JP3710144B2 - 歯科鋳造用リングライニング材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、歯科鋳造において鋳造用リングの内側に裏装して用いる歯科鋳造用リングライニング材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科鋳造用リングライニング材は、歯科鋳造用リングに鋳込まれた溶湯が室温にまで冷却される際に生じる収縮を補償するためのクッション材として、歯科鋳造用リングの内側に裏装して使用されている。従来、この種のリングライニング材としてはアスベストを主成分とするアスベスト紙を短冊状に裁断したアスベストリボンが用いられ、最近になって一部シリカ・アルミナ繊維等のセラミック繊維を主成分とするセラミック紙が用いられるようになった。
【0003】
歯科でう蝕で罹患した歯(虫歯)や脱落した歯を修復する場合、合金を鋳造して、インレー、クラウン、金属床、鋳造用バー、鋳造用クラスプ等を作製するが、鋳造に際してはロストワックス法と呼ばれる精密鋳造法が用いられる。これは精度が悪いと、鋳造したインレーやクラウン等を患者の歯に確実に装着することができないためである。
【0004】
しかしながらロストワックス法でも歯科用合金は鋳型(埋没材)の中で凝固した後に常温に冷却されるまでの間に1.5〜2.3%程度収縮するので、埋没材は凝結硬化中及び加熱中に鋳造合金の収縮を補償するだけの膨張をすることが必要である。合金の溶湯を鋳込む際の鋳型はワックスパターンの寸法よりも1.5〜2.3%程度大きめになっていることが必要で、このため埋没材は硬化膨張と熱膨張をするようになっている。埋没材は鋳造リング中にワックスで形成したパターンを埋没させ、埋没材を凝結硬化後に電気炉内で加熱脱ろうして鋳型を形成する。
【0005】
従って鋳造リングの内周面に埋没材の膨張を吸収するリングライニング材を設けている。このリングライニング材は、鋳造用リングの内周面に短冊状にて裏装している。そのため鋳造用リングにフィットすること、埋没材の凝結時の硬化膨張や加熱時の熱膨張を抑制せず、且つ吸収するクッション性を有すること、加熱されたリングライニング材はシート状を維持し綿状に崩れないことが要求される。このような要求を満たす素材として、従来よりアスベストリボンが使用されてきた。
【0006】
実際の歯科鋳造作業に於いては、リングライニング材の吸水性が重要な特性になってくる。すなわち埋没材でワックスパターンを埋没させる作業では、作業直前に埋没材粉と水を決められた重量比率で混合し、このようにして得られた泥状の埋没材をライニング材を内装したリング内に注ぐ。この後、常温で放置し埋没材を凝結硬化させる。この時、埋没材を注ぐ直前にライニング材に水を含ませる方法を「湿式法」、水を含ませずそのまま注ぐ方法を「乾式法」と称している。ところで、埋没材をリングに注いでから凝結硬化するまでの間に埋没材中の水分がライニング材に吸水されることにより混水比が変化すると鋳造特性や鋳造作業性に、下記に列挙したような影響を及ぼす。
(1)ライニング材の吸水により埋没材の混水比が変化し凝結硬化時の膨張率が変わる。
(2)ライニング材の吸水により部分的に埋没材の混水比が変化し凝結硬化時に亀裂を生じる。
(3)ライニング材の吸水速度が速いと、(1)、(2)で述べた不具合の他、鋳造作業性も悪くなる。すなわち湿式法ではライニング材の吸水速度が速いと、予め水を含ませる時点で過剰の水を吸収し、埋没材が膨張をするとライニング材は圧縮され、含んだ水を吐き出し、埋没材上部表面に水の膜ができる、いわゆる「水浮き」が発生する。これにより凝結硬化の時間が長くなり作業時間が長くなる。また、乾式法では埋没材中の水を過剰に吸収し埋没材中央にくぼみが生じ、いわゆる「へこみ」が発生する。この「へこみ」は半月状にへこむことが多い。
(4)ライニング材が吸水するものの吸水速度が遅い場合にも、埋没材が凝結硬化する間に徐々に水分を吸収するので、やはり「へこみ」が発生するが、この「へこみ」は楔状に深くなり、ワックスパターン上部の埋没材層が薄くなり破損の原因となる。
【0007】
