JP3701389B2 - 生分解性積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物処理が容易で、環境保護に役立つ生分解性に優れた基材又は包装材料を提供するもので、例えば、テレホンカード、ショッピングカード、キャッシュカード、施設利用カード等に代表されるいわゆる使い捨てのプリペイドカード等の基材、又は、一般に、品物を包むための包装紙等の材料として使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレホンカード、ショッピングカード、キャッシュカード、施設利用カード等のプリペイドカードは、一般にプラスチック製の使い捨てカードであって、使用後はそのまま破棄される。
そして、これらの破棄されたプリペイドカードは、ゴミとして焼却又は埋め立て処理される。
また、包装材料として使用された包装袋又は包装容器も使用後は、一部再利用されるものもあるが、大部分はゴミとして焼却又は埋め立て処理される。
プラスチックは焼却処理する場合は発熱カロリーが高すぎて焼却炉を傷めたりする問題がある。
【0003】
焼却処理せずに埋め立て処分する場合でも、プラスチックは他の廃棄物に比べて単位重量当たりの容積比が高い上、何時までも腐敗しないで残るため、埋め立て後の地盤を弱くし、埋め立て地の跡地利用を困難にする等の問題がある。
また、使用後放置された場合、地上に散乱して、周辺の環境を損なう場合があり、環境保護の点でも大きな問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決する目的で、紙に生分解性樹脂をラミネートしたプリペイドカードが提案されているが、生分解性樹脂に優れたポリー3ーヒドロキシアルカノエート、或いは3ー又は4ーヒドロキシアルカノエートの共重合体、又はこれらの混合物(以下これらのポリマー、共重合体、及び混合物を含めて3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂とする)は、押し出し加工時にチルロールへのブロッキングの問題があり、加工適性に欠ける欠点があった。
そのため、3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂を押し出し加工により紙とラミネートする場合、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をもう一層共押出しして積層体を作製後、ポリオレフィン樹脂を剥離して、生分解性積層体を作製する方法をとっていた。
しかし、このポリオレフィン樹脂のフィルムは、積層体を作製後は、再利用することなく破棄されるだけとなるので、廃棄物処理の点では大きな問題であった。
【0005】
以上のような観点から、使用後は埋め立て処理されたり、そのまま放置しても、自然環境の中で、微生物によって分解され、生態系の循環サイクルに還元されるプリペイドカード基材又は包装材料の開発が大きな課題となっている。
また、ゴミの減量化を図るために、生分解性樹脂を押し出し加工する際に、加工適性のよいラミネート方法が望まれていた。
【0006】
本発明は、押し出し加工適性の異なる少なくとも二種類の生分解性樹脂を用いて、加工適性のよい樹脂を外側にして共押出しし、チルロールへのブロッキングを防止し、押し出し加工時の作業能率の向上を図った。
また、比較的生分解性速度の遅い外側の樹脂の厚さを薄くすることにより、廃棄処理された場合、土壌中で容易に分解が進むようにした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、プリペイドカード基材及び包装材料となる生分解性積層体の構成を以下のようにした。
紙の片面又は両面に生分解性樹脂層を積層した積層体であって、該生分解性樹脂層は、押し出し加工適性の異なる二種類の生分解性樹脂が、押し出し加工適性のよい方の樹脂を外側にして、共押出し法により、紙に二層に積層されていることを特徴とする生分解性積層体とした。
また、紙の片面又は両面に生分解性樹脂層を積層した積層体であって、該生分解性樹脂層が、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、或いは3ーヒドロキシアルカノエートの共重合体、3ーヒドロキシアルカノエートと4ーヒドロキシアルカノエートの共重合体、又はこれらの混合物と、ジカルボン酸とグリコールを重縮合して成る脂肪族ポリエステル樹脂であり、該二種類の生分解性樹脂を、共押出し法によって、紙に二層に積層されていることを特徴とする生分解性積層体とした。
