JP5361753B2 - 二次電池電極用バインダー、電極および二次電池 - Google Patents

二次電池電極用バインダー、電極および二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いてなる二次電池電極用バインダー、該二次電池電極用バインダーを用いてなる電極および二次電池に関するものである。
ポリオレフィン樹脂は、電気特性、力学特性、化学特性、賦形性、衛生性、リサイクル性等が優れていることから、自動車、電気分野、包装、日用雑貨などを中心に大量に使用されている。しかし、通常、ポリオレフィン樹脂は、分子鎖に極性基を含まないため、コーティングや接着が困難であるという問題がある。このため、プロピレン樹脂のコーティングや接着には、塩素化ポリプロピレン樹脂を主成分とした樹脂を使用する方法が提案されている。しかし、塩素化した樹脂は焼却時に酸性ガス等の有害物質を発生するため、近年、環境への関心が高まるとともに非塩素系材料への移行が強く望まれている。そこで、酸などで変性した変性ポリオレフィン樹脂をコーティングや接着の用途に利用する方法が検討されている。中でも、特許文献1、2などに例示されているように、変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体に分散化した水性分散体とすることが、環境保護、職場環境改善などの理由から望まれている。
しかしながら、特許文献1、2に記載された水性分散体は、ポリオレフィン樹脂を水性分散化する際に、水性分散化助剤として不揮発性の界面活性剤を添加することが実質的に必要であり、そのことにより得られる水性分散体は、水性分散化助剤の含有を余儀なくされていた。含有する水性分散化助剤は、水性分散体の性能に悪影響をおよぼし、例えば、水性分散体から得られる乾燥塗膜は耐水性に劣っていた。
また、近年、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、高性能電池の開発が積極的に進められており、充電により繰り返し使用が可能な二次電池の需要が大きく伸びている。特に、リチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコンなどの用途に加え、電気自動車用途への展開も進められ、その利用範囲は非常に拡大している。
リチウムイオン電池は、正極と負極との間にセパレーターを介して作製された電極を電解液(リチウムイオンポリマー電池の場合は、液状電解液の代わりにゲル状もしくは全固体型の電解質)と共に容器内に収納した構造を有するものである。
リチウムイオン電池の電極は、活物質と、必要に応じて主に炭素材料からなる導電材とが、バインダー(接着剤)を用いてアルミニウム箔や銅箔などの金属集電体上に層形成されたものである。正極用活物質としては、コバルト酸リチウムなどの遷移金属を含むリチウム複合酸化物などが用いられ、負極用活物質としては、炭素材料などが用いられる。そして、このようなリチウムイオン電池の電極は、通常、活物質に(必要に応じて)導電材およびバインダーを添加し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒の存在下で混練・調製した電極ペーストを、金属集電体上にドクターブレードなどによりに塗布し、乾燥することによって得られる。ここでバインダーは、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体とを接着するために用いられる。
したがって、電極形成のためのバインダーには、(1)活物質間、および必要に応じて添加する導電材との接着性に優れること、(2)活物質及び導電材と金属集電体との接着性に優れることなどの性能が要求される。
従来、二次電池電極用のバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂などの主にフッ素系樹脂をNMPに溶解した溶液が多く使用されている。
しかしながら、PVDFを用いた溶液を二次電池電極用バインダーとして使用した場合、活物質間や導電材との接着性に劣り、また、活物質及び導電材と金属集電体との界面の接着性にも劣るため、極板の裁断工程や捲回工程等の製造工程時に活物質や導電材の一部が金属集電体から剥離・脱落し、微少短絡や電池容量のばらつきを生じる原因となっていた。
さらに、PVDFは電解液に対する耐膨潤性に劣るため、充放電を繰り返すことによってバインダーが電解液中で膨潤し、活物質と導電材との間や活物質及び導電材と金属集電体との接触抵抗が増大したり、活物質及び導電材の一部が金属集電体から剥離したりすることがあり、電池特性に劣り、さらには安全上の問題があった。
したがって、電極形成のためのバインダーには、(3)電解液に対する耐膨潤性に優れる性能が要求され、さらには、(4)導電性にも優れる性能も要求される。
また、PVDFを溶解させる溶媒として用いられているNMPは、電極ペーストを金属集電体上に塗布・乾燥する際に蒸発するため、これを安全に回収する必要がある。また昨今の環境関連の法規制によって、加工場によっては環境に影響を及ぼす可能性のある有機溶媒を使用できないところも多くなっている。
これらの問題に対して、二次電池電極用バインダーとして、上記したようなポリオレフィン樹脂の水性分散体を用いることが提案されている。例えば、特許文献3、4には、電気化学的に安定で電解液に対して膨潤性が小さいオレフィン系重合体の水性分散体をバインダーとして用いる試みが行われている。
特許文献3では、界面活性剤を含まない自己乳化性ポリオレフィンエマルジョンを電極用バインダーとして使用することが記載されている。特許文献3で開示されている自己乳化性ポリオレフィンエマルジョンとは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン骨格にカルボキシル基を導入し、アンモニア、アルカノールアミン、苛性ソーダ等のアルカリで水溶化するものであり、該水溶化の際には、高度分散してエマルジョン化した水溶液である。
しかし、特許文献3には、カルボキシル基の導入量や、カルボキシル基の導入方法については、具体的には記載されていない。加えて、実施例で用いられているエチレン/アクリル酸共重合体は、カルボキシル基の導入量が多いため高酸価を示し、ポリエチレンそのものの特性が損なわれるため、耐溶剤性や耐膨潤性が悪化するという問題がある。さらに、実施例1で記載されているように、自己乳化性ポリオレフィンエマルジョンの使用量は、活物質100質量部に対して10質量部と過多であるため、接着性や耐膨潤性が不十分であった。
また、特許文献4には、平均粒径が20μm以下のポリオレフィン系樹脂の水性ディスパージョンを電極用バインダーとして用いる技術が記載されており、該ポリオレフィン系樹脂として、エチレン−プロピレン共重合体による熱可塑性エラストマーなどが例示されている。
しかしながら、この場合は、エチレン−プロピレン共重合体が、カルボン酸などの電離性官能基を有していないため、水性ディスパージョンとするには、乳化剤等を用いて強制的に乳化させる必要がある。その結果、該エチレン−プロピレン共重合体の粒子径を小さくさせることが困難となるため、必要量の活物質を接着させるのに必要なバインダーの量が多くなり、電極の内部抵抗が大きくなってしまう。さらに、バインダーに乳化剤を使用する際には、該乳化剤が活物質や電極の界面に移行し、接着性や耐膨潤性を低下させるため、長期間の使用やサイクル特性に劣るという問題があった。
特開2006−241623号公報 特開2007−100010号公報 特開平9−251856号公報 特開平8−50894号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、各種基材との接着性に優れ、耐水性に優れた被膜を形成することが可能な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて、少量の添加でも優れた接着性を示し、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性に優れ、導電性に優れるとともに、電解液に対する耐膨潤性にも優れ、充放電を繰り返しても性能の低下が少ない電池を製造できる二次電池電極用バインダー及びこのバインダーを用いた電極及び二次電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の物性を示す酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体からなる二次電池電極用バインダーであって、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体が、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物および水性媒体を含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸成分とオレフィン成分とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の100モル%がプロピレンであり、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が10〜70mgKOH/g、酸変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が20,000〜100,000であることを特徴とする二次電池電極用バインダー。
