JP4507498B2 - 高分子誘電体ならびにコンデンサ用フィルム。 - Google Patents

高分子誘電体ならびにコンデンサ用フィルム。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体及びコンデンサ用フィルム並びにそれらを用いたコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機高分子を誘電体として用いたコンデンサは広く用いられている。例えば、及びフィルム状の高分子誘電体と金属箔を交互に巻回するか、あるいはフィルムに金属を蒸着することで金属層を形成し、これを巻回または積層することによりコンデンサを得る技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
この際誘電体として用いられる高分子フィルムは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンなどが多く用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−182351号公報
【0005】
【特許文献2】
特開昭63−194318号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子機器の高周波化やインバータの普及により、電子部品の高周波での特性が要求されてきている。コンデンサにおける主な問題は、高周波での誘電正接及び誘電吸収の二つである。いずれも低い方が好ましく理想的にはゼロである。これらの値が高いと、エネルギー損失やそれに伴う発熱が生じたり、高周波回路の動作が不安定となるなどの原因となる。
【0007】
コンデンサでは、ポリプロピレンフィルムコンデンサが誘電正接及び誘電吸収の観点から他のコンデンサに比べても非常に良好であり、そうした用途に好んで用いられてきた。しかし部品のチップ化や使用環境の過酷化(特に高温化)が進んでいる現在、耐熱性が低いポリプロピレンが使用できない状況も多くなってきている。さらに用途によっては、ポリプロピレンフィルムコンデンサよりも誘電正接及び誘電吸収の良好なコンデンサが求められてきている。
【0008】
本発明の目的は、従来では得られなかった極めて低い誘電正接及び誘電吸収を持つコンデンサ用誘電体、特にコンデンサ用フィルムを提供することにある。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するために主として次の構成を有する。即ち、本発明は、主成分としてポリエステルまたはポリフェニレンスルフィドからなるポリマー(a)と該ポリマーに非相溶なポリマー(b)を含み、該ポリマー(a)には該ポリマー(b)によって形成された空孔がある誘電体であり、蒸着面の表面粗さRaが200nm以下であって、厚みが0.3〜25μmである複合コンデンサ用フィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体は有機高分子を主成分とする。ここで主成分とは、後述する空孔を除いた全体の50重量%を占める成分を指す。
【0011】
本発明で主成分として好適に用いられる有機高分子としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシレンなどのフィルムが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機重合体との混合体、積層体であっても良い。これらの高分子化合物に、公知の添加剤、例えば、滑剤や可塑剤などが含まれても良い。
【0012】
より好ましくは、主成分となる有機高分子としては、ポリエステルまたはポリオレフィンまたはポリフェニレンスルフィドであることが、誘電正接の改良効果が著しく、コンデンサ電気特性も良好で好ましい。より好ましくは60重量%以上がポリエステル、ポリフェニレンスルフィドまたはポリエチレンナフタレートである。特に好ましくは、70重量%以上がポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、またはポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合体であることがコンデンサの電気特性上、また本発明の効果が著しく、好ましい。
【0013】
本発明の誘電体は、空孔を含有することが誘電正接及び誘電吸収を低く抑える観点から必要である。誘電正接や誘電吸収は、原理的には分極の遅い双極子が存在し、その双極子の分極(充放電)が完了するのに時間がかかることに起因する。電気用の高分子材料を俯瞰すると、誘電率の高いものほど双極子の動きが遅い傾向となり誘電正接は高くなるのが一般的である。
【0014】
本発明の誘電体は、主成分の有機高分子に空孔を含有させることにより、有機高分子と空孔内部の気体(もしくは真空)に由来するいわゆる複合誘電体の形態をなし、誘電率は両者の中間の値となる。
【0015】
