JP6124067B2 - 微多孔質膜、その製造方法および電池用セパレータ - Google Patents

微多孔質膜、その製造方法および電池用セパレータ Download PDF

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Description

本発明は、微多孔膜、その製造方法、および、特に非水電解質二次電池に好適に用いられる電池用セパレータに関する。
電子機器のコードレス化、ポータブル化に伴い、これらの駆動用電源として高起電力で、自己放電の少ないリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目を集めている。近年、特に、高エネルギー密度化が進んだことに伴い、従来の電子機器用途だけでなく自動車用途への採用も急速に増えるに至り、さらなる安全性確保が求められている。
非水電解質二次電池は、正極負極の間に、両極の短絡防止のためセパレータが介在せしめられるが、かかるセパレータとしては両極間のイオンの透過性を確保するために、多数の微細孔が形成された膜等(以下「微多孔膜」という)が使用される。この微多孔膜には、優れた機械的特性だけでなく、電池温度が上昇した際に微多孔膜の孔が閉塞して電流を遮断する「シャットダウン機能」を有するという観点から、現状ではポリオレフィン微多孔膜が用いられている。しかし、上記ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータは、非水電解質二次電池が熱暴走を始めて昇温し続けると、熱収縮を起こして破膜し、両極が短絡(ショート)する「メルトダウン」を引き起こす問題がある。
このため、該微多孔膜には、シャットダウン機能と、メルトダウンを防ぐため「耐熱収縮性」とが求められるが、シャットダウン機能はポリオレフィンの溶融による孔の閉塞をその作動原理としているため、耐熱収縮性とは性質が相反する。
そこで、耐熱収縮性を向上させ、かつシャットダウン機能も両立させるために、ポリオレフィンをマトリックスとする相中に、高融点のポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる1〜10μmの径を有する球状微粒子を分散させた微多孔膜が提案されている(特許文献1参照)。しかし、該微多孔膜は、耐熱収縮性が充分でなく、さらなる改良が求められていた。
特開2004−149637号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィンおよび高融点の熱可塑性樹脂を含み、シャットダウン機能と耐熱収縮性に優れた電池用セパレータに用いることができる微多孔膜、その製造方法および当該微多孔膜を提供可能な微多孔膜用樹脂組成物ならびに微多孔膜用原反シート又はフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)の連続相中にポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で分散している樹脂組成物を用いて微多孔質膜を製造することで、ポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)を孔付近に存在させ、高融点の熱可塑性樹脂に基づく優れた耐熱収縮性を実現しつつ、かつポリオレフィン分散相に基づく優れたシャットダウン機能を両立できることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)を含む樹脂組成物からなる微多孔膜であって、
前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が95〜70質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が5〜30質量%の範囲である微多孔膜、に関する。
さらに本発明は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を、熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で混練して、混練物(β)を得る工程(1)、
前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度に加熱した混練物(β)をフィルム化ないしシート化して熱可塑性樹脂(a)を連続相とするフィルムまたはシート(γ)を得る工程(2)、
得られたフィルムまたはシート(γ)を多孔質化する工程(3)、
を有することを特徴とする微多孔膜の製造方法に関する。
また、本発明は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を含む樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が52〜28質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が3〜12質量%の範囲であり、前記孔形成剤(d)が45〜60質量%の範囲であり、熱可塑性樹脂(a)の連続相中に、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で分散していることを特徴とする微多孔膜用樹脂組成物に関する。
本発明によれば、ポリオレフィンおよび高融点の熱可塑性樹脂を含み、シャットダウン機能と耐熱収縮性に優れた電池用セパレータ、好ましくは非水電解質二次電池用セパレータ、さらに好ましくは非水電解質二次電池用単層セパレータに用いることができる微多孔膜、その製造方法および当該微多孔膜を提供可能な微多孔膜用樹脂組成物ならびに微多孔膜用原反シート又はフィルムを提供することができる。
本発明の微多孔膜は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)を含む樹脂組成物(β)からなる微多孔膜であって、
前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が95〜70質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が5〜30質量%の範囲であることを特徴とする。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(a)としては、融点が220℃以上、好ましくは220〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的にはポリアミド6(6−ナイロン)、ポリアミド66(6,6−ナイロン)またはポリアミド12(12−ナイロン)などの脂肪族骨格を有するポリアミドや、ポリアミド6T(6T−ナイロン)、ポリアミド9T(9T−ナイロン)などの芳香族骨格を有するポリアミドなど融点が220℃以上、好ましくは220〜310℃の範囲であるポリアミドや、ポリブチレンテレフタレート、ポリイソブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリシクロヘキセンテレフタレートなどの融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるポリエステル樹脂や、融点が265℃以上、好ましくは265〜350℃の範囲、さらに好ましくは280〜300℃の範囲であるポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドや、融点が300〜390℃の範囲であるポリエーテルエーテルケトンや、パラヒドロキシ安息香酸を骨格中に有する融点が300℃以上、好ましくは300℃〜熱分解温度(380℃)未満である液晶ポリマーや、融点が220℃以上、好ましくは220〜280℃の範囲であるシンジオタクチックポリスチレン等の融点が220〜390℃の範囲の熱可塑性樹脂といった、いわゆる汎用エンジニアリングプラスチックないしスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられ、このうち、優れた難燃性や寸法安定性を有するポリアリーレンスルフィドが好ましい。
