JP3708059B2 - 熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムに関し、特に、二軸方向への熱収縮性に優れたポリ乳酸系二軸延伸フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、機械的強力や耐熱性や寸法安定性に優れた材料としてポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンが知られており、これらを用いた延伸フィルムが産業界で幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、これらのプラスチックフィルムは、その使用後に廃棄処理される際に、焼却処理を行うと、焼却時の発熱量が高いためその処理中に焼却炉を傷める恐れがあり、埋め立てによる廃棄処理を行うと、これらのプラスチック類は、化学的、生物学的安定性のためにほとんど分解せずに残留する。そのため、近年の環境保全に対する社会的要求の高まりに伴い、微生物などにより分解可能な生分解性を有し、コンポストでの堆肥化処理が可能な生分解性を有する樹脂からなるフィルムが要求されている。生分解性樹脂の中でもポリ乳酸は、各種でんぷんや糖類などを発酵して得られる乳酸を重合した植物由来の原料で、最終的には再び炭酸ガスと水となって地球的規模で環境リサイクルされる理想的なポリマー原料として各種用途に利用され始めている。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸は硬くて脆いという性質を有し、ポリ乳酸からなる無延伸フィルムは、強度や伸度が低く、耐衝撃性に劣るため、そのままでは成形体としての実用性が不足する。
【0005】
そこでポリ乳酸の脆性を向上するために、一軸あるいは二軸延伸して配向させる方法が知られており、一般的には、機械的強力や衝撃強度の向上や改善を図るために、二軸延伸処理によりフィルム化される。このようなポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムは、情報記録材料(磁気カード)、工業用パッケージ、農業用マルチフィルムなどに展開され、一部は実用化に至っているものもある。
【0006】
しかしながら、これらのポリ乳酸系二軸延伸フィルムには、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムに代表されるような機械的強力と熱収縮性とを併せ持つものではなく、いわゆる低熱収縮オーバーラッピング包装フィルムに関する実用化例はほとんどみられない。例えば、特開平7−256753号公報、特開平9−187863号公報には、ポリ乳酸系重合体からなる熱収縮性二軸延伸フィルムが開示されているが、いずれもプラスチック製ボトル結束用への展開として低温高熱収縮性を意図したものであり、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムのように機械的強力と熱収縮性とを併せ持つものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、機械的強力に優れ、適度な二軸方向への熱収縮性を有するだけでなく熱収縮後の外観性にも優れ、寸法安定性に優れているため印刷性の良好な熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムおよびその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、特定のポリ乳酸系樹脂を特定の延伸条件下で二軸延伸処理することで、機械的強力を維持しながらも適度な二軸方向への熱収縮性を有し、かつ印刷やコーティング等の二次加工に耐えうる寸法安定性を有し、さらにシュリンク後の包装外観に優れたポリ乳酸系二軸延伸フィルムが得られることを見出し本発明に至ったものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸系樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、前記ポリ乳酸系樹脂はL−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜94/6(モル%)であり、前記フィルムの80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率が6%以下であり、前記フィルムの融点よりも10℃低い温度における前記フィルムの縦方向または横方向の少なくとも一方向への熱収縮率が30%以上であり、前記フィルムの融点よりも10℃低い温度における前記フィルムの縦方向と横方向との熱収縮率比が1.0〜1.3の範囲であることを特徴とする熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムを要旨とするものである。
【0009】
