JP2021116375A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムの粒状欠点を改善するポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供する。【解決手段】A)押出機にポリオレフィン樹脂と可塑剤を投入し、溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とし、ポリオレフィン樹脂組成物を口金からシート状に吐出する工程、B)該シート状に吐出されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸する工程、およびC)該延伸されたポリオレフィン樹脂組成物から可塑剤の除去を行う工程、を含むポリオレフィン微多孔膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関するものである。
微多孔膜は、様々な孔径、孔形状、孔数を有し、その特異な構造により発現され得る特性から、ろ過膜、透析膜等のフィルター、電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータ等の種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィンを樹脂材料とする微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度等に優れ、シャットダウン特性を有するため、二次電池用セパレータとして広く用いられる。これらの用途においては、電池安全性を担保するため、微多孔膜の物性の均一性、欠点の有無は製品の品質に大きく影響を及ぼす。
それら特性を制御する微多孔膜製造工程の1つとして、原料となる樹脂と可塑剤を溶融混練し、樹脂組成物を作成する溶融混練工程が挙げられる。この工程において、樹脂/可塑剤の分散が上手くいかない場合、樹脂組成物の混練ムラが生じ、微多孔膜の物性ムラ、欠点の発生に繋がる。
例えば特許文献1では、ポリマーと希釈剤の混合性を改良する上で、希釈剤を押出機に少なくとも2か所導入することが提案されている。しかし特許文献1に開示される方法では、混合性を改良、欠点の発生を抑制する上で改善の余地があった。
特表2011―500368号公報
湿式製膜において、2種類以上のポリオレフィン樹脂を用いて溶融混練を行う場合に、製膜後のフィルムにポリオレフィン樹脂組成物の混練不良による粒状欠点を発することが問題となっている。この粒状欠点が溶融混練段階で発生した状態で製膜を行った場合、フィルムの外観不良、局所的な延伸ムラやフィルムの破断に繋がるおそれがあり、生産性低下の一因になっている。この欠点は押出機の吐出量増加や樹脂組成物の組成により顕著になる傾向があり、生産能力向上の制約の1つになっている。本発明は、上記課題を鑑みフィルムの粒状欠点を改善するポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供することを目的とする。
前期の状況の下、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、押出機へ添加する可塑剤の温度を制御することで、混練不良による粒状欠点が改善することを発見した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
A)押出機にポリオレフィン樹脂と可塑剤を投入し、溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とし、該ポリオレフィン樹脂組成物を口金からシート状に吐出する工程、
B)該シート状に吐出されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸する工程、および
C)該延伸されたポリオレフィン樹脂組成物から可塑剤の除去を行う工程、
を含むポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、下記a)及びb)を満たすポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
a)前記A)の工程において可塑剤の投入は2回以上に分け、それぞれの投入は別の段階に行われると共に、
i)少なくとも1回の可塑剤の投入において、可塑剤の温度をポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−40℃以上、ポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−5℃以下の温度に調整して行い、かつ
ii)可塑剤の投入の最初の回において投入する可塑剤の質量を前記ポリオレフィン樹脂組成物の質量の2.0倍以上3.0倍以下の量に調整して投入する
b)前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン(密度が0.94以上のポリエチレン)、超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量(Mw)が1×10以上のポリエチレン)、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも2種類を含み、かつ
全ポリオレフィン樹脂の総質量を100質量部としたとき、ポリスチレン換算の分子量が1×10以上のポリオレフィン樹脂の含有量が、10質量部以上50質量部未満である。
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法によれば、欠点を抑制したポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。さらに、押出機の吐出安定性を向上させ押出機の吐出能力を向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂の温度に対する膨潤挙動を示す図。 (a)実施例1にて得られたポリオレフィン樹脂組成物のクリップ延伸写真。(b)比較例1にて得られたポリオレフィン樹脂組成物のクリップ延伸写真。 押出機へ可塑剤を2回に分けて添加する場合の可塑剤供給位置を示す模式図。