【0008】
更に、前記生分解性樹脂層の内、紙に接触する第1層が、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートの共重合体、又は3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートと4ーヒドロキシブチレートの共重合体、及びこれらを主成分とする混合物であり、前記外側の第2層が、コハク酸又はアジピン酸とエチレングリコールからなる脂肪族ポリエステルを主成分とする樹脂である生分解性積層体とした。
そして、前記積層シートの紙がカップ原紙又は未晒の紙である生分解性積層体とした。
【0009】
使い捨てプリペイドカードの基材、又は、包装材料としの積層体を上記の構成としたことは以下の理由によるものである。
生分解性のよいポリー3ーヒドロキシアルカノエート、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートの共重合体、又は3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートと4ーヒドロキシブチレートの共重合体は、押し出し加工時にチルロールにブロッキングして作業性がよくないため、チルロールに接触する外側に、コハク酸又はアジピン酸とエチレングリコールからなる脂肪族ポリエステルを使用してブロッキングを防止して押し出し加工時の作業性の向上を図った。
しかし、コハク酸又はアジピン酸とエチレングリコールからなる脂肪族ポリエステルは、土壌中における生分解性の速度が遅いため、この層はできるだけ薄くして、この生分解性積層体が破棄されたとき、土壌中で速やかに分解が進むようにした。
【0010】
生分解性樹脂をプリペイドカード基材として使用する場合、成形加工性が良く、且つ、使用に耐え得る剛性が必要である。
生分解性樹脂だけで積層体を作製し、プリペイドカードとしての剛性を得ようとすると、一定の厚さを必要とし、価格の高い生分解性樹脂を使用する場合は非常にコスト高となり、経済的負担が大きい。
そのため、剛性があり且つ生分解性のある紙を中心層にして、紙の片面又は両面に生分解性樹脂層を設けることにより、プリペイドカードとしての剛性を確保し、更に生分解性樹脂層を薄くして、プリペイドカードのコスト低減を図ることができた。
また、紙を使用することにより、種々の印刷が従来の印刷方式で可能であり、プリペイドカードの商品価値を高めることができる。
【0011】
また、一般包装紙として使用する場合、包装紙としての加工適性が必要であり、紙を中心層にし、その片面又は両面に生分解性樹脂を積層して使用に耐え得る剛性を付与する必要がある。
上記生分解性積層体は、従来の紙を中心層にしたプラスチックラミネート紙と同様に、袋、カートン、トレイ等に加工することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の、紙の片面に生分解性樹脂層を形成した生分解性積層体の模式断面図であり、図2は紙の両面に生分解性樹脂層を形成した生分解性積層体の模式断面図である。
本発明は、紙を中心層とし、その片面又は両面に生分解性樹脂を積層して生分解性積層体としたもので、その生分解性積層体を用いて、プリペイドカードを作製したり、又は袋、カートン、トレイ等の一般包装用に加工して使用するものである。
【0013】
本発明の生分解性積層体は、図1に示すように、紙基材11の片面に、3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂を主体とする生分解性樹脂(A)12とジカルボン酸とグリコールからなる脂肪族ポリエステルを主体とする生分解性樹脂(B)13が積層されたものである。
また、図2に示すように、紙基材11の両面に生分解性樹脂(A)12と生分解性樹脂(B)13が積層されてものである。
【0014】
そして、生分解性樹脂(A)は、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートの共重合体、又は3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートと4ーヒドロキシブチレートの共重合体、等の3ー又は4ーヒドロキシアルカノエートのポリマー又はこれらの共重合体、及びこれらを主成分とする混合物である。