また、本発明は、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜94/6(モル%)であるポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系樹脂を溶融製膜し、フィルムの縦延伸倍率をX、横延伸倍率をYとしたときに、前記Xが2.5倍以上であり、前記Yが2.0倍以上であり、XのYに対する延伸倍率比(X/Y)が0.6〜1.5の範囲となるように二軸延伸してフィルム化し、その後に100〜130℃で3〜30秒間の熱固定処理を行い、さらに2〜10%の条件下で弛緩処理することを特徴とするポリ乳酸系二軸延伸フィルムの製造方法を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムは、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜94/6(モル%)であるポリ乳酸系樹脂からなる必要がある。ポリ乳酸系樹脂に占めるD−乳酸の含有量が6モル%を越えると、ポリ乳酸系樹脂は明確な融点を示さなくなり、結晶性に乏しいものとなる。その結果、延伸時の厚み精度が著しく悪化し、なおかつ延伸後の熱セットによる配向結晶化が進行しなくなるため、フィルムの巻き取り時にフィルムに割れや裂けが発生するという問題が生じるだけでなく、二次加工の面でもフィルムテンションによるフィルム破断や、ブロッキングによるトラブルが発生する。また、L−乳酸を単独で使用してもよいが、D−乳酸が配合されているほうが結晶性が緩和され、製膜性の良いものが得られる。従って、本発明においては、L−乳酸とD−乳酸とが、(L−乳酸)/(D−乳酸)=99/1〜95/5(モル%)の範囲で配合されていることが、より好ましい。なお、L−乳酸とD−乳酸とは、上記の割合で配合されていれば共重合体であってもブレンド体であっても良い。
【0011】
ポリ乳酸系樹脂の数平均分子量は、5万〜30万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは8万〜15万である。数平均分子量が5万未満であると、得られるフィルムは機械的強力に劣るものとなり、延伸工程や巻き取り工程での切断も頻繁に起こり、操業性の低下を招く。一方、数平均分子量が30万を越えると、加熱溶融時の流動性が乏しくなって製膜性が低下する。
【0012】
ポリ乳酸系樹脂を得るための重合法としては、縮合重合法及び開環重合法のいずれの方法を採用することも可能であり、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物,ジエポキシ化合物,酸無水物等を使用してもよい。
【0013】
また、製造工程あるいは二次加工工程でのハンドリング、フィルム走行性の面からアンチブロッキング剤を添加することもできる。アンチブロッキング剤とは、シリカ、二酸化チタン、タルク、アルミナ等の安定な金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム等の安定な金属塩、またはポリ乳酸に対して不活性な有機樹脂からなるいわゆる有機系ビーズが好適に使用できる。これらのアンチブロッキング剤はいずれか1種類を単独で用いても良く、また2種類以上を併用しても良い。
【0014】
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムは、オーバーラッピング包装等に好適な機械的強力と熱収縮性とを併せ持つように、上記のポリ乳酸系樹脂の結晶性、融点等の樹脂特性に合わせて延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、リラックス率を適宜調整することにより、熱収縮率及び縦横の熱収縮率比を以下の範囲内にコントロールする必要がある。
【0015】
オーバーラッピング包装等に使用されるフィルムには、印刷やコーティングなどの二次加工処理が行われる。印刷工程やコーティング工程におけるインキや接着剤溶剤の乾燥は、通常は80℃付近で行われることが多いため、少なくとも80℃の熱履歴による熱変形を抑える必要がある。従って、本発明においては、80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率を6%以下とする必要がある。80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率が6%を超えると、フィルムは寸法安定性に劣るものとなり印刷工程やコーティング工程で印刷ずれなどを生じ、包装後の外観が著しく損なわれることとなる。従って、80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率は、4%以下であることが好ましい。
【0016】
