JPH0514824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、製品裏面にゲートを設けることを可
能にするホツトランナ機構に関する。

（従来の技術） 従来、製品の裏面にゲートを設ける方式として
は、射出成形機に固定側の押出し機構及び金型に
油圧シリンダ使用での押出し方法が提案され、成
形機ノズル側からの射出機構が一般的である。

しかしながら、裏面ゲートを採用して既存成形
機を固定押出し方法に変更することは、大改造を
強いられ不可能に近い。また、金型に油圧シリン
ダを設定する方法も大幅な投資及び金型構造の複
雑化にて保全性の悪化が考えられる。

一方、製品表面ゲート２０（第５図参照）によ
ると、第６図に示す成形品上部に突起物２１がで
き、インサート部品を組付ける際の不良原因とな
つたり、第７図に示すように発泡状態でボイド２
２が発生する等の成形不良が生ずる。

このようなことから裏面ゲート採用の必要性は
高くなつており、たとえば実開昭58−120021号公
報には次のような考案が開示されている。

この考案は、可動型の内部に斜設され、成形品
裏面に位置するスライドコアにスプルーが接続し
たランナ部とトンネルゲートを設け、離型時には
スライドコアが斜にスライドアツプしてランナと
アンダカツト干渉することがないようにしてラン
ナを離型できる金型のゲート切断装置である。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、この装置では樹脂流路が長くな
り、溶融樹脂の流動性からの射出条件のバラツキ
や製品に対する樹脂材料のコスト上昇を招くなど
の問題点がある。

このような事情に鑑みて、本考案はホツトランナ
機構において、製品裏面にゲートを設けるように
し、材料歩留りを高めるとともに、成形品質を向
上させた装置を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 本考案は、可動型側にホツトランナ部とスライ
ドコアを設け、ホツトランナ部は製品キヤビテイ
の裏面側に位置し、スライドコアに固定側スプル
ーとホツトランナ部を接続する樹脂流路が形成さ
れる。

このスライドコアの樹脂流路は型開成時にエジ
エクタピンの押出し位置に面するように移動する
構成となつている。

（作用） このような構成としたことから、スライドコア
の樹脂流路はスプルーロツク部として作用し、型
開きの後、スライドコアはホツトランナ部と切離
されるとともにスプルーを伴なつて後退する。

そして、このスライドコアの樹脂流路がエジエ
クタピンに面する位置に移動すると、エジエクタ
ピンによりスプルーとともに固化した樹脂流路で
あるスプルーロツク部が突き出される。

つまり、溶融樹脂がスプルーを中継してホツト
ランナ部に充填され、スライドコアの移動にてス
プルーの押出しを実行できるようになる。

（実施例） 本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案のホツトランナ機構の概略断面
図を示しており、金型は固定型１と可動型２から
構成される。

固定型側には、固定型側のホツトランナ部３を
設けており、これにスプルー４が接続している。
ホツトランナ部３は成形機のノズル部に置き換え
てもよい。

可動型側には、本考案のホツトランナ部５が固
定型１と可動型２の間に形成される製品キヤビテ
イ６の裏面側（図では下側）に設けられている。

このホツトランナ部５のゲート７は製品キヤビ
テイ６に連通しており、ホツトランナ・ブロツク
８の外周にはバンドヒータ９を配置して、ブロツ
ク８内の樹脂流路８ａに流入する樹脂を流動状態
のまま保持するようになつている。

可動型２は第２図に示す平面図からも明らかな
ように、図中左側上部にスライドコア１０を有し
ている。このスライドコア１０には、スプルー４
と接続する樹脂流路１１が彫り込まれており、樹
脂流路１１はホツトランナ部５に溶融樹脂を充填
させるように接続され、樹脂が固化したときスプ
ルーロツク部を形成する。また、スライドコア１
０は固定型側に傾斜して取付けたフインガーピン
１２によつてロツクされている。

