JP2021105165A - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents

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Naoya Nishimura
直哉 西村
遼 下川床
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遼 下川床
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Hiroko Tanaka
寛子 田中
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Takuya Kuman
琢也 久万
大倉 正寿
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Abstract

【課題】二次電池用セパレータとして用いた際に、高い耐圧縮性による優れた充放電特性と、異常発熱時の速やかなシャットダウンによる電池安全性とを有するポリオレフィン微多孔膜に関する。【解決手段】70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値が0.20以下であり、シャットダウン温度が140℃以下であるポリオレフィン微多孔膜。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜に関し、特に二次電池用セパレータとして用いた際に、優れた充放電特性と電池安全性を有するポリオレフィン微多孔膜に関する。
微多孔膜は、ろ過膜、透析膜などのフィルター、二次電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータなど種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィンを樹脂材料とするポリオレフィン微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度などに優れ、シャットダウン特性を有するため、近年、二次電池用セパレータとして広く用いられる。
二次電池、例えばリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話などに用いる電池として広く使用されている。また、二次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用電源、定置用蓄電池としても期待されている。
近年、リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化が進んでいる。一部の高エネルギー密度設計の新規電極材料は、充電時に膨張しやすい特徴がある。そのため、充電時にはセパレータに圧力がかかり、孔が圧縮され、電解液が放出されることで充放電特性が悪化してしまう。また、電池の製造工程ではセルの成型、部材同士の密着性向上を目的としたプレス工程が行われることがあるが、この際にセパレータの孔が潰れてしまい、セパレータのイオン透過性が損なわれる場合があった。これら課題から、セパレータには耐圧縮性の改善が求められている。
一方で、高エネルギー密度設計のリチウムイオン二次電池に使用される電極は熱安定性が低下する傾向にある。そのため、短絡や、過充電に伴う異常発熱時には、より低温でセパレータがシャットダウン(孔閉塞)し、正極側と負極側間のイオン移動を防ぐことにより熱暴走を抑止することが求められる。
微多孔膜の耐圧縮性を高めるためには、原料処方や延伸条件により膜強度を高めることにより達成することができる。一方で、高強度化に伴い樹脂の高融点化が起こるためシャットダウン特性が悪化してしまう。そのことから、耐圧縮性とシャットダウン特性の両立は困難であった。
特許文献1では、例えば、超高分子量ポリエチレン及び/又は核剤を含有させる等の特定の原料処方や、重量平均分子量Mwや延伸倍率を調整したりすることによる、耐圧縮性に優れた微多孔膜の提案がなされている。
特許文献2では、粘度平均分子量(Mv)が30万未満であるポリオレフィンと、Mvが50万以上であるポリオレフィン及び、膜厚より大きい電気化学的不活性粒子を必須成分とし、前記粒子が膜表面から突出した部分の高さA(μm)と、膜厚B(μm)との間に、0<A/B×100<25が成り立つポリオレフィン微多孔膜により、突出した粒子へ選択的に圧力がかかることでフィルム面全体としての圧力を低減し、プレス後の透気抵抗度の上昇を抑制している。
特許文献3では5MPaの圧力下において、90℃で5分間加熱圧縮した後の透気度増加が500秒/100cc以下であるポリオレフィン微多孔膜により、耐加熱圧縮性、透過性、機械的特性及び熱収縮性のバランスに優れることが提案されている。
国際公開第2018/164056号 特開2007−262203号公報 特開2004−161899号公報
特許文献1に対し、例えば、耐圧縮性を高めるためには高倍率での延伸が必須である一方で、これは樹脂の高融点化を伴う。そのため、シャットダウン温度との両立を考慮すると改善が望まれる。特許文献2については、粗大粒子が粗大孔を形成し、シャットダウン特性の悪化が懸念される。特許文献3では、加熱圧縮からの解放後の膜厚について記載されているものの、加熱圧縮中のセパレータ変形については議論されていない。
本発明の課題は、上記を解決することにある。すなわち電池用セパレータとして用いた場合において、高い耐圧縮性により優れた充放電特性を有しながら、電池の異常発熱時には速やかにシャットダウンし、高い安全性を付与することができるポリオレフィン微多孔膜を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。なお、以下の説明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
〔1〕70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値が0.20以下であり、シャットダウン温度が140℃以下であるポリオレフィン微多孔膜。
〔2〕空孔率が35%以上である前記〔1〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔3〕70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率が30%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔4〕ポリエチレン系樹脂50〜99質量%と、前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマー1〜50質量%とを含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔5〕前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーが非晶性ポリマーである、前記〔4〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔6〕前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーが環状オレフィン系ポリマーである、前記〔4〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔7〕ポリエチレン系樹脂から成る第一相が連続構造を有し、前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーから成る第二相が非連続構造となっており、前記第二相は10〜300nmのドメイン径を有する、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔8〕105℃、8時間後の熱収縮率が5%以下である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔9〕厚み1μm換算の透気度が30秒/100cm以下である、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔10〕厚み1μm換算の突刺強度が10gf/μm以上である、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔11〕厚みが5μm以上である、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