(2)不揮発性水性分散化助剤を含有しないことを特徴とする(1)の二次電池電極用バインダー。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.01〜1μmであることを特徴とする(1)または(2)の二次電池電極用バインダー。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分が、無水マレイン酸であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの二次電池電極用バインダー
(5)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に水溶性ポリマーを添加したことを特徴とする(1)〜()のいずれかの二次電池電極用バインダー。
)水溶性ポリマーが、セルロース系ポリマーであることを特徴とする()の二次電池電極用バインダー。
)(1)〜()のいずれかの二次電池電極用バインダーを用いて形成された二次電池電極。
)()の二次電池電極を用いて形成された二次電池。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体は、各種基材との接着性に優れ、耐水性に優れた被膜を形成することができ、本発明の二次電池電極用バインダーは、の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体からなるものであるため、少量の添加でも優れた接着性を示し、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性に優れ、導電性に優れるとともに、電解液に対する耐膨潤性にも優れる。このため、充放電サイクルの進行に伴って、活物質や導電材が集電体から脱落することなく、接着性と導電性を維持することが可能な電極及び電池を得ることができる。そして、本発明の二次電池電極及び二次電池は、本発明の二次電池電極用バインダーを用いて形成されたものであるため、充放電サイクルの進行に伴って、電池性能の劣化しないサイクル特性に優れるものであり、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラなどの電子機器はもちろんのこと、電気自転車、電気自動車などにも広く使用することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(「水性分散体」と称する場合がある)は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、塩基性化合物(B)と、水性媒体とを含有する水性分散体である。前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)とを含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を構成する不飽和カルボン酸成分(A1)は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入されるものである。不飽和カルボン酸成分としては、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、分散化の容易さという観点から、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に導入された酸無水物は、樹脂が乾燥している状態では、隣接するカルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、後述する水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を構成するオレフィン成分(A2)の100モル%は、樹脂の柔軟性、分散化の容易さ、接着性、二次電池電極用バインダーとしての安定性の観点から、プロピレンであることが必要である。
さらに、上記のようなオレフィン成分(A2)とした場合、接着性、耐溶剤性の観点から本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)以外のモノマー単位を有していないことが好ましい。
その他のモノマー単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルならびにビニルエステルを塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸などが挙げられる。
したがって、本発明の水性分散体における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)のみからなり、オレフィン成分(A2)としてプロピレンのみ(100モル%)を用いたものであって、不飽和カルボン酸成分(A1)として無水マレイン酸のみ(100モル%)を用いた無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が最も好ましい。
また、本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を得るには、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)を、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト法、熱減成法等を行って得ることができる。中でも、オレフィン成分(A2)の重合体の末端に不飽和カルボン酸成分を反応させることによって得られるものであることが好ましい。さらには、オレフィン成分(A2)の重合体を熱分解によって低分子量化してから、その末端に不飽和カルボン酸成分(A1)を反応させる熱減成法により得られたものが好ましい。
また、本発明の水性分散体における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の酸変性量は、樹脂の酸価測定によって求めることが可能であり、その酸価としては、5〜100mgKOH/gであることが好ましく、10〜80mgKOH/gであることがより好ましく、20〜60mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が5mgKOH/g未満の場合は、水性分散化が困難となり、100mgKOH/gを超えた場合は、基材への接着性に劣るものとなる。なお本発明における酸価とは、1gのポリオレフィン樹脂を中和するのに必要とするKOH量のことであり、JIS K0070記載の方法に従って求めることができる。
また、本発明の水性分散体における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の質量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、5,000〜80,000がより好ましく、10,000〜50,000がさらに好ましく、20,000〜40,000が特に好ましい。質量平均分子量が1,000未満であると、基材への接着性や耐水性に劣るものとなる。一方、100,000を超えた場合には、水性分散化が困難となる傾向にある。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置によって求めることができる。
本発明の水性分散体中においては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径が、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは0.04〜0.2μm、最も好ましくは0.05〜0.1μmである。数平均粒子径が0.01μm未満の場合は、水性分散体の粘度が高くなりゲル化する場合があり、1μmを超えた場合は、基材との接着性が悪化する傾向にある。
上記したような酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、例えば、三洋化成社製「ユーメックス」、三井化学社製「サンワックス」などを用いることができる。
また、水性分散体における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の固形分濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。固形分濃度が50質量%を超えると分散体の著しい粘度増加が発現したり、固化により取扱い性が低下したりする傾向がある。一方、固形分濃度が1質量%未満では、塗工により塗膜を形成させることが困難となりやすく、分散体の著しい粘度低下により取扱性も低下する傾向がある。
