになっており、このスイング梁75の変位により上記スイングアーム71a,71bが噛み合い解除位置と噛み合い位置とに亘って揺動される。
【0027】
このような従来の駐車設備において、格納棚1と走行台車3との間で車両7の移し換えを行なわない状態では、連結駆動装置61のスイングアーム71a,71bは、シリンダ機構79により噛み合い解除位置に保持されている。そのため、アイドル歯車73は駆動歯車69の真下に退いており、走行台車3の走行移動を妨げない。
【0028】
走行台車3の第2のコンベヤ4に乗り入れた車両7を格納棚1に移し換えるには、まず、走行台車3を格納棚1の空の駐車領域に対応した位置で停止させる。この状態で連結駆動装置61のモータ80を動作させ、スイング梁75を揺動させる。これにより、スイングアーム71a,71bが噛み合い解除位置から噛み合い位置に向けて揺動し、アイドル歯車73が駆動歯車69の周囲を公転しつつ格納棚1に向けて進出する。この結果、アイドル歯車73が従動歯車30と噛み合い、走行台車3の第2のコンベヤ4から格納棚1の第1のコンベヤ2への動力伝達が可能な状態に移行する。
【0029】
ここで走行台車3のコンベヤ駆動機構53を動作させると、減速機55の出力端に取り出されたモータ54の動力がチェーン58を介して前輪用コンベヤ組立体36に伝達される。この前輪用コンベヤ組立体36に伝達された動力の一部は、連動軸51を介して後輪用コンベヤ組立体37に伝えられるとともに、軸継手68を介して連結駆動装置61の動力伝達軸67から駆動歯車69に伝えられ、この駆動歯車69が回転する。この駆動歯車69の回転は、アイドル歯車73を介して格納棚1の従動歯車30に伝えられる。
【0030】
この結果、上記モータ54の動力の一部は、中継軸29を経由して格納棚1の前輪用コンベヤ組立体8に伝えられるとともに、ここから連動軸23を介して後輪用コンベヤ組立体9に伝えられる。
【0031】
したがって、格納棚1の第1のコンベヤ2と走行台車3の第2のコンベヤ4とが互いに同期して同方向に無端走行し、第2のコンベヤ4に乗り入れた車両7が格納棚1の第1のコンベヤ2に移し換えられる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の駐車設備によると、格納棚1の第1のコンベヤ2を駆動するに際して、図19の(B)に示すように、走行台車3のアイドル歯車73を駆動歯車69と従動歯車30との間に進出させ、これら両歯車69,30にかみ合わせることでコンベヤ駆動機構53の動力の一部を第1のコンベヤ2に伝えている。
【0033】
アイドル歯車73は、駆動歯車69を有する動力伝達軸67から下向きに延びるスイングアーム71a,71bに歯車支持軸72を介して吊り下げられており、スイングアーム71a,71bが噛み合い解除位置にある時には、駆動歯車69に噛み合ったままこの駆動歯車69の真下に位置されている。このアイドル歯車73は、スイングアーム71a,71bが噛み合い解除位置から噛み合い位置に向けて変位された時に、駆動歯車69の回りを公転し、この駆動歯車69と従動歯車30との対向部分に下方から進出する。
【0034】
しかしながら、この従来の構成によると、駆動歯車69や従動歯車30の下方にアイドル歯車73を収めたり、このアイドル歯車73の公転を許容する格別なスペースを確保しなくてはならない。しかも、図16に見られるように、スイングアーム71a,71bを揺動させるスイング梁75は、駆動歯車69を支えるフレーム62の下方に位置するので、このフレーム62の下方にスイング梁75やシリンダ機構79を収める広いスペースを必要とする。
【0035】
この結果、走行台車3の高さ寸法が増大し、これが原因で駐車設備のコンパクト化が妨げられるといった不具合が生じてくる。
【0036】
本発明は、このような事情にもとづいてなされたもので、格納棚の第1のコンベヤを走行台車からの動力伝達によって駆動するに当って、走行台車の高さ寸法を抑えることができ、コンパクトなコンベヤ駆動装置および駐車設備を得ることにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明のコンベヤ駆動装置は、
一方向に並べて配列され、格納物を収容する複数の格納部と、
これら各格納部に設置され、上記格納物を搬入したり搬出するための第1のコンベヤと、
上記格納部の配列方向に沿って移動するとともに、個々の格納部に対応した位置で停止可能な走行台車と、
