JP3706070B2 - 靴 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は靴、特に足にフィットさせるための靴紐を備える靴であって、釣用として好適な靴に関する。
【0002】
【従来の技術】
靴を履いた後に、靴の甲被部を靴紐により緊締する構成のものが知られている。このような従来の靴は、靴紐の結紐部を解いて緩めることで着用を容易に行うことができる。また、甲被部を靴紐でしっかりと緊締することで、甲被部を足にうまくフィットさせることができ、着用感に優れるという利点がある。その為、日常はもちろん運動時に着用する靴としても広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の靴にあっては、結紐部が解けてしまった場合、自分で靴紐を踏んでしまい転倒する危険がある。また、釣場、特に磯場など傾斜していたり、岩が凹凸形状になっている場所では、靴紐の結紐部が岩などに引っ掛かり、足をとられてしまうことがある。磯場などで足をとられて転倒すると思わぬ事故につながるため、大変危険である。
【0004】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、靴紐を備えた靴において、結紐部の引っ掛かり及び結紐部の解けを防止し、安全に装着することのできる靴を提供することを課題とする。
【0005】
本発明は、靴紐を備えた靴において、靴紐6の結紐部8を覆うと共に、覆った状態を保持可能なカバー体10を備え、該カバー体10をその長手方向が靴の左右方向となる帯状として靴紐のうちその結紐部8のみを覆う構成とし、該カバー体10は伸縮性を有して、靴の長手方向に伸ばすようにして前記結紐部8を覆うものであることを特徴としている。
【0006】
かかる構成によれば、靴を履き、靴紐6を結んで結紐部8を形成した後に、カバー体10を左右方向に伸ばすようにして結紐部8を覆う。そしてカバー体10が外れないようにその覆った状態をカバー体10の張力で抑え付けて確実に保持するとともに、カバー体10の下に結紐部8を隠すことができる。また、靴の着用時及び着用後にカバー体10から結紐部8の一部が食み出たとしても、カバー体10を伸ばすことでカバー体10の下に容易に押し込むことができる。ここで言う結紐部8とは、靴紐6の結び目及び結び目を形成した後の余剰部分、蝶結びの場合はループ部分を含むものである。
【0007】
また、本発明では、前記カバー体10は、足の甲部を覆っている靴の甲被部1の少なくとも一部が露出するよう設けられていることが好ましい。このように甲被部1の少なくとも一部をカバー体10で覆うことなく露出させることで、靴内部の通気性を確保できる。
【0008】
本発明のカバー体10は、力が作用していない状態の時、靴の縦方向の断面が結紐部8を含む方向に湾曲形状を成すことが好ましい。この構成によれば、結紐部8をカバー体10によって包み込むように覆うことができる。
【0009】
本発明の靴におけるカバー体10は、その左右方向の一端部が靴の履き口2の外周部に固定されており、結紐部8を覆う際に他端部を把持して結紐部8に被せるものであることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、カバー体10の他端部を把持して結紐部8の上側に被せるだけで、結紐部8を容易に覆うことができる。
【0011】
本発明の靴におけるカバー体10は、靴の履き口2に取外し可能に設けられていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、結紐部8を覆う必要がない時は、カバー体10を取り外して使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例について図面を参照して説明する。本実施形態に係る靴は、図1及び図2の如く、通常の靴と同様にソール部Aとアッパー部Bとを備え、さらにアッパー部Bの上端部には、カバー体10が設けられて基本構成されている。図1及び図2では、アッパー部Bとして足首まで被うことができるハイタイプ形式のものが示されているが、ロータイプ形式のものであってもよい。
【0014】
