JP3712605B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2軸4輪形のトラクタにあっては、一般に、後輪は駆動輪とされており、トラクタの車体は、エンジン、クラッチハウジング、ミッションケース等の伝動ケースを直結して構成され、この車体の後部の左右両側部に、後車軸ケースが左右方向外方に突出状に設けられ、この後車軸ケースの左右方向外端側に、後輪が取り付けられる。
また、トラクタには、車体地上高を高く採ったトラクタがあり、このトラクタにあっては、後車軸ケースの左右方向外端部にギヤケースの上部を取付固定すると共に、このギヤケースの下部から左右方向外方に突出する後輪軸に後輪を取り付けることで、車体地上高を高くするように構成したものがあり、このものにあっては、エンジンからの動力が、ミッションケース内の変速機構、後輪デフ機構を介して後車軸ケース内の伝動軸に伝動されると共に、該伝動軸からギヤケース内のギヤ伝動機構を介して後輪軸に動力が伝動されて後輪が回転駆動されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記トラクタにあっては、畝を跨いで走行させ、作物の移植、収穫、管理作業等に使用されるが、ギヤケースが後輪よりも左右方向内方側に位置していると、作物の高さによって、ギヤケースが作物に干渉する場合がある。
そこで、後輪の内周側にギヤケースが入り込むように、後輪をギヤケースに取り付けるという構造のものが考えられている。
また、後輪のトレッドを調整する方法として、後輪のディスクを裏返して後輪軸に取り付けることによって、後輪のトレッドを調整するようにする方法があるが、前述した、後輪の内周側にギヤケースが入り込むように、後輪をギヤケースに取り付けるという構造のものに、このトレッド調整方法を採用すると、トレッドを調整したときに、ギヤケースが後輪よりも左右方向内方側に位置することとなって、ギヤケースが作物に干渉する場合がある。
【0004】
また、ギヤケース内のギヤ伝動機構は、後輪デフ機構の出力軸から動力が伝達される伝動軸に設けた第1ギヤと、この第1ギヤの下方で後輪軸に設けた第2ギヤとを噛合させて構成されているが、後輪デフ機構の出力軸と、後輪を装着した後輪軸とを略同一軸芯に設定した、車体地上高を低く採ったトラクタと比較して、ギヤ伝動機構により回転が逆になるため、後輪デフ機構の出力軸と後輪軸とが逆回転することになり、後輪デフ機構の出力軸の回転方向を、車体地上高が低い場合のトラクタとは逆方向に回転させるための方策が採られている。
【0005】
例えば、後輪デフ機構に設けられていてベベルピニオンと噛合する大ベベルギヤを、後輪デフ機構に左右逆に取り付けている。
そのため、車体地上高が高い場合には、車体地上高が低い場合のトラクタと、後輪デフ機構の構造を同一にし、部品を兼用する、ということができなくなっている。
また、従来技術のものでは、地上高をより高くするにはギヤ径を大きくしなければならなく、コスト高になっている。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題を解消できるトラクタを提供することを目的とし、車軸ケースの外端側に設けられるギヤケースと作物との干渉を避けながら、良好にトレッド調整できるようにしたトラクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明における課題解決のための技術的手段は、左右一対の前輪と左右一対の後輪とを備え、これら左右各前後輪の左右方向内方側に、車体から左右方向外方突出状に設けられた車軸ケースを備え、この車軸ケースの左右方向外端側にギヤケースが設けられ、左右各前後輪の内周側に各ギヤケースが入り込むように、前記ギヤケースに前後輪が取り付けられると共に、車軸ケースとギヤケースとの間に延長車軸ケースを介在できるように、該車軸ケースにギヤケースが着脱自在に取り付け可能とされることにより前後輪のトレッドを調整自在とし、左右方向で同じ側にある前輪と後輪との間に位置する補助ステップを設け、且つこの補助ステップを、前輪と後輪との間に位置するように前後輪のトレッド調整に対応して左右位置調整自在としたことを特徴とする。
