JP3698596B2 - めっき装置及びめっき方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板のめっき装置及びめっき方法に係り、特に半導体基板に形成された配線用溝等に銅(Cu)等の金属を充填するのに使用されるめっき装置及びめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウエハ等の基板の表面に形成された配線用の微細な溝や穴等を埋めるのに、銅めっき等の金属めっき装置を用いて、Al系よりも電気比抵抗の小さい銅等の金属めっきで前記溝や穴を埋めて埋込配線等を形成することが行われている。
【0003】
図13は、この種のめっき装置の内のフェイスダウン方式を採用した噴流めっき装置の従来の一般的な構成を示すもので、このめっき装置は、上方に開口し内部にめっき液10を保持する円筒状のめっき槽12と、半導体ウエハ等の基板Wを着脱自在に下向きに保持して該基板Wを前記めっき槽12の上端開口部を塞ぐ位置に配置する基板保持部14とを有している。前記めっき槽12の内部にはめっき液10中に浸漬されて陽極電極となる平板状の陽極板16が水平に配置され、前記基板Wが陰極電極となるようになっている。この陽極板16は、多孔質材料または網目を有する材料で構成されている。
【0004】
前記めっき槽12の底部中央には、上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射管18が接続され、めっき槽12の上部外側には、めっき液受け20が配置されている。前記めっき液噴射管18は、めっき液貯留槽22から延び内部にポンプ24とフィルタ26を設置しためっき液供給管28に接続され、前記めっき液受け20から延びるめっき液戻り管30に前記めっき液貯留槽22が接続されている。
【0005】
これにより、めっき槽12の上部に基板Wを基板保持部14で下向きに保持して配置し、陽極板16(陽極電極)と基板W(陰極電極)の間に所定の電圧を印加しつつ、めっき液貯留槽22内のめっき液10をポンプ24によりめっき槽12の底部から上方に噴出させて、基板Wの下面(めっき面)に垂直にめっき液の噴流を当てることで、陽極板16と基板Wの間にめっき電流を流して、基板Wの下面にめっき膜を形成するようにしている。この時、めっき槽12をオーバーフローしためっき液10は、めっき液受け20で回収されてめっき液貯留槽22内に流入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の噴流式めっき装置では、基板に給電するためのカソード電極ピンにめっき液が触れてめっき金属が析出し、基板を取出す際にピン近傍のめっき層を破損してしまうことがあった。
【0007】
また、基板表面に銅を電解めっきする場合、銅はシリコン中へ拡散しやすいため、基板表面のめっき面にバリヤ層としてTiN,TaN等を成膜し、このバリヤ層の上に薄く成膜した銅シード層を陰極として電解めっきを行っているが、基板の裏面や側面にはバリヤ層が成膜されていないので、この部分に銅を含むめっき液が付着することを防止する必要がある。このため、浸漬めっきなどでは、基板を基板保持部で保持し、基板の外周部と裏面がめっき液で濡らされることがないように基板の表面の外周部をシール部材でシールして、基板保持部と基板とシール部材で形成されためっき液に触れない空間でカソード電極ピンを基板表面に接触させるようにしている。
【0008】
しかし、このような基板保持部を噴流めっきに適用しようとすると、基板保持部の周囲が基板表面(下面)より下方に出っ張るため、基板保持部に保持された基板をめっき液面に接触させただけでは基板表面の下方に空気層ができて、正常なめっき膜を形成することができない。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みて為されたもので、噴流めっき装置であって、カソード電極ピンへのめっきの付着がなく、しかも基板の側面や裏面の金属汚染を防止しつつ、基板のめっき面全体を気泡のない良好な状態でめっきすることができるようにしためっき装置及びめっき方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、めっき液を保持する円筒状のめっき槽と、該めっき槽の外部から供給されるめっき液により前記めっき槽の内部に上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射部と、めっき面を下方に向け該めっき面の周縁部をシール部材でシールして基板を水平に保持する基板保持部と、該基板保持部を回転及び昇降させる回転機構及び昇降機構を備えた駆動部とを有し、該昇降機構により基板保持部を下降させた位置において該基板下面のめっき面にめっきを施し、該昇降機構により基板保持部を上昇させた位置において該基板保持部への基板取付けまたは該基板保持部から基板取出しを行うことを特徴とするめっき装置である。
