JP3038336U - 登山用レインスパッツ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 主として登山用に用いるレインスパッツに関
し、甲覆い部２を前方に延長したレインスパッツにおい
て、甲覆い部２を靴紐に係止しているフック３が歩行中
に外れるのを防止し、靴とスパッツとの定着性を向上さ
せる。 【解決手段】 本体部１の下辺前部から前方に延びる甲
覆い部２を備え、甲覆い部２の内側に前後方向に延びる
剛性のある押え舌片１１が添設され、甲覆い部２を靴紐
に係着するフック３がこの押え舌片１１の足首寄りの部
分に装着され、スパッツの下辺両側部に剛性を備えた薄
板からなる略三角形状の整形側板１４が添着され、この
整形側板と押え舌片１１との間のスパッツの下辺に伸縮
性が付与されている。整形側板１４は、止め紐１５ない
し止めベルト４の力を受けて、スパッツの両側部下辺を
広い幅で靴の側面に定着させる。押え舌片と整形側板と
の間の弾力により、フック３を靴紐に係入する方向に付
勢する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、主として登山用に用いられる防水布製品に関し、膝下または足首 の部分から靴の甲の部分を覆って当該部分を雨水から保護するとともに、靴内へ の雨水や砂利などの侵入を防止するレインスパッツに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種のレインスパッツは、図５に示すように、脛ないし足首に巻き付ける本 体部１と、本体部の下辺前部から前方に張り出すように延びる甲覆い部２とを備 えており、本体部１と甲覆い部２とは、通常防水処理を施した布で一体に形成さ れている。本体部１が脛全体を覆う長さを有しているものをロングスパッツ、足 首のみを覆う短い長さのものをショートスパッツと言っている。

【０００３】 甲覆い部２の先端内側には、内側（後方）を向いたフック３が設けられており 、本体部１の下辺両側部を繋ぐように、止めベルト４が設けられている。また本 体部１の外側後ろ寄りの部分に、縦方向の打合せ部５が設けられており、その奥 辺部に縦方向に鉤ファスナー６が設けられ、外辺部にホック７と面ファスナー８ とが設けられている。更に本体部１の上端の折り返し部分には、締め紐９が挿通 されている。

【０００４】 このような構造のレインスパッツは、ファスナー６を外して本体部１を脛ない し足首に巻き付け、ファスナー６、８及びホック７を閉じ、本体部１の上縁を膝 下（ロングスパッツの場合）または足首（ショートスパッツの場合）に締め紐９ で固定し、フック３を靴紐の最も爪先側の部分に引っ掛け、止めベルト４を靴の 土踏まずのところに掛け回して、本体部１の下辺両側部を靴の側方部分に定着さ せるという方法で装着している。レインスパッツを装着することにより、ズボン の裾の部分から靴の甲にかけての部分を雨水や土砂から保護することができる。

【０００５】 なお上記説明中における前後、上下、内外などの方向を示す文言は、スパッツ が装着されたときの装着者側から見た方向を示すものである。

【０００６】 近時の登山が大衆化し、登山人口が高齢化する傾向の中で、従来主として皮製 であった登山靴に代えて、軽量さと手入れの簡便さの故に、皮と防水布とを縫い 合わせた軽登山靴が多く利用されるようになってきている。軽登山靴は通常、指 先を保護するために足の爪先の部分は皮でできているが、足指の付け根の上方部 分を布製にして軽量かつ曲がりやすくすることによって、歩きやすくしている。 靴紐はこの防水布とした部分よりさらに足首に近い側に取り付けられて靴を締め るようになっている。

【０００７】 このような軽登山靴に前記構造の従来のスパッツを取り付けたとき、甲覆い部 ２の先端がフック３で靴紐の前端部に係着されるので、靴紐の部分はスパッツで 覆われるが、それより爪先側の防水布で作られた部分は覆うことができない。防 水布は、防水処理を施されているとは言え、新しいうちはともかく、少し古くな ると水が浸透しやすくなる。特に足指の付け根の上方に位置する部分は、雨水が 直接溜まり、しかも歩行動作に伴って屈伸させられるので、雨水が浸透しやすい 。そこで防水布製となっている軽登山靴の足指の付け根部分をレインスパッツの 甲覆い部２で覆いたいという要求が生じてくる。

【０００８】 このような要求を満たすために、甲覆い部２を前方に延ばし、その延ばした部 分の内側に前後方向に細長い短冊状の合成樹脂板を添着し、その後端部分（足首 に近い方の端部分）にフックを取り付けた図６に示すような構造のレインスパッ ツが提供されている。このレインスパッツは、フック３を靴紐の前端に係着した とき、甲覆い部２の延長された前方部分が、樹脂製押え舌片１１で保持された状 態で靴の甲の靴紐より爪先側の部分を覆うので、前述した軽登山靴の甲の防水布 の部分が覆われることとなり、当該部分から雨水が染み込むのを避けることがで きるのである。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