【0008】
また、後輪デフ機構の出力軸から動力が伝達される伝動軸と、後輪を装着した後輪軸との間に、ギヤケース内に収納されるギヤ伝動機構を設け、このギヤ伝動機構を、前記伝動軸に連動連結される第1ギヤと、この第1ギヤの下方で後輪軸に設けた第2ギヤと、前記第1ギヤと第2ギヤとに同時に噛合するアイドラギヤとで形成し、このアイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側又は後側に配置してもよい。
また、アイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側に配置し、3個のギヤを三角配置してギヤケース内に納めているのがよい。
【0009】
また、伝動軸と、第1ギヤを支持する支軸とをカップリングを介して連動連結可能とするのがよい。
また、車体に固定された取付板から左右方向外方突出状に設けられた第1ブラケットを備え、この第1ブラケットに取付体を左右方向位置調整自在に設け、この取付体に、下方に向かうにしたがって左右方向外方に移行する傾斜状の第2ブラケットを固定し、この第2ブラケットの下端側に補助ステップを固定するのがよい。
【0010】
また、車体と補助ステップとを手すりによって連結するのがよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図5〜図9において、21は、左右一対の前輪41及び後輪5を備えた2軸形の4輪駆動トラクタを示しており、このトラクタ21の車体22は、エンジン、(クラッチハウジング、)ミッションケース等を直結して主構成されている。
また、車体22の前後中途部の左右側部には燃料タンク26が装着されており、車体22の後面下部にはPTO軸29が設けられ、車体22後部には、トップリンク30A及び左右のロワーリンク30Bからなる三点リンク機構30が装着されている。
【0012】
また、車体(ミッションケース)22後部の左右両側部には、後側の車軸ケース(後車軸ケース)23が、車体22側部から左右方向外方突出状に設けられている。
左右の後車軸ケース23の外端側には、ギヤ伝動機構7を収納するギヤケース11がボルト等によって着脱自在に取り付け可能とされていると共に、このギヤケース11の下部から左右方向外方へ突出した後輪軸6に後輪5のディスク25がボルト締結されていて、後輪6の内周側にギヤケース11が入り込むように、該後輪5がギヤケース11に取り付けられている。
【0013】
このギヤケース11は、図1〜図4に示すように、後車軸ケース23の左右方向外端部、又は、後車軸ケース23の左右方向外端部にボルト等によって着脱自在に取付固定される延長車軸ケース42に着脱自在に取り付けられる内側ケース11Aと、この内側ケース11Aにボルト等によって着脱自在に取付固定された外側ケース11Bとから構成されており、ギヤケース11は、図1及び図2に示すように、後車軸ケース23の左右方向外端部に取付固定された延長車軸ケース42の左右方向外端部に取付固定された形態と、図3及び図4に示すように、後車軸ケース23の左右方向外端部に取付固定された形態とに、取付形態が変更できるように構成されており、これによって、左右後輪5のトレッドが2種のトレッドに調整できるように構成されている。
【0014】
前述のものでは、後輪6の内周側にギヤケース11が入り込むように、該後輪5がギヤケース11に取り付けられていて、ギヤケース11が、後輪5の内方に位置する作物Aに干渉するのを防止していると共に、後輪5のトレッドを長くする場合に、ギヤケース11が後輪5と一緒に移動するので、作物Aの高さが高い場合であっても、ギヤケース11が作物Aに干渉するのが防止される。
なお、延長車軸ケース42を、長さの異なるものを複数個用意することで、3種以上のトレッドにトレッド調整できる。
【0015】
