JP3311990B2 - 耐酸化性低熱膨張合金 - Google Patents

耐酸化性低熱膨張合金

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、安定化ジルコニ
アと熱膨張係数が近似したCr−W−Fe系低熱膨張合
金の改良に係り、該系合金を基本としてAlを添加する
ことにより、表面にAl23を含むCr23からなる表
面酸化層が形成されるとともに、内部にAl23の分散
層が形成される金属材料となり、例えば、遮熱コーティ
ングとしてのジルコニア系セラミックスと母材との中間
層、あるいは第三世代として開発されている固体酸化物
型燃料電池に用いられる安定化ジルコニアと熱膨張係数
が近似し、特に高温における耐酸化性にすぐれ、かつ比
抵抗増が低く抑制された耐酸化性低熱膨張合金に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー問題や地球環境問題が
クローズアップされ、発電用ガスタービンをはじめとす
る各種高温プラント機器の高温高圧化傾向が著しく、こ
れに伴い臨界条件下で使用されている金属材料の損傷劣
化問題が深刻化している。そのため、最近の航空機用な
らびに陸用のガスタービンでは、動静翼用の高強度超合
金に対して耐食コーティングの適用が通例となっている
が、該コーティングにおいても高温腐食が絡んだ損傷劣
化問題は解決されていないのが現状である。
【0003】コーティングの一例として、遮熱コーティ
ング(TBC)は、温度差を有する金属部品へ熱伝導率
の低いセラミックをコーティングし、金属部品表面の温
度上昇を防止するものである。ガスタービンへは燃焼器
を中心に10年以上前より使用されており、最近では冷
却翼への適用も盛んに研究され、実翼を用いたテストに
より50〜100℃の遮熱効果が確認されている。
【0004】TBCは、通常熱伝導率(cal/cm・
s・℃)が0.04〜0.08であるAl23や0.0
1〜0.02のTiO2に比べて0.005〜0.00
6と低いZrO2(MgO、Y23、CaO等の安定化
材を固溶)を主成分とするセラミック溶射層と合金(基
材)との熱膨張差を緩和あるいは耐食性の向上を目的と
するNi−Al系合金、Ni−Cr系合金、M−Cr−
Al−Y系合金(MはFe,Ni,Co等)等からなる
中間溶射層からなり、この中間層を金属とセラミックの
混合層として多層化したり、完全な傾斜組成にすること
等も研究されている。
【0005】次に、新たな発電システムとして注目され
ている燃料電池は、電解質にリン酸水溶液を用いるリン
酸型(PAFC)、電解質に炭酸リチウム、炭酸カリウ
ム等を用いる溶融炭酸塩型(MCFC)、電解質にジル
コニア系のセラミックを用いる固体酸化物型(SOF
C)等があり、いずれも燃料のもつ化学エネルギーを電
気化学反応により直接電気エネルギーに変換する発電方
式で種々のすぐれた特徴を有している。
【0006】最近のエネルギー政策、地球環境問題の高
まりの中で需要地に接近設置できる分散電源、コージェ
ネレーション用電源として燃料電池の早期実用化が強く
望まれており、分散型電源導入量でも燃料電池に最も大
きな期待がかけられている。
【0007】固体酸化物型燃料電池は、イットリア安定
化ジルコニア(YSZ)の電解質板の両面を、燃料極
(アノード)と空気極(カソード)とで挟んだものを単
セルとなし、さらに、実用電力を得るためにセパレータ
を介して該単セルを多層に積層し、前記セパレータと燃
料極(アノード)の間に形成される通路空間には燃料と
なるH2とCOが供給され、セパレータと空気極(カソ
ード)の間に形成される通路空間には空気が供給される
構成を基本とする、いわゆる、水の電気分解反応の逆の
反応を応用した発電システムである。
【0008】ムーンライト計画(通商産業省が推進して
いる省エネルギーに関する計画)における高温ガスター
ビンの開発目標は、最終的に入口ガス温度1773Kを
達成し、そのタービンの排熱により駆動される蒸気ター
ビンとの組合せによる、いわゆる複合発電により総合発
電効率を55%にすることを目標としている。蒸気ター
