JP3696762B2 - アルカリ電池正極缶用導電塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はアルカリ電池の正極缶内面に塗布する水系導電塗料に関し、詳しくはアルカリ電池の正極合剤と正極缶との電子伝導性の良好な導電被膜を形成し得る導電塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ電池においては、正極缶内面に導電塗料を塗布して正極合剤と正極缶の電子伝導性を改良することにより、電池缶内に蓄えたエネルギーを有効に出力することができる。この電子伝導性改良策の一つの手法として、正極缶内面に塗布する導電塗料により形成される導電被膜の抵抗値を低減する方法が挙げられる。
この導電被膜を形成するための導電塗料としては、例えば、特開昭58−48361号公報にはポリビニルイソブチルエーテルと炭素物質からなる導電性保護膜が、また、特公平5−9902号公報にはポリビニルイソピロリドンと黒鉛粉末からなる導電性塗料が開示されている。これらの塗料は溶媒として有機溶剤を使用したものであるから、正極缶内面への塗料の塗布工程における作業環境の安全性確保のために、特殊な防爆装置や保護具が必要である。
この作業環境改善に対する要請から、水系導電塗料が求められ、例えば、特許2667983号公報には酢酸ビニルとエチレンとの共重合体、酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体、スチレンとブタジエンまたは酢酸ビニルとの共重合体、および塩化ビニルとエチレンとの共重合体から選ばれるいずれかの共重合体をバインダーとした導電性保護膜形成用塗料が開示されている。
【0003】
また、これらの導電塗料から形成されたアルカリ電池の導電被膜に求められる特性として、従来、耐アルカリ性やニッケルメッキ鋼鈑等との密着性が高いことが挙げられている。
耐アルカリ性が要求される理由は、電解液として用いる40重量%の水酸化カリウム水溶液に代表されるアルカリ性の溶液が、セパレーターや正極合剤を介して導電被膜まで到達するためであり、pH12〜14程度の高アルカリ性溶液に接触しても導電被膜が劣化して剥離しないことが求められている。
また、ニッケルメッキ鋼鈑等との密着性が必要である理由は、正極缶の材質がニッケルメッキを施した鋼鈑あるいは同メッキを施したアルミ合金製板を使用して製作されているので、正極合剤を圧入する際に正極缶内面に形成した導電被膜が脱落や剥離しないことが要求されるためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許2667983号公報で開示された導電塗料は水系であるため、前述の作業環境の改善の点では満足し得るものであるが、その成分として昨今の環境問題として新たに注目されているダイオキシンを生成する懸念のある塩化ビニルなどの塩素系樹脂を含有している。このため、更に厳しい環境問題に対する対応策として、塩素系樹脂を含有しない水系導電塗料の開発が求められている。
したがってこの発明は、塩素系樹脂を含有しない水系導電塗料であって、しかも耐アルカリ性やニッケルメッキ鋼板等との密着性など、アルカリ電池に適用される導電被膜として従来要求されている諸特性に優れた、アルカリ電池の正極缶用導電塗料を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、黒鉛とカーボンブラックからなる導電材料、バインダー、分散剤、および溶媒としての水を基本構成とするアルカリ電池の正極缶内面に塗布する水系導電塗料において、上記バインダーとしてアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いたアルカリ電池正極缶用導電塗料に関するものである。
なお、ここで導電塗料中の導電材とバインダーとの配合割合は重量比で4:6〜8:2、導電材中の黒鉛とカーボンブラックとの配合割合は重量比で9:1〜2:8、および有効固形分は5〜60重量%である。
また、この発明は、これらの導電塗料にさらに界面活性剤および/または増粘剤を塗料中の有効固形分に対して0.1〜4重量%添加したものを含む。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の特徴は、黒鉛とカーボンブラックからなる導電材料、バインダー、分散剤、および溶媒としての水を基本構成とするアルカリ電池の正極缶内面に塗布する水系導電塗料において、上記バインダーとしてアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いたことにある。
このアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンとしては、メタクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体、アクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体、またはこれらの混合形態であるメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体が挙げられる。これらのアクリルシリコーン共重合体は、アクリル酸エステル類とトリアルコキシシランに代表されるアルコキシシランとの重合反応により三次元的な構造に発達したものであるから、電解液に由来する高アルカリ性溶液と接触しても、膨潤、溶解などの劣化を起こすことがが少ない強靱な被膜を形成し、本発明の目的である耐アルカリ性に優れた導電被膜を形成することができる。また、これらのアクリルシリコーン共重合体は、不活性であるため、電気的な酸化還元反応により変化を受けないため、電気化学的な安定性にも優れたものである。