上記走行台車に設置され、上記格納物を搬入したり搬出するための第2のコンベヤと、を具備している。
【0038】
上記各格納部は、上記走行台車の走行経路に臨む位置に上記第1のコンベヤに連動して回転する従動歯車を有し、また、上記走行台車は、上記第2のコンベヤを駆動するための第1のモータを有する第1のコンベヤ駆動機構と、上記格納部と向かい合う端部に配置された駆動歯車およびこの駆動歯車を回転駆動する第2のモータを有する第2のコンベヤ駆動機構とを含み、この第2のコンベヤ駆動機構は、上記駆動歯車が上記従動歯車に噛み合う噛み合い位置と、上記駆動歯車が上記従動歯車から離脱する噛み合い解除位置との間で上記格納部に進出したり遠ざかる方向に直線的に往復移動可能に上記走行台車に支持されていることを特徴としている。
【0039】
また、上記目的を達成するため、請求項5に係る本発明の駐車設備は、
一方向に並べて配列され、車両を収容する複数の格納部と、
これら各格納部に設置され、上記車両を搬入したり搬出するための第1のコンベヤと、
上記格納部の配列方向に沿って移動するとともに、個々の格納部に対応した位置で停止可能な走行台車と、
上記走行台車に設置され、上記車両を搬入したり搬出するための第2のコンベヤと、を具備している。
【0040】
上記各格納部は、上記走行台車の走行経路に臨む位置に上記第1のコンベヤに連動して回転する従動歯車を有し、また、上記走行台車は、上記第2のコンベヤを駆動するための第1のモータを有する第1のコンベヤ駆動機構と、上記格納部と向かい合う端部に配置された駆動歯車およびこの駆動歯車を回転駆動する第2のモータを有する第2のコンベヤ駆動機構とを含み、この第2のコンベヤ駆動機構は、上記駆動歯車が上記従動歯車に噛み合う噛み合い位置と、上記駆動歯車が上記従動歯車から離脱する噛み合い解除位置との間で上記格納部に進出したり遠ざかる方向に直線的に往復移動可能に上記走行台車に支持されていることを特徴としている。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図1ないし図12にもとづいて説明する。
【0042】
図1は、例えば数百台の車両7を収容し得るような大規模な駐車設備101を開示している。この駐車設備101は、地上に設置された入庫口103および出庫口104と、地下に形成された格納室105と、入庫口103に乗り入れた車両7を格納室105に搬入する搬入用リフタ106と、格納室105に収容された車両7を出庫口104に搬出する搬出用リフタ107とを備えている。
【0043】
地下の格納室105には、複数の格納棚110が設置されている。格納棚110は、車両7を収容する格納部としての多数の駐車領域111を有し、これら駐車領域111は、横方向に水平に一列に並べて配置されている。図1に示す駐車設備101の場合、格納棚110は、互いに間隔を存して二列に並んでいるとともに、各列毎に格納室105の高さ方向に間隔を存して積層されている。
【0044】
図2に示すように、格納棚110は、一対の横梁112a,112bと複数の縦梁113とを組み合わすことで構成されている。横梁112a,112bは、格納棚110の全長に亘って水平に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。縦梁113は、横梁112a,112bの間に掛け渡されて、これら横梁112a,112bを連結している。
【0045】
格納棚110の駐車領域111に夫々車両7の搬入・搬出を実行する第1のコンベヤ2と、この第1のコンベヤ2に連動するコンベヤ駆動部25とが設置されている。第1のコンベヤ2およびコンベヤ駆動部25は、基本的に図14に示す従来の駐車設備と同様の構成を有しており、この従来と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図5および図8に最も良く示されるように、コンベヤ駆動部25の歯車軸28に一対の第1のローラ115a,115bが回転自在に支持されている。第1のローラ115a,115bは、従動歯車30を間に挟んでこの従動歯車30と同軸状に配置されている。これら第1のローラ115a,115bの直径は、従動歯車30の歯先円直径よりも小さく設定されている。
【0047】
上記格納室105は、横方向に隣り合う格納棚110の間に台車走行経路116を有している。台車走行経路116は、格納棚110に沿って水平に延びている。格納棚110の一方の横梁112aは、台車走行経路116に臨んでおり、この横梁112aは、ガイドレールとしての機能を兼ね備えている。