本発明において該熱可塑性樹脂の分子量は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、溶融混練時に、該樹脂成分のガス化やブリードアウトを抑えることができる点から、該樹脂の溶融粘度に換算した値として、50〔Pa・s〕以上の範囲であることが好ましく、一方、溶融粘度の上限は特に問題ないものの、流動性、成形性の観点から3000〔Pa・s〕以下の範囲であることが好ましく、さらに100〜1000〔Pa・s〕の範囲であることが最も好ましい。なお、「溶融粘度」は、該熱可塑性樹脂の融点プラス20℃において、フローテスター(島津製作所製高化式フローテスター「CFT−500D型」)を用いて、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持後の溶融粘度を指すものとする。また、「融点」は、JIS 7121(1999年) 9.1(1)の方法に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により測定した融解ピーク温度を指すものとする。
ここで、好ましい熱可塑性樹脂(a)として挙げたポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)についてさらに詳述する。
本発明に使用するポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
Figure 0006124067
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位を繰り返し単位とする樹脂である。
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(2)で表されるパラ位で結合するものが好ましいものとして挙げられる。
Figure 0006124067
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(2)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)は、前記式(1)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(3)〜(6)
Figure 0006124067
で表される構造部位を、前記式(1)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(3)〜(6)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記式(3)〜(6)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)は、その分子構造中に、下記式(7)
Figure 0006124067
で表される3官能性の構造部位、或いは、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、300℃で測定した溶融粘度(V6)が50〜3000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから100〜1000〔Pa・s〕の範囲がより好ましい。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90〜2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90〜1.20の範囲であることが好ましく、さらに0.95〜1.15の範囲であることがより好ましく、特に0.95〜1.10であることが特に好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
Figure 0006124067
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどPPSは線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを、硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、2)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばその他の共重合成分とを、極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下に、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールと、更に必要ならばその他の共重合成分とを自己縮合させる方法、4)ジヨード芳香族化合物と単体硫黄と必要に応じて重合禁止剤とを重合触媒の存在下で溶融重合する方法等が挙げられる。これらの方法のなかでも、3)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。上記3)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物を含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でポリハロ芳香族化合物、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モルの範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。
本発明の微多孔膜に用いるポリオレフィン(b)としてはその種類に限定はなく、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン等のモノマーを原料として重合して得られるホモ重合体、共重合体または多段重合体等が挙げられ、また、2種以上の異なるホモ重合体、共重合体または多段重合体を混合して用いることもできる。
例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレンを用いる場合、その質量平均分子量は5×10 以上、15×10以下の範囲であるのが好ましい。ポリエチレンの種類としては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンが挙げられる。超高分子量ポリエチレンの質量平均分子量は1×10 〜15×10 であるのが好ましく、1×10 〜5×10であるのがより好ましい。質量平均分子量を15×10以下にすることにより、溶融押出を容易にすることができる。また、質量平均分子量が5×10 以上のポリエチレンに、質量平均分子量1×10 以上 〜5×10 未満のポリエチレン、質量平均分子量1×10 〜4×10 のポリプロピレン、質量平均分子量1×10 〜4×10 のポリブテン−1、質量平均分子量1×10 以上 〜1×10未満のポリエチレンワックス、及び質量平均分子量1×10 〜4×10 のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を混合することも好ましい。
ポリオレフィンとしてポリプロピレンを用いる場合、その質量平均分子量に特に制限はないが、1×10 〜4×10 であるのが好ましい。
