JPH0820659A - 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ - Google Patents

微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ

Info

Publication number
JPH0820659A
JPH0820659A JP6180606A JP18060694A JPH0820659A JP H0820659 A JPH0820659 A JP H0820659A JP 6180606 A JP6180606 A JP 6180606A JP 18060694 A JP18060694 A JP 18060694A JP H0820659 A JPH0820659 A JP H0820659A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microporous membrane
molecular weight
low molecular
base polymer
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6180606A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafumi Eguchi
雅史 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP6180606A priority Critical patent/JPH0820659A/ja
Publication of JPH0820659A publication Critical patent/JPH0820659A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度上昇に対する応答性が高く、均一で微細
な多孔構造を有し、リチウム電池用セパレータ等として
有用な微多孔膜を得る。 【構成】 ポリエチレン等の結晶性ベースポリマー10
0重量部に対して、前記ベースポリマーと同系統の低分
子量物質2〜15重量部を含むフィルムを、室温付近程
度の低温で延伸し、次いで加熱下一軸延伸して、微多孔
膜を得る。低分子量物質には、例えば、低分子量ポリエ
チレンワックスなどが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、リチウム電池
等の非水電解液電池用セパレータなどとして有用な微多
孔膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム等の軽金属を負極とする非水電
解液電池は、従来の鉛電池、ニッケル−カドミウム電池
に比べ2〜3倍の高いエネルギー密度を有し、自己放電
が少ないという利点を有している。そのため、これらの
非水電解液電池は、大電流用の一次、二次電池として注
目されている。
【0003】しかし、反応性の高いリチウム等を負極と
した電池は、非水系の電解液を用いなければならないた
め、イオンの移動速度が遅く、大電流を一度に取り出す
ことが困難である。そこで、正極と負極との対向面積を
大きくするため、両極間に微多孔膜をセパレータとして
介在させ、これを渦巻状にしたスパイラルタイプの電極
が採用されている。
【0004】この渦巻状電極体を備えた非水電解液電池
は、高エネルギー密度を有し、大電流を取り出すことが
できる。しかし、このような電池では、外部短絡によ
り、大きな短絡電流が流れてジュール熱が発生し、電池
内の温度が上昇する。そのため、電解液が蒸発したり、
負極の活物質と反応してガスを発生し、このガスにより
電池内の圧力が急上昇する虞れがある。そして、電池内
からガスが噴出したり、反応性の高いリチウムにより可
燃性の電解液に着火し、火災を起こすなどの危険性を有
している。
【0005】そこで、上述の火災や爆発の危険を回避す
るため、次のようなシャットダウン機構が採用されてい
る。すなわち、外部短絡による温度の異常上昇に伴い、
膜面積を保持して膜形状を維持しつつ、セパレータ中の
細孔が閉塞して無孔性となる機構である。このような機
構により、電気抵抗が増大し、電極間の電流量が減少し
て温度上昇が抑制され、火災や爆発等の危険が回避され
