JP3698661B2 - 射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラスチック製品を射出成形する射出成形装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−170306号公報には、ランナとスプルとを遮断してキャビティ内を保圧するためのロックピンと、上記ランナ内で固化したランナスクラップを脱型するエジェクタピンとを備えた射出成形装置が開示されている。
【0003】
また、特開平9−85790号公報には、ランナの途中を開閉バルブで遮断した状態でキャビティ内を保圧する保圧プランジャを備えた射出成形装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の前者の公報例の射出成形装置では、保圧用のロックピンや突出し用のエジェクタピンは各々専用化されている。
【0005】
また、後者の公報例の射出成形装置における保圧プランジャも保圧専用のものであり、ランナスクラップを脱型するには、前者の公報例のように突出し専用のエジェクタピンが必要になる。
【0006】
このように、保圧及び突出しを別々のピンで行う2つの公報例では、部品点数が増えて装置が複雑になるとともに、設置スペースの確保が必要で装置が大型になる。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構造でかつ小型の射出成形装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、保圧手段や突出し手段の構造を工夫したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、第1型と第2型とで構成される金型にキャビティが形成され、上記第2型に設けられたバルブゲート口から射出された溶融樹脂を上記第1型に設けられたランナを介してキャビティに射出してプラスチック製品を成形する射出成形装置を前提とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記第1型側には、上記ランナの容積を増減可能なようにランナに対応して第1型に挿通され、射出工程後に上記バルブゲート口がゲートピンにより閉じられた状態で上記ランナ側に進出して該ランナの容積を減少させることによりキャビティ内を保圧するとともに、上記溶融樹脂がランナ内で固化したランナスクラップを上記第1型から脱型する突出し工程でさらに進出することにより上記ランナスクラップを脱型するスライドピンが設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、スライドピンが保圧用と突出し用とを兼ねていることから、その分、装置が簡素にかつ小型になる。
【0012】
また、保圧用のスライドピンは第1型側に設けられていて第2型側の射出成形機とは独立していることから、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行うことができ、その分、成形時間が短縮できて生産性が向上する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記前提において、上記第1型側には、スライドピンと、該スライドピンに移動可能に外嵌合されたスリーブとが設けられ、上記スライドピン及びスリーブのいずれか一方は、上記ランナの容積を増減可能なようにランナに対応して第1型に挿通され、射出工程後に上記バルブゲート口がゲートピンにより閉じられた状態で上記ランナ側に進出して該ランナの容積を減少させることによりキャビティ内を保圧し、上記スライドピン及びスリーブのいずれか他方は、上記溶融樹脂がランナ内で固化したランナスクラップを上記第1型から脱型する突出し工程で進出することにより上記ランナスクラップを脱型するようになっていることを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、保圧用又は突出し用のスライドピンが突出し用又は保圧用のスリーブ内に挿通されていることから、外観上、恰も1つの部材のようになって装置が簡素にかつ小型になる。
【0015】
また、保圧用のスライドピン又はスリーブは第1型側に設けられていて第2型側の射出成形機とは独立していることから、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行うことができ、その分、成形時間が短縮できて生産性が向上することは請求項1と同様である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1はこの発明の実施の形態1に係る射出成形装置1において射出前の型締め状態を示す断面図である。上記射出成形装置1は、可動型である第1型3と固定型である第2型5とで構成される金型7を備え、この金型7の上記第1型3と第2型5との間には、型締め状態でプラスチック製品P(図3及び図4参照)を成形するためのキャビティ9が形成されている。また、上記第1型3の第2型5との型合わせ面には、型締め状態で上記キャビティ9にゲート10を介して連通する凹状のランナ11が形成されている。
