JP3702676B2 - 光偏向装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレーザプリンタ、バーコードリーダ、レーザ複写機等に用いられるポリゴンミラーを有する光偏向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザプリンタ等の画像記録装置においては、その画像の書き込み手段として読み取った情報を基にレーザ光を光偏向装置の高速回転するポリゴンミラー(回転多面鏡)に入光させ、反射光を走査させて感光体面に投影して画像記録を行っている。図6はポリゴンミラーの光偏向装置を用いたビーム走査光学装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【0003】
図において、80は半導体レーザ、81はビーム整形用光学系のコリメータレンズ、82は第1シリンドリカルレンズ、83はポリゴンミラー、84A、84Bはfθレンズ、85は第2シリンドリカルレンズ、86はミラー、87はカバーガラス、88は感光体ドラムをそれぞれ示している。なお、89は同期検出用のインデックスミラー、89Sは同期検知用のインデックスセンサ、83Mは光偏向装置のポリゴンミラー83の回転駆動部である。
【0004】
半導体レーザ80から出射したビーム光は、コリメータレンズ81により平行光となり、第1結像光学系の第1シリンドリカルレンズ82を経て、等速で高速回転するポリゴンミラー83のミラー面に入射する。この反射光はfθレンズ84A、84B、第2シリンドリカルレンズ85から成る第2結像光学系を透過し、ミラー86、カバーガラス87を介して感光体ドラム88の周面上に所定のスポット径で(主)走査が行われる。主走査方向は図示しない調整機構によって微調整がなされ、1ライン毎の同期検知は、走査開始前のビームをインデックスミラー89を介してインデックスセンサ89Sに入射することによって行われる。
【0005】
かかるビーム走査光学装置で、感光体ドラム88上で良好な潜像を得るには、高速回転するポリゴンミラーが高精度の正多角形をなす多面鏡に作成されていて、回転軸に対して傾きなく、かつ軸方向への位置ずれがなく回転することが求められる。
【0006】
ポリゴンミラーを取り付けたミラーユニットの外筒軸受と、固定した内筒軸受との間で高速で回転するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
光偏向装置で回転するミラーユニットは、ポリゴンミラーを搭載する際の基準面となる円板部をもったフランジの円筒部を、外筒軸受の焼きばめ等の手段によって接合し、フランジの円板部と永久磁石を固定したミラー押さえ板との間にポリゴンミラーを挟持する構成となっている。
【0008】
ミラーユニットの円筒状をした外筒軸受は接合状態にあるフランジとの間で応力関係にあって、環境温度の変動等によっては外筒軸受がテーパーのついた円錐形状に歪みが生じることが本発明者らによって認められた。外筒軸受に歪みが生じると、空気ベアリングによって内筒軸受に対して回転するミラーユニットの性能は不安定となる。
【0009】
本発明は、環境温度の変化や経時によっても外筒軸受に不均一な歪みが生じることなく、安定した高速回転が継続して行われる信頼性にすぐれた光偏向装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、
外筒軸受を有したミラーユニットが固定した内筒軸受との間で回転する光偏向装置において、前記ミラーユニットはフランジ部材とポリゴンミラーと弾性部材とミラー押さえ板とによって構成され、前記フランジ部材は円筒部とその端部に設けた円板部とから成っていて、前記円筒部は前記外筒軸受の外周と接合し、前記円板部にはミラー搭載の基準面が設けられていて、前記ポリゴンミラーは該円板部と前記弾性部材を介して前記ミラー押さえ板とによって挟持され、前記円筒部と前記円板部との間にはミラー搭載基準面側にリング状の溝部が設けられていて、前記溝部の底面は、前記円筒部の前記外筒軸受との回転軸方向の接合範囲よりも外方にあることを特徴とする光偏向装置(請求項1の発明
より達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光偏向装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は光偏向装置の断面図である。この実施の形態の光偏向装置1は、例えば図6のビーム走査光学装置に組み込まれて、レーザ光をポリゴンミラー16の回転により偏向するものであり、ベース板2により装置側に固定される。
【0013】
フランジ15はアルミや鉄を材料とし、円筒部15bの端部には円盤状の円板部15aが設けられている。円板部15aには、その底面(円筒部15bの円板部15aが設けられた端部とは反対側の底面)にミラー搭載の基準面15a1が設けられ、該基準面15a1にポリゴンミラー16の一端面16aを当接させ、ミラー押さえ板6との間には緩衝部材20を介して一体回転可能に組み付けられている。このフランジ15の円筒部15bは外筒軸受12bに焼きばめ等の手段により接合されて一体化してミラーユニット100が形成される。
【0014】