【0011】
これにより、基板保持部に保持した基板を水平方向に回転させながら下降させて、めっき槽内のめっき液中に上向きに形成されためっき液の噴流に基板下面のめっき面を接触させることで、基板のめっき面のめっき液との接触面を次第に外部に拡げ、同時に基板の回転に伴う遠心力を作用させて、めっき面の下側の気泡を外部に排出することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、めっき液を保持する円筒状のめっき槽と、該めっき槽の外部から供給されるめっき液により前記めっき槽の内部に上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射部と、めっき面を下方に向け該めっき面の周縁部をシール部材でシールして基板を水平に保持する基板保持部と、該基板保持部を回転させる回転機構と、前記めっき槽内のめっき液の一部または全部をめっき槽から排出させてめっき液の液面を下降させるめっき液排出部とを有することを特徴とするめっき装置である。
【0013】
これにより、基板保持部で保持した基板を回転させつつ、めっき槽内のめっき液の液面を該めっき液中に上方に向けためっき液の噴流を形成しながら上昇させて、基板下面のめっき面をめっき液の噴流に接触させることで、基板のめっき面のめっき液との接触面を次第に外部に拡げ、同時に基板の回転に伴う遠心力を作用させて、めっき面の下側の気泡を外部に排出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、めっき槽内のめっき液中に上方に向けためっき液の噴流を形成し、基板保持部で水平に保持した基板を該基板下面のめっき面が前記めっき液の噴流に接し、更に基板がめっき液中に没する位置まで水平方向に回転させながら該基板とめっき液の相対位置を変化させて基板をめっき液中に配置することを特徴とするめっき方法である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記基板のめっき面がめっき液の噴流に接触した後、基板を30mm/秒以下のゆっくりした速度で下降させることを特徴とする請求項3記載のめっき方法である。これにより、めっき面下方の気泡を外部に確実に排出するのに十分な時間が確保される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記基板のめっき面がめっき液の噴流に接触するまでめっき液の噴出量を増大させておき、基板のめっき面がめっき液の噴流に接触した後、めっき液の噴出量を減少させることを特徴とする請求項3記載のめっき方法である。これにより、基板のめっき面がめっき液の噴流に接触するまでの間におけるめっき液面の盛り上がりを強化することができる。めっき中は噴流を強くしすぎると陽極板表面のブラックフィルムが不安定化し、パーティクルを増加させるなどの弊害があるため、適切な噴流量まで低下させる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、めっき液中におけるめっき処理後、基板と基板保持部とをめっき液面上に露出させ、基板保持部を500rpm以上の高速で回転させることで基板の液切りを行うことを特徴とする請求項3記載のめっき方法である。これにより、基板を基板保持部で保持したまま基板の液切りを行って、液切り後の基板をロボットアーム等で次工程に搬送することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7は、本発明の第1の実施の形態のめっき装置を示すもので、このめっき装置は、上方に開口し内部にめっき液10を保持する円筒状のめっき槽12と、基板Wを着脱自在に下向きで保持する基板保持部14とを有しており、前記めっき槽12の内部にめっき液10中に浸積されて陽極電極となる平板状の陽極板16が該めっき槽12の底面と所定間隔離間して水平に配置されている。
【0019】
前記めっき槽12の底部中央には、上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射管18が接続され、このめっき液噴射管18は、めっき槽12の内部を上方に延び、前記陽極板16に形成された中央口16a内を貫通している。めっき槽12の上部外側には、めっき液受け20が配置されている。前記めっき液噴射管18は、めっき液貯留槽22から延び内部にポンプ24とフィルタ26を設置しためっき液供給管28に接続され、前記めっき液受け20から延びるめっき液戻り管30に前記めっき液貯留槽22が接続されている。