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
本明細書において、ポリオレフィン微多孔膜とは、ポリオレフィン樹脂を主成分として含む微多孔膜をいい、好ましくは、ポリオレフィン樹脂を微多孔膜の全質量に対して90質量%以上含む微多孔膜をいう。また微多孔膜とは、膜内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体及び液体の少なくとも一方が通過可能となっている膜を言う。
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、A)押出機にポリオレフィン樹脂と可塑剤を投入し、溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とし、ポリオレフィン樹脂組成物を口金からシート状に吐出する工程、B)シート状に吐出されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸する工程、およびC)延伸されたポリオレフィン樹脂組成物から可塑剤の除去を行う工程を含む。押出機にて混練を行う工程において、ポリオレフィン樹脂に可塑剤を添加して、加熱するとポリオレフィン樹脂が可塑剤を吸収し膨潤する。押出機では投入したポリオレフィン樹脂を可塑剤で膨潤させる工程を経て、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融・混練し押出機より吐出する。膨潤に必要な温度・時間(膨潤特性)はポリオレフィン樹脂によって異なるため、2種類以上のポリオレフィン樹脂を用いると、膨潤特性の差から可塑剤を充分に吸収できないポリオレフィン樹脂が生じる場合があり、この場合粒状欠点としてフィルムでの外観に現れる。添加可塑剤の温度と、可塑剤とポリオレフィン樹脂の比率を適切に制御することで、押出機内部にて2種類以上のポリオレフィン樹脂を均一に膨潤させ粒状欠点を解消することができる。本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、
a)前記A)の工程において可塑剤の投入は2回以上に分け、それぞれの投入は別の段階に行われると共に、i)少なくとも1回の可塑剤の投入において、可塑剤の温度をポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−40℃以上、ポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−5℃以下の温度に調整して行うことが必要である。樹脂組成物の混練を均一に行いフィルム外観を良好にするため、及び押出機からポリオレフィン組成物を安定的に吐出するために、可塑剤を2回以上に分けそれぞれ別の段階で投入することが必要であり、特に2回に分けて投入することが好ましい。
また可塑剤とポリオレフィン樹脂の均一分散ならびに均一膨潤化の観点から、膨潤温度−40℃〜膨潤温度−5℃の範囲に調整された可塑剤を投入することが必要である。投入する可塑剤の温度が高すぎると、膨潤するまでに可塑剤とポリオレフィン樹脂が均一に分散する時間がなくなり粒状欠点が発生する。一方で可塑剤の温度が低すぎると、膨潤時間が長くなり膨潤温度の低いポリオレフィン樹脂のみが優先的に膨潤してしまい、粒状欠点発生の原因となる。可塑剤の温度が低い場合は粒状以外にも、ポリオレフィン樹脂が膨潤することができなくなり、押出機内部でのグリップ力の低下により吐出変動が生じるという問題がある。可塑剤とポリオレフィン樹脂の均一膨潤化の観点から、最初の可塑剤の投入おいて膨潤温度−40℃〜膨潤温度−5℃の範囲に調整されていることが好ましい。可塑剤の温度は接触式温度計にて測定することができる。なお、本発明において膨潤温度とは、後述する実施例の項に記載の方法によって求められる温度をいう。
樹脂組成物の膨潤温度は、ポリオレフィン樹脂が可塑剤を吸収、膨潤することで混練時に増加するトルクとして1N・mの増加となる最初の温度をいい、膨潤温度は実験的に測定することが可能である。図1にポリオレフィン樹脂組成物の膨潤反応を伴う混練試験結果の一例を示す。昇温しながら樹脂組成物の混練を行うと、ポリオレフィン樹脂が可塑剤を吸収、膨潤することで樹脂組成物の体積が膨張し、トルクが増加する。119℃でトルクが初めて1N・mとなったため、膨潤温度が119℃と測定される。測定方法の詳細は後述の実施例において説明する。
さらに本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、ii)可塑剤の投入の最初の回において投入する可塑剤の質量を前記ポリオレフィン樹脂組成物の質量の2.0倍以上3.0倍以下の量に調整して投入することが必要である。可塑剤の添加量が少ないと、ポリオレフィン樹脂が可塑剤を均一に吸収できず粒状欠点となる。一方で、可塑剤の添加量が多いと膨潤ゾーンで可塑剤をポリオレフィン樹脂が吸収しきれなく、可塑剤過多になることでグリップ力の低下により吐出変動を引き起こす。