このミラーユニット100を上下の下スラスト軸受10と上スラスト軸受11と内筒軸受12aとの間に介在させて、ベース板2の軸部2aに挿着し、プレート13を介してねじ14を軸部2aに螺着して取り付けられる。
【0015】
ベース板には固定ヨーク50が設けられ、さらにマグネットコイル4を取り付けたプリント基板3が設けられている。このマグネットコイル4に対向してトルク発生用の永久磁石5が配置され、この永久磁石5は円盤状のミラー押さえ板6に形成された凹部6aに接着剤を介して設けられている。
【0016】
回転軸12は、内筒軸受12aと外筒軸受12bとから構成され、内筒軸受12aに対して外筒軸受12bが回動可能になっており、外筒軸受12bにフランジ15が円筒部15bによって接合状態となっている。なお、この実施の形態では、軸受構造が下スラスト軸受10、上スラスト軸受11、内筒軸受12a、外筒軸受12bとから成る動圧軸受構造であって、動圧発生溝が下スラスト軸受面と内筒軸受12aの外周面の両方あるいはどちらか一方に設けられている。
【0017】
フランジ15の円筒部15bは回転軸12の外筒軸受12bに接合することによって接合強度が向上し、更に円筒部15bの外周をポリゴンミラー16の回転中心軸の取り付け基準とすることによって、ポリゴンミラー16の軸中心精度が向上するよう構成されている。
【0018】
フランジ15の円筒部15bを回転軸12の外筒軸受12bへの接合は好ましくは焼きばめであり、その他の圧入手段による接合であってもよい。
【0019】
また作成に当たっては、フランジ15と外筒軸受12bとの接合後に、円板部15aにポリゴンミラー16を取り付けるための基準面15a1を切削加工し、フランジ15の円筒部15bにポリゴンミラー16を挿着してポリゴンミラー16の一端面16aを基準面15a1に当接させることがなされている。
【0020】
ポリゴンミラー16の他端面16bとミラー押さえ板6との間には板ばね等の弾性部材20を介在させ、フランジ15の円筒部15bの端面とミラー押さえ板6とをねじ等の締結部材21により締付固定して、弾性部材20によるポリゴンミラー16の押さえ力を安定させ、ポリゴンミラー16は歪ませることなくミラー固定がなされている。
【0021】
本発明の光偏向装置は、フランジ15の円筒部15bと接合関係にある円筒形状をした外筒軸受12bが、作動中の環境温度の上昇等によってもテーパー形状の歪みが生じたりして作動特性が変動することのないようにし、信頼性を高めるようにしたもので、以下の実施の形態によって詳しく説明する。
【0022】
(実施の形態1)
請求項1の実施の形態について、図2に示すフランジ15の円筒部15bと外筒軸受12bとの接合部分の断面図によって説明する。
【0023】
図5は従来の接合部分の状態を示し、図2が本実施の形態の接合部分の状態を示している。セラミック又は表面処理を行ったアルミ等を材料とする円筒状をした外筒軸受12bに対して、アルミ又は鉄等を材料とするフランジ15の円筒部15bを焼きばめ又は圧入等の手段によって接合し一体化することが行われる。
【0024】
しかし焼きばめ等の接合手段によるときは、接合部分の当接面12b1、15b1においては、互に押圧する応力が存在することとなる。更にまた外筒軸受12bとフランジ15とは材質を異にし、膨張係数も相違していることから、作動によって温度上昇すると内部応力も変動して来る。当接面12b1、15b1において一様に変動する場合は問題ないが、局部的な応力の差異が生じると、外筒軸受12bは形状に歪みが生じることとなる。従来の状態を示す図5で当接面12b1、15b1においてPで示した箇所とQで示した箇所とでは、フランジ15の肉厚が相違していることから円筒形状をした外筒軸受12bは円錐形状に変動し、フランジ15は軸方向へのずれが生じて、ポリゴンミラー16の回転動作は不安定となる恐れがある。
【0025】
本発明は、従来においてはポリゴンミラー16の回転動作が不安定であった原因が上記の図5に示す形状・構成に原因があったことを発見して成されたもので、外筒軸受12bの外径部分で接合するフランジ15の接合部分は図2に示すように円筒部15bの回転中心軸に直交する方向の肉厚を一様な肉厚mをもった円筒部15bとするよう構成としたもので、かかる構成とすることによって、外筒軸受12bは環境温度の変動によっても異状な歪みを生じることがなく、ポリゴンミラー16は安定した回転動作を続けることとなった。
【0026】
なお上記の実施形態において、円筒部にはその端面でミラー押さえ板がねじ部材によって取り付けられている。そのために一様の肉厚の円筒部にはねじ孔が設けられ、またねじ孔部分に達する溝が設けられているが、その影響はなく一様肉厚とみなすことができる。
【0027】
(実施の形態2)
請求項2の実施の形態について、図3に示すフランジ15の円筒部15bと外筒軸受12bとの接合部分の断面図によって説明する。
【0028】
図5は従来の接合部分の状態を示し、図3が本実施の形態の接合部分の状態を示している。セラミック又は表面処理を行ったアルミ等を材料とする円筒状をした外筒軸受12bに対して、アルミ又は鉄等を材料とするフランジ15の円筒部15bを焼きばめ又は圧入等の手段によって接合し一体化することが行われる。
【0029】