る。
【0006】このようなセパレータとして用いられる微
多孔膜には、シャットダウン機構として、外部短絡によ
る温度上昇に伴って、膜形状を維持しつつ、迅速に細孔
を閉塞し、両電極間を隔離して短絡を防止する性質(以
下、このような特性を総称してシャットダウン性とい
う)が必要となり、例えば、(i)細孔の孔径が小さ
く、均一であること、(ii)比較的低温で溶融軟化し
たり孔形状の変化によって細孔が閉塞すること、(ii
i)細孔の閉塞温度で、膜が融解せず、膜形状を維持し
つつ、隔膜としての機能を果たすこと等の種々の特性が
要求される。
【0007】しかし、従来からセパレータとして用いら
れているメルトブロー法で得られたポリオレフィンの不
織布では、十分小さい細孔を均一に持つ微多孔膜が得ら
れないため、未だ十分なシャットダウン性が得られず、
非水電解液電池用セパレータとしてに用いるには、安全
上好ましくない。
【0008】一方、特開平3−205433号公報に
は、ポリオレフィンなどのフィルムを、低温及び加熱下
で一軸方向に二段延伸する微多孔膜の製造法が開示され
ている。この方法で得られた微多孔膜は、比較的均質な
微細孔を有している。しかし、このような微多孔膜は、
膜を構成する樹脂の融点と融解開始温度との差が小さ
く、融解挙動がシャープである。そのため、樹脂の融解
が融点に近接したとき、孔が閉塞するので、温度上昇に
対する応答性、孔の閉塞性が小さく、細孔を迅速に閉塞
できない。
【0009】特開昭60−242035号公報には、ポ
リエチレンに有機溶媒を加えてゲル状シートとし、この
シート中の溶媒を溶剤によって抽出除去する工程と加熱
延伸工程とを組み合わせた微多孔膜の製造法が開示され
ている。この方法で得られた膜は、膜を構成する樹脂
が、融点よりも比較的低い温度で軟化し、孔形態が変化
して孔が閉塞する。しかし、この方法では、ゲル状シー
ト中の有機溶媒を除去することにより、細孔を形成して
いるので、均質な微細孔を得ることができない。更に、
有機溶媒を除去、回収、再利用する工程が必要となるの
で、操作が非常に繁雑であると共に、除去回収等のため
の設備が必要となる。このため、コスト高になるととも
に、大量生産に適用しにくい。
【0010】このように、従来の微多孔膜では、非水電
解液電池用セパレータとして必要なシャットダウン性が
未だ不十分であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、温度上昇に対する応答性が高く、細孔を円滑に閉塞
できる微多孔膜を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、樹脂自体の融点の低
下を抑制しつつ、融解開始温度が低下し、融点と融解開
始温度との差が大きな微多孔膜を得ることにある。
【0013】本発明の更に他の目的は、孔径が小さく、
しかも均一な細孔を有し、上記の様な特性がさらに改善
された微多孔膜を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、温度上昇に伴って生
じる短絡を迅速に防止する上で有用な非水電解液電池用
セパレータを提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、前記の様な優れた特
性を有する微多孔膜を簡便かつ効率よく製造できる方法
を提供することにある。
【0016】
【発明の構成】本発明者らは、微多孔膜の組成に関して
種々検討した結果、ベースポリマーと同系統の低分子量
物質をベースポリマーに添加することにより、温度上昇
に対する応答性が高く、また、融点と融解開始温度との
差が大きい微多孔膜が得られることを見いだし、本発明
に到達した。
【0017】すなわち、本発明は、結晶性ベースポリマ
ーと、このポリマーと同系統の低分子量物質を含み、延
伸された微多孔膜を提供する。前記微多孔膜は、例え
ば、非水電解液電池用セパレータとして有用である。
【0018】このような微多孔膜は、例えば、結晶性ベ
ースポリマーと、このベースポリマーと同系統の低分子
量物質とを含むシート又はフィルムを、延伸することに
より得られる。
【0019】本明細書において、「融点」とは、熱示差
走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121に