さらに本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、b)ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン(密度が0.94以上のポリエチレン)、超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量(Mw)が1×10以上のポリエチレン)、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも2種類を含み、かつ全ポリオレフィン樹脂の総質量を100質量部としたとき、ポリスチレン換算の分子量が1×10以上のポリオレフィン樹脂の含有量が、10質量部以上50質量部未満であることが必要である。ポリスチレン換算の分子量が1×10以上のポリオレフィン樹脂の含有量が、10質量部未満であると、微多孔膜の機械強度の低下や構造の粗大化を招く。50質量部以上であると押出成形時の流動性が低下し、樹脂組成物混練時の均一化が難しくなる。ポリオレフィン樹脂として、高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンの両方を含む場合、高密度ポリエチレンに対する超高分子量ポリエチレンの比率は、フィルムの強度を高めるため、及びポリエチレン溶液を均一に分散させるために、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。
本発明においては、下記a)〜h)工程を経ることにより粒状欠点のない微多孔膜フィルムを製造することができる。
a)ポリオレフィン樹脂を押出機内に供給する。
b)供給された前記ポリオレフィン樹脂を加熱する。
c)加熱されたポリオレフィン樹脂に予熱した可塑剤を添加し混合・混練してポリオレフィン樹脂組成物を調製する。この混合・混練工程として、
c−1)加熱された前記ポリオレフィンに前記可塑剤を添加し混練する工程(第1混練)と、
c−2)第1混練後のポリオレフィン樹脂組成物に更に可塑剤を添加し混練する工程(第2混練)を行う。
d)混練後のポリオレフィン樹脂組成物を押出機から口金を介してシート状に押出す。
e)シート状に押出された前記ポリオレフィン樹脂組成物を冷却してゲルシートを形成する
f)前記ゲルシートを延伸する。
g)延伸後のゲルシートから可塑剤を除去しいて微多孔膜(フィルム)を形成する。
h)前記フィルムを乾燥させる。
以下、各工程順に説明する。
a)ポリオレフィン樹脂を押出機内に供給する。
本工程ではポリオレフィン樹脂を、押出機の原料投入部より押出機内に供給する。ポリオレフィン樹脂としては、安価で成形特性に優れるポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも一方を含有することが好ましい。例えば、ポリエチレンは、ポリオレフィン微多孔膜全量に対して、50質量%以上含むことができる。ポリエチレンとしては、特に限定されず、種々のポリエチレンを用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が用いられる。なお、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。また高密度ポリエチレンとは、密度が0.94以上のポリエチレンを、中密度ポリエチレンとは、密度が0.92〜0.94のポリエチレンをいう。
ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン(密度:0.940g/m以上0.970g/m以下)を含有することができる。高密度ポリエチレンを含有すると、溶融押出特性に優れ、均一な延伸加工特性に優れる。原料として用いられる高密度ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば1×10以上1×10未満程度であり、好ましくは1×10以上1×10未満である。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される値である。高密度ポリエチレンの含有量は、例えば、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、50質量%以上である。高密度ポリエチレンの含有量は、その上限が、例えば100質量%以下であり、他の成分を含む場合は、例えば90質量%以下である。
また、ポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリエチレンを含むことができる。ここで超高分子量ポリエチレンとは、重量平均分子量が100万以上のポリエチレンを意味するものとする。原料として用いられる超高分子量ポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)が1×10以上(100万以上)であり、例えば1×10以上8×10以下であり、好ましくは1×10以上5×10以下である。超高分子量ポリエチレンのMwが前記範囲である場合、成形性が良好となる。超高分子量ポリエチレンは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができ、例えばMwの異なる二種以上の超高分子量ポリエチレン同士を混合して用いてもよい。
超高分子量ポリエチレンは、例えば、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、例えば0質量%以上70質量%以下含むことができ、好ましくは10質量%以上60質量%以下である。超高分子量ポリエチレンの含有量が10質量%以上60質量%以下である場合、得られるポリオレフィン微多孔膜の押出し混練性等の生産性に優れる傾向がある。また、超高分子量ポリエチレンを含有した場合、ポリオレフィン微多孔膜を薄膜化した際にも高い機械的強度を得ることができる。