本発明の誘電体は、誘電正接や誘電吸収についても誘電率と同様に、その値は有機高分子と空孔内部の気体(もしくは真空)に由来する値の複合となる。気体は一般的に誘電正接や誘電吸収が非常に小さいので、本発明の誘電体は、主成分の有機高分子に空孔を含有させることにより誘電正接や誘電吸収が改良できる。
【0016】
本発明の誘電体の空孔内部には、通常、周辺環境の空気が充填されるが、真空であっても良いし、製法上その他の気体が充填されることも可能である。より好ましくは窒素(N2)や六フッ化硫黄(SF6)などのガスが、1気圧以上の圧力で充填されていれば、誘電体の耐電圧が高くなるので好ましい。
【0017】
本発明の誘電体に含有する空孔のボイド率は、体積比にして10〜70vol%であることが、好ましい。10vol%以上であれば、誘電正接や誘電吸収の改良効果が十分に得られ好ましい。70vol%以下であれば、誘電率が十分に得られコンデンサのサイズを小さくできるので好ましい。より好ましくは、20〜50%である。
【0018】
本発明の誘電体に含有する空孔の形態は問わないが、独立空孔でないと、コンデンサ作製の際の熱や圧力などのストレスで空孔がつぶれたり変形したりする場合があるので、球状もしくは扁平楕円断面の独立空孔であることが好ましく、空孔の平均径は、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以下さらに好ましくは1μm以下である。また、誘電体の形状を厚み10μm以下のフィルムとする場合には、製膜を容易にする観点から、フィルム厚みの1/3以下、好ましくは1/10以下の平均径であることが好ましい。
【0019】
本発明の誘電体は、空孔を含有する誘電体とそれ以外の1種類以上の誘電体を、厚み方向に積層したり、厚みと垂直な方向に2次元的にあるいは3次元的に配置して、複合誘電体とすることができる。
【0020】
本発明、コンデンサ用フィルムである。誘電体がフィルム状であれば、工業上容易に大きな静電容量で小型のコンデンサが得られ。本発明で好適に用いられる高分子フィルムの厚みは実用的なサイズのコンデンサを得る目的から、0.3μm〜25μmの範囲であり、より好ましくは0.7μm〜20μmの範囲であり、さらに好ましくは1.0μm〜6μmの範囲である。かか範囲内であれば、誘電正接や誘電吸収の低減効果が得られやす
【0021】
本発明のコンデンサ用フィルムは、誘電体のみからなる単層フィルムであってもよいし、誘電体の少なくとも片面に他の高分子フィルムが積層されている積層フィルムであってもよい。
【0022】
本発明の積層フィルムの様態は特に限定されるものではないが、空孔を有する誘電体層の主成分と同種の高分子を、空孔を有する層の片側もしくは両側に積層する様態や、中央の層に本発明の空孔を有する誘電体とは異なる高分子を、その上下層に本発明の誘電体を配する構成が例示できる。本発明の空孔を含有する層を、空孔径や空孔の量を変化させて複数積層する構成や、異なる主成分の空孔を含有する層を複数積層する構成も例示できる。さらに2種ないしそれ以上の種類の層を、交互に10層から数百層積層することで、空孔を微細・均一に制御でき、製膜時の破れなどが低減し生産性が向上する。
【0023】
本発明の積層フィルムの製法についても特に限定されないが、複合口金を持つ複合製膜機で押出・キャスト時に積層する方法や、ラミネートなどの方法で2種類以上のフィルムを製膜後に積層する方法、接着層を設けて接着、積層する方法、単に圧着して積層する方法などがあげられる。
【0024】
本発明のコンデンサ用誘電体は、溶融比抵抗が1.0×109Ω・cm以上であることが絶縁抵抗の観点から好ましい。より好ましくは1.5×109Ω・cm以上である。
【0025】
溶融比抵抗を上記の範囲内にするためには、本発明のコンデンサ用誘電体は、電気伝導性のイオンなどを少なくすることが絶縁抵抗の観点から好ましい。有機高分子中には、ポリマー(ポリエステルなど)を重合する際の触媒などとして、方法によってはやむなく金属化合物を添加する必要があるが、金属イオンはリン酸で失活されるので、誘電体中のCa、Mg、Li、Mnなどの金属元素の合計量Mからリン量Pを差し引いたM−Pなる量をこの指標とすることができる。この金属イオン残存量M−Pは、0〜200ppmであることが、絶縁抵抗の観点から好ましい。より好ましくは0〜170ppmであり、さらに好ましくは0〜150ppmである。
【0026】
また、本発明のコンデンサ用誘電体に電極を形成する方法は特に限定されないが、フィルム状であれば金属箔を重ねて巻回・積層する方法や、金属を片面もしくは両面に蒸着して巻回・積層する方法が挙げられる。
【0027】
金属を蒸着して電極を形成してコンデンサとする際には、蒸着する面には空孔が表面に露出していないことが好ましい。さらに蒸着膜を均一に形成するため、本発明の誘電体は、蒸着する面の表面粗さRaにして200nm以下であ。より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは20〜60nmの範囲である。20nmより小さい場合はフィルムのすべりが悪くなり、加工性に若干劣る場合がある。
【0028】