規定する測定法に従って、10±1℃/分の昇温速度で
測定したときの融解ピーク温度(Tpm)を意味する。な
お、以下特に断らない限り、ベースポリマーの融点をT
mという。「融解開始温度」とは、熱示差走査熱量計
(DSC)を用い、JIS K 7121に規定する測
定法に従って、10±1℃/分の昇温速度で測定したと
きの融解開始温度を意味する。「フィルム」とは、当業
者においてシートと称されることのある実質的に平らな
全ての構造物をも含む意味に用いる。
【0020】ベースポリマーとしては、結晶性を有し、
成膜可能なポリマーであれば特に限定されず、例えば、
ポリアミド;ハロゲン含有ビニル系ポリマー;ポリエス
テル;オレフィン系ポリマー等が挙げられる。
【0021】ポリアミドには、例えば、ナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロ
ン616等が含まれる。ハロゲン含有ビニル系ポリマー
としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ
る。ポリエステルには、ポリアルキレンテレフタレー
ト、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステルが含まれる。
【0022】オレフィン系ポリマーとしては、オレフィ
ンの単独重合体又はオレフィンを構成単位として含む共
重合体が挙げられる。オレフィンとしては、例えば、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチルー1−ブ
テン、1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、4−
メチルー1−ペンテン等の炭素数2〜10程度のα−オ
レフィン;イソブテン等の他のオレフィンが例示され
る。好ましいオレフィンには、炭素数2〜6程度のα−
オレフィンが含まれる。これらのオレフィンは一種又は
二種以上用いることができる。
【0023】オレフィン系ポリマーは、結晶性が損なわ
れない範囲で、環状オレフィン、エチレン性不飽和カル
ボン酸又はその酸無水物若しくはそのエステルなどの共
重合性ビニルモノマーとの共重合体であってもよい。
【0024】ベースポリマーの重合度は、通常、100
〜100000、好ましくは3000〜50000程度
である。
【0025】好ましいオレフィン系ポリマーには、炭素
数2〜4程度のα−オレフィンの単独又は共重合体、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチッ
クポリプロピレン等)、エチレン−ポリプロピレン共重
合体等のエチレン又はプロピレンを構成単位として含む
単独又は共重合体、特にポリエチレン及びポリプロピレ
ン、中でもポリエチレンが含まれる。
【0026】ポリエチレンには、例えば、低密度ポリエ
チレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が
含まれる。
【0027】オレフィン系ポリマーのメルトインデック
スは、フィルム成形時の溶融押出温度において、通常
0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜50g
/10分程度である。
【0028】結晶性に優れるオレフィン系ポリマーを用
いた微多孔膜は、孔径が均一で、微細な孔を均質に形成
できると共に、有機溶媒、例えば、リチウム二次電池の
電解液に対する耐溶剤性に優れる。
【0029】ベースポリマーの融点(Tm)は、特に制
限されないが、通常、70〜250℃、好ましくは80
〜200℃、より好ましくは、100〜180℃程度で
ある。ベースポリマーの融点が低すぎると、隔膜として
の機能が低下し、前記融点が高すぎると、微多孔膜が軟
化して細孔の閉塞温度が高くなり、細孔を迅速に閉塞で
きなくなる。
【0030】本発明の微多孔膜の主たる特徴は、結晶性
ベースポリマーと、このベースポリマーと同系統の低分
子量物質とを組み合わせて用いる点にある。すなわち、
このような低分子量物質を添加することによって、ベー
スポリマー自体の融点の低下を抑制しつつ、微多孔膜の
融解開始温度を低下させることができる。そのため、温