【0020】
更に、めっき槽12の下部には、前記めっき液噴射管18に沿って下方に延出するめっき液流出孔12aが設けられ、この流出孔12aには、内部に開閉弁32とフィルタ34を設置しためっき液流出管36の一端が接続され、このめっき液流出管36の他端は前記めっき液貯留槽22に接続されている。
【0021】
これにより、ポンプ24の駆動に伴って、めっき液10がめっき液供給管28を通ってめっき液噴射管18から上方に噴射されてめっき槽12内のめっき液10中にめっき液の噴流が形成され、めっき槽12をオーバーフローしためっき液10は、めっき液受け20で回収されてめっき液貯留槽22内に流入し、また開閉弁32を開くことで、めっき槽12の底部のめっき液10が自重によってフィルタ34に運ばれ、ここで濾過されてめっき液貯留槽22内に流入するようになっている。なお、めっき液流出管36内にポンプを設置して、めっき槽12の底部のめっき液10を強制的に流出させるようにしても良い。
【0022】
前記基板保持部14は、内部にモータ38と押え板昇降機構40とを収納し上端に基板保持部昇降機構42を備えた駆動部44から下方に延びる回転軸46の下端に連結され、この駆動部44は、水平方向に延びる支持アーム48の自由端部に連結されている。これにより、基板保持部14で保持した基板Wは、モータ38の駆動に伴って水平方向に回転(自転)し、基板保持部昇降機構42の作動によって上下に昇降するようになっている。
【0023】
前記基板保持部14は、図2乃至図4に示すように、内部に収容する基板Wの直径よりやや大きい径の円筒状の基板保持ケース50と、この基板保持ケース50の内部に配置され基板Wの直径とほぼ同じ径の円板状の基板押え板52とから主に構成されている。前記基板保持ケース50は、絶縁材で構成されており、この下面には基板Wの直径より若干小さい径の下部開口50aが形成され、上部は閉じられている。更に、側面のやや上方のめっき液10の浸入を防止した位置には、例えばロボットアーム54を介して基板Wを出入れするためのスリット状の基板取出し開口50bが形成されている。前記基板押え板52も絶縁材で構成され、前記回転軸46の内部を挿通して延び前記押え板昇降機構40の作動に伴って上下動する基板押え軸56の下端に連結されている。
【0024】
前記押え板昇降機構40は、例えば下方向にはばね力で、上方向にはエアで駆動するエアシリンダで基板押え軸56を昇降させるようになっており、エア配管は、モータ38の上部でロータリジョイントにより外部に接続されている。なお、基板取出し開口50bにめっき液の浸入を防止するカバーを設けるようにしても良い。
【0025】
前記基板保持ケース50の下部開口50aの周囲には、シール部材58が斜め上方に突出して配置され、このシール部材58の外側に、基板Wに給電するための複数またはリング状のカソード電極ピン60が斜め上方に突出して配置されている。これにより、基板保持部14で基板Wを保持した時に、基板Wとカソード電極ピン60が接触し、同時に基板Wの下面周縁部にシール部材58の端部が密着してめっき液10の浸入が防止されて、カソード電極ピン60にめっき層が析出しないようになっている。
【0026】
更に、基板保持ケース50には、前記下端開口50aに連通して水平方向に延びる通気孔50cが設けられている。これにより、基板Wを基板保持部14で保持し回転させながらめっき液10に接触させる際に、基板Wとめっき液10との間に溜まった気泡を通気孔50cから除去するようになっている。
【0027】
なお、基板Wの下面(めっき面)の電位を均一にするためには、基板Wの下面の周縁部のほぼ全域に亘ってカソード電極ピン60が接触するよう該カソード電極ピン60を密に並べた形状とするか、または基板Wと線接触するようにカソード電極ピン60をリング状の板体で形成し、内周部を基板W側に折り曲げて弾性を持たせた構造とすることが望ましい。
【0028】
このように構成されためっき装置の使用例を、半導体基板の配線回路形成のためのCu又はその合金のめっきを行なう場合について説明する。被処理対象の基板Wには、図8(a)に示すように、半導体回路素子が形成された半導体基材70の上に導電層72及びSiOからなる絶縁層74を堆積させた後、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール76と配線用の溝78が形成され、その上にTiN等からなるバリア層及びCuシード層80が形成されている。
【0029】
