JPH09169045A - 射出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ホットランナ機構を備え、スプルーが溶融材料
の漏出しやすい位置にあり、射出ノズルが成形毎にスプ
ルーから離れる構造の金型であっても、スプルーからの
溶融材料の漏れを防止することができる射出成形用金型
を提供する。 【解決手段】ホットランナ機構を備えた射出成形用金型
であり、溶融材料の非射出時にスプルーＳを閉鎖し、射
出時には溶融材料の射出圧によりスプルーＳを開く弁部
材２０が、スプルーの近傍に配設される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ホットランナ機構
を備えた射出成形用金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、射出成形機を用いた合成樹脂の
射出成形の場合、射出ユニットから射出ノズルを通して
金型内に射出される材料は、スプルー、ランナ、ゲート
を通してキャビティ内に充填され、型締め状態で材料が
冷却・硬化した後、成形された製品を取り出すが、この
とき、スプルー、ランナ、ゲートに残留し硬化した材料
も同時に取り出され、これらの部分は廃材となる。

【０００３】そこで、このような材料の無駄と廃材の発
生をなくすため、及び成形能率を向上させるために、ホ
ットランナ機構を設けた射出成形用金型が開発されてい
る。このホットランナ機構は、ランナブロックの内部又
はその周囲にヒータを配設し、ランナ内を常時加熱して
材料を溶融状態に保ちながら射出成形を行うものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のホ
ットランナを備えた金型では、スプルー、ランナ内の材
料が常時溶融状態になるため、開口したスプルーから溶
融材料が流出する恐れが生じる。このため、ホットラン
ナ機構を備えた金型では、通常、上向きにスプルーが形
成され、下方のランナ、キャビティに向けて材料を射出
する構造とし、或は、射出ユニットの射出ノズルを常時
スプルーに接触させる構造として、スプルーからの溶融
材料の漏れを防いでいる。

【０００５】しかし、例えば、射出成形機の構造上、ス
プルーが金型の側面に位置して開口し、上型と下型の両
方が移動する射出成形機の場合、射出ユニットの射出ノ
ズルを金型側のスプルーブッシュに、常時接触させてお
くことができない。このため、このような射出成形機で
は、成形毎に射出ノズルをスプルーから離すことにな
り、側面に開口したスプルーから溶融材料が漏れ出る問
題があった。

【０００６】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、ホットランナ機構を備え、スプルーが溶融材料の漏
出しやすい位置にあり、射出ノズルが成形毎にスプルー
から離れる構造の金型であっても、スプルーからの溶融
材料の漏れを防止することができる射出成形用金型を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の射出成形用金型は、溶融材料の非射出時にスプルー
を閉鎖し、射出時には溶融材料の射出圧により該スプル
ーを開く弁部材が、該スプルーの近傍に配設されて構成
される。

【０００８】ここで、上記射出成形用金型では、スプル
ーブッシュの背面側に弁座部を形成し、その弁座部に対
して弁部材を移動可能に配設すると共に、弁部材を閉鎖
方向に付勢するばねを設け、非射出時には弁部材を閉鎖
させ、射出時には射出圧により弁部材を開くように、ば
ねのばね力を設定することができる。

【０００９】このような構成の射出成形用金型では、射
出ノズルがスプルーブッシュの前面に当接し、溶融した
合成樹脂材料が射出ノズルからスプルーを通して金型内
に射出されるが、このとき、スプルー内に加わる材料の
射出圧により、弁部材が弁座部から離れてスプルーが開
き、溶融材料はスプルーを通り、ランナを通過して、金
型のキャビティ内に充填される。

【００１０】射出が完了すると、射出ノズルがスプルー
ブッシュから離れるが、このとき、材料の圧力がばねの
ばね力より低下することにより、弁部材は、ばねに押さ
れて弁の閉鎖方向に移動し、弁座部に当接してスプルー
が閉鎖される。

【００１１】このため、ランナ内の材料が常時溶融状態
におかれるホットランナ機構付きの金型であっても、ラ
ンナからの溶融材料がスプルーから漏れ出ることを防止
することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１３】図１はホットランナ機構を備えた射出成形
用金型の断面図を示し、この金型は、主に、取付板１
と、取付板１の下に固定された上型２と、その下にパー
ティングラインＰＬを介して型合せされる下型３とから
構成される。

