JP2014112480A - 非水電解液電池用セパレータ - Google Patents

非水電解液電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、セパレータを構成する多孔体と、多孔膜との密着性に優れ、発熱の際にリチウムイオン電池の短絡を防止可能なレベルの耐熱性を備えた非水電解液電池用セパレータを提供することである。
【解決手段】本発明は、多孔体(A)の表面に、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を用いて形成された多孔膜(B)を有することを特徴とする非水電解液電池用セパレータに関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばリチウムイオン電池をはじめとする非水電解液電池の製造に使用可能なセパレータに関する。
リチウムイオン電池をはじめとする非水電解液電池の製造に使用するセパレータとしては、一般に、ポリオレフィン樹脂等を用いて得られる多孔体を使用することが多い。リチウムイオン電池は、通常、電解液中のイオンが前記セパレータを構成する孔を介して移動することによって、電池としての機能を発揮する。
一方、前記リチウムイオン電池の出力が増大するなかで、前記リチウムイオン電池には、異常発熱に起因した発火等を引き起こす可能性があるという問題が懸念されている。
前記発火等を防止する方法としては、例えば前記リチウムイオン電池が発熱した際に、前記セパレータの微多孔がその熱の影響によって無孔化しうるセパレータを使用する方法が知られている。これにより、電解液内におけるイオンの伝導を停止し、さらなる発熱や発火を防止することが期待されている。
しかし、前記セパレータは、その熱の影響によって著しい収縮を引き起こし、その結果、電解液内におけるイオンの伝導を停止することができず、リチウムイオン電池の短絡(ショート)を引き起こす可能性を有していた。
熱収縮を引き起こしにくいセパレータとしては、ポリオレフィン樹脂等を用いて得られる多孔体の表面に、多孔状の耐熱層を設けたものが知られており、例えば、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔膜の少なくとも片面に、無機粒子と樹脂製バインダとを含む多孔層を備えた多層多孔膜であって、前記樹脂製バインダが、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体と、不飽和カルボン酸単量体と、架橋性単量体とを原料単位として含む共重合体であることを特徴とする多層多孔膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ポリオレフィン樹脂等を用いて得られる多孔状のセパレータの表面と、耐熱層との密着性が十分でないため、その界面で経時的な剥離を引き起こし、その結果、異常発熱の際にリチウムイオン電池の短絡(ショート)を引き起こす可能性があった。
特開2011−000832号公報
本発明が解決しようとする課題は、セパレータを構成する多孔体と、多孔膜との密着性に優れ、発熱の際にリチウムイオン電池の短絡(ショート)を防止可能なレベルの耐熱性を備えた非水電解液電池用セパレータを提供することである。
本発明者等は前記課題を解決すべく検討した結果、耐熱性を付与する多孔膜として、所定の樹脂膜を使用することによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、多孔体(A)の表面に、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を用いて形成された多孔膜(B)を有することを特徴とする非水電解液電池用セパレータに関するものである。
本発明の非水電解液電池用セパレータであれば、多孔体(A)と、耐熱性の多孔膜(B)との密着性に優れることから、長期間にわたり、リチウムイオン電池の短絡(ショート)を防止することが可能である。
本発明の非水電解液電池用セパレータは、多孔体(A)の表面に、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を用いて形成された多孔膜(B)を有する。具体的には、前記非水電解液電池用セパレータは、従来のセパレータとして知られる前記多孔体(A)の表面の一部または全部に、耐熱性を付与することを目的として、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を用いて形成された多孔膜(B)が積層されたものである。
前記非水電解液電池用セパレータは、全体として10μm〜500μm程度の厚さを有するものであることが好ましい。
前記非水電解液電池用セパレータは、前記多孔体(A)の表面の一部または全部に、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を塗布し、乾燥することによって製造することができる。
前記非水電解液電池用セパレータの製造に使用する多孔体(A)としては、従来のセパレータとして知られるものを使用することができる。また、前記多孔体(A)としては、電解液中のイオンが伝導できる程度の連通孔を有するものを使用することができる。
前記多孔体(A)としては、ポリオレフィン樹脂を用いて形成された多孔体を使用することが好ましい。なお、前記多孔体(A)は、好ましくは0.001μm〜10μm、より好ましくは0.01μm〜1μmの平均孔径を有するものを使用することができる。また、前記孔の数は、例えばポリオレフィン樹脂を用いて形成された多孔体(A)であれば、後述する製造方法によって製造した場合におのずと形成される数であることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂を用いて形成された多孔体(A)は、前記ポリオレフィン樹脂及び必要に応じてその他の添加剤を含有する樹脂組成物を用いて製造することができる。
前記多孔体(A)の製造に使用可能なポリオレフィン樹脂としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を重合して得られる樹脂を使用することができる。