本発明に係るポリオレフィン微多孔膜によれば、高い耐圧縮性と、より低温でシャットダウン(孔閉塞)する性能を有する。そのため、二次電池用セパレータとして用いた際に、充放電特性と安全性に優れたポリオレフィン微多孔膜を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜(以下、単に「微多孔膜」と称することがある。)は、70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値が0.20以下であり、シャットダウン温度が140℃以下である。
70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値(以下、単に「膜厚低下率/空孔率」と称することがある。)は後述の方法により測定、算出することができる。膜厚低下率/空孔率は、0.20以下であり、好ましくは0.18以下、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.12以下、特に好ましくは0.10以下である。膜厚低下率/空孔率が上記範囲である場合、耐圧縮性に優れる。すなわち、微多孔膜を電池用セパレータとして使用した際に、電極膨張やプレス加工時にセパレータが加圧状態となった場合においても、孔構造、透過性が維持され、充放電特性に優れた電池とすることができる。なお、膜厚低下率/空孔率の下限は特に限定されないが、例えば0.01以上である。膜厚低下率/空孔率の下限を上記範囲とすることにより、シャットダウン温度との両立が容易となる。膜厚低下率/空孔率を上記範囲とするには、微多孔膜の原料組成を後述する範囲とし、また、微多孔膜の製膜条件を後述する範囲内とすることが好ましい。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜のシャットダウン温度は140℃以下である。好ましくは139℃以下であり、より好ましくは138℃以下、さらに好ましくは136℃以下、特に好ましくは134℃以下である。シャットダウン温度を上記範囲に制御することにより、これを電池用セパレータとして使用した場合の電池安全性に優れる。シャットダウン温度の下限は特に限定されないが、透過性との両立が容易となることから110℃以上であることが好ましい。シャットダウン温度を上記範囲とするには、微多孔膜の原料組成を後述する範囲とし、また、微多孔膜の製膜条件を後述する範囲内とすることが好ましい。シャットダウン温度とは後述の方法にて測定される温度であり、ポリオレフィン微多孔膜を昇温加熱した際に、樹脂部が収縮、融解することで多孔構造が閉鎖され、電池セパレータとして使用した場合に実質的に放電、充電ができなくなる温度である。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、好ましくは35%以上であり、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上である。空孔率の上限は特に設けないが、膜強度の低下を抑制できることから、80%以下であることが好ましい。空孔率が上記範囲であることにより、微多孔膜を二次電池用セパレータとして使用した場合の出力特性に優れる。空孔率は、製造過程において、原料の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の、70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率は好ましくは30%以上であり、より好ましくは33%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは45%以上である。70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率について上限は特に設けないが、膜強度の低下を抑制できることから、80%以下であることが好ましい。70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率が上記範囲であることにより、微多孔膜を二次電池用セパレータとして使用した場合の出力特性に優れる。70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率は、製造過程において、原料の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。また、70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率は後述する方法により、測定、算出することができる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は、ポリエチレン系樹脂から成る第一相が連続構造を有し、これに非相溶なポリマーから成る第二相が非連続構造となっていることが好ましい。また、非連続構造を形成する第二相のドメイン径は、10〜300nmであることが好ましく、20nm以上が特に好ましく、また、250nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。
第二相が上述のドメイン径を有することで、均一な孔構造が形成され、ポリオレフィン微多孔膜の耐圧縮性改善と、高透過性の両立が、より良好となる。微多孔膜中の相分離構造は後述の方法により観察し、かつドメイン径の算出をすることができる。非連続構造を形成する第二相のドメイン径は、第二相を形成する樹脂成分や製造工程におけるその配合割合、混錬条件、延伸条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は105℃、8時間加熱した際の、加熱前後での熱収縮率が好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。105℃、8時間後の熱収縮率について下限は特に設けないが、微多孔膜の平面性が良好となることから、−0.1%以上であることが好ましい。105℃、8時間後の熱収縮率を上記範囲とすることにより、微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合、発熱時の収縮による端部短絡を抑制することができる。105℃、8時間後の熱収縮率は、後述の方法により算出することができる。105℃、8時間後の熱収縮率は、製造過程において、原料の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は、厚み1μm換算の透気度が好ましくは30秒/100cm以下、より好ましくは20秒/100cm以下、さらに好ましくは15秒/100cm以下、特に好ましくは10秒/100cm以下である。