ポリオレフィン、特に質量平均分子量が5×10 以上のポリエチレンと伴にエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、α−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が好適である。
本発明に用いるポリオレフィン(b)としては、中でも高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、またはポリプロピレンが好ましく、さらに高密度ポリエチレンがより好ましい。
本発明は、必要に応じて相溶化剤を使用することができ、これによりポリオレフィンと熱可塑性樹脂の相溶性を向上させることができ好ましい。相溶化剤としては前記熱可塑性樹脂の末端と反応性を有する官能基を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。さらに、融点が300℃以下であり、室温でゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。中でも、耐熱性、混合の容易さの点で、ガラス転移点が−40℃以下の熱可塑性エラストマーが低温でもゴム弾性を有するため好ましい。前記ガラス転移点は、低いほど好ましい傾向にあるものの、通常、−180〜−40℃の範囲のものが好ましく、−150〜−40℃の範囲のものが特に好ましい。
本発明に用いる前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、前記熱可塑性樹脂(a)と反応性を有する官能基を有する熱可塑性エラストマー(c1)、すなわち、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基、酸無水物基及びエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性エラストマーであることが好ましく、これらの中でもエポキシ基あるいは酸無水物基、カルボキシル基、エステル基等のカルボン酸誘導体に起因する官能基を有するものが特に好ましい。これらの官能基を有する熱可塑性エラストマーは、特に熱可塑性樹脂としてポリアリーレンスルフィド樹脂を用いた場合、該熱可塑性樹脂とポリオレフィン双方との親和性が良好となるため好適に使用できる。
本発明に用いる前記熱可塑性エラストマーは、1種または複数種類のα−オレフィン類と前記官能基を有するビニル重合性化合物とを共重合させて得られる。前記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素原子数2〜8のα−オレフィン類などが挙げられる。前記官能基を有するビニル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸類及びそのアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の炭素原子数4〜10の不飽和ジカルボン酸類とそのモノ及びジエステル類、その酸無水物等のα、β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、その分子内にエポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基、酸無水基及びエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体あるいはエチレン−ブテン共重合体が好ましく、カルボキシル基を有するエチレン−プロピレン共重合体あるいはエチレン−ブテン共重合体がさらに好ましい。これらの熱可塑性エラストマー(c1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記熱可塑性樹脂とポリレフィンと相溶化剤と孔形成剤の他に滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤等の公知慣用の添加剤を適宜配合することもできる。特に、本発明の微多孔膜はその製造工程において、熱可塑性樹脂の融点以上で溶融混練することから、ポリオレフィンの焼き付きを防ぐために酸化防止剤をポリオレフィン100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲で添加することが好ましい。
本発明の微多孔膜において、前記熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)との組成比率は、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が95〜70質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が5〜30質量%の範囲であり、熱可塑性樹脂に対するポリオレフィンの分散性が良好なものとなることから、前記熱可塑性樹脂(a)が90〜80質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が10〜20質量%の範囲であることが好ましい。
さらに、ポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)との組成比率は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、前記ポリレフィン(b)と相溶化剤(c)との合計質量に対し、前記ポリレフィン(b)が95〜50質量%の範囲であり、かつ相溶化剤が5〜50質量%の範囲であることが好ましく、当該範囲であれば、熱可塑性樹脂中にポリオレフィンを高濃度で含有させた場合であっても、熱可塑性樹脂に対するポリオレフィンの相溶性、分散性が良好なものとなるため好ましい。
本発明の微多孔膜は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとしてポリオレフィン(b)が相溶化剤(c)の存在下、均一に分散している点に特徴を有するが、さらに、後述する製造法に起因して、微多孔膜の孔の内壁面にポリオレフィン(b)が露出していることから、微多孔膜の熱収縮を抑制し、耐熱収縮性をより一層向上させつつ、ポリオレフィンの溶融による孔の閉塞を容易に行うことができるため好ましい。
本発明の微多孔膜は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、好ましい実施態様による微多孔膜は、次の物性を有する。
(1)ASTM F316−86により定められる平均孔径が0.02〜3〔μm〕の範囲であるものが好ましく、さらに0.05〜1〔μm〕の範囲であるものが更に好ましい。
(2)JIS R1634法により定められた空孔率が30〜80〔%〕の範囲であることが好ましい。
(3)JIS P8117法によって定められるガーレー透気度が20〜800秒/100mlの範囲が好ましく、さらに50〜500秒/100mlの範囲がより好ましい。
(4)微多孔膜の厚さは特に制限はなく、その用途において求められる厚さの範囲であればよいが、一般的には、5〜200μmが好ましく、より好ましくは8〜100μm、更に好ましくは10〜40μmである。
(5)シャットダウン温度が、130〜150℃の範囲であることが好ましい。
このような微多孔膜を得るためには、微多孔を形成する前の中間材料である微多孔膜用原反シートないしフィルム材料として、(6)〜(8)の性質を有するものであることが好ましい。すなわち、
(6)200℃における熱収縮率が3.0%以下であるものが好ましく、特に、熱セット前で3.0%以下であるものがより好ましく、また熱セット後で2.5%以下であるものがさらに好ましい。一方、熱収縮率は低いほど好ましいため、下限値は特定設定されないが、例えば、0%のものとすることが好ましいが、0.01%以上のものであっても良く、さらに0.1%以上のものであっても良い。