ビンのみによる現在の火力発電の効率は約40%であ
り、これが10%向上したとすると我が国において1年
間約3100億円の燃料が節約できるといわれている。
【0009】遮熱コーティング(TBC)の構成におい
て、特に重要視されるのが安定化ジルコニアの溶射層の
存在である。上記のような高温、高効率化の目標を達成
するために、Ni基超合金が使用されているが、合金を
ガスタービン中でコーティングなしで用いては、1年程
度の寿命しか期待できない。従ってコーティングを行う
ことは不可欠である。
【0010】しかし、安定化ジルコニアの熱膨張係数
(10〜12×10-6/K程度)とNi基超合金の熱膨
張係数(18〜20×10-6/K程度)の差が大きいた
め、安定化ジルコニアの溶射層に亀裂が発生しやすいと
いう問題がある。これに対し、耐食性向上も期待できる
Ni−Al系合金、Ni−Cr系合金、M−Cr−Al
−Y系合金(MはFe,Ni,Co等)等からなる中間
層を熱膨張差を緩和する目的で溶射する場合もあるが、
これらの熱膨張係数もまだ16〜18×10-6/K程度
と大きく、充分な結果が得られていない。
【0011】次に、後者の固体酸化物型燃料電池の構成
においては、特に重要視されるのがセパレータの存在で
ある。燃料電池は内部抵抗を小さくし、容積当たりの電
極面積を大きくするために通常は平板を積層した構成を
とる。セパレータは、空気極や燃料極あるいは固体電解
質と近似した熱膨張係数と耐酸化性、高導電性を要求さ
れることから、その材質には(La,アルカリアース)
CrO3を用いるのが一般的である。
【0012】セパレータの具体的な役割は、単セルを積
層する際に各々単セルを仕切り、燃料となるH2と空気
を遮断するなどの機能を有するほか、電解質板を保持す
る機能を有している。
【0013】電解質板を保持するには、予め電解質板の
面積を燃料極や空気極の面積よりも大きくしておくこと
により、容易にセパレータとの積層が可能となって、電
解質板を保持することができる。しかし、セパレータは
上記の如くセラミックスであるため、強度的に弱く、成
形性が悪いことが問題となっている。
【0014】セパレータ材料としては、高温で酸化雰囲
気にある空気極と還元雰囲気にある燃料極とを連絡する
必要上、酸化にも還元にも強く、かつ、電子導電性がよ
いことが要求される。セパレータ材料として、LaCr
0.9Mg0.13やCoCr24あるいはNi‐Al合金
が検討されているが、これらのセパレータ用材料と燃料
極あるいは固体電解質との接合が困難であるという問題
がある。
【0015】上述の(La,アルカリアース)CrO3
は、工業的に均質な原料粉末を得る粉末調整法が確立さ
れておらず、ステンレス鋼やいわゆるインコネルなどの
耐熱合金は、強度的な点では上記のセラミックスより優
れているが、熱膨張係数が大きいため電池作動温度(約
1000℃)では固体電解質にかなりの引張応力がかか
り、また酸化被膜の電気抵抗も大きい問題がある。
【0016】金属セパレータについては、熱膨張係数の
不整合と耐熱鋼上の酸化被膜の成長の問題があり、熱膨
張係数については、接続体としてLaMnOxの発泡体
を使う方法や金属の組成制御により熱膨張係数を近づけ
る試みがなされており、酸化被膜についてはLaCrO
3を溶射する方法などが試みられているが、いずれも満
足した結果は得られていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】今日、MgO、Y
23、CaO等の種々の安定化材を固溶させた安定化ジ
ルコニアは、その特徴である高強度や強靭性、高融点や
断熱性、電気的特性等を活かし、各種の用途別に該特性
を追求して、安定化材の選定とともに製造方法に工夫が
されており、製鋼工業、化学工業、電池、溶射材料、タ
ービン、内燃機関、センサーなど多方面の用途に使用さ
れていることから、セラミックス単体で用いる以外は、
多くの場合、他の金属材料等と隣接あるいは接合されて
使用されるが、熱膨張係数が近似しかつ各種用途に適用
可能な金属材料は提案されていなかった。
【0018】そこで、発明者らは先に、安定化ジルコニ
