JPH08323816A - 射出圧縮成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡易な構成からなり、成形品を損傷させること
なく容易に離型させることができ、また、成形不良のな
い良好な成形品を成形することのできる射出圧縮成形金
型を提供する。 【構成】溶融材料Ｗをキャビティ２４に射出注入した
後、ブロックコア２６を変位させて前記キャビティ２４
を圧縮し、溶融材料Ｗを充填する。この場合、前記ブロ
ックコア２６の変位に伴い第２押し出しピン５０ａ、５
０ｂが変位し、その先端部が第１押し出しピン４０ａ、
４０ｂの端部に当接するに至る。次いで、型開き後、押
し出し板３８ａ、３８ｂを変位させることにより、押し
出しピン３６および第１押し出しピン４０ａ、４０ｂが
変位し、成形品Ｗ’を離型させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブロックコアおよびシ
ールプレートを備えた金型を用いて、成形品の圧縮成形
を行う射出圧縮成形金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】キャビティに溶融材料を充填し、それを
冷却固化させて成形品を得る場合、充填時に発生する分
子配向により配向歪みが生じたり、前記溶融材料の冷却
固化に伴う収縮により成形品にボイド、ヒケ等の欠陥が
生じるおそれがある。

【０００３】そこで、前記の不具合を解消する方法とし
て、キャビティに溶融材料を充填した後、前記キャビテ
ィの体積を収縮させることにより、前記溶融材料に対し
て一様な圧縮力を加え、配向歪みを小さくして高精度な
成形品を得るようにした射出圧縮成形方法がある。この
射出圧縮成形方法としては、型閉め後において可動金型
全体を固定金型に対しさらに変位させてキャビティの体
積を収縮させるようにしたロリンクス法と、前記可動金
型をブロックコアとその外周部に配設されるシールプレ
ートとで構成し、前記可動金型と前記シールプレートと
で型閉めした状態で前記ブロックコアを前記固定金型側
に変位させてキャビティの体積を収縮させるようにした
マイクロモルダ法とが代表的である。ロリンクス法は、
主として全体に薄肉となる成形品に適用され、マイクロ
モルダ法は、主として厚肉な成形品に適用される。

【０００４】前記射出圧縮成形方法によれば、形状が複
雑な成形品、あるいは、表面形状の正確な転写が要求さ
れるような成形品、例えば、食器、玩具、車両用内装品
等の成形品を高精度に成形することが可能である。この
ような射出圧縮成形方法の中、前記マイクロモルダ法を
適用した金型としては、具体的には、実開昭６２−１８
５０１１号、実開平１−１１９３２６号等に開示された
ものが知られている。

【０００５】図５および図６は、マイクロモルダ法を適
用した金型の構造を示す。この場合、前記金型は、固定
型２と、可動型を構成するブロックコア４およびシール
プレート６とから基本的に構成され、前記ブロックコア
４および前記シールプレート６が、図示しない油圧シリ
ンダ等により固定型２に向けて変位されることで型閉め
が行われる（図５）。次いで、固定型２と可動型との間
に形成されるキャビティ８に溶融材料Ｗを射出注入した
後、前記油圧シリンダ等によりブロックコア４を固定型
２に向けてさらに変位させ、前記キャビティ８の体積を
収縮させる（図６）。この状態で前記溶融材料Ｗを冷却
固化させた後、型開きして成形品の取り出しを行う。

【０００６】ここで、金型からの成形品の離型は、型開
き後において、可動型に配設された押し出しピン１０を
前記成形品に向かって変位させることにより行う。この
場合、前記従来技術では、ブロックコア４に押し出しピ
ン１０を配設しておき、キャビティ８の体積の収縮時に
は、押し出し板１２を介して前記ブロックコア４および
前記押し出しピン１０を一体的に変位させ、次いで、成
形品の取り出し時には、前記押し出し板１２のみを図示
しない油圧シリンダ等により変位させることで、押し出
しピン１０を介して成形品を離型させるようにしてい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、射出圧縮成
形方法を用いて成形される複雑な形状の成形品を損傷さ
せることなく金型から確実に離型させるためには、図５
および図６に示すように、シールプレート６にも押し出
しピン１４を配設しておくことが必要となる。