(7)機械的強度として、例えば、引張強さは20MPa以上が好ましい。
(8)シートの膜厚ムラが少なく、熱延伸時の破断を防ぐことができるものであることが好ましい。
本発明の微多孔膜は、耐圧縮性、耐熱性及び透過性のバランスに優れているので、電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池などの非水電解質系二次電池に用いられるセパレータとして好適に使用でき、さらに非水電解質系二次電池用単層セパレータとしてより好適に使用できる。
本発明の微多孔膜の製造方法は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で混練して、混練物(β)を得る工程(1)、
前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度に加熱した混練物(β)をフィルム化ないしシート化して熱可塑性樹脂(a)を連続相とするフィルムまたはシート(γ)を得る工程(2)、
得られたフィルムまたはシート(γ)を多孔質化する工程(3)、
を有することを特徴とする。以下、各工程に分けてそれぞれ説明する。
工程(1)は、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で混練して、混練物(β)を得る工程である。
本発明に用いる孔形成剤(d)としては、公知慣用のものを使用できるが、後述する該シート(γ)を多孔質化する工程(3)において使用する除去溶剤に対して溶解するものであれば特に限定されることなく、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、炭酸水素ナトリウム、硫化ナトリウムまたは塩化ナトリウムのなどの無機化合物の微粒子を挙げることができる。当該無機化合物の微粒子は、シリコーン、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸で表面処理されていてもよい。さらに、孔形成剤(d)として室温で固体または液体の溶剤を用いることもできる。
室温で液体の溶剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこれらに対応する鉱油留分、並びにジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の室温では液状のフタル酸エステルが挙げられ、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いることが好ましい。
また、室温で固体の溶剤としては、加熱溶融混練状態ではポリオレフィンと混和状態になるが、室温では固体状の溶剤が挙げられ、ステアリルアルコール、セリルアルコール、パラフィンワックス等を使用することができる。なお固体溶剤のみを使用すると、延伸むら等が発生する恐れがあるため、液体溶剤を併用することが好ましい。
工程(1)は、前記熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)と、更に必要に応じてその他の添加剤などの配合成分とを、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度範囲で、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲で、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲で、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲で、溶融混練する。
工程(1)において、溶融混練条件は本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではないが、例えば以下のとおり行うことが好ましい。たとえば、溶融混練に用いる装置は特に限定されないが、先端にダイを取り付けた押出機内で行うことが好ましい。また、該溶融混練は、前記配合成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が、好ましくは0.02〜2.0(kg/hr/rpm)の範囲、より好ましくは0.05〜0.8(kg/hr/rpm)の範囲、さらに好ましくは0.07〜0.2(kg/hr/rpm)の範囲となる条件下に行う。これにより、前記熱可塑性樹脂(a)の連続相(マトリックス)中に、ポリオレフィン(b)、相溶化剤(c)および孔形成剤(d)が接した状態で微分散させた海島構造のモルフォロジーを形成させることができ、その結果、シート化工程における膜厚が均一となる。
工程(1)において、溶融混練後、ダイから吐出させた樹脂組成物の混練物(β)は、公知の方法でペレット状、粉末状、板状、繊維状、ストランド状、フィルム又はシート状、パイプ状、中空状、箱状等の形状に成形することができるが、貯蔵や運搬等の取り扱い性の点から、また、後述する工程(2)における混練時に容易に均一分散可能である点からも、ペレット状であることが好ましい。
また工程(1)において、予め溶融混練したポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)の混練物(α)を得ておき、当該混練物(α)を熱可塑性樹脂(a)および相溶化剤(c)と、熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で溶融混練して、混練物(β)を得ることもできる。このように予めポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)を溶融混練して混練物(α)を調整しておくことにより、熱可塑性樹脂(a)と相溶化剤(c)との溶融混練後に、ポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)とが接した状態のものが、好ましくは該凝集体が相溶化剤の存在下、熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した状態となる。具体的には、サイドフィーダーから前記二軸混練押出機内にポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)を投入し、該ポリオレフィン(b)の融点以上の温度で混練して混練物(α)を得た後、サイドフィーダーから前記熱可塑性樹脂(a)と相溶化剤(c)を前記二軸混練押出機内に投入して、熱可塑性樹脂(a)の融点以上で溶融混練して混練物(β)を得ることによって、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)の凝集体が熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物が得られる。かかるサイドフィーダーの位置は、前記2軸押出機のスクリュー全長に対する、押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.6であることが好ましい。中でも0.2〜0.4であることが特に好ましい。
また、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物、好ましくは、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)の凝集体が熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物は、上記の方法以外にも、例えば、シリコーン、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸で表面処理された孔形成剤を用いることによって、前記熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と前記表面処理された孔形成剤(d)とを溶融混練することによって得ることもできる。さらに、好ましくは、予め溶融混練したポリオレフィン(b)と前記表面処理された孔形成剤(d)の混練物(α)を得ておき、当該混練物(α)を、熱可塑性樹脂(a)および相溶化剤(c)と溶融混練することによって得ることもできる。