そして、本発明の水性分散体は、上記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を塩基性化合物(B)とともに水性媒体中に分散したものである。塩基性化合物(B)によって、ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基は、その一部または全部が中和され、生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集を抑制することができ、水性分散体としたときに安定性が付与される。
塩基性化合物(B)としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン、アルカリ金属化合物などが挙げられる。中でも、分散化の容易さという観点から、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが好ましい。
なお、塩基性化合物は、水性分散体を塗工した後、乾燥処理等によって塗膜から除去することが好ましい。このため、塩基性化合物(B)の常圧時の沸点は、耐水性、乾燥性等の点から、250℃未満であることが好ましい。沸点が250℃以上の場合は、水性分散体を塗工した後、得られた塗膜から乾燥処理によって塩基性化合物を除去することが困難となる場合があり、特に低温乾燥時の塗膜の耐水性や基材との接着性等が悪化する場合がある。
塩基性化合物(B)の添加量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.5〜2.8倍当量であることがより好ましく、0.6〜2.5倍当量であることが特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物(B)の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると、水性分散体の安定性が悪化する場合がある。
本発明で用いる水性媒体とは、水または、水と有機溶剤との混合物のことである。本発明の水性分散体は、例えば、加圧下、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、塩基性化合物(B)および水性媒体を密閉容器中で加熱、攪拌することで得ることができるものである。
本発明の水性分散体の製造方法としては、上述した酸変性ポリオレフィン樹脂(A)および塩基性化合物(B)と、水と有機溶剤との混合物(水性媒体)とを、80〜280℃の温度で混合する方法が好ましい。この方法により、乳化剤成分や保護コロイド作用を有する化合物等の不揮発性水性分散化助剤を含有しなくとも、分散化を促進し、粒子径が微細で良好な水性分散体を得ることができる。
水性媒体を水と有機溶剤とする場合の有機溶剤の含有量は、水性媒体全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。有機溶剤量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤としては、良好な水性分散体を得るという点から、20℃における水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく用いられる。さらに好ましくは20g/L以上、特に好ましくは50g/L以上である。
有機溶剤としては、常圧時の沸点が30〜250℃であるものが好ましく、50℃〜185℃未満のものが特に好ましい。沸点が250℃を超える有機溶剤は、水性分散体を塗工した後、得られた塗膜から乾燥処理によって有機溶剤を除去することが困難となる場合があり、接着性を悪化させる場合がある。一方、沸点が30℃未満の場合は、取り扱い性が困難となり、保存安定性が悪化する場合がある。
有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いられてもよいし、2種以上を混合して用いられてもよい。
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、これらの中でも水酸基を分子内に1つ有する有機溶剤がより好ましく、少量の添加で樹脂を水性化できる点から、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましい。
混合により水分散化を終えた後に、水性分散体中に含有される、有機溶剤の一部または全部を、必要に応じて、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって除去してもよい。脱溶剤処理は、加熱や減圧などの方法によって実施することができる。脱溶剤処理により、有機溶剤量の低減を図ることが可能であり、水性分散体中の有機溶剤含有量を10質量%以下とすることができる。特に、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。
本発明の水性分散体は、不揮発性水性分散化助剤を含有しないことが好ましいものであるが、上述したような製造方法を採用することにより、不揮発性水性分散化助剤を含有しない本発明の水性分散体を得ることができる。
ここで、不揮発性水性分散化助剤とは、水性分散化において、水性分散化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物を指す。不揮発性水性分散化助剤は、塗膜形成後にも残存し、塗膜を可塑化することにより、樹脂の特性、例えば耐水性等を悪化させる場合がある。なお、不揮発性とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(300℃以上)であることを指す。
不揮発性水性分散化助剤としては、例えば、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
そして、本発明の水性分散体を塗布して得られる塗膜は、様々な基材との接着性に優れる。塗膜は必要に応じて乾燥し乾燥塗膜とすることが好ましい。基材としては、特に限定されず、例えば、プラスチックの成形体、フィルム、繊維、不織布、ガラス、金属、金属箔、紙などが挙げられる。これら基材に、接着剤、ヒートシール性付与剤、表面改質、表面保護、滑剤、塗料など種々の目的で塗布することができる。より具体的には、ポリプロピレン樹脂などの樹脂成形体や樹脂フィルムのプライマー、繊維の集束剤などの用途で好適に用いることができる。
さらに、本発明の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体は、基材との接着性に優れるため、二次電池電極用バインダーとして好適に用いられる。
本発明の二次電池電極用バインダーは、上記酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体からなるものである。
本発明の二次電池電極用バインダーにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)において、オレフィン成分(A2)の100モル%は、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性や電解液に対する耐膨潤性を向上させるために、プロピレンであることが必要である。
さらに、上記のようなオレフィン成分(A2)とした場合、接着性や耐膨潤性の観点から、本発明の二次電池電極用バインダーにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)以外のモノマー単位を有していないことが好ましい。
その他のモノマー単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルならびにビニルエステルを塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコールなどが挙げられる。
したがって、本発明の二次電池電極用バインダーにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、不飽和カルボン酸成分(A1)とオレフィン成分(A2)のみからなり、オレフィン成分(A2)としてプロピレンのみ(100モル%)を用いたものであって、不飽和カルボン酸成分(A1)として無水マレイン酸のみ(100モル%)を用いた無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が最も好ましい。
そして、本発明の二次電池電極用バインダーも水性分散体中に上記したような不揮発性水性分散化助剤を含有しないことが好ましいものである。該バインダー中に不揮発性水性分散化助剤が含有されていると、これらの剤が活物質や電極の界面に移行し、接着性や耐膨潤性を低下させる。このため、このようなバインダーを使用した電池は長期間の使用やサイクル特性に劣るという問題がある。