【０００８】この場合、前記押し出しピン１４を押し出
しピン１０と同一の押し出し板１２に連結すると、ブロ
ックコア４によりキャビティ８の体積が収縮する時に、
押し出しピン１４がシールプレート６に対して相対的に
変位することになる。そこで、収縮完了時における前記
キャビティ８の形状を成形品の所望の形状とするために
は、ブロックコア４による収縮開始時において、押し出
しピン１４の先端部とキャビティ８の所望の形状面との
間に空隙１６を設けておき（図５）、収縮終了時に前記
空隙１６がなくなるように設定する必要がある（図
６）。

【０００９】しかしながら、前記のように構成した場
合、ブロックコア４の近傍のキャビティ８は、比較的厚
肉となる成形品に対応するため、前記ブロックコア４の
変位に伴う溶融材料Ｗの流動の影響は少ないが、薄肉と
なる可能性の高いシールプレート６の近傍では、ブロッ
クコア４によるキャビティ８の収縮に伴って空隙１６が
縮小される際、前記空隙１６内の溶融材料Ｗが薄肉部分
からなるキャビティ８内で相対的に大きく流動するた
め、前記溶融材料Ｗの配向が乱れ、空隙１６の近傍でフ
ローマーク等が発生し、成形品の外観不良となるおそれ
がある。また、収縮時において、前記空隙１６の部分と
その周辺とで溶融材料Ｗの肉厚の差が大きいため、前記
溶融材料Ｗが冷却固化する際にヒケ等が発生する不具合
が生じる。

【００１０】一方、前記の不具合を解消するために、押
し出し板１２を分割して、押し出しピン１０および１４
を夫々独立に変位させるように構成することも可能であ
るが、この場合、各押し出しピン１０および１４を変位
させる油圧シリンダ等が夫々別個に必要となるだけでな
く、前記各油圧シリンダ等を正確に同期させて変位制御
させる必要があるため、構成が相当に複雑で高価なもの
となってしまう。

【００１１】本発明は、簡易な構成からなり、成形品を
損傷させることなく容易に離型させることができ、ま
た、成形不良のない良好な成形品を成形することのでき
る射出圧縮成形金型を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、キャビティを形成する一対の金型を備
え、前記一方の金型が、前記キャビティに対して進退自
在なブロックコアと、前記ブロックコアの外周部に配設
され型閉め時に前記他方の金型に圧接されるシールプレ
ートとを有し、前記一対の金型の型閉め時あるいは型閉
め後に、前記ブロックコアを前記キャビティへ前進さ
せ、溶融材料を前記キャビティに充填させて成形品を得
る射出圧縮成形金型において、前記シールプレートに
は、前記キャビティに対して進退自在な押し出しピンが
配設され、前記押し出しピンは、成形中において一端部
の押し出し面が前記シールプレートと前記キャビティと
の境界面に面一になるように設定される第１ピンと、押
し出し板に連結された状態で前記第１ピンの同軸上に配
設され、前記一対の金型の型閉め時において、前記シー
ルプレートに対する前記ブロックコアの変位量だけ前記
第１ピンの他端部から離間してなる第２ピンとから構成
され、前記成形品の離型時において、前記押し出し板を
介して前記第１ピンの他端部を前記第２ピンにより押圧
し、前記第１ピンを前記成形品側に変位させることを特
徴とする。

【００１３】

【作用】本発明では、キャビティに溶融材料を射出注入
した後、ブロックコアを前記キャビティに向けて前進さ
せることで圧縮成形を行う。この際、前記ブロックコア
の前進に伴って、押し出し板を介して第２ピンが変位
し、第１ピンの他端部に当接する。その後、型開きして
前記押し出し板をさらに変位させる。この場合、前記押
し出し板に連結された前記第２ピンがシールプレートに
配設された前記第１ピンの端部を押圧し、この第１ピン
が成形品を離型させる。

【００１４】

【実施例】図１〜図４は、本実施例の射出圧縮成形金型
の断面構成を示す図である。この射出圧縮成形金型は、
固定型２０と、前記固定型２０に対向配置される可動型
２２とから基本的に構成され、固定型２０、可動型２２
間には、型閉め後において溶融材料Ｗが射出注入される
キャビティ２４が形成される（図２）。

【００１５】可動型２２は、成形品の略中央部分を形成
するブロックコア２６と、前記ブロックコア２６の周縁
部に配設され、成形品の周縁部分を形成するシールプレ
ート２８とを備える。なお、ブロックコア２６とシール
プレート２８との間には、前記ブロックコア２６、前記
シールプレート２８間の距離を調整するためのシリンダ
３０ａ、３０ｂが配設される。可動型２２は、スペーサ
３２ａ、３２ｂを介してブロックコア２６に連結される
ダイプレート３４を図示しないシリンダにより変位させ
ることで移動する。

