JP3699593B2 - 洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はロープに吊下げて耳吊り養殖した帆立貝、あこや貝、牡蠣、或は網篭に入れて海中で養殖した貝、或は昆布等に付着している汚れを洗浄して除去するのに使用される洗浄装置に関するものであり、それらを船上で洗浄するのに適したものである。
【0002】
【従来の技術】
帆立貝、あこや貝、牡蠣等の一部は耳吊り養殖されている。養殖は貝の耳に開けた穴に樹脂製のてぐすや係止ピンを通し、そのてぐすや係止ピンを縦ロープに間隔をあけて多数差し込んで係止し、その縦ロープを海中の水面近くに横向きに張った横ロープに係止して海中に吊下げて行なわれる。
【0003】
耳吊り養殖では貝を海中に吊しておく間に、貝の表面にムラサキイガイとか他の貝、或は海草や海中の塵芥、生物等が付着する。これらが付着すると貝の成長に好ましくなく、また、出荷時には汚れて体裁が悪いので、養殖の途中で貝を海から引上げて洗浄して汚れや付着物を除去したりしている。貝を網篭に入れて海中で養殖する場合も、その網篭や貝に前記のような塵芥、生物等が付着する。
【0004】
耳吊り養殖中の貝を洗浄する場合、従来は、図13、14に示すような洗浄装置が使用されていた。図13の洗浄装置は船舶に搭載して使用するものであり、貝Aが係止されている縦ロープBを海中Cから回転案内体Dの回転により引上げ、その縦ロープBを貝Aがついたまま網製の搬送コンベアEの上に送り込むと、縦ロープB及び貝Aが搬送コンベアEとその上の櫛状の押し具Fとの間に挟まれて図の右側に搬送され、その間に搬送コンベアEの内側に配置された回転ノズルGから高圧洗浄液(例えば海水)が噴射されて、縦ロープB及び貝Aの表面が洗浄されるようにしたものである。
【0005】
図14の洗浄装置も船舶に搭載して使用するものであり、図13の場合と同様に貝Aが係止されている縦ロープBを海中Cから回転案内体Dの回転により引上げ、その縦ロープBを貝Aがついたまま網製の搬送コンベアEと、その上の網製の押しコンベアHとの間に送り込むと、縦ロープB及び貝Aが両コンベアE、H間に挟まれて図の右側に搬送され、その間に夫々のコンベアE、Hの内側に配置された回転ノズルGから高圧洗浄液が噴射されて、縦ロープB及び貝Aの表面が洗浄されるようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図13、14の洗浄装置は大型で、重いため、船に積みにくいとか、船から降ろしにくいとか、設置に場所をとるといった不都合があった。また、海中から引上げた貝が洗浄中にロープから外れたり、欠け易いとか、割れ易いといったこともあった。
【0007】
本発明の第1の目的は、小型、軽量化が可能であり、貝への付着物の除去や貝の洗浄力に優れ、耳吊り養殖の貝だけではなく、網篭に入れて海中に吊して養殖した貝を網篭ごと洗浄したり、差し網等を洗浄したり、海中から採取した昆布等を洗浄したりすることもできる多用途の洗浄装置を提供することにある。本発明の他の目的は、洗浄中に被洗浄物が損傷したり、ロープから脱落したり、網篭から飛出したりすることもなく、仮に、外れたり、飛出したりしてもそれらを回収でき、洗浄済の被洗浄物を円滑に海中に投入することもできる洗浄装置を提供することにもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の洗浄装置は、ロープに吊り下げられた貝、昆布、網篭、差し網のいずれかの被洗浄物3に洗浄液を噴射してそれら被洗浄物3を洗浄する洗浄装置がケース14内に収容され、前記洗浄装置は被洗浄物3を搬送する搬送体1と搬送体1で搬送される被洗浄物3を搬送体1側に押す押し具2とが上下に対向して配置され、搬送体1と押し具2の近くに搬送体1と押し具2の間を通過する被洗浄物3に洗浄液を吹き付けて被洗浄物3を洗浄する洗浄具4が配置され、搬送体1と押し具2は多数の通孔を有する回転可能な無端コンベア状であり、前記ケース14には被洗浄物3が導入されるケース入口15と被洗浄物3が送り出されるケース出口16が形成され、ケース14のうちケース入口15とケース出口16との間の側面14aに側面導入口17が形成され、側面導入口17は被洗浄物3をケース14の側面14aからケース14内に出し入れできるようにケース入口15とケース出口16に連通して横向きに形成され、側面導入口17に多数本の繊維状のカーテン材を縦に配列した洗浄液飛散防止カーテン19を設けて、ケース14で被洗浄物3に噴射される洗浄液や被洗浄体から洗い落された汚物が側面導入口17から外側に飛散しないようにしたものである。