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィン及び/又はジオレフィンとの共重合体(プロピレン共重合体)、或いはこれらの混合物のいずれでも良いが、機械的強度及び貫通孔径の微小化等の観点から、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。ポリプロピレンのMwとしては、1×10以上〜1×10以下であるのが好ましく、1×106以上〜5×10以下であるのが特に好ましい。ポリプロピレンの含有量としては、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対し2.5質量%以上とすることが耐熱性向上の点から好ましい。また、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対し20質量%以下とすることが、シャットダウン温度が高くなることを抑える点から好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて、ポリエチレン及びポリプロピレン以外のポリオレフィン及びその他の樹脂成分を含むことができる。その他の樹脂成分としては、例えば、耐熱性樹脂等を用いることができる。また、ポリオレフィン微多孔膜は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤や充填剤、結晶造核剤、結晶化遅延剤等の各種添加剤を含有させてもよい。また、ポリオレフィン樹脂組成物には、前記のポリオレフィン樹脂及び可塑剤に加えて、結晶造核剤を含有してもよい。結晶造核剤としては、特に限定されず、公知の化合物系、微粒子系結晶造核剤等が使用できる。核剤としては、核剤を予めポリオレフィン樹脂に混合、分散したマスターバッチであってもよい。核剤を含有する場合、超高分子量ポリエチレンを含有しなくても、高い機械的強度を得ることができる。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物は、結晶造核剤を含有しない場合、ポリオレフィン樹脂は、前記の超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを含有することが好ましい。また、ポリオレフィン微多孔膜は、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン及び結晶造核剤を含んでもよい。これらを含むことにより、突刺強度をより向上させることができる。
b)供給された前記ポリオレフィン樹脂を加熱する。
本工程では、供給されたポリオレフィンが押出機内部で加熱される。
具体的な加熱温度は、使用するポリオレフィンの種類によって異なるが、例えば、ポリエチレンの場合は140〜250℃、特に150〜200℃であるのが好ましく、ポリプロピレンの場合は160〜250℃、特に180〜200℃であることが好ましい。
c)加熱されたポリオレフィン樹脂に予熱した可塑剤を添加し混合・混練してポリオレフィン組成物を調製する。
可塑剤としては、前記ポリオレフィン樹脂に対して良溶媒であれば制限されないが、例えばノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、或いは沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。
前述した可塑剤としては、25℃における粘度が0.03〜0.5Pa・s、特に0.05〜0.2Pa・sであるのが好ましい。25℃における粘度が0.03Pa・s未満では、不均一吐出を生じ、混練が困難であり、一方0.5Pa・sを超えると、後工程での脱可塑剤が容易でなくなる。可塑剤の中では、ポリオレフィンとの相溶性の点から、流動パラフィン、デカリン、パラキシレンが好ましく、高温時の耐揮発性の観点より特に流動パラフィンが好ましい。
ポリオレフィン樹脂に対する可塑剤の添加は、樹脂組成物の混練を均一に行いフィルム外観を良好にするため、及び押出機からポリオレフィン組成物を安定的に吐出するために、可塑剤の最初の投入は、ポリオレフィン樹脂が加熱され溶融する前までに行うことが好ましく、2回目以降の可塑剤の投入は、最初に投入された可塑剤とポリオレフィン樹脂とが均一に混じりあい、かつ溶融された状態(この状態を第1溶融混和状態という)となって以降に行うことが好ましく、特に2段階で行うことが好ましい。
以下、2段階で混練する場合について説明する。
なお、1段階目(c−1工程)での可塑剤添加後の混練を、「第1混練」ともいい、2段階目(c−2工程)での可塑剤添加後の混練を、「第2混練」ともいう。
1段階目の可塑剤添加のタイミングとしては、ポリオレフィン樹脂が加熱され溶融する前までに行うことが好ましい。樹脂が溶融した後に可塑剤を添加した場合、樹脂と可塑剤を均一に分散させることが困難となるため分散ムラ、粒状欠点を誘発することになる。樹脂が溶融する前である否かの確認は、押出機中に設置される温度計にて、搬送原料の温度を計測し行う。搬送原料の温度と原料の融点を比較し、原料の温度が融点以下であれば樹脂が溶解する前と判断できる。通常、原料がポリエチレンであれば120〜140℃の融点を持ち、ポリプロピレンであれば140〜170℃の融点を持つので、融点以下の温度ときに1段階目の可塑剤の添加を行えばよい。
また膨潤を均一に行うために、1段階目に添加する可塑剤の温度は、ポリオレフィン樹脂と可塑剤を混合した際の樹脂組成物の膨潤温度に対して、膨潤温度-40℃〜膨潤温度-5℃の範囲とすることが好ましい。添加する可塑剤温度が高すぎると、膨潤するまでに可塑剤とポリオレフィン樹脂が均一に分散する時間がなくなり粒状欠点が発生する。一方で可塑剤温度が低すぎると、膨潤時間が長くなり膨潤温度の低いポリオレフィン樹脂のみが優先的に膨潤してしまい、粒状欠点発生の原因となる。可塑剤温度が低い場合は粒状以外にも、ポリオレフィン樹脂が膨潤することができなくなり、押出機内部でのグリップ力の低下により吐出変動が生じるという問題がある。従って、1段階目に添加する可塑剤の温度は、例えば70℃以上130℃以下と設定することができる。
1段階目に添加する可塑剤の添加量は、投入する全ポリオレフィン樹脂量に対して2.0〜3.0倍であることが必要である。可塑剤添加量が少ないと、膨潤温度の高いポリオレフィン樹脂が可塑剤を均一に吸収できず粒状欠点をとなる。一方で、可塑剤添加量が多いと膨潤ゾーンで可塑剤をポリオレフィン樹脂が吸収しきれなく、可塑剤過多になることでグリップ力の低下により吐出変動を引き起こす。