【0048】
台車走行経路116に走行台車117が配置されている。走行台車117は、搬入用リフタ106から搬入される車両7を格納棚110の空の駐車領域111に導いたり、格納棚110の駐車領域111に収容された車両7を搬出用リフタ107に導くためのものである。
【0049】
図2ないし図4に示すように、走行台車117は、メインフレーム118を備えている。メインフレーム118は、一対の横梁119a,119bと縦梁120とを組み合わすことで構成されている。横梁119a,119bは、台車走行経路116に沿って水平に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。縦梁120は、横梁119a,119bの間に掛け渡されて、これら横梁119a,119bを連結している。
【0050】
このメインフレーム118の両端部に夫々走行駆動装置122が据え付けられている。走行駆動装置122は、メインフレーム118に固定されたサブフレーム123と、このサブフレーム123に支持されたモータ124と、このモータ124によって駆動される四つの駆動輪125とを備えている。駆動輪125は、隣り合う格納棚110の横梁112aの上面に接している。そのため、走行台車117は、駆動輪125の回転により格納棚110に沿って水平に走行移動されるとともに、車両7を搬入又は搬出すべき駐車領域111に対応した箇所で停止可能となっている。
【0051】
走行台車117は、車両7の搬入・搬出を実行する第2のコンベヤ4と、この第2のコンベヤ4を駆動する第1のコンベヤ駆動機構127と、上記格納棚110の第1のコンベヤ2を駆動する第2のコンベヤ駆動機構128とを装備している。
【0052】
第2のコンベヤ4は、メインフレーム118に支持され、走行駆動装置122の間に位置されている。この第2のコンベヤ4は、基本的に図14に示す従来の駐車設備と同様の構成を有しており、この従来の駐車設備と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
第1のコンベヤ駆動機構127は、第2のコンベヤ4の前輪用コンベヤ組立体36と後輪用コンベヤ組立体37との間に位置されている。この第1のコンベヤ駆動機構127は、第1のモータ129を有している。第1のモータ129は、減速機130を一体化したギヤードモータであり、その減速機130の出力端がチェーン133を介して前輪用コンベヤ組立体36の駆動軸40bに連動されている。そのため、減速機130から出力される第1のモータ129の動力は、チェーン133を介して前輪用コンベヤ組立体36に伝達されるとともに、ここから連動軸51を介して後輪用コンベヤ組立体37に伝達される。
【0054】
そして、図2に示すように、走行台車117が格納棚110の所望の駐車領域111に対応した位置で停止すると、格納棚110の前輪用および後輪用コンベヤ組立体8,9と走行台車117の前輪用および後輪用コンベヤ組立体36,37とが同一平面上で向かい合うようになっている。
【0055】
上記第2のコンベヤ駆動機構128は、前輪用コンベヤ組立体36と一方の走行駆動装置122との間に位置されている。図5に示すように、第2のコンベヤ駆動機構128は、フレーム135を備えている。フレーム135は、一対の可動梁136a,136bを有している。可動梁136a,136bは、メインフレーム118の上方において、その横梁119a,119bとは直交する方向に水平に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。可動梁136a,136bの両端部は、一対のクロスメンバ137によって連結されており、これら可動梁136a,136bの間に跨ってモータ支持板138が取り付けられている。
【0056】
図5および図6に示すように、可動梁119a,119bの両端部に夫々軸受ユニット140が固定されている。軸受ユニット140は、走行台車117の走行方向に互いに向かい合っており、これら軸受ユニット140の間に駆動軸141が回転自在に支持されている。駆動軸141は、格納棚110の歯車軸28よりも僅かに高い位置において、この歯車軸28と平行に配置されている。そして、この駆動軸141の外周面上に駆動歯車142、一対の第2のローラ143a,143bおよびスプロケット144が設置されている。