また、左右の後車軸ケース23の中途部には、ロプス27の支柱の下部が取り付けられ、このロプス27の支柱部分に左右の後輪フェンダ28が装着され、左右の後輪フェンダ28間には運転席14が配置されている。
次に、エンジンから後輪5に至る動力伝達系について説明する。
図2、図4及び図11に示すように、車体22を形成するミッションケース後部内には、エンジンからの動力がメインクラッチ、主変速機構及び副変速機構等を経て伝達されるベベルピニオン13と、このベベルピニオン13から動力が伝達される後輪デフ機構2とが配置されている。
【0016】
前記後輪デフ機構2は、デフケース15に装着された大ベベルギヤ16がベベルピニオン13と噛合しており、デフケース15から左右方向に出力軸3が突出している。
そして、大ベベルギヤ16は後方視でデフケース15の右部に装着され、ベベルピニオン13の右側で噛合しており、例えば、ベベルピニオン13が後方視で右回転することにより、出力軸3を前進走行時の後輪5の回転方向と同一方向に回転される。
【0017】
左右に突出した出力軸3と車体22との間には、後輪ブレーキ機構33が設けられ、左右出力軸3を制動することにより、左右後輪5を択一的に又は同時に制動可能になっている。
前記後車軸ケース23内には出力軸3と同芯状に伝動軸4が軸受を介して回転自在に支持されており、この伝動軸4と出力軸3との間に遊星歯車機構を使った大減速機構12が設けられている。
大減速機構12は後車軸ケース23内の基部側に配置され、出力軸3に太陽ギヤ34が形成され、遊星ギヤ35を支軸するキャリア36が伝動軸4の内側端部に嵌着されている。
【0018】
図1〜図4、図10及び図11に示すように、前記伝動軸4と後輪5を装着した後輪軸6との間にはギヤ伝動機構(終変速機構)7が設けられている。
このギヤ伝動機構7は、減速機構であり、ギヤケース11内の上部に左右方向の軸心回りに回転自在に支持された支軸43に一体回転自在に設けられた第1ギヤ8と、この第1ギヤ8の下方で左右方向の軸心回りに回転自在に支持された後輪軸6に設けられた第2ギヤ9と、前記第1ギヤ8及び第2ギヤ9の前側で左右方向の軸心回りに回転自在に支持されたアイドラギヤ軸17に設けられ且つそれら第1ギヤ8及び第2ギヤ9に同時に噛合するアイドラギヤ10とを有している。
【0019】
前記支軸43は、図1、図2に示す、後輪5のトレッドが長い形態では、延長車軸ケース42内に配置されたジョイント軸45を介して伝動軸4に連動連結されている。
すなわち、ジョイント軸45の外端側と支軸43の内端側とにスプライン嵌合されたカップリング44によって、ジョイント軸45と支軸43とが連動連結され、ジョイント軸45の内端側と伝動軸4の外端側とにスプライン嵌合されたカップリング46によって、ジョイント軸45と伝動軸4とが連動連結されており、これによって、支軸43が伝動軸4に連動連結されている。
【0020】
また、図3、図4に示す、後輪5のトレッドが短い形態では、カップリング44に伝動軸4がスプライン嵌合されることで、支軸43が伝動軸4に連動連結されている。
なお、ジョイント軸45は、カップリング44が、支軸43を支持する軸受47に接当し、カップリング46が伝動軸4を支持する軸受48に接当することで位置決めされている。
前記構成のものにあっては、後輪デフ機構2の出力軸3の回転は、大減速機構12で大きく減速されて伝動軸4に伝達され、伝動軸4からギヤ伝動機構7を介して少し減速して後輪軸6に伝達され、後輪5を出力軸3と同一方向に駆動して、前進動力を得るようになっている。
【0021】
このように、後輪デフ機構2の出力軸3と伝動軸4との間に、ギヤ伝動機構7よりも減速比の大きな大減速機構12を設けていることにより、ギヤ伝動機構7の減速比が小さくなり、第2ギヤ9の径が小さくできてギヤ伝動機構7をコンパクトに構成できる。
また、前記ギヤ伝動機構7において、アイドラギヤ10は第1ギヤ8及び第2ギヤ9の前側に配置され、これら3個のギヤは三角配置になっていて、1つのギヤケース11内に納められていることによって、前進時にアイドラギヤ10に加わる応力を減少させ、大きい負荷に耐えることができるようになる。