従来よりライニング材として使用されているアスベストリボンにも吸水性があるが、密度が0.8g/cm3 程度と比較的高いため、その吸水性は強いものではない。吸水性を表す数値として、例えばアスベストリボンに0.5ccの水を滴下すると浸透するまでに約15〜40秒を要する。アスベストリボンはこのような吸水性をもつため、歯科鋳造作業に当たっては埋没材の水分を吸収しすぎないよう、埋没材を注ぎ込む前に予め水分を含ませている。また、水分を含ませ過ぎると、「水浮き」が発生するので適度の含水率となるように調整している。実際の作業はアスベストリボンを水中に1〜2秒間浸漬する。このように予め含水させた後に埋没材泥を注げば、「へこみ」も少なく、「水浮き」のない良好な凝結硬化作業となる。従来は広くこのような方法が採られており、「湿式法」で作業されていた。しかしながら湿式法はライニング材にアスベストを使用する上で埋没材の混水比をできるだけ変化をさせないように考案された作業法であり、根本的に混水比のばらつきを伴う手法である。すなわちアスベストリボンは吸水性を有するため、埋没材を注ぎ込むとアスベストに水分を奪われ埋没材の混水比が変化する。そこで予めアスベストに水分を含ませることにより混水比を変化させないようにしている。しかしアスベストリボンの吸水性にもばらつきがあり、歯科技工士の経験やカンに頼るところが多い。
【0008】
一方、湿式法とは逆に、リングライニング材の吸水性をなくし、撥水性とすることにより、水の出入りを排除して埋没材の混水比を変化させず正確な鋳造を行おうという考えもあり、このような方法が「乾式法」である。この場合にはアスベストリボンにワセリンを塗布したり、シリコーンスプレー等で防水処理を施したりして対処してきた。しかしながら、このような撥水性付与の作業は煩雑でありアスベストリボンを使用する場合は、ほとんど湿式法で行われてきた。
【0009】
このように歯科鋳造では従来より広くアスベストリボンが使用されてきたが、近年アスベストは発癌性があるとのことでアメリカ国内に於いては建築材料への使用を禁止しており、日本に於いても規制する等、社会問題となっている。歯科においてもアスベストに代わる材料への要望が高まってきている。
このような中で、アスベストを使用しない、アルミナ・シリカ系繊維を主成分としたセラミック繊維系リングライニング材も市販されるようになってきた。
【0010】
これらのセラミック繊維系ライニング材はセラミック繊維やロックウールを主成分とし、アクリル樹脂等の合成樹脂または天然パルプをバインダーとしている。セラミックシートの密度は一般的に0.4g/cm3 以下でアスベストリボンと比較しクッション性が良く、従来のアスベストリボンより薄い厚さでも埋没材の凝結時の硬化膨張や加熱時の熱膨張を抑制しない。また耐熱性も十分である等の利点がある。
【0011】
吸水性の面に着目すると、セラミック繊維、ロックウール、ガラス繊維等の無機繊維自体は親水性であり、使用するバインダーが天然パルプ等の親水性材料の場合には親水性(吸水性)のライニング材となり、合成樹脂等の撥水性材料を使用すると、その量に応じライニング材も撥水性の度合いが強くなる。セラミックシートの密度は既述したように一般的に0.4g/cm3 以下とアスベストリボンの1/2以下であり、撥水性材料を使用しない場合の吸水性は極めて大きく、水滴を滴下すると瞬時に浸透する。また水に浸漬した場合には、ほぼ瞬時に元重量に対し300重量部以上吸水する。従って、このような吸水性の大きいシートをリングライニング材とした場合は、湿式法では埋没材泥を注ぐと「水浮き」が発生し、乾式法では「へこみ」を生ずる。
有機バインダーに合成樹脂を使用する場合は、合成樹脂添加量が多いほど撥水性が強くなる。必要な作業強度を得るために、通常5重量部以上添加するため、合成樹脂使用のリングライニング材は吸水性が低い。吸水性の程度がほぼ吸水しない場合は湿式、乾式両方で使用可能であるが、僅かに吸水する場合は、特に乾式法に於いて「へこみ」が発生し易くなる。そこでほとんど水を吸収しないよう安定した撥水性を付与するためにシリコーン系或いはフッ素系の撥水剤処理をしているものもある。これらの撥水性を有するセラミック系ライニング材は耐熱性、クッション性に優れ、且つ撥水性を有するので埋没材の混水比を変化させない優れたリングライニング材となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記したとおり、近年のセラミック系ライニング材は従来のアスベストリボンに比べアスベストの有害性がないばかりでなく、リングライニング材としての性能が進歩してきているが、下記のような課題も有している。
