JP3708742B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)に浸漬処理等の処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記のような基板処理装置は、基板をエッチング液等の薬液や純水中に順次浸漬させることにより薬液処理や水洗処理(これらを総称して「浸漬処理」とする)を繰り返し、一連の基板処理を進行させている。このような薬液処理または水洗処理は薬液または純水(これらを総称して「処理液」とする)を貯留する薬液槽または水洗槽(これらを総称して「処理槽」とする)において行われている。
【0003】
従来の処理槽における浸漬処理の手順について簡単に説明する。まず、基板を水平方向に搬送する搬送ロボットが処理槽の上方に移動し、鉛直方向に昇降するリフターが上昇して搬送ロボットから当該基板を受け取る。基板を受け取ったリフターは処理槽内の所定の処理位置まで下降し、基板を処理液中に浸漬させる。
【0004】
このときに、基板を保持するリフターと搬送ロボットとの干渉を防止するべく、基板を受け取ったリフターが上記処理位置に完全に下降するまで搬送ロボットが移動しないようにインターロックが設けられている。すなわち、リフターが処理位置まで完全に下降した後に、搬送ロボットが水平方向の移動を開始する。
【0005】
また、浸漬処理中は、処理液への汚染物質の流入を防止するとともに、処理槽内の雰囲気(特に、薬液の蒸気)が外部に漏洩するのを防ぐために、処理槽の上端部を蓋によって閉鎖するようにし、処理槽内を密閉空間とするようにしている。このときにも、リフターと蓋との干渉を防止すべく、リフターが処理位置まで完全に下降した後に、蓋の閉鎖動作を開始するようにしている。
【0006】
リフターが処理位置まで下降した後、所定の処理時間が経過して浸漬処理が終了すると、蓋が開放動作を行うとともに、搬送ロボットが処理槽上方まで再度移動する。そして、蓋が完全に開放され、搬送ロボットが処理槽上方まで移動した後に、リフターが上昇を開始し、搬送ロボットに基板を渡す。このようにして、1つの処理槽における一連の浸漬処理が行われていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、基板の浸漬処理の中には短時間で処理を行う方が好ましいものもある。例えば、水と反応して強アルカリを生成する薬液中にて処理した後に純水中にて水洗処理を行うような場合は、その水洗処理の処理時間を短くした方が好ましい。また、薬液処理においても、例えば短時間のエッチングを行いたいという要求もある。最も極端な場合には、0秒処理(リフターが下降して処理位置に到達すると同時に上昇を開始するような処理)を行いたいという要求まである。
【0008】
しかしながら、従来においては上述のように、被処理基板を保持するリフターが処理位置まで下降した後に、すなわち当該基板の処理が開始された後に搬送ロボットが移動を開始し、また蓋が開閉動作を開始していた。そして、処理槽上方におけるそれらの動作が終了するまではリフターが上昇することができなかった。つまり、搬送ロボットや蓋の処理槽上方における動作が終了するまでは基板の浸漬処理を終了することができなかったのである。
【0009】
一方、搬送ロボットや蓋の動作にも一定の時間を要することは勿論である。その結果、浸漬処理の処理時間を短くすることには搬送ロボットや蓋の動作時間に基づく一定の限界が存在しており、上述のような要求に応えることができない場合が多かった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、処理時間をその処理内容に応じて短くすることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に所定の処理を行う処理部と、前記処理部における前記処理に要する処理時間を記憶する記憶部と、基板を保持して前記処理部に当該基板を搬入するとともに前記処理部から当該基板を搬出する搬出入手段と、前記搬出入手段の移動可能範囲のいずれかに前記搬出入手段が位置するときに、その動作が前記搬出入手段と干渉する動作手段と、を備える基板処理装置において、前記記憶部に記憶されている前記処理時間が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、前記搬出入手段が前記処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間は前記干渉が生じる干渉領域における前記動作手段の動作を回避させるとともに、前記処理時間が前記しきい値以上である場合には、前記搬出入手段が前記処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間の前記干渉が生じる干渉領域における前記動作手段の動作を許すように前記動作手段を制御する制御手段を設けている。