このような、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)の凝集体が、熱可塑性樹脂(a)の連続相中に分散した樹脂組成物を用いて微多孔体を製造すると、孔形成剤(d)を除去した際に、微多孔膜内の孔付近にポリオレフィン(b)が偏在することとなり、その結果、孔内から見て、孔の内壁面にポリオレフィン(b)が露出する。このため、常温ではポリオレフィン(b)が微多孔膜内に留まり、孔が貫通した状態を維持するものの、ポリオレフィン(b)が溶融した際には当該ポリオレフィン(b)により孔の閉塞が容易に行われるため好ましい。
工程(1)において、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の組成比率は、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が52〜28質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が3〜12質量%の範囲であり、前記孔形成剤(d)が45〜60質量%の範囲であり、さらに加工性とシャットダウン機能発現の観点から、前記熱可塑性樹脂(a)が45〜35質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が5〜10質量%の範囲であり、前記孔形成剤(d)が50〜55質量%の範囲とすることが好ましい。
工程(2)は、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度に加熱した混練物(β)をフィルム化ないしシート化して熱可塑性樹脂(a)を連続相とするフィルムまたはシート(γ)を得る工程である。
工程(1)で溶融混練した混練物(β)は、一旦冷却してペレット化等した後に再度押出機を介して、或いは直接に又は別の押出機を介してダイから押し出し、キャストロール又はロール引取機等のロールで、ダイのリップ部のギャップ(リップ幅)/シート厚みが1.1〜40の範囲となるよう引き取ることが好ましく、さらに2〜20の範囲となるよう引き取ることがより好ましい。ダイとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイを用いることが好ましいが、二重円筒状の中空状ダイ、インフレーションダイ等も用いることができる。シート用ダイの場合、ダイのリップ部のギャップ(リップ幅)は通常0.1〜5mmであることが好ましく、押し出し時にはこれを前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上、好ましくは当該融点+10℃以上の温度、より好ましくは当該融点+10〜融点+100℃の範囲、さらに好ましくは当該融点+20〜50℃の範囲の温度に加熱する。加熱溶液の押し出し速度は0.2〜50(m/分)の範囲であるのが好ましい。
このようにしてダイから押し出した混練物(β)のシート状物を冷却することによりシート(γ)を形成する。冷却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。また25℃以下まで冷却するのが好ましい。このようにして熱可塑性樹脂(a)からなる連続相がゲル化するとともに、ポリオレフィン(b)が熱可塑性樹脂(a)の連続相に分散した相分離構造を固定化することができる。冷却速度が50℃/分未満では結晶化度が上昇し、延伸に適したシートが得られにくい傾向となる。冷却方法としては冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いることができる。ロールで引き取る時のドラフト比((ロールの引き取り速度)/(密度から換算されるダイリップから流出する樹脂の流速))は、透気性や成形性の観点から好ましくは1〜300倍、より好ましくは1〜200倍、更に好ましくは1〜100倍である。
本発明は、工程(2)で得られたシート(γ)を多孔質化する工程(3)、を有する。
工程(3)は、該シート(γ)を延伸した後に前記孔形成剤(d)を除去する工程(3a)、前記シート(γ)から前記孔形成剤(d)を除去した後に延伸する工程(3b)、または前記シート(γ)を延伸した後に前記孔形成剤(d)を除去しさらに延伸する工程(3c)である。
工程(3)において、延伸は、シート(γ)を加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。また二軸延伸の場合は、同時二軸延伸、逐次延伸又は多段延伸(同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよいが、特に逐次二軸延伸が好ましい。延伸により機械的強度が向上する。
該延伸倍率はシート(γ)の厚みによって異なるが、一軸延伸を行う場合は2倍以上とするのが好ましく、3〜30倍とするのがより好ましい。二軸延伸ではいずれの方向でも少なくとも2倍以上とし、面倍率で4倍以上とするのが好ましく、面倍率で6倍以上とするのがより好ましい。面倍率で4倍以上とすることにより、突刺強度を向上させることができる。一方、面倍率を100倍超とすると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じる傾向となる。
該延伸温度は、熱可塑性樹脂(a)の融点+10℃以下にするのが好ましく、さらにガラス転移温度から融点未満の範囲にするのがより好ましい。延伸温度が融点+10℃を以下であれば熱可塑性樹脂(a)の溶融を抑え、延伸による分子鎖の配向が可能となる。また、延伸温度がガラス転移温度以上であれば熱可塑性樹脂(a)の軟化が十分で、延伸における破膜を防ぎ、高倍率の延伸が可能となる。但し、逐次延伸又は多段延伸を行う場合は、一次延伸をガラス転移温度未満で行ってもよい。ここでガラス転移温度、融点は、ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求められる値を言う。測定条件として、測定温度幅は−20から120℃、正弦波周波数は100Hz、昇温速度は2℃/分である。
所望の物性に応じて、膜厚方向に温度分布を設けて延伸したり、比較的低温で一次延伸した後さらに高温で二次延伸する逐次延伸又は多段延伸をしたりすることができる。膜厚方向に温度分布を設けて延伸することにより一般的に機械的強度に優れた微多孔膜が得られる。その方法としては、例えば特開平7−188440号に開示の方法を適用することができる。
