JP3701902B2 - 低比抵抗低熱膨張合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、安定化ジルコニアと熱膨張係数が近似したCr−W−Fe系低熱膨張合金の改良に係り、該系合金を基本としてTi,Zr,Hfのうち少なくとも1種の元素を添加することにより低比抵抗化を図り、かつCoを添加することにより、遮熱コーティングとしてのジルコニア系セラミックスと母材との中間層、あるいは第三世代として開発されている固体酸化物型燃料電池に用いられる安定化ジルコニアと熱膨張係数が近似し、特に高温における機械的強度並びに耐酸化性にすぐれた低比抵抗低熱膨張合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー問題や地球環境問題がクローズアップされ、発電用ガスタービンをはじめとする各種高温プラント機器の高温高圧化傾向が著しく、これに伴い臨界条件下で使用されている金属材料の損傷劣化問題が深刻化している。
【0003】
そのため、最近の航空機用ならびに陸用のガスタービンでは、動静翼用の高強度超合金に対して耐食コーティングの適用が通例となっているが、該コーティングにおいても高温腐食が絡んだ損傷劣化問題は解決されていないのが現状である。
【0004】
コーティングの一例として、遮熱コーティング(TBC)は、温度差を有する金属部品へ熱伝導率の低いセラミックをコーティングし、金属部品表面の温度上昇を防止するものであり、ガスタービンへは燃焼器を中心に10年以上前より使用されており、最近では冷却翼への適用も盛んに研究され、実翼を用いたテストにより50〜100℃の遮熱効果が確認されている。
【0005】
TBCは、通常熱伝導率(cal/cm・s・℃)が0.04〜0.08であるAl2O3や0.01〜0.02のTiO2に比べて0.005〜0.006と低いZrO2(MgO、Y2O3、CaO等の安定化材を固溶)を主成分とするセラミック溶射層と合金(基材)との熱膨張差を緩和あるいは耐食性の向上を目的とするNi−Al系合金、Ni−Cr系合金、M−Cr−Al−Y系合金(MはFe,Ni,Co等)等からなる中間溶射層からなり、この中間層を金属とセラミックの混合層として多層化したり、完全な傾斜組成にすることなども研究されている。
【0006】
一方、新たな発電システムとして注目されている燃料電池は、電解質にリン酸水溶液を用いるリン酸型(PAFC)、電解質に炭酸リチウム、炭酸カリウム等を用いる溶融炭酸塩型(MCFC)、電解質にジルコニア系のセラミックを用いる固体酸化物型(SOFC)等があり、いずれも燃料のもつ化学エネルギーを電気化学反応により直接電気エネルギーに変換する発電方式であり、種々のすぐれた特徴を有している。
【0007】
最近のエネルギー政策、地球環境問題の高まりの中で需要地に接近設置できる分散電源、コージェネレーション用電源として燃料電池の早期実用化が強く望まれており、分散型電源導入量でも燃料電池に最も大きな期待がかけられている。
【0008】
固体酸化物型燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の電解質板の両面を、燃料極(アノード)と空気極(カソード)とで挟んだものを単セルとなし、さらに、実用電力を得るためにセパレータを介して該単セルを多層に積層した構成からなり、前記セパレータと燃料極(アノード)の間に形成される通路空間には燃料となるH2とCOが供給され、セパレータと空気極(カソード)の間に形成される通路空間には空気が供給される機構を基本とする、いわゆる、水の電気分解反応の逆の反応を応用した発電システムである。
【0009】
通商産業省が推進している省エネルギーに関するムーンライト計画における高温ガスタービンの開発目標は、最終的に入口ガス温度1773Kを達成し、そのタービンの排熱により駆動される蒸気タービンとの組合せによる、いわゆる複合発電により総合発電効率を55%にすることを目標としている。
【0010】
蒸気タービンのみによる現在の火力発電の効率は約40%であり、これが10%向上したとすると我が国において1年間約3100億円の燃料が節約できるといわれている。
【0011】
さて、前者の遮熱コーティング(TBC)の構成において、特に重要視されるのが安定化ジルコニアの溶射層の存在である。上記のような高温、高効率化の目標を達成するために、Ni基超合金が使用されているが、合金をガスタービン中でコーティングなしで用いると、1年程度の寿命しか期待できない。従って、ガスタービン用ブレードにコーティングを行うことは不可欠である。
