JP3705826B2 - 仮想3次元ウインドウ表示制御方法 - Google Patents

仮想3次元ウインドウ表示制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、画面上に複数の領域を設け、その各々に独立の画像を表示させるマルチウインドウ表示制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチウインドウを表示する際には、CRT等の表示装置の限られた表示領域に複数のウインドウを配置して表示することが必要である。
【0003】
この目的のために従来用いられていた方法としては、たとえば画面上のすべてのウインドウが重ならないようにウインドウの大きさを調節して配置する方法がある。この方法においては、ウインドウが重ならないため画像が隠れないが、ウインドウの大きさが画面上のウインドウの数によって制限されてしまうという問題がある。
【0004】
他の方法としては、ウインドウの大きさは任意で、ウインドウ同士のオーバーラップを許す方法がある。この方法においては、ウインドウの大きさはウインドウの数により制限されないが、下にあるウインドウの重なり部分は不可視となるという問題がある。
【0005】
その他の方法としては、ウインドウのオーバーラップを避けるために、ディスプレイサイズより大きい仮想的なスクリーンを設定し、ディスプレイを該スクリーンの一表示領域であるかのように見せる方法や、複数のスクリーンを持ち、これらを切り替えて表示する方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術において、オーバーラップを許さない方法においては、ウインドウが重ならないため画像が隠れないが、ウインドウの大きさが画面上のウインドウの数によって制限される。従って、あまり多数のウインドウを開けないという問題があった。
【0007】
オーバーラップを許す方法においては、ウインドウの大きさはウインドウの数によらないが、ウインドウの重なり部分のうち後にあるウインドウの部分は不可視となる。従って、前にあるウインドウによって隠されている部分を表示するためには、前にあるウインドウをアイコン化するか、表示したいウインドウが最上部になるまで一番前のウインドウを最後部へ繰り返し持ってくる等の操作を行わなければならないという問題があった。
【0008】
また、仮想的にディスプレイより大きいスクリーンを設定する方法においては、ディスプレイの範囲の外にある表示されていない部分のウインドウが見えないという問題があった。
【0009】
さらに、複数のスクリーンを持つ方法においても、表示を選択していないスクリーン上にあるウインドウを見ることができないという問題があった。
【0010】
さらに、これらの方法においては、ウインドウを同一平面上に配置するため、ウインドウの重なり順序が判別しにくいという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、ディスプレイ画面上に複数のウインドウを表示する際に、ズーム率を指示する手段を設け、ズーム率を指示することにより、画面上に表示されているすべてのウインドウを透視図法の規則にのっとって一点(消点)に収束する方向に同じ比率で拡大又は縮小する手段を備えることができる。
【0012】
また、上記ズーム率を指示することにより、指示したウインドウの大きさを透視図法の規則にのっとって一点(消点)に収束する方向に拡大又は縮小する手段を備えることもできる。
【0013】
さらに、上記ズーム率を指示することにより、特定のウインドウ以外のウインドウを拡大又は縮小する手段を備えることもできる。
【0014】
さらに、各ウインドウごとに大きさの最大値を設け、ズーム率を指示することによってウインドウを拡大したときに、各ウインドウの大きさが最大値を越えた場合に該ウインドウを非表示とする手段を備えることもできる。
【0015】
さらに、消点の位置を移動することによって、ウインドウの配置を変更する手段を備えることもできる。
【0016】
さらに、消点の深さを変更することによってウインドウの拡大率または縮小率を変更する手段を備えることもできる。
【0017】
さらに、画面上のウインドウを拡大または縮小することによって、該ウインドウに表示する図形及び文字を同じ比率で拡大または縮小する手段を備えることもできる。
【0018】
さらに、表示するウインドウにディスプレイ上の仮想立体空間上で深さに対応した仮想的な厚みを表現する手段を設けることもできる。
【0019】
