JP3702020B2 - 面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法 - Google Patents

面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からシート表皮の浮き上がり防止と、デザイン上のため、シートの表皮トリムの吊り込みを行っている。この吊り込みについては、図13で示すように、従来から行われてきたクッション材中にインサートワイヤ(図示せず)を埋設して、一方表皮材100側に取り付けた吊り袋101中に鋼線102を配置したものと接合して、吊り袋101の鋼線102とインサートワイヤとをオームクリップやCリング(図示せず)によって係合する必要があった。このようなインサートワイヤに吊り込む工程では、シートの底面側から作業を行なう必要があり、また非常に力仕事となって作業効率が悪いという不都合があった。
【0003】
このため、面状ファスナを用いた技術が提案されている。即ち、座席の吊り込みパターンを溝部として形成し、この溝部に面状ファスナを配置して、この面状ファスナと接合する表皮材側にも面状ファスナを取付け、表皮材の面状ファスナとクッション材の面状ファスナとを接合して、吊り込みパターンを形成していた。
【0004】
例えば図8のように、表皮材100と面状ファスナ110を縫合等により接合する技術が知られている。しかし図8のように、単にファスナ面110をクッション材側へ向けて縫合すると、図9で示すように、組付け時等において、表皮材100の移動により、面状ファスナ110が移動して裏返しになってしまうことがある。つまり、ファスナ面111がクッション材側の面状ファスナと接合しないことがあり、パターンラインのよれ、曲がり等が発生してしまい、外観上不都合であった。
【0005】
このため、図10で示すような面状ファスナ110を表皮材100の裏面全体にラミネートする技術が提案されているが、吊り込みパターン以外の部分にも面状ファスナ110を取り付けるために、コストが上昇してしまうという不都合がある。
【0006】
また図11で示すような、テープ状の面状ファスナ110を、ファスナ面111を外にして円筒状にして、表皮材100の吊り込みパターン位置に縫合等する技術も提案されている。しかし図11で示す技術では、クッション材側との接合部分が少なく、表皮材100とクッション材の係合強度において不都合があり、円筒状のために表皮材100の浮きが生じ、外観におけるうねり等を規制することができないという不都合があった。
【0007】
さらに図12で示すような、テープ状の面状ファスナ110を2カ所のステッチ120で縫合等をして、図9で示すような面状ファスナのめくれ等を防止する技術も考えられる。しかしこの技術では、必ずパターン形状に沿って2本のステッチ120を行なう必要が生じてしまい、デザイン上の限定があり不都合であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このため面状ファスナを用いて吊り込みパターンを形成するときに、確実に面状ファスナの接合ができること、表皮とワディングと裏打ち材からなる表皮材だけでなく、一枚ものの表皮材であっても適用でき、さらに汎用性に富んだシートの吊り込み方法が期待されていた。しかもこのとき最も重要なことは、コストの上昇を招かないだけでなく、従来の接合と同様に簡便に行うことができるということである。
【0009】
本発明の目的は、確実に面状ファスナの接合ができて吊り込みを行うことができ、表皮とワディングと裏打ち材からなる表皮材だけでなく、一枚ものの表皮材であっても適用でき、汎用性に富んだ面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的は、コストの上昇を招かず、従来の接合と同様に簡便に行うことができる面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法は、パターン溝部が形成されたクッション材と、該クッション材の前記パターン溝部に配設された第1の面状ファスナと、前記クッション材を被覆する表皮材と、該表皮材の所定箇所に設けられ前記第1の面状ファスナと接合される第2の面状ファスナと、を備え、前記第1の面状ファスナと、前記第2の面状ファスナとを接合してシートに吊り込みを行う方法であって、前記第2の面状ファスナを、ループを片面に有する繊維からなる編み物或いは織物で形成し、該第2の面状ファスナをループ面が外側を向くように2つ折り又は3つ折り以上にし、2層又は3層以上の多層状となった状態で表皮材側からクッション材側へ押圧して、2つ折り又は3つ折り以上にして多層状となった前記第2の面状ファスナと、前記クッション材側の前記第1の面状ファスナとを接合してなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