【００１４】上型２は、上型板４の内部に複数のキャビ
ティブロック５、５を嵌込み、その上に取付プレート６
を固定し、さらに、取付プレート６の上にスペーサブロ
ック７を固定し、スペーサブロック７内に、ランナブロ
ック８を備える。

【００１５】取付プレート６とキャビティブロック５、
５内には、各々、縦ランナ部材１０、１０がキャビティ
ブロック内のキャビティＣに向けて配設され、縦ランナ
部材１０、１０の上部はランナブロック８の下面に接続
される。さらに、ランナブロック８の末端（右側部）に
は縦ランナブロック１２が接続・固定され、縦ランナブ
ロック１２の外側には空間を介してカバー板１３が取付
けられる。

【００１６】縦ランナ部材１０、ランナブロック８及び
縦ランナブロック１２内には、ランナＲが連通して形成
され、縦ランナ部材１０の先端、キャビティＣの入口に
はゲートが形成される。さらに、縦ランナ部材１０、ラ
ンナブロック８及び縦ランナブロック１２内には、各
々、ビータ１１が取付けられ、ランナＲ内を加熱するホ
ットランナ機構を構成する。

【００１７】図２に示すように、縦ランナブロック１２
の下部に、ランナＲの開口孔が側方を向けて形成され、
その開口孔に連通するように、スプルーＳを有するスプ
ルーブッシュ１５が、縦ランナブロック１２の側部に固
定される。このスプルーブッシュ１５には、その外側に
射出ノズル３３が当接する凹部が形成されると共に、そ
の内側にも凹部が形成され、その凹部内に弁部材２０が
当接して閉鎖可能な弁座部１６が形成される。

【００１８】弁部材２０は、先端に円錐部を有するピン
状に形成され、末端にフランジ部２１が形成されると共
に、脚部２２が軸方向に突設される。ピン状の弁部材２
０は、縦ランナブロック１２の末端部に穿設した横孔に
摺動可能に嵌挿され、ランナＲの横方向の開口孔内に位
置し、その先端の円錐部をスプルーブッシュ背面に設け
た弁座部１６に当接可能に配設される。

【００１９】スプルーＳの背面側に設けられた弁座部１
６は、弁部材２０の円錐部に対応した円錐凹面を有して
形成される。なお、弁部材の先端は半球状としてもよ
く、弁部材の先端を半球状とした場合には、弁座部はそ
れに対応した半球状凹面とすればよい。

【００２０】弁部材２０の脚部２２とフランジ部２１は
縦ランナブロック１２の外側に突出し、その脚部２２と
フランジ部２１を覆うように、ばねケース２３が縦ラン
ナブロック１２の側部に固定される。そして、ばねケー
ス２３内にコイルばね２４が弁部材２０を閉鎖方向に付
勢して配設される。

【００２１】コイルばね２４のばね力は、スプルーＳに
射出ユニット３０の射出圧が印加されたとき、圧縮され
て弁部材１６を開移動させ、射出が終了して射出圧が低
下したとき、弁部材２０を閉鎖方向に移動させ、弁座部
１６に当接してスプルーＳを閉鎖するように設定され
る。

【００２２】なお、１７は下型３内に配設された複数の
キャビティブロック、１８はキャビティブロック１７、
１７を取付けた下型板である。

【００２３】上記構成の上型２と下型３は、図３に示す
ように、射出成形機の型締装置に装着けられるが、上型
２は取付板１を介して可動盤２５の下部に固定され、下
型３は、取付板を介してロータリテーブル２６上に固定
される。

【００２４】可動盤２５は、立設された４本のガイドロ
ッド２７に対し昇降可能に取付けられ、ガイドロッド２
７の上部には取付盤２８を介して型締シリンダ２９が型
締ラムを下にして取付けられ、型締ラムの下端に可動盤
２５が固定される。

【００２５】ロータリテーブル２６は、型締装置の下方
に回動可能に配設され、その上に複数の下型３が取付け
られ、それら複数の下型３を、型締装置内の上型２に対
応した型締め位置と、インサートの挿入や製品の取出し
のための作業位置との間で、回転・移動させる。