【0018】
上記第2型5の背面には、内部にホットランナ13を有するマニホールドブロック15が固定され、上記ホットランナ13の一端は図外の射出成形機のノズルに接続されている。
【0019】
上記第2型5のランナ11に対応する箇所には、バルブ装着孔17が形成され、このバルブ装着孔17にゲートバルブ19が装着されている。このゲートバルブ19は、一端が開放するとともに他端が上記ランナ11に開口するバルブゲート口23aを有し、かつ外周にヒータ21が取り付けられた弁箱23を備え、この弁箱23の上記一端開放口は上記マニホールドブロック15で覆われて封じられている。
【0020】
また、上記弁箱23内には上記ホットランナ13の他端が接続され、溶融樹脂R(図2〜4参照)を上記射出成形機からホットランナ13を経て弁箱23内に供給するようになっている。
【0021】
さらに、上記弁箱23内に供給された溶融樹脂Rは上記ヒータ21の熱で溶融状態が確保されている。上記弁箱23内には、ゲートピン25が先細先端部25aを上記バルブゲート口23aに対応させて配置されている。このゲートピン25外周の軸方向中程には、円板状のスプリング座27が取り付けられ、該スプリング座27と上記マニホールドブロック15の凹部15a底面との間にはコイルスプリング29が縮装されている。
【0022】
そして、上記ゲートピン25をコイルスプリング29のバネ力によりランナ11側に付勢して上記先細先端部25aをバルブゲート口23aに進入させ、バルブゲート口23aをゲートピン25により閉じる(図1参照)一方、上記ホットランナ13を経て弁箱23内に供給された溶融樹脂Rの樹脂圧が上記スプリング座27に作用することで上記ゲートピン25をコイルスプリング29のバネ力に抗して第2型5の背面側に後退させ、上記先細先端部25aをバルブゲート口23aから外してバルブゲート口23aを開け(図2参照)、溶融樹脂Rをランナ11を介してキャビティ9に射出してプラスチック製品Pを成形するようになっている(図3参照)。なお、上記ゲートバルブ19では、コイルスプリング29のバネ力と樹脂圧によりゲートピン25を進退させるようにしたが、これに限らず、この進退機構は油圧式や電磁式であってもよい。
【0023】
一方、上記第1型3側には、スライドピン31が配置されている。このスライドピン31の基端は、上記第1型3の背面側に該第1型3に対して接離可能に配置された油圧シリンダ33のピストンロッド33a先端に嵌合連結され、スライドピン31先端は上記ランナ11の容積を増減可能なようにランナ11に対応して上記第1型3の挿通孔35に挿通されている。そして、図3に示すように、射出工程後に上記バルブゲート口23aがゲートピン25の先細先端部25aにより閉じられた状態で、上記スライドピン31先端が油圧シリンダ33の伸長作動によりランナ11側である矢印Y2方向に進出して該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧するようになっている。
【0024】
上記油圧シリンダ33の第1型3側には、プレート37がスペーサ39を介して配置され、これら三者はボルト41で一体に締結されている。上記プレート37は、第1型3の背面側に固定された図示しない油圧シリンダの伸縮作動により上記油圧シリンダ33と共に一体となって移動するようになっている。また、上記プレート37の中程には、スリーブ43の基端が押さえ板45及びボルト47で固定され、このスリーブ43は上記スライドピン31に移動可能に外嵌合され、その先端はスライドピン31と共に第1型3の挿通孔35に挿通されている。
そして、図4に示すように、上記溶融樹脂Rがランナ11内で固化したランナスクラップSを上記第1型3から脱型する突出し工程で、上記プレート37を図外の上記油圧シリンダの収縮作動により上記保圧工程(図3参照)よりもさらに矢印Y2方向に進出させることにより、上記スライドピン31及びスリーブ43を一体に進出させて上記ランナスクラップSを脱型するようになっている。この際、上記油圧シリンダ33を収縮作動させてスライドピン31を後退させるようにしてもよい。
【0025】
次に、この実施の形態1に係る射出成形装置1によりプラスチック製品Pを射出成形する要領について説明する。
【0026】
(1) 図1に示すように、第1型3を第2型5に対して接近させて金型7を型締めする。この状態で、ゲートバルブ19のゲートピン25はコイルスプリング29のバネ力で進出していて先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aを閉じている。また、プレート37は油圧シリンダ33と共に後退していてスリーブ43先端がランナ11から挿通孔35内に没入している。スライドピン31も油圧シリンダ33の収縮作動により後退していて先端がランナ11内に進出することなく挿通孔35内に没入している。