二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の酸価は、10〜70mgKOH/gであることが必要であり、15〜65mgKOH/gであることが好ましく、20〜60mgKOH/gがより好ましい。酸価が10mgKOH/g未満の場合は、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性が悪くなる傾向があり、70mgKOH/gを超えた場合は、接着性や耐電解液膨潤性が悪化するという問題がある。
二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の質量平均分子量は、20,000〜100,000であることが必要であり、21,000〜80,000が好ましく、23,000〜60,000がより好ましく、25,000〜50,000が特に好ましく、25,000〜45,000であることが最も好ましい。質量平均分子量が20,000未満であると、電極の造膜性が悪化する。一方、100,000を超えた場合には、水性分散化が困難となり、バインダーとしての使用が困難となりやすい。
二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散性を高める観点、活物質同士、または活物質と導電材を密に接着させ、電極の内部抵抗を低下させる観点、二次電池電極用バインダーの保存安定性の観点から、1μm以下であることが好ましい。さらに、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。数平均粒子径が1μmを超えると活物質や導電材を接着させる際に、抵抗が高くなったり、低温造膜性が悪化したり、水性分散体の保存安定性が低下したりする。
二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径の好ましい下限としては0.01μmである。数平均粒子径が0.01μm未満であると、水性分散体の固形分濃度が高くなると粘度が高くなりゲル化する場合があり、導電材や活物質と混合した際に安定したペーストが得られなくなる場合がある。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径は、微粒物質の粒子径を測定するために一般的に使用されている動的光散乱法によって測定される。
そして、本発明の二次電池電極用バインダーは、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に加えて、他のポリマーとして、水溶性ポリマーを添加することが好ましい。水溶性ポリマーの具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸などが例示される。中でも、電極用バインダーの安定性の観点から、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が好ましい。これらの水溶性ポリマーは、集電体、活物質および導電材料の各材料間の濡れ性を向上させるとともに、いわゆる増粘剤としての役割を担う。これによって、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性が向上し、得られる電池はサイクル特性に優れたものとなる。
上記水溶性ポリマーの配合量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、後述の導電材及び電極用活物質の合計100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部である。上記配合量が0.01質量部未満であると、電極用バインダーの安定性や塗工性が悪化する場合があり、一方、3質量部を超えると、電池特性が悪化する場合がある。
また、本発明の二次電池電極用バインダーにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の固形分濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。固形分濃度が50質量%を超えると著しい粘度増加が発現したり、固化により取扱い性が低下したりする傾向がある。一方、固形分濃度が1質量%未満では、電極バインダーの粘度が低下し、塗工性が悪化する傾向がある。
本発明の二次電池電極用バインダーに、電極用活物質と、必要に応じて導電材とを含有させることにより二次電池電極用ペーストを調製することができる。正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的に放出、吸蔵でき、電子伝導度が高い材料が好ましく、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの遷移金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。負極用活物質としては、例えばグラファイトなどの炭素材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
導電材としては、炭素材または金属もしくはその化合物を用いることができる。炭素材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、炭素繊維等を挙げることができ、金属もしくはその化合物としては、ニッケル、コバルト、チタン、酸化コバルト、酸化チタン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
二次電池電極バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、電極用活物質と導電材の合計質量に対して、0.01〜8質量%であることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有量が8質量%を超えると、得られる電極における電気抵抗値が高くなる傾向がある。また0.01質量%未満であると、活物質と導電材および集電体との十分な接着性を得ることができない。
本発明において二次電池電極用ペーストを製造する条件や方法は特に限定されず、二次電池電極用バインダーと、電極用活物質と、導電材とを常温もしくは適当に制御された温度で混合した後、機械的分散処理、超音波分散処理する方法等が挙げられる。その場合の混合順序については特に限定されない。
本発明の二次電池電極は、本発明の二次電池電極用バインダーを用いて形成されたものであるが、例えば上記のようにして製造した二次電池電極用ペーストを集電体上に塗布・乾燥することにより、二次電池電極を形成することができる。集電体としては、導電性を有する物質であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属が挙げられる。集電体の厚みに特に制限はないが、通常5〜50μmの薄膜が用いられる。
ペーストを集電体上に塗布する方法としては、例えばドクターブレードを用いる方法が挙げられる。ペーストの塗布後、水性媒体を除去する方法としては、例えば、60〜150℃、好ましくは70〜130℃で5〜120分間乾燥する方法が挙げられる。さらに、例えば、120℃で12時間減圧乾燥させてもよい。塗布、乾燥後の電極の厚みは、電極の生産性や電池特性の観点から、30〜150μmが好ましい。電極の厚みや密度を制御するために、例えばロールプレス機によってプレスすることが好ましい。
さらに、本発明の二次電池は、本発明の二次電池電極を用いて形成されたものであるが、例えば、上記のようにして製造した二次電池電極を、セパレーターおよび電解液とともに常法に従って容器に封入することにより二次電池を形成することができる。
セパレーターとしては、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維などが挙げられる。電解液としては、エチレンカーボネートやジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶媒を1種類および2種類以上混合した混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウムなどの支持電解塩が添加されたものが挙げられる。
上記セパレーターに代えて固体電解質あるいはゲル電解質を用いてもよい。固体電解質やゲル電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、イオン性液体、硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。電解質を溶解させる溶媒(電解液溶媒)も、一般的に電解液溶媒として用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;イオン性液体などが挙げられる。これらは単独または二種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いることにより、少量の添加で優れた接着性を示し、良好な電解液に対する耐性、優れた安定性を有する二次電池電極用バインダーを提供することができる。また、この二次電池電極用バインダーを用いることにより、特にサイクル特性に優れた二次電池電極および二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次の通りである。