前記アッパー部Bの甲被部1には、履き口2から爪先部3にかけて甲被開口部4が形成され、甲被開口部4の下面側は舌状蓋片5により閉じることができる構成になっている。該舌状蓋片5は、通気性を持たせるために、表面はメッシュ生地を採用することが好ましい。甲被部1には、甲被開口部4の縁に沿って紐通し穴7列が甲被開口部4を挟んで2列設けられ、該紐通し穴7列間にジグザグ状に挿通された靴紐6を緊締することにより、甲被部1を足にフィットさせることができる。そして、前記靴紐6が緩まないように、甲被開口部4の履き口2近傍で靴紐6の先端部を結んで結紐部8を形成する。以上の構成は、従来の靴紐緊締タイプの靴の構成と実質的に異なるところがない。
【0015】
前記カバー体10は、帯状に形成され、一端がアッパー部Bの上端部、つまり履き口2の外周部に固定されていると共に、他端部は揺動可能に構成されている。そして、図1の如くかかるカバー体10を、該カバー体10の長手方向が靴の左右方向に伸びるように、甲被開口部4を横断させ、履き口2の外周部に沿わせる。そうすると、カバー体10が結紐部8の上側に被さるように配置される。好ましくは、該カバー体10の長手方向の長さは、履き口2の外周長さの略1/2乃至1/3に形成する。該カバー体10は、例えば、ネオプレーンが用いられるが、同等の伸縮性を有する他の材料であってもよい。また、カバー体10を結紐部8の上側に被せた状態(図1の状態)の時、該カバー体10を靴の左右方向と直交する縦方向の断面で切断した場合、図3及び図4の如く、その断面形状が結紐部8を包む方向に湾曲した形状を成している。前記カバー体10の湾曲した断面形状は、カバー体10を立体裁断により形成することで実現される。前記カバー体10のより好ましい形状としては、長手方向にも履き口2の外周部に沿う方向に湾曲した形状を成していることである。そうすれば、カバー体10を履き口2の外周部に沿わせ易くなるため、カバー体10により結紐部8をさらに容易に覆うことが可能となる。
【0016】
また、前記カバー体10の他端部には線状体11が環状を成すよう設けられており、該線状体11をアッパー部B上端部に設けられたコの字状の爪12に係止することにより、カバー体10が結紐部8を覆った状態に保持される。そして、線状体11を爪12から外せばカバー体10を結紐部8から放し、結紐部8を外側に露出させることができるため、該結紐部8を解いたり、再び結んで結紐部8を形成することができる。本実施形態において、該線状体11は弾性を有する合成ゴムで形成されているが、弾性を有しない材料であってもかまわない。また、図1乃至図3において、爪12は2個設けられているが、1個または3個以上であってもよい。
【0017】
カバー体10の他端に備えた線状体11を爪12に係止して、カバー体10保持した時、カバー体10に張力がかかってカバー体10が長手方向に伸長することが好ましい。張力をかけた状態でカバー体10を保持することにより、結紐部8がカバー体10の収縮力により押え付けられるため、結紐部8がカバー体10の下側で暴れることなく、しっかり保持される。
【0018】
図1及び図2の如く、線状体11にはツマミ13を設けることが好ましく、ツマミ13を把持して線状体11を爪12に係止することにより、カバー体10の固定が容易に行える。さらに、該ツマミ13の裏面及び爪12の近傍に一対の面ファスナー14a,14bが設けられている。線状体11を爪12に係止した後に、該一対の面ファスナー14a,14bを着接することにより、ツマミ13が揺動することを防止できる。
【0019】
本実施形態にかかる靴を着用するときは、まず履き口2からアッパー部B内に足を入れ、甲被部1が足にフィットするように靴紐6を締め上げて結紐する。しかる後、カバー体10で結紐部8を覆い、線状体11を爪12に係止してカバー体10を保持する。結紐部8の端部がカバー体10より食み出している時は、カバー体10を持ち上げるように伸ばしながら、結紐部8をカバー体10の下に押し込むことにより、結紐部8を完全に覆うことができる。
【0020】
そうすると、結紐部8がカバー体10の下側に隠れるため、結紐部8が岩などに引っ掛かることがなくなる。また、結紐部8はカバー体10の弾性力により押えられているので、結紐部8がカバー体10の下側で暴れて解けることも防止できる。
【0021】
着用状態においては、靴紐6の緊締により甲被部1ひいてはアッパー部Bが足にうまくフィットし良好な着用感が得られる。しかもカバー体10は靴紐6の結紐部8のみを覆っているので、靴本来が持つ柔軟性や通気性は損われないという利点を有する。
