JP2020187958A - リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物 - Google Patents

リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱収縮性に優れたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物を提供することである。【解決手段】カルボキシル基を有するラジカル重合体(A)、及び水性媒体(B)を含有するリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)のイミド結合濃度が1〜6mmol/gであり、エステル結合濃度が0.5mmol/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物に関する。
リチウムイオン二次電池の製造に使用するセパレータとしては、一般に、ポリオレフィン樹脂等を用いて得られる多孔体を使用することが多い。リチウムイオン二次電池は、通常、電解液中のイオンが前記セパレータを構成する孔を介して移動することによって、電池としての機能を発揮する。
一方、前記リチウムイオン二次電池の出力が増大するなかで、前記リチウムイオン二次電池には、異常発熱に起因した発火等を引き起こす可能性があるという問題が懸念されている。
前記発火等を防止する方法としては、例えば前記リチウムイオン二次電池が発熱した際に、前記セパレータの微多孔がその熱の影響によって無孔化しうるセパレータを使用する方法が知られている。これにより、電解液内におけるイオンの伝導を停止し、さらなる発熱や発火を防止することが期待されている。
しかし、前記セパレータは、その熱の影響によって著しい収縮を引き起こし、その結果、電解液内におけるイオンの伝導を停止することができず、リチウムイオン二次電池の短絡を引き起こす可能性を有していた。
熱収縮を引き起こしにくいセパレータとしては、ポリオレフィン樹脂等を用いて得られる多孔体の表面に、多孔状の耐熱層を設けたものが知られており、例えば、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔膜の少なくとも片面に、無機粒子と樹脂製バインダーとを含む多孔層を備えた多層多孔膜であって、前記樹脂製バインダーが、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体と、不飽和カルボン酸単量体と、架橋性単量体とを原料単位として含む共重合体であることを特徴とする多層多孔膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この材料は耐熱層として一定の効果を発現するものの、180℃等の高温環境下においては、耐熱性が不十分であるため、異常発熱の際に電池の短絡を引き起こす可能性があった。
特開2011−000832号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱収縮性に優れたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のラジカル重合体、及び水性媒体を含有する水性樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カルボキシル基を有するラジカル重合体(A)、及び水性媒体(B)を含有するリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)のイミド結合濃度が1〜6mmol/gであり、エステル結合濃度が0.5mmol/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物に関するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物は、耐熱収縮性に優れるセパレータが得られることから、リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層のバインダーに好適に用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物は、カルボキシル基を有するラジカル重合体(A)、及び水性媒体(B)を含有するリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)のイミド結合濃度が1〜6mmol/gであり、エステル結合濃度が0.5mmol/g以下であるものである。
なお、本発明におけるラジカル重合体(A)のイミド結合濃度又はエステル結合濃度とは、ラジカル重合体(A)の原料である単量体成分中のイミド結合を有する単量体又はエステル結合を有する単量体の質量%から計算により求めた値である。
まず、前記ラジカル重合体(A)について説明する。前記ラジカル重合体(A)のイミド結合濃度は、優れた耐熱収縮性を発現するために、1〜6mmmol/gであることが重要であるが、1.5〜5.5mmol/gであることが好ましい。
一方、前記ラジカル重合体(A)のエステル結合濃度は、優れた耐熱収縮性を発現するために、0.5mmol/g以下であることが重要であるが、0.3mmol/g以下であることが好ましい。
前記ラジカル重合体(A)は、例えば、カルボキシル基を有する単量体(a1)、イミド結合を有する単量体(a2)、及び前記単量体(a1)及び前記単量体(a2)以外のその他の単量体(a3)を単量体原料として、ラジカル重合することにより得られる。