上記の表面粗さを満足するためには、空孔を含有させる方法を選択し空孔径、空孔の量を制御するか、さもなくば蒸着する面に薄い皮膜を形成し積層誘電体とする方法などが挙げられる。フィルム状であれば、Tダイ複合口金内で空孔を含有もしくは生成する層と、通常の高分子の層を別々の押出機から供給した後に口金内で積層し、積層フィルムを得る方法が工業上好ましい。
【0029】
本発明のコンデンサ用誘電体に空孔を含有させる方法は、特に限定されないが、発泡剤の添加や微粒子の添加、または主成分たる有機高分子と非相溶の高分子を添加しそれを1軸もしくは2軸延伸することにより微細な空孔を形成する方法のいずれかまたはその組み合わせが挙げられる。工業生産上、有機高分子と非相溶の高分子を添加し延伸する方法が好ましい。
【0030】
主成分たる有機高分子に非相溶な高分子を混在させると、示差走査熱量計(DSC)等の公知の相転移温度の測定において、主成分に相当する有機高分子と非相溶高分子とを溶融した系において主成分に相当するガラス転移温度(以下Tg)と、それ以外の非相溶高分子に相当するTgが別に観測される。主成分に非相溶な成分は主成分中では粒子状に存在し、延伸により主成分中に空所を形成せしめる。この非相溶成分は、好ましくは熱可塑性高分子であり、より好ましくはその融点は主成分の融点よりも低温でありかつ主成分を配向させるためにかける温度よりも高温であることが好ましい。かかる点からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系の重合体またはその共重合体、シクロオレフィンポリマーなどが好ましい。中でもポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマーが好ましく、特にポリメチルペンテンは他の高分子との表面張力差が大きく、延伸の際に微細空孔を生じやすく好ましい。
【0031】
さらに、熱可塑性樹脂にカルボキシル基やエポキシ基などの極性基や主成分と反応性のある官能基を持ったオレフィン系の重合体及び共重合体、ポリアルキレングリコールなどを相溶化剤として併用した場合、非相溶成分の分散径が小さくなり、引いては延伸による空孔を微細化でき製膜安定性が向上し、コンデンサ電気特性も安定し好ましい。
【0032】
主成分に対する非相溶成分の含有量は特に限定されないが、1〜35重量%が好ましく、3〜25重量%にあるのがより好ましい。添加量が上記より少ない場合は空孔の生成が少なく誘電正接や誘電吸収の改良効果が小さくなり、上記範囲より多い場合は生産性に不都合を生じたり、誘電率が実用上低くなることがある。
【0033】
本発明の誘電体をコンデンサとする際には、いずれかの面もしくは部分に金属層を設けることが好ましい。金属層の形成方法は特に限定されないが、例えば、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングあるいはメッキなどの方法を用いて形成することができる。好ましくは真空蒸着を用いる。真空蒸着を用いると、効率的に本発明のフィルムを製造することができる。
【0034】
本発明における金属層の材質としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、鉄、銅、チタン、あるいはこれらを含有する合金等が挙げられる。コンデンサの電気特性や生産性の面からは、亜鉛、アルミニウム、またはそれらを含む合金が好ましく用いられる。
【0035】
金属層の膜抵抗は0.5〜10Ω/□の範囲であることが好ましい。膜抵抗が0.5Ω/□未満では、セルフヒーリング不良を発生し絶縁抵抗が悪化するなど本来のコンデンサ特性が得られないことがある。また、10Ω/□を越えると直列等価抵抗が増大し、誘電正接(tanδ)が悪化することがある。より好ましくは2〜8Ω/□、さらに好ましくは3〜6Ω/□である。膜抵抗を上記範囲にするには、金属種の選定および金属層の厚みで制御することが可能である。
【0036】
本発明の誘電体は、公知の方法でコンデンサとすることができる。フィルム状であれば、公知の方法で積層もしくは巻回してフィルムコンデンサを得ることができる。2種類以上のフィルムを重ねて積層もしくは巻回する場合は、そのうちのいずれか少なくとも1種類が本発明の誘電体であれば、本発明の改良効果である誘電正接や誘電吸収の改善が得られる。
【0037】
次に、本発明のコンデンサ用誘電体の製造方法を、主成分を熱可塑性樹脂としフィルム状に製造する場合を例に取り記載する。以下は好ましい一態様であり、形態、製造方法共に本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
押出機(A)と、押出機(B)を有する複合製膜装置において、押出機(A)には主成分たる熱可塑性樹脂に表面粗さを形成するために必要な添加粒子を添加したものを供給し溶融、押出しする。押出機(B)には主成分たる熱可塑性樹脂に反れと非相溶な成分を添加したものを供給し、押出しする。Tダイ複合口金内で押出機(A)のポリマーに対し、(B)のポリマーが表層(片面)あるいは表裏面(両面)に来る様に積層してシート状に形成し、溶融された積層シートを得る。
【0039】