具体的には、前記ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等を使用することができ、非水電解液電池用セパレータの耐熱性をより一層向上する観点から、JIS K 7112にしたがって測定した密度が0.93g/cm以上である高密度ポリエチレン等のポリエチレンと、ポリプロピレンとを組み合わせ使用することが好ましい。
また、前記多孔体(A)は、前記ポリオレフィン樹脂以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂、無機充填剤、フェノール酸化防止剤、リン酸化防止剤、イオウ酸化防止剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等を使用することができる。
前記添加剤は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.5質量%〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
前記多孔体(A)は、例えば前記ポリオレフィン樹脂と、可塑剤とを溶融混練したものを、シートまたはフィルムの所定の形状に成形し、必要に応じて延伸することによって成形体を製造した後、前記成形体から前記可塑剤を除去することによって製造することができる。
前記ポリオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練する方法としては、例えば、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の混練装置に、ポリオレフィン樹脂を投入し、それを加熱溶融させながら前記可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等を使用することができる。なかでも、流動パラフィンを使用することが、前記ポリオレフィン樹脂のうち前記ポリエチレンやポリプロピレンとの相溶性が高いため好ましい。
前記可塑剤は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1質量%〜90質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記溶融混練して得られた物を成形する方法としては、例えば前記溶融混練して得られた物を、Tダイ等を介してシートまたはフィルム状に押出し、冷却する方法が挙げられる。
前記方法で得たシートまたはフィルム状の成形体は、必要に応じて一軸延伸または二軸延伸してもよい。特に、二軸延伸することが、多孔体(A)の強度をより一層向上するうえで好ましい。
前記方法で得られた成形体から前記可塑剤を除去し多孔体(A)を形成する方法としては、例えば、成形体を抽出溶媒に浸漬する方法が挙げられる。前記浸漬後、前記成形体を乾燥することによって、可塑剤が除去され多孔構造を形成した多孔体(A)を製造することができる。
前記抽出溶媒としては、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、可塑剤に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。
具体的には、前記抽出溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
次に、前記方法で得られた多孔体(A)の表面の一部または全部に積層しうる多孔膜(B)について説明する。
前記多孔膜(B)は、前記多孔体(A)の表面の一部または全部に、前記マレイン酸変性アクリル樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を塗布し、乾燥することによって形成することができる。前記多孔膜(B)は、耐熱性に優れた非水電解液電池用セパレータを製造するうえで使用する。
前記多孔膜(B)の厚さは、好ましくは0.1μm〜100μmであることが好ましい。
前記多孔膜(B)の形成に使用可能な樹脂組成物は、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有するものである。
前記樹脂組成物は、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)が、水性媒体や有機溶剤等の溶媒に分散等したものであることが、良好な塗工作業性等を維持するうえで好ましく、水性媒体に分散したものを使用することが、特にポリオレフィン樹脂を用いて形成される多孔体に対する密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)としては、(無水)マレイン酸と各種オレフィンとを含有する単量体混合物をラジカル重合して得られるものを使用することができる。ここで、前記「(無水)マレイン酸」はマレイン酸及び無水マレイン酸の一方または両方を指す。
前記(無水)マレイン酸は、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)の製造に使用する単量体混合物の全量に対して、9質量%〜26質量%の範囲で使用することが好ましく、13質量%〜22質量%の範囲で使用することがより好ましい。
具体的には、前記(無水)マレイン酸の使用量は、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)の酸価が好ましくは100〜300、より好ましくは150〜250となる範囲で使用することが好ましい。
前記酸価は、ポリオレフィン樹脂の変性に使用する(無水)マレイン酸が有するカルボキシル基由来であることが好ましい。前記カルボキシル基は、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)を水性媒体中に分散等して使用する場合に、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)に対して良好な水分散性を付与しうる。
そのような場合、前記カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)の有するカルボキシル基は、その一部または全部が塩基性化合物によって中和され、カルボキシレート基を形成していてもよい。