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理部を、処理液を貯留し、基板を当該処理液中に浸漬することによって浸漬処理を行う処理槽とし、前記搬出入手段を、前記処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を前記処理液中に浸漬しまたは前記処理液から離脱させるリフターとし、前記動作手段を、前記処理槽の上方にて基板を略水平方向に搬送し、前記リフターと基板の受渡が可能であり、前記リフターが前記基板の受渡を行う受渡位置に位置するときに、その略水平方向の移動が前記リフターと干渉する搬送ロボットとしている。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理部を、処理液を貯留し、基板を当該処理液中に浸漬することによって浸漬処理を行う処理槽とし、前記搬出入手段を、前記処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を前記処理液中に浸漬しまたは前記処理液から離脱させるリフターとし、前記動作手段を、前記処理槽の上端部を開閉し、前記リフターが前記処理槽の上端部に位置するときに、その閉鎖動作が前記リフターと干渉する蓋としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
<1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の全体構成を示す斜視図である。図示のように、この基板処理装置1は、未処理基板を収納しているカセットCSが投入されるカセット搬入部2と、このカセット搬入部2からのカセットCSが載置され内部から複数の基板が同時に取り出される基板取出部3と、カセットCSから取り出された未処理基板が順次浸漬処理される基板処理部5と、浸漬処理後の複数の処理済み基板が同時にカセットCS中に収納される基板収納部7と、処理済み基板を収納しているカセットCSが払い出されるカセット搬出部8とを備える。さらに、装置の前側には、基板取出部3から基板収納部7に亙って基板移載搬送機構9が配置されており、浸漬処理前、浸漬処理中及び浸漬処理後の基板を一箇所から別の箇所に搬送したり移載したりする。
【0019】
カセット搬入部2は、水平移動、昇降移動及び垂直軸回りの回転が可能なカセット移載ロボットCR1を備え、カセットステージ2a上の所定位置に載置された一対のカセットCSを基板取出部3に移載する。
【0020】
基板取出部3は、昇降移動する一対のホルダ3a、3bを備える。そして、各ホルダ3a、3bの上面にはガイド溝が刻設されており、カセットCS中の未処理基板を垂直かつ互いに平行に支持することを可能にする。したがって、ホルダ3a、3bが上昇すると、カセットCS中から基板が押し上げられる。カセットCS上方に押し上げられた基板は、基板移載搬送機構9に設けた搬送ロボットTRに受け渡され、水平移動後に基板処理部5に投入される。
【0021】
基板処理部5は、フッ酸等の薬液を貯留して薬液処理を行う薬液槽CBを備える薬液処理部52と、純水を貯留して水洗処理を行う水洗槽WBを有する水洗処理部54と、薬液または純水を貯留して単一槽内で各種の薬液処理や水洗処理および乾燥処理を行う処理槽MBを有する多機能処理部56とを備える。
【0022】
基板処理部5において、薬液処理部52及び水洗処理部54の後方側には、第1基板浸漬機構55が配置されており、これに設けた上下動及び横行可能なリフターLH1によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を薬液処理部52の薬液槽CBに浸漬したり、水洗処理部54の水洗槽WBに浸漬したりする。リフターLH1は、薬液槽CBと水洗槽WBとの間で基板を搬送することが可能であるとともに、それら処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を処理槽に貯留された処理液中に浸漬しまたはその処理液から離脱させることができる。
【0023】
また、多機能処理部56の後方側には、第2基板浸漬機構57が配置されており、これに設けた上下動可能なリフターLH2によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を多機能処理部56の処理槽MB内に支持する。リフターLH2は、基板を保持して処理槽MBに当該基板を搬入するとともに処理槽MBから当該基板を搬出する役割を担っており、処理槽MBに対して基板を昇降させることによって当該基板を処理槽MBに貯留された処理液中に浸漬しまたはその処理液から離脱させることができる。なお、52a、56aはリフターLH1、LH2にそれぞれ設けられた基板を支持するための基板受部を示す。
【0024】
また、多機能処理部56には、蓋58が設けられている。蓋58は、その下部に駆動機構(図示省略)を有しており、当該駆動機構によって処理槽MBの上端部を開閉する開閉動作を行うことができる。蓋58は、処理槽MBの上端部を閉鎖することにより、処理槽MBに貯留された処理液への汚染物質の流入を防止するとともに、処理槽MB内の雰囲気が外部に漏洩するのを防ぐ役割を有している。
【0025】