厚み1μm換算の透気度の下限は特に設けないが、膜強度との両立が容易となることから1秒/100cm以上であることが好ましい。厚み1μm換算の透気度を上述の範囲とすることにより、微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合に充放電特性に優れた微多孔膜とすることができる。厚み1μm換算の透気度は、製造過程において、原料の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は、厚み1μm換算の突刺強度が好ましくは10gf/μm以上であり、より好ましくは15gf/μm以上、さらに好ましくは20gf/μm以上、特に好ましくは30gf/μm以上である。厚み1μm換算の突刺強度の上限は特に限定されないが、シャットダウン温度を適正な範囲に制御することが容易となることから、例えば100gf/μm以下であることが好ましい。厚み1μm換算の突刺強度が上記範囲である場合、微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合に外部からの衝撃に強く、安全性に優れる。厚み1μm換算の突刺強度は、製造過程において、原料の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
ポリオレフィン微多孔膜のMD方向の引張強度(引張破断強度)は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは200MPa以上である。MD方向の引張強度の上限は、特に限定されないが、シャットダウン温度との両立が容易となることから、例えば、500MPa以下である。MD方向の引張強度が上記範囲である場合、MD方向に高い張力が掛かった場合も膜が破断しにくく、高い耐久性が要求される用途に用いることができる。
ポリオレフィン微多孔膜のTD方向の引張強度(引張破断強度)は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは200MPa以上である。TD方向の引張強度の上限は、特に限定されないが、シャットダウン温度との両立が容易となることから、例えば、500MPa以下である。TD方向の引張強度が上記範囲である場合、TD方向に高い張力が掛かった場合も膜が破断しにくく、高い耐久性が要求される用途に用いることができる。
ポリオレフィン微多孔膜において、TD引張強度に対するMD引張強度の比(MD引張強度/TD引張強度)は、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上である。また、かかる比は、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下である。TD引張強度に対するMD引張強度の比を上記範囲とすることにより、微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合に外部からの衝撃に強く、安全性に優れる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の厚みは、用途によって適宜調整可能である。好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは28μm以下、更に好ましくは25μm以下、特に好ましくは21μm以下である。ポリオレフィン微多孔膜の厚みを上述の範囲とすることにより、二次電池用セパレータとして用いた場合に安全性と高電池容量を両立することができる。
以下、本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の具体的な構成について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む(以下、主成分となるポリオレフィン系樹脂を「樹脂A」と称する。)。尚、ここで示す主成分とはポリオレフィン微多孔膜を構成する成分の内最も質量%表示での含有量が多いものを言う。また、樹脂Aとなるポリオレフィン系樹脂を2種以上含む場合には、それらポリオレフィン系樹脂の合計の含有量を樹脂Aの含有量とし、かかる合計の含有量が、ポリオレフィン微多孔膜を構成する成分の内最も質量%表示での含有量が多いものであればよい。
樹脂Aとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体および/またはブロック共重合体)、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂;シクロアルカン、シクロアルケンなどの脂環構造を繰り返し単位に含有する環状オレフィン系樹脂が挙げられる。なお、前記α−オレフィンとしては、プロピレンやエチレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ペンテン、1−ヘプテンを挙げることができる。上述の樹脂の中でも樹脂Aは耐圧縮性、シャットダウン特性両立の観点から、ポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンを含むことがより好ましい。樹脂Aは上述の樹脂の中から2種類以上選択して用いてもよい。
樹脂Aは、溶融押出特性や延伸加工特性の点から、高密度ポリエチレン(密度:0.940g/m以上0.970g/m以下)を含むことが好ましい。樹脂Aに用いられるポリエチレン系樹脂(以下、「ポリエチレン(A)」と称することがある。)としては、エチレンの単独重合体のみならず、ポリエチレン(A)の融点や結晶性を低下させるために、他のα−オレフィンを含有する共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。α−オレフィンを含有する共重合体としてはヘキセン−1を含有する共重合体(エチレン・1−ヘキセン共重合体)が好ましく、ポリエチレン(A)がエチレン・1−ヘキセン共重合体を主成分とすることがより好ましい。また、α−オレフィンは13C−NMRで測定することで確認できる。尚、ここで示す主成分とは、ポリエチレン(A)を構成する成分の内、最も質量%表示での含有量が多いものを言う。
上記高密度ポリエチレンにおける重量平均分子量の下限は、好ましくは1×10以上であり、より好ましくは1×10以上、さらに好ましくは1.5×10以上である。また、高密度ポリエチレンの重量平均分子量の上限は、好ましくは1×10以下、より好ましくは8.0×10以下、さらに好ましくは6.0×10以下である。分岐状高密度ポリエチレンの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、低いシャットダウン温度とシャットダウン時の膜強度を両立することができる。
上記分岐状高密度ポリエチレンの融点は、138℃以下であることが好ましく、136℃以下であることがより好ましく、134℃以下であることがさらに好ましい。また、融点は115℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、125℃以上であることがさらに好ましい。高密度ポリエチレンの融点を上記範囲とすることにより、低いシャットダウン温度とポリオレフィン微多孔膜の透過性を両立することができる。
樹脂Aは、高密度ポリエチレンの中でも分岐状高密度ポリエチレンを含むことが、均一微細な孔構造の形成、延伸時の結晶配向抑制により、耐圧縮性とシャットダウン特性により優れたポリオレフィン微多孔膜とすることができるため、好ましい。分岐状高密度ポリエチレンは、例えばシリカやアルミナなど無機化合物から成る担体に、クロム化合物を担持した触媒を用いて重合されるポリエチレンである。