【0007】
加えて、アクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いる利点として、造膜によりフィルム状の強靱な被膜を形成することができ、しかも有機溶剤を溶媒とした塗料からなる被膜と比較して、被膜中に微細な空孔が形成され易い点が挙げられる。その結果、黒鉛とカーボンブラックからなる導電材粒子を完全に覆うことなく、電気抵抗値の低い被膜が得られるので、本件発明の課題を解決した導電被膜を提供することができる。
すなわち、本件発明に係る、アクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを含有する導電塗料から形成される導電被膜は、耐アルカリ性に優れ、導電性の良好な材料である。
【0008】
この発明において、導電材としては黒鉛とカーボンブラックを併用する。得られる被膜の電気抵抗値を低くするために、導電材として黒鉛とカーボンブラックを併用することは従来知られている方法であるが、黒鉛のみで導電被膜を形成した場合、黒鉛は抵抗値異方性を有するため、黒鉛粒子間に電気的な接点が不足し易く、また前に触れたとおり、被膜形成のためのバインダーによって黒鉛が覆われるため、抵抗値の低減には必然的に限界がある。そこで、黒鉛とカーボンブラックを併用することにより、カーボンブラックが黒鉛粒子の間隙を埋めるように充填されるため、被膜全体として電気抵抗値の低減を図ることができるものと解される。
【0009】
なお、本件発明に係る導電塗料の黒鉛とカーボンブラックの配合割合は重量比で9:1〜2:8、好ましくは、8:2〜4:6の範囲であり、最適な配合量は75:25〜55:45の範囲である。この理由は前述のとおりであり、導電材が黒鉛のみであっても、またカーボンブラックのみの場合においても低い電気抵抗値は得られない。
【0010】
また、上記黒鉛とカーボンブラックの適切な配合を特定するためには、両者の粒子形状も考慮する必要がある。黒鉛としては、平均粒子径が0.5〜30μmである天然のリン状またはリン片状の黒鉛粒子が望ましい。また、カーボンブラックとしては、粒子径が8〜100nmのアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどが望ましい。
【0011】
次に、導電材とバインダー、すなわち導電材とアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンとの配合割合は重量比で4:6〜8:2、好ましくは、5:5〜7:3の範囲であり、最適な配合割合は6:4程度である。本件発明に係る導電塗料からなる導電被膜としては、電気抵抗値ができるだけ低く、かつ正極缶内面との接着性が高いことが望まれる。抵抗値を低くするためには導電材の配合量をできるだけ多くすることが望ましく、正極缶内面と導電被膜の接着性の観点からは、逆にバインダーとなるアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンの配合量を多くすることが望ましい。これらの相反する要求を満たす上で、この発明に係る導電塗料の配合としては前記の範囲が適切である。
【0012】
また、導電材の黒鉛とカーボンブラックを水媒体に分散するために分散剤を用いることは一般的であり、用いる分散剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が効果的である。これらのセルロース類は、被膜の密着性を向上させると共に、アクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを含有した塗料に対する増粘剤としての効果も発揮する。
なお、本発明に係る導電塗料中の分散剤の配合量としては、導電材に対して1〜10重量%が適切な範囲である。
【0013】
次に、塗料中の有効固形分について説明する。
有効固形分とは塗料中の水以外の成分の含有量を意味し、通常100〜110℃程度の恒温槽内に秤量した塗料を数時間放置して、溶媒成分である水を蒸発させた乾燥重量を有効固形分とする。したがって、有効固形分が少ない塗料を用いると、得られる導電被膜の厚みが小さくなり、塗料粘度も低いため、塗料の経時安定性も低くなる。逆に有効固形分が多い塗料の場合には、得られる導電被膜の厚みは大きくなるが、有効固形分が多すぎると、塗料粘度が高くなるなどの結果、取り扱いにくい塗料になる。そのような観点から、この発明に係る導電塗料中の有効固形分の量は5〜60重量%の範囲とする。なお、塗料の適正な粘度範囲については後に述べる。
【0014】
このような配合組成を有する導電塗料をアルカリ電池の正極缶内面に塗布する方法としては、刷毛塗り法、ローラー塗布法などの他、ディッピング法なども可能であるが、最近のアルカリ電池製造工程においては、正極缶の内面に一定量の塗料をスプレー塗布する方法が一般的である。塗料溶媒が水であるため、正極缶をあらかじめ80℃程度に加熱しておき、缶の内面でスプレーノズルを回転させながら噴霧する方法、または缶を回転させながら塗布する方法などにより、正極缶一個あたり0.1秒程度の速度で塗料を塗布することができるので、短時間で塗布工程を終了することができる。また引き続いて行う塗膜の被膜化(乾燥)工程においても時間の短縮を図ることができるので、量産性に優れている。
【0015】