また、生分解性樹脂(B)は、ジカルボン酸とグリコールを重縮合して成る脂肪族ポリエステル樹脂、例えば、コハク酸又はアジピン酸とエチレングリコールからなる脂肪族ポリエステル樹脂、又はこれらを主成分とする混合物である。
【0015】
生分解性積層体を上記構成とすることにより、紙基材に、共押出しにより生分解性樹脂をラミネートするとき、チルロールへのブロッキングを防止することができ、作業上のトラブルも少なくなり、作業能率を向上させることができた。
上記生分解性積層体を製造方法するには、先ず、紙と生分解性樹脂の接着性をよくするために、紙の表面をコロナ処理、フレーム処理、アンカーコート処理等を行い、その処理面に共押出し法により、生分解性樹脂(A)及び(B)を二層で押出して紙とラミネートする。
この際、生分解性樹脂(A)を紙と接する層にし、加工適性のよい生分解性樹脂(B)は外側にして押出し、ラミネート加工の安定性を図った。
生分解性樹脂(A)を単独で押し出し、紙とラミネートした場合、生分解性樹脂(A)がチルロールにブロッキングしてトラブルが発生したり、又、表面の平滑性が悪く、安定したラミネート製品が得られなかった。
【0016】
本発明に使用される紙は、坪量が150〜400g/m2 で、カップ原紙又は漂白しない未晒のパルプからなるものが望ましい。特に、プリペイドカード用に使用される場合はカップ原紙が望ましい。
また、リサイクルパルプも使用することができるので、資源の再利用の点からも好ましい。
紙には必要に応じて、耐水剤、撥水剤、無機物等を添加してもよい。
【0017】
生分解性樹脂(A)としては、微生物が生成するポリー3ーヒドロキシアルカノエート系のポリエステルが好適である。
微生物により発酵法で生産されるポリエステルとして、ポリー3ーヒドロキシブチレート、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートのランダム共重合体、3ーヒドロキシブチレートと4ーヒドロキシブチレートのランダム共重合体、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートと4ーヒドロキシブチレートの3元共重合体等がある。
例えば、米国モンサント社では、水素細菌にプロピオン酸とグルコースを与えて発酵法で3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートのランダム共重合体を生産し、バイオポールの商品名で販売している。
【0018】
3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートとの共重合比としては、3ーヒドロキシバリレートの含有量が2〜20モル%の共重合体が望ましい。好ましくは、3ーヒドロキシバリレートの含有量が5〜15モル%の共重合体がよい。
前記3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートの共重合体には、必要に応じて可塑剤、安定剤、無機物等を添加して使用する場合がある。
【0019】
生分解性樹脂(B)としては、脂肪族二塩基酸と二価アルコールの縮合重合により合成される各種の脂肪族ポリエステル等が使用される。
例えば、コハク酸、アジピン酸とエチレングリコール、1,4ブタンジオールの縮合重合により得られるポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル等が使用される。
また、3官能又は4官能の多価アルコール、オキシカルボン酸及び多価カルボン酸、若しくはその無水物から合成した脂肪族ポリエステル等も使用することができる。
更に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステルを使用することもできる。
【0020】
上記二種類の生分解性樹脂を紙基材に溶融押し出しラミネートする場合、各樹脂層の厚さは使用対象によって異なるが、共押出しするときの厚さの比率は、加工適性を考慮すると、生分解性樹脂(A)が生分解性樹脂層全体の10〜80%が望ましく、好ましくは25〜75%の範囲である。
生分解性樹脂(A)の厚さが生分解性樹脂層全体の80%を超えると、共押出し加工時の溶融粘度が著しく低下して、Tダイにおけるネックインが発生したり、樹脂の膜割れ等の加工上のトラブルの原因となる。