度が上昇した場合、軟化変形により比較的低い温度で細
孔を迅速に閉塞でき、温度上昇に対する応答性、自己閉
塞性が高い。従って、本発明の微多孔膜からなるセパレ
ータは、外部短絡時の温度上昇に伴い、迅速に細孔が閉
塞し、膜構造を保持しつつ、両電極間を隔離することが
でき、シャットダウン性に優れる。
【0031】前記低分子量物質は、ベースポリマーと同
系統の低分子量の物質(以下、単に低分子量物質とい
う)、例えば、ベースポリマーの構成成分を単位として
含み、ベースポリマーよりも分子量の低い物質であれば
特に限定されず、ベースポリマーの種類に応じて、適宜
選択できる。好ましい低分子量物質には、ベースポリマ
ーとの相溶性に優れる物質や可塑性低分子量物質が含ま
れ、ベースポリマーの可塑剤として機能する場合が多
い。
【0032】例えば、ベースポリマーとしてオレフィン
系ポリマーを用いる場合、このような低分子量物質とし
て、室温で液状又は固体の炭化水素類、例えば流動パラ
フィン(例えば、炭素数10〜20、好ましくは12〜
16程度のアルキルナフテン類を含むパラフィン)や脂
肪族炭化水素類等を用いることができる。
【0033】脂肪族炭化水素類には、例えば、炭素数1
0〜70、好ましくは12〜50、より好ましくは14
〜30程度のn−パラフィン;パラフィンワックス(例
えば炭素数25〜35程度)、マイクロクリスタリンワ
ックス(例えば炭素数40〜60程度)、低分子量ポリ
エチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス
(例えば、アタクチックポリプロピレン)、α−オレフ
ィンワックス等の炭化水素系ワックス類が含まれる。
【0034】低分子量物質の平均分子量は、通常、25
0〜20000、好ましくは300〜10000程度で
ある場合が多い。これらの低分子量物質は、一種又は二
種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】尚、パラフィンワックス等の低分子量炭化
水素類は、i−パラフィン等の分岐状成分やナフテン等
の環状成分を含有していてもよい。
【0036】好ましい炭化水素類には、室温で固体の低
分子量脂肪族炭化水素類、例えば、炭化水素系ワック
ス、特にパラフィンワックスや低分子量ポリエチレンワ
ックス、中でも低分子量ポリエチレンワックス等が含ま
れる。
【0037】パラフィンワックスの数平均分子量は、通
常、300〜800、好ましくは300〜700、より
好ましくは400〜700程度である。低分子量ポリエ
チレンワックスは、平均分子量が、通常1000〜10
000、好ましくは1000〜8000、より好ましく
は1000〜7000、特に好ましくは1000〜50
00程度である。
【0038】低分子量物質の融点は、特に制限されない
が、通常、室温以上、前記ベースポリマーの融点Tm未
満、好ましくは(Tm−100)℃〜(Tm−5)℃、
より好ましくは(Tm−80)℃〜(Tm−10℃)、
特に好ましくは(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃程
度である。低分子量物質の融点が高すぎると、微多孔膜
の融解開始温度の低下度が小さく、低分子量物質の融点
が低すぎると、均一で微細な多孔構造が得られにくくな
る。
【0039】好ましい微多孔膜は、前記オレフィン系ポ
リマーと、脂肪族炭化水素類とを含んでいる。このよう
な微多孔膜においては、膜の融解開始温度を低下させら
れるだけでなく、ベースポリマーの結晶性を損なうこと
なく、より微細な多孔構造を得ることができる。
【0040】低分子量物質の含有量は、ベースポリマー
及び低分子量物質の種類に応じて適宜選択でき、例え
ば、ベースポリマー100重量部に対して、通常、2〜
15重量部、好ましくは4〜12重量部、より好ましく
は5〜10重量部程度である。低分子量物質の含有量が
少なすぎると、融解開始温度がさほど低下せず、前記含
有量が多すぎると、細孔の形成が阻害され易くなる。
【0041】本発明の微多孔膜は、その特性を損なわな
い範囲で、慣用の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤;充填剤;アンチブ
ロッキング剤;滑剤;帯電防止剤;着色剤;難燃剤など