基板収納部7は、基板取出部3と同様の構造を有し、昇降可能な一対のホルダ7a、7bによって、搬送ロボットTRに把持された処理済み基板を受け取ってカセットCS中に収納する。
【0026】
また、カセット搬出部8は、カセット搬入部2と同様の構造を有し、移動自在のカセット移載ロボットCR2を備え、基板収納部7上に載置された一対のカセットCSをカセットステージ8a上の所定位置に移載する。
【0027】
基板移載搬送機構9は、水平移動及び昇降移動が可能な搬送ロボットTRを備える。そして、この搬送ロボットTRに設けた一対の回転可能なハンド91、92よって基板を把持することにより、基板取出部3のホルダ3a、3bに支持された基板を基板処理部5の第1基板浸漬機構55に設けたリフターLH1側に移載したり、このリフターLH1側から隣りの第2基板浸漬機構57に設けたリフターLH2側に基板を移載したり、このリフターLH2側から基板収納部7のホルダ7a、7bに基板を移載したりする。
【0028】
<2.基板処理装置の制御機構>
次に、上記基板処理装置1の制御機構について説明する。図2は、図1の基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。この基板処理装置1には、卓上型コンピュータ等からなる制御部30が組み込まれており、オペレータは前記制御部30を介して装置に指令を与えたり、処理条件(通常レシピとして記述されており、以下「レシピ」と称する)の設定を行ったりできる。
【0029】
制御部30は、その本体部であるCPU31と、読み出し専用メモリーであるROM32と、読み書き自在のメモリーであるRAM33と、制御用ソフトウェア、データおよびレシピなどを記憶しておく磁気ディスク34と、付随する入出力機器とのインターフェイスである入出力ポート35と、基板処理装置を直接制御する部分とのインターフェイスであるネットワークポート36と、装置外部に設けられているホストコンピュータなどと通信を行う通信ポート37とを備えている。
【0030】
また、制御部30には、入出力ポート35を介してディスプレイ38とキーボード39とが付随して設けられている。オペレータはディスプレイ38の表示を確認しつつ、キーボード39からコマンドやパラメータを入力して、制御部30に指令を与えたり、磁気ディスク34に格納されているレシピの内容を編集・変更することができる。なお、ディスプレイ38とキーボード39との組み合わせを設けることに限定されず、例えば、タッチパネルなどのようにコマンドやパラメータを入力できるものを設置するようにしても良い。
【0031】
制御部30に入力された指令は、処理用のソフトウェアに基づいて処理され、必要に応じて当該制御部30からネットワークポート36を介してサブコントローラ40に伝達される。サブコントローラ40は、制御部30からの指令に基づいて、搬送ロボットTR、リフターLH1、LH2および蓋58等の動作を制御する。また、サブコントローラ40は、各処理槽への注排液等の制御も行う。なお、本実施形態においては、RAM33が記憶部に相当し、CPU31がサブコントローラ40を介してリフターLH1、LH2等の制御を行う制御手段に相当する。
【0032】
<3.処理手順>
次に、上記構成および制御機構を有する基板処理装置1における処理手順について説明する。装置全体としての基板処理の手順は、概ねカセット搬入部2からカセット搬出部8に向けて基板を順次搬送し、その搬送途中の基板処理部5において基板にエッチング等の薬液処理、純水による水洗処理および乾燥処理を行うというものである(図1参照)。ここでは、その全体工程の中の一工程として処理槽MBにて基板に浸漬処理を行うときの処理手順についてさらに詳述する。
【0033】
図3は、処理槽MBにて基板に浸漬処理を行うときの処理手順を示すフローチャートである。本実施形態の基板処理装置1において行われる処理は全てロット(一括して処理が行われる複数の基板の集合体)ごとに定められたレシピに従って行われる。既述したように、レシピはオペレータがキーボード39を介して編集したり、または通信ポート37を介して外部から入力され、磁気ディスク34に記憶される。あるロットを処理するときには、そのロットに対応するレシピが磁気ディスク34からRAM33に展開される。
【0034】
レシピには、処理ステップごとにその処理条件が記述されている。具体的には、例えば、ある処理ステップで薬液処理を行う旨、その処理を行うべき処理槽として処理槽MBを使用する旨および薬液処理の処理時間等が記述されている。従って、レシピには、処理槽MBにおける浸漬処理を行うべき処理時間が記述されているのであり、それがRAM33に記憶されていることとなる。なお、レシピに記述される処理時間とは、装置上の制約を考慮せず、基板の浸漬処理に必要な時間という処理上の観点のみから設定されたものである。具体的には、リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降してから再び上昇するべき時点までの時間、すなわちリフターLH2が処理槽MB内の処理位置に停止しているべき時間を示す。
【0035】