【0057】
駆動歯車142およびスプロケット144は、駆動軸141に同軸状に固定されている。図11に見られるように、駆動歯車142は、従動歯車30よりも下方に距離Hだけずれた位置にあり、これら駆動歯車142の歯数と従動歯車30の歯数は、互いに同一となっている。第2のローラ143a,143bは、駆動軸141に回転自在に支持されており、上記駆動歯車142を間に挟んでこの駆動歯車142と同軸状に配置されている。これら第2のローラ143a,143bの直径は、駆動歯車142の歯先円直径よりも小さく設定されている。
【0058】
図5に示すように、上記走行台車117が所望の駐車領域111に対応した位置で停止すると、駆動歯車142が従動歯車30と向かい合うとともに、第2のローラ143a,143bが格納棚110の第1のローラ115a,115bと向かい合うようになっている。
【0059】
図5および図7に示すように、フレーム135のモータ支持板138の下面に第2のモータ146が支持されている。この第2のモータ146は、減速機147を一体化したギヤードモータであり、この減速機147の出力端に駆動スプロケット148を備えている。また、第2のモータ146は、駆動スプロケット148の自由な回転を制限するブレーキ149を内蔵している。
【0060】
モータ支持板138の下面には、一対の中継スプロケット151が支持されているとともに、一方の可動梁136aの下面には、テンションスプロケット152が支持されている。駆動スプロケット148、中継スプロケット151、テンションスプロケット152およびスプロケット144は、可動梁136aに沿って一列に並んでおり、これらスプロケット148,151,152,144にチェーン153が巻き掛けられている。そのため、第2のモータ146によって駆動スプロケット148が駆動されると、その駆動力がチェーン153を介して駆動軸141に伝わり、駆動歯車142が回転駆動されるようになっている。
【0061】
したがって、第1のコンベヤ駆動機構127と第2のコンベヤ駆動機構128は、夫々独立した第1のモータ129,146を有し、その動力伝達経路が互いに切り離されている。
【0062】
図9や図10に見られるように、可動梁136a,136bの両端部の下面には、夫々スライドブロック155が固定されている。スライドブロック155は、横梁119a,119bの上に固定したガイドレール156に摺動可能に嵌合されている。ガイドレール156は、横梁119a,119bと直交する方向に水平に延びている。このため、第2のコンベヤ駆動機構128は、走行台車117の走行方向とは直交する方向に、換言すれば、台車走行経路116を間に挟んで向かい合う格納棚110に進出したり、ここから遠ざかる方向に水平に移動可能に走行台車117のメインフレーム118に支持されている。
【0063】
この結果、図5や図6に示すように、第2のコンベヤ駆動機構128は、フレーム135の両端の駆動歯車142のうちのいずれか一方が片側の格納棚110の従動歯車30と噛み合う第1の噛み合う位置と、両方の駆動歯車142が両側の格納棚110の従動歯車30から離脱する噛み合い解除位置と、他方の駆動歯車142が他側の格納棚110の従動歯車30と噛み合う第2の噛み合い位置とに亘って水平方向に直線的に往復動するようになっている。
【0064】
第2のコンベヤ駆動機構128が噛み合い位置に移動された状態では、図5や図8に見られるように、第2のローラ143a,143bが第1のローラ115a,115bに突き当たる。これにより、図11の(B)に示すように、従動歯車30のピッチ円直径D1と駆動歯車142のピッチ円直径D2とが互いに接するように、これら両歯車30,142の軸間距離が規定され、両歯車30,142が精度良く噛み合うようになっている。
【0065】
図2、図6および図9に示すように、走行台車117のメインフレーム118は、その横梁119a,119bの間に跨る一対のブラケット160a,160bを有している。ブラケット160a,160bは、第2のコンベヤ駆動機構128の可動梁136a,136bの下方に位置されている。
【0066】