この溶融された積層シートを、表面温度がTg以下に冷却されたドラム上にキャストし冷却固化し未延伸フィルムを作製する。該未延伸フィルムをTg−30℃以上、+70℃以下の加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、フィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜50℃の冷却ロールで冷却する。
【0040】
次いでこの1軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、Tg−30℃以上、+70℃以下の雰囲気中で長手方向と垂直な方向に横延伸する。
【0041】
こうして得られたフィルムをテンター内で続けて150〜230℃の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り、本発明のコンデンサ用フィルムを得る。
【0042】
さらに、片面に金属層を設け、巻回型フィルムコンデンサにする場合を例示する。フィルムに金属層を形成する際に、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左側もしくは右側にマージンを有するテープ状の巻取リールにする。得られたリールのうち、左側にマージンを有するフィルムと、右側にマージンを有するフィルム各1本ずつを、幅方向に非マージン側のフィルム端面がマージン側のフィルム端面からはみ出すように2枚を少しずらして重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得る。
【0043】
本発明で得られるコンデンサは、サンプルホールド回路のコンデンサ、あるいはACアクティブフィルター、ACアンプリファイアーなどのコンデンサ等に、また、チップコンデンサーの形態とし、携帯電話などのPLL回路などに特に好適に用いられる。
【0044】
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
(1)ガラス転移点(Tg)
マックサイエンス社製示差走査熱量計DSC3100を用いてサンプルを300℃で5分間保持し、液体窒素で急冷した後、昇温速度20℃/分で測定した。
(2)表面粗さ Ra
JIS B0601に従い、(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて下記の条件にて測定した。
【0045】
触針先端径 :0.5μm
触針加重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
上記の条件で、位置xについて粗さ曲線f(x)が得られたとき、Raは下式(1)で与えられる。
【0046】
【数1】
Figure 0004507498
【0047】
(3)ボイド率
空孔を含有する誘電体の厚み方向断面を走査型顕微鏡(SEM)で1000〜500倍に拡大して観察し、イメージアナライザで単位面積当たりの空孔の合計の面積を測定し、10回測定を行った平均値を算出する。
(4)空孔の平均径
上記の走査型顕微鏡観察で少なくとも100個の空孔をイメージアナライザにかけ、ボイドの面積に相当する円の直径の分布を求めた。この分布の体積平均径を空孔の平均球相当径とする。
(5)誘電体厚み
定規、もしくはノギスで読みとる。薄いフィルム状の場合はJIS C 2151に従い、10枚重ねのフィルムの厚みを電子マイクロメータで測定し、5点平均した平均値をフィルム枚数(10)で除してフィルム厚みとした。
(6)金属層の膜抵抗
4端子法により、100mmの電極間の金属膜の抵抗を測定し、測定値を測定幅と電極間距離で除し、幅10mm、電極間距離10mm当たりの膜抵抗を算出した。単位はΩ/□と表示する。
(7)金属層の組成
フィルムサンプル9cm2を希硝酸で溶解した後、20mlに定溶し、この定溶液をICP発光分光分析法により各金属の組成を定量する。ICP発光分光分析装置はセイコー電子工業製SPS1200VRを用いた。
(8)溶融比抵抗
押出機の出口短管部に25cm2の電極を2枚対立して設置し(この際、電極間の空の絶縁抵抗を1012Ω・cm以上にする。)、試料を溶融温度以上(+10〜30℃程度)で押出しする。ついで電極間に直流5kVを印加し、その際に流れる電流I(mA)を測定する。280℃における溶融比抵抗ρは、下式(2)から求められる。
【0048】
ρ(Ω・cm)=1.25×108/I・・・(2)
(9)金属イオン残存量 M−P
誘電体中のCa、Mg、Li、Mnなどの金属元素の定量を原子吸光法により行い、リン元素量は比色法により測定する。
(10)誘電正接
JIS C 5102に準じて1kHz、1Vの条件で測定した。
(9)誘電吸収
測定原理はJIS C 5102に準じるが、測定条件としてを充電電圧10V、充電時間1ms、放電時間0.1ms、計測時間を1msとし、充電と放電を連続して行った後、計測時間内で観測される最大の電圧を吸収電圧とした。
【0049】
測定に際しては、図1に図示の回路(ナショナルセミコンダクター社ホームページ http://www.national.com/rap/Application/0,1570,28,00.html参照)を用い、10nFのコンデンサを作成して測定した。