【0009】
本発明の第2の洗浄装置は、第1の洗浄装置において、押し具2が搬送体1との間を通過する被洗浄物3の厚さに追随して上下に昇降可能としたものである。
【0010】
本発明の第3の洗浄装置は、第1又は第2の洗浄装置において、押し具2の導入部5が上向きに配置され、導入部5の搬送方向先方に押し部6を回動自在に連結して、その連結箇所を屈曲自在としたものである。
【0011】
本発明の第4の洗浄装置は、第1乃至第3のいずれかの洗浄装置において、押し具の導入側先端部7が搬送体先端部8と同じ位置か、それよりも搬送方向先方に位置をずらして配置されてなるものである。
【0012】
本発明の第5の洗浄装置は、第1乃至第4のいずれかの洗浄装置において、押し具2及び搬送体1の出口9より外側に被洗浄物3を外部に排出するシュータ10を設け、シュータ10又はその近くに、出口9から送り出される被洗浄物3を搬送方向先方に案内する出口側案内体12を設けたものである。
【0013】
本発明の第の洗浄装置は、第1乃至第のいずれかの洗浄装置において、押し具2及び搬送体1の出口9より外側に被洗浄物3を外部に排出するシュータ10を設け、出口9とシュータ10との間に網篭、ロープ等から落下する被洗浄物3を受けて外部に送り出す回収受け具11を設け、シュータ10又はその近くに、出口9から送り出される被洗浄物3を搬送方向先方に案内する出口側案内体12を設けたものである。
【0014
本発明の第の洗浄装置は、第1乃至第のいずれかの洗浄装置において、搬送体1の手前に被洗浄物3をガイドして搬送体1と押し具2との入口に送り込む回転案内体13を設け、この回転案内体13が搬送体1の走行回転と同期回転するようにしたものである。
【0015
本発明の第の洗浄装置は、第1乃至第のいずれかの洗浄装置において、搬送体1及び押し具2を収納するケース14が、被洗浄物3を洗浄した汚れ洗浄液及び被洗浄物3から洗い落された汚物を回収する回収容器を兼ね、ケース14から外側に、ケース14内に回収された汚れ洗浄液及び汚物を外部に排出する排出路18を設けたものである。
【0016】
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の洗浄装置を第1の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。この実施形態の洗浄装置は被洗浄物が図1に示すように耳づり養殖用の縦ロープ20及びそれに取り付けられた帆立貝21(以下、両者を合わせて被洗浄物3と記す)の場合の例である。この洗浄装置は被洗浄物3を搬送する無端コンベア状の搬送体1の上に、無端コンベア状の押し具2を対向して配置し、両者間を通過する被洗浄物3に高圧の洗浄液を噴射して被洗浄物3を洗浄する洗浄具4を搬送体1と押し具2の外側に設けてなる。
【0021】
搬送体1は図6に示す搬送体フレーム22の外周に、図7に示すチェーン付金網23を図3、図5に示す様に巻き付けてなる。
【0022】
図6に示す搬送体フレーム22は、駆動軸24の外周に細長の駆動ドラム25が設けられ、駆動ドラム25の軸方向両外側に駆動スプロケット26が設けられた駆動回転体27と、従動軸28の外周に細長の従動ドラム29が設けられ、従動ドラム29の軸方向両外側に従動スプロケット30が設けられた従動回転体31と、駆動回転体27と従動回転体31の間に配置されたチェーンガイド32とから構成されている。チェーンガイド32は上ガイド33と下ガイド34とを上下に対向させて配置してあり、上ガイド33は対向させた2枚の上板35の間に2本の上保持パイプ36が配置固定され、その上保持パイプ36間にそれよりも細い丸棒状の上支持材37が3本配置固定され、下ガイド34は対向させた2枚の下板38の間に2本の下保持パイプ39が配置固定され、その下保持パイプ39間にそれよりも細い丸棒状の下支持材40が3本(1本は手前の上板35の下に隠れて見えない)配置固定されてなる。前記の駆動軸24、従動軸28は図2の筐体100のフレーム(筐体フレーム)に回転可能に取り付けられる。