【0027】
(2) 図2に示すように、射出成形機から溶融樹脂Rを射出する。この射出された溶融樹脂Rはホットランナ13を経てゲートバルブ19の弁箱23内に供給され、この溶融樹脂Rの樹脂圧がスプリング座27に作用してゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力に抗して後退し、先細先端部25aがバルブゲート口23aから抜けてバルブゲート口23aが開く。これにより、溶融樹脂Rがランナ11及びゲート10を経てキャビティ9内に射出される。
【0028】
(3) 射出成形機からの溶融樹脂Rの射出を停止する。これにより、図3に示すように、弁箱23内の樹脂圧が解除され、ゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力で進出し、先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aが閉じる。油圧シリンダ33を伸長作動させてスライドピン31先端をランナ11側である矢印Y2方向に進出させ、該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧する。保圧している間、射出成形機側では次工程である冷却・計量工程に移行する。
【0029】
(4) 図4に示すように、第1型3を矢印Y1方向に後退させて金型7を型開きする。このとき、油圧シリンダ33及びプレート37は第1型3と一体となって矢印Y1方向に後退する。しかる後、図外の上記油圧シリンダの収縮作動によりプレート37を油圧シリンダ33と共に矢印Y2方向に前進させる。これにより、スライドピン31がスリーブ43と一体となって矢印Y2方向に進出し、ランナスクラップSがランナ11から脱型する。なお、スライドピン31の進出動作(プレート37の前進動作)は、プラスチック製品P用のエジェクタピン(図示せず)の突出し動作と同時に行われるものであり、図示のようにプラスチック製品PとランナスクラップSは連結した状態で脱型される。
【0030】
このように、この実施の形態1では、1つのスライドピン31に保圧機能と突出し機能との2つの機能を持たせていることから、その分、装置を簡素にかつ小型にすることができる。
【0031】
また、この実施の形態1では、保圧用のスライドピン31を第1型3側に設けていて第2型5側の射出成形機とは独立させていることから、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行わせることができ、その分、成形時間を短縮することができて生産性を向上させることができる。また、スライドピン31はスリーブ43に挿入されていて保圧工程では第1型3の挿通孔35内壁と接触せず、該挿通孔35内壁と接触しているのはスリーブ43だけであり、該スリーブ43が突出し工程で挿通孔35内壁を摺動するだけでスライドピン31は挿通孔35内壁と摺動しないので、その分、挿通孔35内壁を摩耗し難くすることができる。
【0032】
(実施の形態2)
図5はこの発明の実施の形態2に係る射出成形装置1を示す。実施の形態1では、スライドピン31に保圧機能と突出し機能の両機能を持たせたが、実施の形態2では、スライドピン31に保圧機能を、スリーブ43に突出し機能をそれぞれ分担して持たせているものであり、その結果、スライドピン31及びスリーブ43のレイアウトが実施の形態1とは異なっているが、その他の点については実施の形態1と同様に構成されているので、ここでは異なる点のみを説明することにし、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0033】
すなわち、第1型3側にはスライドピン31が配置されている。このスライドピン31の基端は、後述のプレート37に支持部材49を介して固定された油圧シリンダ33のピストンロッド33a先端に嵌合連結され、スライドピン31先端はランナ11の容積を増減可能なようにランナ11に対応して上記第1型3の挿通孔35に挿通されている。そして、図7に示すように、射出工程後にバルブゲート口23aがゲートピン25の先細先端部25aにより閉じられた状態で、上記スライドピン31先端が油圧シリンダ33の伸長作動によりランナ11側である矢印Y2方向に進出して該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧するようになっている。
【0034】
上記油圧シリンダ33と第1型3との間には、プレート37が配置され、このプレート37は、第1型3の背面に固定された図示しない油圧シリンダの伸縮作動により上記油圧シリンダ33と共に一体となって移動するようになっている。