さらに、仮想的な厚みを同一深さのウインドウで等しくする手段を備えることもできる。
【0020】
さらに、ウインドウの拡大または縮小に対応してウインドウ内部の明度を大きくまたは小さくする手段を備えることもできる。
【0021】
さらに、ヘルプ情報表示手段を設け、該ヘルプ情報表示を指定することによりウインドウ配置情報を表示する手段を備えることもできる。
【0022】
【作用】
ディスプレイ画面上に複数のウインドウを表示するマルチウインドウ表示制御方法において、ズーム率を指示することにより、画面上に表示されているすべてのウインドウを、透視図法の規則にのっとって一点(消点)に収束する方向に同じ比率で拡大又は縮小する。これにより、ウインドウを仮想的に3次元に配置し、配置を変更することなくあたかも3次元空間上を移動するかのようにウインドウサイズを変更することが可能になる。
【0023】
また、上記ズーム率を指示することにより、指定したウインドウの大きさを透視図法の規則にのっとって一点(消点)に収束する方向に拡大又は縮小する。これにより、あたかも3次元空間上を移動するかのように、、ウインドウサイズを変更することが可能になる。
【0024】
さらに、上記ズームを指示することにより、特定のウインドウ以外のウインドウを拡大又は縮小する。これにより、特定のウインドウを常に同じサイズで表示することが可能になる。
【0025】
さらに、各ウインドウごとに大きさの最大値を設け、ズーム率を指示することによってウインドウを拡大したときに、各ウインドウの大きさが最大値を越えた場合に該ウインドウを非表示とする。これにより、ウインドウの配置を変えることなく該ウインドウに隠れていた別のウインドウを表示することが可能になる。
【0026】
さらに、消点の位置を移動することによって、ウインドウの配置を変更する。これにより、ウインドウの前後関係を変更することなく、あるウインドウに隠れていた別のウインドウを表示することが可能になる。
【0027】
さらに、消点の深さを変更することによってウインドウの拡大率または縮小率を変更する。これにより、あたかも3次元空間上でのウインドウ間の距離を変更したかのようにウインドウサイズを変更することが可能になる。
【0028】
さらに、画面上のウインドウを拡大または縮小することによって、該ウインドウに表示する図形及び文字を同じ比率で拡大または縮小する。これにより、ウインドウをズームすることによって所望の大きさでウインドウの内容を扱うことが可能になる。
【0029】
さらに、表示するウインドウにディスプレイ上の仮想立体空間上で深さに対応した仮想的な厚みを表現する。これにより、仮想3次元空間をより立体的に見せることが可能になる。
【0030】
さらに、仮想的な厚みを同一深さのウインドウで等しくする。これにより、仮想3次元空間をより立体的に見せることが可能になる。
【0031】
さらに、ウインドウの拡大または縮小に対応して、ウインドウ内部の明度を大きくまたは小さくする。これにより、仮想3次元空間をより立体的に見せることが可能になる。
【0032】
さらに、ヘルプ情報表示を指定することにより、ウインドウ配置情報を表示する。これにより、ウインドウの配置を確認しやすくなる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0034】
図1は、本発明の1実施例である端末装置の構成を説明するブロック図である.101は、キーボード,マウス,タブレット,トラックボール,タッチパネル,データペン,マイクロフォン等またはそれらの組み合わせによる入力装置である。102は、本実施例による端末装置を制御するためのプログラムおよびデータや、本発明にかかる仮想3次元マルチウインドウ表示を行うためのウインドウ制御プログラム、および各ウインドウに属するデータを外部記憶装置104からロードして格納するためのメインメモリである。
【0035】
103は、本実施例の端末装置の制御を実行するCPU(中央処理装置)であり、メインメモリ102の端末制御プログラム及びウインドウ制御プログラムを、ウインドウ制御データとウインドウデータとを用いて実行する。105は、CPU103によって計算された表示情報を、ディスプレイに表示するためのフレームメモリである。フレームメモリ105の表示データは、ディスプレイコントローラ106を介してディスプレイ107に表示される。これらの間のデータ転送は、バス112を通して行われる。
【0036】