前記塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等の金属塩基化合物等を使用することができる。
また、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)としては、密着性をより一層向上するうえで、15,000〜200,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、30,000〜100,000のものを使用することが好ましい。なお、前記重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された値を指す。
また、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)は、例えばポリオレフィン樹脂を製造する工程(1)、ならびに、前記工程(1)で得たポリオレフィン樹脂と、(無水)マレイン酸等を含有する重合性不飽和単量体とを反応させる工程(2)を経ることによって製造することができる。
前記工程(1)は、例えば無溶剤または有機溶剤中で、オレフィンをラジカル重合することによって製造することができる。
前記オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を使用することができ、エチレン、プロピレン及び1−ブテンを使用することが好ましい。
前記オレフィンのラジカル重合は、例えば反応圧力約15bar〜60bar、約60℃〜100℃の反応温度条件で行うことができる。
前記工程(1)で得られたポリオレフィン樹脂としては、前記オレフィンが重合し形成したホモポリマーや、ランダムまたはブロック共重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、天然ゴム、合成イソプロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体を使用することが、多孔体(A)に対する密着性をより一層向上できるためより好ましい。
次に、前記工程(2)は、前記工程(1)で得たポリオレフィン樹脂と、(無水)マレイン酸を含有する重合性不飽和単量体とを反応させる工程である。
具体的には、前記工程(1)で得た前記ポリオレフィン樹脂の有機溶剤溶液と、(無水)マレイン酸を含有する重合性不飽和単量体とを混合し、前記ポリオレフィン樹脂の軟化温度または融点以上である、概ね120℃〜200℃の温度に加熱し、ラジカル重合反応及び水素引き抜き反応させる工程である。
前記重合性不飽和単量体としては、(無水)マレイン酸を必須とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等を組み合わせ使用することができ、(メタ)アクリル酸n−ブチルを使用することが、ポリオレフィン樹脂中に(無水)マレイン酸由来の構造を導入しやすくなるため好ましい。なお、前記「(メタ)アクリル酸」の表記は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか一方または両方を指す。
前記(無水)マレイン酸以外の重合性不飽和単量体は、前記(無水)マレイン酸を含有する重合性不飽和単量体の全量に対して、5質量%〜40質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記有機溶剤溶液を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、シクロへキサノン、n−酢酸ブチル、酢酸エチル、イソブタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
また、前記工程(1)及び(2)では、必要に応じて有機過酸化物を使用することができる。
前記有機過酸化物としては、炭素原子を骨格に有する過酸化物、たとえばケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アルキルパーオキシカーボネート、アゾビス系触媒、過硫酸化合物等を使用することができる。
前記方法で得られたマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)は、溶媒を含まないものであってもよいが、有機溶剤を溶媒として含有するものや、水性媒体を溶媒として含有するものであってもよい。
前記多孔膜(B)の製造に使用する樹脂組成物に含まれる無機充填剤(b2)は、多孔膜(B)に優れた耐熱性を付与するうえで使用する。
前記無機充填剤(b2)としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、焼成カオリン等を使用することができる。
なかでも、焼成カオリンまたはアルミナを使用することが、より一層、耐熱性に優れた多孔膜(B)を形成するうえで好ましい。
前記無機充填剤(b2)は、前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)との質量割合[(b1)/(b2)]が1/1000〜1/10となる範囲で使用することが、イオンを伝導可能な程度の連通孔を備えた多孔膜(B)を形成し、かつ耐熱性に優れた多孔膜(B)を形成するうえで好ましい。
前記多孔膜(B)の形成に使用可能な前記樹脂組成物は、前記方法で得たマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び水等の溶媒を含有する混合物と、前記無機充填剤(b2)とを混合することによって製造することができる。その際、必要に応じてボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等を使用してもよい。
前記多孔体(A)の表面に、前記樹脂組成物を用いて多孔膜(B)を形成する方法としては、例えば、前記多孔体(A)の表面の一部または全部に、前記樹脂組成物を塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
前記樹脂組成物を塗布する方法としては、例えばグラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