分岐状高密度ポリエチレンは樹脂Aの全質量に対して、30質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、である。これにより耐圧縮性とシャットダウン特性がより優れたポリオレフィン微多孔膜とすることができる。
上記分岐状高密度ポリエチレンにおける重量平均分子量の下限は、好ましくは1×10以上であり、より好ましくは1×10以上、さらに好ましくは1.5×10以上である。また、高密度ポリエチレンの重量平均分子量の上限は、好ましくは1×10以下、より好ましくは8.0×10以下、さらに好ましくは6.0×10以下である。分岐状高密度ポリエチレンの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、低いシャットダウン温度とシャットダウン時の膜強度を両立することができる。
上記分岐状高密度ポリエチレンの融点は、138℃以下であることが好ましく、136℃以下であることがより好ましく、134℃以下であることがさらに好ましい。また、融点は115℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、125℃以上であることがさらに好ましい。分岐状高密度ポリエチレンの融点を上記範囲とすることにより、低いシャットダウン温度とポリオレフィン微多孔膜の透過性を両立することができる。分岐状高密度ポリエチレンの融点は後述する方法により測定することができる。
ポリオレフィン微多孔膜中の樹脂Aの含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95%以下である。ポリオレフィン微多孔膜中の樹脂Aの含有量を上記範囲とすることにより微多孔膜の強度、透過性、シャットダウン特性の制御が容易となり、耐圧縮性にもより優れた微多孔膜となる。
なお、ポリオレフィン微多孔膜を製造するにあたり、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製する際に、例えば可塑剤として流動パラフィン等の成膜用溶剤が用いられる。かかる成膜用溶剤は微多孔膜の製造工程において除去されるため、ポリオレフィン系樹脂組成物の組成と、ポリオレフィン微多孔膜の組成とは異なる。すなわち、ポリオレフィン微多孔膜中の樹脂Aの含有量とは、ポリオレフィン系樹脂組成物の組成から、成膜用溶剤等の除去される成分を抜いた組成に対する樹脂Aの含有量に相当する。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜は耐圧縮性、シャットダウン特性両立の観点から、樹脂Aに対し非相溶なポリマーである樹脂(以下、「樹脂B」と称する。)を混合することが好ましい。
樹脂Bは樹脂Aに対し非相溶であり、微多孔膜中で相分離構造を形成することが好ましい。樹脂Bとしては結晶性ポリマーである樹脂、非晶性ポリマーである樹脂のいずれも使用することができる。
結晶性ポリマーとしては、例えばホモポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体(ランダム共重合体および/またはブロック共重合体)、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。尚、上述のα−オレフィンとしては、プロピレンやエチレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ペンテン、1−ヘプテンを挙げることができる。
非晶性ポリマーとしてはシクロアルカン、シクロアルケンなどの脂環構造を繰り返し単位に含有する環状オレフィン系ポリマーや、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレン系エラストマー、ポリスルホン、ABS樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
上述の樹脂の中でも、樹脂Bには非晶性ポリマーである樹脂を用いることが好ましく、環状オレフィン系ポリマーである樹脂がより好ましい。
樹脂Bを上述のポリマーから選択することにより、微多孔膜中において均一微細なドメイン構造が形成され、電池用セパレータとして用いた場合、イオン透過性などの電池性能や、シャットダウン特性などの電池安全性能を損なうことなく、微多孔膜の耐圧縮性改善効果がより得られる。
樹脂Bとして非晶性ポリマーである樹脂を使用する場合、樹脂Bのガラス転移温度は60℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。また、ガラス転移温度は好ましくは250℃以下であり、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下、特に好ましくは150℃以下である。樹脂Bのガラス転移温度を上記範囲とすることにより、溶融混錬樹脂の冷却時に樹脂A相、樹脂B相、可塑剤相から成る相分離構造が均一微細に形成され、得られる微多孔膜は耐圧縮性により優れたものとなる。
ポリオレフィン微多孔膜中の樹脂Bの含有量は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。また、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。樹脂Bの含有量を上述の範囲とすることにより、耐圧縮性と透過性のバランス制御が容易となる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の層構成は、単層膜であっても、少なくとも2種類の異なる特性を有する層から成る積層膜であってもよい。積層膜とする場合には、少なくとも1つの層は前述の樹脂A及び樹脂Bから成る層から成ることが好ましい。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜には、コーティング層を設けてもよい。コーティング層としては、ポリオレフィン系樹脂以外の他の多孔質層が挙げられる。他の多孔質層としては、特に限定されないが、例えば、バインダーと無機粒子とを含む無機粒子層などの多孔質層が好ましい。
無機粒子層を構成するバインダー成分としては、特に限定されず、公知の成分を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。
無機粒子層を構成する無機粒子としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができ、例えば、アルミナ、ベーマイト、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ素などを用いることができる。
次に、本発明の実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜の製造方法について示す。ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、例えば、乾式の製膜方法及び湿式の製膜方法が挙げられる。本実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、膜の構造及び物性の制御の観点から湿式の製膜方法が好ましい。
以下、湿式でのポリオレフィン微多孔膜の製造方法について説明する。なお、以下の説明は、製造方法の一例であって、この方法に限定されるものではない。
本発明の実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、下記の工程(1)〜(5)を順に含むことが好ましく、下記の工程(6)をさらに含んでもよく、工程(6)の後、又は工程(6)に代えて、さらに下記の工程(7)及び(8)の少なくとも1つの工程を含むこともできる。