実際の動作は、以下のように行われる。まず、電源の投入又はキーボード等の入力装置101による起動コマンドの実行によって、本発明の仮想3次元ウインドウシステムを起動する。この時、ハードディスクまたはROM(リードオンリメモリ)等の外部記憶装置104に格納してあるウインドウ制御プログラムがメインメモリ102上のプログラムエリア108に、ウインドウ制御および表示に用いるデータが仮想3Dウインドウ制御エリア110およびウインドウ情報エリア111にそれぞれロードされ、CPU103によって実行される。
【0037】
なお、109はプログラム実行のためのワークエリアである。前記プログラムは、絵画等の描画手法のひとつである1点透視図法の規則に従って、ウインドウをディスプレイ画面上に仮想的に立体的に配置して表示する機能を有する。この規則によって決定された表示画像データは、フレームメモリ105に送られ、ディスプレイコントローラ106を通してディスプレイに表示される。
【0038】
ここで、1点透視図法の規則について簡単に説明する。1点透視図では、画面上に描くすべての描画対象を手前に配置するときは大きく、奥すなわち遠方に配置するときは小さく描くことによって立体感を表現する。このとき画面上または画面外の1点を決め、この点を仮想的な距離の無限遠を表す消点と定める。
【0039】
本発明にかかるウインドウ制御プログラムは、表示するウインドウを1点透視図法の規則に従って仮想的に立体的に配置することを特徴とする。本発明におけるウインドウ制御プログラムで用いるデータは、図1の102に示したメインメモリに格納される。
【0040】
図2に、図1に示した仮想3次元ウインドウ制御エリア110の詳細を示す。仮想3Dウインドウ制御エリアは、ウインドウを配置する仮想的に3次元の表示空間を規定する表示空間データエリア21、ウインドウの基準値を規定するウインドウ基準データエリア22、ウインドウのズーム率を格納するエリア23およびウインドウを実際に描画するためのウインドウ描画データエリア24からなる。
【0041】
図3に、図1のメインメモリ102に示したウインドウの内容に関するデータを格納するウインドウ情報エリア111の詳細を示す。ここで、ウインドウの内容とは、ウインドウ内に表示するテキストや図形等のイメージである。ウインドウ情報エリアは、各ウインドウに属する内容全体を格納するウインドウ基準内容データエリア31と、実際に描画する内容を格納するウインドウ描画内容データエリア32からなる。
【0042】
図4は、表示空間データエリア21(図2参照)を表す図である。表示空間の属性として、消点位置(xp,yp)を41に、表示プレーン深さdpを42に格納してこれらを規定する。
【0043】
図5は、ウインドウの基準値を規定するウインドウ基準データエリア22(図2参照)の詳細を表す図である。ウインドウの属性として、基準位置(xs,ys)、深さds、基準サイズ(hs,ws)、基準厚さts、基準明度lsを格納してこれらを規定する。
【0044】
図6は、ウインドウの描画サイズを計算するためのウインドウズーム率を格納するエリア23(図2参照)の詳細を表す図である。
【0045】
図4乃至図6で使用される用語について説明する。
【0046】
図4において、表示プレーンとは、表示空間上の垂直な1断面であり、表示空間上のウインドウは該表示プレーンに投影して表示される。また深さは、仮想空間上の無限遠(消点)からの距離を表し、表示プレーンとウインドウの深さ方向の相対的な位置関係によって図5に示すようなウインドウの位置、サイズ、厚さ、明度が規定される。本実施例では、仮想的立体空間をディスプレイ上に表現するために、深さすなわち消点からの距離をある有限の値として処理を行う。したがって、表示プレーン深さdpは、消点からの距離を表し、同様にdsはウインドウの消点からの距離を表す。ここで、あるウインドウが表示プレーン上にあるとき、その描画サイズは基準サイズに等しくなる、すなわち図6に示すズーム率において、ズーム率が1となるものとする。本実施例では表示プレーンがディスプレイ画面に一致するが、両者は必ずしも一致する必要はない。ウインドウの描画サイズはズーム率によって決定され、ズーム率はウインドウが表示プレーンより奥にある場合は1より小さく、手前にあるときには1より大きくなる。
【0047】
図7に、ウインドウを実際に描画するためのウインドウ描画データ24(図2参照)を格納するエリアの詳細を表す。描画データ24は、ウインドウごとに描画位置(xv,yv)、描画サイズ(wv,hv)、描画厚さtv、描画明度lvおよびウインドウを表示するかどうかを指示する表示フラグfv、およびズーム規則に従うかどうかを指示するズームフラグfzからなる。
【0048】