また、フィルムの適度なシュリンク性という観点から、フィルムの融点より10℃低い温度において、フィルムの縦方向または横方向の少なくとも一方向への熱収縮率が30%以上であり、かつ、フィルムの縦方向と横方向との熱収縮率比が0.6〜1.5の範囲である必要がある。フィルム融点より10℃低い温度においてフィルムの縦方向または横方向の少なくとも一方向への熱収縮率が30%未満であると、十分なシュリンク性が得られず、包装後の外観はタイト感のないものとなり商品価値が低くくなる。また、フィルム融点より10℃低い温度においてフィルムの縦方向と横方向との熱収縮率比が0.6未満あるいは1.5を超えるものであると、縦横間の熱収縮率差が大きいため、たるみや収縮しわが発生して、同様に商品価値の低いものとなる。なお、本発明においてフィルム融点より10℃低い温度とは、シュリンク工程において適度なシュリンク性をもたらす加工温度を意味するものである。フィルムの融点は、使用されるポリ乳酸系樹脂のL−乳酸/D−乳酸の含有比に応じて異なるが、フィルム融点より10℃低い温度での熱収縮率および熱収縮率比が上記の範囲にあることにより、二軸方向の熱収縮性を有し、かつシュリンク後の包装外観に優れたフィルムとすることができる。
【0017】
また、本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムは、100℃以上でかつフィルムの融点よりも10℃低い温度以下の温度範囲において、フィルムの最大熱収縮応力が0.7MPa以上であり、フィルムの縦方向と横方向との最大熱収縮応力比が0.6〜2.0の範囲にあることが好ましい。前記の温度範囲において、フィルムの最大熱収縮応力が0.7MPa未満であると、十分な機械的強力が得られない傾向にあり、フィルムの縦方向と横方向との最大熱収縮応力比が0.6未満、あるいは2.0を超えると、同様に機械的強力に劣る傾向にある。従って、フィルムの最大熱収縮応力は1.0〜3.0MPaの範囲であることがより好ましく、フィルムの縦横の最大熱収縮応力比は0.8〜1.6の範囲であることがより好ましい。
【0018】
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムには、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理をしても良く、フィルムの表面処理は印刷性の向上の点から有効な手段である。中でもコロナ放電処理は簡便さの点から好ましい。コロナ放電処理は、フィルム製造工程中いわゆるオンラインに行っても、スリット時いわゆるオフライン時に行っても良いが、いずれの場合も二次加工における印刷性や接着剤の密着力の点から、処理面のぬれ張力が40mN/mを超えるよう処理することが望ましい。
【0019】
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムには、必要に応じて顔料,酸化防止剤,可塑剤,紫外線吸収剤,滑剤,結晶核剤、帯電防止剤等を任意の割合で添加してもよい。
【0020】
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、用途や要求性能や価格等によって適宜設定すればよいが、10〜200μm程度の厚さであるのが適当である。
【0021】
以下に、本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明する。
本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法等が挙げられるが、Tダイを用いて溶融混練して押出すTダイ法が好ましい。
【0022】
Tダイ法により製造する場合には、特定のポリ乳酸にさらに必要に応じて可塑剤、滑剤を適量配合したポリ乳酸系樹脂組成物を押出機ホッパーに供給し、押出機を例えば、シリンダー温度180〜260℃、Tダイ温度200〜250℃に加熱し、溶融混練して押し出し、20〜40℃に制御された冷却ロールで冷却し、厚さ100〜500μmの未延伸フィルムを得る。
【0023】
未延伸フィルムの延伸方法としては、テンター方式による同軸二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸法のいずれでもよい。また、延伸倍率や延伸軌跡を自由に選択できる点で、リニアモーター駆動方式を用いることも有効である。
【0024】
未延伸フィルムに二軸延伸処理を行う際には、フィルムの縦延伸倍率をX、横延伸倍率をYとしたときに、縦延伸倍率Xが2.5倍以上であり、横延伸倍率Yが2.0倍以上であり、XのYに対する延伸倍率比(X/Y)が0.6〜1.5の範囲となるようにして延伸処理することが必要である。縦延伸倍率Xが2.5倍未満である、あるいは横延伸倍率が2.0倍未満であると、十分な機械的強力が得られず、実用性に劣るものとなる。また、縦延伸倍率X及び横延伸倍率Yの上限は特に限定されるものではないが、フィルムに上記のような特定の熱収縮率及び熱収縮率比を発現させるためには、縦方向と横方向の延伸倍率比(X/Y)が0.6〜1.5の範囲となるように延伸処理することが好ましい。縦方向と横方向の延伸倍率比が0.6未満あるいは1.5を超えると、フィルムの縦横の熱収縮率差が大きくなり過ぎて二軸方向にバランスした熱収縮特性が得られ難くなる。
【0025】
上記の延伸処理が行われた後、80℃付近での二次加工時の寸法安定性及びフィルム融点付近での適度なシュリンク性の発現のために、延伸倍率やフィルム走行速度に応じて100〜130℃で3〜30秒間の熱固定処理を行うことが必要である
【0026】