(1)前記ポリオレフィン系樹脂、成膜用溶剤を溶融混練し、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製する工程
(2)前記ポリオレフィン系樹脂組成物を押出し、冷却しゲル状シートを形成する工程
(3)前記ゲル状シートを予熱し、延伸する第1の延伸工程
(4)前記延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(5)前記成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
(6)前記乾燥後のシートを予熱し、延伸する第2の延伸工程
(7)前記乾燥後のシートを熱処理する工程
(8)前記乾燥後のシートに対して架橋処理及び/又は親水化処理する工程
(1)ポリオレフィン系樹脂組成物の調製工程
樹脂A及び樹脂Bを、可塑剤(成膜用溶剤)に加熱溶解させたポリオレフィン系樹脂組成物を調製する。可塑剤としては、樹脂A及び樹脂Bを均一に分散させることができる溶剤であれば特に限定されないが、比較的高倍率の延伸を可能とするために、溶剤は室温で液体であることが好ましい。溶剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族、環式脂肪族又は芳香族の炭化水素、および沸点がこれらに対応する鉱油留分、並びにジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の室温では液状のフタル酸エステル等が挙げられる。液体溶剤の含有量が安定なゲル状シートを得るために、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いるのが好ましい。
樹脂A及び樹脂Bと可塑剤の配合割合は、成形加工性を損ねない範囲で適宜選択してよいが、ポリオレフィン系樹脂組成物全質量に対し、樹脂Aと樹脂Bの合計の含有量は10〜50質量%であることが好ましい。樹脂Aと樹脂Bの合計の含有量が10質量%以上とすると、シート状に成形する際に、口金の出口でスウェルやネックインが大きくならないため、シートの成形性や製膜性が良好となる。一方、樹脂Aと樹脂B合計の含有量を50質量%以下とすると、厚み方向の収縮が抑制され、成形加工性が良好となる。
ポリオレフィン系樹脂組成物中の樹脂Bの含有量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、樹脂Bの含有量は好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。ポリオレフィン系樹脂組成物中の樹脂Bの含有量を上記範囲とすることにより、樹脂Bがポリオレフィン系樹脂組成物中で良好な分散状態を形成し、耐圧縮性がより優れたポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。
樹脂A及び樹脂Bと可塑剤の均一な溶融混練方法は、特に限定されないが二軸押出機中で行うことが好ましい。
混練時の樹脂温度は140℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、上限は、250℃以下であることが好ましく、240℃以下であることがより好ましく、230℃以下であることがさらに好ましい。混錬時のポリオレフィン系樹脂組成物の温度を上記範囲とすることにより樹脂の劣化による強度低下を防ぐことができ、樹脂A、樹脂Bと可塑剤を均一に溶融混錬することができる。
また二軸押出機での混錬時、押出質量Q(kg/hr)とスクリュー回転速度Ns(rpm)の比から算出されるQ/Nsは、0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上である。これにより混練時の樹脂劣化による強度低下を防ぐことができる。また、上限は5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい、これによりポリオレフィン系樹脂組成物に十分なせん断を加えることができ、均一な分散状態を得ることができる。
(2)ゲル状シートの形成工程
ポリオレフィン系樹脂組成物の溶融物を押出機からダイに供給し、シート状に押し出す。
押出方法は、フラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。また、同一または異なる組成の複数のポリオレフィン系樹脂組成物を、複数の押出機から1つのマルチマニホールド型の複合Tダイへ供給し層状に積層し、積層構成のシート状に押出してもよい。押出温度は140〜250℃が好ましく、押出速度は0.2〜15m/分が好ましい。
シート状に溶融押出された樹脂組成物は、冷却固化されることによりゲル状シートとなる。冷却工程では10〜50℃まで冷却するのが好ましい。これは、最終冷却温度を結晶化終了温度以下とするのが好ましいためで、高次構造を細かくすることで、その後の延伸において均一延伸が行いやすくなる。また、この時の冷却速度は50℃/分以上の速度で行うのが好ましく、より好ましくは100℃/分以上、さらに好ましくは150℃/分以上である。一般に冷却速度が遅いと、比較的大きな結晶が形成されるので、ゲル状シートの高次構造が粗くなり、それを形成するゲル構造も大きなものとなる。対して冷却速度が速いと、比較的小さな結晶が形成されるので、ゲル状シートの高次構造が密となり、均一延伸に加え、膜の強度および伸度の向上につながる。この時の冷却方法としては冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法、キャスティングドラム等を用いる方法等がある。
(3)第1の延伸工程
次に、得られたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸するが、延伸前にゲル状シートを予熱することが好ましい。予熱温度は90〜130℃とするのが好ましく、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上であり、また、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは117℃以下である。予熱温度を上記条件で行うことにより、延伸工程において均一に延伸され均一微細な孔構造を有するポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。
予熱後のゲル状シートは、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次二軸延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次二軸延伸の組合せ)のいずれでもよいが、逐次二軸延伸であることが耐圧縮性を高める観点から好ましい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、16倍以上が好ましく、25倍以上がより好ましく、49倍以上が特に好ましい。また、機械長手方向(MD方向)及び機械幅方向(TD方向)のいずれでも4倍以上となることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。MD方向とTD方向での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。面積延伸倍率を上記範囲とすることにより機械的強度と透過性を高めることができる。また、本工程での面積延伸倍率は好ましくは150倍以下、より好ましくは100倍以下であり、これにより破膜を防ぎ、シャットダウン温度の上昇を抑制できる。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前のポリオレフィン微多孔膜を基準として、次工程に供される直前のポリオレフィン微多孔膜の面積延伸倍率のことをいう。