【0050】
得られた吸収電圧に基づき、下式(3)によって誘電吸収を算出した。
【0051】
【数2】
Figure 0004507498
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【0053】
[実施例1]
主成分たる有機高分子としてポリエチレンテレフタレート(以後PETと称す)を用いた。重合段階で、平均粒径0.4μmの凝集シリカ粒子(一次径が0.3μm)を0.5重量%、平均粒径2.0μm、凝集シリカ粒子を0.075重量%、それぞれ添加しPETチップを製造した。ジメチルフェニルフォスフォネートの添加量を調整し、溶融比抵抗を1.3×109Ω・cmとした。
【0054】
このチップを180℃で3時間真空乾燥し、押出機(A)に供給し、290℃で溶融させた後Tダイ複合口金に導入した。
【0055】
一方で、PETチップにポリメチルペンテン(以後PMPと称する)を30重量%、さらに相溶化剤として分子量4000のポリエチレングリコール(以後、PEGと称する)を3重量%添加し、同様にジメチルフェニルフォスフォネートの添加量を調整し、溶融比抵抗を1.3×109Ω・cmとしたものを、一旦冷却してチップ化し、重量比にしてこのPMPを含有したチップを33.3重量%に対し、元のPETチップを66.7%添加し混合したものを、180℃で3時間真空乾燥し、押出機(B)にて290℃に溶融、押出しして複合口金に導入し、押出機(A)からのポリマー(A)が、押出機(B)からのポリマー(B)の両表層に積層してなる積層溶融体シートを得た。該積層溶融体シートを表面温度25℃の冷却ドラム上で静電密着法で密着冷却固化させ未延伸フィルムとして一旦巻き取り機にて巻き取った。
【0056】
該未延伸フィルムを、フィルムストレッチャーにかけ、120℃で長手方向、横方向共に3倍に延伸し、25℃雰囲気で冷却した。次いでこの延伸フィルムを240℃、10分の緊張熱処理の後に徐冷して、順に、ポリマー(A)層2μm/ポリマー(B)層16μm/ポリマー(A)層2μmの構成である、厚み20μmの積層誘電体を得た。
【0057】
この積層誘電体のの表面粗さは両面とも50nm、溶融比抵抗は1.2×109Ω・cmであり、ボイド率は29%であった。空孔の平均径は0.5μmであった。
【0058】
得られた積層誘電体の両面に、蒸着部が表裏で対向し電極となるように、かつ端部が1cmずつ未蒸着となるように四角形状のマスクをして、ベルジャー蒸着機でアルミニウムを表裏とも2Ω/□になるように蒸着した。有効電極面積を静電容量が10nFとなるように調整した。
【0059】
この両面蒸着誘電体(以後モデルコンデンサと称する)に、アルミホイルを両面から押しつけ、電極を取り出した。
【0060】
1kHzの誘電正接は0.27%、誘電吸収は1.7%であった。
【0061】
[比較例1]
押出機(B)に供給するポリマー(B)を、PETチップのみとした以外は実施例1と同様の20μmの誘電体を作成し、これを用いてモデルコンデンサを得た。実施例1と同様の評価を行ったところ、1kHzの誘電正接は0.51%、誘電吸収3.0%であった。
【0062】
上記の実施例と比較例の比較で明らかな通り、本発明による誘電体は、従来のものに比べて誘電正接、誘電吸収が改善されていることがわかる。
【0063】
実施例、比較例の誘電体サンプルを、2枚作成し、それぞれ20mm幅に切断してマージンが1mmとなるように蒸着し、2枚を重ね合わせて外径6mmのプラスチックコアに巻回し、巻回型フィルムコンデンサを作成した。このコンデンサの誘電吸収は実施例1の場合で2.1%、比較例1の場合4.0%であり、改善効果は明らかであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、従来では得られなかった極めて低い誘電正接及び誘電吸収を持つコンデンサ用誘電体、特にコンデンサ用フィルムを提供することができる。本発明によるコンデンサを用いることで、高周波回路のさらなる安定化が可能となり、工業的に極めて高い価値のあるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電吸収を測定するための回路の回路図である。

Claims (5)

  1. 主成分としてポリエステルまたはポリフェニレンスルフィドからなるポリマー(a)と該ポリマーに非相溶なポリマー(b)を含み、該ポリマー(a)には該ポリマー(b)によって形成された空孔がある誘電体であり、蒸着面の表面粗さRaが200nm以下であって、厚みが0.3〜25μmである複合コンデンサ用フィルム。
  2. ボイド率が10〜70vol%である請求項1に記載のコンデンサ用フィルム。
  3. ポリマー(b)がポリメチルペンテンまたはシクロオレフィンポリマーである請求項1または2に記載のコンデンサ用フィルム。
  4. 少なくとも片面に金属層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムを用いたコンデンサ。
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