【0023】
チェーン付金網23は図7に示す様に、金網41の幅方向両端にチェーン42が固定され、更に、図8(a)に示す様に金網41の交差部の隙間43に支持棒44を貫通し、その支持棒44の両端をチェーン42の内面に突き当てて溶接固定してある。支持棒44は金網41を支持して金網41が下方へたるむのを防止するためのものである。支持棒44は図8(b)に示すように金網41の網目に通すこともできる。また、支持棒44はその両端を駆動チェーン42に側面から差し込み、その端部に割ピンを差し込んで固定するとか、他の方法で固定することもできる。
【0024】
このチェーン付金網23は図6の搬送体フレーム22の駆動回転体27と従動回転体31の外周に巻き付け、チェーン42を駆動スプロケット26と従動スプロケット30の外周に掛けて無端コンベア状にしてあり、駆動軸24が回転して駆動スプロケット26が回転し、チェーン付金網23が回転するようにしてある。また、図3、図5のようにチェーン42の下に下板38を配置して、チェーン42が上板35と下板38との間に挟まれて走行するようにし、また、図6の下支持材40により金網41の底面が支持されて、当該底面が下方へたるむのを阻止するようにしてある。
【0025】
押し具2は図9に示す押し具フレーム50の外周に、図7に示すチェーン付金網23を図3、図4に示す様に巻き付けてなる。
【0026】
図9に示す押し具フレーム50は、駆動軸51の外周に細長の駆動ドラム52が設けられ、駆動ドラム52の軸方向両外側に駆動スプロケット53が設けられた駆動回転体54と、従動軸55の外周に細長の従動ドラム56が空転可能に設けられ、従動ドラム56の軸方向両外側に従動スプロケット57が空転可能に設けられた従動回転体58と、駆動回転体54と従動回転体58の間に配置されたチェーンガイド59とから構成されている。従動ドラム56と従動スプロケット57は一緒に回転(従動軸55に対して空転)する。チェーンガイド59は対向させた2枚のガイド板60の間に2本の保持パイプ61を配置固定し、その保持パイプ61間にそれよりも細い丸棒状の支持材62を3本配置固定してある。前記駆動軸51は図2の筐体100のフレーム(筐体フレーム)に回転可能に取り付けられ、従動軸55は当該筐体フレームに固定されずにフリーの状態になっている。この場合、図1のように押し具2の導入部5を上向きにして筐体フレームに取り付け、また、押し具2の導入側先端部7を搬送体1の先端の搬送体先端部8よりも搬送方向先方(図の右側)に位置をづらしてある。導入側先端部7は搬送体先端部8と同じ位置にすることもできる。
【0027】
前記2枚のガイド板60の手前側端部には2枚の連結アーム63が装着軸66により上下に回動可能に取り付けられて、その装着軸66を回動軸としてく字状に屈曲可能なるようにしてある。この連結アーム63の先端間には前記駆動軸51の両端を貫通させて駆動回転体54を回転可能に取り付けてある。2枚のガイド板60の先端側内面と従動ドラム56との間には螺子ボルト79を取り付け、その外周に押しバネ64を被せ、その螺子ボルト79の後方に、中心部に螺子穴が貫通されている円筒状のテンション調節具65を螺合し、そのテンション調節具65を螺子ボルト79に沿って回転させると押しバネ64が圧縮されてその押圧力が強まり、螺子ボルト79に沿って逆回転させると押しバネ64が緩んでその押圧力が弱まるようにしてある。押しバネ64は従動回転体58を常時先方に押すものであり、その押圧力が強まると従動回転体58が先方に強く押されて、その外周に被せてあるチェーン付金網23に強いテンションが付与され、逆に押圧力が弱まると従動回転体58が逆戻りしてチェーン付金網23のテンションが弱まるようにしてある。