前記カルボキシル基を有する単量体(a1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸などが挙げられるが、耐熱性がより向上することから、無水マレイン酸、マレイン酸が好ましい。なお、これらの単量体(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記イミド結合を有する単量体(a2)としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物が挙げられるが、耐熱収縮性がより向上することから、N−フェニルマレイミドが好ましい。なお、これらの単量体(a2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記単量体(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端に水酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシメチルアミド基を有する単量体、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシメチルアミド基を有する単量体などの窒素原子を有する単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロメチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等のビニル単量体;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、これらの単量体(a3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記単量体(a3)としては、耐熱収縮性がより向上することから、エステル結合を有しない単量体が好ましく、スチレン、アクリロニトリルがより好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方又は両方をいう。
前記ラジカル重合体(A)の単量体原料中の前記単量体(a1)は、水性媒体中での安定性がより向上することから、5〜70質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
前記ラジカル重合体(A)の単量体原料中の前記単量体(a2)は、耐熱収縮性がより向上することから、10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましく、40〜70質量%が特に好ましい。
前記ラジカル重合体(A)の単量体原料中の前記単量体(a3)は、耐熱収縮性がより向上することから、20〜60質量%が好ましい。
前記ラジカル重合体(A)は、例えば、前記単量体(a1)、前記単量体(a2)、及び前記単量体(a3)を、有機溶剤及び/又は水中で、重合開始剤存在下、50〜140℃の温度で加熱しラジカル重合することによって製造することができる。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンのような芳香族溶剤;シクロへキサンのような脂環族溶剤;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル溶剤;イソブタノール、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、ソルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤等を使用することができる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などが挙げられる。これらの重合体開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記重合開始剤は、前記ラジカル重合体(A)の原料となる単量体の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみを使用することが特に好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池耐熱層バインダー用水性樹脂組成物は、ラジカル重合体(A)、及び、水性媒体(B)を含有するものであるが、前記方法で得られたラジカル重合体(A)が水性媒体(B)に溶解または分散したものであることが好ましい。
前記ラジカル重合体(A)を水性媒体(B)に溶解または分散する方法としては、前記ラジカル重合体(A)と前記水性媒体(B)とを混合する方法、前記ラジカル重合体(A)を中和したものと前記水性媒体(B)とを混合する方法、前記ラジカル重合体(A)を、前記水性媒体(B)中で、乳化重合により得る方法等が挙げられる。
前記ラジカル重合体(A)の水性媒体への溶解性及び分散性が良好となることから、前記ラジカル重合体(A)の有するカルボキシル基を、塩基性化合物により中和することが好ましい。
前記塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール等の有機アミン;アンモニア(水)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも有機アミンおよびアンモニア(水)を使用することが好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、必要に応じて脱溶剤工程を経ることにより、本発明の水性樹脂組成物中の有機溶剤量を低減することができる。
前記方法で得られた本発明の水性樹脂組成物は、塗工作業性がより向上することから、水性樹脂組成物の全量に対して前記ラジカル重合体(A)を5〜60質量%の範囲で含有するものが好ましく、10〜50質量%の範囲で含有するものがより好ましい。
また、本発明の水性樹脂組成物は、塗工作業性がより向上することから、水性樹脂組成物の全量に対して前記水性媒体(B)を95〜40質量%の範囲で含有するものが好ましく、90〜50質量%の範囲で含有するものがより好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤等の添加剤、pH調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、補強剤、触媒、抗菌剤、防カビ剤、防錆剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、顔料を併用することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、熱収縮率の小さいセパレータが得られることから、リチウムイオン二次電池耐熱層のバインダーとして好適に用いることができる。
本発明の水性樹脂組成物に無機充填剤を添加することで、優れた耐熱性を有する耐熱層が得られる。