また、上記プレート37の中程には、スリーブ43の基端が押さえ板45及びボルト47で固定され、このスリーブ43は上記スライドピン31に移動可能に外嵌合され、その先端はスライドピン31と共に第1型3の挿通孔35に挿通されている。そして、図8に示すように、上記溶融樹脂Rがランナ11内で固化したランナスクラップSを上記第1型3から脱型する突出し工程で、上記プレート37を図外の上記油圧シリンダの収縮作動により矢印Y2方向に進出させることにより、上記スリーブ43を進出させて上記ランナスクラップSを脱型するようになっている。この際、上記スライドピン31を油圧シリンダ33の収縮作動により後退させるようにする。
【0035】
次に、この実施の形態2に係る射出成形装置1によりプラスチック製品Pを射出成形する要領について説明する。
【0036】
(1) 図5に示すように、第1型3を第2型5に対して接近させて金型7を型締めする。この状態で、ゲートバルブ19のゲートピン25はコイルスプリング29のバネ力で進出していて先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aを閉じている。また、プレート37は後退していてスリーブ43先端がランナ11から挿通孔35内に没入している。スライドピン31も油圧シリンダ33の収縮作動により後退していて先端がランナ11内に進出することなく挿通孔35内に没入している。
【0037】
(2) 図6に示すように、射出成形機から溶融樹脂Rを射出する。この射出された溶融樹脂Rはホットランナ13を経てゲートバルブ19の弁箱23内に供給され、この溶融樹脂Rの樹脂圧がスプリング座27に作用してゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力に抗して後退し、先細先端部25aがバルブゲート口23aから抜けてバルブゲート口23aが開く。これにより、溶融樹脂Rがランナ11及びゲート10を経てキャビティ9内に射出される。
【0038】
(3) 射出成形機からの溶融樹脂Rの射出を停止する。これにより、図7に示すように、弁箱23内の樹脂圧が解除され、ゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力で進出し、先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aが閉じる。油圧シリンダ33を伸長作動させてスライドピン31先端をランナ11側である矢印Y2方向に進出させ、該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧する。保圧している間、射出成形機側では次工程である冷却・計量工程に移行する。
【0039】
(4) 図8に示すように、第1型3を矢印Y1方向に後退させて金型7を型開きする。このとき、プレート37が図外の上記油圧シリンダを介して第1型3に固定されているため、油圧シリンダ33及びプレート37は第1型3と一体となって矢印Y1方向に後退する。しかる後、図外の上記油圧シリンダの収縮作動によりプレート37を油圧シリンダ33と共に矢印Y2方向に前進させるとともに、油圧シリンダ33の収縮作動によりスライドピン31を矢印Y1方向に後退させる。これにより、スリーブ43が矢印Y2方向に進出し、ランナスクラップSがランナ11から脱型する。なお、スリーブ43の進出動作(プレート37の前進動作)は、プラスチック製品P用のエジェクタピン(図示せず)の突出し動作と同時に行われるものであり、図示のようにプラスチック製品PとランナスクラップSは連結した状態で脱型される。
【0040】
このように、この実施の形態2では、保圧と突出しをスライドピン31とスリーブ43という別々の部材に持たせているが、スリーブ43をスライドピン31に外嵌合させていることから、外観上、恰も1つの部材のようになって装置を簡素にかつ小型にすることができる。
【0041】
また、保圧用のスライドピン31を第1型3側に設けていて第2型5側の射出成形機とは独立させていることから、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行わせることができ、その分、成形時間を短縮することができて生産性を向上させることができることに関しては実施の形態1と同じである。また、スライドピン31はスリーブ43に挿入されていて保圧工程では第1型3の挿通孔35内壁と接触せず、該挿通孔35内壁と接触しているのはスリーブ43だけであり、該スリーブ43が突出し工程で挿通孔35内壁を摺動するだけでスライドピン31は挿通孔35内壁と摺動しないので、その分、挿通孔35内壁を摩耗し難くすることができることに関しても実施の形態1と同様である。
【0042】
(実施の形態3)
図9はこの発明の実施の形態3に係る射出成形装置1を示す。実施の形態2では、スライドピン31に保圧機能を、スリーブ43に突出し機能をそれぞれ分担して持たせたが、実施の形態3では、これとは逆にスリーブ43に保圧機能を、スライドピン31に突出し機能をそれぞれ分担して持たせているものである。その結果、スライドピン31及びスリーブ43のレイアウトが実施の形態1と逆の関係になっているが、その他の点については実施の形態1と同様に構成されているので、ここでは異なる点のみを説明することにし、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