ブラケット160a,160bの上に、夫々第2のコンベヤ駆動機構128をスライドさせる一対のスライド駆動機構161が設置されている。スライド駆動機構161は、ボールねじ162とサーボモータ163とを備えている。ボールねじ162は、サーボモータ163によって回転駆動されるねじ軸164と、このねじ軸164の上に取り付けられたボールナット165とを有している。ねじ軸164は、第2のコンベヤ駆動機構128のスライド方向に沿って水平に配置されている。このねじ軸164の上のボールナット165は、可動梁136a,136bから下向きに延びる支持ステー166に固定されている。
【0067】
そのため、サーボモータ163によってねじ軸164が駆動されると、このねじ軸164の軸方向にボールナット165が移動し、これにより第2のコンベヤ駆動機構128が噛み合い位置又は噛み合い解除位置にスライドされるようになっている。
【0068】
このような構成の駐車設備101において、走行台車117に乗り入れた車両7を格納棚110の駐車領域111に移し換える手順について説明する。
【0069】
まず、走行台車117を格納棚110に沿って走行させ、この走行台車117を格納棚110の空の駐車領域111に対応した位置に導く。この際、第2のコンベヤ駆動機構128は、フレーム135の両端の駆動歯車142が格納棚110の従動歯車30から離れる噛み合い解除位置に保持されており、走行台車117の走行を妨げない。
【0070】
図2に示すように、走行台車117が空の駐車領域111に対応した位置で停止すると、第2のコンベヤ駆動機構128の駆動歯車142および第2のローラ143a,143bが格納棚110の従動歯車30および第1のローラ115a,115bと夫々向かい合う。それとともに、駐車領域111の第1のコンベヤ2と走行台車117の第2のコンベヤ4とが同一平面上で向かい合い、これらコンベヤ2,4の間で車両7の受け渡しが可能な状態となる。
【0071】
次に、走行台車117のスライド駆動機構161を動作させ、第2のコンベヤ駆動機構128を第1の噛み合い位置に移動させる。この移動により、駆動歯車142が片側の格納棚110の従動歯車30と噛み合うと同時に、第2のローラ143a,143bが第1のローラ115a,115bに突き当たり、両方の歯車142,30の噛み合い状態を適正に保つ。
【0072】
駆動歯車142が従動歯車30に噛み合う時に、これら両歯車142,30の歯の向きによっては、駆動歯車142の歯先と従動歯車142の歯先とが突き当たることがあり得る。この際、両歯車142,30が同一の高さ位置にあり、突き当たった歯が互いに同一直線上に一列に並んで位置するような場合には、両歯車142,30を径方向に押圧しようとする力が働き、歯車142,30を回転させようとする力が発生し難くなる。特にこの現象は、第1および第2のコンベヤ2,4のいずれか一方に車両7が載置され、この車両7の重量によって駆動歯車142又は従動歯車30の回転が自由な回転が制限されている時に発生する傾向にある。
【0073】
しかるに、上記構成によると、従動歯車30と駆動歯車142との高さ位置を距離Hだけずらしてあるので、駆動歯車142の歯先が従動歯車30の歯先に突き当たったとしても、この歯先の当接部分に歯末の面の傾斜に伴う分力が作用し、少なくともいずれか一方の歯車142又は30が回転するようになる。この結果、歯車142,30の歯先が突き当たったままとなることはなく、これら両歯車142,30を正しい噛み合い状態に容易に移行させることができる。
【0074】
さらに、格納棚110の第1のコンベヤ2に車両7が積載されている状態においては、第2のコンベヤ駆動機構128の第2のモータ146に内蔵されたブレーキ149を開放する。これにより、駆動歯車142が自由に回転し得る状態に移行する。よって、駆動歯車142の歯先が従動歯車30の歯先に突き当たると、この時の衝撃によって駆動歯車142が回転し、従動歯車30に正しく噛み合うことになる。
【0075】
駆動歯車142が従動歯車30に噛み合ったならば、第1のコンベヤ駆動機構127の第1のモータ129および第2のコンベヤ駆動機構128の第2のモータ146を動作させる。第1のモータ129の動力は、チェーン133を介して第2のコンベヤ4の前輪用コンベヤ組立体36に伝わるとともに、ここから連動軸51を介して後輪用コンベヤ組立体37に伝わる。そのため、これらコンベヤ組立体36,37が互いに同期して同方向に無端走行する。
【0076】
また、第2のモータ146の動力は、チェーン153を介して駆動軸141に伝わり、この駆動軸141の上の駆動歯車142が回転する。この駆動歯車142は、従動歯車30と噛み合っているので、上記第2のモータ146の動力は、これら両歯車142,30から歯車軸28および中継軸29を経由して第1のコンベヤ2の前輪用コンベヤ組立体8に伝わるとともに、ここから連動軸23を介して後輪用コンベヤ組立体9に伝わる。そのため、これらコンベヤ組立体8,9が互いに同期して同方向に無端走行する。