図8は、各ウインドウに属する内容全体を格納するウインドウ基準内容データエリア31(図3参照)の詳細を表す図である。
【0049】
図9は、実際に描画する内容を格納するウインドウ描画内容データエリアの詳細を表す図である。
【0050】
以下、ウインドウ描画データ24(図2参照)の計算方法、およびウインドウ描画内容データ32(図3参照)の決定方法を説明する。
【0051】
本発明にかかる仮想3次元ウインドウ制御方法においては、仮想3次元空間上のウインドウは、以下に述べる方法を用いて配置される。ただし、表示プレーンに並行な移動は、従来用いられている平面的なウインドウ表示制御方法と同様の手法を用いて行うものとする。
【0052】
ウインドウの表示プレーンに垂直な方向への移動方法の一つは、ウインドウごとの移動である。まず、移動対象のウインドウを指定した後、入力装置上に予め用意されたフォワードボタン、またはバックワードボタン、あるいはディスプレイ上のメニュー選択によって前方または後方への移動を指示する。該指示は、ウインドウ上にズームボタンアイコンを設け、カーソルを該アイコン位置に移動し、マウスボタンをクリックすることによっても実現できる。この際、ズームボタンとしてフォワードボタンとバックワードボタンを設け、それぞれを拡大、縮小に対応づけることも可能であるし、複数のボタンを持つマウスを用いて、1つのズームボタンに対しマウスボタンの1つを拡大、別の1つを縮小に対応づけてもよい。
【0053】
上記のようなフォワードボタンアイコン、バックワードボタンアイコン領域を持つウインドウの例を図21に示す。2101がフォワードボタンアイコン、2102がバックワードボタンアイコンを表し、カーソルを該アイコン上に移動してマウスボタンを押し続ける間ウインドウが拡大または縮小するものとする。
【0054】
図10は、ウインドウを表示プレーンと垂直な方向にのみ移動した場合の描画位置を示した図である。また、図11は、図10を正面からみた図である。図10および図11において、1001は消点の位置、1002は対象とするウインドウの移動前の描画サイズ、1003は移動後のウインドウの描画サイズを表す。
【0055】
ユーザーの指示によってあるウインドウの移動要求が起きたときは、消点および表示プレーン位置を固定とし、前記ウインドウを、その移動量に従って変化したズーム率に基づいて拡大又は縮小して表示する。今、移動前のウインドウの深さをds、ウインドウの基準サイズを(hs,ws)、描画サイズを(hv,wv)、基準厚さをts、ズーム率をε、移動後のウインドウの深さをds’、描画サイズおよび厚さをそれぞれ(hv’,wv’)、tv’とすると、ウインドウのズーム率ε’は、
【0056】
【数1】
Figure 0003705826
【0057】
となる。このときのウインドウ描画サイズ(wv’,hv’)および厚さtv’は、
【0058】
【数2】
Figure 0003705826
【0059】
【数3】
Figure 0003705826
【0060】
で表される。また、消点位置を(xp,yp)、ウインドウの基準位置を(xs,ys)とすると移動後の描画位置(xv’,yv’)は、
【0061】
【数4】
Figure 0003705826
【0062】
となる。ウインドウの描画明度lv’は、基準明度をlsとしたとき次式によるものとする。
【0063】
【数5】
Figure 0003705826
【0064】
なお、ウインドウの基準厚さを、全てのウインドウにおいて同一とすることにより、立体感を強調することができる。
【0065】
図22は、ウインドウの移動(ウインドウズーム)を連続的に行う場合の処理を示すフローチャートを表している。フォワードボタンまたはバックワードボタンの選択等によってズーム要求が出されたとき、ウインドウズーム処理が開始される。
【0066】
図22においてズーム要求が検知されたとき(2201)、該ズーム要求が拡大であるか縮小であるかを判定し(2202)、拡大である場合は2203、縮小である場合は2204に示す式に従いズーム率を更新する。ここで、ズーム係数cは、c>0なる定数で、1処理サイクルあたりの深さの変化量を表す。このcは、システムにより固定でもよく、ユーザにより変更することができるようにしてもよい。ここで、dsはウインドウの深さである。
【0067】