また、生分解性樹脂(A)の厚さが生分解性樹脂層全体の10%未満では、使用後廃棄されたとき、土壌中での分解速度が遅くなり、生分解性積層体としての本来の目的を達成できなくなる。
【0021】
上記生分解性樹脂(A)と生分解性樹脂(B)の厚さの比率は、共押出しによりラミネート加工するときの望ましい範囲であるが、製品としたときの生分解性積層体は、生分解性速度の速い生分解性樹脂(A)が厚く、分解速度の遅い生分解性樹脂(B)の厚さが薄い方が好ましい。
従って、生分解性樹脂層全体における生分解性樹脂(B)の厚さの比率は、共押出し加工適性を考慮すると20〜30%が好ましい範囲である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
図1に示すように、紙基材として坪量215g/m2 のカップ原紙を用いて、そのカップ原紙の片面に、コロナ処理機にてインライン方式でコロナ処理を行い、このコロナ処理面に、共押出し法にて、下記の生分解性樹脂(A)12及び(B)13を、生分解性樹脂(A)12の厚さ30μm、生分解性樹脂(B)13の厚さ10μmで押し出し、生分解性樹脂(A)12が紙基材11と接するようにラミネートして生分解性積層体1を作製した。
生分解性樹脂(A):3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体で3−ヒドロキシバリレートの含有率が8モル%、MI:14、mp:160℃
生分解性樹脂(B):エチレングリコールとアジピン酸からなる脂肪族ポリエステルで、MI:10、mp:180℃
【0023】
(実施例2)
図2に示すように、紙基材として坪量215g/m2 のカップ原紙を用いて、そのカップ原紙の両面に実施例1と同様にコロナ処理を行い、そのカップ原紙の両面に、共押出し法にて、実施例1と同様に、生分解性樹脂(A)12及び(B)13を用いて、生分解性樹脂(A)12が紙基材11と接するようにラミネートして生分解性積層体1を作製した。
生分解性樹脂(A)及び(B)の厚さは、実施例1と同様に、それぞれ30μmと10μmとした。
【0024】
(実施例3)
坪量180g/m2 の未晒クラフト紙を用いて、その両面に実施例1と同様にコロナ処理を行い、その未晒クラフト紙の両面に、共押出し法にて、下記の生分解性樹脂(A)及び(B)を用いて、生分解性樹脂(A)が紙と接するようにラミネートして生分解性積層体を作製した。
生分解性樹脂(A):3−ヒドロキシブチレートと4−ヒドロキシブチレートの共重合体で4−ヒドロキシブチレートの含有率が12モル%、MI:16、mp:140℃
生分解性樹脂(B):エチレングリコールとアジピン酸からなる脂肪族ポリエステルで、MI:14、mp:170℃
【0025】
(実施例4)
坪量180g/m2 の未晒クラフト紙を用いて、その両面に実施例1と同様にコロナ処理を行い、その未晒クラフト紙の両面に、共押出し法にて、下記の生分解性樹脂(A)及び(B)を用いて、生分解性樹脂(A)が紙と接するようにラミネートして生分解性積層体を作製した。
生分解性樹脂(A):3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体で3−ヒドロキシバリレートの含有率が8モル%と、3−ヒドロキシブチレートと4−ヒドロキシブチレートの共重合体で4−ヒドロキシブチレートの含有率が12モル%の樹脂を、重量比で50:50に混合しのもの。
生分解性樹脂(B):エチレングリコールとアジピン酸からなる脂肪族ポリエステルで、MI:12、mp:170℃
【0026】
(比較例1)
実施例2と同様に、カップ原紙の両面をコロナ処理後、そのカップ原紙の両面に、生分解性樹脂(A)は実施例2と同じものを使用し、生分解性樹脂(B)の代わりにポリエチレンを用いて、実施例2と同様に、共押出し法にて、生分解性樹脂(A)及びポリエチレンをラミネートして積層体を作製し、その後ポリエチレンフィルムを剥離して生分解性積層体とした。
各樹脂の厚さは、生分解性樹脂(A)は30μm、ポリエチレン15μmとした。
【0027】
(比較例2)
実施例2と同様に、カップ原紙の両面をコロナ処理後、そのカップ原紙の両面に、生分解性樹脂(A)単独で押し出しラミネートして、生分解性積層体をを作製した。
【0028】
実施例1〜4及び比較例1、2で生分解性積層体を作製するときのチルロールへのブロッキング状況及び加工後の生分解性積層体の表面状態を目視により観察した。その結果を表1に示す。
【0029】