2段階目での可塑剤の添加のタイミングは、第1溶融混和状態の後、すなわち第1混練が完了し、最初に投入された可塑剤とポリオレフィン樹脂とが均一に混じりあい、かつ溶融された状態以降が好ましい。第1溶融混和状態の確認は、搬送される樹脂組成物の目視確認にて行う。均一に混じりあい、かつ溶融された場合、無色透明液状の様相となるが均一でない場合、樹脂の溶け残り、ダマ等が発生し、無職透明化しない場合がある。
2段階目で添加する可塑剤の温度は、フィルム外観を良好にするために、及びポリオレフィン組成物を均一に混練するため、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜70℃の範囲で制御する。
複数段階での可塑剤の添加における添加の比率としては、フィルム外観制御の観点から、最後の段階で押出機に添加する可塑剤の添加量を、押出機に投入する可塑剤の全量に対して5質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
ポリオレフィン樹脂と可塑剤(総量)との配合割合は、ポリオレフィン樹脂と可塑剤との合計を100質量%として、ポリオレフィン樹脂が10〜33質量%、好ましくは15〜30質量%である。ポリオレフィン樹脂が10質量%未満、すなわち可塑剤が90質量%を超える場合、シート状に成形する際に、口金出口で、スウェルやネックインが大きくシートの成形が困難となる。一方、ポリオレフィン樹脂が33質量%を超える、すなわち可塑剤が67量%未満の場合、均一な溶液の調製が困難となる。
d)混練後のポリオレフィン樹脂組成物を押出機から口金を介してシート状に押出す。
混合・混練された前記ポリオレフィン樹脂組成物を、押出機から口金を介して押出す。口金より吐出されるポリオレフィン樹脂組成物の押し出し速度は、通常1〜10m/分である。
口金としては、通常長方形の口金形状をしたシート口金が用いられる。シート口金を用いた場合の口金ギャップは通常0.1〜5mmであり、押出し成形時には140〜250℃に加熱される。
e)口金(口金)よりシート状に押出されたポリオレフィン樹脂組成物を、冷却することにより、ゲル状シートを形成する。
ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報及び日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。冷却は25℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、可塑剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が前記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適したゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、キャストロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
f)ゲル状シートを延伸する。ゲル状シートの延伸は、湿式延伸ともいう。湿式延伸は、少なくとも一軸方向に行う。ゲル状シートは可塑剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
湿式延伸における、最終的な面積延伸倍率(面倍率)は、例えば、一軸延伸の場合、3倍以上が好ましく、4倍以上30倍以下がより好ましい。また、二軸延伸の場合、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上がさらに好ましい。湿式延伸における最終的な面積延伸倍率の上限は100倍以下が好ましく、64倍以下がより好ましい。また、湿式延伸における最終的な延伸倍率はMD方向(機械方向)及びTD方向(幅方向)のいずれでも3倍以上が好ましく、MD方向とTD方向とで互いに同じでも異なってもよい。延伸倍率を5倍以上とすると、突刺強度の向上が期待できる。なお、本ステップにおける延伸倍率とは、本ステップ直前のゲル状シートを基準として、次ステップに供される直前のゲル状シートの延伸倍率のことをいう。また、TD方向は、微多孔膜を平面でみたときにMD方向に直交(交差)する方向である。
延伸温度は、ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)〜(Tcd)+30℃の範囲内にすることが好ましく、結晶分散温度(Tcd)+5℃〜結晶分散温度(Tcd)+28℃の範囲内にすることがより好ましく、(Tcd)+10℃〜(Tcd)+26℃の範囲内にすることが特に好ましい。延伸温度が前記範囲内であるとポリオレフィン樹脂延伸による破膜が抑制され、高倍率の延伸ができる。ここで結晶分散温度(Tcd)とは、ASTM D4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求められる値をいう。前記の超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレン及びポリエチレン組成物は、約90〜100℃の結晶分散温度を有する。従って、ポリエチレンを原料として用いた場合の延伸温度は、例えば、90℃以上130℃以下とすることができる。
以上のような延伸によりポリエチレンラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、さらに薄い膜厚でも高い空孔率を有する事が可能となる。このため、より安全で高性能な電池用セパレータに好適である。
g)前記延伸後のゲル状シートから可塑剤を除去して微多孔膜(フィルム)とする。可塑剤の除去は、洗浄溶媒を用いた洗浄により行う。ポリオレフィン相は可塑剤と相分離しているので、可塑剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒及びこれを用いた可塑剤(成膜用溶剤)の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば特公平6−104736号公報や特開2002−256099号公報に開示の方法を利用することができる。