【００１６】ブロックコア２６には、型閉め状態におい
て一端部がキャビティ２４側の前記ブロックコア２６と
面一に設定された押し出しピン３６が嵌合する。この押
し出しピン３６の他端部は、ブロックコア２６とダイプ
レート３４との間に配設された押し出し板３８ａ、３８
ｂに連結される。この場合、押し出しピン３６は、必要
に応じて複数本配設することができる。なお、前記押し
出し板３８ａ、３８ｂは、図示しないシリンダにより、
ブロックコア２６とダイプレート３４との間で変位可能
に構成される。

【００１７】また、シールプレート２８には、型閉め状
態において一端部がキャビティ２４側の前記シールプレ
ート２８と面一に設定された第１押し出しピン４０ａ、
４０ｂが嵌合する。前記第１押し出しピン４０ａ、４０
ｂは、他端部にフランジ４２ａ、４２ｂを有しており、
前記フランジ４２ａ、４２ｂがスプリング４４ａ、４４
ｂの弾性力によりシールプレート２８に形成されたガイ
ド孔４６ａ、４６ｂに固定されたストッパリング４８
ａ、４８ｂに押圧支持されている。

【００１８】一方、前記押し出し板３８ａ、３８ｂに
は、さらに、第２押し出しピン５０ａ、５０ｂが連結す
る。この第２押し出しピン５０ａ、５０ｂは、シールプ
レート２８に嵌合する第１押し出しピン４０ａ、４０ｂ
と同軸に設定されており、第１押し出しピン４０ａ、４
０ｂと第２押し出しピン５０ａ、５０ｂとは、図２に示
す型閉め直後の状態において、所定の距離Ｌだけ離間し
て設定される。なお、前記距離Ｌは、型閉め直後の状態
におけるブロックコア２６とシールプレート２８との間
の段差に等しくなるように設定されている。

【００１９】本実施例の射出圧縮成形金型は、基本的に
は以上のように構成されるものであり、次に、その作用
効果について説明する。

【００２０】先ず、図１に示すように、シリンダ３０
ａ、３０ｂを用いて可動型２２を構成するブロックコア
２６とシールプレート２８との間に距離Ｌの段差を設定
した後、図示しない油圧シリンダ等を介して前記可動型
２２を固定型２０に向けて変位させ、型閉めを行う（図
２）。この場合、シールプレート２８が固定型２０に密
着してキャビティ２４が形成される。

【００２１】次に、図２の状態において、前記キャビテ
ィ２４に溶融材料Ｗを射出注入する。

【００２２】溶融材料Ｗが所定量注入された後、シリン
ダ３０ａ、３０ｂをシールプレート２８と固定型２０と
の密着状態を維持した状態で圧縮可能に制御し、溶融材
料Ｗを冷却固化させるとともに、可動型２２を構成する
ブロックコア２６のみを固定型２０に向けて距離Ｌだけ
変位させる（図３）。この場合、前記可動型２２の変位
に伴い、押し出し板３８ａ、３８ｂを介して第２押し出
しピン５０ａ、５０ｂが距離Ｌだけ変位し、その先端部
が第１押し出しピン４０ａ、４０ｂの端部に当接するに
至る。

【００２３】ここで、前記ブロックコア２６は、溶融材
料Ｗの冷却に伴う収縮に応じてキャビティ２４の体積を
縮小させるため、前記キャビティ２４に空隙が生じるこ
とがなく、極めて良好な状態で溶融材料Ｗが充填され
る。また、溶融材料Ｗがブロックコア２６によって一様
に加圧されるため、溶融材料Ｗの注入時に発生した分子
配向が緩和される。

【００２４】さらに、前記ブロックコア２６による加圧
時において、シールプレート２８に配設された第１押し
出しピン４０ａ、４０ｂは、その端部がシールプレート
２８のキャビティ２４側の面と面一の状態に設定されて
いるため、溶融材料Ｗは、前記第１押し出しピン４０
ａ、４０ｂの影響を受けることなくキャビティ２４に円
滑に充填される。従って、前記溶融材料Ｗが冷却固化す
る際に、前記第１押し出しピン４０ａ、４０ｂの近傍で
フローマーク等の成形不良が発生するおそれはない。

【００２５】次に、図３の状態で溶融材料Ｗが完全に冷
却固化した後、可動型２２を図示しない油圧シリンダ等
を用いて変位させることにより、成形品Ｗ’を前記可動
型２２とともに固定型２０から離間させる。