本実施形態の基板処理装置1においては、まず、CPU31がRAM33に展開されているレシピを参照する(ステップS1)。具体的には、RAM33に記憶されたレシピに記述されている浸漬処理に要する処理時間を確認する。
【0036】
次に、ステップS2に進み、CPU31が上記処理時間がしきい値よりも小さいか否かを判断する。ここでのしきい値とは、リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降した後に開始される搬送ロボットTRの移動や蓋58の開閉に要する動作時間に基づいて予め設定されたものであり、RAM33に記憶されている。処理時間がしきい値よりも小さいか否かを判断する意味は、以下のようなものである。
【0037】
すなわち、処理時間は基板の浸漬処理に必要な時間という処理上の観点のみから設定されたものであり、一方しきい値は搬送ロボットTRや蓋58の動作時間に基づいて定められているものであるため、レシピに記述されている処理時間がしきい値よりも小さいということは、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する前に浸漬処理が終了する予定であることを示している。そして、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了するまでは、干渉を防ぐためにリフターLH2が処理槽MB内の処理位置から上昇することはできない。従って、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了するまで浸漬処理が続行されることとなり、処理時間超過状態(例えば、オーバーエッチング状態)になるおそれがあるのである。
【0038】
これに対して、レシピに記述されている処理時間がしきい値以上である場合は、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する時点以降に浸漬処理が終了する予定であることを示している。従って、浸漬処理が終了したときには、既に搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了しており、直ちにリフターLH2が処理位置から干渉することなく上昇できるものと予想される。よって、レシピに記述されている処理時間の通りに浸漬処理が行われるものと予想されるのである。
【0039】
ステップS2における判断の結果、処理時間がしきい値よりも小さい場合、すなわち、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する前に浸漬処理が終了すると予想されるときは、ステップS3に進み、特別搬送の処理手順が実行される。一方、処理時間がしきい値以上である場合、すなわち、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する時点以降に浸漬処理が終了すると予想されるときは、ステップS4に進み、通常搬送の処理手順が実行される。以下、通常搬送の処理手順および特別搬送の処理手順のそれぞれについて具体的な動作例を示しつつ説明する。
【0040】
<3−1.通常搬送の処理手順>
図4は、通常搬送の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図の処理手順は、全てCPU31からの指示に基づいて行われるものである。また、図6から図9は、通常搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【0041】
上述のように、通常搬送の処理手順が実行されるのは、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する時点以降に浸漬処理が終了すると予想されるときである。従って、リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降して浸漬処理が開始されてから搬送ロボットTRや蓋58が動作を行ったとしても、浸漬処理が終了したときには、既に搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了しており、直ちにリフターLH2が処理位置から干渉することなく上昇でき、浸漬処理の処理時間に過不足は生じない。
【0042】
通常搬送の処理手順とは、このような浸漬処理中にも搬送ロボットTRや蓋58に動作を行わせる手順であり、従来と同様の処理手順でもある。
【0043】
まず、図6に示すように、基板W(厳密には、ロットであるが図示の便宜上ロットの端にある1枚の基板Wのみを描いており、以後の図7から図13においても同じである)を保持する搬送ロボットTRが処理槽MBの上方まで水平方向に、矢印A6にて示すように移動する(ステップS41)。なお、この時点では、リフターLH2は処理槽MB内に待機している。
【0044】
搬送ロボットTRが処理槽MBの上方に到達すると、図7に示す如く、リフターLH2が処理槽MB内から矢印A7にて示すように上昇し、搬送ロボットTRの一対のハンド91、92に把持された基板Wを突き上げるようにして受け取る(ステップS42)。