アと熱膨張係数が近似し、かつ高温における耐酸化性に
すぐれる耐酸化性低熱膨張合金として、特定組成のCr
−W−M−Fe系合金及びCr−W−M−B−Fe系合
金(M=Y,Hf,Ce,La,Nd,Dyの1種また
は2種以上)を提案した(特開平8−277441
号)。
【0019】しかし、上記提案による金属材料は、安定
化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6/K)
と近似した熱膨張係数(12〜13×10-6/K)が得
られ、また、耐酸化性においても従来のステンレス鋼に
比べ格段に優れてはいるものの、近年、益々要求が高ま
る高温高圧下における耐酸化性、および安定化ジルコニ
アとの優れた熱膨張整合性を満足させるまでには至って
いない。また、導電性セラミックスと比較すると比抵抗
増が大きいため、すぐれた電気伝導性を得ることが困難
であった。
【0020】この発明は、ガスタービンを始めとする各
種高温プラント機器の長寿命化、並びに固体酸化物型燃
料電池の大型化を図ることが可能なように、安定化ジル
コニアと熱膨張係数が近似し、近年の高い要求を満足す
る耐酸化性及び電気伝導性を発揮できる耐酸化性低熱膨
張合金の提供を目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】発明者らは、先の提案
(特開平8−277441号)に基づいて、安定化ジル
コニアとのさらに優れた熱膨張整合性、耐酸化性及び電
気伝導性を有する金属材料を目的に種々研究の結果、前
記Cr−W−Fe系合金にAlを添加すると、Crより
酸素との親和力の大きいAlが選択酸化を受けるため、
CrとAlの量を最適に調整することによって金属表面
にAl23を含むCr23からなる酸化物層が、また、
金属内部にAl23の分散層が形成されることを知見し
た。
【0022】表面酸化物のAl23を含むCr23酸化
物層は、先の出願における表面酸化物層であるCr23
よりも保護性が大きく、酸化速度の低減に寄与するた
め、耐酸化性の向上には好適である。しかしながら、A
lの添加によって表面酸化物の全てがAl23になる
と、電気抵抗が高くなり、また、Al含有量の増加に伴
い熱膨張係数は大きくなる。そのため単にAlを添加す
るのみでは、遮熱コーティングと母材との中間層、ある
いは安定化ジルコニアを電解質とする固体酸化物型燃料
電池のセパレータ材として用いることは困難であった。
【0023】そこで、発明者らは、Alの添加量と耐酸
化性、電気伝導性及び熱膨張係数との関係についてさら
に鋭意研究の結果、Cr−W−Fe系合金に、所定範囲
内でAlを添加することによって、金属表面にAl23
を含むCr23酸化物層が形成され、その酸化物層が、
Cr−W−Fe系合金におけるCr23表面酸化物層に
比べ、保護性が大きく耐酸化性を損なうことなく、かつ
層の厚みが薄くなるため、優れた電気伝導性が得られる
こと、並びに金属材料内部のAl23の分散層の存在に
よって、表面付近の熱膨張係数がいっそう安定化ジルコ
ニアに近づくことを知見し、さらに、Alを添加したC
r−W−Al−Fe系合金に、少量のBを添加すること
により、該合金におけるWの粒界への偏析を防止できる
こと、そして、上述した合金それぞれに、少量のY,H
f,Ce,La,Nd,Dyのうち少なくとも1種を添
加することにより、なお一層耐酸化性が向上することを
知見し、この発明を完成した。
【0024】すなわち、この発明は、Cr15〜40w
t%、W5〜15wt%、Al0.1〜1wt%、残部
Feおよび不可避的不純物からなり、表面にAl 2 3
含むCr 2 3 からなる酸化物層、内部にAl 2 3 の分散
層を有することを特徴とするCr−W−Al−Fe系耐
酸化性低熱膨張合金である。
【0025】また、この発明は、上記組成の耐酸化性低
熱膨張合金において、当該合金におけるWの粒界への偏
析防止を目的にBを0.001〜0.01wt%添加し
たことを特徴とするCr−W−Al−B−Fe系耐酸化
性低熱膨張合金を提案する。
【0026】また、この発明は、上記組成の耐酸化性低