すなわち、第1型3側にはスライドピン31が配置されている。このスライドピン31の基端は、プレート37に押さえ板51及びボルト53で固定され、スライドピン31先端はランナ11の容積を増減可能なようにランナ11に対応して上記第1型3の挿通孔35に挿通されている。
【0044】
一方、スリーブ43の基端は、プレート55に押さえ板57及びボルト59で固定され、上記押さえ板57は、油圧シリンダ33のピストンロッド33a先端に固定されたプレート61に複数本の棒材63を介して連結されている。そして、図11に示すように、射出工程後にバルブゲート口23aがゲートピン25の先細先端部25aにより閉じられた状態で、上記スリーブ43先端が油圧シリンダ33の伸長作動によりランナ11側である矢印Y2方向に進出して該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧するようになっている。
【0045】
また、図13に示すように、上記溶融樹脂Rがランナ11内で固化したランナスクラップSを上記第1型3から脱型する突出し工程で、上記プレート37を図外の上記油圧シリンダの収縮作動により矢印Y2方向に進出させることにより、上記スライドピン31をスリーブ43と一体的に矢印Y2方向に進出させて上記ランナスクラップSを脱型するようになっている。この際、上記スリーブ43を油圧シリンダ33の収縮作動により後退させるようにしてもよい。
【0046】
次に、この実施の形態3に係る射出成形装置1によりプラスチック製品Pを射出成形する要領について説明する。
【0047】
(1) 図9に示すように、第1型3を第2型5に対して接近させて金型7を型締めする。この状態で、ゲートバルブ19のゲートピン25はコイルスプリング29のバネ力で進出していて先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aを閉じている。また、プレート37は後退していてスリーブ43先端がランナ11から挿通孔35内に没入している。スライドピン31も油圧シリンダ33の収縮作動により後退していて先端がランナ11内に進出することなく挿通孔35内に没入している。
【0048】
(2) 図10に示すように、射出成形機から溶融樹脂Rを射出する。この射出された溶融樹脂Rはホットランナ13を経てゲートバルブ19の弁箱23内に供給され、この溶融樹脂Rの樹脂圧がスプリング座27に作用してゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力に抗して後退し、先細先端部25aがバルブゲート口23aから抜けてバルブゲート口23aが開く。これにより、溶融樹脂Rがランナ11及びゲート10を経てキャビティ9内に射出される。
【0049】
(3) 射出成形機からの溶融樹脂Rの射出を停止する。これにより、図11に示すように、弁箱23内の樹脂圧が解除され、ゲートピン25がコイルスプリング29のバネ力で進出し、先細先端部25aがバルブゲート口23aに進入してバルブゲート口23aが閉じる。油圧シリンダ33を矢印Y2方向に伸長作動させてスリーブ43先端をランナ11側である矢印Y2方向に進出させ、該ランナ11の容積を減少させることにより、ランナ11を介してキャビティ9内を保圧する。保圧している間、射出成形機側では次工程である冷却・計量工程に移行する。
【0050】
(4) 図12に示すように、第1型3を矢印Y1方向に後退させて金型7を型開きする。このとき、プレート37が図外の上記油圧シリンダを介して第1型3に固定されているため、油圧シリンダ33及びプレート37は第1型3と一体となって矢印Y1方向に後退する。しかる後、図13に示すように、図外の上記油圧シリンダの収縮作動によりプレート37を油圧シリンダ33と共に矢印Y2方向に前進させる。これにより、スライドピン31がスリーブ43と共に矢印Y2方向に進出し、ランナスクラップSがランナ11から脱型する。なお、スリーブ43の進出動作(プレート37の前進動作)は、プラスチック製品P用のエジェクタピン(図示せず)の突出し動作と同時に行われるものであり、図示のようにプラスチック製品PとランナスクラップSは連結した状態で脱型される。
【0051】
このように、この実施の形態3では、実施の形態2と同様に、保圧と突出しをスライドピン31とスリーブ43という別々の部材に持たせているが、スリーブ43をスライドピン31に外嵌合させていることから、外観上、恰も1つの部材のようになって装置を簡素にかつ小型にすることができる。
【0052】
また、保圧用のスリーブ43を第1型3側に設けていて第2型5側の射出成形機とは独立させていることから、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行わせることができ、その分、成形時間を短縮することができて生産性を向上させることができることに関しては実施の形態1,2と同じである。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、スライドピンに保圧用と突出し用との機能を持たせたので、その分、装置を簡素にかつ小型にすることができる。また、保圧用のスライドピンを第1型側に設けたので、保圧工程を射出工程直後に冷却・計量工程と並行して行うことで成形時間の短縮化により生産性を向上させることができる。