(1)水性分散体、または二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径を求めた。なお、樹脂の屈折率は1.50とした。
(2)接着性評価
無延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、品目SC)(厚み50μm)に、得られた水性分散体を、マイヤーバーを用いて塗布した後、90℃で2分間乾燥させ、厚さ1μmの乾燥塗膜を、無延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した。得られた積層体を室温で24時間放置後、乾燥塗膜表面に、カッターナイフで1mm間隔の切れ目を入れ(切れ目は無延伸ポリプロピレンフィルムに達するように入れる)100升の碁盤目を作製した。その碁盤目上に、セロハンテープ(ニチバン社製「TF−12」)を貼り付け、テープを一気に剥がした場合の、100升中の剥離がなかった升目で評価した。
(3)耐水性評価
無延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、品目SC)(厚み50μm)に、得られた水性分散体を、マイヤーバーを用いて塗布した後、90℃で2分間乾燥させ、厚さ1μmの乾燥塗膜を、無延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した。得られた積層体を室温で24時間放置後、乾燥塗膜表面に、カッターナイフで1mm間隔の切れ目を入れ(切れ目は無延伸ポリプロピレンフィルムに達するように入れる)100升の碁盤目を作製した。その碁盤目の入った積層体を40℃の水道水に48時間浸漬した。浸漬後に積層体を取り出し、速やかに塗膜表面を乾いたウエスで軽く拭取り、表面の碁盤目上にセロハンテープ(ニチバン社製、「TF−12」)を貼り付け、テープを一気に剥がした場合の、100升中の剥離がなかった升目で評価した。
(4)二次電池電極用バインダー(水性分散体)の電解液膨潤性
得られた二次電池電極用バインダーをテフロン(登録商標)製の皿に入れた後、65℃で2時間乾燥し、さらに75℃減圧下で15時間乾燥した。固化した樹脂を約1.5g計り取り、正確な質量を測定したのち、電解液(四フッ化ホウ酸リチウムをエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒(質量比1/1)に1モル/リットルの濃度で溶解させたもの)に50℃雰囲気下で24時間浸漬した。その後、樹脂の表面に付着した電解液を拭き取り、電解液浸漬後の樹脂の質量を測定し、その増加分を電解液膨張率とした。以下の基準で評価した。
◎:電解液膨張率が10%未満である。
○:電解液膨張率が10%以上15%未満である。
△:電解液膨張率が15%以上25%未満である。
×:電解液膨張率が25%以上である。
(5)二次電池電極用バインダー(水性分散体)の造膜性
得られた二次電池電極用バインダーを銅箔に乾燥後の接着層の厚みが3μmになるようにマイヤーバーでコートし、160℃で90秒間乾燥させ、外観を目視で観察した。以下の基準で評価した。
○:乾燥後の塗布面が均一に造膜できた。
×:乾燥後の塗布面が均一でなく、あるいは造膜できなかった。
(6)負極電極の造膜性
実施例参考例5〜8、比較例3〜4で得られた銅箔上に形成した二次電池負極電極をカッターナイフで切り出し、切り出した際に脱落した電極の有無により、以下の基準で評価した。なお、電極層の脱落割合は、下記の基準に基づいて算出した。
電極の脱落率(%)=(脱落した電極長さ/切り出した電極長さ)×100
○:切り出した電極に脱落部分がなかった。
△:切り出した電極に脱落部分があり、電極の脱落率が10%未満であった。
×:切り出した電極に脱落部分があり、電極の脱落率が10%以上であった。
(7)負極電極の剥離強度
実施例参考例5〜8、比較例3〜4で得られた銅箔上に形成した二次電池負極電極を幅2.5cm、長さ10cmに切り出し、測定サンプルとし、銅箔側を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。測定サンプルの活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した(180度剥離試験を行い測定した)。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を剥離強度とした。
(8)負極電極の初期充放電効率
実施例参考例5〜8、比較例3〜4で得られた銅箔上に形成した二次電池負極電極を、面積が2cmの円形になるように切断し、集電体上の塗膜をプレスにて電極密度が1.15g/cmとなるように成形し、コバルト酸リチウム電極(宝泉社製)と組み合わせるとともに両極の間にセパレーターを挟んでコイン型電池を作製し、充放電試験を行った。25℃環境下、0.2C−4.1V定電流定電圧充電後、0.2C−2.5V定電流放電を行い、初期充放電特性の評価を行った。初期充放電効率を下記の基準に基づいて算出した。
初期充放電効率(%)=(0.2C放電容量/0.2C充電容量)×100
(9)初期充放電試験後の負極電極接着性
(8)の方法で初期充放電試験を行った後、電池を解体して負極電極を取り出した。電極表面に付着した電解液を拭き取り、活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がした。その後、電極表面に、あらかじめ2mm幅で100升の碁盤目線を引いていた無延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、品目SC)(厚み50μm)をのせ、100升中の剥離がなかった升目を数えることにより活物質層の剥離割合を求め、以下の基準で評価した。
○:全く活物質層の剥離がなかった。
△:わずかに(10%未満の)活物質層の剥離があった。
×:10%以上の活物質層の剥離があった。
(10)正極電極の造膜性
実施例1015参考例9〜12、比較例5〜6で得られたアルミ箔上に形成した電極をカッターナイフで切り出し、切り出した際に脱落した電極の有無により、以下の基準で評価した。なお、電極層の脱落割合は、下記の基準に基づいて算出した。
電極の脱落率(%)=(脱落した電極長さ/切り出した電極長さ)×100
○:切り出した電極に脱落部分がなかった。
△:切り出した電極に脱落部分があり、電極の脱落率が10%未満であった。
×:切り出した電極に脱落部分があり、電極の脱落率が10%以上であった。
(11)正極電極の剥離強度
実施例1015参考例9〜12、比較例5〜6で得られたアルミ箔上に形成した電極を幅2.5cm、長さ10cmに切り出し、測定サンプルとし、アルミ箔側を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。測定サンプルの活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した(180度剥離試験を行い測定した)。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を剥離強度とした。
(12)正極電極の初期充放電効率
実施例1015参考例9〜12、比較例5〜6で得られたアルミ箔上に形成した二次電池正極電極を用い、面積が2cmの円形になるように切断し、集電体上の塗膜をプレスにて電極密度が2.30g/cmとなるように成形し、黒鉛電極(宝泉社製)と組み合わせるとともに両極の間にセパレーターを挟んでコイン型電池を作製し、充放電試験を行った。25℃環境下、0.2C−4.1V定電流定電圧充電後、0.2C−2.5V定電流放電を行い、初期充放電特性の評価を行った。初期充放電効率を下記の基準に基づいて算出した。
初期充放電効率(%)=(0.2C放電容量/0.2C充電容量)×100
(13)初期充放電試験後の正極電極接着性
(12)の方法で初期充放電試験を行った後、電池を解体して正極電極を取り出した。電極表面に付着した電解液を拭き取り、活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がした際の電極の状態を観察した。以下の基準で評価した。なお、活物質層の剥離割合は、上記(9)と同様の方法により求めた。
○:全く活物質層の剥離がなかった。
△:わずかに(10%未満の)活物質層の剥離があった。
×:10%以上の活物質の剥離があった。
調製例1