したがつて、型が開成されると、このフインガ
ーピン１２がスライドコア１０からはずされ、ス
ライドコア１０を図中左側に後退させるようにな
つている。

スライドコア１０の下部には、可動型２側に位
置するエジエクタピン１３を配置しており、スラ
イドコア１０が後退移動を完了すると、スライド
コア１０の樹脂流路１１の開口部１１ａはエジエ
クタピン１３上に移動することができる。

次に第３図および第４図を用いて本考案のホツ
トランナ機構の作動を説明する。

成形機側のノズルから注入される溶融樹脂は、
固定型のホツトランナ部３を通過し、スプルー４
を通してスライドコア１０の樹脂流路１１に充填
され、可動型側のホツトランナ部５へ中継され
る。

ホツトランナ部５へ注入された樹脂は製品裏面
側に設けられているゲート７を通して製品キヤビ
テイ６に射出される。

製品キヤビテイ６内の樹脂が冷却された後、金
型が開くと、フインガーピン１２によりロツクさ
れていたスライドコア１０が後退し、樹脂流路１
１とホツトランナ部５を切り離す。そしてスライ
ドコア１０は可動型２のドツク１４に突当り停止
する。

この停止時点が第３図に示す状態であり、この
型開き完了時にはエジエクタピン１３の押出し位
置上に樹脂流路１１の開口部１１ａが面すること
になる。

その後、第４図に示すようにエジエクタピン１
３が押出されると、スプルー４とともに一体に固
化した樹脂流路１１のスプルーロツク部が突き出
されて金型から離脱する。

また、製品の押出しも同様に他のエジエクタピ
ン１５によつて行なわれ成形品１６が取り出され
る。

このような構成により、本考案は簡易に裏面ゲ
ート化が達成され、インサート部品等の一体発泡
の際のゲート残りによる不良を防止し、一般部品
においてはダイレクトゲート（表面ゲート）の見
栄え不良等が解決され、部品コスト、外観品質が
向上する。

またサイドゲート設定時、二段押しで金型内に
ゲート残り等の問題が発生し、製品の外観不良を
起し、ゲート形状を再調整する等の修正を強いら
れる。

この調整結果ではゲート断面積が縮少されると
成形性が著しく低下するが、本考案によればゲー
ト寸法での制約をなくすことができ、成形性が向
上する。

（考案の効果） 以上説明したことから、本考案は製品裏面側に
ゲートが形成されるように可動型側のホツトラン
ナ部を設け、型開成時にスライドコアを移動さ
せ、スライドコア内の樹脂流路とともに固化した
スプルーをエジエクタピンにより押出すようにし
たので、製品に対する樹脂材料のロスを防いで材
料歩留りを高めるとともに裏面ゲートの採用によ
り成形品質を向上させることができる。

また、本考案はホツトランナ部を有するにもか
かわらず簡易な構成で裏面ゲート化が達成され金
型コストを低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るホツトランナ機構を示す
概略断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線に沿つて
見た可動型の平面図、第３図は第１図の可動型に
おいてスライドコアの移動完了時を示す部分断面
図、第４図は第１図の可動型においてエジエクタ
ピンの押出し完了時を示す部分断面図、第５図は
従来例のダイレクトゲートを示す概略断面図、第
６図は従来例における成形品でのゲート残り状態
を示す図、第７図は従来例の凹部にゲートを設定
した時の発泡状態を示す図である。 １……固定型、２……可動型、４……スプル
ー、５……ホツトランナ部、６……製品キヤビテ
イ、７……ゲート、１０……スライドコア、１１
……樹脂流路、１３……エジエクタピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 可動型側にホツトランナ部と、該ホツトランナ
   部に接続する樹脂流路を有するスライドコアとを
   備え、前記ホツトランナ部のゲートを製品キヤビ
   テイの裏面側に設けるとともに、固定型側に形成
   されたスプルーを前記スライドコアの樹脂流路に
   接続し、金型の開成時には、スライドコアの移動
   により前記樹脂流路をホツトランナ部と切離し、
   かつスプルーとともに固化した樹脂が突き出され
   るように前記樹脂流路が可動型側のエジエクタピ
   ンの押出し位置に面することを特徴とするホツト
   ランナ機構。