h)可塑剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下であるのが好ましく、特に(Tcd)より5℃以上低いのが好ましい。乾燥は、微多孔膜フィルムを100質量%(乾燥重量)として、残存洗浄溶媒が5質量%以下になるまで行うのが好ましく、3質量%以下になるまで行うのがより好ましい。残存洗浄溶媒が前記範囲内であると、後段の微多孔膜フィルムの延伸工程及び熱処理工程を行ったときにポリオレフィン微多孔膜の空孔率が維持され、透過性の悪化が抑制される。
また乾燥後のフィルムを面倍率(面積延伸倍率)延伸してもよい。乾燥後のフィルムの延伸は、乾式延伸ともいう。乾燥後の微多孔膜フィルムを、少なくとも一軸方向に乾式延伸する。微多孔膜フィルムの乾式延伸は、加熱しながら前記と同様にテンター法等により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次延伸のいずれでもよいが、逐次延伸が好ましい。逐次延伸の場合、MD方向に延伸した後、連続して、TD方向に延伸することが好ましい。
また、乾燥後のフィルム又は乾式延伸後のポリオレフィン微多孔膜は、熱処理が行われてもよい。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び熱緩和処理の少なくとも一方を用いることができる。熱固定処理とは、膜のTD方向の寸法が変わらないように膜のTD方向両端部を保持しながら加熱する熱処理である。熱固定処理は、テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。熱緩和処理とは、膜を加熱中にMD方向やTD方向に熱収縮させる熱処理である。例えば、熱緩和処理方法としては特開2002−256099号公報に開示の方法があげられる。熱処理温度はポリオレフィン樹脂の(Tcd)〜(Tm:融点)の範囲内が好ましい。
また、熱処理後のポリオレフィン微多孔膜に対して、さらに、架橋処理及び親水化処理を行うこともできる。例えば、微多孔膜に対して、α線、β線、γ線、電子線等の電離放射線を照射することにより架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1〜100Mradの電子線量が好ましく、100〜300kVの加速電圧が好ましい。架橋処理により微多孔膜のメルトダウン温度が上昇する。また、親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、単層であってもよいが、ポリオレフィン微多孔膜からなる層を1層以上積層してもよい。ポリオレフィン微多孔膜が二層以上のポリオレフィン微多孔膜からなる層を有する場合(以下、多層ポリオレフィン微多孔膜ともいう)、各層を構成するポリオレフィン樹脂の組成は、同一組成でもよく、異なる組成でもよい。
本発明のポリオレフィン微多孔膜にポリオレフィン樹脂以外の他の多孔質層やコーティング層を設けてもよい。
以下、本発明を実施例等によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
測定方法および評価方法は次の通りである。
・ 溶融樹脂の外観
原料のポリオレフィン樹脂と可塑剤を押出機へ投入し、混合、混練して得られたポリオレフィン樹脂組成物を押出機より押出し、サンプルとして採取した。溶融状態にあるサンプルを10cm幅のクリップで1mm厚程度挟み込み、1m引き伸ばしフィルム状の外観観察用サンプルを作成し、目視観察にて粒状欠点を評価した。10cm×1mのサンプル中に見られる0.5〜1mm角からなる粒状欠点の数を数え、欠点の数が3個以内の物を◎(優)、3個を超え5個以内のものを〇(良)、5個を超え10個以内のものを△(可)、10個を超えたものを×(不可)と評価した。図2に溶融樹脂の外観の一例の写真を示す。図2(a)の溶融樹脂の外観は粒状欠点がほぼ無いため、評価は◎であり、図2(b)の溶融樹脂の外観は粒状欠点が多数存在しているため評価は×である。
・ フィルム外観
作製された微多孔膜を95mm×95mmに切り出し、照明付き拡大鏡ルーペ(PEAK社製、ILLUMINATING LUPE)の上に皺なく広げ、透過光で微多孔膜を目視にて観察した。長径0.3cm以上の透明な斑点を数え、斑点の数が3個以内の物を◎(優)、3個を超え5以内のものを○(良)、5個を超え10個以内のものを△(可)、10個を超えたものを×(不可)と評価した。
・ 吐出変動量(%)
原料のポリオレフィン樹脂と可塑剤を押出機へ投入し、混合、混練したポリオレフィン樹脂組成物を押出機より押出し、1分毎に押出されるポリオレフィン樹脂組成物の重量を計量し、10回測定した後に、1分当りの押出量の平均値、標準偏差を算出した。押出量の標準偏差を平均値で除した割合を押出変動量として算出、評価した。押出変動量が1%以下のものを◎(優)、1〜2%のものを○(良)、2〜5%のものを△(可)、5%以上のものを×(不可)とした。
・ 膨潤温度(℃)
各実施例及び比較例中のポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度は以下の実験装置、方法を用いて評価を行った。
測定装置:東洋精機製ラボプラストミル(型式:3S150)
スクリュー形状:バンバリ型
測定温度範囲:100℃〜170℃
スクリュー回転数:50rpm