前記無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、焼成カオリンなどを使用することができる。これらの中でも、焼成カオリンまたはアルミナを使用することが、より一層、耐熱性に優れた耐熱層を形成するうえで好ましい。
前記無機充填剤と本発明の水性樹脂組成物との固形分質量比が1/1,000〜1/5となる範囲で使用することが、イオンを伝導可能な程度の連通孔を備えたセパレータを形成し、かつ耐熱性に優れたセパレータを形成するうえで好ましい。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
(実施例1:リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(1)の合成及び評価)
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた2Lの反応容器中に、シクロヘキサノン50質量部と無水マレイン酸33.2質量部を仕込み120℃まで加熱したのち、これにスチレン56.6質量部、フェニルマレイミド33.2質量部、シクロヘキサノン50質量部とt−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.5質量部の混合物を3時間で滴下し、117〜123℃の範囲で重合反応を行った。重合終了30分後、t−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.1質量部を添加し、同温度にて2時間ホールド後、冷却を行った。温度40℃以下にて12.5質量%アンモニア水を92.1質量部およびイオン交換水を550.0質量部添加したのち再び80℃に昇温し、減圧脱溶剤を不揮発分27質量%以上になるまで実施した。その後イオン交換水および25質量%安水を用いて不揮発分25.0質量%、pH7.5に調整し、水性樹脂組成物(1)を得た。この水性樹脂組成物(1)の粘度は420mPa・sであった。
[耐熱層スラリーの調製]
ホモディスパーで5,000回転にて撹拌しながら1質量%カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学株式会社性「DN−800H」)100質量部にアルミナ(住友化学株式会社製「AKP−50」)100質量部を徐々に加え、分散を行った。これらが均一混合された後、上記で合成した水性樹脂組成物(1)20.0質量部、イオン交換水305.0質量部を添加し、均一に混合し、耐熱層スラリー(1)を調製した。
[耐熱層を有するセパレータの作製]
厚み12μmのポリエチレンセパレータ基材両面に上記で得た耐熱層スラリー(1)をバーコーターにて乾燥後の膜厚が4μmとなるように塗工し、セパレータ(1)を得た。乾燥温度は60℃、乾燥時間は5分間とした。
[耐熱収縮性の評価]
上記で作成した耐熱層を有するセパレータを5cm角に切り、厚紙に挟んだ状態で180℃温風乾燥機に1時間静置し、耐熱性試験を行った。試験後のセパレータの縦、横各々の長さを測定し、縦方向の収縮率(MD収縮率(%))及び横方向の収縮率(TD収縮率(%))を算出し、耐熱収縮性を評価した。
収縮率(%)=試験後のセパレータの長さ/試験前のセパレータの長さ×100(%)
(実施例2:リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(2)の合成及び評価)
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた2Lの反応容器中に、シクロヘキサノン20質量部と無水マレイン酸24.6質量部を仕込み120℃まで加熱したのち、これにスチレン24.6質量部、フェニルマレイミド73.8質量部、シクロヘキサノン80質量部とt−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.5質量部の混合物を3時間で滴下し、117〜123℃の範囲で重合反応を行った。重合終了30分後、t−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.1質量部を添加し、同温度にて2時間ホールド後、冷却を行った。温度40℃以下にて12.5質量%アンモニア水を68.3質量部およびイオン交換水を573.8質量部添加したのち再び80℃に昇温し、減圧脱溶剤を不揮発分27質量%以上なるまで実施した。その後イオン交換水および25質量%安水を用いて不揮発分25.0質量%、pH7.7に調整し、水性樹脂組成物(2)を得た。この水性樹脂組成物(2)の粘度は180mPa・sであった。
実施例1で用いたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(1)をリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(2)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、耐熱層スラリー(2)及びセパレータ(2)を作製し、耐熱収縮性を評価した。
(比較例1:リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R1)の合成及び評価)
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた1Lの反応容器中に、イオン交換水65質量部と乳化剤(第一工業製薬株式会社製「ハイテノールLA−12」)1質量部を仕込み80℃まで加熱したのち、これにn−ブチルアクリレート85質量部、メチルメタクリレート14.0質量部、メタアクリル酸1質量部、の混合物をイオン交換水35質量部と乳化剤(第一工業製薬株式会社製「ハイテノールLA−12」)3質量部で乳化したモノマー分散液および過硫酸アンモニウム1質量部をイオン交換水10質量部に溶解した水溶液を各々3時間で滴下し、77〜83℃の範囲で重合反応を行った。重合終了30分後、重合開始剤(日油株式会社製「パーブチルO」)0.5質量部を添加し、同温度にて2時間ホールド後、冷却を行った。温度40℃以下にて12.5質量%アンモニア水を1.6質量部添加後、イオン交換水を用いて不揮発分45質量%に調整し、水性樹脂組成物(R1)を得た。この水性樹脂組成物(R1)の粘度は16mPa・s、pH7.9であった。