このような基板Wをロボットアーム54で吸着保持して搬送し、基板保持部昇降機構42を介して上昇させておいた基板保持部14の基板保持ケース50の内部に基板取出し開口50bから搬入して、カソード電極ピン60及びシール部材58に当接させた状態で載置する。この時、基板押え板52を上昇させておき、基板Wを載置した後に下降させて基板Wを挟持して保持する。
【0030】
次に、図5に示すように、ポンプ24を駆動させ、めっき液10をめっき液供給管28を通ってめっき液噴射管18から上方に噴射させてめっき槽12内のめっき液10中に上方に盛り上がっためっき液の噴流を形成し、めっき槽12をオーバーフローしためっき液10をめっき液受け20で回収し、必要に応じて、開閉弁32を開いてめっき槽12の下部のめっき液10を外部に流出させておく。この状態で、陽極板16(陽極電極)と基板W(陰極電極)の間に所定の電圧を印加し、モータ38を駆動させて、基板Wを、例えば50〜300rpm 程度で回転させながら、基板保持部昇降機構42を介して基板保持部14を下降させる。
【0031】
すると、基板Wの下面(めっき面)は、図6に示すように、めっき液の噴流によって形成された盛り上がっためっき液面の頂部にまず接触し、更に下降することで、この接触面積が次第に外部に拡がって行き、同時に基板Wの回転に伴う遠心力の作用を受けて、めっき面の下側の気泡が外部に排出される。
【0032】
この時、めっき面がめっき液10に接触した後、基板Wの下降速度を、例えば30mm/秒以下のゆっくりした速度にすることで、めっき面下方の気泡を外部に確実に排出するのに必要な十分な時間を確保することができ、また空気の排出は、通気孔50cにより効率的に行われる。なお、陽極板16と基板Wの間に印加する電圧は、基板がめっき液10内に完全に没する所定の位置に配置されるまでは基板表面がめっき液により侵食させることを防止する微小な電圧とし、所定位置に配置された後、所定のめっき電圧とすることもできる。
【0033】
そして、図7に示すように、基板Wがめっき液10内に完全に没する位置まで更に基板Wを下降させて、基板Wの下面にめっき処理を施す。つまり、めっき槽の下方からめっき液を噴流させる従来の噴流めっきでは、基板表面を下にして、基板はめっき槽の上端より上に位置させて、噴流によって盛り上がっためっき液面にめっき面を接触させる方法が一般的であるが、この実施の形態にあっては、シール部材58によってめっき面以外をめっき液に接触させない基板保持部14を用いているため、基板保持部14と該基板保持部14に保持された基板Wを、めっき液10中に浸漬してめっきを行うことができる。これにより、基板Wのめっき面と陽極板16との距離を自由に調整でき、しかも、基板Wを基板保持部14に保持させたままめっき槽12の外部に移動し、基板W及び基板保持部14を水洗浄することも可能となる。
【0034】
また、めっき槽12の内部のめっき液流れや陽極板16とめっき面との間の電界などは円周方向に必ずしも一様にはならないが、基板Wをめっき槽12内で回転させることで、めっきの均一性を向上させることができる。この回転数は、例えば10〜300rpm の低速回転で良い。
【0035】
なお、陽極板16は、例えば溶解性電極板、銅めっきの場合は含リン銅が用いられる。このようにして銅めっきを行うと、陽極板16の表面にブラックフィルムが形成され該ブラックフィルムが陽極板16の表面から剥離して、微少な剥離片としてめっき液10内に混入するが、このブラックフィルムの剥離片を陽極板16の近傍のめっき液10と共にめっき液流出孔12aからめっき槽12の外部に排出することで、ブラックフィルムの剥離片がめっき表面に付着してめっき品質を低下させることが防止される。
【0036】
更に、このように基板Wを回転させることで、基板Wのめっき面とめっき液10の相対速度を増加させ、基板Wのめっき面近傍の濃度拡散層を薄くして、めっきが供給律速になることを防止し、これにより、めっき面の全面に亘る均一なめっき皮膜を形成し、更に電流密度を大きくし高速めっきが可能になる。
【0037】
以上のめっき工程により、図8(b)に示すように、半導体基板Wのコンタクトホール76および溝78にCuが充填される。その後、化学的機械的研磨(CMP)により、絶縁層74上に堆積したCu層を除去し、コンタクトホール76および配線用の溝78に充填されたCu層82の表面と絶縁層74の表面とを同一平面にする。これにより、図8(c)に示すようにCu層82からなる配線が形成される。
【0038】
そして、前述のようにしてめっき処理が終了した後、基板保持部昇降機構42を介して基板保持部14を基板Wがめっき液10に接触しない位置まで上昇させ、例えば500rpm 以上の回転(望ましくは1000rpm 以上の回転)で基板Wを回転させて液切りを行った後、基板押え板52を上昇させ、基板保持ケース50の内部にロボットアーム54を挿入し、このロボットアーム54で基板Wを吸着保持して基板保持ケース50から取出して次工程に搬送する。