表1に示すように、実施例1〜4では、共押出し加工時にチルロールへのブロッキングもなく、また、加工後の製品の表面状態を良好であった。
これに対して、比較例2で示した生分解性樹脂(A)単独での押し出しラミネートでは、チルロールへのブロッキングが激しく、長時間の連続加工は不可能であった。また、加工後の積層体のの表面状態も悪く製品として使用不可能であった。
【0030】
従って、本発明による生分解性樹脂(A)と生分解性樹脂(B)を共押出し法で二層に押し出して紙基材にラミネートする方法は、比較例1で示した従来のポリエチレンを使用する方法と性能的に同じ製品が得られ、更に加工後不要となるポリエチレンを使用せずに生分解性積層体が得られるという効果を奏する。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、従来技術において、生分解性積層体を作製する際、生分解性樹脂をポリオレフィン樹脂と共押出しすることによって加工性や表面平滑性を得ていたが、本発明によれば、押し出し加工適性の異なる二種類の生分解性樹脂を共押出しすることにより、生分解性に優れた生分解性積層体を得ることができる。
そのため、積層体加工後に、ポリオレフィン樹脂を剥離して、不要になったポリオレフィン樹脂を破棄する必要がなくなり、作業能率の向上が図れる。
また、ジカルボン酸とグリコールからなる脂肪族ポリエステルは、汎用プラスチックと同程度に良好な加工適性を示すので、3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂と共押出ししても、従来のポリエチレンを用いた共押出しと同程度の生産性を上げることができる。
【0033】
更に、ジカルボン酸とグリコールからなる脂肪族ポリエステルは、3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂と比較して分解速度は遅いが、物理的強度が強いので、共押出しの際、3ーヒドロキシアルカノエート系樹脂より薄くしても、共押出し加工が可能となる。
従って、生分解性積層体の表面に形成されるジカルボン酸とグリコールからなる脂肪族ポリエステル層を薄くすることにより、該脂肪族ポリエステルの分解に要する時間が短縮されるので、生分解性積層体全体の分解を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、紙の片面に生分解性樹脂層を形成した生分解性積層体の模式断面図である。
【図2】本発明の、紙の両面に生分解性樹脂層を形成した生分解性積層体の模式断面図である。
【符号の説明】
1 生分解性積層体
11 紙基材
12 生分解性樹脂(A)
13 生分解性樹脂(B)
Claims (3)
- 紙の片面又は両面に生分解性樹脂層を積層した積層体からなり、更に、該生分解性樹脂層は、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、或いは3又は4ーヒドロキシアルカノエートの共重合体、又はこれらの混合物と、ジカルボン酸とグリコールとを重縮合して成る脂肪族ポリエステルとの二種類の生分解性樹脂を使用し、かつ、該二種類の生分解性樹脂を共押出し法により、紙に二層に積層された構成からなることを特徴とする生分解性積層体。
- 紙の片面又は両面に生分解性樹脂層を積層した積層体からなり、更に、該生分解性樹脂層は、押し出し加工適性の異なる二種類の生分解性樹脂を使用し、その押し出し加工適性のよい方の樹脂を外側にして、共押出し法により、紙に二層に積層されている構成からなり、また、上記の生分解性樹脂層の内、紙に接触する第1層が、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートの共重合体、又は3ーヒドロキシブチレートと3ーヒドロキシバリレートと4ーヒドロキシブチレートの共重合体、及びこれらを主成分とする混合物からなり、また、上記の生分解性樹脂層の内、紙に接触しない外側の第2層が、コハク酸又はアジピン酸とエチレングリコールからなる脂肪族ポリエステルを主成分とする樹脂からなることを特徴とする生分解性積層体。
- 紙が、坪量150〜400g/m 2 の紙基材からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載の生分解性積層体。
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