また、熱固定処理後に縦横の熱収縮率比を調整するため、2〜10%の条件下で弛緩処理することが必要である
このようにして得られた本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムは、菓子袋等の食品包装材料や、医薬品などの包装材料や、磁気テープ、磁気ディスク等の個包装あるいは集積包装に適した低熱収縮オーバーラッピング用途の包装材料として好適に使用でき、その他にもハム、ソーセージ等の食品包装、PETボトル等のプラスチックボトルやガラスびんのラベルやキャップ等として好適に使用できる。またゴミとして廃棄された場合には、土壌中で微生物により分解され、自然環境、野生動物に対する環境負荷を軽減することができる。
【0027】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各種物性値の測定は以下の方法により実施した。
(1)フィルムの融点(℃):示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて、試料質量を10mg、昇温速度を10℃/分で測定し、得られた融解熱曲線において吸熱ピークが最大となる温度を融点とした。
(2)熱収縮率(%):試料長(MD方向)が150mm、試料幅(TD方向)が10mmの試料片を作製し、この試験片を熱風乾燥機に80℃で5分間熱処理した。そして、下記式より、試験片の80℃における縦方向(MD方向)の熱収縮率と横方向(TD方向)の熱収縮率とをそれぞれ求めた。また、(フィルムの融点−10)℃の温度で5分間熱処理したものについても同様にして縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)の熱収縮率をそれぞれ求めた。
熱収縮率(%)=[(熱処理前試料長−熱処理後試料長)/熱処理前試料長]×100
本発明においては、フィルムの縦方向(MD)と横方向(TD)との熱収縮率比(MD/TD)が0.6〜1.5の範囲にあるものを合格とした。
(3)最大熱収縮応力(MPa):熱物理分析計(TAインスツルメント社製、TMA2940)を用い、幅4.5mmに切り出したフィルムを室温からフィルム融点まで10℃/分の昇温速度で昇温した際の最大応力を初期断面積(試料巾×厚み)で割ることにより求めた。
【0028】
本発明においては、フィルムの縦方向(MD)と横方向(TD)との最大熱収縮応力比(MD/TD)が0.6〜2.0の範囲にあるものを合格とした。
(4)シュリンク性:磁気カセットテープケースを対象として、(フィルム融点−10)℃でのシュリンク工程後のフィルム外観を目視により観察し、下記のように評価した。
【0029】
○:しわの発生がなかったまたはタイト感があり見栄えがよかった
△:シール部のしわが目立ったまたは熱収縮不足によるだぶつきが見られた
×:しわが著しかったまたは外観のだぶつきが著しかった
本発明においては、評価が○であるものを合格とした。
(5)印刷性:ポリ乳酸系二軸延伸フィルムから幅540mm、長さ100mの試験フィルムを切り出し、このフィルムの一方の面(表面処理面)に、2液ウレタンインキ(大日本インキ化学工業社製)を用いて2色のトンボの図柄をそれぞれ40cmピッチで印刷できるグラビアコータで印刷した。そして、トンボの間隔を測定して印刷ピッチのずれを求め、下記のように評価した。
【0030】
印刷ピッチずれ
○:印刷ピッチずれが2mm以下であり、印刷ピッチのずれが殆ど認められなかった
△:印刷ピッチずれが2mmを超え5mm以下であり、若干の印刷ピッチのずれが認められた
×:印刷ピッチずれが5mmを超え、印刷ピッチのずれが著しかった
本発明においては、評価が○であるものを合格とした。
(6)総合評価:全ての項目が合格であり、二軸方向へのバランスした熱収縮性フィルムであったものを○、不合格の項目が有った、あるいは二軸方向へのバランスした熱収縮フィルムが得られなかったものを×で表した。
実施例1
ポリ乳酸として、数平均分子量が95,000、MFRが6.5g/10分(210℃)、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=98.8/1.2(モル%)であるポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマー社製)を用いた。このポリ乳酸100質量部に対し、アンチブロッキング剤として平均粒径が1.4μmの不定形シリカ(富士シリシア化学社製、サイリシア310P)0.1質量部を配合した。
【0031】
このポリ乳酸系樹脂組成物を、90mmφの口径を有する単軸押出機で230℃で溶融し、Tダイにてシート状に押し出し、同時に表面温度が20℃のキャストロールで急冷固化して厚さ230μmの未延伸フィルムを得た。樹脂の押し出し量は、後述の延伸倍率を考慮して、フィルム厚みが最終的に25μmとなるように調整した。
【0032】
得られた未延伸シートを倍率可変型の同時二軸延伸機に供給して、ステンター内の予熱温度85℃、延伸温度80℃として、縦(MD)方向に3.0倍、横(TD)方向に3.0倍の延伸倍率となるように同時二軸延伸を行い、続いて117℃で10秒の熱固定処理を行い、横方向のリラックス率を3%として、厚み25μmの二軸延伸フィルムを作製した。