【0039】
図9は、本発明の第2の実施の形態のめっき装置を示すもので、これは、めっき液噴射管18として、めっき槽12の側壁を貫通して延び、先端を上方に向けて直角に屈曲させたものを使用するとともに、めっき槽12の底部に該底部を貫通して延びるめっき液流出用のめっき液流出管84を接続し、このめっき液流出管84の上部拡径部の上端に複数の貫通孔16bを有する陽極板16を配置したものである。その他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。この実施の形態によれば、陽極板16の表面から剥離したブラックフィルム等をより効果的にめっき槽12の外部にめっき液と共に流出させることができる。
【0040】
図10は、本発明の第3の実施の形態のめっき装置を示すもので、これは、めっき槽12として上方に拡がる漏斗状の周壁を有するものを使用し、この周壁に複数(図示では4個)のめっき液噴射管18を該めっき液噴射管18の噴射方向がめっき液10の液面のほぼ中央に向くように円周方向に沿った等間隔で接続し、めっき槽12の漏斗状の周壁の底部に内部に多数の貫通孔16b有する平板状の陽極板16を掛渡して配置したものである。この実施の形態にあっては、各めっき液噴射管18から噴射されるめっき液の流量を相互にほぼ等しく調整する必要があり、このために、各めっき液噴射管18には流量調整弁が設けられている。
【0041】
図11は、本発明の第4の実施の形態のめっき装置を示すもので、これは、前記第3の実施の形態における平板状の陽極板16の代わりに、内部に多数の貫通孔86aを有する半球状の陽極板86を使用したものである。これにより、基板Wの大きさに比べて陽極板86の大きさが大幅に小さく、かつ基板Wと陽極板86との間隔が小さい場合に、基板Wと陽極板86との間の電流分布をより均一にすることができる。
【0042】
図12は、本発明の第5の実施の形態のめっき装置を示すもので、これは、めっき槽12の底部にめっき液排出孔12bを設け、このめっき液排出孔12bの内部にシャットオフバルブ88を配置するとともに、めっき液排出孔12bとめっき液貯留槽22とをめっき液排出管90で連結し、更に、めっき液供給管28に接続された複数のめっき液噴射管18を該噴射管18の手前に開閉弁92を設置して、この噴射方向が液面のほぼ中央部を向くように等間隔で配置したものである。また、めっき槽12の上部には、めっき液飛散防止カバー94が昇降自在に設けられている。
【0043】
この実施の形態にあっては、めっき液は、開閉弁92を開成させた状態でポンプ24を駆動させることで、めっき液噴射管18から噴射されてめっき槽12の中央部の液面付近に向かって放出され、めっき槽12の上縁部よりやや下にめっき面を下に向けて配置された基板Wに当たってめっき槽12内を循環する。めっき槽12内のめっき液は、めっき槽12の上縁部からオーバーフローし、めっき槽12の外部に設けためっき液受け20に回収されてめっき液貯留槽22に戻される。
【0044】
めっきを始める場合には、めっき槽12の内部のめっき液10の一部又は全部をめっき槽12から排出させておく。この状態で、基板Wを基板保持部14で保持しめっき槽12の上縁部よりやや下の所定の位置に配置して、基板保持部14を回転させる。次に、めっき液10をめっき槽12内に噴射させる。すると、めっき槽12内のめっき液10の液面が上昇し、基板Wの下面(めっき面)がめっき液の噴流によって形成された盛り上がっためっき液面の頂部にまず接触し、更に液面が上昇することで、この接触面積が次第に外部に拡がって行き、同時に基板Wの回転に伴う遠心力の作用を受けて、めっき面の下側の気泡が外部に排出される。
【0045】
めっき槽12内のめっき液10の量が増加すると、めっき液の噴流の勢いは弱まるが、めっき面はその全面に亘ってめっき液の盛り上がりの部分に接触しており、更にめっき槽12内のめっき液10の量が増加しても、めっき面はめっき液の噴流によって全面を覆われたままめっき液10の中に浸漬される。従ってめっき面の下側には気泡が残らず、めっき面全体を良好な状態でめっきすることが可能となる。なお、めっき処理中はめっき液排出孔12b内のシャットオフバルブ88をわずかに開き、陽極板16のブラックフィルムの剥離片を陽極板16近傍のめっき液とともにめっき槽12の外部に流出させることも可能である。
【0046】