また、前記乾燥方法としては、例えば40℃〜120℃程度の温度で乾燥する方法が挙げられる。
前記方法で得た本発明の非水電解液電池用セパレータは、例えばリチウムイオン電池を製造する際に好適に使用することができる。
前記非水電解液電池用セパレータの孔が閉鎖される温度は、前記多孔体(A)や多孔膜(B)の厚さや組成等によって異なるが、非水電解液電池の異常発熱や発火を防止する観点から110℃〜150℃となるように調整することが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例によって、より具体的に説明する。
〔合成例1〕
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた7Lの反応容器中に、エチレンとプロピレンと1−ブテンとの共重合体(エチレン/プロピレン/1-ブテンの共重合比率(質量)70/20/10、重量平均分子量60,000)1000g、チバガイギー社製のIrganox1010{ペンタエリスチリルーテトラキス〔3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕}(以下、Irganox1010と省略。)1g、チバガイギー社製のIrafos168〔トリス(2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル)ホスファイト〕(以下、Irgafos168と省略。)1g、及び、n−酢酸ブチルを1000gを入れ、窒素雰囲気下で、120℃に保たれた油浴中で溶解させた後、攪拌を行いながら、メタクリル酸n−ブチル 400g、無水マレイン酸300g、及び、ジ−ターシャリーブチルパーオキサイド10gを添加し、反応容器内を120℃に保ったまま3時間反応を行った。
次いで、前記反応容器の温度を50℃に下げ、25質量%のアンモニア水溶液400gと純水400gとの混合物を約15分かけて徐々に添加し中和した。
前記反応容器内の温度を50℃に保ち、更に純水を2000g添加した後、反応容器の温度を60℃に上げ、アスピレーターでフラスコ内を減圧しながらn−酢酸ブチル、重合触媒残等を除去(脱溶剤)した。
脱溶剤後、反応容器を冷却し、純水、及び、25質量%のアンモニア水溶液と純水とを1:1の質量比で含有する混合物を用いて不揮発分を22重量%、pH7に調整することで、酸価200のマレイン変性ポリオレフィン樹脂(b1−1)の水分散体を得た。
次に、前記で得たマレイン変性ポリオレフィン樹脂(b1−1)の水分散体21質量部と、焼成カオリン(カオリナイトを主成分とする湿式カリオンを高温処理したもの)を79重量部と、純水150質量部とを混合し、均一に分散させることによって塗布液(I)を得た。
〔合成例2〕
前記エチレンとプロピレンと1−ブテンとの共重合体(エチレン/プロピレン/1-ブテンの共重合比率(質量)70/20/10、重量平均分子量60,000の)の代わりに、エチレンとプロピレンと1−ブテンとの共重合体(エチレン/プロピレン/1-ブテンの共重合比率(質量)70/20/10、重量平均分子量15500)を使用すること以外は、合成例1と同様の方法で、不揮発分25質量%で酸価200のマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1−2)の水分散体を得た。
次に、前記で得たマレイン変性ポリオレフィン樹脂(b1−2)の水分散体21質量部と、焼成カオリン(カオリナイトを主成分とする湿式カリオンを高温処理したもの)79重量部と、純水150質量部とを混合し、均一に分散させることによって塗布液(II)を得た。
〔合成例3〕
前記メタクリル酸n−ブチル400g及び無水マレイン酸300gの代わりに、メタクリル酸n−ブチル490g及び無水マレイン酸210gを使用すること以外は、合成例1と同様の方法で、不揮発分25質量%で酸価140のマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1−3)の水分散体を得た。
次に、前記で得たマレイン変性ポリオレフィン樹脂(b1−3)の水分散体21質量部と、焼成カオリン(カオリナイトを主成分とする湿式カリオンを高温処理したもの)を79重量部と、純水150質量部とを混合し、均一に分散させることによって塗布液(III)を得た。
〔合成例4〕
前記メタクリル酸n−ブチル400g及び無水マレイン酸300gの代わりに、メタクリル酸n−ブチル310g及び無水マレイン酸390gを使用すること以外は、合成例1と同様の方法で、不揮発分25質量%で酸価260のマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1−4)の水分散体を得た。
次に、前記で得たマレイン変性ポリオレフィン樹脂(b1−4)の水分散体21質量部と、焼成カオリン(カオリナイトを主成分とする湿式カリオンを高温処理したもの)を79重量部と、純水150質量部とを混合し、均一に分散させることによって塗布液(IV)を得た。
[製造例1(多孔体の製造)]
粘度平均分子量(Mv)70万であるポリエチレン47質量部と、粘度平均分子量(Mv)25万であるポリエチレン46質量部と、粘度平均分子量(Mv)40万であるポリプロピレン7質量部とを、タブラーブレンダーを用いてドライブレンドし混合物(1)を得た。
得られた混合物(1)と、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%とを混合し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることで混合物(2)を得た。
得られた混合物(2)を含む容器内を窒素で置換した後、それを窒素雰囲気下で、フィーダーを介して二軸押出機に供給した。
また、可塑剤として流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-52/s)を、前記二軸押出機のシリンダーのプランジャーポンプを用い、前記フィーダーから供給された混合物(2)に注入した。