を含有していてもよい。
【0042】本発明の微多孔膜の厚みは特に制限され
ず、用途等に応じて適宜選択できるが、通常、1〜50
μm、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜
30μm程度である。
【0043】本発明の微多孔膜は、延伸され、均一に分
布する微細孔を有している。その微細孔は、延伸方向に
おける平均細孔幅が、通常、0.01〜1.0μm、好
ましくは0.02〜0.7μm程度である。前記平均細
孔幅は、例えば、0.01〜0.1μm、より好ましく
は0.02〜0.06μm程度である場合が多い。延伸
方向に対して直交する方向における平均細孔径が、通
常、0.005〜0.5μm、好ましくは0.005〜
0.1μm程度であり、例えば0.005〜0.05μ
m、より好ましくは0.01〜0.03μm程度である
場合が多い。
【0044】また、本発明の微多孔膜は、ガーレー値
が、通常、10〜60秒/10cm3、15〜50秒/
10cm3 、より好ましくは25〜40秒/10cm3
程度であり、空孔率が、20〜70%、好ましくは30
〜60%程度である。前記空孔率は、例えば、20〜6
0%、好ましくは25〜50%、より好ましくは30〜
45%、特に好ましくは35〜40%程度である場合が
多い。また、本発明の微多孔膜は、細孔を含む領域の屈
曲性、変形性が高く、温度の上昇時には、孔の変形によ
り迅速に閉塞し易い。
【0045】なお、ガーレー値とは、膜を介して31c
m(12.2インチ)水柱の差圧を加えるときに、膜面
積6.45cm2 (1平方インチ)当たり10cm3
空気を、膜の一方の面から他方の面に通過させるのに要
する時間をいう。
【0046】上記のように、本発明の微多孔膜は、温度
上昇に対する応答性が高く、膜の融点と融解開始温度と
の差が大きく、また均質で微細な孔を有しているので、
温度の上昇に伴い、細孔が軟化、変形して迅速に閉塞す
る。このため、本発明の微多孔膜は、シャットダウン性
に優れ、例えば、電池用セパレータ、特にリチウム二次
電池等の非水電解液電池用セパレータとして有用であ
る。
【0047】本発明の微多孔膜は、結晶性ベースポリマ
ーと、このベースポリマーと同系統の低分子量物質とを
含むフィルム又はシート(以下単にフィルムということ
がある)を延伸することにより得られる。
【0048】前記フィルムは、慣用の成膜方法、例え
ば、溶融押出成形法などにより得ることができる。
【0049】ベースポリマーと低分子量物質とは、混合
して押出機に供給し、押出機内で溶融混練してもよく、
ベースポリマーと低分子量物質とを含む組成物を予め溶
融混練して得られるペレット等を、押出機に供給しても
よい。
【0050】溶融混練は、ベースポリマーの融点をTm
としたとき、例えば、(Tm+10)℃〜(Tm+10
0)℃程度の温度で行うことができる。
【0051】溶融押出成形による成膜は、Tダイ法、イ
ンフレーション法などのいずれの方法であってもよい。
溶融押出温度は、通常、(Tm+10)℃〜(Tm+7
0)℃、好ましくは(Tm+25)℃〜(Tm+50)
℃程度である。ダイから押出されたフィルム状溶融物
は、通常、巻き取り時のドラフト比[ダイリップから溶
融した樹脂が吐出される速度V1 に対する、フィルムの
巻き取り速度V2 の比(V2 /V1 )]10〜200、
好ましくは25〜180、より好ましくは50〜150
程度で引き取りつつ巻き取られ、均一なフィルムが得ら
れる。
【0052】前記フィルムは、慣用の延伸方法で延伸処
理することにより、微多孔膜とすることができる。な
お、延伸処理は、フィルムの引き取り方向と同じ方向に
一軸延伸するのが好ましい。また、延伸処理は、前記フ
ィルムを低温で延伸(以下、この工程を低温延伸とい
う)し、次いで加熱下延伸(以下、この工程を高温延伸
という)するのが好ましい。このような延伸方法では、
細孔密度が高く、細孔径が小さく均一な微多孔膜を得る
ことができる。
【0053】低温延伸の温度は、通常、(Tm−50)
℃以下、好ましくは(Tm−200)℃〜(Tm−5
0)℃、より好ましくは(Tm−170)℃〜(Tm−
90)℃程度である。この低温延伸は、通常、−20℃
〜50℃、好ましくは0〜30℃程度の室温付近の温度
で行う場合が多い。 延伸倍率は、通常、1.2〜3.