(1)従来の撥水性セラミック系ライニング材には撥水性を付与されているものの完全ではなく、僅かだが吸水するため鋳造作業において1〜2mm程度の「へこみ」を生ずる。この程度のへこみ量では鋳造欠陥等の不具合が発生することはほぼないが理想的には「へこみ」は生じない方がよい。
(2)表面がポーラスなセラミックシートでは埋没材、特に粒径の緻密な埋没材の凝結時の硬化膨張を抑制する場合がある。セラミックシートに撥水性を付与した場合には水分の移動がないため混水比は変化しないが、セラミック繊維、或いはロックウールの繊維径は3〜6μm程度であり、繊維間の空隙は更に広く、大きい部分では50μm以上の空隙となる。またアルミナ粉等の無機粉体を混抄した場合でも30μm程度の空隙はいたるところに生じる。一方、埋没材の粒度は、一般に市販されている石膏系のものは50μmより細かい粒子が90%以上を占める。その中でシート表面の空隙より小さな粒子は、セラミックシートと埋没材の界面に於いてシート表層部のセラミック繊維間に食い込む形となる。埋没材は硬化膨張をするが粒子がライニング材に食い込むことにより強固に付着ないし引っかかると膨張を抑制され所定の膨張率が得られないことになる。前述したように精密鋳造をするため埋没材の膨張率は合金の収縮率と合うように設計されている。従って埋没材は設計どおり膨張させるべきである。このライニング材と埋没材の付着により膨張が抑制された場合も適合不良まで至ることはほぼないが、昨今の埋没材はより滑沢な鋳造面を得るため埋没材の粒度は更に緻密化される傾向にあり、従来より増してこのライニング材と埋没材の付着、引っかかりの問題は大きくなるものと思われる。このような中でライニング材に撥水性を付与するだけでなく、埋没材との接触面が平滑で埋没材粒子の付着、引っかかりをなくし膨張を抑制しないリングライニング材が求められている。
(3)第3の欠点は従来のセラミック系ライニング材は手触りが悪いことである。初期のセラミックシートはショットが多くざらついていたが近年ではショットが除去され比較的手触りが良くなってきているものもある。しかし通常の上質紙のような良好な手触りは得られない。ライニング材を使用するときは、リングの内周面とライニング材がフィットするように指でリングに押しつけるが、その際、従来のセラミックシートは手触りが悪く操作性が悪かった。
【0013】
【問題を解決するための手段】
本発明の歯科鋳造用リングライニング材は、セラミック繊維を主成分とするシートの少なくとも片面に、表面平滑性のある疎水性膜を設けることにより、セラミックシートの優れた耐熱性、クッション性と、疎水性膜による確実な撥水性、表面平滑性を併せ持つようにしたものである。
【0014】
基材となるセラミックシートについては、歯科鋳造ではワックスパターンを加熱脱ろうする際、電気炉で700〜800℃で加熱するため耐熱性の骨材として、耐熱温度1000℃以上のセラミック繊維を使用する。1000℃以上の耐熱性を有する無機繊維としてはAl23 /SiO2 の重量比が0.4〜0.6のセラミック繊維の他、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、シラス繊維、チタン酸カリウム繊維を用いることができる。或いはこれに耐熱温度700〜800℃のロックウールを配合しても良い。更に、加熱時、有機バインダーの消失後の強度補強のためガラス繊維やアルミナ粉を代表とする無機粉体を配合しても良い。骨材となるセラミック繊維の配合量は30重量部以上は必要である。
【0015】
作業強度を得るための有機バインダーとしては微細セルロース繊維、CMC、ゼラチン等の親水性の天然バインダー及びアクリル樹脂、酢ビ樹脂等の疎水性の合成樹脂エマルジョンを使用することができるが、必要な作業強度が得られるバインダーであれば特にこれらに限定されるものではない。特に柔軟なライニング材とするためには柔らかいバインダー、例えばMFT(最低被膜形成温度)が0℃以下のアクリルエマルジョンや可塑剤混合比が50%程度の酢ビエマルジョンが適しており、その配合量は5〜20重量部が適当である。なお有機材料として合成樹脂と併用し、従来から使用されている天然パルプを配合して柔軟な風合いを出しても良い。
【0016】