クッション材20は、フレームF(図5参照)等に支持されて、所定のパターン溝部21が形成されている。このパターン溝部21には面状ファスナ22が、ファスナ面22aを上面にして配設されている。
【0013】
上記クッション材20は表皮材10で被覆されており、表皮材10には上記クッション材20に形成されたパターン溝部21と整合する位置に、面状ファスナ14が配設されている。そして表皮材10に配設された面状ファスナ14は、クッション材20に配設された面状ファスナ22と接合されように、表皮材20の所定位置に予め位置が決定されている。
【0014】
上記面状ファスナ14のループ面14aが常時外側を向くように、三等分の位置から3つ折りに形成している。このように、面状ファスナ14を三等分にして折り曲げ、常にループ面14aが外側に向くようにして、裏打ち材13側で、所定のパターンに沿って表皮材10と縫合する。
【0015】
次に、クッション材20のパターン溝部21に配設された面状ファスナ22と、表皮材10に設けられた面状ファスナ14とを強固に接合する。表皮材10側に取り付けた面状ファスナ14のループ面14aは、常にあらゆる角度でクッション材20側の面状ファスナ22と接合でき、しかも表皮材10がクッション材20の面状ファスナ22と当接するように接合できるので、図11のようなダレの発生を防止できて、深く吊り込むことができる。また図12のような2カ所での接合が不要であり、一枚物の表皮材10でも対応することができる。さらに図10のように表皮材の裏面全体に面状ファスナを用いることがないので、経済的である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0017】
図1乃至図5は本発明に係る一実施例を示すものであり、図1は座席の斜視図、図2は表皮材に面状ファスナを取り付けた状態を示す断面図、図3は面状ファスナの折り方の説明図、図4は表皮材の面状ファスナとクッション材の面状ファスナとの接合を示す説明図、図5は表皮材をクッション材に接合するときの説明図である。
【0018】
シート(座席)Sの着座部S1や背部S2は、一般にフレームF(図5参照)とクッション材20と表皮材10とから構成されており、表皮材10は上記フレームやクッション材20を隠蔽してデザインと外観を良好とすると共に着座感を高めるものである。そして、着座部S1や背部S2は、図1で示すように、表皮材10の浮き上がり防止と、デザイン上の要請等のため、表皮材10の吊り込みを行っている。
【0019】
本例のクッション材20は、フレームF等に支持されて、所定のパターン溝部21が形成されている。このパターン溝部21は、シートSのデザインを考慮して予め設定される。このパターン溝部21には面状ファスナ22が、ファスナ面22aを上面にして配設されている。本例のパターン溝部21に配設される面状ファスナ22は、合成樹脂等で構成された長尺ものから構成され、雄型をしたファスナ面21aが複数条形成されており、ファスナ面22aと反対側の面22bにはクッション材20との接合が良好になるように凹凸部22cとなって形成され、クッション材20に固着されている。
【0020】
また上記クッション材20は表皮材10で被覆されている。本例の表皮材10は、図2で示すように、表面材11とワディング材12と裏打ち材13の三層構造から構成されており、上記クッション材20に形成されたパターン溝部21と整合する位置には面状ファスナ14が配設されている。そして表皮材10に配設された面状ファスナ14は、クッション材20に配設された面状ファスナ22と接合されように、表皮材20の所定位置に予め位置が決定されている。
【0021】
上記表皮材10に取付ける面状ファスナ14は、ループを片面(以下「ループ面」という)14aに有する繊維からなる編み物或いは織物で形成している。そして図3で示すように、本例では面状ファスナ14をループ面14aが常時外側を向くように三等分の位置から3つ折りに形成している。このように、面状ファスナ14を三等分にして折り曲げ、常にループ面14aが外側に向くようにして、裏打ち材13側で、所定のパターンに沿って表皮材10と縫合する。縫合位置はなるべく折り曲げた面状ファスナ14の中心位置が好ましいが、面状ファスナ14を折り曲げて形成した左右幅(図2参照)が狭い場合には、どの位置であっても良い。
【0022】
次に、クッション材20のパターン溝部21に配設された面状ファスナ22と、表皮材10に設けられた面状ファスナ14とを接合するが、この接合は図5で示すように、押圧治具30によって行なう。本例の押圧治具30は、パターン溝部21の形状に合うように且つパターン溝部21より若干小さく形成された凸部31を備えており、凸部31の先端側は先細りに形成されている。この押圧治具30を用いて、クッション材20を被覆した表皮材10側からクッション材20側へ押圧する。これにより図4で示すように、表皮材10側の面状ファスナ14と、クッション材20側の面状ファスナ22とが強固に接合する。
【0023】