【0033】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003708059
実施例2
ポリ乳酸として、数平均分子量が97,000、MFRが6.0g/10分(210℃)、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=98.0/2.0(モル%)であるポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマー社製)を用いた。また、ステンター内の予熱温度を80℃、延伸温度を78℃として、熱固定処理を115℃で10秒間とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作製した。
【0035】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
実施例3
ポリ乳酸として、数平均分子量が94,000、MFRが7.0g/10分(210℃)、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=95.5/4.5(モル%)であるポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマー社製)を用いた。また、延伸温度を77℃とし、熱固定処理を112℃で10秒間とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作製した。
【0036】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
実施例4
実施例3と同様にして厚み300μmの未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、予熱ロール65℃、延伸ロール74℃とした逐次二軸延伸機を用いて縦方向に3.0倍延伸し、引き続いて82℃の延伸温度で横方向に4.0倍延伸処理した。得られた延伸フィルムに横方向のリラックス率を7%として、115℃で10秒間の熱固定処理を施し、二軸延伸フィルムを得た。
【0037】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
実施例1〜4は、いずれもポリ乳酸を構成するL−乳酸とD−乳酸との割合が本発明の範囲内であり、このポリ乳酸の結晶性や融点等の樹脂特性に合わせて延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、リラックス率を適宜調整したため、フィルムの80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率、フィルムの融点よりも10℃低い温度におけるフィルムの少なくとも一方向への熱収縮率とフィルムの縦横の熱収縮率比を本発明の範囲内とすることができ、最大熱収縮応力及び最大熱収縮応力比が高く機械的特性に優れ、適度な熱収縮性を有し、しかも熱収縮後の外観性にも優れたシュリンク性の良いフィルムが得られ、さらに寸法安定性に優れており印刷性の良い二軸延伸フィルムが得られた。この二軸延伸フィルムは、いわゆる低熱収縮オーバーラッピング包装材料として好適に使用でき、その他にもハム、ソーセージ等の食品包装、PETボトル等のプラスチックボトルやガラスびんのラベルやキャップ等として好適に使用できるものであった。
比較例1
MD方向への延伸温度を70℃とし、延伸倍率を2.0倍とした。続くTD方向への延伸温度を78℃とし、延伸倍率を3.5倍とした。そしてそれ以外は実施例4と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0038】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
比較例2
MD方向への延伸温度を70℃とし、延伸倍率を2.0倍とした。続くTD方向への延伸温度を76℃とし、延伸倍率を3.0倍とした。そしてそれ以外は実施例4と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0039】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
比較例3
MD方向への延伸温度を80℃とし、延伸倍率を4.8倍とした。続くTD方向への延伸温度を85℃とし、延伸倍率を3.0倍とした。また、横方向のリラックス率を10%とするとともに、熱固定処理を120℃で10秒間とした。そしてそれ以外は実施例4と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0040】
得られたフィルムの物性等を表1に示す。
比較例4