【0012】
しかし、安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6/K程度)とNi基超合金の熱膨張係数(18〜20×10-6/K程度)の差が大きいため、安定化ジルコニアの溶射層に亀裂が発生しやすいという問題がある。
【0013】
これに対し、耐食性向上も期待できるNi−Al系合金、Ni−Cr系合金、M−Cr−Al−Y系合金(MはFe,Ni,Co等)等からなる中間層を熱膨張差を緩和する目的で溶射する場合もあるが、これらの熱膨張係数もまだ16〜18×10-6/K程度と大きく、充分な結果が得られていない。
【0014】
次に、後者の固体酸化物型燃料電池の構成においては、特に重要視されるのがセパレータの存在である。燃料電池は内部抵抗を小さくし、容積当たりの電極面積を大きくするために通常は平板を積層した構成をとる。
【0015】
燃料電池のセパレータは、空気極や燃料極あるいは固体電解質と近似した熱膨張係数と耐酸化性、高導電性を要求されることから、その材質には(La,アルカリアース)CrO3を用いるのが一般的である。
【0016】
セパレータの具体的な役割は、単セルを積層する際に各々単セルを仕切り、燃料となるH2と空気を遮断するなどの機能を有するほか、電解質板を保持する機能を有している。
【0017】
電解質板を保持するには、予め電解質板の面積を燃料極や空気極の面積よりも大きくしておくことにより、容易にセパレータとの積層が可能となって、電解質板を保持することができる。しかし、セパレータは上記の如くセラミックスであるため、強度的に弱くまた成形性が悪いため、大型化できないという問題がある。
【0018】
セパレータ材料としては、高温で酸化雰囲気にある空気極と還元雰囲気にある燃料極とを連絡する必要上、酸化にも還元にも強く、かつ電気導電性がよいことが要求される。
【0019】
セパレータ材料として、LaCr0.9Mg0.1O3やCoCr2O4あるいはNi‐Al合金が検討されているが、これらのセパレータ用材料と燃料極あるいは固体電解質との接合が困難であるという問題がある。
【0020】
上述の(La,アルカリアース)CrO3は、工業的に均質な原料粉末を得る粉末調整法が確立されておらず、ステンレス鋼やいわゆるインコネルなどの耐熱合金は、強度的な点では上記のセラミックスより優れているが、熱膨張係数が大きいため電池作動温度(約1000℃)では固体電解質にかなりの引張応力がかかり、また酸化被膜の電気抵抗も大きい問題がある。
【0021】
金属セパレータについては、熱膨張係数の不整合と耐熱鋼上の酸化被膜の成長の問題があり、熱膨張係数については、接続体としてLaMnOxの発泡体を使う方法や金属の組成制御により熱膨張係数を近づける試みがなされており、酸化被膜についてはLaCrO3を溶射する方法などが試みられているが、いずれも満足した結果は得られていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
今日、MgO、Y2O3、CaO等の種々の安定化材を固溶させた安定化ジルコニアは、その特徴である高強度や強靭性、高融点や断熱性、電気的特性等を活かすために、各種の用途別に該特性を追求して、安定化材の選定とともに製造方法に工夫がされており、製鋼工業、化学工業、電池、溶射材料、タービン、内燃機関、センサーなど多方面の用途に使用されている。
【0023】
種々用途に採用され、セラミックス単体で用いる以外は、多くの場合、他の金属材料等と隣接あるいは接合されて使用されるが、熱膨張係数が近似しかつ各種用途に適用可能な材料は提案されていなかった。
【0024】
そこで、発明者らは先に、安定化ジルコニアと熱膨張係数が近似し、かつ高温における耐酸化性にすぐれる耐酸化性金属材料として、特定組成のCr−W−Fe系合金にM(M=Y,Hf,Ce,La,Nd,Dyの1種または2種以上)あるいはさらにBを添加したCr−W−M−Fe系合金及びCr−W−M−B−Fe系合金を提案した(特開平8−277441号)。
【0025】