前述のような材料配合で成形したシートの少なくとも片面に設ける疎水性膜としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール(疎水性)、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アセテート、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性合成樹脂フィルムを接着剤或いは熱融着によって貼り合わせても良いし、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、合成樹脂ラテックス等のペーストを塗布しても良い。製造面から言えば熱可塑性樹脂フィルムの溶融シートをセラミックシートに合わせ冷プレスで樹脂をフィルム化し貼り合わせるのが効率的である。また、組成から言えば、歯科鋳造では加熱脱ろう工程で有機分は焼失するため、その際、塩素ガス等の有害ガス発生したり、異臭、多量の煙等発生したりしないものが好ましい。疎水性膜の厚みは撥水性と平滑性を確保できる範囲で薄い方が良い。すなわち撥水性と平滑性以外の要件としては、ライニング材全体の柔軟性を阻害しないこと、基材となるセラミックシートのクッション性を最大限に活かすこと、焼却時の焼失分を極力少なくすることが重要であるため薄い方が良いが、貼り合わせ加工時にピンホールや裂け目等が発生しないよう5〜30μm程度が好ましい。
また、前記疎水性膜はシートの片面だけでなく両面に設けるようして、どちらの面でもリング内周面とできるリバーシブルタイプのリングライニング材に構成しても良い。
更にまた、前記疎水性膜を袋状に加工して、シートの端面をも被覆できるようにすれば、埋没材の水分がシートに浸入することを完全に防止でき、シート自体の吸水性、撥水性が問題とならないため、有機バインダーの組成や付着量等の選択の自由度を広げることができる。
【0017】
【作用】
前述のような条件でシートを作製し、その少なくとも片面、つまり埋没材と接触する面に表面平滑性のある疎水性フィルムを設けたリングライニング材を使用すれば、リング内周面にフィットさせるために指で押しつける側の面にフィルムがあるため手触りが良く、操作性が良い。次に埋没材は混水比の変化が生ぜず、硬化膨張及び熱膨張を妨げない正確な歯科鋳造が行える。すなわち埋没材と接触する面に設けた薄い疎水性膜により確実且つ完全に埋没材泥中の水を遮断するためライニング材が吸水することなく混水比を変化させない。従って埋没材の硬化膨張率を正確に制御できる。またリングライナ、埋没材間に水分の移動がないため水浮き、へこみが発生しないため効率的な作業が行え、ワックスパターン上部の埋没材層破損の危険もない。埋没材の硬化膨張には基材となるセラミックシートの優れたクッション性と疎水性膜の平滑性により埋没材粒子の膨張を抑制することなく設計通りの膨張をさせることができる。また電気炉にてワックスパターンを加熱焼却する際にも、埋没材の加熱膨張を抑制しない。
以上のように、本発明によるリングライニング材を使用すれば、作業性が良く、且つ正確な歯科鋳造が行える。
【0018】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。
(実施例1)
セラミック繊維40重量部、ガラス繊維20重量部、アルミナ粉末30重量部、クラフトパルプ(NBKP)10重量部を水中で離解する。これにアクリル樹脂7重量部、更に高分子凝集剤を加え通常の方法で抄紙し、乾燥して厚さ0.65mmのシートを作製した。これを0.2%フッ素撥水剤溶液にディッピングし、乾燥した。次に得られたシートの片面に溶融ポリエチレンシートを合わせ冷プレスによりポリエチレンをフィルム化し、セラミックシートとポリエチレンフィルムを貼り合わせた。なお貼り合わせたポリエチレンフィルムの厚さは10μmであった。これをサンプルAとした。
【0019】
(実施例2)
セラミック繊維30重量部、ガラス繊維20重量部、アルミナ粉末30重量部、クラフトパルプ(NBKP)20重量部を水中で離解する。これに微細セルロース繊維3重量部、更に高分子凝集剤を加え通常の方法で抄紙し、乾燥して厚さ0.65mmのシートを得た。次に得られたシートの片面に厚さ15μmのエチレン酢ビ共重合体フィルムを有機接着剤スプレーを塗布して貼り合わせた。これをサンプルBとした。
【0020】
(実施例3)
セラミック繊維60重量部、ガラス繊維20重量部、アルミナ粉末20重量部を水中で離解する。これに酢ビ樹脂15重量部、更に高分子凝集剤を加え通常の方法で抄紙し、乾燥して厚さ0.65mmのシートを作製した。次に得られたシートの片面に厚さ20μmの疎水性ビニロンフィルムを熱融着により貼り合わせた。これをサンプルCとした。