しかし焼きばめ等の接合手段によるときは、接合部分の当接面12b1、15b1においては、互に押圧する応力が存在することとなる。更にまた外筒軸受12bとフランジ15とは材質を異にし、膨張係数も相違していることから、内部応力も変動して来る。当接面12b1、15b1において一様に変動する場合は問題ないが、局部的な応力の差異が生じると、外筒軸受12bは形状に歪みが生じることとなる。従来の状態を示す図3で当接面12b1、15b1においてPで示した箇所とQで示した箇所とでは、フランジ15の肉厚が相違していることから円筒形状をした外筒軸受12bは円錐形状に変動し、フランジ15は軸方向へのずれが生じて、ポリゴンミラー16の回転動作は不安定となる恐れがある。
【0030】
本発明は、従来においてはポリゴンミラー16の回転動作が不安定であった原因が上記の図5に示す形状・構成に原因があったことを発見して成されたもので、本実施の形態は図3に示すようにフランジ15の円板部15aのミラー搭載基準面15a1が円筒部15bの外筒軸受12bとの接合部の軸方向の接合範囲aよりもb(b>0)だけ回転中心軸方向において外方にあるよう構成したもので、かかる構成とすることによって、外筒軸受12bは環境温度の変動によっても異状な歪みを生じることがなく、ポリゴンミラー16は安定した回転動作を続けることとなった。勿論、本実施形態においても第1の実施の形態のように、円筒部の肉厚mを一様とすることが好ましい。
【0031】
(実施の形態3)
請求項3の実施の形態について、図4に示すフランジ15の円筒部15bと外筒軸受12bとの接合部分の断面図によって説明する。
【0032】
図5は従来の接合部分の状態を示し、図4が本実施の形態の接合部分の状態を示している。セラミック又は表面処理を行ったアルミ等を材料とする円筒状をした外筒軸受12bに対して、アルミ又は鉄等を材料とするフランジ15の円筒部15bを焼きばめ又は圧入等の手段によって接合し一体化することが行われる。
【0033】
しかし焼きばめ等の接合手段によるときは、接合部分の当接面12b1、15b1においては、互に押圧する応力が存在することとなる。更にまた外筒軸受12bとフランジ15とは材質を異にし、膨張係数も相違していることから、温度変化すると内部応力も変動して来る。当接面12b1、15b1において一様に変動する場合は問題ないが、局部的な応力の差異が生じると、外筒軸受12bは形状に歪みが生じることとなる。従来の状態を示す図5で当接面12b1、15b1においてPで示した箇所とQで示した箇所とでは、フランジ15の肉厚が相違していることから円筒形状をした外筒軸受12bは温度変化によってテーパーをもった円錐形状に変動し、フランジ15は軸方向へのずれが生じて、ポリゴンミラー16の回転動作は不安定となる。
【0034】
本発明は、従来においてはポリゴンミラー16の回転動作が不安定であった原因が上記の図5に示す形状・構成に原因があったことを発見して成されたもので、本実施の形態は図4に示すようにフランジ15の円筒部15bと円板部15aとの間にはミラー搭載基準面15a1側にリング状の溝部15a2が設けられていて、溝部15a2の底面が円筒部15bの外筒軸受12bとの接合部の接合範囲aよりもc(c>0)だけ回転中心軸方向において外方にあるよう構成したもので、かかる構成とすることによって、外筒軸受12bは環境温度の変動によっても異状な歪みを生じることがなく、ポリゴンミラー16は安定した回転動作を続けることとなった。勿論、本実施形態においても第1の実施の形態のように円筒部の肉厚mを一様とすることが望ましい。
【0035】
【発明の効果】
本発明(請求項1)によるときは、従来環境温度が変動することによって高速回転するポリゴンミラーによる光偏向特性が変動する傾向にあったのが改善されて、ポリゴンミラーは信頼性にすぐれた安定した回転動作を続けることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】光偏向装置の断面図。
【図2】実施の形態1の接合状態を示す説明図。
【図3】実施の形態2の接合状態を示す説明図。
【図4】実施の形態3の接合状態を示す説明図。
【図5】従来の接合状態を示す説明図。
【図6】ビーム走査光学装置の斜視図。
【符号の説明】
1 光偏向装置
2 ベース板
4 マグネットコイル
5 永久磁石
6 ミラー押さえ板
12 回転軸
12a 内筒軸受
12b 外筒軸受
15 フランジ
15a 円板部
15a1 ミラー搭載基準面
15b 円筒部
16 ポリゴンミラー

Claims (1)

  1. 外筒軸受を有したミラーユニットが固定した内筒軸受との間で回転する光偏向装置において、
    前記ミラーユニットはフランジ部材とポリゴンミラーと弾性部材とミラー押さえ板とによって構成され、
    前記フランジ部材は円筒部とその端部に設けた円板部とから成っていて、前記円筒部は前記外筒軸受の外周と接合し、前記円板部にはミラー搭載の基準面が設けられていて、前記ポリゴンミラーは該円板部と前記弾性部材を介して前記ミラー押さえ板とによって挟持され、
    前記円筒部と前記円板部との間にはミラー搭載基準面側にリング状の溝部が設けられていて、前記溝部の底面は、前記円筒部の前記外筒軸受との回転軸方向の接合範囲よりも外方にあることを特徴とする光偏向装置。
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