【0022】
また、ベベルピニオン13からの動力により後輪回転方向と同一方向に回転駆動される
後輪デフ機構2の出力軸3と、この出力軸3から同一方向の動力が伝達される伝動軸4との間に大減速機構12を設け、前記伝動軸4と後輪5を装着した後輪軸6との間にギヤ伝動機構7を設け、このギヤ伝動機構7を、伝動軸4に設けた第1ギヤ8と、この第1ギヤ8の下方で後輪軸6に設けた第2ギヤ9と、前記第1ギヤ8及び第2ギヤ9の前側でそれらと同時に噛合するアイドラギヤ10とで形成していることにより、ギヤ伝動機構7が車体の地上高を高くすることを可能にし、出力軸3と後輪軸6の回転方向を同一にして、後輪デフ機構2を地上高が低いものと異ならせることなく構成可能となり、前進時にアイドラギヤ10に加わる応力を減少させ、大きい負荷に耐えることができるようになる。
【0023】
前記第1ギヤ8と第2ギヤ9との中心間距離に相当する長さだけ、地上面から車体22底面までの地上高(車体高さ)を高くすることができ、ギヤ伝動機構7は減速比の小さい減速機構なので、第2ギヤ9の外径が小さく、従って、ギヤケース11の下部の外径も小さく、地上面からギヤケース11底面までの地上高も高くなっており、高畝への移植作業に極めて好都合になっている。
図10及び図12において、車体22を前進走行させるとき、第1ギヤ8及び第1ギヤ8は左側面視反時計方向に回転し、アイドラギヤ10は時計方向に回転することになる(回転方向は図11にも示す)。
【0024】
このとき、アイドラギヤ10においては、第1ギヤ8との噛合による押動作用力f1と中心線方向の反力f2とを受けることになり、それらの力f1、f2は合成力FAを生じる。また、アイドラギヤ10は、第2ギヤ9との噛合による押動反力f3と中心線方向の反力f4とを受けることになり、それらの力f3、f4は合成力FBを生じる。
前記力f1、f2、f3、f4は、便宜上同一長さのベクトルで表示しており、押動作用力f1は第2ギヤ9を略指向し、押動作用力f3は第1ギヤ8を略指向している。
【0025】
前記アイドラギヤ10の合成力FA、FBは互いに略反対方向となり、相互に打ち消すため、それを合成した総合力は、合成力FA、FBより十分に小さい力となり、アイドラギヤ10及びそれを支軸するアイドラギヤ軸17等に加わる負荷が十分に小さくなる。
これに対して、図13に示すように車体22を後進走行させるとき、第1ギヤ8及び第2ギヤ9は左側面視時計方向に回転し、アイドラギヤ10は反時計方向に回転することになる。
【0026】
このとき、アイドラギヤ10においては、第1ギヤ8との噛合による押動作用力f1と中心線方向の反力f2とを受け、第2ギヤ9との噛合による押動反力f3と中心線方向の反力f4とを受けることになることになるのは、前進の場合と同一であるが、前記押動作用力f1は第2ギヤ9から遠のく方向に作用し、押動作用力f3は第1ギヤ8から遠のく方向に作用する。
そのため、それらの力の合力は、力f1、f2で合成力FAを生じ、力f3、f4で合成力FBを生じ、これらの合力FA、FBは第1ギヤ8及び第2ギヤ9から遠のく方向に作用し、それを合成した総合力は、合成力FA、FBより十分に大きい力となり、アイドラギヤ10及びそれを支軸するアイドラギヤ軸17等に加わる負荷が大きくなる。
【0027】
ところで、トラクタ21等においては、後部に作業機を装着して行う前進作業殆どであり、前進時に牽引負荷等の大負荷を受け、後進は方向転換等を行うだけで軽負荷しかかからない。
従って、前進時に大負荷作業をするトラクタ21においては、アイドラギヤ10を第1ギヤ8及び第2ギヤ9の前側に配置することにより、アイドラギヤ10に加わる応力を大幅に減少させることができ、耐久性を向上することができるようになる。
【0028】
しかし、後進しながら大負荷作業をするのが多いトラクタ21においては、アイドラギヤ10を第1ギヤ8及び第2ギヤ9の後側に配置することにより、アイドラギヤ10に加わる応力を大幅に減少させることができる。