押え舌片１１を設けることによって甲覆い部２を靴紐の前端部より爪先側に延 長した改良された構造のスパッツは、上述した長所がある反面、歩行中にフック ３が外れやすいという欠点がある。前述したように、軽登山靴は、足指の付け根 の部分が比較的柔軟に屈曲するようになっているが、そのため歩行の度に甲覆い 部の前端すなわち押え舌片１１の前端が持ち上げられる方向に動かされ、この補 強板に固定されているフック３が上方に逃げる方向に動かされるので、フック３ が外れやすくなるのである。

【００１０】 また従来のスパッツにおいては、止めベルト４が、本体部１の下辺両側部のみ を下方に引いているだけなので、踵の部分や爪先側の部分がめくれ上がりやすい 傾向にあったが、特に甲覆い部２を爪先側に延長した改良されたスパッツでは、 甲覆い部２の前端を靴に定着する力が弱く、従って浮き上がりやすくなっており 、前述した歩行時の上方へ持ち上げられる動きと相俟って、フック３が外れやす くなるという現象が生じるのである。

【００１１】 この考案は、上記問題に鑑み、甲覆い部２を前方に延長したレインスパッツに おいて、歩行中に甲覆い部２を靴の甲の部分に定着しているフック３が外れやす いという問題を解決すること、さらにスパッツの甲覆い部２が靴により安定に定 着されて、靴の甲や側部とスパッツの下辺との間から濡れた草や土砂が侵入して くるのをより確実に防止することができるレインスパッツを得ることを課題とし ている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

請求項１記載の登山用レインスパッツは、脛ないし足首に巻回される本体部１ と、本体部の下辺前部から前方に延びる甲覆い部２とを備え、甲覆い部２の前半 部内側に前後方向に延びる剛性を備えた押え舌片１１が添設され、甲覆い部２を 靴に定着するために靴紐に係着されるフック３がこの押え舌片１１の足首寄りの 部分に装着されており、かつ靴底に掛け回してスパッツの下辺両側部を靴の側面 に定着する紐状体４、１５を備えている登山用レインスパッツにおいて、スパッ ツの下辺両側部に剛性を備えた薄板からなる略三角形状の整形側板１４が添着さ れており、この整形側板と押え舌片１１との間のスパッツの下辺に当該下辺に沿 う方向の伸縮性が付与されていることを特徴とするものである。

【００１３】 請求項２記載の考案は、請求項１記載の登山用レインスパッツにおいて、内側 と外側の整形側板１４、１４の間の本体部１と甲覆い部２との境界部分に当該境 界に沿う方向の伸縮性が付与されていることを特徴とするものである。

【００１４】 請求項３記載の考案は、請求項１または２記載の登山用レインスパッツにおい て、押え舌片１１が爪先側が幅広く、フック側が幅狭い略三角形状の押え舌片１ １であることを特徴とするものである。

【００１５】

【作用】

整形側板１４は、止め紐１５ないし止めベルト４の力を受けて、スパッツの両 側部下辺を広い幅で靴の側面に定着させる。押え舌片１１に装着されたフック３ を靴紐の前端部に引っ掛けたとき、押え舌片と整形側板との間のスパッツの下辺 が引き延ばされた状態となり、その縮退しようとする弾力により、スパッツの下 辺の押え舌片１１と整形側板１４との間の部分が靴の表面に密着するとともに、 押え舌片１１を足首側へと付勢し、従って、フック３を靴紐に係入する方向に付 勢することとなるので、甲覆い部２の前端の浮き上がりやフック３が靴紐から外 れるのを防止することができる。

【００１６】 また装着したときにスパッツの下辺に付与される前後方向の伸縮性により、ス パッツの下辺の踵の部分も前方に引かれることとなり、スパッツの下辺の踵の部 分がめくれ上がったり靴との間に隙間が生じて、草や土砂が侵入してくるという こともなくなる。

【００１７】 請求項２記載の事項を備えたものは、スパッツの甲覆い部２と靴との定着性及 びスパッツ下辺の踵の部分と靴との定着性がより向上する。

【００１８】 請求項３記載の事項を備えたものは、スパッツの下辺に付与した伸縮性により 、押え舌片１１が付勢される方向をフック３が外れにくくかつスパッツの下辺が 靴の表面により密着する方向にすることができ、スパッツの下辺と靴との密着性 をより向上させることができる。

【００１９】

【考案の実施の形態】

図１ないし図３は本考案の第１実施例を示したものである。図１のショートス パッツは、足首に巻回される本体部１と本体部の下辺前部から前方に延びる甲覆 い部２とを備えている。本体部１の構造は従来のものと同一であるから、同一の 符号を付してその説明を省略する。