本工程の延伸温度は、ポリオレフィン系樹脂の結晶分散温度(TCD)〜(TCD+30)℃の範囲内にするのが好ましく、(TCD+5)℃以上がより好ましく、(TCD+10)℃以上が特に好ましく、また、(TCD+28)℃以下がより好ましく、(TCD+26)℃以下が特に好ましい。延伸温度が前記範囲内であると、ポリオレフィン系樹脂の延伸による破膜が抑制され、高倍率の延伸ができる。
結晶分散温度(TCD)は、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレン及びポリエチレン樹脂組成物は約100〜110℃の結晶分散温度を有するので、延伸温度を90〜130℃とするのが好ましく、105℃以上がより好ましく、110℃以上がさらに好ましく、また、120℃以下がより好ましく、117℃以下がさらに好ましい。
以上のような延伸によりポリエチレン−ラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン系樹脂相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。
(4)成膜用溶剤の除去工程
洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン系樹脂相は成膜用溶剤相と相分離している。そのため、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば特許第2132327号公報や特開2002−256099号公報に開示の方法を利用することができる。
(5)乾燥工程
成膜用溶剤を除去したポリオレフィン微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィン系樹脂の結晶分散温度(TCD)以下であることが好ましく、特にTCDより5℃以上低いことが好ましい。乾燥は、ポリオレフィン微多孔膜の全質量を100質量部(乾燥質量)として、残存洗浄溶媒が5質量部以下になるまで行うのが好ましく、3質量部以下になるまで行うのがより好ましい。
(6)第2の延伸工程
乾燥後のポリオレフィン微多孔膜を、少なくとも一軸方向に延伸をしてもよい(第2の延伸工程)。第2の延伸工程前にポリオレフィン微多孔膜を予熱してもよい。予熱温度は90〜140℃とするのが好ましく、より好ましくは95℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、また、より好ましくは135℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。ポリオレフィン微多孔膜の延伸は、加熱しながら上記と同様にテンター法、ロール法、インフレーション法等により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次二軸延伸、及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次二軸延伸の組合せ)のいずれでもよい。
本工程における延伸温度は、特に限定されないが、通常90〜140℃であり、より好ましくは95℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、また、より好ましくは130℃以下である。
本工程における面積延伸倍率は16.0倍以下であることが好ましく、4.0倍以下であることがより好ましく、2.0倍以下であることがさらに好ましい。二軸延伸の場合、MD方向とTD方向での延伸倍率が互いに同じでも異なってもよい。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前のポリオレフィン微多孔膜を基準として、次工程に供される直前のポリオレフィン微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
(7)熱処理工程
また、前記工程(6)の後、又は前記工程(6)に代えて、乾燥後のポリオレフィン微多孔膜は、熱処理を行うことができる。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中にMD方向やTD方向に熱収縮させる熱処理である。熱固定処理は、テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。例えば、熱緩和処理方法としては特開2002−256099号公報に開示の方法があげられる。熱処理温度はポリオレフィン系樹脂のTCD〜融点の範囲内が好ましい。融点は、JIS K7121(1987)に基づき、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
(8)架橋処理、親水化処理工程
また、乾燥後のポリオレフィン微多孔膜に対して、工程(7)の後、又は工程(7)に代えて、さらに、架橋処理および親水化処理を行うこともできる。
例えば、ポリオレフィン微多孔膜に対して、Α線、Β線、Γ線、電子線等の電離放射線の照射することにより、架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1〜100MRADの電子線量が好ましく、100〜300kVの加速電圧が好ましい。架橋処理によりポリオレフィン微多孔膜のメルトダウン温度が上昇する。
また、親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。
以上のようにして得られたポリオレフィン微多孔膜は、フィルター、二次電池用セパレータ、燃料電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータなど様々な用途で用いることができる。特に電池用セパレータとして用いた際に、透過性に優れ、高い安全性を付与することができ、電気自動車などの高エネルギー密度化、高容量化、および高出力化を必要とする二次電池用セパレータとしてより好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
〔測定方法〕
[厚み]
ポリオレフィン微多孔膜の50mm×50mmの範囲内における任意の5点の膜厚を接触厚み計、株式会社ミツトヨ製ライトマチックVL−50(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.01N)により測定し、平均値を厚み(μm)とした。
[空孔率]
ポリオレフィン微多孔膜から50mm×50mm角の正方形にサンプルを切り取り、室温25℃におけるその体積(cm)と質量(g)とを測定した。それらの値と膜密度(g/cm)とから、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率を次式により算出した。なお、膜密度は0.99g/cmの一定値と仮定して計算した。

式:空孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
[厚み1μm換算の突刺強度]
突刺強度は、試験速度を2mm/秒としたことを除いて、JIS Z 1707(2019)に準拠して測定した。フォースゲージ(株式会社イマダ製 DS2−20N)を用いて、先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1.0mmの針で、ポリオレフィン微多孔膜を25℃の雰囲気下で突刺したときの最大荷重(gf)を計測し、前述した方法で測定された厚みの値を用い、下記の式から求まる値を厚み1μm換算の突刺強度(gf/μm)とした。