熱膨張合金において、なお一層の耐酸化性の向上を目的
にM(MはY,Hf,Ce,La,Nd,Dyの1種ま
たは2種以上)を0.01〜1wt%添加したことを特
徴とするCr−W−Al−M−Fe系、Cr−W−Al
−B−M−Fe系耐酸化性低熱膨張合金を提案する。
【0027】さらにまた、この発明は、上記耐酸化性低
熱膨張合金において室温から1000℃における平均
熱膨張係数が12×10-6/K以上13×10-6/K未
満であること、大気中における1000℃×490時間
処理後の抵抗増分に、試料の表面積をかけ合わせた数値
で表される比抵抗増が10mΩ・cm2未満であるこ
と、をそれぞれ特徴とする耐酸化性低熱膨張合金を併せ
て提案する。
【0028】
【発明の実施の形態】この発明による低熱膨張合金の組
成の限定理由について説明する。Crは、耐熱性を得る
ための基本成分であり、少なくとも15wt%の含有を
必要とする。しかし、40wt%を超えて添加しても効
果が飽和し、また熱膨張係数を増加させたり、加工性が
劣化するため15〜40wt%とする。より好ましくは
15〜25wt%の範囲である。
【0029】Wは、所定の熱膨張係数を得るための基本
成分であり、少なくとも5wt%の含有を必要とする。
しかし15wt%を超えて添加すると熱膨張係数が増加
し好ましくないため5〜15wt%とする。より好まし
くは5〜10wt%の範囲である。
【0030】この発明の特徴であるAlの添加量は、
0.1wt%未満では金属材料内部にAl23分散層が
生成されず、また、1wt%を超えて添加すると電気伝
導性が低下して熱膨張係数が大きくなり好ましくないた
め0.1〜1wt%とする。
【0031】Y,Hf,Ce,La,Nd,Dyは、単
独添加あるいは複合添加することによって、耐酸化性を
向上させる効果があり、少なくとも0.01wt%含有
することが好ましい。しかし、1wt%を超えて添加す
ると熱間加工性が急激に劣化するため、好ましい添加範
囲は0.01〜1wt%である。
【0032】Bは、Wが粒界へ偏析するのを防止する効
果があり、少なくとも0.001wt%の含有すること
が好ましい。しかし0.01wt%を超えて添加しても
効果が飽和するため、0.001〜0.01wt%とす
る。
【0033】Feは、この発明による耐酸化性低熱膨張
合金の基幹をなし、上記元素の含有残余を占める。
【0034】この発明による耐酸化性低熱膨張合金は、
上述した組成により、その表面にAl23を含むCr2
3酸化物層、内部にAl23の分散層が形成され、該
酸化物層及び分散層によって、後述する諸特性及び種々
の効果を奏するものである。
【0035】この発明による耐酸化性低熱膨張合金は、
例えば溶解鋳造などの公知の方法によって得ることがで
き、それに熱間や冷間などの加工を施したり、粉末化し
て用いる等、用途に応じた形態を適宜選定することがで
きる。また、この発明による耐酸化性低熱膨張合金の機
械的特性並びに耐熱性は、従来かかる用途で使用されて
いたステンレス鋼と同等の特性を有する。
【0036】この発明による耐酸化性低熱膨張合金の熱
膨張係数は、安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜1
2×10-6/K)とほぼ同等の、室温から1000℃に
おける平均熱膨張係数が12.0×10-6/K以上1
3.0×10-6/K未満の熱膨張係数が得られ、安定化
ジルコニアあるいは安定化ジルコニアと同様な熱膨張係
数を有する材料と共に用いるのに最適な特性を有する。
【0037】また、この発明によれば、大気中における
1000℃×490時間処理後の抵抗増分に試料の表面
積をかけ合わせた数値で表される比抵抗増が10mΩ・
cm2未満となり、高温においても優れた電気伝導性を
示すことが可能となる。
【0038】この発明による耐酸化性低熱膨張合金は、
安定化ジルコニアの熱膨張係数(10〜12×10-6
K)と近似した熱膨張係数を有しかつ電気伝導性及び耐
酸化性に極めてすぐれるため、安定化ジルコニアが使用
される用途、例えば、遮熱コーティングと母材との中間
層あるいは固体酸化物型燃料電池のセパレータ材等、安