孔形成剤(d)の除去には、孔形成剤(d)を溶解することができる溶媒(以下、除去溶剤という)を用いる。該除去溶剤を用いて均一に微分散された孔形成剤(d)を除去することによって、多孔質の膜が得られる。除去溶剤の具体例としては、例えば、塩酸などの酸性水溶液、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチルケトン等の易揮発性溶媒が挙げられる。また、除去溶媒としては、上記の他に、特開2002−256099号に開示されている、25℃における表面張力が24mN/m以下になる溶媒を用いることができ、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル等のフッ素系化合物、炭素数5〜10のノルマルパラフィン、炭素数6〜10のイソパラフィン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフィン、2−ペンタノン等の脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ターシャリーブタノール、イソブタノール、2−ペンタノール等の脂肪族アルコール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチルの脂肪族エステル等を挙げることができる。このような表面張力を有する溶媒を用いることにより、孔形成剤(d)を除去した後の乾燥時に微多孔内部で生じる気−液界面の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制することができ、その結果微多孔膜の空孔率及び透過性が一層向上する。
孔形成剤(d)の除去方法は、延伸後の膜又はシート(γ)を除去溶媒に浸漬する方法、延伸後の膜又はシート(γ)に除去溶媒をシャワーする方法、又はこれらの組合せによる方法等により行うことができる。除去溶媒は、シート(γ)100質量部に対し300〜30000質量部使用するのが好ましい。除去溶媒による除去処理は、残留した孔形成剤がその添加量に対して1質量%未満になるまで行うのが好ましい。
延伸及び孔形成剤(d)の除去により得られた膜は、乾燥処理、熱処理、架橋処理または親水化処理などといった公知の後処理工程を施すことができる。
乾燥処理としては、加熱乾燥法又は風乾法等により乾燥する方法を挙げることができる。乾燥温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度以下の温度であるのが好ましく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度であるのが好ましい。
該乾燥処理により、微多孔膜中に残存する前記除去溶媒の含有量を5質量%以下にすることが好ましく(乾燥後の膜質量を100質量%とする)、3質量%以下にするのがより好ましい。乾燥が不十分で膜中に前記除去溶媒が多量に残存していると、後の熱処理で空孔率が低下し、透過性が悪化するので好ましくない。
また、本発明においては後処理として熱処理を行うことが好ましい。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。熱処理方法としては、熱延伸処理、熱固定処理又は熱収縮処理のいずれの方法を用いてもよく、これらは微多孔膜に要求される物性に応じて適宜選択される。これらの熱処理は、微多孔膜中の熱可塑性樹脂の結晶化温度以上、融点以下で行うことが好ましく、さらに結晶化温度と融点の中間温度で行うことが好ましい。
熱延伸処理は、通常用いられるテンター方式、ロール方式又は圧延方式により行い、少なくとも一方向に延伸倍率1.01〜2.0倍の範囲で行うのが好ましく、1.01〜1.5倍の範囲で行うのがより好ましい。
熱固定処理は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式により行う。また熱収縮処理は、テンター方式、ロール方式若しくは圧延方式により行うか、又はベルトコンベア若しくはフローティングを用いて行ってもよい。なお熱収縮処理は、少なくとも一方向に50%以下の範囲で行うのが好ましく、30%以下の範囲で行うのがより好ましい。
なお上述の熱延伸処理、熱固定処理及び熱収縮処理を多数組み合せて行ってもよい。特に熱固定処理後に熱延伸処理を行うと、得られる微多孔膜の透過性が向上するとともに、孔径が拡大する。また熱延伸処理後に熱収縮処理を行うと、低収縮率で高強度の微多孔膜が得られるため好ましい。
さらに、架橋処理としては電離放射線としてはα線、β線、γ線、電子線等が用いられ、電子線量0.1〜100Mrad、加速電圧100〜300kVにて電離放射し、微多孔膜を架橋することができる。これによりメルトダウン温度を向上させることができる。
また、親水化処理としては、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電処理等を行い、微多孔膜を親水化することができる。なおモノマーグラフト処理は電離放射後に行うのが好ましい。
親水化処理として界面活性剤を使用する界面活性剤処理を行う場合、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又は両イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、ノニオン系界面活性剤を使用するのが好ましい。界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を水溶液にするか又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液にして、ディッピングするか、又はドクターブレードを用いる方法により親水化する。親水化処理を行った微多孔膜は次いで乾燥する。このとき透過性を向上させるため、微多孔膜の融点以下の温度で収縮を防止しながら熱処理するのが好ましい。収縮を防止しながら熱処理する方法としては、例えば延伸しながら熱処理する方法が挙げられる。
工程(3)を経て得られた微多孔膜は、コロナ処理機、プラズマ処理機、オゾン処理機、火炎処理機などの公知の表面処理を施すことも可能である。
上記の後処理は、シート(γ)内のポリオレフィンが溶融しなければ孔形成剤除去前に行っても良い。
次に、本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明するが、以下において部及び%は、特に断りのない限り、全て質量基準である。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1に示す配合で、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、相溶化剤(C)と、孔形成剤(D)と、更にその他添加剤の配合成分をタンブラーで均一に混合し、配合材料とした。その後、東芝機械株式会社製ベント付き2軸押出機「TEM−26SS」に前記配合材料を投入し、吐出量20kg/hr、スクリュー回転数300rpm、設定樹脂温度300℃で溶融混練して混練物(β)を調整した。次に混練物(β)をダイ押出成形し、表面を30℃に保ったロール上で冷却し厚み0.3mmのシート試験片を作製した。さらにこのシート試験片をバッチ式2軸延伸機にて、120℃で3×3倍に延伸し厚み約0.03mmの2軸延伸フィルムとした。
次に、得られた2軸延伸フィルムをテンター延伸機で保持しながら125℃で3分間熱固定処理した。さらに、得られた2軸延伸フィルムを、20cm×20cmのガラス製の枠に固定した後、25℃に温調された塩酸で満たされた孔形成剤除去漕中に1時間浸漬し、孔形成剤を除去することにより、膜厚0.03mmの微多孔膜を製造した。
この微多孔膜を、以下の方法で評価した。尚、表中の単位は特に断りがない限り質量%である。シートないし膜の厚みは膜厚計(株式会社ミツトヨ製デジマチックインジケータ 「ID−130M」)を使用して測定した。
(耐メルトダウン)
微多孔膜を200℃に設定した熱風乾燥機中に1分間暴露し、JIS−K7133「プラスチック−フィルム及びシート−加熱寸法変化測定方法」に準拠し、50mm×50mm×0.03mmの微多孔膜の熱収縮率を測定した。なお、微多孔膜を10点測定し、その平均値を求め、耐メルトダウン特性は下記の基準により評価した。
熱収縮率の平均値が0%以上、3%以下・・・○ (耐メルトダウン機能が良好)
熱収縮率の平均値が3%超え、5%以下・・・△ (耐メルトダウン機能が劣る)
熱収縮率の平均値が5%超え ・・・× (耐メルトダウン機能無し)