式:厚み1μm換算の突刺強度(gf/μm)=最大荷重(gf)/ポリオレフィン微多孔膜の厚み(μm)
[厚み1μm換算の透気度]
ポリオレフィン微多孔膜に対して、JIS P−8117:2009年に準拠して、王研式透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)で25℃の雰囲気下、透気度(秒/100cm)を測定した。また、前述した方法で測定された厚みの値を用い、下記の式により、厚み1μm換算の透気度(秒/100cm)を算出した。
式:厚み1μm換算の透気度(秒/100cm)=透気度(秒/100cm)/ポリオレフィン微多孔膜の厚み(μm)
[引張強度]
MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度について、島津製作所製 万能試験機AGS−Jを用いてASTM D882に準拠した方法により測定した。試験片として幅10mmの短冊状試験片を用い、MD方向、TD方向のいずれについても、サンプル面内の任意の3箇所で測定を行い、その平均値をかかる方向の引張強度とした。
[シャットダウン温度]
ポリオレフィン微多孔膜を5℃/minの昇温速度で加熱しながら、王研式透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)により透気抵抗度を測定し、透気抵抗度が検出限界である99999秒/100cmAirに到達した温度をシャットダウン温度(℃)とした。
測定セルはアルミブロックで構成され、ポリオレフィン微多孔膜の直下に熱電対を有する構造とし、サンプルを5cm×5cm角に切り取り、周囲をОリングで固定しながら昇温測定した。
[105℃、8時間後の熱収縮率]
ポリオレフィン微多孔膜を2辺がMD方向に平行となるような5cm×5cmの正方形のサンプルを切り出した。サンプルのTD方向の中央部でMD方向のサンプル長さを計測し、これをMD収縮前長さ(L1MD)とした。また、MD方向の中央部でTD方向のサンプル長さを計測しこれをTD収縮前長さ(L1TD)とした。
次に、槽内温度を105℃としたオーブン内へサンプルを投入して加熱し、投入から8時間後にこれを取り出した。前述のMD収縮前長さを測定した箇所のMD方向長さを測定し、これをMD収縮後長さ(L2MD)とした。また、前述のTD収縮前長さを測定した箇所のTD方向長さを測定し、これをTD収縮後長さ(L2TD)とした。これらの値を用いて、105℃、8時間後の熱収縮率を下記式により算出した。また本測定はサンプル面内の任意の3箇所で行い、その平均値を105℃、8時間後の熱収縮率(%)として算出した。
式:105℃、8時間後の熱収縮率(%)=100×(L1MD−L2MD+L1TD−L2TD)/(L1MD+L1TD
[ポリオレフィン微多孔膜中のドメイン径]
ポリオレフィン微多孔膜をRuOで染色し、ミクロトーム法により厚み方向−MD方向の断面を観察するための薄切片を作製した。透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM1400Plus型)を用い加速電圧100kV、倍率50000で観察し、樹脂A部分、樹脂B部分、空孔部分のそれぞれで染色具合が異なることから、濃淡のコントラストを有する観察像を得た。上述の観察像の中で、樹脂Bに由来するドメイン状のコントラストを有する領域について、ドメインの面積を算出し、ドメインの断面を円形と仮定してその直径を算出した値をドメイン径とした。ドメイン径の値は任意の10個のドメインについて上記計測、算出を行い、その平均値をポリオレフィン微多孔膜中のドメイン径(nm)とした。
[70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率、70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率、及び70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率]
ポリオレフィン微多孔膜を100枚重ね、打ち抜き機で直径14mmの円形に打ち抜いたサンプルを作製した。粘弾性測定装置(TAインスツルメント製RSA−G2)でφ4mmの円形の圧縮治具を用い、圧縮モードでの測定を行った。サンプルを試料台にセットし、上述の圧縮治具で70KPaの圧力でサンプルを抑えた状態で槽内を70℃に昇温し、70℃まで昇温された時点での測定治具と資料台のギャップをサンプル厚みTとした。槽内が70℃となった後、圧縮圧力を2.3MPaに変更して1時間保持し、測定治具と試料台のギャップが最も狭くなった時の値を加圧時サンプル厚みTとした。これに、前述の[空孔率]に記載の測定方法により算出したポリオレフィン微多孔膜の空孔率(%)の値を用い、下記式1により70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率を、式2により70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率を、式3により70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率を、それぞれ算出した。
式1:70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率(%)=100×(T−T)/T
式2:70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率(−)=100×(T−T)/(T×空孔率)
式3:70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率(%)=100×{T×空孔率/100−(T−T)}/T
(実施例1)
樹脂Aとして重量平均分子量(Mw)が6.0×10、融点136℃の高密度ポリエチレン60質量%、及び重量平均分子量(Mw)が2.0×10、融点133℃の超高分子量ポリエチレン40質量%から成る混合物を用いた。樹脂Bとして、ガラス転移温度が178℃である環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス製COC TOPAS(登録商標)6017S−04)を用いた。
樹脂A17質量%、樹脂B8質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを混錬評価試験装置(東洋精機株式会社製 ラボプラストミル)へ投入し、温度200℃、シリンダー回転速度50rpmで15分間溶融混練して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。ポリオレフィン系樹脂組成物をテフロンシートで挟んで200℃でプレス後、サンプルを取り出して、25℃に調温した金属板で挟み、これを冷却することでゲル状シートを形成した。
得られたゲル状シートを80mm四方の四角形になるように切り出し、115℃にて300秒間予熱を行い、延伸温度115℃、延伸速度1000mm/minにてMD方向に5倍、TD方向に5倍となるように同時二軸延伸を行った(第1の延伸)。延伸後の膜を塩化メチレンの洗浄槽内にて洗浄して、流動パラフィンを除去し、洗浄した膜を20℃に調整された乾燥炉で乾燥し、電気オーブン内にて120℃で10分間熱固定処理(熱処理)することによりポリオレフィン微多孔膜を得た。
(実施例2)