【0022】
そして、カバー体10を立体裁断して湾曲状に形成することにより、結紐部8を包み込むように保持できるため、結紐部8がカバー体10から食み出しにくくなる。また、立体裁断の他、例えば平面の材料に縁かがり縫製を施すことにより、カバー体10を湾曲状に形成してもよい。
【0023】
また、カバー体10の一端を固定することにより、カバー体10の他端部を把持して結紐部8の上側に被せるだけで、結紐部8を容易に覆うことができる。
【0024】
尚、本発明に係る靴は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。例えば、カバー体10の一端を固定せず、両端ともに取外しが可能な構成としてもよい。そうすれば、結紐部8を覆う必要がない時は、カバー体10を取り外して使用することができる。
【0025】
また、カバー体10の他端は、線状体11及び爪12の代わりに面ファスナー、ボタン、ホック等、またはその他の公知の技術により保持することができる。
【0026】
さらに、上記実施形態においてカバー体10は帯状を形成しているが、結紐部8を覆うことが可能な形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0027】
尚、本発明にかかる靴は、釣に使用される靴のみならず、日常履く靴としても使用可能であることは言うまでもない。例えば、車を運転する時に着用すれば、結紐部8がペダルに引っ掛かることを防止できるし、ランニングなどの運動時に着用すれば、自分で靴紐6を踏んで転倒することを防止できる。
【0028】
【発明の効果】
以上ように、本発明に係る靴は、カバー体にて靴紐の結紐部を覆うことにより、結紐部の引っ掛かり及び結紐部の解けを防止できるため、足場の悪い所でも安全に着用することが可能となる。
【0029】
さらに、カバー体は伸縮性を有する材料で構成されているため、カバー体から結紐部の一部が食み出たとしても、カバー体の下に容易に押し込むことができると共に、結紐部がカバー体の弾性力により押えつけられるので、結紐部をしっかり保持することができる。
【0030】
また、カバー体を甲被部の少なくとも一部が露出するよう設けたことにより、靴の通気性を確保できるため、足の蒸れを防止できる。
【0031】
しかも、カバー体を湾曲形状とすることで、結紐部を包み込むようになるため、結紐部の食み出しを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る靴の斜視図。
【図2】図1のカバー体を外した状態を示す斜視図。
【図3】同実施形態に係る靴のカバー体近傍の側面図で、カバー体を靴の略中心線で切断した状態を示す。
【図4】図2のC−C断面図。
【符号の説明】
A…ソール部、B…アッパー部、1…甲被部、2…履き口、3…爪先部、4…甲被開口部、5…舌状蓋片、6…靴紐、7…紐通し穴、8…結紐部、10カバー体、11…線状体、12…爪、13…ツマミ、14a,14b…面ファスナー
Claims (5)
- 靴紐を備えた靴において、靴紐(6)の結紐部(8)を覆うと共に、覆った状態を保持可能なカバー体(10)を備え、該カバー体(10)をその長手方向が靴の左右方向となる帯状として靴紐のうちその結紐部(8)のみを覆う構成とし、該カバー体(10)は伸縮性を有して、靴の長手方向に伸ばすようにして前記結紐部(8)を覆うものであることを特徴とする靴。
- 前記カバー体(10)は、足の甲部を覆っている靴の甲被部(1)の少なくとも一部が露出するよう設けられてなることを特徴とする請求項1記載の靴。
- 前記カバー体(10)は、力が作用していない状態の時、靴の縦方向の断面が結紐部(8)を含む方向に湾曲形状を成すことを特徴とする請求項1または請求項2記載の靴。
- 前記カバー体(10)は、その左右方向の一端部が靴の履き口(2)の外周部に固定されており、結紐部(8)を覆う際に他端部を把持して結紐部(8)に被せるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の靴。
- 前記カバー体(10)は、靴の履き口(2)に取外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の靴。
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