【0028】
前記押し具フレーム50の外周に巻き付けるチェーン付金網23は図7に示すものであり、搬送体1に使用されたチェーン付金網23と同じものである。このチェーン付金網23は図9の押し具フレーム50の駆動回転体54と従動回転体58の外周に巻き付けることにより、チェーン42を駆動スプロケット53と従動スプロケット57の外周に掛けて無端コンベア状にしてあり、駆動軸51が回転すると駆動スプロケット53が回転し、その回転によりチェーン付金網23が回転すると従動スプロケット57が従動軸55の外周を空転し、それと同時に従動ドラム56も空転し、チェーン付金網23が回転するようにしてある。
【0029】
図4に示す様に2つの連結アーム63から立ち上げた支持アーム67の上部をL字状に曲げ、その先端間を連結軸68により連結し、その連結軸68の軸方向両端に押付け輪69を回転可能に取り付け、その押付け輪69をチューン42の上に押し付けて、チューン42及び金網41をく字状に曲げてある。このような構造とすることにより、図10(a〜d)の様に押し具2の下を被洗浄物3が通過すると、押し具2が装着軸66を回転軸として上方に押し上げられるようにしてある。この場合、厚い被洗浄物3が図10(b)の様に押し具2の屈曲部の下を通過すると、屈曲部が押し上げられて押し具2の導入部5と押し部6とが右下り傾斜のほぼ直線状になり、被洗浄物3が図10(c)の様に出口側の下を通過するときは押し具2の出口側が入口側よりも上方まで押し上げられて、略くの字状に屈曲する。被洗浄物3が図10(d)の様に押し具2の屈曲部と出口側の双方の下を通過するときは、押し具2の押し部6がほぼ水平になって図10(a)と同様の状態、即ち、導入部5が緩やかなく字状に立ち上がり、押し部6が水平な状態になるようにしてある。
【0030】
押し具2は前記のように、従動軸55が筐体フレームに固定されずにフリーの状態になっているため、そのままでは押し具2の出口側が降下して搬送体1の上に接触してしまう。そこで本実施形態では押し具2の出口側が降下し過ぎて搬送体1の上に接触してしまうのを防止するために、図11、図12に示す様に出口下限調節機構70を設けてある。この出口下限調節機構70は図11の様に押し具2のガイド板60から外側方に係止突子71を突設し、筐体フレーム72から内側方にL字状のストッパー73を突設し、このストッパー73により前記係止突子71が支持されて、ガイド板60がそれより下がらないようにしてある。前記ストッパー73は図12に示す筐体フレーム72の縦長穴74に、図11の様にボルト75とナット76とにより上下にスライド可能に取り付けて、ナット76の螺合を緩めるとボルト75が縦長穴74に沿って上下にスライドして高さ調節できるようにしてある。
【0031】
更に、図12に示す様に、押し具2にはその屈曲部が上方に押し上げられ過ぎるのを防止するための上動規制調節機構80が設けられている。図12に示す様に押し具2の駆動軸51は軸受81の内部に挿入されて円滑に回転するようにしてあるが、駆動軸51と軸受81との間の摺動面に塵芥が噛み込まれて滑りが悪くなると、駆動軸51が図12の矢印X方向に回転するときに連結アーム63が同方向に浮き上がることがある。この浮き上がりが著しいと押し具2の入口側が上り過ぎ(浮き過ぎ)て、搬送体1との間の間隔が広くなり過ぎてしまい、押し具2の押し部6による被洗浄物3の押えが緩くなったり、押えがきかなくなったりすることがある。図12ではこの課題を解消するために上動規制調節機構80を設けてある。この上動規制調節機構80は押し具2の支持アーム67から上方に細長の係止材82を突設し、その係止材82の上端部に取付けた引きバネ83を右下方(矢印Y方向)に引き下げて、押し具2の屈曲部が浮き上がるのを防止するようにしてある。
【0032】