樹脂Aとして重量平均分子量(Mw)が4.0×10、融点136℃の分岐状高密度ポリエチレン60質量%、及び重量平均分子量(Mw)が2.0×10、融点133℃の超高分子量ポリエチレン40質量%から成る混合物を用いた。樹脂Bは使用しなかった。樹脂A25質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを混錬評価試験装置(東洋精機株式会社製 ラボプラストミル)へ投入し、温度200℃、シリンダー回転速度50rpmで15分間溶融混練して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。ポリオレフィン系樹脂組成物をテフロンシートで挟んで200℃でプレス後、サンプルを取り出して、25℃に調温した金属板で挟み、これを冷却することでゲル状シートを形成した。
得られたゲル状シートを80mm四方の四角形になるように切り出し、115℃にて300秒間予熱を行い、延伸温度115℃、延伸速度1000mm/minにてまずはMD方向に9倍、次にTD方向に9倍となるよう逐次二軸延伸を行った(第1の延伸)。延伸後の膜を塩化メチレンの洗浄槽内にて洗浄して、流動パラフィンを除去し、洗浄した膜を20℃に調整された乾燥炉で乾燥し、電気オーブン内にて125℃で10分間熱固定処理(熱処理)することによりポリオレフィン微多孔膜を得た。
(実施例3)
樹脂Bとして、ガラス転移温度が138℃である環状オレフィンコポリマー(COC)(ポリプラスチックス製COC TOPAS(登録商標)6013F−04)を用い、樹脂A20質量%、樹脂B5質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを用いて、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(実施例4)
樹脂Bとして、ガラス転移温度が136℃である環状オレフィンポリマー(COP)(日本ゼオン株式会社製COP ZEONOR(登録商標)1420R)を用い、樹脂A20質量%、樹脂B5質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを用いて、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(比較例1)
樹脂Aにおいて、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの割合を80質量%と20質量%から成る混合物を用いたこと、樹脂Bを使用しなかったこと、並びに、樹脂A25質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを用いてポリオレフィン系樹脂組成物を調整したことを除いて、実施例1と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(比較例2)
樹脂Aとして重量平均分子量(Mw)が6.0×10、融点136℃の高密度ポリエチレン60質量%、及び重量平均分子量(Mw)が2.0×10、融点133℃の超高分子量ポリエチレン40質量%から成る混合物を用いたことを除いて、実施例2と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(比較例3)
樹脂A12質量%、樹脂B13質量%、酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタン0.2質量%、及び流動パラフィン74.8質量%を混合したものを用いて、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(比較例4)
樹脂Bとして平均粒子径2.2μmの架橋アクリルビーズ(アクリル粒子)(根上工業株式会社製 アートパールJ−4P)を用いたことを除いて、実施例3と同様に実施し、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
(評価)
各ポリオレフィン微多孔膜の製造に用いるポリオレフィン系樹脂組成物及び成膜条件、並びに、得られたポリオレフィン微多孔膜の各評価結果を表1に示す。表1の「ポリオレフィン系樹脂組成物」における「−」は、その成分を含有していないことを示す。また、「ポリオレフィン微多孔膜中のドメイン径」における「−」はドメインの存在が確認できず測定不可であることを示す。
実施例1〜4のポリオレフィン微多孔膜は、いずれも70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値が0.20以下であり、良好な耐圧縮性が得られたと同時に、140℃以下の低いシャットダウン温度を有する。そのため、二次電池用セパレータとして使用した場合に優れた出力特性と高い安全性を付与することができる。一方で、比較例1〜比較例4のポリオレフィン微多孔膜は、耐圧縮性に乏しいか、シャットダウン温度が高いか、またはその両方であるため、二次電池用セパレータとして使用した場合に出力特性や、電池安定性が十分ではない。
Figure 2021105165
本発明のポリオレフィン微多孔膜は二次電池用セパレータとして用いた場合において、高い耐圧縮性により優れた充放電特性を有しながら、電池の異常発熱時には速やかにシャットダウンし、高い安全性を付与することができる。そのため、特に高容量化が要求される二次電池用のセパレータとして好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 70℃、2.3MPaで加圧時の膜厚低下率/空孔率で表される値が0.20以下であり、シャットダウン温度が140℃以下であるポリオレフィン微多孔膜。
  2. 空孔率が35%以上である、請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. 70℃、2.3MPaで加圧時の空孔率が30%以上である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  4. ポリエチレン系樹脂50〜99質量%と、前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマー1〜50質量%とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーが非晶性ポリマーである、請求項4に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーが環状オレフィン系ポリマーである、請求項4に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  7. ポリエチレン系樹脂から成る第一相が連続構造を有し、前記ポリエチレン系樹脂に非相溶なポリマーから成る第二相が非連続構造となっており、前記第二相は10〜300nmのドメイン径を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  8. 105℃、8時間後の熱収縮率が5%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  9. 厚み1μm換算の透気度が30秒/100cm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  10. 厚み1μm換算の突刺強度が10gf/μm以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  11. 厚みが5μm以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
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