それらを、設定温度200℃、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hの条件で溶融混練し、押出しを行った。なお、可塑剤の使用量は、前記二軸押出機を用いて押し出された溶融混練物の全量に対して、前記可塑剤が65質量%存在するよう調整した。
次いで、前記二軸押出機を用いて押し出された溶融混練物を、Tダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、ポリオレフィン組成物からなる厚さ2000μmのシート状物を得た。
次に、前記シート状物を、同時二軸テンター延伸機へ導き、MD方向に7倍、TD方向に7倍に同時二軸延伸することによって、延伸シート状物を得た。この時、同時二軸テンターの設定温度は125℃であった。
次に、前記延伸シート状物をメチルエチルケトン槽に導き、前記延伸シート状物に含まれる流動パラフィンを抽出除去した後、メチルエチルケトンを乾燥除去することによって、多孔シートを得た。
次に、前記多孔シートをTDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定温度は133℃、TD緩和率0.80とした。その結果、厚さ16μm、縦50cm及び横50cmで、気孔率40%、透気度160秒/100ccである多孔体(A−1)を得た。
[実施例1]
合成例1で得た塗布液(I)を、前記多孔体(A−1)の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。次に、前記塗布面を60℃で乾燥し水を除去することによって、前記塗布液(I)を用いて形成された厚さ6μmの多孔膜(B−1)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[実施例2]
前記塗布液(I)の代わりに、合成例2で得た塗布液(II)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B−2)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[実施例3]
前記塗布液(I)の代わりに、合成例3で得た塗布液(III)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B−3)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[実施例4]
前記塗布液(I)の代わりに、合成例4で得た塗布液(IV)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B−4)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[実施例5]
前記焼成カオリンの使用量を79質量部から158質量部に変更すること以外は、合成例1と同様の方法で塗布液(V)を得た。
また、前記塗布液(I)の代わりに、前記塗布液(V)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B−5)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[比較例1]
前記塗布液(I)の代わりに、ポリビニルアルコール樹脂(重合度約1700 ケン化度98〜99mol%)22質量%水溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B’−1)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[比較例2]
前記塗布液(I)の代わりに、アクリル樹脂(重量平均分子量10万以上、固形分酸価20)22質量%水溶液を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で厚さ6μmの多孔膜(B’−2)を備えた非水電解液電池用セパレータを得た。
[密着性の評価方法]
前記方法で得た非水電解液電池用セパレータの多孔膜の表面に、1mm間隔で、縦10本及び横10本のクロスカットを作成した。次いで、その表面に、セロハン粘着テープを貼付し、押圧した後、前記セロハン粘着テープを多孔膜表面に対して90度方向に引っ張ることでそれを剥離した。その際、多孔体(A−1)の表面に残存した、クロスカットされた多孔膜の数に基づいて、密着性を評価した。
[耐熱性の評価方法]
前記方法で得た非水電解液電池用セパレータの表面の面積を測定した。次いで、前記非水電解液電池用セパレータを、乾熱オーブンを用いて200℃で30分間加熱した。
加熱終了後、前記非水電解液電池用セパレータを室温まで冷却し、その面積を測定した。前記加熱前後の非水電解液電池用セパレータの面積と、下記計算式に基づいて、面積収縮率を算出した。
面積収縮率(%)=[(加熱後の非水電解液電池用セパレータの面積)/(加熱前の非水電解液電池用セパレータの面積)]×100
[評価基準]
◎;面積収縮率が5%未満
○;面積収縮率が5以上10%未満
△;面積収縮率が10%以上15%未満
×;面積収縮率が15%以上
Figure 2014112480

Claims (4)

  1. 多孔体(A)の表面に、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)及び無機充填剤(b2)を含有する樹脂組成物を用いて形成された多孔膜(B)を有することを特徴とする非水電解液電池用セパレータ。
  2. 前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)が、15,000〜200,000の範囲の重量平均分子量を有し、かつ、100〜300の範囲の酸価を有するものである請求項1に記載の非水電解液電池用セパレータ。
  3. 前記マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(b1)と前記無機充填剤(b2)との質量割合[(b1)/(b2)]が1/1000〜1/10の範囲である請求項1に記載の非水電解液電池用セパレータ。
  4. 前記多孔体(A)が、ポリオレフィン樹脂によって形成されたものである請求項1に記載の非水電解液電池用セパレータ。
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