トラクタ21の前部下部側には、前側の車軸ケース(前車軸ケース)49が左右方向に配置され、この前車軸ケース49は、その左右方向中央部がエンジンから前方に突出する前車軸ブラケットに前後方向の軸心回りに回動自在に支持され、前車軸ケース49の左右方向外端側には、ベベルギヤ伝動機構、終減速機構等が収納されたギヤケース50が設けられ、このギヤケース50に前輪41が回転自在に支持されている。
【0029】
なお、ギヤケース50は、前車軸ケース49の外端部に取り付けられていてキングピン軸を収納した内側ケースと、この内側ケースにキングピン軸回りに回動自在に支持された外側ケースとから構成され、前輪41は外側ケースから突出する前輪軸にそのディスクが取り付けられていて操向輪とされている。
また、図例のものでは、前輪41は後輪5と略同径に形成されている。
このギヤケース50も、後輪5側のギヤケース11と同様に、前車軸ケース49の左右方向外端部にボルト等によって着脱自在に取付固定された延長車軸ケース51の左右方向外端部にボルト等によって着脱自在に取付固定された形態と、前車軸ケース49の左右方向外端部にボルト等によって直接着脱自在に取付固定された形態とに、取付形態が変更できるように構成されており、これによって、左右前輪41のトレッドが、後輪5のトレッド調整に対応して、2種のトレッドに調整できるように構成されている。
【0030】
また、前輪41の内周側にギヤケース50が入り込むように、該前輪41がギヤケース50に取り付けられていて、ギヤケース50が、前輪41の内方に位置する作物Aに干渉するのを防止していると共に、前輪41のトレッドを長くする場合に、ギヤケース50が前輪41と一緒に移動するので、作物Aの高さが高い場合であっても、ギヤケース11が作物Aに干渉するのが防止される。
なお、延長車軸ケース51を設けた場合と、設けない場合との動力伝達構造は、後輪5の場合と略同様である。
【0031】
図5〜図7に示すように、左側の前輪41と後輪5との間には、補助ステップ装置53が設けられている。
この補助ステップ装置53は、このトラクタ21にあっては、車体地上高を高く採っているので、上補助ステップ54と下補助ステップ55とを備えて構成されている。
上補助ステップ54を支持する支持体56は、図14〜図17に示すように、車体22の側部にボルト等によって取付固定される取付板57と、この取付板57に左右方向外方突出状に溶接等によって固定された第1ブラケット58と、この第1ブラケット58の左右方向中途部と取付板57とを連結する補強部材59とから主構成されており、第1ブラケット58の左右方向外端側上面に上補助ステップ54が溶接等によって固定されている。
【0032】
また、下補助ステップ55を支持する支持体60は、図14及び図18〜図20に示すように、前記支持体56の第1ブラケット58に取付固定される左右方向の取付体61と、この取付体61の左右方向外端部に下方に向かうにしたがって左右方向外方に移行する傾斜状に溶接等によって固定された第2ブラケット62とから主構成され、下補助ステップ55は、第2ブラケット62の下端側に溶接等によって固定されている。
上補助ステップ54を支持する支持体56の第1ブラケット58は、前後壁58a,58bと、これら前後壁58a,58bの上端同志を連結する上壁58cとから下向き開放状のコ字形に形成され、前後壁58a,58bには、左右方向に間隔をおいて3つの挿通孔63が形成されている。
【0033】
また、下補助ステップ55を支持する支持体60の取付体61は、前後壁61a,61bと、これら前後壁61a,61b上端同志を連結する上壁61cとから下向き開放状のコ字形に形成され、前記第1ブラケット58の前後壁58a,58b間に左右方向移動可能に嵌合されている。
また、この取付体61の前後壁61a,61bには、前記第1ブラケット58に形成された挿通孔63の間隔と同間隔で2つの挿通孔64が形成されている。