このように短時間で導電塗料を塗布し、かつ正極缶内面に必要かつ十分な塗膜を形成するためには、導電塗料の粘度調整が重要な因子となる。この種の導電塗料の適正な粘度値は、塗布すべき正極缶の大きさ(太さ)やスプレー塗布装置の仕様(ノズル形状や噴霧圧力など)によって異なるが、概ね50〜2,000mPa・sの範囲である。また、表面張力は30〜60mN/mが適当である。このため導電塗料の粘度や表面張力を適宜調整する必要がある。
その対策として、前述のこの発明に係る導電塗料に、さらに界面活性剤および/または増粘剤を塗料中の有効固形分に対して0.1〜4重量%添加することもこの発明の範囲である。
なお、添加する界面活性剤および/または増粘剤としては、塗料の耐アルカリ性を向上させることができ、また強アルカリ中で電気化学的に安定な材料が望ましく、例えばキサンタンガム、キトサンなどの生体構造を保持する多糖類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸およびこれらの共重合体、マレイン酸共重合体などの合成高分子、またはポリエチレングリコール型、多価アルコール型、アセチレングリコール型の非イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤などが好適である。
【0016】
【実施例】
以下、この発明を実施例により説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(塗料および試料の調製)
分散剤のカルボキシメチルセルロース3重量部を216重量部の水に溶解した水溶液中に、平均粒子径6μmの天然リン状黒鉛粉末45重量部と平均粒子径25nmのアセチレンブラック15重量部(黒鉛とカーボンブラックの配合割合は75:25)を投入して、撹拌・混合し、ボールミル中で分散処理を行った。この分散処理液をボールミルから取り出した後、バインダーとしての固形分40重量%の水系エマルジョン90重量部および増粘剤のキトサン1重量部を投入して、撹拌・混合したものを導電塗料として検討に用いた。
なお、上記水系エマルジョンとしては、本件発明に係るメタクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体であるアクリルシリコーン共重合体の他、比較例としてアクリル酸エステル共重合体、アクリルスチレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、酢酸ビニル塩化ビニル共重合体および塩化ビニル重合体(ポリ塩化ビニル)を用いた。それらの他に、従来用いられている溶剤系の導電塗料(試料番号17)を調製した。
【0017】
調製した各種導電塗料の粘度を、B型回転粘度計を用いて測定した。導電塗料の配合組成および粘度測定結果を表1に示す。
また、それぞれの導電塗料を、100mm×25mm×0.5mmのニッケルメッキ鋼板に、スポンジを用いて概ね95mm×20mmのベタパターンとして塗布し、110℃で10分間加熱乾燥して厚さ約10μmの評価用導電被膜を作製し、以下に示す方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
【0018】
(導電被膜の評価方法)
作製した各試料について密着強度と電気抵抗値を測定した。
密着強度としては、18mm幅のメンディングテープを2kgの荷重で導電被膜に圧着した後にテープを引き剥がし、引き剥がす際の力をプッシュプルゲージで測定して剥離強さを求めた。初期特性としての密着強度は、電池の組立工程において正極合剤を圧入する際に正極缶内面に形成した導電被膜が脱落または剥離しないことが要求されることから、目安として400gf以上が適当とされている。
電気抵抗値としては、導電被膜上に15mm×15mmの銅箔端子を圧着し、ニッケルメッキ鋼板と銅箔間の電気抵抗値を測定することにより、導電被膜の厚さ方向の抵抗値を評価した。
これら2種類の評価を、初期特性として試料調製時に評価すると共に、40重量%水酸化カリウム水溶液に60℃において20日間浸漬した後の試料についても、耐アルカリ特性として同様の評価を行った。耐アルカリ特性としての電気抵抗値としては、電池缶としての内部抵抗を低減させる観点から、できる限り低いことが望まれており、その目安としては、電気抵抗値3Ω以下のものを使用可能とし、また2Ω以下のものを従来材より改善されたものとする。
【0019】
【表1】
Figure 0003696762
【0020】
(表1の結果)
表1に配合組成および評価結果を記した各種導電塗料の内、初期特性で評価結果が良好なもの(密着強度が400gf以上)は、アクリルシリコーン共重合体を用いた導電塗料(試料番号11)の他、アクリルスチレン共重合体(試料番号13)、スチレンブタジエン共重合体(試料番号14)を用いたものおよび従来の溶剤系導電塗料(試料番号17)の4点である。しかしながら、試料番号13および14の塗料は、耐アルカリ特性として行ったアルカリ水溶液浸漬後の評価では、密着強度の低下が大きいと共に、被膜の電気抵抗値の増加も著しい。また、従来の溶剤系導電塗料(試料番号17)からなる導電被膜は、耐アルカリ特性評価のうち、密着強度の低下は少ないが、電気抵抗値については前記目安の範囲内ではあるがやはり変化が見られる。
これらに対して、この発明に係るアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いた導電塗料(試料番号11)からなる導電被膜は耐アルカリ特性も良好である。
【0021】
<実施例2>