【0077】
この結果、格納棚110の第1のコンベヤ2および走行台車117の第2のコンベヤ4は、第1のモータ129,146からの動力伝達により互いに独立して同方向に無端走行し、第2のコンベヤ4に載置された車両7が第1のコンベヤ2に移し換えられる。
【0078】
ところで、上記駐車設備101では、第1のコンベヤ2の駆動経路と第2のコンベヤ4の駆動経路とが互いに独立しているため、二台のモータ129,146の回転速度を同期させる制御を実行している。
【0079】
すなわち、本実施形態では、第2のコンベヤ4を駆動する第1のモータ129をマスターとし、第1のコンベヤ2を駆動する第2のモータ146をスレーブとする閉ループベクトル制御を実行している。具体的には、図12に示すように、第1および第2のモータ129,146は、夫々インバータ方式を採用した制御ユニット170,171から出力される制御信号S1,S2に基づいて回転速度が制御される。また、第1のモータ129,146は、夫々回転速度を電気的に検出するエンコーダ172,173を有している。エンコーダ172によって検出された第1のモータ129の実際の回転速度を示す信号T1は、制御ユニット170にフィードバックされる。同様に、エンコーダ173によって検出された第2のモータ146の実際の回転速度を示す信号T2は、制御ユニット171にフィードバックされる。
【0080】
マスター側の制御ユニット170は、主制御装置174からの速度指令信号S3を受けた時に、この速度指令信号S3に応じた制御信号S1を出力する。そして、この制御ユニット170は、第1のモータ129からフィードバックされる実際の回転速度T1と速度指令信号S3とを比較し、この回転速度T1が速度指令信号S3に対応するように第1のモータ129を制御する。
【0081】
それとともに、制御ユニット170は、第1のモータ129からフィードバックされた回転速度T1をリピータ175を介してスレーブ側の制御ユニット171に速度指令信号S4として出力する。このスレーブ側の制御ユニット171は、マスター側の制御ユニット170からの速度指令信号S4を受けた時に、この速度指令信号S4に応じた制御信号S2を出力する。そして、この制御ユニット171は、第2のモータ146からフィードバックされる実際の回転速度T2と速度指令信号S4とを比較し、この回転速度T2が速度指令信号S4に対応するように第2のモータ146を制御する。
【0082】
このような制御方法によれば、走行台車117の第2のコンベヤ4を駆動する第1のモータ129は、基本の速度パターンに対応するように主制御装置174からの速度指令信号S3に応じて駆動される。また、格納棚110の第1のコンベヤ2を駆動する第2のモータ146は、上記第1のモータ129の回転速度に対応する速度指令信号S4に応じて駆動される。そのため、二台のモータ129,146の回転速度を精度良く同調させることができ、第1および第2のコンベヤ2,4の駆動経路を互いに独立させたにも拘わらず、これらコンベヤ2,4の走行速度のばらつきを解消することができる。よって、第1のコンベヤ2と第2のコンベヤ4との間での車両7の移し換え作業を確実かつ円滑に行なうことができる。
【0083】
上記構成の駐車設備101によると、第1のコンベヤ2の駆動経路と第2のコンベヤ4の駆動経路とを互いに独立させ、この第1のコンベヤ2を駆動する第2のコンベヤ駆動機構128を走行台車117の上で水平に往復移動させることで、この第2のコンベヤ駆動機構128の駆動歯車142を格納棚110の従動歯車30に直接噛み合わせている。
【0084】
このため、駆動歯車142や従動歯車30の下方に、これら両歯車142,30に噛み合うアイドル歯車のような格別な構成要素を配置する必要はない。それとともに、第2のコンベヤ駆動機構128そのものが水平に移動するので、この第2のコンベヤ駆動機構128の下方に上記アイドル歯車を揺動変位させる機構を配置する必要もない。
【0085】
したがって、第2のコンベヤ駆動機構128の高さ寸法を低く抑えることができ、従来との比較において走行台車117を薄くコンパクトに形成することができる。この結果、特に格納棚110が複数段に亘って積層されている場合に、これら格納棚110の高さ方向への配置間隔を狭めることができ、格納棚110を収容する格納室105の容積を極力小さく抑えてスペース的な面で好都合となるといった利点がある。