次に、変更されたズーム率をもとにウインドウ基準データおよびウインドウ基準内容データから新たな描画データおよび描画内容データを作成し(2205,2206)、これを用いてウインドウを再描画する(2207)。2208において、ズーム要求が終了したか否かを判定し、終了していない場合は、該ズーム要求が終了するまで2202乃至2207の処理を繰り返す。終了している場合は、ズーム処理を終了する。ズーム要求の継続は、例えばフォワードボタンまたはバックワードボタンを選択し続けることによって行われる。
【0068】
図23は、ウインドウの描画データのみを逐次更新、再描画することによってウインドウフレームのみを変更し、ウインドウ内容データは最終的に決定されたズーム率に基づいて、更新および再描画を行う場合の処理を示すフローチャートである。この場合は、2301乃至2307まではウインドウ内容を除いて図22と同様の処理を行い、ズーム要求が終了した後最終的なズーム率を用いて描画内容データを更新し(2308)、ウインドウ内容を再描画する(2309)。この手順を用いた場合には、連続的に再描画するデータが少ないために高速に描画処理が行われる。なお、上記連続的な方法以外に、ズーム率を直接与えることによって最終的な描画データおよび描画内容データを更新し、再描画を行うことも可能である。
【0069】
二つ目の方法は、表示プレーンの移動である。このときは、ズームの規則に従う全てのウインドウの描画データが変化する。ウインドウがズーム規則に従うかどうかはユーザーによって指定され、規則に従う場合はズームフラグfzを真にし、これに基づいてズームを行うかどうかを決定する。
【0070】
図12は、表示プレーンの移動によるウインドウ表示サイズの変化を表す図である。ユーザーの指示によって表示プレーン移動要求が起きたとき、消点位置を固定とし、ズームフラグが真の全てのウインドウは、表示プレーン移動量に従って変化したズーム率に基づいて拡大又は縮小される。表示プレーン移動要求の指示は、ウインドウズーム要求と同様に入力装置上に用意されたボタン等により行なってよい。また、メニュー選択によって行ってもよいし、ディスプレイ上の適当な領域にボタンアイコンを配置して行うことも可能である。図12において、1201は消点、1202は移動前の表示プレーン、1203は移動前のウインドウの描画サイズ、1204は移動後の表示プレーンであり、1205は表示プレーンが移動したときにウインドウ1203の描画サイズが変化していることを表している。表示プレーンが手前に移動したとき、あるウインドウのズーム率ε’は、移動前のズーム率εに対して、
【0071】
【数6】
Figure 0003705826
【0072】
となる。このときのウインドウ描画サイズおよび位置は、ズーム率ε’を用いてウインドウの移動のときと同様の式で表される。
【0073】
ところで、表示プレーンとディスプレイ画面が一致する条件の元で、あるウインドウのズーム率が1より大きくなったとき、該ウインドウは表示空間上において表示プレーンより手前、すなわちディスプレイ画面より使用者側に位置することになる。この時は、該ウインドウを非表示とする。これによって、表示プレーンを移動するだけで、ウインドウの配置を変えずに、前のウインドウによって隠されていた後のウインドウを表示することが可能になる。
【0074】
図13は、上記のように表示プレーンを移動することによってウインドウが非表示になる様子を表している。ここで、1301は消点、1302は表示プレーン、1303は表示プレーン上のウインドウ、1304は表示プレーンより手前で非表示のウインドウ、1305は表示プレーンより奥で縮小されたウインドウである。非表示のウインドウは、表示フラグfvを偽とし、表示を行わない。なお、ウインドウを非表示とするためのズーム率の閾値を1より大きくすることも可能である。このとき、ウインドウは表示プレーン位置で標準値より拡大される。
【0075】
図24は、表示プレーンの移動を連続的に行う場合の処理のフローチャートを表している。フォワードボタンまたはバックワードボタンの選択等によって表示プレーン移動要求が出されたとき、表示プレーン移動処理が開始される。図24において移動要求が出されたか否かを判定し(2401)、移動要求が出されたことが検知されると、まず変数nに現在設けられているウインドウの数が、カウンタ変数iに0がセットされる(2402)。
【0076】
次に、変数iに1を加えたのち(2403)、iがn以下であるか否かを判定し(2404)、n以下であると判定された場合には、下記のように各ウインドウごとの処理を行う。すなわち、2405においてi番目のウインドウのズームフラグfziが真であるか否かを判定し、真でないと判定された場合には2403へ分岐して次のウインドウの処理に移る。
【0077】