【0045】
次に、図8に示す如く、搬送ロボットTRが一対のハンド91、92を回転させて開放するとともに、リフターLH2が矢印A8にて示すように処理槽MB内の処理位置まで下降し、基板Wを処理槽MBに貯留された薬液中に浸漬させる(ステップS43)。
【0046】
リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降し、処理槽MBへの基板搬入が終了した後、ステップS44、S45、S46が実行される。すなわち、図9に示す如く、処理槽MB内においては基板Wの浸漬処理(ここでは、薬液処理)が開始され、それと同時に蓋58が矢印A91にて示すように閉鎖動作を開始し、搬送ロボットTRが矢印A92にて示すように水平方向の移動を開始する。なお、ステップS44、S45、S46については図4には便宜上時系列的に記載しているが、これらは同時に実行されるものであり、図4のような順序に限られるものではない。
【0047】
処理槽MB内における基板Wの浸漬処理は、レシピに記述されている処理時間に従って行われる。そして、その処理時間が経過したときには、基板Wは上記と逆の手順にてリフターLH2から搬送ロボットTRに渡される。すなわち、基板Wの浸漬処理が終了する前に、蓋58が開放動作を開始し、搬送ロボットTRが処理槽MBへ戻る移動動作を開始する。その後、リフターLH2が処理槽MB内の処理位置から上昇し、搬送ロボットTRに基板Wを渡す。
【0048】
ここで、図4の如き通常搬送の処理手順が実行されている場合は、基板Wの浸漬処理が終了したときに、搬送ロボットTRや蓋58の動作を完了させておくことが可能である。よって、基板Wの浸漬処理が終了したときには、上昇するリフターLH2が搬送ロボットTRや蓋58と干渉するおそれはなく、リフターLH2は直ちに処理槽MB内の処理位置から上昇し、搬送ロボットTRに基板Wを渡すことができる。つまり、レシピに記述されている処理時間の通りに基板Wの浸漬処理を行うことができるのである。
【0049】
<3−2.特別搬送の処理手順>
次に、特別搬送の処理手順について説明する。図5は、特別搬送の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図の処理手順も、全てCPU31からの指示に基づいて行われるものである。また、図10から図12は、特別搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【0050】
特別搬送の処理手順が実行されるのは、搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する前に浸漬処理が終了すると予想されるときである。従って、リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降して浸漬処理が開始されてから搬送ロボットTRや蓋58が動作を行うと、浸漬処理が終了したときには、未だ搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了しておらず、干渉防止のためリフターLH2は処理槽MB内の処理位置に待機しなければならず、浸漬処理の処理時間に超過が生じる。
【0051】
このため、特別搬送の処理手順として、基板Wの浸漬処理中には搬送ロボットTRや蓋58に動作を制限するような処理手順を実行するのである。
【0052】
まず、基板Wを保持する搬送ロボットTRが処理槽MBの上方まで移動し(ステップS51)、リフターLH2が搬送ロボットTRから基板Wを受け取る手順(ステップS52)までは上述した通常搬送の処理手順と同じである(図6、図7参照)。
【0053】
次に、特別搬送の処理手順においては、搬送ロボットTRから基板Wを受け取ったリフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで直接に下降するのではなく、一旦処理槽MBに貯留された処理液の液面位置まで下降する(ステップS53)。この液面位置とは、リフターLH2に保持される基板Wが着液する直上の位置である。
【0054】
そして、図10に示す如く、リフターLH2が液面位置まで下降した後、搬送ロボットTRが矢印A10にて示すように水平方向の移動を開始し、所定の待避位置まで移動する(ステップS54)。このときに、リフターLH2は液面位置まで下降しているため、リフターLH2と搬送ロボットTRとが干渉するおそれはない。
【0055】
次に、リフターLH2の待避位置までの移動が終了した後に、図11に示す如く、リフターLH2が矢印A11にて示すように処理槽MB内の処理位置まで下降し、基板Wを処理槽MBに貯留された薬液中に浸漬させる(ステップS55)。
【0056】
リフターLH2が処理槽MB内の処理位置まで下降し、処理槽MBへの基板搬入が終了した後、ステップS56に進み、基板Wの浸漬処理が開始される。なお、特別搬送の処理手順においては、基板Wの浸漬処理中であっても蓋58は閉鎖されることなく、開放されたままである。
【0057】