【0086】
なお、本発明は上記実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0087】
例えば格納棚に収容される格納物は、自動車のような車両に特定されるものではなく、例えばコンテナのような他の物品であっても良い。そのため、本発明に係るコンベヤ駆動装置は、大規模な駐車設備に用いるものに特定されず、上記コンテナを収める倉庫等にも適用が可能である。
【0088】
また、格納棚が格納室の高さ方向に積層されている場合に、走行台車は各段毎に設置する必要はなく、例えば一つの走行台車を格納棚に沿って走行移動させつつ、格段の格納棚に対応した高さ位置にて停止可能に昇降動させるようにしても良い。
【0089】
さらに、上記実施の形態では、格納部を横方向に並べて配置し、走行台車を横方向に水平に走行させるようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば格納部を縦方向に並べて配置し、走行台車を昇降動させる、いわゆるエレベータ方式の駐車設備にも同様に実施可能である。
【0090】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、第1のコンベヤの駆動経路と第2のコンベヤの駆動経路とを互いに独立させ、第1のコンベヤを駆動する第2のコンベヤ駆動機構を走行台車の上で格納部に近づいたり遠ざかる方向に直線的に往復移動させることで、第2のコンベヤ駆動機構の駆動歯車を格納部の従動歯車に直接噛み合わせるようにしたので、駆動歯車や従動歯車の下方に、これら両歯車に噛み合うアイドル歯車のような格別な構成要素を配置する必要はない。しかも、第2のコンベヤ駆動機構そのものが格納部に近づいたり遠ざかる方向に移動するので、この第2のコンベヤ駆動機構の下方にアイドル歯車を上下に変位させる機構を配置する必要もない。
【0091】
したがって、第2のコンベヤ駆動機構の高さ寸法を低く抑えて、走行台車を薄くコンパクトに形成することができ、特に格納部が複数段に亘って積層されている場合に、これら格納部の高さ方向への配置間隔を狭めることができる。したがって、格納部を収容するためのスペースを極力小さく抑えることができ、コンベヤ駆動装置やこのコンベヤ駆動装置を有する駐車設備のコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る大規模な駐車設備の斜視図。
【図2】走行台車が格納棚上の所望の駐車領域に対応した箇所で停止した時の第1のコンベヤと第2のコンベヤとの位置関係を示す平面図。
【図3】車両が乗り入れた走行台車の側面図。
【図4】走行駆動装置、第2のコンベヤ、第1および第2のコンベヤ駆動機構の位置関係を示す走行台車の平面図。
【図5】第2のコンベヤ駆動機構の平面図。
【図6】図5のF6−F6線に沿う第2のコンベヤ駆動機構の断面図。
【図7】図5のF7−F7線に沿う第2のコンベヤ駆動機構の断面図。
【図8】駆動歯車と従動歯車の噛み合い状態を示す斜視図。
【図9】図5のF9−F9線に沿う第2のコンベヤ駆動機構の断面図。
【図10】図5のF10−F10線に沿う第2のコンベヤ駆動機構の断面図。
【図11】(A)は、第2のコンベヤ駆動機構が噛み合い解除位置に移動された時の駆動歯車と従動歯車との位置関係を示す断面図。
(B)は、第2のコンベヤ駆動機構が噛み合い位置に移動された時の駆動歯車と従動歯車との位置関係を示す断面図。
【図12】第1および第2のコンベヤ駆動機構の制御系統を示すブロック図。
【図13】従来の駐車設備において、車両が乗り入れた走行台車の側面図。
【図14】従来の駐車設備において、走行台車が格納棚上の所望の駐車領域に対応した箇所で停止した時の第1のコンベヤと第2のコンベヤとの位置関係を示す平面図。
【図15】従来の駐車設備に用いられる連結駆動装置の平面図。
【図16】従来の駐車設備に用いられる連結駆動装置の側面図。
【図17】従来の駐車設備において、駆動歯車とアイドル歯車との位置関係を示す連結駆動装置の正面図。
【図18】従来の駐車設備において、連結駆動装置の駆動歯車とコンベヤ駆動部の従動歯車との位置関係を示す平面図。
【図19】(A)は、従来の駐車設備において、アイドル歯車が噛み合い解除位置に回動された時の従動歯車との位置関係を示す断面図。