また、図12の係止材82が引きバネ83により右下方(矢印Y方向)に引き下げられたときに、強く引かれ過ぎないようにするために、引き下げ規制調節機構85も設けてある。これは筐体フレーム72にボルト86を貫通させ、そのボルト86の先にナット87をダブルに螺合し、その先に緩衝スプリング88を被せてある。このような構造とすることにより、引きバネ83により右下方(矢印Y方向)に引き下げられた係止材82がボルト86の先端に当ると、係止材82がそれ以上は下げられないようにしてあり、これにより、押し具2の屈曲部が必要以上に降下しないようにしてある。
【0033】
図1の洗浄具4は搬送体1と押し具2との間を通過する被洗浄物3に高圧洗浄液を噴射して洗浄するためのものであり、搬送体1の外側上方と押し具2の外側下方とに対向させて配置してある。この洗浄具4は図3に示す様に回転可能な給水パイプ90から4本の分岐パイプ91が均等間隔で分岐され、夫々の分岐パイプ91の先端に噴射ノズルが取り付けられており、給水パイプ90が回転すると分岐パイプ91及び噴射ノズルも回転して、被洗浄物3に万遍なく洗浄液が高圧で噴射されるようにしてある。この洗浄具4も筐体フレームに回転可能に取り付けられている。
【0034】
図1、図2のように筐体100のフレーム(筐体フレーム)に取り付けられた搬送体1、押し具2、洗浄具4等は図1、図2に示す様に上下のケース14で被覆されている。下のケース14は上下のケース14内で被洗浄物3を洗浄した汚水や洗浄により被洗浄物3から落下した付着物等を回収する回収容器を兼ねており、下のケース14の底からは排水路18を突設してそれに排水用のホースを接続できるようにしてあり、前記の汚水や付着物がその排水路18から排水ホース内を通って外部に排出されるようにしてある。また、上下のケース14には被洗浄物3を導入するための入口15と被洗浄物3を送り出す出口16とが開口されており、更に、上下のケース14の側面には被洗浄物3を横から搬送体1と押し具2との間に出し入れするための側面導入口17が開口されている。この側面導入口17があると、洗浄作業の前に貝が取り付けられている長い縦ロープ20を側面導入口17から搬送体1と押し具2との間に出し入れすることがき、一々ケース14の入口15から出口16に通す必要が無いため、洗浄作業開始前の被洗浄物3のセッティングが容易になる。側面導入口17には多数本の繊維状のカーテン材を縦に配列した洗浄液飛散防止カーテン19を設けて、高圧噴射される洗浄液が側面導入口17から外側に飛散しないようにしてある。
【0035】
搬送体1と押し具2の間の出口の外側には、その出口から送り出されてくる被洗浄体3を案内するローラ状の出口側案内体12が配置されている。この出口側案内体12はポール状の横案内体92とポール状の縦案内体93とからなり、縦案内体93は樋状のシュータ10の上に立設されている。この縦案内体93はシュータ10に回転可能に取り付けてもよく回転しない様に固定してもよい。シュータ10は先端側を下り傾斜にしてある。搬送体1の出口9とシュータ10との間には回収受け具11を配置してある、この回収受け具11は洗浄中に縦ロープ20から外れた帆立貝21が搬送体1の出口9から落下する位置に配置して、その帆立貝21を回収できるようにしてある。この回収受け具11も樋状であり、先端に向けて下り傾斜にして、回収された帆立貝21が自重で自動的に先端方向に落下して、その先に配置してある回収篭に落下して回収されるようにしてある。これらの出口側案内体12、シュータ10、回収受け具11も筐体フレームに取り付けられている。この場合、出口側案内体12、シュータ10、回収受け具11は図1、2に示すケース14の出口16よりも外側先方に取り付けて、本発明の洗浄装置を船上に搭載固定したときに、シュータ10の出口が海上に突出するようにしてある。出口側案内体12は横案内体92と縦案内体93のいずれか一方だけであってもよい。横案内体92、縦案内体93の取り付け箇所は、それらの機能が発揮される任意の位置に取り付けることができる。
【0036】