処理槽MB内における基板Wの浸漬処理は、レシピに記述されている処理時間に従って行われる。そして、その処理時間が経過したときには、基板Wは上記と逆の手順にてリフターLH2から搬送ロボットTRに渡される。すなわち、図12に示す如く、基板Wを保持するリフターLH2が上記液面位置まで矢印A12にて示すように上昇した後、搬送ロボットTRが処理槽MBの上方まで戻り、その後、リフターLH2が液面位置からさらに上昇し、搬送ロボットTRに基板Wを渡す(ステップS57)。
【0058】
ここで、図5の如き特別搬送の処理手順が実行されている場合は、基板Wの浸漬処理中には少なくとも処理槽MBの上方における搬送ロボットTRおよび蓋58の動作が行われていないのである。従って、基板Wの浸漬処理が終了したときには、リフターLH2が搬送ロボットTRや蓋58と干渉するおそれはなく、リフターLH2は直ちに処理槽MB内の処理位置から上昇することができる。つまり、レシピに記述されている処理時間の通りに基板Wの浸漬処理を行うことができるのである。なお、基板Wの浸漬処理中も蓋58が開放されたままとなっているが、特別搬送の処理手順が実行されているときは処理時間が短い場合であるため、実際上の問題は少ない。
【0059】
<3−3.通常搬送および特別搬送の意義>
以上のように、本実施形態の基板処理装置においては、レシピに記述されている処理時間がしきい値よりも小さいか否かを判断し、しきい値よりも小さい場合は特別搬送の処理手順を実行し、しきい値以上である場合は通常搬送の処理手順を実行するようにしている。ここで、通常搬送および特別搬送の意味するところについてさらに説明する。図13は、通常搬送および特別搬送の内容を説明するための図である。
【0060】
リフターLH2は、搬送ロボットTRとの間で基板Wの受渡を行う受渡位置、処理槽MBに貯留された処理液の直上である液面位置および処理槽MB中において基板Wの浸漬処理を行うための処理位置の間で矢印A131にて示すように鉛直方向に昇降する。この受渡位置と処理位置との間(矢印A131にて示す範囲)がリフターLH2の移動可能範囲である。
【0061】
一方、搬送ロボットTRは処理槽MBの上方にて矢印A132にて示すように基板Wを水平方向に搬送することができる。また、蓋58は処理槽MBの上端部を開閉することができる。この開閉動作は、矢印A133にて示すような水平方向の動作である。
【0062】
図13から明らかなように、リフターLH2が基板Wの受渡を行う受渡位置に位置するときに、搬送ロボットTRの水平方向に移動すると、干渉領域IF1において搬送ロボットTRとリフターLH2とが干渉する。また、リフターLH2が処理槽MBの上端部(液面位置近傍)に位置するときに、蓋58が閉鎖動作を行うと、干渉領域IF2において蓋58とリフターLH2とが干渉する。
【0063】
通常搬送の処理手順を実行するとき、すなわち搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する時点以降に浸漬処理が終了する予定のときは、リフターLH2が処理槽MBへの基板Wの搬入を終了してから当該基板Wの搬出を開始するまでの間(基板Wの浸漬処理中)に搬送ロボットTRや蓋58が動作を行ったとしても、基板Wの浸漬処理終了時点においては搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了しているため、リフターLH2は直ちに上昇できる(基板Wの浸漬処理を終了できる)のである。従って、レシピに記述されている処理時間(処理内容に必要十分な処理時間)の通りに基板Wの浸漬処理を行うことができる。
【0064】
つまり、通常搬送とは、リフターLH2が処理槽MBへの基板Wの搬入を終了してから当該基板Wの搬出を開始するまでの間であっても、干渉領域IF1における搬送ロボットTRの動作および干渉領域IF2における蓋58の動作を許すような搬送であると言える。
【0065】
一方、特別搬送の処理手順を実行するとき、すなわち搬送ロボットTRや蓋58の動作が終了する前に浸漬処理が終了する予定のときは、リフターLH2が処理槽MBへの基板Wの搬入を終了してから当該基板Wの搬出を開始するまでの間(基板Wの浸漬処理中)は少なくとも処理槽MBの上方における搬送ロボットTRおよび蓋58の動作が行われていないため、基板Wの浸漬処理終了と同時に、リフターLH2は直ちに上昇できる(基板Wの浸漬処理を終了できる)のである。従って、この場合も、レシピに記述されている処理時間(処理内容に必要十分な処理時間)の通りに基板Wの浸漬処理を行うことができる。
【0066】
つまり、特別搬送とは、リフターLH2が処理槽MBへの基板Wの搬入を終了してから当該基板Wの搬出を開始するまでの間は、少なくとも干渉領域IF1における搬送ロボットTRの動作および少なくとも干渉領域IF2における蓋58の動作を回避させるような搬送であると言える。さらに換言すれば、特別搬送とは、レシピに記述されている処理時間通りの処理を行うことを最優先とし、そのための障害となるような搬送ロボットTR等の動作を制限するような搬送である。
【0067】