上記発明者らの提案による金属材料は、安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6/K)と近似した熱膨張係数(12〜13×10-6/K)が得られ、また、耐酸化性においても従来のステンレス鋼に比べ格段に優れてはいるが、近年、益々要求が高まる高温高圧下における耐酸化性、および安定化ジルコニアとの優れた熱膨張整合性を満足させるまでには至っていない。
【0026】
また、該金属材料は、導電性セラミックスと比較すると比抵抗増が大きいため、すぐれた電気伝導性を得ることが困難であり、さらに、構造材として使用するには強度が弱く、特に高温(約1000℃)における機械的強度が十分ではなかった。
【0027】
この発明は、ガスタービンを始めとする各種高温プラント機器の長寿命化、並びに固体酸化物型燃料電池の大型化を図ることが可能なように、安定化ジルコニアと熱膨張係数が近似し、低比抵抗値を有する低熱膨張合金の提供を目的とし、さらに近年の高い要求を満足する耐酸化性及び電気伝導性を発揮するとともに、特に、高温における機械的強度並びに耐酸化性にすぐれ、かつ低比抵抗値を有する低比抵抗低熱膨張合金の提供を目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、先の提案(特開平8−277441号)に基づいて、安定化ジルコニアとのさらに優れた熱膨張整合性、耐酸化性及び電気伝導性を有するとともに、特に低比抵抗値を有する合金を目的に鋭意研究の結果、前記Cr−W−Fe系合金にTi,Zr,Hfのうち少なくとも1種を添加すると、熱膨張整合性、耐酸化性を損なうことなく、比抵抗値が小さくなることを知見した。
【0029】
また、発明者らは、Cr−W−(Ti,Zr,Hf)−Fe系合金に、Coを添加すると熱膨張整合性、耐酸化性、電気伝導性を損なうことなく、高温における機械的強度が向上することを知見した。
【0030】
さらに、発明者らは、Cr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系に、少量のBを添加することにより、該合金におけるWの粒界への偏析を防止できることを知見し、そして、上述した合金それぞれに、少量のY,Hf,Ce,La,Nd,Dyのうち少なくとも1種を添加することにより、なお一層耐酸化性が向上することを確認し、特にHf含有時にはBが共存することで熱間加工が可能になることを知見し、この発明を完成した。
【0031】
すなわち、この発明は、Cr15〜40wt%、W5〜15wt%、Ti,Zr,Hfのうち少なくとも1種を0.1(但しHf単独の場合は1wt%を超える)〜5wt%、Co1〜10wt%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる低比抵抗低熱膨張合金である。
【0032】
また、この発明は、上記組成の低比抵抗低熱膨張合金において、当該合金におけるWの粒界への偏析防止を目的にBを0.001〜0.01wt%添加した低比抵抗低熱膨張合金である。
【0033】
また、この発明は、上記の種々組成の低比抵抗低熱膨張合金において、なお一層の耐酸化性の向上を目的にM( MはY,Hf,Ce,La,Nd,Dyの1種または2種以上)を0.01〜1wt%添加した低比抵抗低熱膨張合金である。但し、MよりHfを選択するのはTi,Zrのうち少なくとも1種を含有する時のみである。
【0034】
また、発明者らは、上記構成からなる低比抵抗低熱膨張合金において、
1000℃における0.2%耐力が2.0kgf/mm2以上であること、
室温から1000℃における平均熱膨張係数が12×10-6/K以上13×10-6/K未満であること、
大気中における1000℃×490時間処理後の抵抗増分に、試料の表面積をかけ合わせた数値で表される比抵抗増が10mΩ・cm2未満であること、
をそれぞれ特徴とする低比抵抗低熱膨張合金を併せて提案する。
【0035】
【発明の実施の形態】
この発明による金属材料の組成の限定理由について説明する。
Crは、耐熱性を得るための基本成分であり、少なくとも15wt%の含有を必要とする。しかし、40wt%を超えて添加しても効果が飽和し、また熱膨張係数を増加させたり、加工性が劣化するため15〜40wt%とする。より好ましくは15〜25wt%の範囲である。
【0036】
Wは、所定の熱膨張係数を得るための基本成分であり、少なくとも5wt%の含有を必要とする。しかし、15wt%を超えて添加すると、熱膨張係数が増加して好ましくないため、5〜15wt%とする。より好ましくは5〜10wt%の範囲である。