(ガーレー透気度)
JIS−P8117「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法」に準拠し、多孔膜のガーレー透気度を測定した。
(シャットダウン温度)
微多孔膜を所定の温度に設定した熱風乾燥機中に1分間さらし、上記ガーレー値が5000秒/100ml以上になる温度をシャットダウン温度とした。
(総合評価)
上記の評価項目の結果で、「耐メルトダウン機能が良好」以上の評価を有し、ガーレー透気度:5000〜80000sec/100mlの範囲を有し、シャットダウン温度:130〜150℃の範囲を有する微多孔膜を「良」評価とし、一つでも当該範囲から外れる微多孔膜を「不可」評価とした。
Figure 0006124067
※表中の各組成成分の配合割合に関する数値は質量部を表す。以下同じ。
Figure 0006124067
(実施例5、6)
表1に示す配合で、ポリオレフィン樹脂(B)と、孔形成剤(D)の各配合成分をタンブラーで均一に混合し、配合材料(1)とした。また、表1に示す配合で、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、相溶化剤(C)と、更に添加剤の各配合成分をタンブラーで均一に混合し、配合材料(2)とした。次に、サイドフィーダー付の東芝機械株式会社製ベント付き2軸押出機「TEM−35B」(スクリュー全長に対する樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率:0.28)の樹脂等入部に前記配合材料(1)を投入し、吐出量20kg/hr、スクリュー回転数300rpm、設定樹脂温度300℃で溶融混練して混練物(α)を調整し、さらにサイドフィーダーから前記配合材料(2)を投入して混練物(β)を調整した。次に混練物(β)をダイ押出成形し、表面を30℃に保ったロール上で冷却し厚み0.3mmのシート試験片を作製した。さらにこのシート試験片をバッチ式2軸延伸機にて、120℃で3×3倍に延伸し厚み約0.03mmの2軸延伸フィルムとした。
次に、得られた2軸延伸フィルムをテンター延伸機で保持しながら125℃で3分間熱固定処理した。さらに、得られた2軸延伸フィルムを、20cm×20cmのガラス製の枠に固定した後、25℃に温調された塩酸で満たされた孔形成剤除去漕中に1時間浸漬し、孔形成剤を除去することにより、膜厚0.03mmの微多孔膜を製造した。
Figure 0006124067
※表中の各組成成分の配合割合に関する数値は質量部を表す。以下同じ。
表1〜3の各成分は下記のものである。
PPS(A1) DIC株式会社製リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂、V6溶融粘度150〔Pa・s〕
PPS(A2) DIC株式会社製リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂、V6溶融粘度45〔Pa・s〕
ポリオレフィン(B1) プライムポリマー株式会社製「HI−ZEX 7000F」、HDPE、MI=0.04(g/10min)
ポリオレフィン(B2) プライムポリマー株式会社製「プライムポリプロ F227D」、ポリプロピレン、MI=7.0(g/10min)
相溶化剤(C1)住友化学株式会社製「BF−E」、エチレン/グリシジルメタクリレート(88/12質量%)共重合体
孔形成剤(D1)丸尾カルシウム製「MSK−PO」、炭酸カルシウム(D50=150nm)
孔形成剤(D2)デンカ株式会社製「SFP−20M」、球状シリカ(D50=300nm)
添加剤(E1)住友化学株式会社製「SUMILIZER GP」
ただし、PPS樹脂の溶融粘度は以下の方法で測定した値である。
フローテスター(島津製作所製高化式フローテスター「CFT−500D型」)を用い
て、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者
の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持後の溶融粘度を測定した。

Claims (34)

  1. 融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)を含む樹脂組成物(β)からなる微多孔膜であって、
    前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が95〜70質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が5〜30質量%の範囲であること、かつ、
    前記微多孔膜が電池用セパレータであることを特徴とする微多孔膜。
  2. 前記微多孔膜は、前記熱可塑性樹脂(a)をマトリックスとし、マトリックスに形成された孔の内壁面にポリオレフィン(b)が露出している請求項1記載の微多孔膜。
  3. 前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記ポリオレフィン(b)が95〜50質量%であり、前記相溶化剤(c)が5〜50質量%の範囲である請求項1又は2に記載の微多孔膜。
  4. 前記熱可塑性樹脂(a)がポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)である請求項1〜3の何れか一項に記載の微多孔膜。
  5. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が50〔Pa・s〕以上の範囲の溶融粘度を有するものである請求項4記載の微多孔膜。
  6. 前記ポリオレフィン(b)が、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜5の何れか一項に記載の微多孔膜。
  7. 前記相溶化剤(c)が、前記熱可塑性樹脂(a)と反応性を有する官能基を有する熱可塑性エラストマー(c1)である請求項1〜6の何れか一項に記載の微多孔膜。
  8. 前記微多孔膜は、二軸延伸されたものである請求項1〜7の何れか一項に記載の微多孔膜。
  9. 電池用セパレータが非水電解質二次電池用セパレータである請求項1〜8のいずれか一項記載の微多孔膜。
  10. 電池用セパレータが単層セパレータである請求項1〜9のいずれか一項記載の微多孔膜。
  11. 前記微多孔膜は、200℃における熱収縮率が3%以下であり、かつシャットダウン温度が130〜150℃の範囲である請求項1〜10のいずれか一項記載の微多孔膜。
  12. 融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で混練して、混練物(β)を得る工程(1)、
    前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度に加熱した混練物(β)をフィルム化ないしシート化して熱可塑性樹脂(a)を連続相とするフィルムまたはシート(γ)を得る工程(2)、
    得られたフィルムまたはシート(γ)を多孔質化する工程(3)、
    を有することを特徴とする微多孔膜の製造方法。
  13. 前記工程(1)は、二軸混練押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜2(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練して、混練物(β)を得る工程である請求項12記載の微多孔膜の製造方法。