0倍、好ましくは1.3〜2.5倍、より好ましくは
1.4〜2.0倍程度であり、延伸速度は、延伸前のフ
ィルムの長さを100%としたとき、通常10〜600
%/分、好ましくは20〜500%/分、より好ましく
は30〜400%/分程度である。
【0054】高温延伸では、延伸状態を保ったまま、フ
ィルムを、(Tm−50)℃〜(Tm−5)℃、好まし
くは(Tm−40)℃〜(Tm−5)℃、より好ましく
は(Tm−30)℃〜(Tm−5)℃程度の温度で、前
記延伸方向と同じ方向に一軸延伸する。延伸倍率は、通
常1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜2.5倍、よ
り好ましくは1.4〜2.0倍程度である。
【0055】前記低温延伸と高温延伸とを合わせた合計
の延伸倍率は、通常、1.4〜6.0倍、好ましくは
1.6〜3.0倍、より好ましくは2.0〜2.5倍程
度である。なお、低温延伸及び/又は高温延伸は、一段
で行っても、多段で行ってもよい。
【0056】前記高温延伸処理後に、熱固定処理によ
り、膜に形成された多孔構造を固定することが好まし
い。熱固定処理は、通常、(Tm−60)℃〜(Tm−
5)℃、好ましくは(Tm−50)℃〜(Tm−5)
℃、より好ましくは(Tm−30)℃〜(Tm−5)℃
程度の温度で行う。熱固定時間は、例えば、1分〜24
時間、好ましくは、5分〜2時間程度である。
【0057】上記のように、ベースポリマーと低分子量
物質とを含むフィルムを延伸することによって、融解開
始温度の低い微多孔膜を製造できる。また、このような
微多孔膜は、孔径が均一でより微細な多孔構造を有して
いる。従って、本発明の製造方法によれば、成膜、延伸
という簡便な工程で、上記の様な優れた特性を有する微
多孔膜を、安価に効率よく製造できる。
【0058】本発明の微多孔膜は、均質で微細な細孔を
有し、浸透性に優れるので、例えば、各種フィルタ、電
解コンデンサ用隔膜、各種電池用セパレータ、透湿性衣
料などの種々の用途に用いることができる。更に、本発
明の微多孔膜は、融解開始温度が低く、比較的低い温度
で細孔が迅速に閉塞する特性を有し、シャットダウン性
に優れるので、電池用セパレータ、特にリチウム二次電
池等の非水電解液電池用セパレータとして、好適に用い
ることができる。リチウム二次電池は、例えば、正極活
物質で構成された正極、炭素材等の負極、リチウム塩を
溶解した非水系溶媒からなる電解液、本発明の微多孔膜
からなるセパレータ等の電池構成要素を用いて構成でき
る。
【0059】
【発明の効果】本発明の微多孔膜は、結晶性ベースポリ
マーと、このベースポリマーと同系統の低分子量物質を
組み合わせているので、温度上昇に対する応答性が高
く、細孔を円滑に閉塞できる。また、融点と融解開始温
度の差が大きい。更に、孔径が小さく均一な微細孔を有
している。そのため、本発明の微多孔膜は、非水電解液
電池用セパレータなどとして有用であり、温度上昇に伴
って生じる短絡を迅速に防止できる。
【0060】本発明の製造方法によれば、前記の様な優
れた特性を有する微多孔膜を、成膜、延伸という簡便な
工程で効率よく製造できる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定さ
れるものではない。
【0062】実施例1 ポリエチレン(メルトインデックス:1.1g/10
分、密度:0.954g/cm3 )100重量部に対し
て、低分子量ポリエチレンワックス(粘度平均分子量:
3000)5重量部を添加し、170℃で混練押出して
樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、押出温度1
70℃、ドラフト比100でTダイ法により押出成形
し、フィルムを得た。この未延伸フィルムを、押し出し
方向と同一方向に、温度25℃、延伸倍率1.5倍で延
伸した。次いで温度110℃、延伸倍率1.75倍で、
低温延伸と同一方向に延伸して高温延伸を行った。次い
でフィルムの延伸状態を保ったまま115℃で5分間熱
固定を行い、厚み20μmの微多孔膜を得た。得られた
微多孔膜は、延伸方向における平均細孔幅0.5μm、
延伸方向に対して直交する方向における平均細孔幅0.