高分子量ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP、BC3H)を窒素ガス通気下、常圧において、360℃×80分の熱減成処理を施して得られたプロピレン樹脂80部を冷却管付き三ツ口フラスコに入れ、窒素置換し、180℃まで加熱昇温し溶融させた後、無水マレイン酸10部を加え、均一に混合した。そこに、ジクミルパーオキサイド0.5部を溶解させたキシレン10部を滴下し、180℃で3時間撹拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、樹脂をアセトンで数回洗浄することにより未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(プロピレンと無水マレイン酸のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂)「P−1」を得た。
調製例2〜4
ポリプロピレン樹脂の種類、無水マレイン酸の添加量、および熱減成処理条件を変更した以外は調製例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂(プロピレンと無水マレイン酸のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂)「P−2」、酸変性ポリオレフィン樹脂(プロピレンと無水マレイン酸のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂)「P−4」を得た。またポリプロピレン樹脂の代わりに、高分子量ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLD、LC522)を用い、無水マレイン酸の添加量、および熱減成処理条件を変更した以外は調製例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂(エチレンと無水マレイン酸のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂)「P−3」を得た。
調製例5
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸32.0gとジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体と無水マレイン酸のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂)「P−5」を得た。
以下の実施例、比較例において用いた酸変性ポリオレフィン樹脂の組成、特性値を表1に示す。
Figure 0005361753
参考例1
攪拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例1で得られた「P−1」を100g、塩基性化合物としてトリエチルアミンを12g、有機溶剤としてイソプロパノールを100g、蒸留水を288g仕込み、密閉した後、200rpmで攪拌翼しながら、160℃(内温)まで加熱した。攪拌下、160℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り室温まで攪拌下で自然冷却した。冷却後、300メッシュのスレンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したところ、やや黄色で半透明の均一な「P−1」の水性分散体(固形分濃度20質量%)を得た。濾過後、フィルター上に残った未分散物の樹脂はなかった。よって、水性分散化の収率は100%であった。また、水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.050μmであった。
得られた水性分散体について、接着性、耐水性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
Figure 0005361753
参考例2
攪拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例2で得られた「P−2」を75g、塩基性化合物として2−ジメチルアミノエタノールを5g、有機溶剤としてテトラヒドロフランを200g、蒸留水を220g仕込み、密閉した後、200rpmで攪拌翼しながら、130℃(内温)まで加熱した。攪拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却した。冷却後60℃に保持し、攪拌および減圧下で脱溶剤を行い、必要に応じて水を添加し、媒体を水に置換した。次に、300メッシュのスンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)したところ、やや黄色がかった乳白色の均一な「P−2」の水性分散体(固形分濃度35質量%)を得た。濾過後、フィルター上に残った未分散物の樹脂はなかった。よって、水性分散化の収率は100%であった。また、水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.10μmであった。
得られた水性分散体について、接着性、耐水性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
実施例
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例1で得られた「P−1」を120g、塩基性化合物(B)としてN,N−ジメチルエタノールアミンを12.6g、有機溶剤としてイソプロパノールを120g、蒸留水を347g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌しながら160℃(内温)まで加熱した。撹拌下、160℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り室温まで撹拌下で自然冷却し、やや黄色で半透明の均一な水性分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
前記水性分散体295g、蒸留水50gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約100gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、やや黄色で半透明の均一な水性分散体(固形分濃度25質量%)からなる二次電池電極用バインダー「E−1」を得た。二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.074μmであった。
得られた二次電池電極用バインダーについて、接着性、耐水性の評価を実施し、さらに、電解液膨潤性、造膜性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
実施例
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例2で得られた「P−2」を90g、塩基性化合物(B)としてN,N−ジメチルエタノールアミンを8g、有機溶剤としてテトラヒドロフランを240g、蒸留水を260g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約160gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体(固形分濃度25質量%)からなる二次電池電極用バインダー「E−2」を得た。二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.099μmであった。
得られた二次電池電極用バインダーについて、接着性、耐水性の評価を実施し、さらに、電解液膨潤性、造膜性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
参考
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例3で得られた「P−3」を用いた以外は、実施例と同様の方法で、乳白色の均一な水性分散体(固形分濃度25質量%)からなる二次電池電極用バインダー「E−3」を得た。二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.15μmであった。
得られた二次電池電極用バインダーについて、接着性、耐水性の評価を実施し、さらに、電解液膨潤性、造膜性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
参考
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例5で得られた「P−5」を用いた以外は、実施例と同様の方法で、乳白色の均一な水性分散体(固形分濃度25質量%)からなる二次電池電極用バインダー「E−4」を得た。水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.15μmであった。
得られた二次電池電極用バインダーについて、接着性、耐水性の評価を実施し、さらに、電解液膨潤性、造膜性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
実施例