ここでは、導電材(黒鉛+カーボンブラック)とバインダーとの配合割合が性能に及ぼす影響について検討を行った。
基本的には、実施例1で用いた材料ならびに同様の作製工程により導電塗料を作製し、同様の評価を行った。なお、ここでアクリルシリコーン共重合体としては、アクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体を40重量%含有する水系エマルジョンを用い、増粘剤のキトサンの他に、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール型界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用いた。検討した導電塗料の配合組成および評価結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
Figure 0003696762
【0023】
(表2の結果)
導電材(黒鉛+カーボンブラック)とバインダー(アクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョン)の配合比率において、バインダー配合量が多いものほど密着強度が向上する傾向にあるが、バインダーは不導体であるため電気抵抗値も上昇する。しかしながら、導電材:バインダーの配合比率が4:6〜8:2の範囲において、初期特性の密着強度および耐アルカリ特性の電気抵抗値はいずれも使用可能な範囲にある。
導電材:バインダーの配合比率が3:7(試料番号26)の場合、バインダー配合量が多いため、密着強度は高く良好であるが、耐アルカリ特性の電気抵抗値が7.10Ωと高く、電池用導電被膜として使用できない。
導電材:バインダーの配合比率が9:1(試料番号27)の場合、導電材配合量が多いため、初期特性としての電気抵抗値は0.08Ωと低く良好であるが、密着強度は300gfであるから、正極合剤の圧入時に導電被膜の脱落または剥離が懸念される。また、アルカリ水溶液浸漬後は、導電被膜の部分的な剥離が観察されるなど密着強度の低下が著しく、これによる影響もあり、電気抵抗値の上昇変化が大きく、電池用導電被膜として適当でないことが分かる。
【0024】
<実施例3>
ここでは、導電材中の黒鉛とカーボンブラックとの配合割合が性能に及ぼす影響について検討を行った。
基本的には、実施例1および2で用いた材料ならびに同様の作製工程により導電塗料を作製し、同様の評価を行った。なお、ここでアクリルシリコーン共重合体としては、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルとアルコキシシランとの共重合体を40重量%含有する水系エマルジョンを用い、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤であるパーフルオロポリオキシエチレンエタノールを用いた。検討した導電塗料の配合組成および評価結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
Figure 0003696762
【0026】
(表3の結果)
この結果から、黒鉛:カーボンブラックの配合比率が9:1〜2:8の範囲においては、黒鉛あるいはカーボンブラックをそれぞれ単体で配合したもの(比較例)と比べて電気抵抗値は低く、またアルカリ水溶液に浸漬した後の電気抵抗値も2Ω以下であるため、優れた特性のアルカリ電池を提供し得ると考えられる。また、導電材を黒鉛のみで形成した導電塗膜(試料番号36)の場合、黒鉛には抵抗値異方性があるため、黒鉛粒子間の電気的接点が不足し易く、抵抗値の低減には必然的に限界があることが分かる。
さらに、初期特性としての密着強度についても、黒鉛:カーボンブラックの配合比率が9:1〜2:8の範囲においては使用可能な値を示している。導電材としてカーボンブラックを配合することにより、密着強度も向上する傾向があり、正極合剤を圧入する際の導電被膜の脱落または剥離の防止およびアルカリ水溶液浸漬後の電気抵抗値の上昇変化に対しても抑制効果があることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
この発明に係るアルカリ電池用導電塗料は、バインダーとしてアクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いているので、この導電塗料を用いて得られる導電被膜は、正極合剤との接触抵抗を下げると共に、電池缶内部の抵抗値を低減することができるので、アルカリ電池の高負荷放電の改善を図ることが可能である。

Claims (3)

  1. 黒鉛とカーボンブラックからなる導電材料、バインダー、分散剤、および溶媒としての水を基本構成とするアルカリ電池の正極缶内面に塗布する水系導電塗料において、
    該バインダーとして、アクリルシリコーン共重合体の水系エマルジョンを用いたことを特徴とするアルカリ電池正極缶用導電塗料。
  2. 前記導電材と前記バインダーとの配合割合は重量比で4:6〜8:2であり、
    前記導電材中の黒鉛とカーボンブラックとの配合割合は重量比で9:1〜2:8であり、
    前記導電塗料中の有効固形分は5〜60重量%である、請求項1に記載のアルカリ電池正極缶用導電塗料。
  3. 請求項1または2に記載のアルカリ電池正極缶用導電塗料に、さらに界面活性剤および/または増粘剤を塗料中の有効固形分に対して0.1〜4重量%添加したアルカリ電池正極缶用導電塗料。
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