05μm、ガーレー値43秒/10cm3 、空孔率58
%であった。
【0063】実施例2 低分子量ポリエチレンワックスの添加量を、ポリエチレ
ン100重量部に対して、8重量部とした以外は実施例
1と同様にして、微多孔膜を得た。
【0064】比較例 低分子量ポリエチレンワックスを添加することなく、実
施例1と同様にして、微多孔膜を得た。
【0065】実施例1、2及び比較例で得られた延伸フ
ィルムの融解開始温度を、示差走査熱量計を用いて、J
IS K 7121に規定する測定法に従って、10±
1℃/分の昇温速度で測定した。結果を表に示す。
【0066】
【表1】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ベースポリマーと、このポリマー
    と同系統の低分子量物質を含み、延伸された微多孔膜。
  2. 【請求項2】 結晶性ベースポリマーがオレフィン系ポ
    リマーであり、前記低分子量物質が室温で液状又は固体
    状の炭化水素類である請求項1記載の微多孔膜。
  3. 【請求項3】 前記低分子量物質が、流動パラフィン又
    は脂肪族炭化水素系ワックス類である請求項1記載の微
    多孔膜。
  4. 【請求項4】 脂肪族炭化水素系ワックス類が、パラフ
    ィンワックス又は低分子量ポリエチレンワックスである
    請求項3記載の微多孔膜。
  5. 【請求項5】 前記低分子量物質が室温で固体であり、
    かつその融点がベースポリマーの融点よりも低い請求項
    1記載の微多孔膜。
  6. 【請求項6】 ベースポリマー100重量部に対して、
    前記低分子量物質2〜15重量部を含む請求項1記載の
    微多孔膜。
  7. 【請求項7】 ポリエチレン又はポリプロピレン100
    重量部に対して、平均分子量が1000〜10000の
    低分子量ポリエチレンワックス4〜12重量部を含む請
    求項1記載の微多孔膜。
  8. 【請求項8】 延伸方向における平均細孔幅が0.01
    〜1.0μm、延伸方向に対して直交する方向における
    平均細孔幅が0.005〜0.5μm、ガーレー値が1
    0〜60秒/10cm3 、空孔率が20〜70%である
    請求項1記載の微多孔膜。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の微多孔膜からなる非水電
    解液電池用セパレータ。
  10. 【請求項10】 結晶性ベースポリマーと、前記ベース
    ポリマーと同系統の低分子量物質とを含むシート又はフ
    ィルムを延伸する微多孔膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記ベースポリマーと、前記低分子量
    物質とを含む組成物を溶融押出成形し、−20℃〜50
    ℃の温度で、延伸倍率1.2〜3.0倍で一軸延伸し、
    次いで、ベースポリマーの融点をTmとしたときに、
    (Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の温度で、前記延伸
    方向と同一の方向に延伸倍率1.1〜3.0倍で延伸
    し、熱固定する請求項10記載の微多孔膜の製造方法。
JP6180606A 1994-07-08 1994-07-08 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ Pending JPH0820659A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6180606A JPH0820659A (ja) 1994-07-08 1994-07-08 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6180606A JPH0820659A (ja) 1994-07-08 1994-07-08 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0820659A true JPH0820659A (ja) 1996-01-23

Family

ID=16086194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6180606A Pending JPH0820659A (ja) 1994-07-08 1994-07-08 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0820659A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09326250A (ja) * 1996-06-04 1997-12-16 Tonen Chem Corp 電池セパレーター用複合膜
JP2001357832A (ja) * 2000-04-10 2001-12-26 Celgard Inc ポリマーおよびオリゴマーのブレンドにより製造されるシャットダウン電池セパレーター
KR100413600B1 (ko) * 2001-07-16 2003-12-31 베스 주식회사 리튬이온 고분자 전지의 제조방법
US8104625B2 (en) 2004-05-20 2012-01-31 Asahi Kasei Chemicals Corporation Microporous membrane made of polyolefins
WO2013002164A1 (ja) * 2011-06-29 2013-01-03 三菱樹脂株式会社 多孔性フィルム、電池用セパレータ、および電池
JP2015108051A (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 トヨタ自動車株式会社 多孔質膜の製造方法及び補強型電解質膜
JP2016026369A (ja) * 2009-03-09 2016-02-12 旭化成イーマテリアルズ株式会社 積層セパレータ、ポリオレフィン微多孔膜、及び蓄電デバイス用セパレータ
CN111785894A (zh) * 2020-07-22 2020-10-16 河北金力新能源科技股份有限公司 一种低闭孔温度隔膜的制备方法、制备的低闭孔温度隔膜及其应用
US11043717B2 (en) 2016-06-08 2021-06-22 Envision Aesc Japan Ltd. Non-aqueous electrolyte secondary battery

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09326250A (ja) * 1996-06-04 1997-12-16 Tonen Chem Corp 電池セパレーター用複合膜