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例2で得られた「P−2」を90g、塩基性化合物(B)としてN,N−ジメチルエタノールアミンを8g、有機溶剤としてテトラヒドロフランを240g、蒸留水を260g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約240gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体(固形分濃度50質量%)からなる二次電池電極用バインダー「E−11」を得た。二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.075μmであった。
得られた水性分散体について、接着性、耐水性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
比較例1
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、調製例4で得られた「P−4」を45g、塩基性化合物(B)としてN,N−ジメチルエタノールアミンを5g、有機溶剤としてテトラヒドロフランを135g、蒸留水を115g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌翼しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、140℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却したが、固形分濃度が15質量%である酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と水性媒体の混合物となり、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が水性媒体中に分散した水性分散体は得られなかった。
比較例2
比較例1で得られた酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と水性媒体の混合物290g、蒸留水60gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約180gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分は増粘したため、水で希釈して固形分濃度を4質量%とした後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体からなる二次電池電極用バインダー「E−5」を得た。二次電池電極用バインダー中の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)粒子の数平均粒子径は0.065μmであった。
得られた二次電池電極用バインダーについて、接着性、耐水性の評価を実施し、さらに、電解液膨潤性、造膜性の評価を実施し、これらの評価結果を表2に示した。
実施例
負極活物質として黒鉛粉末(日本黒鉛工業社製、CGC−20)と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)と、二次電池電極用バインダー「E−11」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるようにまた、それぞれの電極バインダーの固形分濃度が45質量%になるように配合し、十分に混練することにより二次電池電極用ペーストを得た。
得られたペーストを厚さ18μmの銅箔の片面に、乾燥後の厚さが約80μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、銅箔上に活物質層を形成して二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
Figure 0005361753
実施例
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−11」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
実施例
実施例で得られた二次電池電極用バインダー「E−1」にカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液を添加して、二次電池電極用バインダー「E−6」を得た。二次電池電極用バインダー「E−6」中のCMCの固形分濃度は1.6質量%であった。
そして、負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−6」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように、変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
実施例
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−6」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
実施例
実施例で得られた二次電池電極用バインダー「E−2」にカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液を添加して、二次電池電極用バインダー「E−7」を得た。二次電池電極用バインダー「E−7」中のCMCの固形分濃度は1.6質量%であった。
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−7」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
実施例
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−7」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
参考
参考で得られた二次電池電極用バインダー「E−3」にカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液を添加して、二次電池電極用バインダー「E−8」を得た。二次電池電極用バインダー「E−8」中のCMCの固形分濃度は1.6質量%であった。
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−8」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
参考
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−8」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
参考
参考で得られた二次電池電極用バインダー「E−4」にカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液を添加して、二次電池電極用バインダー「E−9」を得た。二次電池電極用バインダー「E−9」中のCMCの固形分濃度は1.6質量%であった。
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−9」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
参考
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−9」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
比較例3
比較例2で得られた二次電池電極用バインダー「E−5」にカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液を添加して、二次電池電極用バインダー「E−10」を得た。二次電池電極用バインダー「E−10」中のCMCの固形分濃度は0.8質量%であった。
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−10」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
比較例4
負極活物質として黒鉛粉末と、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−10」とを、それぞれの固形分の質量が表3に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例と同様にして二次電池負極電極を得た。
得られた負極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表3に示した。
実施例10