評価方法:ポリオレフィン樹脂及び可塑剤を混合して得られる混合物70gをサンプルとした。ポリオレフィンと可塑剤の混合物を測定装置に投入し混練を行った。100℃から昇温速度5℃/分で昇温しながら混練を継続し、加熱によるポリオレフィン樹脂組成物の膨潤反応に伴うトルクの上昇が、1N・mの増加となる最初の樹脂温度を膨潤温度とした。トルクの測定は、ラボプラストミル上に検出される混練トルク値を用いた。図1に実施例1のポリオレフィン樹脂組成物の混練試験結果を示す。サンプル投入後、樹脂温度100℃の段階ではトルク値が0N・mを示したが、昇温後119℃近傍より膨潤反応に伴うトルク値の上昇が確認されていることが分かる。その後、130℃近傍より溶融に由来する大幅なトルク値の上昇が確認されるが、膨潤温度は、最初に確認されるトルク上昇時点で1N・mを示した温度を膨潤温度である119℃となる。なお、可塑剤を2段階以上で添加する場合、可塑剤総量をポリオレフィン樹脂と混合して得られる樹脂組成物の膨潤温度を測定した。
〔実施例1〕
表1に示す組成、条件となるように、超高分子量ポリエチレンとしてMwが2.0×10のポリエチレン、高密度ポリエチレンとしてMwが4.0×10のポリエチレン(密度:0.940g/m)、可塑剤として流動パラフィン(25℃における粘度が0.05Pa・s)、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン(ポリオレフィン樹脂100質量部当たり0.3質量部)を使用した。図3に示される二軸押出機4の原料投入口3にポリオレフィン樹脂および酸化防止剤を投入し、混合、溶融混練した。二軸押出機4へ供給する流動パラフィンは2回に分け、個別に加熱した状態で供給し、図3に示す2つの位置にて投入した。可塑剤供給口(1段階目)1での供給量を押出機へ供給する全流動パラフィンの80質量部、可塑剤供給口(2段階目)2での供給量を押出機へ供給する全流動パラフィンの20質量部となるように供給した。1段階目に添加する可塑剤の温度は100℃、2段目に供給する可塑剤の温度は70℃に調整して添加した。可塑剤供給口(1段目)1は、押出機へ投入された樹脂が加熱され溶融する前のタイミングで添加できる位置、すなわち原料投入口3の直後に設け、可塑剤供給口(2段目)2は、第1混練が完了し、ポリオレフィン樹脂と可塑剤が均一に混じりあいかつ溶融したタイミングで添加できる位置に設けた。1段階目で添加したときの原料の温度は90℃であった。調製したポリオレフィン樹脂組成物を二軸押出機からT形状の口金に供給、シート状に押出した。押出した溶融樹脂の外観評価を行ったところ、粒状欠点の発生は無く優れた外観(溶融樹脂の外観評価:◎)を示した。図2(a)に実施例1にて得られたポリオレフィン樹脂組成物のクリップ延伸写真を示す。その後、押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを成形した。形成したゲル状シートを、表1に記載の延伸条件にてテンター延伸機により同時二軸延伸(湿式延伸)した。延伸したゲル状シートは20cm×20cmのアルミニウム枠板に固定し、25℃に温調した塩化メチレン浴中に浸漬し、100rpmで3分間揺動しながら流動パラフィンを除去し、室温で風乾し、乾燥膜を得た。次に、この膜を126℃で熱緩和処理を行い、ポリオレフィン微多孔膜を作成した。得られたポリオレフィン微多孔質膜の評価結果を表1に併せて記載した。なお、表1中、溶融混練物(樹脂組成物)中の樹脂濃度(wt%)とは、ポリオレフィン樹脂と可塑剤の合計に対するポリオレフィン樹脂の質量%を示す。ポリオレフィン樹脂に対する1段階目に添加する可塑剤の比率(質量比)とは、二軸押出機へ投入する全ポリオレフィン樹脂量に対する、1段階目に供給する可塑剤量の比率を示す(1段階目に添加する可塑剤の質量/全ポリオレフィン樹脂の質量)。延伸倍率は、湿式延伸前のゲル状シートを基準として、延伸後(熱固定処理前)のポリオレフィン微多孔膜の面積延伸倍率を示す。
〔実施例2〕
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン、Mwが4.0×10の高密度ポリエチレンの混合割合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン、Mwが4.0×10の高密度ポリエチレン、流動パラフィンの混合割合と押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの供給比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとの混合割合と押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの供給比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
Mwが2.0×10のポリプロピレンとMwが4.0×10の高密度ポリエチレン、流動パラフィンの混合割合と押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの供給比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
押出機へ投入する流動パラフィンの2段階目の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの1段階目の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。図2(b)に比較例1条件の溶融樹脂の外観写真を示す。比較例1では粒状欠点が多数存在した外観(溶融樹脂の外観評価:×)を示した。評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの1段階目の加熱温度を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの供給比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔比較例4〕
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン、Mwが4.0×10の高密度ポリエチレン、流動パラフィンの混合割合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔比較例5〕
ポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとの混合割合と押出機へ2段階で供給する流動パラフィンの供給比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
〔比較例6〕
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン、Mwが4.0×10の高密度ポリエチレンの混合割合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜を作成した。評価結果を表1に示す。
Figure 2021116375
表1の結果から明らかなように、本実施形態の製造方法は、製造工程におけるポリオレフィン組成物の性状異常を抑制し、押出機での吐出精度が優れるため、ポリオレフィン微多孔膜を歩留まり、品質及び収率が改善された工程にて製造することができる。
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、製造工程におけるポリオレフィン樹脂組成物の混練不良による粒状欠点が抑制されているため、ポリオレフィン微多孔膜を、歩留まり、品質及び収率が向上した工程にて製造することができ、二次電池用セパレータ用のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法として好適である。
1:可塑剤供給口(1段階目)
2:可塑剤供給口(2段階目)
3:原料投入口
4:二軸押出機

Claims (6)

  1. A)押出機にポリオレフィン樹脂と可塑剤を投入し、溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物とし、該ポリオレフィン樹脂組成物を口金からシート状に吐出する工程、
    B)該シート状に吐出されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸する工程、および
    C)該延伸されたポリオレフィン樹脂組成物から可塑剤の除去を行う工程、
    を含むポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、下記a)及びb)を満たすポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
    a)前記A)の工程において可塑剤の投入は2回以上に分け、それぞれの投入は別の段階に行われると共に、
    i)少なくとも1回の可塑剤の投入において、可塑剤の温度をポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−40℃以上、ポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−5℃以下の温度に調整して行い、かつ
    ii)可塑剤の投入の最初の回において投入する可塑剤の質量を前記ポリオレフィン樹脂組成物の質量の2.0倍以上3.0倍以下の量に調整して投入する
    b)前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン(密度が0.94以上のポリエチレン)、超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量(Mw)が1×10以上のポリエチレン)、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも2種類を含み、かつ
    全ポリオレフィン樹脂の総質量を100質量部としたとき、ポリスチレン換算の分子量が1×10以上のポリオレフィン樹脂の含有量が、10質量部以上50質量部未満である。
  2. 前記最初の回において投入する可塑剤の温度を、ポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−40℃以上、ポリオレフィン樹脂組成物の膨潤温度−5℃以下の温度に調整して行うことを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  3. 可塑剤は、25℃における粘度が0.03〜0.5Pa・sの流動パラフィンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  4. 前記高密度ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)が1×10以上1×10未満であり、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)が1×10以上8×10以下であり、ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)が1×10以上1×10以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  5. 前記可塑剤の最初の投入は、ポリオレフィン樹脂が加熱され溶融する前までに行い、2回目以降の可塑剤の投入は、最初に投入された可塑剤とポリオレフィン樹脂とが均一に混じりあい、かつ溶融された状態(この状態を第1溶融混和状態という)となって以降に行うことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  6. 第1溶融混和状態となって以降に投入する可塑剤の温度を30℃以上100℃以下に調整して可塑剤の投入を行うことを特徴とする請求項5に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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