【００２０】 甲覆い部２は平面視で三日月形のナイロン布で作られており、その内側辺が本 体部１の下辺前部に縫合され、その外側辺１２にゴムバンド１３が縫い付けられ てスパッツの下辺となっている。甲覆い部２の内側の最も幅広い位置に三角形の 押え舌片１１が添設されている。押え舌片１１は合成樹脂製の薄板であり、頂角 側を踵側に向けて甲覆い部２に鋲着され、底辺側を甲覆い部２の前辺に縫着され ている。押え舌片１１の鋲着位置には靴紐に係着するためのフック３が固着され ている。

【００２１】 甲覆い部２の両端内側の幅狭の部分、即ちスパッツの下辺の両側部内側には、 当該幅狭の部分と略同形の合成樹脂製の整形側板１４が縫着されている。押え舌 片１１と整形側板１４との間にはゴムバンド１３の収縮に伴って生じたしわ部１ ０が形成されている。整形側板１４が添着された甲覆い部２の一方の端部（本体 部の下辺側方に位置する部分）には止め紐１５の基端が係着され、他方の端部に は止め紐１５を引っ掛ける係止金具１６が鋲着されている。止め紐１５は２本の ゴム紐１７を丸編された鞘１８に挿通し、その先端に摘み１９を設けたものであ り、鞘１８と摘み１９の間にはゴム紐１７の露出部が存在している。

【００２２】 図３は本実施例のショートスパッツの使用状態を示したものである。ホック７ 、ファスナー５、８を外して本体部１を足首に巻き付けて、ファスナー５、８及 びホック７を閉じ、本体部１の上縁を足首に締め紐９を締めて固定し、フック３ を靴紐の最も爪先側の部分に引っ掛け、止め紐１５を靴の土踏まず２１のところ に掛け回して、本体部１の下辺両側部を靴２２の側方部分に定着させる。

【００２３】 整形側板１４は、止め紐１５の力を受けて、スパッツの下辺両側部を広い幅で 靴の側面に定着させる。押え舌片１１に装着されたフック３を靴紐の前端部に引 っ掛けたとき、押え舌片と整形側板との間のしわ部１０が引き延ばされた状態と なり、ゴムバンド１３の縮退しようとする弾力により、スパッツの下辺の押え舌 片１１と整形側板１４との間の部分が靴２２の表面に密着するとともに、押え舌 片１１を足首側へと付勢し、甲覆い部２の前端の浮き上がりやフック３が靴紐か ら外れるのを防止する。また装着したときに、スパッツの下辺に付与される前後 方向の伸縮性により、スパッツの下辺の踵の部分も前方に引かれて靴表面と密着 する。

【００２４】 図４は本考案の第２実施例を示したものであり、ロングスパッツに関するもの である。第１実施例の止め紐に代えて、止めベルト４を用いている。止めベルト は、係止孔の位置を選択することにより、長さを調節することができるので、各 種大きさの靴に密着させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例のショートスパッツの斜視図

【図２】第１実施例のショートスパッツを下方から見た
斜視図

【図３】第１実施例のショートスパッツの使用状態を示
す斜視図

【図４】第２実施例のロングスパッツの斜視図

【図５】第１従来例のショートスパッツを靴に装着して
示す斜視図

【図６】第２従来例のショートスパッツの斜視図

【符号の説明】

１ 本体部 ２ 甲覆い部 ３ フック ４ 止めベルト 11 押え舌片 14 整形側板 15 止め紐

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 脛ないし足首に巻回される本体部(1)
   と、本体部の下辺前部から前方に延びる甲覆い部(2) と
   を備え、甲覆い部(2) の前半部内側に前後方向に延びる
   剛性を備えた押え舌片(11)が添設され、この押え舌片(1
   1)の足首寄りの部分に甲覆い部(2) を靴に定着するため
   に靴紐に係着されるフック(3) が装着されており、かつ
   靴底に掛け回してスパッツの下辺両側部を靴の側面に定
   着させる紐状体(4,15)を備えている登山用レインスパッ
   ツにおいて、スパッツの下辺両側部に剛性を備えた薄板
   からなる略三角形状の整形側板(14)が添着されており、
   この整形側板と押え舌片(11)との間のスパッツの下辺に
   当該下辺に沿う方向の伸縮性が付与されていることを特
   徴とする、登山用レインスパッツ。
2. 【請求項２】 内側と外側との整形側板(14,14) の間の
   本体部(1) と甲覆い部(2) との境界部分に当該境界に沿
   う方向の伸縮性が付与されていることを特徴とする、請
   求項１記載の登山用レインスパッツ。
3. 【請求項３】 押え舌片(4) が爪先側が幅広く、フック
   側が幅狭い略三角形状の押え舌片(11)である、請求項１
   または２記載の登山用レインスパッツ。