このように、レシピに記述されている処理時間がしきい値よりも小さいか否かによって、特別搬送または通常搬送のいずれかを行わせることにより、レシピに記述されている処理時間の長短にかかわらず、処理内容に必要十分な処理時間の浸漬処理を行うことができる。
【0068】
従って、レシピに記述する処理時間を短くすれば、浸漬処理の処理時間をその処理内容に応じて短くすることができる。
【0069】
また、浸漬処理の処理時間を短くできることによって、装置全体としてのスループットが向上する場合もある。
【0070】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、特別搬送の処理手順を実行するときに、搬送ロボットTRを待避位置まで待避させていたが、処理槽MBの上方に搬送ロボットTRをそのまま待機させておいても良い。また、基板Wの浸漬処理中であっても、干渉領域IF1以外であれば、搬送ロボットTRを移動させるようにしても良い。すなわち、リフターLH2が処理槽MBへの基板Wの搬入を終了してから当該基板Wの搬出を開始するまでの間において、少なくとも干渉領域IF1における搬送ロボットTRの動作が回避されていれば良いのである。
【0071】
また、上記実施形態においては、リフターLH2を対象として説明したが、リフターLH1(図1参照)についても、処理時間としきい値との比較結果に応じて特別搬送または通常搬送のいずれかを行わせることにより、処理内容に必要十分な処理時間の浸漬処理を行うことができる。
【0072】
また、上記実施形態においては、しきい値は特定の値に固定したが、例えば、搬送ロボットTRや蓋58の動作速度を高低変更自在にしておき、搬送ロボットTRや蓋58等の動作速度を変更するに応じて、しきい値を大小変更して設定指示できるようにしてもよく、しきい値は、状況に応じて予め複数の値に設定変更できるようにしておいてもよい。
【0073】
また、本発明に係る基板処理装置は、薬液槽および水洗槽のそれぞれを個別に備えるいわゆる多槽式の装置であっても、一つの処理槽において薬液処理や洗浄処理を繰り返すいわゆるワンバスタイプの装置のいずれであっても良い。
【0074】
また、上記実施形態においては、処理槽に貯留された処理液に基板を浸漬して浸漬処理を行う形式の基板処理装置としていたが、これに限定されるものではなく、基板を1枚ずつ複数の処理部に循環搬送し、その基板を回転させつつフォトレジストの塗布処理や現像処理を行う枚葉式の基板処理装置としても良い。枚葉式の装置については、例えば、搬出入手段たる搬送アームが処理部たるホットプレートに基板を搬出入するときにおいて、ホットプレートのシャッター(動作手段)の開閉動作と搬送アームとが干渉するような場合に本発明に係る技術を適用することができる。すなわち、搬出入手段の移動可能範囲のいずれかに搬出入手段が位置するときに、動作手段の動作が搬出入手段と干渉するような場合であれば本発明に係る技術を適用することができるのである。
【0075】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、記憶部に記憶されている処理時間が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、搬出入手段が処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間は干渉が生じる干渉領域における動作手段の動作を回避させるとともに、上記処理時間がしきい値以上である場合には、搬出入手段が処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間の干渉が生じる干渉領域における動作手段の動作を許すようにしているため、処理部での処理内容に必要十分な処理時間の処理を行うことができ、記憶部に記憶されている処理時間を短くすれば、処理部における処理終了と同時に搬出入手段が処理部から基板を搬出することができ、処理部での処理時間をその処理内容に応じて短くすることができる。
【0079】
また、請求項2の発明によれば、記憶部に記憶されている処理時間が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、リフターが処理槽への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間は干渉が生じる干渉領域における搬送ロボットの動作を回避させるとともに、上記処理時間がしきい値以上である場合には、リフターが処理槽への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間の干渉が生じる干渉領域における搬送ロボットの動作を許すようにしているため、処理槽での処理内容に必要十分な処理時間の処理を行うことができ、記憶部に記憶されている処理時間を短くすれば、処理槽における処理終了と同時にリフターが処理槽から基板を搬出することができ、処理槽での浸漬処理の時間をその処理内容に応じて短くすることができる。
【0080】