【0037】
Coは、高温における機械的強度を得るための基本成分であり、少なくとも1wt%の含有を必要とする。しかし、10wt%を超えて添加すると、熱間加工性が劣化するとともに熱膨張係数が増加して好ましくないため、1〜10wt%とする。より好ましくは5〜10wt%の範囲である。
【0038】
Ti,Zr,Hfのうち少なくとも1種は、電気抵抗の低減に効果があり、0.1wt%未満ではかかる効果が得られず、5wt%を超えるとその効果が飽和し、またHf単独の場合、1wt%以下ではかかる電気抵抗の低減効果が得られず、5wt%を超えるとその効果が飽和するため、0.1wt%(但しHfは1wt%を超える)〜5wt%の含有が望ましく、より好ましくはTiまたはZrの場合は0.5〜2wt%、Hfの場合は1wt%を超え2wt%以下の範囲である。
【0039】
Bは、Wが粒界へ偏析するのを防止する効果があり、少なくとも0.001wt%の含有することが好ましい。しかし、0.01wt%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.001〜0.01wt%とする。なお、前記のHfを1wt%を超えて含有する場合は、特にBの共存により熱間加工を良好にする効果がある。
【0040】
Y,Hf,Ce,La,Nd,Dyは、単独添加あるいは複合添加することによって、耐酸化性を向上させる効果があり、少なくとも0.01wt%含有することが好ましい。しかし、1wt%を超えて添加すると、熱間加工性が急激に劣化するため、好ましい添加範囲は0.01〜1wt%である。
【0041】
なお、この発明による金属材料は、Cr−W−Fe系合金の電気抵抗の低減のために、Ti,Zr,Hfのうち少なくとも1種を含有するとともに、機械的強度の向上のためにCoを含有することを特徴とする。また、本系のCr−W−(Ti,Zr)−Co−Fe系において、耐酸化性に向上効果を付与するために、上記の添加元素(Y,Hf,Ce,La,Nd,Dy)より少なくとも1種を選定添加する。Cr−W−(Hf)−Co−Fe系の場合はHfの含有によって、低抵抗と耐酸化性の特徴を有しているが、さらに耐酸化性を向上させるため、Y,Ce,La,Nd,Dyより1種以上を含有させることが可能である。
【0042】
Feは、この発明による金属材料の基幹をなし、上記元素の含有残余を占める。
【0043】
この発明による種々のCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金は、例えば溶解鋳造などの公知の方法によって得ることができ、得られた合金に熱間や冷間などの加工を施したり、粉末化して用いる等、用途に応じた形態を適宜選定することができる。
【0044】
この発明による種々のCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金は、安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6/K)とほぼ同等の、室温から1000℃における平均熱膨張係数が12.0×10-6/K以上13.0×10-6/K未満の熱膨張係数が得られ、安定化ジルコニアあるいは安定化ジルコニアと同様な熱膨張係数を有する材料と共に用いるのに最適な特性を有する。
【0045】
また、この発明によるCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金は、上述した組成並びに製造方法によって、1000℃における0.2%耐力が2.0kgf/mm2以上となり、高温における機械的強度が飛躍的に向上する。
【0046】
さらに、この発明による種々のCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金は、大気中における1000℃×490時間処理後の抵抗増分に試料の表面積をかけ合わせた数値で表される比抵抗増が、従来の合金と同等以下となり、高温においても優れた電気伝導性を示すことが可能となる。
【0047】
【実施例】
実施例1
この発明の効果を実証するために、表1に示す組成からなるこの発明による種々のCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金を作成し、1000℃における0.2%耐力、室温から1000℃の熱膨張係数、高温における酸化増量及び比抵抗を測定した。その結果を比較例と共に表1、表2に示す。なお、試料No.1,2,6,7,19〜22は参考例である。