実施例1で用いたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(1)20.0質量部及びイオン交換水305.0質量部を、リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R1)11.1質量部及びイオン交換水313.9質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、耐熱層スラリー(R1)を調製した。さらに、耐熱層スラリー(1)を耐熱層スラリー(R1)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、セパレータ(R2)を作製し、耐熱収縮性を評価した。
(比較例2:リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R2)の合成及び評価)
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた2Lの反応容器中に、シクロヘキサノン50質量部と無水マレイン酸24.6質量部を仕込み120℃まで加熱したのち、これにスチレン91.0質量部、フェニルマレイミド7.4質量部、シクロヘキサノン50質量部とt−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.5質量部の混合物を3時間で滴下し、117〜123℃の範囲で重合反応を行った。重合終了30分後、t−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.1質量部を添加し、同温度にて2時間ホールド後、冷却を行った。温度40℃以下にて12.5質量%アンモニア水を68.3質量部およびイオン交換水を573.8質量部添加したのち再び80℃に昇温し、減圧脱溶剤を不揮発分27質量%以上なるまで実施した。その後イオン交換水および25質量%安水を用いて不揮発分25.0質量%、pH7.5に調整を行った。この水性樹脂組成物(R2)の粘度は110mPa・sであった。
実施例1で用いたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(1)をリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R2)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、耐熱層スラリー(R2)及びセパレータ(R2)を作製し、耐熱収縮性を評価した。
(比較例3:リチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R3)の合成及び評価)
攪拌機、温度計および冷却器を取り付けた2Lの反応容器中に、シクロヘキサノン50質量部と無水マレイン酸33.2質量部を仕込み120℃まで加熱したのち、これにn−ブチルメタクリレート50.0質量部、スチレン6.6質量部、フェニルマレイミド33.2質量部、シクロヘキサノン50質量部とt−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.5質量部の混合物を3時間で滴下し、117〜123℃の範囲で重合反応を行った。重合終了30分後、t−ブチルオキシベンゾエート(日油株式会社製「パーブチルZ」)0.1質量部を添加し、同温度にて2時間ホールド後、冷却を行った。温度40℃以下にて12.5質量%アンモニア水を92.1質量部およびイオン交換水を550質量部添加したのち再び80℃に昇温し、減圧脱溶剤を不揮発分27%質量以上なるまで実施した。その後イオン交換水および25質量%安水を用いて不揮発分25.0質量%、pH7.8に調整を行った。この水性樹脂組成物(R3)の粘度は210mPa・sであった。
実施例1で用いたリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(1)をリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物(R3)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、耐熱層スラリー(R3)及びセパレータ(R3)を作製し、耐熱収縮性を評価した。
上記の実施例1〜2及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 2020187958
本発明の水性樹脂組成物である実施例1及び2のものから得られる耐熱層は、耐熱収縮性に優れることが確認された。
一方、比較例1は、ラジカル重合体(A)中にイミド結合を有さないものの例であるが、得られる耐熱層の耐熱収縮性が劣ることが確認された。
また、比較例2は、ラジカル重合体(A)中のイミド結合濃度が本発明の下限よりも低い例であるが、得られる耐熱層の耐熱収縮性が劣ることが確認された。
比較例3は、ラジカル重合体(A)中のエステル結合濃度が、本発明の上限よりも高い例であるが、得られる耐熱層の耐熱収縮性が劣ることが確認された。

Claims (3)

  1. カルボキシル基を有するラジカル重合体(A)、及び水性媒体(B)を含有するリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)のイミド結合濃度が1〜6mmol/gであり、エステル結合濃度が0.5mmol/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物。
  2. 前記ラジカル重合体(A)の酸価が、100〜900mgKOH/gである請求項1記載のリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層バインダー用水性樹脂組成物。
  3. 前記ラジカル重合体(A)が、フェニルマレイミドを必須原料とするものである請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池セパレータ耐熱層用バインダー用水性樹脂組成物。
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