正極活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシード C−10N)と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)と、実施例で得られた二次電池電極用バインダー「E−11」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように、また、それぞれ電極ペーストの固形分濃度が50質量%になるように配合し、十分に混練することにより二次電池電極用ペーストを得た。
得られたペーストを厚さ18μmのアルミ箔の片面に、乾燥後の厚さが約80μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、アルミ箔上に活物質層を形成して二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の正極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
Figure 0005361753
実施例11
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−11」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
実施例12
正極活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシード C−10N)と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)と、実施例で得られた二次電池電極用バインダー「E−6」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように、また、それぞれ電極ペーストの固形分濃度が50質量%になるように配合し、十分に混練することにより二次電池電極用ペーストを得た。
得られたペーストを厚さ18μmのアルミ箔の片面に、乾燥後の厚さが約80μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、アルミ箔上に活物質層を形成して二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
実施例13
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−6」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は、実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の負極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
実施例14、実施例15
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−7」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の正極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
参考参考10
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−8」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の正極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
参考11参考12
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−9」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の正極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
比較例5、比較例6
正極活物質としてコバルト酸リチウムと、導電材としてアセチレンブラックと、二次電池電極用バインダー「E−10」とを、それぞれの固形分の質量が表4に記載の質量%になるように変更した以外は実施例10と同様にして二次電池正極電極を得た。
得られた正極電極についての造膜性、剥離強度、初期充放電効率、電池特性試験後の正極電極接着性の評価や測定を実施し、これらの結果を表4に示した。
表2に示すように、参考例1、2では、不揮発性水性分散化助剤を含有しない酸変性ポリプロピレン樹脂の水性分散体を得ることができた。その水性分散体は、微細な粒子径を形成し、接着性、耐水性に優れていた。
一方で、比較例1においては、ポリオレフィン樹脂の固形分濃度が15質量%では水性分散体を得ることができなかった。
表2に示すように、実施例2、参考例3〜4で得られた二次電池電極用バインダーは、製造性よく得ることができ、接着性、耐水性に優れており、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価、質量平均分子量が適切な範囲のものであったため、造膜性が良好であり、耐膨潤特性にも優れたものであった。
比較例2においては、比較例1で得られた酸変性ポリオレフィン樹脂と水性媒体の混合物の固形分濃度を低くすることで水性分散体を得ることはできた。しかしながら、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が低いものであったため、得られた二次電池電極用バインダーは、接着性、耐水性に劣るものであり、造膜性にも劣るものであった。
表3、4に示すように、実施例15、参考例5〜12で得られた二次電池電極は、電極の造膜性が良好で、剥離強度の値が大きいものであった。特にバインダー量を低減しても電極として使用し得る十分な接着性を示し、電池性能の向上に寄与し得るものであった。また、該二次電池電極を用いて得られた電池においては初期充放電効率に優れ、かつ、充放電試験後も良好な接着性を有しており、サイクル特性に優れるものであった。
一方、比較例3〜6で得られた二次電池電極は、用いた二次電池電極用バインダーにおける酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が低いものであったため、電極の造膜性に劣っており、剥離強度の値が小さいものであった。そして、該二次電池電極を用いて得られた電池においては、初期充放電効率に劣り、かつ、充放電試験後の接着性においても劣るものであった。

Claims (8)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体からなる二次電池電極用バインダーであって、
    酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体が、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物および水性媒体を含有し、
    酸変性ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸成分とオレフィン成分とを含有し、
    酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の100モル%がプロピレンであり、
    酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が10〜70mgKOH/g、
    酸変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が20,000〜100,000である
    ことを特徴とする二次電池電極用バインダー。
  2. 不揮発性水性分散化助剤を含有しないことを特徴とする請求項1記載の二次電池電極用バインダー。
  3. 酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の二次電池電極用バインダー。
  4. 酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分が、無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー。
  5. 酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に水溶性ポリマーを添加したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー。
  6. 水溶性ポリマーが、セルロース系ポリマーであることを特徴とする請求項記載の二次電池電極用バインダー。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の二次電池電極用バインダーを用いて形成された二次電池電極。
  8. 請求項記載の二次電池電極を用いて形成された二次電池。
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