【0048】
なお、1000℃における0.2%耐力は、JIS G0567「鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張試験方法」に準拠する高温引張試験装置で、ひずみ速度0.6%/minで試験した結果によって測定した。また、酸化増量は、大気中において1000℃×1000時間の加熱後の重量と加熱前の重量との差を試料の表面積で除した数値で評価した。
【0049】
さらに、比抵抗増は、大気中において、1000℃×490時間加熱後の抵抗増分に試料の表面積をかけ合わせた数値で評価した。なお、比抵抗増について、界面は厚みを持たないため、面積のみが抵抗の大きさを決定する要素となる。従って、測定した抵抗をRとすると、Rは界面積に反比例する、すなわちR∝1/Sとなる。この比例定数をρとするとR=ρ・1/S、ρ=R・Sとなる。従って、ρの単位はmΩ・cm2となる。
【0050】
表1、表2より、この発明によるCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系合金が、比抵抗が低く、高温での機械的強度に優れるとともに、熱膨張係数が安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6/K)と近似しており、特に、電気伝導性、耐酸化性にも極めて優れていることが分かる。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
この発明によるCr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−Fe系、Cr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−B−Fe系、Cr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−M−Fe系、Cr−W−(Ti,Zr,Hf)−Co−B−M−Fe系の各合金は、安定化ジルコニアと近似した熱膨張係数を有し、かつ高温における優れた機械的強度並びに耐酸化性を有するとともに、すぐれた電気伝導性を有するため、遮熱コーティングとしてのジルコニア系セラミックスと母材との中間層、あるいは安定化ジルコニアを電解質とする固体酸化物型燃料電池のセパレータ材として最適である。
【0054】
また、この発明による金属材料を用いることにより、ガスタービンを始めとする各種高温プラント機器の長寿命化、並びに固体酸化物型燃料電池の大型化を図ることが可能となる。
【0055】
さらに、金属材料であることから酸化物に比べて加工が容易であり、特に固体酸化物型燃料電池では製造性が良好で、コストの低減効果が大きい。
Claims (6)
- Cr15〜40wt%、W5〜15wt%、Ti,Zr,Hfのうち少なくとも1種を0.1(但しHf単独の場合は1wt%を超える)〜5wt%、Co1〜10wt%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる低比抵抗低熱膨張合金。
- 請求項1において、Bを0.001〜0.01wt%含有する低比抵抗低熱膨張合金。
- 請求項1又は請求項2において、さらにY,Hf(Ti,Zrのうち少なくとも1種を含有する時のみ),Ce,La,Nd,Dyのうち少なくとも1種を0.01〜1wt%含有する低比抵抗低熱膨張合金。
- 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、室温から1000℃における平均熱膨張係数が12×10-6/K以上13×10-6/K未満である低比抵抗低熱膨張合金。
- 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、大気中における1000℃×490時間処理後の抵抗増分に、試料の表面積をかけ合わせた数値で表される比抵抗増が10mΩ・cm2未満である低比抵抗低熱膨張合金。
- 請求項1から請求項5のいずれかにおいて、1000℃における0.2%耐力が2.0kgf/mm2以上である低比抵抗低熱膨張合金。
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