【0054】
請求項2に係る発明によれば、保圧用又は突出し用のスライドピンを突出し用又は保圧用のスリーブ内に挿通させたので、外観上、恰も1つの部材のようにして装置を簡素にかつ小型にすることができる。また、保圧用のスライドピン又はスリーブを第1型側に設けたことによる効果は、請求項1の場合同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る射出成形装置において射出前の型締め状態を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る射出成形装置において射出工程の状態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る射出成形装置において保圧工程の状態を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る射出成形装置において突出し工程の状態を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る射出成形装置において射出前の型締め状態を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る射出成形装置において射出工程の状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る射出成形装置において保圧工程の状態を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る射出成形装置において突出し工程の状態を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る射出成形装置において射出前の型締め状態を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る射出成形装置において射出工程の状態を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る射出成形装置において保圧工程の状態を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る射出成形装置において型開き工程の状態を示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る射出成形装置において突出し工程の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形装置
3 第1型
5 第2型
7 金型
9 キャビティ
11 ランナ
23a バルブゲート口
25 ゲートピン
31 スライドピン
43 スリーブ
P プラスチック製品
R 溶融樹脂
S ランナスクラップ
Claims (2)
- 第1型と第2型とで構成される金型にキャビティが形成され、上記第2型に設けられたバルブゲート口から射出された溶融樹脂を上記第1型に設けられたランナを介してキャビティに射出してプラスチック製品を成形する射出成形装置であって、
上記第1型側には、上記ランナの容積を増減可能なようにランナに対応して第1型に挿通され、射出工程後に上記バルブゲート口がゲートピンにより閉じられた状態で上記ランナ側に進出して該ランナの容積を減少させることによりキャビティ内を保圧するとともに、上記溶融樹脂がランナ内で固化したランナスクラップを上記第1型から脱型する突出し工程でさらに進出することにより上記ランナスクラップを脱型するスライドピンが設けられていることを特徴とする射出成形装置。 - 第1型と第2型とで構成される金型にキャビティが形成され、上記第2型に設けられたバルブゲート口から射出された溶融樹脂を上記第1型に設けられたランナを介してキャビティに射出してプラスチック製品を成形する射出成形装置であって、
上記第1型側には、スライドピンと、該スライドピンに移動可能に外嵌合されたスリーブとが設けられ、
上記スライドピン及びスリーブのいずれか一方は、上記ランナの容積を増減可能なようにランナに対応して第1型に挿通され、射出工程後に上記バルブゲート口がゲートピンにより閉じられた状態で上記ランナ側に進出して該ランナの容積を減少させることによりキャビティ内を保圧し、
上記スライドピン及びスリーブのいずれか他方は、上記溶融樹脂がランナ内で固化したランナスクラップを上記第1型から脱型する突出し工程で進出することにより上記ランナスクラップを脱型するようになっていることを特徴とする射出成形装置。
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