真の場合は、移動要求が拡大か縮小かを判定し(2406)、拡大であれば2407、縮小であれば2408の式に従いズーム率εiを更新する。ここでcは、図22、23と同様のズーム係数、dsiはi番目のウインドウの深さである。次に、新たなズーム率を用いて図22と同様に該ウインドウデータを更新し(2409,2410)、ズーム率εiが1以下であるか否かを判定して(2411)、1以下である場合には表示フラグfviを真とし(2412)、再描画する(2413)。εiが1より大の時は、fviが真であるか否かを判定し(2414)、真である場合にはfviを偽とし(2415)、i番目のウインドウをディスプレイ上から消去して(2416)、次のウインドウの処理に移る。
【0078】
2404においてiがnより大と判定されたときは、2417において移動要求が終了したか否かを判定し、移動要求が継続している場合は2402へ戻って、該移動要求が終了するまで上記処理を繰り返す。
【0079】
ウインドウの再描画については図23と同様に、ウインドウ描画内容を、移動要求終了後表示する処理が可能なことは言うまでもない。また、ズーム率が1より大となったときの処理は、ウインドウズームを行う場合にも適用することができる。
【0080】
ウインドウの配置を変更する3つめの方法は、消点の位置を変えることである。このときは、表示プレーンの位置は固定し、消点を前後(表示プレーンに対して垂直な方向)に移動させる。消点を移動するとき、全てのズーム規則に従うウインドウのズーム率を不変とした場合は、描画情報は変化しないが、ウインドウの深さが変わる。これにより、ウインドウズームあるいは表示プレーンの移動を行った際のウインドウサイズ等の変化速度が変わる。逆に、表示プレーンからの距離を一定にした場合はウインドウ描画サイズが変わる。図14は、消点の移動によるウインドウ表示サイズおよび距離の変化を表す図である。1401は移動前の消点、1401’は移動後の消点、1404は表示プレーン、1402および1403は移動前のウインドウ、1402’および1403’は移動後のウインドウを表している。(a)はズーム率不変の場合、(b)は距離不変の場合である。(a)では、移動後の各ウインドウの深さds’は移動後の消点深さのdp’から次式で表される。
【0081】
【数7】
Figure 0003705826
【0082】
(b)では、移動後のズーム率ε’は、
【0083】
【数8】
Figure 0003705826
【0084】
の様になる。ここで、移動後のウインドウ深さds’と移動前のウインドウ深さdsの差は、消点深さの移動量に等しい。消点ズームボタン等を設けてこれを選択することによって消点の移動要求が起きたとき、ズーム率不変が同時に選択されたときは(数7)に従い各ウインドウの深さおよび表示プレーン深さを更新する。距離不変が選択されたときは、(数8)に従ってズーム率を更新した後、これに基づいてウインドウ描画データ、描画内容データを更新し、ウインドウの再描画を行う。
【0085】
図15は、消点位置が表示上においても無限遠である場合を表している。このとき、ウインドウサイズはいずれの移動によっても変化しない。従って、明度を変更しなければ従来の平面的なウインドウ表示制御方式と同様になる。
【0086】
なお、新たにウインドウオープン要求が起きたときは、現在の表示プレーン上に基準値を用いてズーム率1でウインドウを表示する。このとき、ウインドウの表示位置は表示時点でポインティングデバイス等により入力されたデータに変更することも可能である。また、新しいウインドウの深さを表示プレーンより手前に設定し、表示と同時に表示プレーンの深さが該ウインドウの深さとなる様に、画面全体をズームすれば、該ウインドウが飛び出したような錯視を引き起こして使用者の注目を喚起することができる。
【0087】
図16は、本発明にかかる仮想3次元ウインドウ表示制御方式を用いた端末装置のディスプレイ表示の1例である。消点1601は、ディスプレイ外に配置することも可能である。ウインドウ1602は、ズーム規則に従わないウインドウ(非ズームウインドウ)であり、常に表示プレーン上に位置する。1603は、表示空間全体を表す補助情報ウインドウである。なお、消点は、選択する必要が生じた時以外は非表示としてもよい。
【0088】
図17は、図16における表示プレーンを手前に移動することによってディスプレイ全体をズームアウトした様子を示している。1701,1702,1703は、それぞれ図6の1601,1602,1603に対応する。このとき、図6における非ズームウインドウ1602は、表示プレーンの移動によって変化しない(1702)。