  14. 前記工程(1)は、予め溶融混練したポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)の混練物(α)を、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)および相溶化剤(c)と、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上の温度で混練して、混練物(β)を得る工程である請求項12又は13記載の微多孔膜の製造方法。
  15. サイドフィーダー付き二軸混練押出機内にポリオレフィン(b)と孔形成剤(d)を投入し、該ポリオレフィン(b)の融点以上の温度で混練して混練物(α)を得た後、サイドフィーダーから前記熱可塑性樹脂(a)と相溶化剤(c)を前記二軸混練押出機内に投入して、前記熱可塑性樹脂(a)の融点以上で混練して混練物(β)を得る工程である請求項14記載の微多孔膜の製造方法。
  16. 前記工程(3)において、酸性水溶液を用いて、孔形成剤を溶出する請求項12〜15の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  17. 前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が52〜28質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が3〜12質量%の範囲であり、前記孔形成剤(d)が45〜60質量%の範囲である請求項12〜16の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  18. 前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記ポリオレフィン(b)が95〜50質量%であり、前記相溶化剤(c)が5〜50質量%の範囲である請求項12〜17の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  19. 前記熱可塑性樹脂(a)がポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)である請求項12〜18の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  20. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が50〔Pa・s〕以上の範囲の溶融粘度を有するものである請求項19記載の微多孔膜の製造方法。
  21. 前記ポリオレフィン(b)が、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上である請求項12〜20の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  22. 前記相溶化剤(c)が、前記熱可塑性樹脂(a)と反応性を有する官能基を有する熱可塑性エラストマー(c1)である請求項12〜21の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  23. 前記孔形成剤(d)が、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、炭酸水素ナトリウム、硫化ナトリウムまたは塩化ナトリウムである請求項12〜22の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  24. 前記孔形成剤(d)が、シリコーン、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸で表面処理されたものである請求項12〜23の何れか一項に記載の微多孔膜の製造方法。
  25. 融点が220℃以上の熱可塑性樹脂(a)とポリオレフィン(b)と相溶化剤(c)と孔形成剤(d)を含む樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の組成比率が、前記熱可塑性樹脂(a)と前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)と前記孔形成剤(d)の合計質量に対して、前記熱可塑性樹脂(a)が52〜28質量%の範囲であり、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量が3〜12質量%の範囲であり、前記孔形成剤(d)が45〜60質量%の範囲であり、熱可塑性樹脂(a)の連続相中に、ポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)が接した状態で分散していることを特徴とする微多孔膜用樹脂組成物。
  26. 前記微多孔膜用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(a)の連続相中にポリオレフィン(b)及び/又は相溶化剤(c)と孔形成剤(d)との凝集体が分散している請求項25記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  27. 前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の組成比率が、前記ポリオレフィン(b)と前記相溶化剤(c)の合計質量に対して、前記ポリオレフィン(b)が95〜50質量%であり、前記相溶化剤(c)が5〜50質量%の範囲である請求項25又は26記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  28. 前記熱可塑性樹脂(a)がポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)である請求項25〜27の何れか一項に記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  29. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が50〔Pa・s〕以上の範囲の溶融粘度を有するものである請求項28記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  30. 前記ポリオレフィン(b)が、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上である請求項25〜29の何れか一項に記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  31. 前記相溶化剤(c)が、前記熱可塑性樹脂(a)と反応性を有する官能基を有する熱可塑性エラストマー(c1)である請求項25〜30の何れか一項に記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  32. 前記孔形成剤(d)が、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、炭酸水素ナトリウム、硫化ナトリウムまたは塩化ナトリウムである請求項25〜31の何れか一項に記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  33. 前記孔形成剤(d)が、シリコーン、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸で表面処理されたものである請求項25〜32の何れか一項に記載の微多孔膜用樹脂組成物。
  34. 請求項25〜33の何れか一項に記載の樹脂組成物をシート状またはフィルム状に成形してなる微多孔膜用原反シートまたはフィルム。
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