【0021】
(比較例1)
実施例1と同様の配合、手順により、厚さ0.65mmのシートを得、これをサンプルDとした。
【0022】
(比較例2)
実施例2と同様の配合、手順により厚さ0.65mmのシートを得、これをサンプルEとした。
【0023】
(比較例3)
実施例3と同様の配合、手順により厚さ0.65mmのシートを得、これをサンプルFとした。
【0024】
次に得られた各サンプルをリングライニング材として使用し、乾式鋳造法及び湿式鋳造法の両方で鋳造し、埋没材の乾燥、凝結時の「水浮き」及び「へこみ」の程度を測定し、更に鋳造体の適合度を測定し適合の良、不良を評価した。更に各サンプルシート自身の吸水性(疎水性膜を有するものは、疎水性膜側の吸水性)も測定し、結果を表1に示した。尚、試験方法を下記に示す。
(1)サンプルを幅35mm、長さ89mmに裁断し、高さ35mm、内径29mmφの鋳造用リングの内側に裏装する。疎水性膜を設けたサンプルは、埋没材と接する側が疎水性膜となるようにする。湿式法で鋳造する場合は下記(3)で述べる埋没材注入の約1分前にリングごと水に1秒間浸漬し良く振って余剰水を切る。
(2)既成のクラウン型ワックスパターンを植立した円錐台に、サンプルを裏装した鋳造リングを固定する。
(3)更に、埋没材粉末と水を適正混合比となるように混合し、クリーム状に練り上げた埋没材をリング内に注入しワックスパターンを埋入する。なお、埋没材は混水比(水/埋没材)0.38の石膏系埋没材を使用した。
(4)リングに埋没材を注入してから乾燥するまでに要した時間(埋没材上部表面の水が消滅するまでの時間)を測定する。また、この時「水浮き」の有無を観察し、「へこみ量」はデプスメータにより測定する。
(5)適合性についてはA.D.A規格No.2にあるフルクラウン型及びMODインレー型を用い上記と同様の方法にて凝結硬化させ、十分乾燥した後、700℃で加熱焼却し歯科用金銀パラジウム合金を鋳造し室温まで冷却し、鋳型より取り出して原型に戻し、適合性の良、不良を評価する。
(6)シートの疎水性については、水平に置いたシートサンプルに0.5ccの水を滴下し、吸水して裏面に浸透するまでの時間を測定する。尚、疎水性膜を有するものは、疎水性膜側に滴下する。
【0025】
【表1】
Figure 0003710144
【0026】
上記の表1から明らかなとおり、本発明実施例の場合、乾式鋳造法、湿式鋳造法のいずれでも埋没材の乾燥、凝結硬化時の「水浮き」及び「へこみ」に問題なく、鋳造体の適合性も問題ないことが確認できた。それに対し疎水性膜を有しないものは、撥水性のサンプルDは「水浮き」もなく適合性も良好であるが、1.0〜1.5mm程度の「へこみ」を生じた。また、吸水性の強いサンプルEは乾式鋳造法では「へこみ」が大きく鋳型破損を生じ、湿式鋳造法では「水浮き」が発生し、乾燥時間が長くなり作業性が悪いものであった。また、吸水性の弱いサンプルFは乾式鋳造法では「へこみ」が大きく鋳型破壊を生じた。
【0027】
【発明の効果】
本発明による歯科鋳造用リングライニング材はアスベストを全く含まず、セラミックシートの十分な耐熱性、クッション性と、疎水性膜の確実な撥水性、平滑性を併せ持つものである。表面平滑性のある疎水性膜によりリングへ装着する際の手触りが良く確実に埋没材泥中の水を遮断できるためライニング材が吸水することなく混水比を変化させず埋没材の硬化膨張率を正確に制御でき、水浮き、へこみも発生しない。また埋没材の硬化膨張時には基材となるセラミックシートの優れたクッション性と疎水性膜の平滑性により埋没材粒子の膨張を抑制せず、更に加熱膨張時にも埋没材の加熱膨張を抑制せず鋳造修復物の欠損支台部への適合性も良好となる。このように歯科鋳造用ライニング材に要求される性能が従来のものより向上するという効果を有する。

Claims (2)

  1. セラミック繊維を主成分とするシートの少なくとも片面に、表面平滑性のある疎水性膜を設けたことを特徴とする歯科鋳造用リングライニング材。
  2. 前記疎水性膜は前記シートに貼り合わせた合成樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の歯科鋳造用リングライニング材。
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