定化ジルコニアあるいは安定化ジルコニアと同様な熱膨
張係数を有する材料と共に用いるのに最適な特性を有す
る。
【0039】
【実施例】
実施例1 この発明の効果を実証するために、表1に示す組成から
なる本発明合金材料を作成し、室温〜1000℃の熱膨
張係数、高温における酸化増量及び比抵抗増を測定し
た。その結果を比較例と共に表2に示す。比較例におけ
る*印は、従来例となる特開平8−277441号の発
明における金属材料である。
【0040】なお、酸化増量は、大気中において100
0℃×1000時間の加熱後の重量と加熱前の重量との
差を試料の表面積で除した数値で評価した。また、比抵
抗増は、大気中において、1000℃×490時間加熱
後の抵抗増分に試料の表面積をかけ合わせた数値で評価
した。なお、比抵抗増について、界面は厚みを持たない
ため、面積のみが抵抗の大きさを決定する要素となる。
従って、測定した抵抗をRとすると、Rは界面積に反比
例する、すなわちR∝1/Sとなる。この比例定数をρ
とするとR=ρ・1/S、ρ=R・Sとなる。従って、
ρの単位はmΩ・cm2となる。
【0041】表1、表2より、この発明による耐酸化性
低熱膨張合金が、その熱膨張係数が安定化ジルコニアの
熱膨張係数(10〜12×10-6/K)と近似してお
り、また、電気伝導性、耐酸化性に極めて優れているこ
とが分かる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】この発明によるCr−W−Al−Fe
系、Cr−W−Al−B−Fe系、Cr−W−Al−M
−Fe系、Cr−W−Al−B−M−Fe系からなる耐
酸化性低熱膨張合金は、CrとAlの量を最適に調整す
ることによって、表面にAl23を含むCr23酸化物
と内部にAl23の分散層を形成するため、ステンレス
鋼と比較してはるかに安定化ジルコニアと近似した熱膨
張係数及び表面付近における安定化ジルコニアとの熱膨
張の整合性を有するとともに、極めてすぐれた電気伝導
性を有し、かつ近年の種々用途の要求を満足することが
できる極めて優れた耐酸化性を有するため、遮熱コーテ
ィングとしてのジルコニア系セラミックスと母材との中
間層、あるいは安定化ジルコニアを電解質とする固体酸
化物型燃料電池のセパレータ材として最適である。
【0045】また、この発明による耐酸化性低熱膨張合
金を用いることにより、ガスタービンを始めとする各種
高温プラント機器の長寿命化、並びに固体酸化物型燃料
電池の大型化を図ることが可能となる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr 15〜40wt%、W 5〜15
    wt%、Al 0.1〜1wt%、残部Feおよび不可
    避的不純物からなり、表面にAl 2 3 を含むCr 2 3
    らなる酸化物層、内部にAl 2 3 の分散層を有する耐酸
    化性低熱膨張合金。
  2. 【請求項2】 請求項1において、Bを0.001〜
    0.01wt%含有する耐酸化性低熱膨張合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、Y、
    Hf、Ce、La、Nd、Dyの1種または2種以上を
    0.01〜1wt%含有する耐酸化性低熱膨張合金。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかにおい
    て、室温から1000℃における平均熱膨張係数が12
    ×10-6/K以上13×10-6/K未満である耐酸化
    性低熱膨張合金。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項3のいずれかにおい
    て、大気中における1000℃×490時間処理後の抵
    抗増分に、試料の表面積をかけ合わせた数値で表される
    比抵抗増が10mΩ・cm2未満である耐酸化性低熱膨
    張合金。
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