また、請求項3の発明によれば、記憶部に記憶されている処理時間が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、リフターが処理槽への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間は干渉が生じる干渉領域における蓋の動作を回避させるとともに、上記処理時間がしきい値以上である場合には、リフターが処理槽への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間の干渉が生じる干渉領域における蓋の動作を許すようにしているため、処理槽での処理内容に必要十分な処理時間の処理を行うことができ、記憶部に記憶されている処理時間を短くすれば、処理槽における処理終了と同時にリフターが処理槽から基板を搬出することができ、処理槽での浸漬処理の時間をその処理内容に応じて短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。
【図3】処理槽にて基板に浸漬処理を行うときの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】通常搬送の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】特別搬送の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図4の通常搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図7】図4の通常搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図8】図4の通常搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図9】図4の通常搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図10】図5の特別搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図11】図5の特別搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図12】図5の特別搬送の処理手順による動作例を説明するための図である。
【図13】通常搬送および特別搬送の内容を説明するための図である。
【符号の説明】
31 CPU
33 RAM
58 蓋
IF1、IF2 干渉領域
LH1、LH2 リフター
MB 処理槽
TR 搬送ロボット
W 基板
Claims (3)
- 基板に所定の処理を行う処理部と、前記処理部における前記処理に要する処理時間を記憶する記憶部と、基板を保持して前記処理部に当該基板を搬入するとともに前記処理部から当該基板を搬出する搬出入手段と、前記搬出入手段の移動可能範囲のいずれかに前記搬出入手段が位置するときに、その動作が前記搬出入手段と干渉する動作手段と、を備える基板処理装置において、
前記記憶部に記憶されている前記処理時間が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、前記搬出入手段が前記処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間は前記干渉が生じる干渉領域における前記動作手段の動作を回避させるとともに、前記処理時間が前記しきい値以上である場合には、前記搬出入手段が前記処理部への基板の搬入を終了してから当該基板の搬出を開始するまでの間の前記干渉が生じる干渉領域における前記動作手段の動作を許すように前記動作手段を制御する制御手段と、
を設けたことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理部は、処理液を貯留し、基板を当該処理液中に浸漬することによって浸漬処理を行う処理槽であり、
前記搬出入手段は、前記処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を前記処理液中に浸漬しまたは前記処理液から離脱させるリフターであり、
前記動作手段は、前記処理槽の上方にて基板を略水平方向に搬送し、前記リフターと基板の受渡が可能であり、前記リフターが前記基板の受渡を行う受渡位置に位置するときに、その略水平方向の移動が前記リフターと干渉する搬送ロボットであることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理部は、処理液を貯留し、基板を当該処理液中に浸漬することによって浸漬処理を行う処理槽であり、
前記搬出入手段は、前記処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を前記処理液中に浸漬しまたは前記処理液から離脱させるリフターであり、
前記動作手段は、前記処理槽の上端部を開閉し、前記リフターが前記処理槽の上端部に位置するときに、その閉鎖動作が前記リフターと干渉する蓋であることを特徴とする基板処理装置。
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