JP2001357832A (ja) * 2000-04-10 2001-12-26 Celgard Inc ポリマーおよびオリゴマーのブレンドにより製造されるシャットダウン電池セパレーター
US6749961B1 (en) 2000-04-10 2004-06-15 Celgard Inc. Shutdown battery separator made with a blend of polymer and oligomer
KR100413600B1 (ko) * 2001-07-16 2003-12-31 베스 주식회사 리튬이온 고분자 전지의 제조방법
US8104625B2 (en) 2004-05-20 2012-01-31 Asahi Kasei Chemicals Corporation Microporous membrane made of polyolefins
US9853272B2 (en) 2009-03-09 2017-12-26 Asahi Kasei E-Materials Corporation Laminated polyolefin microporous membrane including propylene-α-olefin copolymer and method of producing the same
JP2016026369A (ja) * 2009-03-09 2016-02-12 旭化成イーマテリアルズ株式会社 積層セパレータ、ポリオレフィン微多孔膜、及び蓄電デバイス用セパレータ
US9882190B2 (en) 2009-03-09 2018-01-30 Asahi Kasei E-Materials Corporation Laminated polymicroporous membrane including propylene copolymer and method of producing the same
US9966583B2 (en) 2009-03-09 2018-05-08 Asahi Kasei E-Materials Corporation Laminated polyolefin microporous membrane including propylene copolymer and method of producing the same
US10680223B2 (en) 2009-03-09 2020-06-09 Asahi Kasei E-Materials Corporation Laminated separator, polyolefin microporous membrane, and separator for electricity storage device
JPWO2013002164A1 (ja) * 2011-06-29 2015-02-23 三菱樹脂株式会社 多孔性フィルム、電池用セパレータ、および電池
WO2013002164A1 (ja) * 2011-06-29 2013-01-03 三菱樹脂株式会社 多孔性フィルム、電池用セパレータ、および電池
JP2015108051A (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 トヨタ自動車株式会社 多孔質膜の製造方法及び補強型電解質膜
US11043717B2 (en) 2016-06-08 2021-06-22 Envision Aesc Japan Ltd. Non-aqueous electrolyte secondary battery
CN111785894A (zh) * 2020-07-22 2020-10-16 河北金力新能源科技股份有限公司 一种低闭孔温度隔膜的制备方法、制备的低闭孔温度隔膜及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5250261B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜並びにそれを用いた電池用セパレータ及び電池
JP5250262B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法、並びに電池用セパレータ及び電池
JP5296917B1 (ja) 電池用セパレータ
JP5586152B2 (ja) ポリオレフィン製微多孔膜
JP4195810B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法並びに用途
JPWO2007069560A1 (ja) ポリオレフィン製微多孔膜
WO1996027633A1 (en) Microporous polyethylene film and process for producing the film
JP2015049961A (ja) 電池用セパレータ及びその電池用セパレータの製造方法
KR20010042791A (ko) 폴리올레핀 미세다공성 막과 그의 제조방법
JP2009132904A (ja) 物性と高温熱安定性に優れるポリオレフィン微多孔膜
KR20180132630A (ko) 폴리올레핀 미다공막 및 그 제조 방법, 전지용 세퍼레이터, 및 전지
JP7283080B2 (ja) ポリオレフィン製微多孔膜、電池用セパレータおよび二次電池
JP7395827B2 (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルム
JP3113287B2 (ja) 低いヒューズ温度を有するポリエチレン微多孔膜
WO2016104790A1 (ja) ポリオレフィン微多孔膜、その製造方法及び電池用セパレータ
JP2002128943A (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
JPWO2019163935A1 (ja) 多孔性ポリオレフィンフィルム
JP6864762B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜
JP2000248093A (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
JPH10298325A (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
JPH0820659A (ja) 微多孔膜及びその製造方法並びに非水電解液電池用セパレータ
JP3682120B2 (ja) 電池セパレーター用複合膜及び電池用セパレーター
JP2019102126A (ja) 電池用セパレータ及び非水電解液二次電池
JP2000204188A (ja) ポリエチレン微多孔膜
JP4713441B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜の製造方法