以上のように構成されているので、表皮材10側に取り付けた面状ファスナ14のループ面14aは、常にあらゆる角度でクッション材20側の面状ファスナ22と接合でき、しかも表皮材10がクッション材20の面状ファスナ22と当接するように接合できるので、図11のようなダレの発生を防止できて、深く吊り込むことができる。また図12のような2カ所での接合が不要であり、一枚物の表皮材10でも対応することができる。さらに図10のように表皮材の裏面全体に面状ファスナを用いることがないので、経済的である。
【0024】
図6及び図7は他の実施例を示すもので、図6は表皮材10に面状ファスナを取り付けた状態を示す断面図、図7は図6の実施例に係る面状ファスナの折り方の説明図である。前記実施例では、表皮材10側に配設する面状ファスナ14を三つ折りにした例を示したが、本例では二つ折りにした例を示すものである。本例では二つ折りにして、表皮材10との縫合位置を二つ折りの端部側で縫合している。他の構成自体は前記した実施例と同様である。
【0025】
上記各実施例では、表皮材10として三層構造のものを用いた例を示したが、表皮材10としては、一層の一枚ものであっても、適用でき、また所定位置に縫合部(二つ以上の種類の表皮材10の合わせ部)があっても適用できるものである。したがって各種の表皮材に対応できると共に、従来の面状ファスナを用いた吊り込みのための装置を、そのまま利用できるので、非常に経済的であり、その実用的価値は絶大である。
【0026】
【発明の効果】
本発明では、上述のように、表皮材に取付ける面状ファスナを、ループを片面に有する繊維からなる編み物或いは織物で形成し、この面状ファスナをループ面が外側を向くように2つ折り又は3つ折り以上にし、表皮材側からクッション材側へ押圧して、2つ折り又は3つ折り以上にした面状ファスナと、クッション材側の面状ファスナとを接合してなる構成としているために、面状ファスナを用いて吊り込みパターンを形成するときに、表皮材をクッション材に被覆するときにどのような状態となっても表皮材側の面状ファスナであるループ面が、常にクッション材側の面状ファスナと向き合った状態となり、確実に面状ファスナの接合ができる。
【0027】
また表皮とワディングと裏打ち材からなる表皮材だけでなく、一枚ものの表皮材であっても適用でき、コストの上昇を招かないだけでなく、従来の接合と同様に簡便に行うことができ、汎用性に富んだシートの吊り込み方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る座席の斜視図である。
【図2】表皮材に面状ファスナを取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】面状ファスナの折り方の説明図である。
【図4】表皮材の面状ファスナとクッション材の面状ファスナとの接合を示す説明図である。
【図5】表皮材をクッション材に接合するときの説明図である。
【図6】他の実施例を示す表皮材に面状ファスナを取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】図6の実施例に係る面状ファスナの折り方の説明図である。
【図8】従来例の表皮材に面状ファスナを取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】面状ファスナを利用した従来例を示す部分断面図である。
【図10】従来例を示す断面説明図である。
【図11】従来例を示す断面説明図である。
【図12】従来例を示す断面説明図である。
【図13】従来例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
10 表皮材
11 表面材
12 ワディング材
13 裏打ち材
14 面状ファスナ
14a ループ面
20 クッション材
21 パターン溝部
22 面状ファスナ
22a ファスナ面
F フレーム
S シート

Claims (1)

  1. パターン溝部が形成されたクッション材と、該クッション材の前記パターン溝部に配設された第1の面状ファスナと、前記クッション材を被覆する表皮材と、該表皮材の所定箇所に設けられ前記第1の面状ファスナと接合される第2の面状ファスナと、を備え、前記第1の面状ファスナと、前記第2の面状ファスナとを接合してシートに吊り込みを行う方法であって、前記第2の面状ファスナを、ループを片面に有する繊維からなる編み物或いは織物で形成し、該第2の面状ファスナをループ面が外側を向くように2つ折り又は3つ折り以上にし、2層又は3層以上の多層状となった状態で表皮材側からクッション材側へ押圧して、2つ折り又は3つ折り以上にして多層状となった前記第2の面状ファスナと、前記クッション材側の前記第1の面状ファスナとを接合してなることを特徴とする面状ファスナを用いたシートの吊り込み方法。
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