【0089】
図18は、消点位置の表示面に並行な方向への移動によってウインドウ位置がどのように変化するかを示している。消点位置を、ディスプレイ画面内または画面外に定めることができるが、この消点位置を可変とし、消点位置の移動に伴ってウインドウの配置を変化させる。消点位置1801を1801’に移動したとき、表示プレーン上のウインドウ1802は1802’となるが位置は移動せず、後方のウインドウ1803は1803’に移動する。これにより、前のウインドウに完全に隠されていた後のウインドウが可視となる。図19は、図18を正面からみた図である。
【0090】
ズームによってウインドウのサイズを変更するときは、ウインドウサイズに合わせて表示量を変えるか、ウインドウに表示する内容をズーム率に対応して拡大または縮小する。ウインドウの内容を拡大または縮小する場合、文字や画像をビットマップイメージとして表示する方式では、従来用いられている公知の方法等により、拡大あるいは縮小に応じて画素を補間あるいは間引きする。文字や画像をベクトル形式、例えばポストスクリプトと呼ばれる表示言語等を用いて記述し、これを用いて表示を行う場合は、ズーム率に従って文字フォントサイズを変更し、描画領域の変更に対応して画像を再構築することによって任意のサイズに変更することができる。
【0091】
図20は、図16の1603、または図17の1703と同様に、使用者がウインドウ配置状況の確認を行うための補助情報(ヘルプ情報)の他の一例である。使用者の要求があったときにディスプレイ上に表示することによって、ウインドウの配置および表示プレーンの位置等の判断のための補助情報として用いる。
【0092】
【発明の効果】
ウインドウを透視図法の規則に基づく仮想空間上に配置することによって、ディスプレイ画面があたかも3次元であるかのような錯視を起こすことができる。これを利用して、奥行きを持った空間内にウインドウを配置することによって、ディスプレイ上に多数のウインドウを効果的に配置することができるようになった。
【0093】
また、ウインドウをズームすることにより、ユーザーの要求に応じた大きさでウインドウを扱うことができるようになった。
【0094】
注目していないウインドウを仮想空間上の奥に配置することにより、ウインドウの縮小が行われ、これによりウインドウの特徴を保持したままアイコン化と同様の効果を得ることができるようになった。この場合、ウインドウを縮小しても内容はある程度判別できるため、アイコンのように内容を表す絵や、形状を与える必要がなくなった。
【0095】
消点を移動することによって前後関係を保持したままウインドウ間の重なり量が変わり、前のウインドウによって完全に隠されていたウインドウを可視にすることができるため、完全に隠されていたウインドウをポインティングデバイス等により容易に選択することができるようになった。
【0096】
空間上のある深さをディスプレイ平面と定めることにより、該ディスプレイ平面より手前に配置されたウインドウを非表示とすることによって、ウインドウ間の配置を変更することなく後に隠れていたウインドウを表示することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】仮想3次元ウインドウ制御に用いるデータエリアを示す図である。
【図3】ウインドウの内容に関するデータを格納するウインドウ情報エリアを表す図である。
【図4】表示空間データエリアを表す図である。
【図5】ウインドウの基準値を規定するウインドウ基準データエリアを表す図である。
【図6】ウインドウズーム率を格納するエリアを表す図である。
【図7】ウインドウ描画データを格納するエリアを表す図である。
【図8】ウインドウ基準内容データエリアを表す図である。
【図9】ウインドウ描画内容データエリアを表す図である。
【図10】ウインドウを移動した場合の描画位置およびウインドウサイズを示した図である。
【図11】図10を正面からみた図である。
【図12】表示プレーンの移動によるウインドウ表示サイズの変化を表す図である。
【図13】表示プレーンを移動することによってウインドウが非表示になる様子を表す図である。
【図14】消点の移動によるウインドウ表示サイズおよび距離の変化を表す図である。
【図15】消点位置が無限遠である場合を表す図である。
【図16】端末装置のディスプレイ表示の1例を示す図である。
【図17】図16をズームアウトした様子を示す図である。
【図18】消点位置の移動によってウインドウ位置がどのように変化するかを示す図である。