【００２６】次いで、押し出し板３８ａ、３８ｂを図示
しない油圧シリンダ等を用いて固定型２０に向け変位さ
せる。この場合、ブロックコア２６に嵌合された押し出
しピン３６は、その先端部によって成形品Ｗ’を押圧
し、前記ブロックコア２６から前記成形品Ｗ’を離型さ
せる。

【００２７】一方、第２押し出しピン５０ａ、５０ｂ
は、前記押し出し板３８ａ、３８ｂの変位に伴い、その
先端部により第１押し出しピン４０ａ、４０ｂの端部を
押圧する。従って、前記第１押し出しピン４０ａ、４０
ｂは、スプリング４４ａ、４４ｂの弾性力に抗して変位
し、その先端部によって成形品Ｗ’を押圧して、前記ブ
ロックコア２６から前記成形品Ｗ’を離型させる。

【００２８】以上のようにして、成形品Ｗ’が射出圧縮
成形金型より離型される。この場合、前記成形品Ｗ’
は、ブロックコア２６およびシールプレート２８に配設
された押し出しピン３６および第１押し出しピン４０
ａ、４０ｂにより正確に同期がとれた状態で離型される
ため、複雑な構造からなる成形品Ｗ’であっても損傷さ
せることなく取り出すことができる。しかも、溶融材料
Ｗが冷却固化する際には、前記第１押し出しピン４０
ａ、４０ｂがシールプレート２８と面一の状態に設定さ
れるため、前記溶融材料Ｗの流動特性に影響を及ぼすこ
とがなく、従って、フローマーク等のない良好な成形品
Ｗ’を得ることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下の
ような効果を得ることができる。

【００３０】すなわち、溶融材料の射出圧縮時におい
て、押し出しピンが前記溶融材料に対して不適当な流動
状態を生じさせることがない構造であるため、フローマ
ーク等のない良好な成形品を得ることができる。また、
前記の構造を極めて容易に実現することができるため、
廉価な射出圧縮成形金型を提供することが可能となる。
さらに、押し出しピンをシールプレートに対して配設す
ることができるため、例えば、複雑な形状からなる成形
品を損傷させることなく取り出すことができる。従っ
て、複雑な形状からなる良好な成形品の形成が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】射出圧縮成形金型の射出前の状態を示す断面図
である。

【図２】射出圧縮成形金型の型閉め後における射出注入
状態を示す断面図である。

【図３】射出圧縮成形金型の型閉め後における圧縮状態
を示す断面図である。

【図４】射出圧縮成形金型の型開き後における成形品の
離型状態を示す断面図である。

【図５】従来技術での射出圧縮成形金型の型閉め後にお
ける射出注入状態を示す断面図である。

【図６】従来技術での射出圧縮成形金型の型閉め後にお
ける圧縮状態を示す断面図である。

【符号の説明】

２０…固定型 ２２…可動型 ２４…キャビティ ２６…ブロック
コア ２８…シールプレート ３６…押し出し
ピン ３８ａ、３８ｂ…押し出し板 ４０ａ、４０ｂ
…第１押し出しピン ５０ａ、５０ｂ…第２押し出しピン Ｗ…溶融材料 Ｗ’…成形品

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キャビティを形成する一対の金型を備え、
   前記一方の金型が、前記キャビティに対して進退自在な
   ブロックコアと、前記ブロックコアの外周部に配設され
   型閉め時に前記他方の金型に圧接されるシールプレート
   とを有し、前記一対の金型の型閉め時あるいは型閉め後
   に、前記ブロックコアを前記キャビティへ前進させ、溶
   融材料を前記キャビティに充填させて成形品を得る射出
   圧縮成形金型において、 前記シールプレートには、前記キャビティに対して進退
   自在な押し出しピンが配設され、 前記押し出しピンは、成形中において一端部の押し出し
   面が前記シールプレートと前記キャビティとの境界面に
   面一になるように設定される第１ピンと、押し出し板に
   連結された状態で前記第１ピンの同軸上に配設され、前
   記一対の金型の型閉め時において、前記シールプレート
   に対する前記ブロックコアの変位量だけ前記第１ピンの
   他端部から離間してなる第２ピンとから構成され、 前記成形品の離型時において、前記押し出し板を介して
   前記第１ピンの他端部を前記第２ピンにより押圧し、前
   記第１ピンを前記成形品側に変位させることを特徴とす
   る射出圧縮成形金型。