図1、図3に示す様に、搬送体1の入口の外側手前には回転案内体13が配置されている。回転案内体13は海中から引上げられる被洗浄物3をガイドして、搬送体1の入口にスムースに導入するためのものであり、円筒状の胴95の軸方向両側に胴95よりも径の大きな2枚の鍔96を対向して設けてある。回転案内体13もモータ等の駆動体で回転させる。この場合、回転案内体13の回転速度を搬送体1の走行回転速度と同期させて、回転案内体13の回転により海中から引上げられる被洗浄物3が搬送体1の入口にスムースに送り込まれるようにしてある。ちなみに、回転案内体13と搬送体1との回転が同期せずに、回転案内体13の回転速度が搬送体1の走行回転速度よりも速過ぎると、被洗浄物3がロープの場合はその送り込み量が多くなってロープが搬送体1の手前に溜って絡まり、逆に回転案内体13の回転速度が搬送体1の走行回転速度よりも遅過ぎると、搬送体1によるロープの引込みが速くなり過ぎてロープが切れる虞れがある。搬送体1と回転案内体13とを同期回転させるためには共通の駆動源で回転させるようにすればよい。この回転案内体13も搬送体1、押し具2等が取り付けられている筐体フレームに取り付けられている。この場合、図1の様に上下のケース14の入口15よりも外側手前に取り付けて、本発明の洗浄装置を船上に搭載固定したときに海上に突出するようにしてある。
【0037】
(使用例)
図示した実施形態の洗浄装置を用いて、耳吊り養殖用の縦ロープに帆立貝が係止されている被洗浄物を洗浄するには例えば次の様にする。
(1)本発明の洗浄装置を船舶に搭載して固定する。
(2)帆立貝21が係止されている縦ロープ20を海中から引上げて回転案内体13の外周に掛ける。
(3)回転案内体13の外周に掛けた縦ロープ20をケース14の側面に開口された側面導入口17から搬送体1と押し具2との間に押込んでセットする。
(4)モータの駆動により回転案内体13、搬送体1、押し具2を同期回転させて、搬送体1と押し具2との間に挟まれている縦ロープ20及び帆立貝21を出口16側に搬送する。
(5)前記搬送中に、上下の洗浄具4から洗浄液を高圧で噴射して帆立貝21及び縦ロープ20を上下から洗浄する。このとき、帆立貝21に付着しているムラサキイガイとか他の生物、或は塵芥等も除去される。
(6)洗浄されて奇麗になった帆立貝21及び縦ロープ20は搬送体1と押し具2の出口から送り出され、出口側案内体12によりシュータ10の上にガイドされ、帆立貝21のついた縦ロープ20がシュータ10から海中に投入される。
(7)前記搬送中或は洗浄中に縦ロープ20から外れた帆立貝21は、搬送体1と押し具2の出口から送り出されたところで、回収受け具11に落下して回収され、回収受け具11の先に配置された回収容器に回収される。
(8)洗浄により除去された付着物及び洗浄後の汚水は、ケース14内に落下し、ケース14の底の排出路18からケース14の外部に排出され、図示されていないフィルターで濾過する等して処理される。
【0038】
前記使用例において、押し具2の屈曲部は通常は図10(a)の様に自重で下がって、導入部5と押し部6とが略水平になっているが、図10(b)の様に被洗浄物3が押し具2の屈曲部の下を通過すると、屈曲部が押し上げられるため被洗浄物3は屈曲部の下を円滑に通過する。このとき、屈曲部が押し上げられて伸びた分だけ押し具2が先方(図の右側)にスライドするため、被洗浄物3は屈曲部の下をより一層円滑に通過することができる。被洗浄物3が押し具2の出口に近付くと図10(c)の様に出口側が駆動軸51を回転軸として押し上げられ、被洗浄物3がその下を円滑に通過する。図10(d)の様に2枚以上の帆立貝21の付いた被洗浄物3が押し具2の下を同時に通過すると、押し具2は略水平になり、その下を被洗浄物3が円滑に通過する。搬送体1と押し具2の回転走行速度が同じ場合は両者の間を通過する被洗浄物3が円滑に走行するが、両者の回転走行速度を多少異ならせると、両者の間を通過する被洗浄物3に加わる抵抗が大きくなって、被洗浄物3の汚れが落ち易くなる場合もあるので、搬送体1と押し具2の走行速度は任意に選択することができる。
【0039】
【発明の効果】
【0040】
本発明の第2の洗浄装置は、押し具が搬送体との間を通過する被洗浄物の厚さや通過位置に追随して上下に昇降可能としたので、被洗浄物が押し具により必要以上に強く押されることがない。このため被洗浄物が搬送体と押し具の間を通過する間に欠けたり、割れたりしにくくなり、また、貝がロープから外れたりすることもない。