【図19】図18を正面からみた図である。
【図20】使用者がウインドウ配置状況の確認を行うためのヘルプ情報の一例を示す図である。
【図21】ズームボタンアイコンを持つウインドウの一例を示す図である。
【図22】ウインドウズーム処理の流れ1を示すフローチャートの図である。
【図23】ウインドウズーム処理の流れ2を示すフローチャートの図である。
【図24】表示プレーン移動処理の流れを示すフローチャートの図である。
【符号の説明】
101…入力装置、102…メインメモリ、103…CPU、104…外部記憶装置、105…フレームメモリ、106…ディスプレイコントローラ、107…ディスプレイ、108…バス、1001,1201,1301,1401,1401’,1601,1701,1801,1801’…消点、1002,1003,1203,1205,1303,1304,1305,1402,1402’,1403,1403’,1602,1702,1802,1802’,1803,1803’…ウインドウ、1302…表示プレーン、2101…フォーワードズームボタン、2102…バックワードズームボタン。

Claims (8)

  1. 表示装置の画面上に複数のウインドウを表示させる端末装置であって、
    各ウインドウに共通して用いられる前記画面と同一面上の特定の一つの消点を定める手段と、
    前記画面に表示しているウインドウの拡大または縮小の指示を受け付ける拡大縮小受け付け手段と、
    ウインドウの拡大または縮小の指示を受け付けると、前記消点と拡大または縮小前のウインドウの各頂点とを結んだ直線上に拡大または縮小後のウインドウの各頂点が位置するように当該ウインドウを拡大または縮小表示させるウインドウ拡大縮小表示手段とを備えることを特徴とする端末装置。
  2. 請求項1に記載の端末装置において、
    前記消点は、前記画面に対する垂直な方向についての仮想的な距離dpを有し、
    各ウインドウは、前記消点からの仮想的な距離である深さdsを有し、
    前記ウインドウ拡大縮小表示手段は、当該ウインドウの深さdsを変化させることでウインドウの拡大または縮小を行ない、拡大または縮小後の当該ウインドウのサイズは、前記変化させる深さdsに基づいて定めることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
  3. 請求項2に記載の端末装置において、
    前記消点の仮想的な距離dpの変更の指示を受け付ける手段をさらに備え、
    前記ウインドウ拡大縮小表示手段は、前記消点の距離dpの変更によって変化するウインドウの深さdsに基づいて、表示している各ウインドウのサイズを変更することを特徴とする端末装置。
  4. 請求項3に記載の端末装置において、
    前記ウインドウ拡大縮小表示手段は、サイズ不変の指示を受けたウインドウについては、前記消点の距離dpの変更に基づくサイズの変更を行なわないことを特徴とする端末装置。
  5. 請求項2に記載の端末装置において、
    前記拡大縮小受け付け手段は、拡大または縮小の指示をズーム率で受け付け、
    前記変化させる深さdsは、拡大または縮小前の当該ウインドウの深さdsと、受け付けたズーム率の積に比例することを特徴とする端末装置。
  6. 請求項2に記載の端末装置において、
    各ウインドウに、当該ウインドウと前記消点との距離に基づいて変化する厚みを与えて表示することを特徴とする端末装置。
  7. 請求項2に記載の端末装置において、
    ウインドウの拡大または縮小に応じて、ウインドウ内部の明度を変化させて表示することを特徴とする端末装置。
  8. 表示装置の画面上に複数のウインドウを表示するウインドウ表示制御方法であって、
    前記画面に表示している1のウインドウの拡大または縮小の指示を受け付けると、
    前記画面と同一面上の特定の1つの消点と拡大または縮小前のウインドウの各頂点とを結んだ直線上に拡大または縮小後のウインドウの各頂点が位置するように、当該1のウインドウを前記画面上に拡大または縮小表示し、
    前記画面に表示している他のウインドウの拡大または縮小の指示を受け付けると、
    前記消点と拡大または縮小前の当該他のウインドウの各頂点とを結んだ直線上に拡大ま たは縮小後の当該他のウインドウの各頂点が位置するように、当該他のウインドウを前記画面上に拡大または縮小表示することを特徴とするウインドウ表示制御方法。
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