(B)は、従来の駐車設備において、アイドル歯車が噛み合い位置に回動された時の従動歯車との位置関係を示す断面図。
【符号の説明】
2…第1のコンベヤ
4…第2のコンベヤ
7…格納物(車両)
30…従動歯車
111…格納部(駐車領域)
117…走行台車
127…第1のコンベヤ駆動機構
128…第2のコンベヤ駆動機構
129…第1のモータ
142…駆動歯車
146…第2のモータ

Claims (6)

  1. 一方向に並べて配列され、格納物を収容する複数の格納部と、
    これら各格納部に設置され、上記格納物を搬入したり搬出するための第1のコンベヤと、
    上記格納部の配列方向に沿って移動するとともに、個々の格納部に対応した位置で停止可能な走行台車と、
    上記走行台車に設置され、上記格納物を搬入したり搬出するための第2のコンベヤと、を具備し、
    上記格納部の第1のコンベヤと上記走行台車の第2のコンベヤとの間で上記格納物を移し換えるようにしたコンベヤ駆動装置において、
    上記各格納部は、上記走行台車の走行経路に臨む位置に上記第1のコンベヤに連動して回転する従動歯車を有し、
    また、上記走行台車は、上記第2のコンベヤを駆動するための第1のモータを有する第1のコンベヤ駆動機構と、上記格納部と向かい合う端部に配置された駆動歯車およびこの駆動歯車を回転駆動する第2のモータを有する第2のコンベヤ駆動機構とを含み、この第2のコンベヤ駆動機構は、上記駆動歯車が上記従動歯車に噛み合う噛み合い位置と、上記駆動歯車が上記従動歯車から離脱する噛み合い解除位置との間で上記格納部に進出したり遠ざかる方向に直線的に往復移動可能に上記走行台車に支持されていることを特徴とするコンベヤ駆動装置。
  2. 請求項1の記載において、上記各格納部は、上記従動歯車と同軸に配置された少なくとも一つの第1のローラを有するとともに、上記第2のコンベヤ駆動機構は、上記駆動歯車と同軸に配置された少なくとも一つの第2のローラを有し、これら第1および第2のローラは、上記第2のコンベヤ駆動機構が上記噛み合い位置に移動された時に互いに突き当たり、上記駆動歯車のピッチ円直径と上記従動歯車のピッチ円直径とが接するように、これら両歯車の軸間距離を規定することを特徴とするコンベヤ駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2の記載において、上記従動歯車と上記駆動歯車とは、上記格納部の高さ方向に互いにずれて配置されていることを特徴とするコンベヤ駆動装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記第2のモータは、上記駆動歯車の自由な回転を制限するブレーキを内蔵しており、このブレーキは、上記駆動歯車が上記従動歯車に噛み合う時に開放されることを特徴とするコンベヤ駆動装置。
  5. 一方向に並べて配列され、車両を収容する複数の格納部と、
    これら各格納部に設置され、上記車両を搬入したり搬出するための第1のコンベヤと、
    上記格納部の配列方向に沿って移動するとともに、個々の格納部に対応した位置で停止可能な走行台車と、
    上記走行台車に設置され、上記車両を搬入したり搬出するための第2のコンベヤと、を具備し、
    上記格納部の第1のコンベヤと上記走行台車の第2のコンベヤとの間で上記車両を移し換えるようにした駐車設備において、
    上記各格納部は、上記走行台車の走行経路に臨む位置に上記第1のコンベヤに連動して回転する従動歯車を有し、
    また、上記走行台車は、上記第2のコンベヤを駆動するための第1のモータを有する第1のコンベヤ駆動機構と、上記格納部と向かい合う端部に配置された駆動歯車およびこの駆動歯車を回転駆動する第2のモータを有する第2のコンベヤ駆動機構とを含み、この第2のコンベヤ駆動機構は、上記駆動歯車が上記従動歯車に噛み合う噛み合い位置と、上記駆動歯車が上記従動歯車から離脱する噛み合い解除位置との間で上記格納部に進出したり遠ざかる方向に直線的に往復移動可能に上記走行台車に支持されていることを特徴とする駐車設備。
  6. 請求項5の記載において、上記格納部は、水平方向に並べられているとともに、上記格納部の高さ方向に間隔を存して積層されていることを特徴とする駐車設備。
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