【0041】
本発明の第3の洗浄装置は、押し具の導入部が上向きに配置され、導入部の搬送方向先方に押し部が装着軸により上下に回動自在に連結されてなるので、搬送体と押し具の間に被洗浄物が入り易くなる。
【0042】
本発明の第4の洗浄装置は、押し具の前端部が搬送体の前端部よりも先方に位置をずらして上向きに配置されてなるので、搬送体と押し具との間に被洗浄物が入り易くなる。
【0043】
本発明の第5の洗浄装置は、被洗浄物を先方に案内する出口側案内体を設けたので、出口から送り出される被洗浄物が出口の先で絡まったりすることがない。シュータも設けたので被洗浄物がシュータから確実に海中に送り出される。
【0044
本発明の第の洗浄装置は、押し具及び搬送体の出口より外側に、ロープから外れた被洗浄物を回収して外部に送り出す回収受け具を設けたので、ロープから落下した被洗浄物が確実に回収されて被洗浄物の無駄がない
【0045
本発明の第の洗浄装置は、搬送体の手前に回転案内体を設けたので、被洗浄物が搬送体と押し具との間に確実に送り込まれる。また、回転案内体が搬送体の走行回転と同期回転するので、被洗浄物が搬送体の入口に確実且つ円滑に送り込まれる。
【0046
本発明の第の洗浄装置は、搬送体及び押し具を収納するケースが回収容器を兼ねているので、ケース内で被洗浄物を洗浄した汚れ洗浄液や被洗浄物から洗い落された汚物がそのケース内に確実に回収され、ケースに設けた排出路から外部に排出されるので作業場が汚れにくくなる。
【0047
本発明の第の洗浄装置は、搬送体及び押し具がケースに収納され、ケースにその横から被洗浄物を出し入れ可能な側面導入口が形成されてなので、被洗浄物が貝付きロープの様に長い物の場合に、その先端部を洗浄作業に先立って手作業により、側面導入口から横にスライドさせて搬送体と押し具の間に導入してセットすることができる。このため、被洗浄物を手作業により搬送体と押し具の入口から差し込んで搬送体と押し具の間を通して出口から引き出す必要がなく、洗浄作業開始前の準備が容易になる。
【0048
本発明の第の洗浄装置は、側面導入口に多数本の繊維状のカーテン材を縦に配列した洗浄液飛散防止カーテンを設けたので、洗浄時の洗浄液や被洗浄体から洗い落された汚物が側面導入口から外に飛散することがなく、作業者は勿論、洗浄装置、作業場等が汚れない。また、繊維状のカーテン材を使用してあるのでカーテンが柔らかくなり、被洗浄物を側面導入口から搬送体と押し具との間に導入するときにカーテンが邪魔になることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の洗浄装置の一例を示す縦断側面図。
【図2】 本発明の洗浄装置の外観斜視図。
【図3】 本発明の洗浄装置の分解説明図。
【図4】 本発明における押し具の一部欠きの斜視図。
【図5】 本発明における搬送体の一部欠きの斜視図。
【図6】 本発明における搬送体フレームの分解説明図。
【図7】 本発明におけるチェーン付金網の斜視図。
【図8】 (a)(b)本発明におけるチェーン付金網の金網に支持材を通した状態の異なる例の平面説明図。
【図9】 本発明における押し具フレームの分解説明図。
【図10】 (a)〜(d)は本発明の洗浄装置の使用時の説明図。
【図11】 本発明における出口下限調節機構の正面説明図。
【図12】 本発明における上動規制調節機構と引き下げ規制機構の側面概略図。
【図13】 従来の洗浄装置の説明図。
【図14】 従来の洗浄装置の他例の説明図。
【符号の説明】
1は搬送体
2は押し具
3は被洗浄物
4は洗浄具
5は導入部
6は押し部
7は導入側先端部
8は搬送体先端部
9は出口
10はシュータ
11は回収受け具
12は出口側案内体
13は回転案内体
14はケース
15はケース入口
16はケース出口
17は側面導入口
18は排出路
19は被洗浄物飛散防止カーテン

Claims (8)