ポリ乳酸として、数平均分子量が90,000、MFRが7.5g/10分(210℃)、L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=85.0/15.0(モル%)であるポリ乳酸(カーギル・ダウ・ポリマー社製)を用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。ステンター内の予熱温度を70℃、延伸温度を67℃とした以外は実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに同時二軸延伸処理を施した。次いで、リラックス率を5%として90℃で10秒間の熱固定処理を施そうとしたが、熱固定処理時に溶断を起こしてフィルム化できなかった。
比較例5
ポリ乳酸の代りに脂肪族ポリエステル(昭和高分子社製、ビオノーレ1903)を用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。ステンター内の予熱温度を60℃、延伸温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに同時二軸延伸を施した。次いで、横方向のリラックス率を5%として80℃で10秒間の熱固定処理を施そうとしたが、熱固定時に溶断を起こしてフィルム化できなかった。
【0041】
比較例1は、縦延伸倍率が低く、かつ延伸倍率比が本発明の範囲よりも小さかったため、二軸方向にバランスした熱収縮性が得られず、機械的強力も低くなり、印刷性にも劣るものとなった。
【0042】
比較例2は、縦延伸倍率が本発明の範囲よりも低かったため、シュリンク性に劣り、包装後の外観にタイト感がなく、印刷性にも劣るものとなった。
比較例3は、延伸倍率比が本発明の範囲を超えていたためフィルムの融点よりも10℃低い温度における熱収縮比が本発明の範囲よりも大きくなり、シュリンク処理後のフィルムには、しわやだぶつきといった外観悪化が生じ、シュリンク性に劣るものとなった。
【0043】
比較例4は、L−乳酸とD−乳酸の配合割合が本発明の範囲を外れるポリ乳酸を用いたため、また、比較例5は、本発明のポリ乳酸の代りに脂肪族ポリエステルを用いたため、いずれも延伸処理後のフィルムはステンター内で溶断を起こしてフィルム化できなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムによれば、特定の条件下で二軸延伸処理を行うことで、機械的物性を損なうことなく、適度な二軸方向の熱収縮性を有し、かつ印刷性やシュリンク性に優れたフィルムが得られる。このような二軸延伸フィルムは、菓子袋などの食品包装材料や、医薬品などの包装材料、磁気テープ、磁気ディスク等の個別包装あるいは集積包装に適した低熱収縮オーバーラッピング包装材料や、プラスチックボトルやガラスびんに使用されるラベルやキャップとして好適に使用できる。またゴミとして廃棄された場合には、土壌中で微生物により分解され、自然環境、野生動物に対する環境負荷を軽減することができる。
【0045】
また、本発明の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルムの製造方法によれば、本発明のポリ乳酸系二軸延伸フィルムを容易に実現できる。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸系樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、前記ポリ乳酸系樹脂はL−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜94/6(モル%)であり、前記フィルムの80℃における縦方向及び横方向の熱収縮率が6%以下であり、前記フィルムの融点よりも10℃低い温度における前記フィルムの縦方向または横方向の少なくとも一方向への熱収縮率が30%以上であり、前記フィルムの融点よりも10℃低い温度における前記フィルムの縦方向と横方向との熱収縮率比が1.0〜1.3の範囲であることを特徴とする熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルム。
  2. 100℃以上でかつフィルムの融点よりも10℃低い温度未満の温度範囲において、フィルムの最大熱収縮応力が0.7MPa以上であり、フィルムの縦方向と横方向との最大熱収縮応力比が1.0〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリ乳酸系二軸延伸フィルム。
  3. L−乳酸とD−乳酸との割合が(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜94/6(モル%)であるポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系樹脂を溶融製膜し、フィルムの縦延伸倍率をX、横延伸倍率をYとしたときに、前記Xが2.5倍以上であり、前記Yが2.0倍以上であり、XのYに対する延伸倍率比(X/Y)が0.6〜1.5の範囲となるように二軸延伸してフィルム化し、その後に100〜130℃で3〜30秒間の熱固定処理を行い、さらに2〜10%の条件下で弛緩処理することを特徴とするポリ乳酸系二軸延伸フィルムの製造方法。
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