そして、図21に示すように、これら第1ブラケット58と取付体61とに形成された挿通孔63,64を一致させ、これら挿通孔63,64にボルト65を挿通し、該ボルト65にナット66を螺合させることで、取付体61が第1ブラケット58に着脱自在に固定されるように構成されていて、下補助ステップ55が、前後輪41,5のトレッドに対応して、左右方向2位置に位置変更自在とされており、下補助ステップ55が作物Aに干渉しないように考慮されている。
【0034】
図14及び図22〜図24に示すように、補助ステップ装置53の前部側には、手すり67が設けられている。
この手すり67は、左右方向内外の支柱部68,69と、内外支柱部68,69の上端同志を連結する連結部70と、内外支柱部68,69の上下方向中途部同志を連結する連結部73とを備えて主構成され、内側の支柱部68の下端部には、車体22の側部にボルト等によって固定される取付板71が固定され、外側の支柱部69の下端部には、補助ステップ装置53の上補助ステップ54の前面側にボルト等によって固定される取付板72が固定されている。
【0035】
前記手すり67は、連結部73によって強度アップが図られていると共に、車体22と補助ステップ装置53(上補助ステップ54)とを連結することにより、補助ステップ装置53の強度アップが図られており、エンジンからの振動に対する共振防止が図られている。
なお、前記ギヤ伝動機構7は、小さい比率で減速しているが、等速又は増速に設定することも可能であり、また、第1ギヤ8と第2ギヤ9とを結ぶ中心線からアイドラギヤ10までの距離を種々設定することができ、第1ギヤ8及びアイドラギヤ10を歯切り可能な最小径に形成しても、第1ギヤ8と第2ギヤ9との間の距離を十分に採ることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、車輪の内周側にギヤケースが入り込むように、前記ギヤケースに車輪が取り付けらているので、ギヤケースが作物に接触するのを防止できると共に、車軸ケースとギヤケースとの間に延長車軸ケースを介在できるように、該車軸ケースにギヤケースが着脱自在に取り付け可能とされていることにより、延長車軸ケースを車軸ケースとギヤケースとの間に介在することで、車輪の内周側にギヤケースが入り込んだ状態を維持したままトレッド調整をすることができる。
【0037】
また、後輪デフ機構の出力軸から動力が伝達される伝動軸と、後輪を装着した後輪軸との間に、ギヤケース内に収納されるギヤ伝動機構を設け、このギヤ伝動機構を、前記伝動軸に連動連結される第1ギヤと、この第1ギヤの下方で後輪軸に設けた第2ギヤと、前記第1ギヤと第2ギヤとに同時に噛合するアイドラギヤとで形成し、このアイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側又は後側に配置することにより、ギヤ伝動機構が車体の地上高を高くすることを可能とすると共に、出力軸と後輪軸の回転方向を同一にして、後輪デフ機構を地上高が低いものと異ならせることなく構成可能となる。
【0038】
また、アイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側に配置し、3個のギヤを三角配置してギヤケース内に納めているので、前進時にアイドラギヤに加わる応力を減少させ、大きい負荷に耐えることができるようになる。
また、伝動軸と、第1ギヤを支持する支軸とをカップリングを介して連動連結可能とすることにより、カップリングを介して第1ギヤを支持する支軸と連動連結されるジョイント軸、及び、該ジョイント軸と伝動軸とを連動連結するカップリングを追加するだけで、延長車軸ケースでトレッドを長くした場合の、伝動軸から第1ギヤへの動力伝達が可能となる。
【0039】
また、前輪と後輪との間に設けられる補助ステップを、車輪のトレッド調整に対応して左右位置調整自在とすることにより、低い位置に配置される補助ステップが作物に接触するのを防止できる。
また、車体と補助ステップとを手すりによって連結することにより、エンジンからの振動に対する補助ステップの共振防止が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 要部の背面断面図である。