  1. ロープに吊り下げられた貝、昆布、網篭、差し網のいずれかの被洗浄物(3)に洗浄液を噴射してそれら被洗浄物(3)を洗浄する洗浄装置がケース(14)内に収容され、前記洗浄装置は被洗浄物(3)を搬送する搬送体(1)と搬送体(1)で搬送される被洗浄物(3)を搬送体(1)側に押す押し具(2)とが上下に対向して配置され、搬送体(1)と押し具(2)の近くに搬送体(1)と押し具(2)の間を通過する被洗浄物(3)に洗浄液を吹き付けて被洗浄物(3)を洗浄する洗浄具(4)が配置され、搬送体(1)と押し具(2)は多数の通孔を有する回転可能な無端コンベア状であり、前記ケース(14)には被洗浄物(3)が導入されるケース入口(15)と被洗浄物(3)が送り出されるケース出口(16)が形成され、ケース(14)のうちケース入口(15)とケース出口(16)との間の側面(14a)に側面導入口(17)が形成され、側面導入口(17)は被洗浄物(3)をケース(14)の側面(14a)からケース(14)内に出し入れできるようにケース入口(15)とケース出口(16)に連通して横向きに形成され、側面導入口(17)に多数本の繊維状のカーテン材を縦に配列した洗浄液飛散防止カーテン(19)を設けて、ケース(14)で被洗浄物(3)に噴射される洗浄液や被洗浄体から洗い落された汚物が側面導入口(17)から外側に飛散しないようにしたことを特徴とする洗浄装置。
  2. 請求項1記載の洗浄装置において、押し具(2)が搬送体(1)との間を通過する被洗浄物(3)の厚さに追随して上下に昇降可能であることを特徴とする洗浄装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の洗浄装置において、押し具(2)の導入部(5)が上向きに配置され、導入部(5)の搬送方向先方に、押し部(6)を回動自在に連結して、その連結箇所を屈曲自在としたことを特徴とする洗浄装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の洗浄装置において、押し具(2)の導入側先端部(7)が、搬送体先端部(8)と同じ位置か、それよりも搬送方向先方に位置をずらして配置されたことを特徴とする洗浄装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の洗浄装置において、押し具(2)及び搬送体(1)の出口(9)より外側に被洗浄物(3)を外部に排出するシュータ(10)を設け、シュータ(10)又はその近くに、出口(9)から送り出される被洗浄物(3)を搬送方向先方に案内する出口側案内体(12)を設けたことを特徴とする洗浄装置。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の洗浄装置において、押し具(2)及び搬送体(1)の出口(9)より外側に被洗浄物(3)を外部に排出するシュータ(10)を設け、出口(9)とシュータ(10)との間に網篭、ロープ等から落下する被洗浄物(3)を受けて外部に送り出す回収受け具(11)を設け、シュータ(10)又はその近くに、出口(9)から送り出される被洗浄物(3)を搬送方向先方に案内する出口側案内体(12)を設けたことを特徴とする洗浄装置。
  7. 請求項1乃至請求項記載のいずれかの洗浄装置において、搬送体(1)の手前に被洗浄物(3)をガイドして搬送体(1)と押し具(2)との入口に送り込む回転案内体(13)を設け、この回転案内体(13)が搬送体(1)の走行回転と同期回転することを特徴とする洗浄装置。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の洗浄装置において、搬送体(1)及び押し具(2)を収納するケース(14)が、被洗浄物(3)を洗浄した汚れ洗浄液及び被洗浄物(3)から洗い落された汚物を回収する回収容器を兼ね、ケース(14)から外側に、ケース(14)内に回収された汚れ洗浄液及び汚物を外部に排出する排出路(18)を設けたことを特徴とする洗浄装置。
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