【００２６】射出ユニット３０は、例えば、インライン
スクリュー方式のものが使用され、基台上に水平移動可
能に配設された本体３１の前部に、射出シリンダ３２が
水平に取付けられ、射出シリンダ３２内にスクリューが
嵌挿され、本体３１内にスクリューを移動させる射出用
油圧シリンダが配設されて構成される。

【００２７】射出シリンダ３２の先端部には射出ノズル
３３が取付けられ、本体３１の水平移動により、射出ノ
ズル３３は、型締めされた上型側部のスプルーブッシュ
１５に当接可能である。

【００２８】次に、射出成形機の動作を説明すると、先
ず、下型３のキャビティ内にインサート部品がセットさ
れ、ロータリテーブル２６の回転により、その下型３を
型締装置内の上型２と対向する位置に進め、停止させ
る。

【００２９】そして、型締装置の型締シリンダ２９が作
動して上型２を下降させ、上型２と下型３を合せ、型締
めする。次に、射出ユニット３０が作動して射出シリン
ダ３２が前進し、その先端の射出ノズル３３が金型のス
プルーブッシュ１５の前面に当接し、射出シリンダ３２
内から溶融した合成樹脂材料がスプルーブッシュ１５か
ら金型内に射出される。

【００３０】このとき、スプルーＳ内に加わる材料の射
出圧により、弁部材２０が後退して弁座部１６から離
れ、スプルーＳが開き、溶融材料はスプルーＳを通り、
ランナＲを通過して、キャビティＣ内に充填される。

【００３１】射出が完了すると、射出ユニット３０の射
出シリンダ３２が後退し、射出ノズル３３が金型のスプ
ルーブッシュ１５から離れる。このとき、材料の圧力が
コイルばね２４のばね力より低下することにより、弁部
材２０は、コイルばね２４のばね力に押されて弁の閉鎖
方向に移動し、弁座部１６に当接してスプルーＳが閉鎖
される。

【００３２】このため、縦ランナ部材１０、ランナブロ
ック８及び縦ランナブロック１２が常時加熱され、ラン
ナＲ内の材料が溶融状態におかれるホットランナ機構を
備えた金型であっても、ランナＲからの溶融材料がスプ
ルーＳから漏れ出ることがない。

【００３３】そして、型締め状態で所定時間経過後、型
締シリンダ２９が作動して可動盤２５及び上型２が上昇
し、型開きが行われ、その状態で、ロータリテーブル２
６が回転し、成形を終了した下型３が所定の作業位置に
移動し、その下型３内から成形品が取り出される。一
方、型締装置の下部に移動した下型３には、再び上記と
同様に上型２が合せられて型締めされ、上記と同様の射
出成形動作が繰り返し行われる。

【００３４】このように、非射出時にスプルーＳを閉鎖
する弁部材２０が設けられるため、ホットランナ機構を
備えた金型であって、側面にスプルーが設けられ、成形
毎に射出ノズルをスプルーから離して成形を行う射出成
形機であっても、スプルーからの溶融材料の漏出を防止
することができる。よって、無駄に廃棄される樹脂材料
を確実に低減することができ、樹脂材料の省資源化に役
立てることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す射出成形用金型の断
面図である。

【図２】同金型のスプルー付近の拡大断面図である。

【図３】射出成形機の概略構成図である。

【符号の説明】

２−上型 ３−下型 １５−スプルーブッシュ １６−弁座部 ２０−弁部材 ２４−コイルばね ３３−射出ノズル Ｓ−スプルー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホットランナ機構を備えた射出成形用金
   型において、溶融材料の非射出時にスプルーを閉鎖し、
   射出時には溶融材料の射出圧により該スプルーを開く弁
   部材が、該スプルーの近傍に配設されていることを特徴
   とする射出成形用金型。
2. 【請求項２】 スプルーブッシュの背面側に弁座部が形
   成され、該弁座部に対して弁部材が移動可能に配設さ
   れ、該弁部材を閉鎖方向に付勢するばねが設けられ、非
   射出時には弁部材を閉鎖させ、射出時には射出圧により
   弁部材を開くように該ばねのばね力が設定された請求項
   １記載の射出成形用金型。
3. 【請求項３】 前記弁部材がピン状に形成され、該弁部
   材の後部にコイルばねが該弁部材を前方に付勢して設け
   られた請求項２記載の射出成形金型。