めっきを終了した後は、めっき槽12のめっき液排出孔12b内のシャットオフバルブ88を開き、めっき槽12内のめっき液10の一部又は全部をめっき液貯留槽22に移動させる。これにより、めっき槽12内のめっき液面が低下し、基板保持部14と該基板保持部14に保持された基板Wがめっき液10の上部に露出される。この状態で、基板保持部14と該基板保持部14に保持された基板Wを回転させ、基板Wに付着しているめっき液10を遠心力により液切りした後、基板押え板52を上昇させて基板保持ケース50の内部からめっき処理された基板Wを取り出す。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カソード電極ピンへのめっきの付着や基板側面や裏面の金属汚染を防止することができる。しかも、基板のめっき面に気泡を残さないことにより、めっき膜厚の均一性に優れ、シミのない、高いめっき品質を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図2】基板保持部を示す縦断正面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図1に示すめっき装置によるめっき工程におけるめっき直前の状態を示す断面図である。
【図6】同じく、基板のめっき面にめっき液を接触させた状態を示す断面図である。
【図7】同じく、めっき工程中における断面図である。
【図8】本発明のめっき装置によってめっきを行う工程の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図13】従来の噴射めっき装置の縦断正面図である。
10 めっき液
12 めっき槽
12a めっき液流出孔
12b めっき液排出孔
14 基板保持部
16,86 陽極板
18 めっき液噴射管
22 めっき液貯留槽
24 ポンプ
28 めっき液供給管
36 めっき液流出管
38 モータ
40 押え板昇降機構
42 基板保持部昇降機構
44 駆動部
46 回転軸
48 支持アーム
50 基板保持ケース
50c 通気孔
52 押え板
58 シール部材
60 カソード電極ピン
84 めっき液流出管
88 シャットオフバルブ
90 めっき液排出管
94 液飛散防止カバー

Claims (6)

  1. めっき液を保持する円筒状のめっき槽と、
    該めっき槽の外部から供給されるめっき液により前記めっき槽の内部に上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射部と、
    めっき面を下方に向け該めっき面の周縁部をシール部材でシールして基板を水平に保持する基板保持部と、
    該基板保持部を回転及び昇降させる回転機構及び昇降機構を備えた駆動部とを有し、
    該昇降機構により基板保持部を下降させた位置において該基板下面のめっき面にめっきを施し、該昇降機構により基板保持部を上昇させた位置において該基板保持部への基板取付けまたは該基板保持部から基板取出しを行うことを特徴とするめっき装置。
  2. めっき液を保持する円筒状のめっき槽と、
    該めっき槽の外部から供給されるめっき液により前記めっき槽の内部に上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射部と、
    めっき面を下方に向け該めっき面の周縁部をシール部材でシールして基板を水平に保持する基板保持部と、
    該基板保持部を回転させる回転機構と、
    前記めっき槽内のめっき液の一部または全部をめっき槽から排出させてめっき液の液面を下降させるめっき液排出部とを有することを特徴とするめっき装置。
  3. めっき槽内のめっき液中に上方に向けためっき液の噴流を形成し、基板保持部で水平に保持した基板を該基板下面のめっき面が前記めっき液の噴流に接し、更に基板がめっき液中に没する位置まで水平方向に回転させながら該基板とめっき液の相対位置を変化させて基板をめっき液中に配置することを特徴とするめっき方法。
  4. 前記基板のめっき面がめっき液の噴流に接触した後、基板を30mm/秒以下のゆっくりした速度で下降させることを特徴とする請求項3記載のめっき方法。
  5. 前記基板のめっき面がめっき液の噴流に接触するまでめっき液の噴出量を増大させておき、基板のめっき面がめっき液の噴流に接触した後、めっき液の噴出量を減少させることを特徴とする請求項3記載のめっき方法。
  6. めっき液中におけるめっき処理後、基板と基板保持部とをめっき液面上に露出させ、基板保持部を500rpm以上の高速で回転させて基板の液切りを行うことを特徴とする請求項3記載のめっき方法。
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