【図2】 要部の背面断面図である。
【図3】 要部の背面断面図である。
【図4】 要部の背面断面図である。
【図5】 トラクタの側面図である。
【図6】 トラクタの平面図である。
【図7】 トラクタの正面図である。
【図8】 トラクタの背面図である。
【図9】 トラクタの正面図である。
【図10】 ギヤ伝動機構の側面図である。
【図11】 後輪動力伝達系の構成図である。
【図12】 前進時のアイドラギヤに加わる応力の説明図である。
【図13】 後進時のアイドラギヤに加わる応力の説明図である。
【図14】 手すり及び補助ステップ装置の正面図である。
【図15】 上補助ステップ及び支持体の正面図である。
【図16】 上補助ステップ及び支持体の平面図である。
【図17】 上補助ステップ及び支持体の側面図である。
【図18】 下補助ステップ及び支持体の正面図である。
【図19】 下補助ステップ及び支持体の平面図である。
【図20】 下補助ステップ及び支持体の側面図である。
【図21】 図14のB−B線矢示断面図である。
【図22】 手すりの正面図である。
【図23】 手すりの側面図である。
【図24】 手すりの平面図である。
【符号の説明】
2 後輪デフ機構
3 出力軸
4 伝動軸
5 後輪
6 後輪軸
7 ギヤ伝動機構
8 第1ギヤ
9 第2ギヤ
10 アイドラギヤ
11 ギヤケース
13 ベベルピニオン
22 車体
23 後車軸ケース
41 前輪
42 延長ケース
44 カップリング
49 前車軸ケース
51 延長ケース
55 下補助ステップ
67 手すり
Claims (6)
- 左右一対の前輪と左右一対の後輪とを備え、これら左右各前後輪の左右方向内方側に、車体から左右方向外方突出状に設けられた車軸ケースを備え、この車軸ケースの左右方向外端側にギヤケースが設けられ、左右各前後輪の内周側に各ギヤケースが入り込むように、前記ギヤケースに前後輪が取り付けられると共に、車軸ケースとギヤケースとの間に延長車軸ケースを介在できるように、該車軸ケースにギヤケースが着脱自在に取り付け可能とされることにより前後輪のトレッドを調整自在とし、左右方向で同じ側にある前輪と後輪との間に位置する補助ステップを設け、且つこの補助ステップを、前輪と後輪との間に位置するように前後輪のトレッド調整に対応して左右位置調整自在としたことを特徴とするトラクタ。
- 後輪デフ機構の出力軸から動力が伝達される伝動軸と、後輪を装着した後輪軸との間に、ギヤケース内に収納されるギヤ伝動機構を設け、このギヤ伝動機構を、前記伝動軸に連動連結される第1ギヤと、この第1ギヤの下方で後輪軸に設けた第2ギヤと、前記第1ギヤと第2ギヤとに同時に噛合するアイドラギヤとで形成し、このアイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側又は後側に配置していることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
- アイドラギヤを第1ギヤ及び第2ギヤの前側に配置し、3個のギヤを三角配置してギヤケース内に納めていることを特徴とする請求項2に記載のトラクタ。
- 伝動軸と、第1ギヤを支持する支軸とをカップリングを介して連動連結可能としたことを特徴とする請求項2又は3に記載のトラクタ。
- 車体に固定された取付板から左右方向外方突出状に設けられた第1ブラケットを備え、この第1ブラケットに取付体を左右方向位置調整自在に設け、この取付体に、下方に向かうにしたがって左右方向外方に移行する傾斜状の第2ブラケットを固定し、この第2ブラケットの下端側に補助ステップを固定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトラクタ。
- 車体と補助ステップとを手すりによって連結したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクタ。
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